(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-61356(P2016-61356A)
(43)【公開日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】ボルト・ナットカバー
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20160328BHJP
B60B 3/16 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
F16B37/14 C
B60B3/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-189002(P2014-189002)
(22)【出願日】2014年9月17日
(71)【出願人】
【識別番号】304020166
【氏名又は名称】磯 満宏
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】磯 満宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多種のロックボルト及びロックナットに被嵌可能なボルト・ナットカバーを提供する。
【解決手段】本発明のボルト・ナットカバー100は、ロックボルト又はロックナットの六角部に被嵌する有蓋筒状のボルト・ナットカバーであり、蓋部と、前記六角部に嵌合する筒状の嵌合部2とを備え、嵌合部2は、内面に中心軸を挟んで対向する少なくとも一対の側辺挟持用凸部3,3を有している。側辺挟持用凸部3は、ロックボルト又はロックナットの六角部の側辺を挟持する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックボルト又はロックナットの六角部に被嵌する有蓋筒状のボルト・ナットカバーであって、
蓋部と、
前記六角部に嵌合する筒状の嵌合部とを備え、
前記嵌合部は、内面に前記嵌合部の中心軸を挟んで対向する少なくとも一対の側辺挟持用凸部を有し、前記一対の側辺挟持用凸部は、ロックボルト又はロックナットの六角部の側辺を挟持することを特徴とするボルト・ナットカバー。
【請求項2】
前記一対の側辺挟持用凸部は、前記中心軸を挟んで対向する方向の距離が、前記嵌合部の蓋部側に向かって徐々に近接するよう設けられている請求項1に記載のボルト・ナットカバー
【請求項3】
前記嵌合部の内面は、前記中心軸に垂直な断面が六角形をなし、前記側辺挟持用凸部が前記六角形の角部に形成されている請求項1、又は請求項2に記載のボルト・ナットカバー。
【請求項4】
前記側辺挟持用凸部は、前記嵌合部の周方向における中央が窪んだ凹形状をなす請求項1から請求項3に記載のボルト・ナットカバー
【請求項5】
前記側辺挟持用凸部は、前記嵌合部の蓋部側の端部に徐々に低くなる傾斜部を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボルト・ナットカバー。
【請求項6】
前記嵌合部は、内面に前記中心軸を挟んで対向するよう設けられ、前記六角部の側面を挟持する少なくとも一対の側面挟持用凸部を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボルト・ナットカバー。
【請求項7】
前記側面挟持用凸部は、前記中心軸を挟んで対向する方向の距離が、前記嵌合部の蓋部側に向かって徐々に近接するよう設けられている請求項6に記載のボルト・ナットカバー。
【請求項8】
前記中心軸を挟んで対向する方向において、前記一対の側辺挟持用凸部の入り口側端部における距離をD1、蓋部側端部における距離をD2、前記一対の側面挟持用凸部の嵌合部入口側端部における距離をD3、蓋部側端部における距離をD4とすると、
距離D1が21.4±0.5mmの範囲に、距離D2が20.8±0.5mmの範囲に、距離D3が18.5±0.5mmの範囲に、かつ距離D4が、18.0±0.5mmの範囲に設けられている請求項7に記載のボルト・ナットカバー。
【請求項9】
前記中心軸に対向する方向において、前記一対の側辺挟持用凸部の入り口側端部における距離をD1、蓋部側端部における距離をD2、前記一対の側面挟持用凸部の嵌合部入口側端部における距離をD3、蓋部側端部における距離をD4とすると、距離D1が19.1±0.5mmの範囲に、距離D2が18.5±0.5mmの範囲に、距離D3が16.5±0.5mmの範囲に、かつ距離D4が、16.0±0.5mmの範囲に設けられている請求項7に記載のボルト・ナットカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のタイヤやホイールの盗難防止に用いるいわゆるロックボルトやロックナットに被嵌するボルト・ナットカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のホイールに対する犯罪抑止に用いられるロックボルトやロックナットには、錆や傷の抑止、若しくは装飾のために、ボルト・ナットカバーが用いられている。かかるボルト・ナットカバーは、ロックボルトやロックナットから脱落しないよう、内面に凸条(特許文献1参照)や、板バネ(特許文献2参照)、磁石(特許文献3参照)等が設けられている。
【0003】
ところが、ロックボルトやロックナットは専用工具以外での回動を防止するため、レンチやスパナで挟持する六角部の形状が多様な異形状に形成されており、特許文献1のような凸条を有するタイプのカバーでは、ロックボルトやロックナットの形状に合わせて、凸条の高さの異なるものを一々用意する必要があるため、射出成型用の金型代がかさむという問題がある。
【0004】
また、特許文献2や特許文献3のような板バネや磁石で固定するものでは、いろいろな形状のロックボルトやロックナットに用いることが可能であるが、製造コストが嵩むという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開実用昭和61−26603号公報
【特許文献2】特開平6−179301号公報
【特許文献3】特開2010−47061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、六角部が多様に異なるロックボルトやロックナットに用いることができ、かつ製造コストを抑制可能なボルト・ナットカバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ロックボルトやロックナットがレンチ等による回動を不能とするため六角部に施す形状変更は、
図14に示すように主に角部の面取りと、側面を窪ませることとの2点によって行われ、かつ、面取りにより角部が削られる寸法は、ロックボルトやロックナットのメーカーが変わってもほとんど変わらない一方で、側面の窪みは、やや湾凹している程度のものから六角部全体が花柄に見えるほど凹んでいるものまで様々であることを見出した。このことから、本発明者は、六角部の側辺(側面の交差する辺)を挟持することで、より多くの種類のロックボルトやロックナットに兼用できることを見出し、本発明に想到したものである。
【0008】
即ち、上記課題を解決するためになされた発明は、ロックボルト又はロックナットの六角部(以下単に「六角部」ともいう。)に被嵌する有蓋筒状のボルト・ナットカバーであって、蓋部と、前記六角部に嵌合する筒状の嵌合部とを備え、前記嵌合部は、内面に前記嵌合部の中心軸を挟んで対向する少なくとも一対の側辺挟持用凸部を有し、前記一対の側辺挟持用凸部は、ロックボルト又はロックナットの六角部の側辺を挟持することを特徴とする。
【0009】
このように、本発明のボルト・ナットカバーは、側辺挟持用凸部で、ロックボルトやロックナットの六角部の側辺を挟持するよう構成したので、側面の凹み具合が多様に異なる種々のロックボルトやロックナットに兼用できる。
【0010】
前記一対の側辺挟持用凸部は、前記中心軸を挟んで対向する方向の距離が、前記嵌合部の蓋部側に向かって徐々に近接するよう設けられている好ましい。こうすることで、六角部の角部が大きく面取りされている場合であっても、六角部を嵌合部の奥の方に挿入することで、その角部を角部挟持用凹部で挟持することができる。
【0011】
前記嵌合部の内面は、前記中心軸に垂直な断面が六角形をなし、前記側辺挟持用凸部が前記六角形の角部に形成されている好ましい。こうすることで、容易にかつ正確に側辺挟持用凸部を六角部の角部(側辺)の位置に合わせることができる。
【0012】
前記側辺挟持用凸部は、前記嵌合部の周方向における中央が窪んだ凹形状をなすことが好ましい。こうすることで、六角部の角部が、側辺挟持用凸部上に収まり易くでき、かつ側辺挟持用凸部から脱落することを抑制できる。
【0013】
前記側辺挟持用凸部は、前記嵌合部の蓋部側の端部に徐々に低くなる傾斜部を有することが好ましい。こうすることで、嵌合部の奥まで側辺挟持用凸部の高さを同じとする場合に比べ、嵌合部の剛性を抑制して嵌合部を変形させて広げることができるため、より多様な形状のロックボルトやロックナットに被嵌することができる。
【0014】
前記嵌合部は、内面に前記中心軸を挟んで対向するよう設けられ、前記六角部の側面を挟持する少なくとも一対の側面挟持用凸部を有することが好ましい。これにより、角部が大きく面取りされて側辺挟持用凸部で六角部の側辺を挟持できない場合であっても、側面の凹み具合によっては、側面挟持用凸部で六角部の側面を挟持することにより、当該ボルト・ナットカバーを六角部に嵌合させることができる。
【0015】
前記側面挟持用凸部は、前記中心軸を挟んで対向する方向の距離が、前記嵌合部の蓋部側に向かって徐々に近接するよう設けられていることが好ましい。こうすることで、六角部の側面が大きく窪んでいる場合であっても、六角部を嵌合部の奥の方に挿入することでその側面を側面挟持用凸部で挟持することができる。
【0016】
前記中心軸を挟んで対向する方向において、前記一対の側辺挟持用凸部の入り口側端部における距離をD1、蓋部側端部における距離をD2、前記一対の側面挟持用凸部の嵌合部入口側端部における距離をD3、蓋部側端部における距離をD4とすると、距離D1が21.4±0.5mmの範囲に、距離D2が20.8±0.5mmの範囲に、距離D3が18.5±0.5mmの範囲に、かつ距離D4が、18.0±0.5mmの範囲に設けられていることが好ましい。六角部の形状が2面幅19mmの正六角形をベースとするロックボルトやロックナットにおいては、ボルト・ナットカバーの側辺挟持用凸部及び側面挟持用凸部に係るD1乃至D4の距離をこの数値範囲に設けることで、より多くのタイプロックボルトやロックナットに加え、ロック用でないホイールボルトやホイールナットにも当該ボルト・ナットカバーを被嵌することができる。
【0017】
また、距離D1が19.1±0.5mmの範囲に、距離D2が18.5±0.5mmの範囲に、距離D3が16.5±0.5mmの範囲に、かつ距離D4が、16.0±0.5mmの範囲に設けられていてもよい。六角部の形状が2面幅17mmの正六角形をベースとするロックボルトやロックナットにおいては、ボルト・ナットカバーの側辺挟持用凸部及び側面挟持用凸部に係るD1乃至D4の距離を、この数値範囲に設けることで、より多くのタイプのロックボルトやロックナットに加え、ロック用でないホイールボルトやホイールナットにも当該ボルト・ナットカバーを被嵌することができる。
【0018】
尚、ここで、「六角部」とは、ボルトやナットにおいてスパナやレンチで回動操作する部分をいい、六角形でないものも含むものとする。また、距離D1乃至距離D4は、側辺挟持用凸部や側面挟持用凸部の端部に傾斜部が設けられる場合は、その傾斜部を除いた部分の入り口側端部又は蓋部側端部における距離をいうものとする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のボルト・ナットカバーによれば、多様な形状を有する種々のロックボルトやロックナットに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るボルト・ナットカバーの正面図である。
【
図2】
図1のボルト・ナットカバーの右側面図である。
【
図3】
図1のボルト・ナットカバーの平面図である。
【
図4】
図1のボルト・ナットカバーの底面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るボルト・ナットカバーの正面図である。
【
図8】
図7のボルト・ナットカバーの右側面図である。
【
図9】
図7のボルト・ナットカバーの平面図である。
【
図10】
図7のボルト・ナットカバーの底面図である。
【
図11】
図9におけるIII−III線断面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るボルト・ナットカバーの(a)平面図(b)底面図、(c)(a)におけるV−V線断面図である。
【
図14】
図1のボルト・ナットカバーの使用状態を示す断面図である。
【
図15】
図1のボルト・ナットカバーの使用状態を示す側面視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1乃至
図6は、本発明の第1実施形態に係るボルト・ナットカバー100を示している。ボルト・ナットカバー100は、ポリエチレン等の樹脂により有蓋筒状に一体成型され、蓋部1と、ロックボルトやロックナットの六角部に嵌合する筒状の嵌合部2と、嵌合部2の内面に設けられ、六角部の側辺を挟持する側辺挟持用凸部3と、六角部の側面を挟持する側面挟持用凸部4とを備えている。
【0022】
蓋部1は、
図3に示すように、平面視で正六角形に形成され、意匠性を高めるために中央に円形の凹部1aが設けられている。
【0023】
嵌合部2は、蓋部1の周縁に連続して設けられ、
図3、
図4に示すように、6つの側壁21を備えた六角筒状に形成されている。本実施形態では、側壁21の厚みは約1mmに形成されている。側壁21は、嵌合部2の入り口側から蓋側へ向かって内向きに傾斜している。
【0024】
側辺挟持用凸部3は、
図4に示すように、嵌合部2の内側の6つの角部を埋めるように形成され、底面視における幅方向の中央が、円弧上に窪んだ凹形状に形成されている。また、側辺挟持用凸部3の嵌合部入り口側の端部には、嵌合部の入り口に向かって低くなる傾斜部31が形成されている。
【0025】
嵌合部2の中心軸を挟んで対向する一対の側辺挟持用凸部3,3における凹形状の底間の距離は、一対の側辺挟持用凸部3,3の入り口側端部における距離をD1、蓋部側端部における距離をD2とすると、対向する一対の側辺挟持用凸部3,3の底間の距離は、入り口側から蓋部側に向かって距離D1からD2に変化し、D1>D2となるよう設けられているため、六角部の対角幅W1がD2以上D1以下のボルトやナットの六角部を側辺挟持用凸部3で挟持することができる。
具体的には、六角部2面幅19mm用の場合で、嵌合部2の入り口側の距離D1が21.4±0.5mm、蓋部1側の距離D2が20.8±0.5mmに設けられており、六角部2面幅17mm用の場合で、D1が19.1±0.5mm、D2が18.5±0.5mmに設けられている。本実施形態では、嵌合部の2面幅及び対角長が弾性変形により最大で1mm程度大きくなるため、D1及びD2の寸法を、このような数値範囲とすることで、より多くのロックボルトやロックナットに加え、嵌合部2の弾性変形を利用して角部が面取りされないホイールナットやホイールボルトにもナットボルト・ナットカバー100を被嵌させることができる。
【0026】
側面挟持用凸部4は、側壁21内面の幅方向の中央に側壁21の母線方向に沿って延びるよう設けられた凸条からなり、6つの側面21に1つずつ計6本が設けられている。嵌合部2の中心軸を挟んで対向する方向において、一対の側面挟持用凸部4,4の嵌合部入口側端部における距離をD3、蓋部側端部における距離をD4とすると、対向する一対の側面挟持用凸部4,4間の距離が入り口側から蓋部側に向かって距離D3から距離D4に変化し、D3>D4となるよう設けられているため、六角部の2面幅W2がD4以上D3以下のボルトやナットの六角部を側辺挟持用凸部4で挟持することができる。
具体的には、六角部2面幅19mm用の場合で、嵌合部2の入り口側の距離D3が18.5±0.5mm、蓋部1側の距離D4が18.0±0.5mmに設けられており、六角部2面幅17mm用の場合で、D3が16.5±0.5mm、D4が16.0±0.5mm以下に設けられている。D3及びD4の寸法を、このような数値範囲とすることで、より多くのロックボルトやロックナットにボルト・ナットカバー100を被嵌させることができる。
【0027】
次に、ボルト・ナットカバー100の効果を具体的に説明する。
図14(a)は、六角部の角部が少しRに面取りされ、対角間の幅W1がD2以上D1以下で、側面がやや内側に湾曲するよう形成され、ボルトの中心軸を挟んで対向する側面の窪みの底間の幅W2がD4以上D3以下のロックボルトAに、ボルト・ナットカバー100を被嵌した状態を示している。この場合、ボルトAの六角部の側辺A1を側辺挟持用凸部3が押圧支持し、六角部の側面A2を側面挟持用凸部4が押圧支持し、ロックボルトAの六角部は、周方向の12か所でボルト・ナットカバー100に挟持されている。
【0028】
図14(b)は、六角部の角部がロックボルトAと同程度にRに面取りされ、対角間の幅W1がD2以上D1以下で、ボルトの中心軸を挟んで対向する側面の窪みの底B2間の幅W2がD4未満の花柄状のロックボルトBに、ボルト・ナットカバー100を被嵌した状態を示している。この場合、ロックボルトBは、六角部外周の側辺B1に当接する6つの側辺挟持用凸部3によってのみ挟持され、側面挟持用凸部4は、ロックボルトBの回動防止やボルト・ナットカバー100を被嵌する際の案内を行う。
【0029】
図14(c)は、六角部の角部がロックボルトAやBより大きくRに面取りされて六角部の対角幅W1がD2未満で、側面の窪みがロックボルトAと同程度でボルトの中心軸を挟んで対向する側面の窪みの底C2間の幅W2がD4以上D3以下のロックボルトCに、ボルト・ナットカバー100を被嵌した状態を示している。この場合、ロックボルトCは六角部の側面の窪みの底C2に当接する6つの側面挟持用凹部4によってのみ挟持され、側辺挟持用凸部3は、ボルトCの六角部の側辺C1には当接しない。
【0030】
ボルト・ナットカバー100は、一対の対向する側辺挟持用凸部3,3、及び側面挟持用凸部4,4が、蓋部側に向かって互いの距離が近接するよう設けられるため、六角部の対角幅W1又はW2の寸法が比較的大きいロックボルトDの場合には、
図15(a)に示すように嵌合部2の入り口付近に六角部を嵌合し、W1及びW2が比較的小さいロックボルトEの場合には、
図15(b)に示すように、嵌合部2の奥の方で六角部を嵌合する。
図15(b)の例では、ロックボルトEのフランジ部が邪魔になるため嵌合部2の入り口側を切断している。
また、ボルト六角部がボルト・ナットカバー100内に完全に収容される前に、六角部の角部又は側面が、側辺挟持用凸部3又は側面挟持用凸部4に当接した場合であっても、ボルト・ナットカバー100は、ポリエチレン等適宜に可撓性を有する樹脂により形成されているため、嵌合部2を押し広げることで、ボルトの六角部全体を嵌合部へ収容することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図7乃至
図12は、本発明の第2実施形態にかかるボルト・ナットカバー200を示している。ボルト・ナットカバー200は、有蓋筒状をなし、蓋部201と、蓋部201に連続する六角筒状部205と、六角筒状部205より入り口側(
図7の下側)に設けられる嵌合部202とを備え、六角筒状部205と、嵌合部202の間には段差部206が設けられている。嵌合部202の内面には、
図10乃至12に示すように、側辺挟持用凸部203と、側面挟持用凸部204が設けられている。
【0032】
蓋部201は、第1実施形態同様中央に意匠性を高めるための円形の凹部201aが設けられ、六角筒状部205と合わせてナットを模した形状に形成されている。
六角筒状部205は、嵌合部202から切り離すことで、嵌合部202が嵌合するボルトナットより小サイズのボルトナットのカバーとして利用できるよう、内面に当該小サイズのボルトナットの六角部の側面を挟持するための側面挟持用凸部207が設けられている。
【0033】
嵌合部202は、円筒状をなし、蓋部201側(
図7における上側)に向かって徐々に縮径するよう設けられている。
【0034】
側面挟持用凸部204は、嵌合部202の内面から突出し嵌合部202の母線方向に延びる凸条に形成され、嵌合部202の周方向に等角度間隔で6本が配設されている。側面挟持用凸部204の稜線は、嵌合部202の傾斜に沿って傾斜しており、嵌合部の中心軸を挟んで対向する一対の側面挟持用凸部204間の当該対向方向の距離は、嵌合部202の蓋部側ほど短くなる。対向する一対の側面挟持用凸部204の嵌合部202の入り口側端部間の距離D3、及び蓋部201側の端部間の距離D4は、第1実施形態と同様に設けられている。
【0035】
側辺挟持用凸部203は、側面挟持用凸部204の間を埋めるように設けられ、
図10に示すように、底面視で略円弧状をなす凹形状となるよう設けられており、嵌合部202の入り口側の端部に入り口側に向かって低くなる傾斜部231を備えている。対向する一対の側辺挟持用凸部203は、凹形状の底間の入り口側端部における距離D1及び蓋部側端部の距離D2が第1実施形態と同様に設けられている。
【0036】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態に係るボルト・ナットカバー300を示している。ボルト・ナットカバー300は、第1実施形態同様、六角筒状をなす嵌合部2の内面の角部に側辺挟持用凸部303を備えている。側辺挟持用凸部303は、入り口側の端部に入り口側に向かって徐々に低くなる傾斜部331と、蓋部側の端部に蓋部側に向かって徐々に低くなる傾斜部332を有している。このように、側辺挟持用凸部303が入り口側に傾斜部331を有することにより、やや対角幅W1の大きい六角部を嵌合部の可撓性を利用して、嵌合部2押し広げながら六角部に嵌合させることができる。
尚、ボルト・ナットカバー300は、入り口周辺にリブ322を設けている。
【0037】
本発明は、上記の実施形態に限らず、例えば、円筒状の嵌合部を有する場合にも、側面挟持用凸部を備えなくともよい。また、側辺挟持用凸部及び側面挟持用凸部は、対向する一対を含めば、3個以上5個以下であってもよい。嵌合部は蓋部側に向かって縮径するよう設けられていなくともよい。
【符号の説明】
【0038】
100,200,300 ボルト・ナットカバー
1,201 蓋部
2,202 嵌合部
3,203,303 側辺挟持用凸部
31,331 傾斜部(入り口側)
332 傾斜部(蓋部側)
4,204 側面挟持用凸部