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特開2016-63215電子部品用コア及びこれを含む電子部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-63215(P2016-63215A)
(43)【公開日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】電子部品用コア及びこれを含む電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/06 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
   H01F17/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-151237(P2015-151237)
(22)【出願日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0124815
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン、サン キュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュン ミ
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジュン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジョン スク
(72)【発明者】
【氏名】アーン、キュン ハン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB07
5E070BA15
5E070BB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、電子部品用コア及びこれを含む電子部品に関する。
【解決手段】本発明は、電子部品用コアを提供する。このコアは、同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙を有する開放された図形の形状を有するコア部と、コア部の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙を覆う上部面遮蔽層と、上部面に対向する下部面の一部と空隙を覆う下部面遮蔽層と、を有する遮蔽部と、を含む。遮蔽部は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する物質を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙を有する開放された図形の形状を有するコア部と、
前記コア部の前記内周面及び前記外周面を連結する第1面の一部と前記空隙を覆う第1遮蔽層と、前記第1面に対向する第2面の一部と前記空隙を覆う第2遮蔽層と、を有する遮蔽部と、を含み、
前記遮蔽部は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する物質を含む、電子部品用コア。
【請求項2】
前記コア部は、非晶質合金軟磁性物質又はナノ結晶粒軟磁性物質を含む、請求項1に記載の電子部品用コア。
【請求項3】
前記コア部は、円形又は多角形の形状を有する、請求項1または2に記載の電子部品用コア。
【請求項4】
前記第1遮蔽層は、前記第1面の残りの部分をさらに覆う、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項5】
前記第2遮蔽層は、前記第2面の残りの部分をさらに覆う、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項6】
前記遮蔽部は、
前記コア部の前記内周面の少なくとも一部と前記空隙を覆う第3遮蔽層と、
前記コア部の前記外周面の少なくとも一部と前記空隙を覆う第4遮蔽層と、をさらに有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項7】
前記遮蔽部は、軟磁性物質を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項8】
前記コア部の一部が切断された前記空隙による前記コア部の離隔距離は、0.1mm以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項9】
同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙を有する開放された図形の形状を有するコア部と、
前記コア部の前記空隙の一部を露出する第1開口部を有し、且つ前記第1開口部に隣接する前記内周面と前記外周面を連結する第1面の一部を覆う第1遮蔽層と、前記空隙の一部を露出する第2開口部を有し、且つ前記第2開口部に隣接するとともに前記第1面に対向する第2面の一部を覆う第2遮蔽層と、を有する遮蔽部と、を含む、電子部品用コア。
【請求項10】
前記遮蔽部は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する物質を含む、請求項9に記載の電子部品用コア。
【請求項11】
前記コア部は、非晶質合金軟磁性物質又はナノ結晶粒軟磁性物質を含む、請求項9または10に記載の電子部品用コア。
【請求項12】
前記コア部は、円形又は多角形の形状を有する、請求項9から11のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項13】
前記第1遮蔽層は、前記第1面の残りの部分をさらに覆う、請求項9から12のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項14】
前記第2遮蔽層は、前記第2面の残りの部分をさらに覆う、請求項9から13のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項15】
前記遮蔽部は、
前記コア部の前記内周面の少なくとも一部と前記空隙を覆う第3遮蔽層と、
前記コア部の前記外周面の少なくとも一部と前記空隙を覆う第4遮蔽層と、をさらに有する、請求項9から14のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項16】
前記遮蔽部は、前記空隙の表面積の20〜80%を露出する、請求項15に記載の電子部品用コア。
【請求項17】
前記遮蔽部は、
前記空隙の一部を露出するとともに前記コア部の前記内周面の少なくとも一部を覆う第3遮蔽層と、
前記空隙の一部を露出するとともに前記コア部の前記外周面の少なくとも一部を覆う第4遮蔽層と、をさらに有する、請求項9から14のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項18】
前記遮蔽部は、前記空隙の表面積の20〜80%を露出する、請求項17に記載の電子部品用コア。
【請求項19】
前記遮蔽部は、軟磁性物質を含む、請求項9から18のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項20】
前記コア部の一部が切断された前記空隙による前記コア部の離隔距離は、0.1mm以上である、請求項9から19のいずれか1項に記載の電子部品用コア。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の電子部品用コアを含む、電子部品。
【請求項22】
前記電子部品は、変圧器、モータ又はインダクタである、請求項21に記載の電子部品。
【請求項23】
前記電子部品は、50〜300kHzの範囲の周波数帯域で使用される、請求項21または22に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用コア及びこれを含む電子部品に関し、より具体的には、高周波数帯域で使用される電子部品用コア及びこれを含む電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の通信装置又は表示装置などの情報通信技術(Information Technology:IT)装置の小型化及び薄型化が加速している。したがって、かかる情報通信技術装置に採用される変圧器(transformer)、インダクタ(inductor)、キャパシタ(capacitor)、トランジスタ(transistor)などの各種の電子部品を小型化及び薄型化するための研究が継続して行われている。
【0003】
かかる電子部品、特に、変圧器、インダクタなどに含まれたコア(core)は、軟磁性(soft magnet)の特性を有する物質からなっている。軟磁性の特性を有する物質としては、変圧器の小型化のための高周波数駆動のために、フェライト(ferrite)物質が使用されるが、フェライト物質で形成されたコアは、飽和磁束密度(saturated magnetic flux density)が低くて1A以上の高電流で磁気的特性を発現することができない。しかし、変圧器の小型化のためには印加電流が大きくならなければならないため、フェライト物質によりコアを小型化するには限界がある。
【0004】
したがって、近年、飽和磁束密度の高い金属系軟磁性物質を使用しようとしている。しかし、パーマロイ(permalloy)又は電気鋼板(electrical sheet)などの既存の材料は、50〜300kHzの範囲の高周波数帯域でコアロス(core loss)が大きく、また、コアに空隙(air gap)を形成する場合、透磁率(magnetic permeability)が低くなるため、高周波数帯域で使用される電子部品のコアとしての使用に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、高周波数帯域で使用される電子部品用コアを提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、高周波数帯域で使用される電子部品を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、以上に言及した課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、当業者が、以下の記載から明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を達成するために、本発明は、電子部品用コアを提供する。このコアは、同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙を有する開放された図形の形状を有するコア部と、コア部の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙を覆う上部面遮蔽層と、上部面に対向する下部面の一部と空隙を覆う下部面遮蔽層と、を有する遮蔽部と、を含むことができる。遮蔽部は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する物質を含むことができる。
【0009】
コア部は、非晶質合金軟磁性物質又はナノ結晶粒軟磁性物質を含むことができる。コア部は、円形又は多角形の形状を有することができる。
【0010】
上部面遮蔽層は、上部面の残りの部分をさらに覆うことができる。下部面遮蔽層は、下部面の残りの部分をさらに覆うことができる。遮蔽部は、コア部の内周面の少なくとも一部と空隙を覆う内周面遮蔽層と、コア部の外周面の少なくとも一部と空隙を覆う外周面遮蔽層と、をさらに有することができる。遮蔽部は、軟磁性物質を含むことができる。
【0011】
コア部の一部が切断された空隙によるコア部の離隔距離は、0.1mm以上であることができる。
【0012】
また、上述した課題を達成するために、本発明は、他の電子部品用コアを提供する。このコアは、同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙を有する開放された図形の形状を有するコア部と、コア部の空隙の一部を露出する上部面開口部を有し、且つ上部面開口部に隣接する内周面と外周面を連結する上部面の一部を覆う上部面遮蔽層と、空隙の一部を露出する下部面開口部を有し、且つ下部面開口部に隣接するとともに上部面に対向する下部面の一部を覆う下部面遮蔽層と、を有する遮蔽部と、を含むことができる。遮蔽部は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する物質を含むことができる。
【0013】
コア部は、非晶質合金軟磁性物質又はナノ結晶粒軟磁性物質を含むことができる。コア部は、円形又は多角形の形状を有することができる。
【0014】
上部面遮蔽層は、上部面の残りの部分をさらに覆うことができる。下部面遮蔽層は、下部面の残りの部分をさらに覆うことができる。遮蔽部は、コア部の内周面の少なくとも一部と空隙を覆う内周面遮蔽層と、コア部の外周面の少なくとも一部と空隙を覆う外周面遮蔽層と、をさらに有することができる。遮蔽部は、空隙の一部を露出するとともにコア部の内周面の少なくとも一部を覆う内周面遮蔽層と、空隙の一部を露出するとともにコア部の外周面の少なくとも一部を覆う外周面遮蔽層と、をさらに有することができる。遮蔽部は、空隙の表面積の20〜80%を露出することができる。遮蔽部は、軟磁性物質を含むことができる。
【0015】
コア部の一部が切断された空隙によるコア部の離隔距離は、0.1mm以上であることができる。
【0016】
さらに、上述した他の課題を達成するために、本発明は、電子部品を提供する。この電子部品は、上述した電子部品用コアのいずれか一つを含むことができる。
【0017】
電子部品は、変圧器、モータ又はインダクタであることができる。
【0018】
電子部品は、50〜300kHzの範囲の周波数帯域で使用されることができる。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明の課題を解決するための手段によれば、電子部品用コアが、コア部の空隙の一部又は全体を覆う1〜2,000の範囲の低い透磁率を有する遮蔽部を含むことにより、向上した透磁率及び良好な周波数特性を有することができる。これにより、高周波数帯域で使用される電子部品用コアが提供されることができる。
【0020】
また、本発明の課題を解決するための手段によれば、電子部品が、高周波数帯域で使用されることができる電子部品用コアを含むことにより、小型化及び薄型化を図ることができる。これにより、高周波数帯域で使用されることができる情報通信技術装置の小型化及び薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】本発明の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図1b】本発明の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図1c図1bのI‐I´線に沿って切断した側部断面図である。
図2a】本発明の他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図2b】本発明の他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図2c図2bのII‐II´線に沿って切断した側部断面図である。
図3a】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図3b】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図3c図3bのIII‐III´線に沿って切断した側部断面図である。
図4a】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図4b】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図4c図4bのIV‐IV´線に沿って切断した側部断面図である。
図5a】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図5b】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図5c図5bのV‐V´線に沿って切断した側部断面図である。
図6a】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図6b】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図6c図6bのVI‐VI´線に沿って切断した側部断面図である。
図7a】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図である。
図7b】本発明のさらに他の実施形態による電子部品用コアを説明するための上部平面図である。
図7c図7bのVII‐VII´線に沿って切断した側部断面図である。
図8】本発明の実施形態による電子部品用コアの周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点及び特徴、またそれらを達成する方法は、添付の図面とともに以下で詳述している実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、ここで説明している実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる形態に具体化されることもある。むしろ、ここで述べられる実施形態は、開示された内容が徹底的で完全になることができるように、また、当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0023】
明細書の全文にわたり同一の参照符号は同一の構成要素を指す。したがって、同一の参照符号又は類似の参照符号は、該当する図面で言及又は説明されていなくても、他の図面を参照して説明できる。また、参照符号が示されていなくても、他の図面を参照して説明できる。
【0024】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。本明細書において、単数型は文章で特に言及しない限り複数型をも含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/又は素子の存在又は追加を排除しない。また、好ましい実施形態によるものであることから、説明の順序に沿って提示される参照符号は、その順序が必ずしも限定されない。さらに、本明細書において、ある膜が他の膜又は基板上に存在すると言及される場合、それは、他の膜又は基板上に直接形成されるか又はそれらの間に第3の膜が介在されることもあることを意味する。
【0025】
一つの構成要素(element)が他の構成要素と「接続した(connected to)」又は「結合した(coupled to)」と示すことは、他の構成要素と直接連結又は結合した場合、もしくは中間に他の構成要素を介在した場合をすべて含む。一方、一つの構成要素が他の構成要素と「直接接続した(directly connected to)」又は「直接結合した(directly coupled to)」と示すことは、中間に他の構成要素を介在していないことを示す。「及び/又は」は、言及したアイテム(item)のそれぞれ及び一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0026】
空間的に相対的な用語である「より下に(below)」、「の下に(beneath)」、「下部(lower)」、「より上に(above)」、「上部(upper)」などは、図面に図示されているように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使用されることができる。空間的に相対的な用語は、図面に図示されている方向に加えて使用する際又は動作する際に、素子の互いに異なる方向を含む用語として理解すべきである。例えば、図面に図示されている素子を覆す場合、他の素子「より下に(below)」又は「の下に(beneath)」と記述された素子は、他の素子「より上に(above)」に配置されることもある。したがって、例示的な用語である「下」は、下と上の方向をすべて含むことができる。素子は、他の方向にも配向されることがあり、これによって空間的に相対的な用語は配向に応じて解釈されることができる。
【0027】
また、本明細書で記述している実施形態は、本発明の理想的な例示図である断面図及び/又は平面図を参照して説明している。図面において、膜及び領域の厚さは、技術的内容を効果的に説明するために誇張されたものである。したがって、製造技術及び/又は許容誤差などによって例示図の形態が変形されることがある。したがって、本発明の実施形態は、図示された特定の形態に制限されるものではなく、製造工程によって生成される形態の変化も含むものである。例えば、直角に図示された食刻領域は、ラウンド状(rounded)又は所定の曲率を有する形状であってもよい。したがって、図面に例示された領域は概略的な属性を有し、図面に例示された領域の形状は素子の領域の特定の形態を例示するためのものであって、発明の範疇を制限するためのものではない。
【0028】
図1a及び図1bは、それぞれ本発明の実施形態による電子部品用コアを説明するための立体図及び上部平面図であり、また、図1cは図1bのI‐I´線に沿って切断した側部断面図である。
【0029】
図1a〜図1cを参照すると、電子部品用コア100は、空隙112を有するコア部110と、コア部110の空隙112とこれに隣接する上部面の一部及び下部面の一部を覆う遮蔽部125と、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア100の周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125は、コア部110の空隙112を塞いで電子部品用コア100の透磁率を向上させる。
【0030】
コア部110は、同心の内周面及び外周面を有し、且つ一部が切断されて空隙112を有する開放された図形の形状を有することができる。すなわち、コア部110は、環状(toroidal)コアの形状を有することができる。本発明の実施形態によるコア部110は、円形状に図示されているが、これに限定されるものではない。したがって、コア部110は、円形又は多角形の形状を有してもよい。コア部110は、非晶質合金(amorphous alloy)軟磁性物質又はナノ結晶粒(nano‐crystalline)軟磁性物質を含むことができる。
【0031】
遮蔽部125は、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙112を同時に覆う上部面遮蔽層122と、コア部110の上部面に対向する下部面の一部と空隙112を同時に覆う下部面遮蔽層124と、を有することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122及び下部面遮蔽層124は、コア部110の形状に応じて扇形の形状を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122及び下部面遮蔽層124は、コア部110の空隙112を完全に覆う形態の他の図形の形状を有してもよい。
【0032】
遮蔽部125、すなわち、上部面遮蔽層122及び下部面遮蔽層124は、1〜2,000の範囲の透磁率を有する軟磁性物質を含むことができる。したがって、本発明の実施形態による電子部品用コア100は、遮蔽部125として高い透磁率を有する物質を使用する場合に比べて透磁率は低く向上したが、高周波数帯域での特性は向上することができる。
【0033】
また、コア部110の一部が切断された空隙112によるコア部110の離隔距離は、0.1mm以上であることができる。通常、コア部110の空隙112の大きさに応じて電子部品用コア100の透磁率の減少幅が決定されるため、コア部110の空隙112の大きさが大きくなるほど漏れ磁束が増加して、微細なコア部110の空隙112を形成する技術が必要となる。しかし、コア部110の空隙112によるコア部110の離隔距離が0.1mm以下である場合、離隔距離による電子部品用コア100の透磁率変化が大きく、微細に加工することが難しい。したがって、本発明の実施形態による電子部品用コア100は、透磁率を高めるために空隙の幅を0.1mm以下に作製する従来技術に比べて精密性がそれほど要求されないことから、容易に量産することができる。
【0034】
図示されてはいないが、コイル(coil)が、環状コアの形状を有するコア部110の内周面によって定義される孔を介して電子部品用コア100に巻かれることができる。したがって、コイルを含む電子部品用コア100が、電子部品に適用されることができる。電子部品は、変圧器、モータ(motor)又はインダクタなどであってもよく、これに限定されるものではない。したがって、本発明の実施形態による電子部品用コア100は、高周波数帯域である50〜300kHzの範囲の周波数帯域で使用される様々な電子部品に適用されることができる。
【0035】
以下、図2a〜図7cを参照して、本発明の他の実施形態による電子部品用コアについて説明する。図2a、図3a、図4a、図5a、図6a及び図7aは、本発明の他の実施形態それぞれによる電子部品用コアの立体図であり、図2b、図3b、図4b、図5b、図6b及び図7bは、本発明の他の実施形態それぞれによる電子部品用コアの上部平面図であり、また、図2c、図3c、図4c、図5c、図6c及び図7cは、それぞれ図2bのII‐II´線、図3bのIII‐III´線、図4bのIV‐IV´線、図5bのV‐V´線、図6bのVI‐VI´線及び図7bのVII‐VII´線に沿って切断した側部断面図である。上述した本発明の実施形態を参照して説明した構成要素は、同じ参照符号を使用し、それに関する説明は省略する。
【0036】
図2a〜図2cを参照すると、電子部品用コア100aは、空隙112を有するコア部110と、コア部110の空隙112とこれに隣接する上部面の一部、下部面の一部、内周面の一部及び外周面の一部を覆う遮蔽部125と、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア100aの周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125は、コア部110の空隙112を塞いで電子部品用コア100aの透磁率を向上させる。
【0037】
遮蔽部125は、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙112を同時に覆う上部面遮蔽層122と、コア部110の上部面に対向する下部面の一部と空隙112を同時に覆う下部面遮蔽層124と、コア部110の内周面の一部と空隙112を同時に覆う内周面遮蔽層126と、コア部110の外周面の一部と空隙112を同時に覆う外周面遮蔽層128と、を有することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122及び下部面遮蔽層124は、コア部110の形状に応じて扇形の形状を有するものであり、また、内周面遮蔽層126及び外周面遮蔽層128は、コア部110の形状に応じて円弧状の形状を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122、下部面遮蔽層124、内周面遮蔽層126及び外周面遮蔽層128は、コア部110の空隙112を完全に覆う形態の他の図形の形状を有してもよい。
【0038】
図3a〜図3cを参照すると、電子部品用コア100bは、空隙112を有するコア部110と、コア部110の上部面の全面と空隙112及び下部面の全面と空隙112を覆う遮蔽部125aと、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア100bの周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125aは、コア部110の空隙112を塞いで電子部品用コア100bの透磁率を向上させる。
【0039】
遮蔽部125aは、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の全面と空隙112を同時に覆う上部面遮蔽層122aと、コア部110の上部面に対向する下部面の全面と空隙112を同時に覆う下部面遮蔽層124aと、を有することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122a及び下部面遮蔽層124aは、コア部110の形状に応じて環状の形状を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122a及び下部面遮蔽層124aは、コア部110の空隙112を完全に覆う形状を有し、且つ少なくともコア部110の内周面によって定義される孔を覆わない他の閉鎖された図形の形状を有してもよい。
【0040】
図示されてはいないが、電子部品用コア100bは、コア部110の内周面の少なくとも一部と空隙112を覆う内周面遮蔽層(図2aの126参照)及び外周面の少なくとも一部と空隙112を覆う外周面遮蔽層(図2aの128参照)をさらに含むことができる。
【0041】
図4a〜図4cを参照すると、電子部品用コア200は、空隙112を有するコア部110と、コア部110の空隙112の一部とこれに隣接する上部面の一部及び下部面の一部を覆う遮蔽部125bと、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア200の周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の一部を塞いで電子部品用コア200の透磁率を向上させる。
【0042】
遮蔽部125bは、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う上部面遮蔽層122bと、コア部110の上部面に対向する下部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う下部面遮蔽層124bと、を有することができる。すなわち、上部面遮蔽層122bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する上部面開口部121を有することで、コア部110の空隙112の一部を上部面の方向に露出する形態であり、また、下部面遮蔽層124bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する下部面開口部123を有することで、コア部110の空隙112の一部を下部面の方向に露出する形態であることができる。遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の表面積の20〜80%を露出することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122b及び下部面遮蔽層124bは、コア部110の形状に応じて扇形の形状を有する離隔した二つのパターン(pattern)からなる形態を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122及び下部面遮蔽層124は、コア部110の空隙112の一部を露出する形態の他の図形の形状を有してもよい。
【0043】
図5a〜図5cを参照すると、電子部品用コア200aは、空隙112を有するコア部110と、コア部110の空隙112の一部とこれに隣接する上部面の一部、下部面の一部、内周面の一部及び外周面の一部を覆う遮蔽部125bと、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア200aの周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の一部を塞いで電子部品用コア200aの透磁率を向上させる。
【0044】
遮蔽部125bは、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う上部面遮蔽層122bと、コア部110の上部面に対向する下部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う下部面遮蔽層124bと、コア部110の内周面の一部と空隙112を同時に覆う内周面遮蔽層126bと、コア部110の外周面の一部と空隙112を同時に覆う外周面遮蔽層128bと、を有することができる。すなわち、上部面遮蔽層122bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する上部面開口部121を有することで、コア部110の空隙112の一部を上部面の方向に露出する形態であり、また、下部面遮蔽層124bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する下部面開口部123を有することで、コア部110の空隙112の一部を下部面の方向に露出する形態であることができる。また、内周面遮蔽層126bは、コア部110の空隙112を内周面の方向に覆う形態であり、また、外周面遮蔽層128bは、コア部110の空隙112を外周面の方向に覆う形態であることができる。遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の表面積の20〜80%を露出することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122b及び下部面遮蔽層124bは、コア部110の形状に応じて扇形の形状を有する離隔した二つのパターンからなる形態を有するものであり、また、内周面遮蔽層126b及び外周面遮蔽層128bは、コア部110の形状に応じて円弧状の形状を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122b及び下部面遮蔽層124bは、コア部110の空隙112の一部を露出する形態、また、内周面遮蔽層126b及び外周面遮蔽層128bは、コア部110の空隙112を完全に覆う形態の他の図形の形状を有してもよい。
【0045】
図6a〜図6cを参照すると、電子部品用コア200bは、空隙112を有するコア部110と、コア部110の空隙112の一部とこれに隣接する上部面の一部、下部面の一部、内周面の一部及び外周面の一部を覆う遮蔽部125bと、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア200bの周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の一部を塞いで電子部品用コア200bの透磁率を向上させる。
【0046】
遮蔽部125bは、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う上部面遮蔽層122bと、コア部110の上部面に対向する下部面の一部と空隙112の一部を同時に覆う下部面遮蔽層124bと、コア部110の内周面の一部と空隙112の一部を同時に覆う内周面遮蔽層126cと、コア部110の外周面の一部と空隙112の一部を同時に覆う外周面遮蔽層128cと、を有することができる。すなわち、上部面遮蔽層122bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する上部面開口部121を有することで、コア部110の空隙112の一部を上部面の方向に露出する形態であり、また、下部面遮蔽層124bは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する下部面開口部123を有することで、コア部110の空隙112の一部を下部面の方向に露出する形態であることができる。また、内周面遮蔽層126cは、コア部110の空隙112の一部を内周面の方向に露出する形態であり、また、外周面遮蔽層128cは、コア部110の空隙112の一部を外周面の方向に露出する形態であることができる。遮蔽部125bは、コア部110の空隙112の表面積の20〜80%を露出することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122b及び下部面遮蔽層124bは、コア部110の形状に応じて扇形の形状を有する離隔した二つのパターンからなる形態を有するものであり、また、内周面遮蔽層126c及び外周面遮蔽層128cは、コア部110の形状に応じて円弧状の形状を有する離隔した二つのパターンからなる形態を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122b、下部面遮蔽層124b、内周面遮蔽層126c及び外周面遮蔽層128cは、コア部110の空隙112の一部を露出する形態の他の図形の形状を有してもよい。
【0047】
図7a〜図7cを参照すると、電子部品用コア200cは、空隙112を有するコア部110と、コア部110の上部面の全面と空隙112の一部及び下部面の全面と空隙112の一部を覆う遮蔽部125cと、を含むことができる。コア部110の空隙112は、電子部品用コア200cの周波数特性を向上させる。また、遮蔽部125cはコア部110の空隙112の一部を塞いで電子部品用コア200cの透磁率を向上させる。
【0048】
遮蔽部125cは、コア部110の内周面及び外周面を連結する上部面の全面と空隙112の一部を同時に覆う上部面遮蔽層122cと、コア部110の上部面に対向する下部面の全面と空隙112の一部を同時に覆う下部面遮蔽層124cと、を有することができる。すなわち、上部面遮蔽層122cは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する上部面開口部121を有することで、コア部110の空隙112の一部を上部面の方向に露出する形態であり、また、下部面遮蔽層124cは、コア部110の空隙112の幅より狭い幅を有する下部面開口部123を有することで、コア部110の空隙112の一部を下部面の方向に露出する形態であることができる。遮蔽部125cは、コア部110の空隙112の表面積の20〜80%を露出することができる。本発明の実施形態による上部面遮蔽層122c及び下部面遮蔽層124cは、コア部110の形状に応じて一部が切断された開口部121又は123を有する環状の形状を有するものに図示されているが、これに限定されるものではない。上部面遮蔽層122c及び下部面遮蔽層124cは、コア部110の空隙112の一部を露出する形状を有し、且つ少なくともコア部110の内周面に応じて定義される孔を覆わない他の閉鎖された図形の形状を有してもよい。
【0049】
図示されてはいないが、電子部品用コア200cは、コア部110の内周面の少なくとも一部と空隙112を覆う内周面遮蔽層(図5aの126b参照)及び外周面の少なくとも一部と空隙112を覆う外周面遮蔽層(図5aの128b参照)、又は、内周面の少なくとも一部と空隙112の一部を覆う内周面遮蔽層(図6aの126c参照)及び外周面の少なくとも一部と空隙112の一部を覆う外周面遮蔽層(図6aの128c参照)をさらに含むことができる。
【0050】
図8は本発明の実施形態による電子部品用コアの周波数特性を示すグラフである。
【0051】
図8を参照すると、実線は、空隙を覆う遮蔽部が存在しないコアの周波数特性に対する測定結果であり、短い点線は、比較例であり、20,000程度の高い透磁率を有する遮蔽部で空隙を覆ったコアの周波数特性に対する測定結果であり、長い点線は、比較例より低い透磁率を有する遮蔽部で空隙の一部を露出するように覆ったコアの周波数特性に対する測定結果であり、また、一点鎖線は、比較例より低い透磁率を有する遮蔽部で空隙を覆ったコアの周波数特性に対する測定結果である。
【0052】
実線に対する測定結果から分かるように、一般的な空隙を有するコアの周波数特性は、透磁率が低く、高い周波数まで透磁率が一定であることを特徴とする。したがって、一般的な空隙を有するコアは、透磁率が低くて、高周波数帯域で使用される電子部品に使用されることができない。
【0053】
短い点線に対する測定結果から分かるように、20,000程度の高い透磁率を有する遮蔽部で空隙を覆ったコアの周波数特性は、低い周波数では透磁率が高いが、高い周波数になるほど透磁率が急激に低下することを特徴とする。したがって、高い透磁率を有する遮蔽部で空隙を覆ったコアは、周波数特性に劣り、高周波数帯域で使用される電子部品に使用されることができない。
【0054】
これとは異なり、本発明の実施形態の電子部品用コアの少なくともいずれか一つに該当する長い点線及び一点鎖線に対する測定結果から分かるように、1〜2,000の範囲の低い透磁率を有する遮蔽部で空隙の一部又は全体を覆ったコアの周波数特性は、一般的な空隙を有するコアに比べて透磁率が向上し、高い周波数まで透磁率が一定であることが分かる。したがって、本発明の実施形態による電子部品用コアは、向上した透磁率を有し、また、周波数特性が良好で、高周波数帯域で使用される電子部品に使用されることができる。
【0055】
本発明の実施形態によれば、電子部品用コアは、コア部の空隙を一部又は全体を覆う1〜2,000の範囲の低い透磁率を有する遮蔽部を含むことにより、向上した透磁率及び良好な周波数特性を有することができる。これにより、高周波数帯域で使用されることができる電子部品用コアが提供されることができる。
【0056】
また、本発明の実施形態によれば、電子部品は、高周波数帯域で使用されることができる電子部品用コアを含むことにより、小型化及び薄型化を図ることができる。これにより、高周波数帯域で使用されることができる情報通信技術装置の小型化及び薄型化を図ることができる。
【0057】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明が、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施されることができることを理解することができる。したがって、上述した実施形態は、すべての面において例示的なものであって、限定的なものではないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0058】
100、100a、100b、200、200a、200b、200c 電子部品用コア
110 コア部
112 空隙
121 上部面開口部
122、122a、122b、122c 上部面遮蔽層
123 下部面開口部
124、124a、124b、124c 下部面遮蔽層
125、125a、125b、125c 遮蔽部
126、126b、126c 内周面遮蔽層
128、128b、128c 外周面遮蔽層
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8