特開2016-62089(P2016-62089A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-62089(P2016-62089A)
(43)【公開日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
   G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-225363(P2014-225363)
(22)【出願日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-186814(P2014-186814)
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】SEIオプティフロンティア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 勉
(72)【発明者】
【氏名】大塚 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】木村 元佳
(72)【発明者】
【氏名】沖 宣直
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036JA01
2H036QA03
2H036QA12
2H036QA33
2H036QA46
2H036QA49
2H036QA57
(57)【要約】
【課題】短尺化を実現させることができる光コネクタを提供すること。
【解決手段】光コネクタ1は、外部の光アダプタに接続される光コネクタである。光コネクタ1は、光アダプタを係合させる係合穴を表面に備えたインナーハウジング3と、光アダプタの反対側においてインナーハウジング3に前後方向に沿って接続されたブーツ6と、係合穴を覆うと共にインナーハウジング3に対して前後方向に移動自在に取り付けられた第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5とを備える。第2アウターハウジング5が後方に移動することによって、インナーハウジング3の係合穴が露出する。第2アウターハウジング5は、後端面5fから前方向に切り欠かれてブーツ6の前端部が入り込む切り欠き部5cを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の光アダプタに所定の接続方向に沿って接続される光コネクタであって、
前記光アダプタを係合させる係合部を表面に備えたインナーハウジングと、
前記光アダプタの反対側において前記インナーハウジングに前記接続方向に沿って接続されたブーツと、
前記係合部を覆うと共に前記インナーハウジングに対して前記接続方向に移動自在に取り付けられたアウターハウジングと、を備え、
前記アウターハウジングが前記接続方向における前記ブーツ側に移動することによって、前記係合部が露出し、
前記アウターハウジングは、前記ブーツ側の端部から前記接続方向に切り欠かれて前記ブーツの一部が入り込む切り欠き部を有する、
光コネクタ。
【請求項2】
前記アウターハウジングは、前記係合部を覆う第1アウターハウジングと、前記第1アウターハウジングの前記ブーツ側に設けられ前記第1アウターハウジングに対して前記接続方向に移動自在に設けられた第2アウターハウジングと、によって構成されており、
前記第2アウターハウジングが前記第1アウターハウジングに接近する方向に移動すると、前記第2アウターハウジングと前記インナーハウジングとが前記第1アウターハウジングに対して相対移動することによって前記係合部が露出し、
前記第2アウターハウジングが前記第1アウターハウジングから離れる方向に移動すると、前記第2アウターハウジングと前記第1アウターハウジングとが前記インナーハウジングに対して相対移動することによって前記係合部が露出し、
前記第2アウターハウジングには、前記第2アウターハウジングから離れる方向に延在する把持部が設けられている、
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記把持部は、前記第2アウターハウジングと前記接続方向に係合する2つの係合部を備え、
前記第2アウターハウジングは、前記2つの係合部のそれぞれと係合する2つの被係合部を備えており、
前記2つの被係合部は、前記切り欠き部の両側に設けられている、
請求項2に記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光コネクタアダプタに挿抜される光コネクタが記載されている。この光コネクタは、光ファイバの先端に取り付けられたフェルールを保持するコネクタ本体と、コネクタ本体に対し前後に移動可能なカップリングと、コネクタ本体の後方に設けられたカップリング係合部材と、カップリング係合部材から後方に延出するブーツと、後方に延出する操作スティックとを備えている。
【0003】
この光コネクタでは、操作スティックが前方に押されると、カップリング係合部材とコネクタ本体とが前方に移動し、コネクタ本体に光コネクタアダプタのラッチが係合することによって、光コネクタが光コネクタアダプタに接続される。また、操作スティックが後方に引かれると、カップリング係合部材とカップリングとが後方に移動し、上記ラッチの係合が解除されることにより光コネクタが光コネクタアダプタから引き抜かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−58320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した光コネクタでは、コネクタ本体、カップリング、カップリング係合部材及びブーツが前後方向に長く延在している。よって、光コネクタの挿抜時や装着中において光コネクタに付与される曲げ応力や引っ張り応力が大きくなり易く、割れ等の問題を生じさせる場合がある。また、このような割れ等の問題を回避するために高価な材料を使用しなければならないこともあり、材料等のコストが高いという問題もある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、短尺化を実現させることができる光コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一側面に係る光コネクタは、外部の光アダプタに所定の接続方向に沿って接続される光コネクタであって、光アダプタを係合させる係合部を表面に備えたインナーハウジングと、光アダプタの反対側においてインナーハウジングに接続方向に沿って接続されたブーツと、係合部を覆うと共にインナーハウジングに対して接続方向に移動自在に取り付けられたアウターハウジングと、を備え、アウターハウジングが接続方向におけるブーツ側に移動することによって、係合部が露出し、アウターハウジングは、ブーツ側の端部から接続方向に切り欠かれてブーツの一部が入り込む切り欠き部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、短尺化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1の光コネクタを示す縦断面図である。
図3図3は、図1の光コネクタを光アダプタから引き抜く状態を示す斜視図である。
図4図4は、図3の光コネクタを示す縦断面図である。
図5図5は、図1の光コネクタを光アダプタに差し込む状態を示す斜視図である。
図6図6は、図5の光コネクタを示す縦断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図8図8は、図7の光コネクタを光アダプタから引き抜く状態を示す斜視図である。
図9図9は、第3実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図10図10は、図9の光コネクタを示す縦断面図である。
図11図11(a)は把持部を示す斜視図である。図11(b)は第3アウターハウジングを示す斜視図である。
図12図12(a)は把持部を係合する前の状態を示す斜視図である。図12(b)は把持部を係合した後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本発明の一側面に係る光コネクタは、外部の光アダプタに所定の接続方向に沿って接続される光コネクタであって、光アダプタを係合させる係合部を表面に備えたインナーハウジングと、光アダプタの反対側においてインナーハウジングに接続方向に沿って接続されたブーツと、係合部を覆うと共にインナーハウジングに対して接続方向に移動自在に取り付けられたアウターハウジングと、を備え、アウターハウジングが接続方向におけるブーツ側に移動することによって、係合部が露出し、アウターハウジングは、ブーツ側の端部から接続方向に切り欠かれてブーツの一部が入り込む切り欠き部を有する。
【0011】
本発明の一側面に係る光コネクタでは、ブーツの一部がアウターハウジングの切り欠き部に入り込むように構成されている。このようにブーツの一部を切り欠き部に入り込ませることにより、接続方向におけるアウターハウジングの長さを短くすることができる。この結果、インナーハウジングやリアハウジングも短くすることができ、短尺化が実現された光コネクタとすることができる。また、光コネクタの短尺化に伴って、光コネクタに付与される曲げ応力や引っ張り応力を小さくすることができるので、光コネクタの材料等のコストを低減させることも可能である。
【0012】
(2)上記の光コネクタにおいて、アウターハウジングは、係合部を覆う第1アウターハウジングと、第1アウターハウジングのブーツ側に設けられ第1アウターハウジングに対して接続方向に移動自在に設けられた第2アウターハウジングと、によって構成されており、第2アウターハウジングが第1アウターハウジングに接近する方向に移動すると、第2アウターハウジングとインナーハウジングとが第1アウターハウジングに対して相対移動することによって係合部が露出し、第2アウターハウジングが第1アウターハウジングから離れる方向に移動すると、第2アウターハウジングと第1アウターハウジングとがインナーハウジングに対して相対移動することによって係合部が露出し、第2アウターハウジングには、第2アウターハウジングから離れる方向に延在する把持部が設けられていてもよい。
【0013】
上記の光コネクタでは、第1アウターハウジングと第2アウターハウジングとが別体となっており、第2アウターハウジングは第1アウターハウジングに対して接続方向に移動自在となっている。そして、第2アウターハウジングが第1アウターハウジングに近づく方向に移動したときには、第2アウターハウジング及びインナーハウジングが共に移動して係合部が露出するので、外部の光アダプタを係合部に係合させることが可能となる。また、第2アウターハウジングが第1アウターハウジングから離れる方向に移動したときには、第2アウターハウジング及び第1ハウターハウジングが共に移動して係合部が露出する。よって、係合部における光アダプタとの係合を解除することにより光アダプタから光コネクタを取り外すことが可能となる。このように第2アウターハウジングを移動させるだけで光アダプタに対する着脱を行うことができるので、着脱の操作性を向上させることができる。更に、第2アウターハウジングから延在する把持部が設けられているので、把持部を持って操作することにより、離れた場所から第2アウターハウジングを移動させることができる。このように把持部で第2アウターハウジングを移動させることができるので、光アダプタに対する着脱を一層容易に行うことができる。
【0014】
(3)上記の光コネクタにおいて、把持部は、第2アウターハウジングと接続方向に係合する2つの係合部を備え、第2アウターハウジングは、2つの係合部のそれぞれと係合する2つの被係合部を備えており、2つの被係合部は、切り欠き部の両側に設けられていてもよい。この光コネクタでは、把持部を第2アウターハウジングに対して接続方向に係合させることができる。このように把持部を係合させて第2アウターハウジングに装着し、装着した把持部を持って第2アウターハウジングを簡単に接続方向に移動させることができる。また、第2アウターハウジングの被係合部は、ブーツが入り込む切り欠き部の両側に設けられている。よって、装着した把持部をバランス良く押し引きすることができるので、光アダプタに対する光コネクタの着脱操作をよりスムーズに行うことができる。
【0015】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光コネクタの具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光コネクタ1を示す斜視図である。図2は、光コネクタ1の縦断面図である。光コネクタ1は、MPOコネクタである。光コネクタ1は、外部の光アダプタに接続されるコネクタである。
【0017】
図1及び図2に示されるように、光コネクタ1は、光コネクタ1の一端に位置する矩形状のフェルール2と、フェルール2を覆うインナーハウジング3と、インナーハウジング3の一部を覆う第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5と、インナーハウジング3に接続されたブーツ6と、第2アウターハウジング5に接続された棒状の把持部10とを外観構成として具備している。また、光コネクタ1の内部には、コイルバネ7、リアハウジング8及びカシメリング9、フェルールバネ(図示せず)等が設けられている。なお、図2では把持部10の図示を省略している。
【0018】
以下では、説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」と方向を定めて説明を行う。インナーハウジング3とブーツ6との接続方向を前後方向、すなわち、ブーツ6からインナーハウジング3を見た方向を前、その反対方向を後とする。また、フェルール2の前面の長手方向を左右方向、フェルール2の前面の短手方向を上下方向とする。これらの方向は単に説明の便宜上のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
フェルール2は、後方側に拡張部2aを備えた箱状となっている。フェルール2の内部には、前後方向に延びる複数のファイバ孔が形成されており、各ファイバ孔には、ブーツ6後方から挿入されるファイバコードを構成する光ファイバのそれぞれが挿入される。フェルール2の拡張部2aの前面2bは、インナーハウジング3に当接される当接面となっている。また、フェルール2とリアハウジング8との間には、フェルール2を前方に付勢するフェルールバネが設けられている。
【0020】
インナーハウジング3は、後方側に拡張部3aを備えた段付き角筒状となっている。インナーハウジング3の外面には、外部の光アダプタのラッチが係合される左右一対の係合穴(係合部)3bと、第1アウターハウジング4を前方に付勢するコイルバネ7を収容する溝部3cとが設けられている。係合穴3bは、インナーハウジング3の表面に設けられている。係合穴3bは例えばインナーハウジング3の外面において台形状に形成されており、各係合穴3bに光アダプタのラッチが嵌合することによって、光アダプタに光コネクタ1が前後方向に係合され、光アダプタに光コネクタ1が装着される。また、溝部3cは前後方向に延在しており、溝部3cには前後方向に伸縮可能となったコイルバネ7が収容される。
【0021】
インナーハウジング3の内部には、フェルール2及びリアハウジング8が収容されている。インナーハウジング3の内側面は段付き状となっており、インナーハウジング3の内側には、フェルール2が当接される当接面3dと、リアハウジング8の前端面が当接される当接面3eとが設けられている。当接面3dには、フェルールバネによって前方に付勢されたフェルール2の拡張部2aの前面2bが当接されている。
【0022】
第1アウターハウジング4は、インナーハウジング3の外側において前後方向に移動自在に取り付けられている。第1アウターハウジング4は筒状を呈しており、第1アウターハウジング4の断面は長方形の短辺が外側に膨らむように湾曲した形状となっている。
【0023】
第1アウターハウジング4の後部には、第2アウターハウジング5に係合される4個の爪部4aが設けられている。各爪部4aは、後方に所定長さだけ延在した形状となっている。第1アウターハウジング4は、その左側に上下一対の爪部4aを備えると共に、右側にも上下一対の爪部4aを備えている。第1アウターハウジング4の各爪部4aの後端には、第2アウターハウジング5に当接される当接部4bが設けられている。当接部4bは、爪部4aの後端において内側に突出した形状となっている。
【0024】
第2アウターハウジング5は、第1アウターハウジング4の後方において第1アウターハウジング4に対して前後方向に移動自在となっている。第2アウターハウジング5は、第1アウターハウジング4と別体となっている。第2アウターハウジング5は、筒状を呈している。第2アウターハウジング5の断面は、長方形の短辺が外側に膨らむように湾曲した形状となっており、例えば第1アウターハウジング4の断面と同一形状とすることができる。
【0025】
第2アウターハウジング5には、ブーツ6の前端部とリアハウジング8とが収容される。第2アウターハウジング5は、第1アウターハウジング4の爪部4aが係合される4個のスリット5aを備えており、各スリット5aは第2アウターハウジング5の前端から所定長さだけ後方に延在している。第2アウターハウジング5は、その左側に上下一対のスリット5aを備えると共に、右側にも上下一対のスリット5aを備えている。
【0026】
また、第2アウターハウジング5の各スリット5aの前側には、第1アウターハウジング4の当接部4bが後方から当接される被当接部5bが設けられている。この被当接部5bに当接部4bが後方から当接することにより、第2アウターハウジング5と第1アウターハウジング4とが前後方向に所定距離以上離れないようになっている。
【0027】
第2アウターハウジング5は、ブーツ6の前端部が入り込む切り欠き部5cを備えている。切り欠き部5cは、例えば上下一対に設けられている。切り欠き部5cは第2アウターハウジング5の後端面5fから前方向に切り欠かれて形成されており、第2アウターハウジング5の切り欠き部5cが設けられる平坦状の側面5dは、外側が角張ったC字状を呈している。
【0028】
第2アウターハウジング5の各スリット5aの内側には、インナーハウジング3の後端3fが前方から当接する段差部5eが設けられている。段差部5eは、第2アウターハウジング5の内面から内側に突出している。第2アウターハウジング5を前方に移動させて段差部5eの前面がインナーハウジング3の後端3fに後方から当接することにより、第2アウターハウジング5とインナーハウジング3は共に前進するようになっている。
【0029】
リアハウジング8は、インナーハウジング3の後側に挿入される筒状の挿入部8aと、挿入部8aの後側でカシメリング9と係合される円筒部8bとを備えている。挿入部8aは円筒部8bの前端で拡張された形状となっており、挿入部8aの前端がインナーハウジング3の当接面3eに当接した状態でリアハウジング8はインナーハウジング3に係合されている。リアハウジング8の円筒部8bの外周面には凹凸部8cが形成されている。
【0030】
カシメリング9は、その前側が拡径された段付き円筒状を呈している。カシメリング9は、後方から前方に向かうに従って内径が外径に倣うように段付き状に拡径されている。カシメリング9は、その前側に位置する大径部9aと、大径部9aの後側に位置する小径部9bとを備えている。カシメリング9は、縮径されてリアハウジング8と係合し、円筒部8bの外周面とカシメリング9の内周面との間に光ファイバコードを構成する抗張力繊維や外被等が挟まれて固定される。また、カシメリング9の内部には、光ファイバコードを構成する各光ファイバが保持されている。
【0031】
ブーツ6は、前後方向に延在する筒状を呈している。ブーツ6は、リアハウジング8の円筒部8bとカシメリング9とを収容した状態でカシメリング9に装着されている。ブーツ6は、光ファイバコードに急激な曲げが生じないように光ファイバコードを保護する。ブーツ6の前端は、リアハウジング8の挿入部8aの後端に突き当てられており、この突き当てられた部分からブーツ6は後方に延在している。ブーツ6におけるカシメリング9を収容する部分よりも後側は、後方に向かうに従って徐々に縮径されている。また、ブーツ6の後側の縮径されている部分には、ブーツ6の周方向に延びる長穴状の貫通孔6aが複数形成されている。
【0032】
把持部10は、第2アウターハウジング5の後端面5fから後方に延在する丸棒状となっている。把持部10は、前端が後端面5fに固定されると共に後方に延在する延在部10aと、延在部10aの後端で拡径されて延在部10aとの接続部分から更に後方に延在する円柱状の操作部10bとを備えている。
【0033】
操作部10bの後端はブーツ6の後端よりも後方に位置しているので、離れた位置から把持部10を把持することが可能となっている。また、操作部10bは延在部10aに対して拡径されているので持ちやすい形状となっている。例えば、操作者は、操作部10bを前方に押したり後方に引いたりすることによって、第2アウターハウジング5を前方又は後方に移動させることが可能となっている。
【0034】
なお、本実施形態において、把持部10は第2アウターハウジング5の後端面5fに固定されているが、把持部10は、例えばネジ等によって、第2アウターハウジング5に対して着脱自在になっていてもよい。この場合、把持部10が不要なときに、把持部10を第2アウターハウジング5から取り外すことも可能となる。
【0035】
ところで、従来のように例えば第1アウターハウジング4と第2アウターハウジング5とが一体のアウターハウジングである場合には、ブーツを前方に押し込むことで光コネクタを外部の光アダプタに装着させ、アウターハウジングを後方に移動させることで光アダプタから光コネクタを外していた。すなわち、光コネクタを光アダプタに装着する際にはブーツを持って装着を行い、光コネクタを光アダプタから外す際にはアウターハウジングを持って取り外しを行っており、装着時に持つ場所と取り外し時に持つ場所とが異なるので操作性の点で改善の余地があった。これに対し、本実施形態に係る光コネクタ1では、光アダプタに対する脱着操作において操作性が向上されている。以下では、光コネクタ1を光アダプタに対して脱着させるときの操作について説明する。
【0036】
まず、光コネクタ1を光アダプタから取り外す操作について説明する。光コネクタ1を光アダプタから取り外す操作は、把持部10を後方に引いて行う。すなわち、把持部10を後方に引くと、第2アウターハウジング5が後方に移動する。第2アウターハウジング5が後方に移動すると、第2アウターハウジング5の被当接部5bに第1アウターハウジング4の当接部4bが当接するので、その後は第1アウターハウジング4が共に後方に移動する。
【0037】
上記のように第2アウターハウジング5が第1アウターハウジング4と共に後方に移動する際にインナーハウジング3は後方に移動しない。よって、第2アウターハウジング5が第1アウターハウジング4と共に後方に移動すると、図3及び図4に示されるように、インナーハウジング3の係合穴3bが露出する。この時、ブーツ6の一部が第2アウターハウジング5の切り欠き部5cに入り込む。そして、把持部10を更に後方に引くと、係合穴3bに対する光アダプタのラッチが解除される。更に把持部10を後方に引くと、第1アウターハウジング4と共にインナーハウジング3が引かれることにより、光アダプタから光コネクタ1を引き抜くことが可能となる。
【0038】
次に、光コネクタ1を光アダプタに取り付ける動作について説明する。図1及び図2に示される状態において、光コネクタ1を光アダプタに取り付ける操作は、把持部10を前方に押して行う。すなわち、把持部10を前方に押すと、第2アウターハウジング5が前方に移動する。第2アウターハウジング5が前方に移動すると、第2アウターハウジング5の段差部5eの前面がインナーハウジング3の後端3fに当接するので、インナーハウジング3が共に前方に移動する。
【0039】
第2アウターハウジング5がインナーハウジング3と共に前方に移動する際に第1アウターハウジング4は光アダプタのラッチによって前方への移動が規制されるため、前方に移動しない。すなわち、第2アウターハウジング5がインナーハウジング3と共に前方に移動すると、第1アウターハウジング4は相対的に後方に移動する。このように、第2アウターハウジング5がインナーハウジング3と共に前方に移動すると、図5及び図6に示されるように、第1アウターハウジング4の各爪部4aが各スリット5aの後端にまで入り込み、後方から第2アウターハウジング5が第1アウターハウジング4に接近すると共に、係合穴3bが露出し始める。そして、把持部10を前方に押すと、インナーハウジング3も前方に押されることにより、インナーハウジング3の係合穴3bに光アダプタのラッチが係合する。ラッチの係合が完了すると、インナーハウジング3の外周の溝部3cに収容されたコイルバネ7によって前方に付勢されていた第1アウターハウジング4は、係合した光アダプタのラッチと係合穴3bを覆うように前方へ移動する。これによって、光アダプタに対する光コネクタ1の取り付けが完了する。
【0040】
以上のように、光コネクタ1では、ブーツ6の一部が第2アウターハウジング5の切り欠き部5cに入り込む。このようにブーツ6の一部を切り欠き部5cに入り込ませることにより、前後方向における第2アウターハウジング5の長さを短くすることができる。
【0041】
この種の光コネクタを正常に挿抜するためには、アウターハウジングが光アダプタのラッチ部を覆った状態から、ラッチ部を露出させてラッチを解除し更に光コネクタが光アダプタから完全に抜ける状態となるまで、アウターハウジングはインナーハウジングやリアハウジングに対して前後方向に相対的に移動することが必要であり、この移動距離は規格化されている。
【0042】
本願発明のようにブーツ6の一部が第2アウターハウジング5の切り欠き部5cに入り込むことにより、アウターハウジングの後退量を制限する要因の一つであるアウターハウジング(第2アウターハウジング5)の後端部とブーツ6の先端部との干渉を緩和することができる。その分、インナーハウジングやリアハウジングの前後方向の長さを短くしても、アウターハウジングの移動距離を確保することができる。
【0043】
インナーハウジングやリアハウジングを短くすることで光コネクタ1の挿抜時や装着中に特にこれらの部分に加わる曲げ応力や引っ張り応力を小さくすることができるため、材料等のコストを低減させることも可能である。インナーハウジングやリアハウジングの材料としては、これまで一般的に使用されているPEI(ポリエーテルイミド)以外にも、例えばより低価格で比較的強度が低いPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用することが可能となる。なお、第1アウターハウジング4、第2アウターハウジング5、把持部10の材料としては、インナーハウジングやリアハウジングと同じものを用いることができる。
【0044】
また、光コネクタ1では、第1アウターハウジング4と第2アウターハウジング5とが別体となっており、第2アウターハウジング5は第1アウターハウジング4に対して前後方向に移動自在となっている。よって、第2アウターハウジング5が前方に移動したときには、第2アウターハウジング5及びインナーハウジング3が共に前方に移動して係合穴3bが露出するので、光アダプタのラッチを係合穴3bに係合させることが可能となる。また、第2アウターハウジング5が後方に移動したときには、第2アウターハウジング5及び第1アウターハウジング4が共に後方に移動して係合穴3bが露出する。よって、係合穴3bにおける光アダプタとの係合を解除することにより光アダプタから光コネクタ1を取り外すことが可能となる。
【0045】
このように第2アウターハウジング5を前後方向に移動させるだけで光アダプタに対する光コネクタ1の着脱を行うことができるので、着脱の操作性を向上させることができる。更に、第2アウターハウジング5から離れる方向に延在する把持部10が設けられているので、把持部10を持って操作することにより、離れた場所から第2アウターハウジング5を移動させることができる。このように把持部10で第2アウターハウジング5を移動させることができるので、光アダプタに対する着脱を一層容易に行うことができる。すなわち、光コネクタ1の装着時に持つ場所と取り外し時に持つ場所とを把持部10として同一とすることができるので、操作性を向上させることができる。
【0046】
(第2実施形態)
前述した第1実施形態では、互いに別体となる第1アウターハウジング4及び第2アウターハウジング5が設けられていた。これに対し、第2実施形態に係る光コネクタ21では、アウターハウジング4,5に代えて、図7及び図8に示されるような一つのアウターハウジング24が設けられている。
【0047】
図7及び図8に示されるように、アウターハウジング24を備えた光コネクタ21は、光コネクタ1と同様のフェルール2、インナーハウジング3及びブーツ6を備えている。アウターハウジング24は、インナーハウジング3に対して前後方向に移動自在に取り付けられている。そして、アウターハウジング24は、第2アウターハウジング5と同様、前方に切り欠かれた切り欠き部24cを備えており、切り欠き部24cにはブーツ6の前端部が入り込む。
【0048】
光コネクタ21では、第1実施形態の光コネクタ1と同様、ブーツ6の一部がアウターハウジング24の切り欠き部24cに入り込む。従って、光コネクタ21では、光コネクタ1と同様、インナーハウジングやリアハウジングを短くでき、光コネクタ21の短尺化を実現させることができ、材料等のコストを低減させることも可能となる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、図9図12を参照して第3実施形態に係る光コネクタ31について説明する。光コネクタ31は、着脱自在となっている把持部40を備える点、及び把持部40を係合させる切り込み45aを有する第3アウターハウジング45を備えている点で第1実施形態と異なっている。第3実施形態において、第3アウターハウジング45は、第1実施形態の第2アウターハウジング5に代えて設けられている。以下では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0050】
図9図10及び図11(a)に示されるように、把持部40は、前後方向に直交する平面において第3アウターハウジング45に対して回転させることにより、第3アウターハウジング45に着脱自在となっている。把持部40は、円筒を前後方向(把持部40の回転軸線が延びる方向)に切り欠いた形状を呈しており、前後方向に延在する切り欠き部41を備えている。把持部40を前後方向に直交する平面で切断したときの形状は円弧状となっており、この円弧は例えば全周の3分の2程度延びている(円弧部分の中心角は約120度である)。このような切り欠き部41を備えることにより、既に光ファイバコードに取り付けられた光コネクタに対しても横(把持部40の回転軸線に直交する方向)からブーツ6の一部を覆うようにして把持部40を挿入し、前進、回転させることで、後から把持部40を装着すること、或いは、他の光コネクタと接続された状態にある光コネクタに対しても、接続状態を解除せずに把持部40を取付けることが可能となる。
【0051】
把持部40における前後方向の一端の表面には、切り込み45aに係合する突起部42が一対に設けられている。突起部42は、第3アウターハウジング45と前後方向に係合する係合部として機能する。各突起部42は把持部40の周方向に延びている。これらの2つの突起部42は、例えば把持部40の回転中心に対して対称となる位置に設けられている。
【0052】
把持部40は、突起部42から前後方向に離れた箇所に縮径部43を備えており、この縮径部43によって把持部40が持ちやすい形状となっている。また、把持部40における突起部42の反対側の端部には、縮径部43から徐々に拡径する拡径部44が設けられている。
【0053】
図11(b)に示されるように、第3アウターハウジング45の切り込み45aは、後端面5fの内側(前側)に設けられている。切り込み45aは、把持部40の突起部42と前後方向に係合する被係合部である。切り込み45aは、第3アウターハウジング45の湾曲した内側面45bに沿って形成されている。切り込み45aは第3アウターハウジング45の2箇所に形成されており、2つの切り込み45aは第3アウターハウジング45の切り欠き部5cを両側から挟む位置に設けられている。また、各切り込み45aは、第3アウターハウジング45の側面5dから把持部40の回転方向に延びる溝状となっており、これらの2つの切り込み45aは把持部40の回転中心に対して対称となる位置に配置されている。
【0054】
次に、図12(a)及び図12(b)を参照して把持部40を第3アウターハウジング45に着脱させる方法について説明する。まず、把持部40を第3アウターハウジング45に係合させる方法について説明する。図12(a)に示されるように、突起部42が前方を向くように把持部40を配置し、把持部40によって横からブーツ6の一部を覆う。
【0055】
図12(b)に示されるように、突起部42を後方から切り欠き部5cに挿入する。そして、突起部42を切り欠き部5cに挿入した状態で把持部40を回転方向(例えば時計回り)に回転させることにより、突起部42が切り込み45aに入り込み、把持部40と第3アウターハウジング45とが前後方向に係合する。この状態で把持部40を前方に押すことにより第3アウターハウジング45を前方に移動させることができ、把持部40を後方に引くことにより第3アウターハウジング45を後方に移動させることが可能となる。
【0056】
また、把持部40を第3アウターハウジング45から外す方法は、把持部40を第3アウターハウジング45に係合させる方法の逆である。すなわち、把持部40を上記とは逆の回転方向(例えば反時計回り)に回転させて切り込み45aに対する突起部42の係合を解除し、把持部40を第3アウターハウジング45から後方に引くだけで第3アウターハウジング45から把持部40を外すことが可能となる。
【0057】
以上、第3実施形態に係る光コネクタ31では、把持部40を第3アウターハウジング45に対して前後方向に係合させることができる。この係合によって把持部40を第3アウターハウジング45に装着し、装着した把持部40を持って第3アウターハウジング45を簡単に前後方向に移動させることができる。また、第3アウターハウジング45の切り込み45aは、ブーツ6が入り込む切り欠き部5cの左右両側に設けられている。よって、第3アウターハウジング45に装着した把持部40をバランス良く押し引きすることができるので、光アダプタに対する光コネクタ31の着脱操作をよりスムーズに行うことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、多心用あるいは単心用の各種光コネクタにも幅広く適用できる。また、前述した各光コネクタは、現地において光ファイバコードに組み付けられる所謂現地付け型の光コネクタであってもよい。
【0059】
また、第1実施形態において、第1アウターハウジング4の後部には4個の爪部4aが設けられ、第1アウターハウジング4は、左側に上下一対の爪部4aを備えると共に、右側にも上下一対の爪部4aを備えていた。しかしながら、爪部4aの個数、配置態様及び形状については適宜変更可能である。また、第2アウターハウジング5のスリット5aの個数、配置態様及び形状についても適宜変更である。更に、爪部4aを備える第1アウターハウジング4、及びスリット5aを備える第2アウターハウジング5に代えて、スリットを備える第1アウターハウジング、及び爪部を備える第2アウターハウジングを用いてもよい。
【0060】
第3実施形態では、把持部40が2個の突起部42を備え、第3アウターハウジング45が2個の切り込み45aを備えており、突起部42及び切り込み45aは把持部40の回転中心に対して対称となる位置に配置されていた。しかしながら、突起部42及び切り込み45aの配置位置は上記に限定されず適宜変更可能であり、把持部40の形状も適宜変更可能である。また、把持部40が2個の切り込みを備え、第3アウターハウジング45が2個の突起部を備えていてもよい。
【0061】
また、第3実施形態に係る光コネクタ31は、アウターハウジング4,45に代えて、図7及び図8に示されるような一つのアウターハウジングを備えていてもよい。更に、第3実施形態に係る光コネクタ31では、切り欠き部5cを省略することも可能である。例えば、切り欠き部5cに代えて、後端面5fの厚みよりも肉薄とした肉薄部を備えていてもよい。また、切り欠き部5cを省略するとともに、把持部40を第3アウターハウジング45に押し込んで嵌め込む構造を採用してもよい。更に、切り欠き部5cを省略して、把持部40及び第3アウターハウジング45にネジ山を形成し、第3アウターハウジング45に把持部40をねじ込む構造を採用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,21,31…光コネクタ、2…フェルール、2a…拡張部、2b…前面、3…インナーハウジング、3a…拡張部、3b…係合穴(係合部)、3c…溝部、3d,3e…当接面、3f…後端、4…第1アウターハウジング、4a…爪部、4b…当接部、5…第2アウターハウジング、5a…スリット、5b…被当接部、5c,24c…切り欠き部、5d…側面、5e…段差部、5f…後端面、6…ブーツ、6a…貫通孔、7…コイルバネ、8…リアハウジング、8a…挿入部、8b…円筒部、8c…凹凸部、9…カシメリング、9a…大径部、9b…小径部、10,40…把持部、10a…延在部、10b…操作部、24…アウターハウジング、41…切り欠き部、42…突起部(係合部)、43…縮径部、44…拡径部、45…第3アウターハウジング(第2アウターハウジング)、45a…切り込み(被係合部)、45b…内側面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12