【解決手段】EUV光源装置1によれば、電磁波が連続的に空洞共振器10に対して供給されることにより、当該空洞共振器10に形成された定在波のエネルギーにより中空体20の内部にプラズマを発生させ、当該プラズマが放出するEUV光を空洞共振器10の外部へ放出させる。プラズマを構成する電子のラーモア半径またはラーモア周波数が、磁界方向に対して垂直な方向について中空体20のサイズ等の環境因子に応じて磁石300による磁界が調節または設定される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
(構成)
図1に示されている本発明の第1実施形態としてのEUV光源装置は、空洞共振器1と、中空体2と、電磁波供給装置10と、希ガス供給装置20と、一対の電磁石411および412と、一対の永久磁石421および422と、を備えている。説明の便宜上、図中右を「上」と表現し、図中左を「下」と表現する。
【0008】
空洞共振器1の下側にはチャンバCが連接されている。空洞共振器1の内部空間は、当該空洞共振器1の下端壁11によってチャンバCの内部空間と区画されている。ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプのうち少なくとも一方により構成される真空吸引装置Vにより、チャンバCの壁部に設けられている連通孔を通じてその内部空間が真空吸引される。
【0009】
チャンバCの内部空間には、EUV光源装置からチャンバCの内部空間に放射されるEUV光を集光するように構成されている光学系と、半導体ウエハを配置するステージと、ステージ上の半導体ウエハに転写させる回路パターンが描画されたマスク(レチクル)と、が収容されている(図示略)。光学系は、各EUV光源装置からのEUV光をマスク経由で半導体ウエハに照射するように構成されている。EUV光源装置は、当該ステージ、マスクおよび光学系とともに、半導体リソグラフィ装置を構成する。
【0010】
空洞共振器1(マイクロ波キャビティ)は、無酸素銅等の導電率が高い(電気抵抗値が低い)金属により形成され、略円柱状の内部空間を有している。空洞共振器1の内側表面は、Q値向上のためにメッキ処理および鏡面加工処理のうち少なくとも一方が施されていてもよい。側壁14の適当な箇所に結合孔142が穿設され、そこに導波管102が挿通され、電磁波供給装置10により導波管102を通じて空洞共振器1の内部空間に対して電磁波(たとえば周波数f=2.45[GHz])マイクロ波)が供給される。空洞共振器1は、内部空間の径および高さを含めて、電磁波供給装置10により当該内部空間に供給される電磁波の周波数fに応じて、TM010モードの定在波が形成されるように設計されている。TM010は、空洞共振器1の略円柱の内部空間における電場がその中心軸線付近において最大となるような共振モードである。電磁波供給装置10(マイクロ波発振器)としては、発信周波数の安定性の観点から適当なダイオードまたはトランジスタなどを用いたソリッドステート発振器が用いられることが好ましいが、マグネトロンまたはクライストロンが用いられてもよい。
【0011】
空洞共振器1の下端壁11の中央部に貫通孔112が穿設され、上端壁12の中央部に貫通孔122が穿設されている。
【0012】
空洞共振器1の下端壁11は複数の部材(たとえば上下一対の略円盤状の部材)により構成され、当該複数の部材のうち少なくとも1つに凹部または溝部が形成されている。当該複数の部材が下端壁11を構成するように組み合わせられた際に、当該凹部または溝部により画定される閉空間に下側の永久磁石421が収容されている。同様に、空洞共振器1の上端壁12は複数の部材は複数の部材により構成され、当該複数の部材のうち少なくとも1つに凹部または溝部が形成されている。当該複数の部材が上端壁を構成するように組み合わせられた際に、当該凹部または溝部により画定される閉空間に上側の永久磁石422が収容されている。
【0013】
EUV光源装置は、空洞共振器1の内部空間に蓄えることができる定在波エネルギーE
Qと関連付けられるQ値を最大化するための調整が可能に構成されている。空洞共振器1のチューニング(Q値調節)により、空洞共振器1に生じる電磁界(定在波)のエネルギーの増大または最大化が図られる。具体的には、マイクロ波が空洞共振器1に入射する手前に設置されたスタブチューナーによって空洞共振器1のQ値が調整される。空洞共振器1の側壁に穿設された開口を通じて金属製の針状、柱状または筒状の部材を空洞共振器1の内部空間に突出させ、当該突出量が調節される方法がQ値チューニング方法として採用されてもよい。空洞共振器1の上端壁12が側壁14に対して上下方向または軸線方向に動かされて空洞共振器1の内部空間の高さが調整されてもよい。
【0014】
Q値調節により、空洞共振器1の内部空間において、電磁波供給装置10により供給された電磁波と、当該電磁波が空洞共振器1の内壁面に反射して生じた反射波とが重なり合って共振することができる。その結果、空洞共振器1の内部空間には、そこに供給された電磁波に比してQ値に応じた分だけ振幅ひいてはエネルギーが増幅された定在波を生じさせることができる。
【0015】
中空体2は、耐熱ガラス(石英ガラス)、セラミックスまたはサファイヤなどの非磁性絶縁体により上端(一端)および下端(他端)が開いている略円筒状に形成されている。中空体2の内部空間の横断面形状として略円形のほか、略楕円形、略矩形、略六角形等の様々な形状が採用されうる。中空体2は、貫通孔112および122を通じて空洞共振器1の内部空間にその中心軸線に沿って延在している。中空体2の内部空間は空洞共振器1の内部空間に対して遮断されている一方、チャンバCの内部空間に対して下端を通じて連通し、希ガス供給装置20を構成する希ガス供給経路に対して上端を通じて連通している。
【0016】
一対の電磁石411および412は、空洞共振器1の下部および上部のそれぞれを略円筒状に囲むように配置されている。一対の永久磁石421および422は、空洞共振器1の下部および上部のそれぞれに配置されている。
【0017】
電磁石411および412ならびに永久磁石421および422により中空体2の内部に形成される磁界の方向は、当該中空体2の延在方向に対して平行である。磁界の強さは、中空体2の内部に存在する電子のラーモア半径が、当該中空体2の内径よりも小さくなるように、電磁石411および412を構成するコイルに流される電流が調節される。たとえば中空体2におけるプラズマの電子温度が20[eV]であり、かつ、磁束密度Bが0.1[T]に調節されている場合、ラーモア半径rは1.51×10
-5[m]となって中空体2の内径1〜3×10
-3[m]よりも著しく小さいことがわかる。電子のラーモア半径rは、中空体2の内径(磁界方向に対して垂直な方向のサイズ)よりも1/10以下程度であって、電子と中空体2との衝突による電子温度の低下を防止する観点から十分に小さい。ここでは、プラズマを構成する電子の有効質量が自由電子の有効質量に等しいと仮定している。
【0018】
プラズマを構成する陽イオンの質量は、電子の質量と比較して著しく大きいので、当該磁場によって旋回運動速度成分は無視されうる。なお、電磁石411および412ならびに永久磁石421および422のうち一部が省略されてもよい。
【0019】
(機能)
前記構成のEUV光源装置によれば、希ガス供給装置20から中空体2の内部空間に対してXeガスまたはNeガスなどの希ガスが供給される。希ガスの供給気圧Pは、たとえば手動または電動式の流量調節弁を用いて10〜40[Pa]、好ましくは10〜30[Pa]、より好ましくは15〜25[Pa]の範囲に含まれるように制御される。
【0020】
空洞共振器1の内部空間に対して電磁波供給装置10からマイクロ波が連続的に供給されることにより、空洞共振器1の内部空間にTM010モードの定在波(電磁界)が連続的に形成される。これにより、EUV光を放射可能な範囲(たとえば20〜50[eV])に含まれる電子温度を有するプラズマを発生させるために必要なエネルギーを、定在波から空洞共振器1の内部空間に延在する中空体2に存在する希ガスに吸収させることができる。
【0021】
ただし、中空体2の内部空間の全部においてプラズマが発生するのではなく、空洞共振器1の内部空間に含まれている部分でのみプラズマが発生する。すなわち、中空体2のうち空洞共振器1の窓111に嵌め込まれているまたは挿通されている部分における内部空間にXeガス等の希ガスが存在していても、ここにはプラズマは発生せず、発生したプラズマが流れ込んでくることもほとんどない。
【0022】
(作用効果)
第1実施形態のEUV光源装置によれば、空洞共振器1の内部空間に電磁波が供給されることにより生成された定在波のエネルギーを、中空体2の内部空間に存在する希ガスに吸収させることができる。これにより、希ガス由来のプラズマを発生させるとともに、EUV光を放出する観点からプラズマの電子温度(エネルギー)E
Qを十分に上昇させることができる。そして、空洞共振器1の下端壁11の貫通孔112を通じてこのEUV光をチャンバCの内部空間(空洞共振器1の外部空間)に放出させることができる。
【0023】
磁石411、412、421および422によって中空体2の内部空間に形成される磁界により、プラズマを構成する電子を、中空体2の内径よりも著しく小さい旋回半径(ラーモア半径)で旋回させることができる。そのため、電子が中空体2の内壁に衝突する頻度の低下が図られ、当該衝突に由来するプラズマの電子温度の低下が抑制される。これにより、プラズマによるEUV発光強度の十分な上昇が図られる。加えて、プラズマを構成する電子の衝突に伴う中空体2の温度上昇が抑制される。
【0024】
EUV光源装置にはターゲット物質および電極が用いられていない。このため、回路パターンの形成を阻害するデブリをほとんど発生することがなく、プラズマの発生による光からウエハに高集積化した回路(微細化した回路)を形成するのに最適な短波長の光成分(EUV光成分)を下側貫通孔112からチャンバCの内部空間に放出し、当該チャンバCの内部空間に接地されている半導体ウエハに対してに照射することができる。
【0025】
(第2実施形態)
(構成)
図2に示されている本発明の第2実施形態としてのEUV光源装置に関して、
図1に示されている本発明の第1実施形態としてのEUV光源装置と比較して相違する構成について説明し、共通する構成については同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0026】
空洞共振器1の上端壁12には貫通孔が設けられていない。空洞共振器1の下端壁11の内部には水または空気などの冷却媒体が流される略円形状の冷却媒体経路C0が形成されている。
図3に示されているように冷却媒体経路C0は導入口C01および導出口C02のそれぞれを通じて外部に連通している。冷却媒体は導入口C01を通じて冷却媒体経路C0に導入され、導出口C02を通じて冷却媒体経路C0から導出される。
【0027】
中空体2は、耐熱ガラス(石英ガラス)、セラミックスまたはサファイヤなどの非磁性絶縁体により上端(一端)が閉じている一方で下端(他端)が開いている略円筒状に形成されている。中空体2は、下側貫通孔112を通じて空洞共振器1の内部空間に延在している。中空体2の内部空間は空洞共振器1の内部空間に対して遮断されている一方、チャンバCの内部空間(空洞共振器1の外部空間)に対して下端を通じて連通している。中空体2はその下端から径方向外側に張り出している略円環状の拡径部22を有している。
【0028】
希ガス供給装置20はチャンバCの内部空間に対して希ガスを供給することにより、中空体2の下端からその内部空間に対して希ガスを供給する。
【0029】
中空体2の下端部は空洞共振器1の下側貫通孔112に嵌め込まれている。中空体2はその中腹部において、下側貫通孔112の上側段差箇所に配置されているシールリング212(O−リング)に対して全周にわたり密接している。これにより、冷却媒体経路C0と空洞共振器1の内部空間とが遮断されている。拡径部22の下側において、下側貫通孔112の下側段差箇所に配置されているシールリング222(O−リング)に対して全周にわたり密接している。これにより、冷却媒体経路C0とチャンバCの内部空間とが遮断されている。
【0030】
(作用効果)
第2実施形態のEUV光源装置によれば、第1実施形態のEUV光源装置と同様に、磁石411、412、421および422の磁界によって、中空体2の内部おいて発生するプラズマによるEUV発光強度の十分な上昇が図られる。加えて、プラズマを構成する電子の衝突に伴う中空体2の温度上昇が抑制される。さらに、冷却媒体経路C0を流れる水などの冷却媒体によって、中空体2の下端部が冷却されるので、その温度上昇のさらなる抑制が図られる。
【0031】
(第3実施形態)
(構成)
図4に示されている本発明の第3実施形態としてのEUV光源装置に関して、
図2に示されている本発明の第2実施形態としてのEUV光源装置と比較して相違する構成について説明し、共通する構成については同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0032】
中空体2の下端側は、空洞共振器1の内部空間の外側(下側)に向かうにつれて徐々に拡径する略円錐台側面状の第1拡径部21と、第1拡径部21の下端に連接され、径方向外側に張り出している略円環状の第2拡径部22と、を有している。
【0033】
中空体2の下端部は空洞共振器1の下側貫通孔112に嵌め込まれている。第1拡径部21の上端部において、下側貫通孔112の上側段差箇所に配置されているシールリング212(O−リング)に対して全周にわたり密接している。これにより、冷却媒体経路C0と空洞共振器1の内部空間とが遮断されている。第2拡径部22の下側において、下側貫通孔112の下側段差箇所に配置されているシールリング222(O−リング)に対して全周にわたり密接している。これにより、冷却媒体経路C0とチャンバCの内部空間とが遮断されている。
【0034】
中空体2の延在方向軸線または中心軸線に対する第1拡径部21の開き角度θがたとえば45°に設計されている。中空体2の下端部におけるEUV光の放射立体角Ωが第1拡径部21の角度θに応じてΩ=2π(1−cosθ)と定義される。たとえばθ=45°であり、d=20[mm]である場合、EUV光の立体放射角Ωは1.84[sr]となる。中空体2の内部空間の軸線方向に垂直な断面の面積Sを用いてEUV光源のエタンデュEはΩ×Sと定義される。このため、θが45°であり、かつ、円筒状の中空体2の内径が1[mm]である場合、E=π×0.5
2[mm
2]×1.84[sr]=1.44[mm
2・sr]と計算される。
【0035】
(作用効果)
第3実施形態のEUV光源装置によれば、第2実施形態のEUV光源装置と同様に、中空体2の内部おいて発生するプラズマによるEUV発光強度の十分な上昇が図られ、かつ、中空体2の温度上昇が抑制される。さらに、中空体2の内部空間に生じたプラズマから発せられたEUV光が、中空体2および中間部材15などにより遮られる程度が軽減されるので、チャンバ50の内部空間へのEUV光の放射効率の向上が図られる。
【0036】
(第4実施形態)
(構成)
図5に示されている本発明の第4実施形態としてのEUV光源装置に関して、
図1に示されている本発明の第1実施形態としてのEUV光源装置と比較して相違する構成について説明し、共通する構成については同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0037】
空洞共振器1の下側のみならず上側からもEUV光が放出されるように、EUV光源装置が空洞共振器1の上下について略対称に構成されている。
図5では下側の構成に対して対称な上側の構成には同一符号に「’」を付している。下側のチャンバCおよび上側のチャンバC’が連通している場合、上側の希ガス供給装置20’、および真空吸引装置V’は省略されてもよい。
【0038】
(作用効果)
第4実施形態のEUV光源装置によれば、第1実施形態のEUV光源装置と同様に、中空体2の内部おいて発生するプラズマによるEUV発光強度の十分な上昇が図られ、かつ、中空体2の温度上昇が抑制される。さらに、中空体2の下端部および上端部のそれぞれからEUV光が別個のチャンバCおよびC’のそれぞれの内部空間に対して放射される。すなわち、空洞共振器1の下側のみならず上側からもその外部空間に対してEUV光が放出される。
【0039】
したがって、各チャンバCおよびC’に収容されている光学系が、中空体2の両端部から放出されたEUV光が当該各チャンバに収容されているウエハに照射されるように構成されることにより、EUV光によるフォトリソグラフィの処理効率の向上が図られる。
【0040】
(第5実施形態)
(構成)
図6に示されている本発明の第5実施形態としてのEUV光源装置に関して、
図2に示されている本発明の第2実施形態としてのEUV光源装置と比較して相違する構成について説明し、共通する構成については同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0041】
空洞共振器1の下側のみならず上側からもEUV光が放出されるように、EUV光源装置が空洞共振器1の上下について略対称に構成されている。
図6では下側の構成に対して対称な上側の構成には同一符号に「’」を付している。下側のチャンバCおよび上側のチャンバC’が連通している場合、上側の希ガス供給装置20’、および真空吸引装置V’は省略されてもよい。
【0042】
(作用効果)
第5実施形態のEUV光源装置によれば、第2実施形態のEUV光源装置と同様に、下側中空体2および上側中空体2’のそれぞれの内部空間において発生するプラズマによるEUV発光強度の十分な上昇が図られ、かつ、下側中空体2および上側中空体2’のそれぞれの温度上昇が抑制される。さらに、一対の中空体2および2’のそれぞれからEUV光が各チャンバC、C’の内部空間に対して放射される。
【0043】
したがって、第4実施形態と同様に、各チャンバC、C’に収容されている光学系が、下側中空体2の下端部および上側中空体2’の上端部のそれぞれから放出されたEUV光が当該各チャンバC、C’に収容されているウエハに照射されるように構成されることにより、EUV光によるフォトリソグラフィの処理効率の向上が図られる。
【0044】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態において、電磁波の最低次の共振モード(TM010モード)に合わせて空洞共振器1の形状(円筒形状)および側壁14の内径を含む寸法が設計されていた。電磁波の最低次の共振モードとして他のモードが採用され、当該採用モードに合わせて角筒状の空洞共振器等、空洞共振器の形状および寸法が様々な形態で設計されてもよい。たとえば、空洞共振器1の内壁(たとえば上端壁12の中央部)にリッジが設けられてもよい。導波管102が挿通される接続孔112の位置および個数が変更されてもよい。
【0045】
前記のように中空体2は空洞共振器1の中心軸線に沿って延在しており、当該中空体2の内部に発生したプラズマを構成する電子が当該中心軸線と略平行の軸線回りにラーモア運動する。このことに鑑みて、プラズマを構成する電子のラーモア周波数(サイクロトロン周波数)と、マイクロ波の周波数とを一致させることにより、当該電子をマイクロ波と共鳴させて加熱させるような磁界が形成されるように、磁石411、412、421および422が構成されている。マイクロ波周波数が2.45[GHz]である場合、磁束密度Bが0.0875[T]に調節される。磁束密度が0.0850[T]である一対の永久磁石421および422が用いられる場合、0.01[T]程度の磁束密度を形成可能な一対の電磁石411および412の電流値が調節されることにより、電子のラーモア周波数と、マイクロ波の周波数とを一致させることが可能となる。
【0046】
さらに、空洞共振器1に形成される定在波のモードとして、中空体2の内部に当該中空体2の延在方向軸線回りの回転電場が形成されるようなTE11sモード(s=1,2‥)等のモードが採用されることが好ましい。当該モードによれば、中空体2の内部空間においてその外部空間の少なくとも一部より強い電場が形成される。
【0047】
これにより、中空体2の内部空間でラーモア運動またはサイクロトロン運動している電子を、空洞共振器1に形成された定在波の電界成分により効率的に加速させることができる。すなわち、中空体2の内部空間に存在する電子に、空洞共振器1に形成された定在波のエネルギーを効率的に吸収させることができる。その結果、当該プラズマによるEUV発光効率のさらなる向上が図られる。
【0048】
第1および第4実施形態において、第2および第5実施形態と同様に空洞共振器1の下端壁11(または下端壁11および上端壁12のそれぞれ)に冷却媒体経路C0が形成されてもよい。これにより、冷却媒体経路C0を流通する水などの冷却媒体によって中空体2の下端部(または下端部および上端部)の冷却が図られる。第1、第4および第5実施形態において、第3実施形態と同様に中空体2の形状等が変更されることにより、EUV光のチャンバC(またはCおよびC’)の内部空間に対する放射効率の向上が図られてもよい。