(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-60475(P2016-60475A)
(43)【公開日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】ボート用セーフティドーム
(51)【国際特許分類】
B63C 9/04 20060101AFI20160328BHJP
B63B 7/08 20060101ALI20160328BHJP
B63H 16/00 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
B63C9/04 C
B63B7/08 B
B63H16/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-206735(P2014-206735)
(22)【出願日】2014年9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】514255198
【氏名又は名称】松嵜 剛
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】津波等でも転覆や落水の危険が無く、強い日差しや風、波しぶき、雨等からも守られ、オールを漕いで容易に移動可能なボート、また多人数分を少ないスペースで保管可能なボートを提供する。
【解決手段】軽量ボート1ゴムボート/樹脂ボート/アルミボート等)を低重心に保たせるために座席部分に乗員人数分の乗員固定ベルト2を設けると共に、大型でドーム型の構造物であるセーフティドーム3を設ける。セーフティドーム3は金属パイプや強化プラスチックバー等でドーム状に骨組みされたドーム骨格4を、カバーシート5で覆っており、扇状に開閉する機能を持っている構造か、または金属若しくは強化プラスチック、グラスファイバー等で幾つかに分割されたドーム状の屋根を用い、それらを扇状に開閉、若しくはそれらをスライドして開閉できる機能を持った構造であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量ボート(ゴムボート/樹脂ボート/アルミボート等)に装着した乗員固定ベルトによって低重心が保たれ、ボート上部にドーム型構造物があるために、大波でボートが転覆しそうになっても起き上がりこぶしのようにボート姿勢が自己復帰することを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項2】
前記ドームにより乗員が包み込まれることで乗員の落水防止が図られ、また、強い日差しや風、波しぶき、雨等からも乗員が守られることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項3】
前記ドームは扇状、若しくはスライド式に開閉する機能を持っているため、適度に風や光を取り入れて快適な空間を作り出せることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項4】
前記ドーム全開状態ではオールを漕ぐことができることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項5】
前記の扇状に開閉するドームについては、折り畳んで積み重ねることで少ないスペースで多人数分の保管が可能であることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項6】
前記乗員固定ベルトは乗員を支えるのに十分な剛性と長さを備えており、乗員座部であるボート船底、若しくはボート側面の乗員座部に設けられていることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項7】
前記の扇状に開閉するドーム型構造物については金属パイプや強化プラスチックバー等でドーム状に組まれたドーム骨格をカバーシートで覆っており、そのドーム骨格とカバーシートが扇状に開閉する機能を持っていることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【請求項8】
前記のスライド式で開閉するドーム型構造物については、金属若しくは強化プラスチック、グラスファイバー等で幾つかに分割されたドーム状の屋根で構成され、それらがスライドして開閉できる機能を持っていることを特徴とするボート用セーフティドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジャーボート、及び津波、洪水、水上非難時での救命ボートとして、開閉、折り畳みできるドームを持ったボートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頑強な球体カプセル構造を持った「救命カプセル」がある。
(特許文献1参照)
また、ゴムボートの上部をカバーシートで覆った「救命イカダ」がある。
(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2012−206640号広報
【特許文献2】 特開2002−240782号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(イ) 救命カプセルは頑強な球体カプセル構造物のため、津波等で転覆しそうになっても搭乗者が保護される。
しかし球体のため漕いで移動できず風や光の取り込みが困難であり、折り畳みできないために多数の保管は広大なスペースが必要である。
(ロ) 救命イカダは折り畳んでの多数の保管が可能であり、上部の屋根シートを外せばオールで漕ぐことも可能である。
しかし円形ボートのためにオールを漕いでもわずかしか移動できず、上部屋根シートを1本の柱で支えているだけの構造のため、津波等では乗員の落水や転覆する可能性がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1では、
軽量ボート(ゴムボート/樹脂ボート/アルミボート等)に装着した乗員固定ベルトによって低重心が保たれ、ボート上部にドーム型構造物があるために、大波でボートが転覆しそうになっても起き上がりこぶしのようにボート姿勢が復帰する。
請求項2では、
前記ドームにより乗員が包み込まれることで乗員の落水防止が図られ、また、強い日差しや風、波しぶき、雨等からも乗員が守られる。
請求項3では、
前記ドームは扇状、若しくはスライド式に開閉する機能を持っているため、適度に風や光を取り入れて快適な空間を作り出すことができる。
請求項4では、
前記ドーム全開状態ではオールを漕ぐことができる。
請求項5では、
前記の扇状に開閉するドームについては、折り畳んで積み重ねることで少ないスペースで多人数分の保管が可能である。
請求項6では、
前記乗員固定ベルトは乗員を支えるのに十分な剛性と長さを備えており、乗員座部であるボート船底、若しくはボート側面の乗員座部に設けられている。
請求項7では、
前記の扇状に開閉するドーム型構造物については、金属パイプや強化プラスチックバー等でドーム状に組まれたドーム骨格をカバーシートで覆っており、そのドーム骨格とカバーシートが扇状に開閉する機能を持っている。
請求項8では、
前記のスライド式で開閉するドーム型構造物については、金属若しくは強化プラスチック、グラスファイバー等で幾つかに分割されたドーム状の屋根で構成され、それらがスライドして開閉できる機能を持っている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1では、
軽量ボート(ゴムボート/樹脂ボート/アルミボート等)に装着した乗員固定ベルトによって低重心が保たれ、ボート上部にドーム型構造物があるために、大波でボートが転覆しそうになっても起き上がりこぶしのようにボート姿勢が自己復帰することにより転覆や沈没の危険から乗員を守ることができる。
請求項2では、
前記ドームにより乗員が包み込まれることで乗員の落水防止が図られ、また、強い日差しや風、波しぶき、雨等からも乗員が守られるため、乗員の生命が守られ、乗員の体力消耗防止にも高い効果が得られる。
請求項3では、
前記ドームは扇状、若しくはスライド式に開閉する機能を持っているため、適度に風や光を取り入れて快適な空間を作り出すことができ、乗員の体力消耗防止にも高い効果が得られる。
請求項4では、
前記ドーム全開状態ではオールを漕ぐことができるため、レジャー使用をはじめ、津波や洪水時にも水の流れが鎮静化した後には自力で移動することができる。
請求項5では、
前記の扇状に開閉するドームについては、折り畳んで積み重ねることで少ないスペースで多人数分の保管が可能であるため、安全性の高い救命ボートとして一般家庭や避難所等で防災常備品として保管ができる。
請求項6では、
前記乗員固定ベルトは乗員を支えるのに十分な剛性と長さを備えており、乗員座部であるボート船底、若しくはボート側面の乗員座部に設けられているため、大波や強風を受けても乗員姿勢が常に固定され、ボート姿勢もより安定したものとなる。
請求項7では、
前記の扇状に開閉するドーム型構造物については、剛性のある材質で組まれたドーム骨格をカバーシートで覆っているため、大波や強風を受けて一時的に横倒しや逆さまになってもドームが潰れたりせず、起き上がりこぶしのように重心の低い船底が下になるようボート姿勢が自己復帰する。
また、剛性のある素材を使用することで、扇状の開閉操作が可能ともなっている。
請求項8では、
前記のスライド式で開閉するドーム型構造物については、剛性のある素材で幾つかに分割されたドーム状の屋根で構成され、それらがスライドして開閉できる機能を持っていることにより、災害対応時の煙やガス等の充満した中での航行のように高い気密性が必要な場合にも対応可能。また、ドーム全面を透明強化プラスチックにして視界を最大にすれば、滝下を通過する小型遊覧船としての使用や、激流等を航行するサバイバルボートとして使用することも適している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本発明のドームを閉鎖しようとした時の全体図である。
【
図4】本発明のスライド式ドームを閉鎖しようとした時の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について
図1を用いて説明する。
【実施例1】
図1、2、3において、軽量ボート(1)(ゴムボート/樹脂ボート/アルミボート等)を低重心に保たせるために座席部分に乗員人数分の乗員固定ベルト(2)を設けると共に、大型でドーム型の構造物であるセーフティドーム(3)を設ける。
セーフティドームは金属パイプや強化プラスチックバー等でドーム状に骨組みされたドーム骨格(4)を、カバーシート(5)で覆っており、扇状に開閉する機能を持っていると共に、折り畳み可能な構造である。
ボートは乗員固定ベルトで低重心が保たれ、ボート上部にドーム型構造物があるために、大波でボートが転覆しそうになっても起き上がりこぶしのようにボート姿勢が復帰すると共に、このドームによって乗員の落水防止、強い日差しや風、波しぶき、雨等からも乗員が守られる。
ドームは必要に応じて開閉できるため、体力の消耗が抑えられ、適度に風や光を取り入れて快適な空間を作り出すことができる。
ドーム全開状態ではオールで漕ぐことができ、折り畳んで積み重ねることで多人数分の保管も可能である。
【実施例2】
以下、本発明の実施の形態について
図4を用いて説明する。
セーフティドームの構造については、ドーム骨格とカバーシートの構成に代えて、金属若しくは強化プラスチック、グラスファイバー等で幾つかに分割されたドーム状の屋根(6)を用い、それらを扇状に開閉、若しくはそれらをスライドして開閉できる構成にすることもできる。
この構造によって、災害対応時の煙やガス等の充満した中での航行のように高い気密性が必要な場合にも対応可能であり、ドーム全面を透明強化プラスチックにして視界を最大にすれば、滝下を通過する小型遊覧船としての使用や、激流等を航行するサバイバルボートとして使用することも適している。
なお、救命ボートとしてゴムボートを使用する場合、ボート外側面も強靭なカバーシートで覆う事で、安全性を向上させることができる。
また、圧縮空気ボンベでボートを膨らませることで短時間での使用準備が完了するため、救命ボートとしての併用はより効果的である。
【符号の説明】
【0009】
1 軽量ボート本体
2 乗員固定ベルト
3 セーフティドーム
4 ドーム骨格
5 カバーシート
6 スライド式ドーム