【解決手段】試験装置1は、信号を発生する信号発生部20と、被試験装置から信号を受信する信号受信部23と、増幅器を含む1以上の増幅器経路及び増幅器を含まない1以上のスルー経路のいずれか1つを選択する送信FE部30と、入力信号を信号受信部23側にループバックするループバック経路3a及び出力端子37のいずれか一方に接続される送信FELB切替部31と、送信FELB切替部31又は入力端子38からの信号を信号受信部23に出力する受信FELB切替部34と、出力端子37の信号レベルが校正の送信基準レベルとなっている状態においてループバック経路3aを介して信号受信部23が受信した信号レベルに基づいて送信FE部30が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出部と、を備える。
工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において、前記経路選択手段が1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷時信号レベルを記憶する送信側出荷時信号レベル記憶手段(4)を備え、
前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において、前記経路選択手段が前記1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷後信号レベルと前記出荷時信号レベルとの差分を前記1つの増幅器を含む増幅器経路のレベル変動を校正するための補正値とするものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の試験装置。
請求項1に記載の前記出力側ループバック手段、前記入力側ループバック手段及び前記ループバック経路をそれぞれ第1の出力側ループバック手段、第1の入力側ループバック手段及び第1のループバック経路として備え、
前記信号発生手段と前記第1の経路選択手段との間に設けられ前記第1の信号を前記信号受信手段側にループバックする第2のループバック経路(2a)及び前記第1の経路選択手段のいずれか一方に接続される第2の出力側ループバック手段(21)と、
前記信号受信手段と前記第2の経路選択手段との間に設けられ前記第2のループバック経路及び前記第2の経路選択手段のいずれか一方に接続される第2の入力側ループバック手段(22)と、
工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において前記第2のループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルを記憶する記憶手段(4)と、
を備え、
前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において前記第2のループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した工場出荷後信号レベルと前記記憶手段が記憶した信号レベルとの差分を前記信号発生手段のレベル変動を校正するための補正値とするものであることを特徴とする請求項5に記載の試験装置。
工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において、前記第2の経路選択手段が1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷時信号レベルを記憶する受信側出荷時信号レベル記憶手段(4)を備え、
前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において、前記第2の経路選択手段が前記1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷後信号レベルと前記出荷時信号レベルとの差分を前記1つの増幅器を含む増幅器経路のレベル変動を校正するための補正値とするものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のものは、例えば、単一又は少数のアンテナを有する測定対象端末の試験では比較的容易に校正値を求めることができたが、近年のCA(Carrier Aggregation)やMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術での試験では膨大な校正時間を要するという課題があった。
【0006】
CAやMIMO技術での試験においては、送信信号を合成する合成器や受信信号を分配する分配器が必要となり、合成器や分配器の個数が増加するに応じて信号発生部や信号受信部の個数が増加する。CAやMIMO技術での試験における送信側の構成を従来のものに適用すると、従来のIFユニットの構成は
図13〜
図15に示すようになる。
図13は2つの信号発生部111a及び111bを設けた場合のIFユニット110の構成、
図14は4つの信号発生部121a〜121dを設けた場合のIFユニット120の構成、
図15は8つの信号発生部131a〜131hを設けた場合のIFユニット130の構成を示す図である。
図13〜
図15に示すように、信号発生部が増加するに従って、IFユニットの構成は複雑化する。
【0007】
図13〜
図15において、IFユニット110、120、130は、可変減衰器112、切替SW(スイッチ)113、合成器114、増幅器115を備えている。これらの構成を従来のものに適用すれば、信号のレベル損失が大きくなってしまい試験対象機が要求する試験装置の性能が満たせなくなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決する従来技術を用いた対策方法としては以下が考えられる。
(1)信号発生部で大電力出力を可能とする。
(2)IFユニットに増幅器を備える。
(3)IFユニットに増幅器を備え、試験装置の出力信号のレベル確度はIFユニットにレベル検出部を備えることでALC(Auto Level Control:自動レベル制御)を行う。
【0009】
(1)については、信号発生部に大電力を出力させることにより、IFユニットのレベル損失を補うものであるが、このためにはリニアリティ性能の優れた増幅器を備える必要があり、電力、実装面積、放熱及びコスト性が悪く、CA数やMIMOアンテナ数の増加に伴って問題はより顕著となる。また、試験装置への入力信号については適用できず、IFユニットのレベル損失分だけ入力信号のSN比が悪化する問題がある。
【0010】
(2)については、IFユニットのレベル損失をIFユニットに備えた増幅器により補うものであるが、一般に増幅器は経時変化や温度変化による増幅率の変動が生じてしまうため、出力及び入力のレベル確度が悪化するという問題がある。
【0011】
(3)については、IFユニットのレベル損失を増幅器で補い、(2)で問題となったレベル確度をIFユニットにレベル検出部を備えることで解決するものであるが、レベル検出部を備える構成とする必要があり、デバイス実装面積が大きくなったりデバイスコストが増加したりするという問題が生じる。この問題は信号発生部の数に比例して悪化する。
【0012】
以上のように、従来技術では、信号発生部や信号受信部の個数が増加し、信号を伝送する経路が複雑化するCAやMIMO技術等での試験での校正において、校正時間の短縮化を図ることができないという課題があった。
【0013】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、校正時間の短縮化を図ることができる試験装置及びその校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る試験装置は、被試験装置(11)に出力する第1の信号を発生する信号発生手段(20)と、前記被試験装置に接続された出力手段(37)と、前記信号発生手段と前記出力手段との間に設けられ入出力間において前記第1の信号を増幅する増幅器(305)を含む1以上の増幅器経路(30a、30b)及び前記増幅器を含まない1以上のスルー経路(30c)のいずれか1つを選択する経路選択手段(30)と、前記被試験装置からの第2の信号を入力する入力手段(38)と、前記第2の信号を受信する信号受信手段(23)と、前記経路選択手段と前記出力手段との間に設けられ前記第1の信号を前記信号受信手段側にループバックするループバック経路(3a)及び前記出力手段のいずれか一方に接続される出力側ループバック手段(31)と、前記信号受信手段と前記入力手段との間に設けられ前記ループバック経路及び前記入力手段のいずれか一方に接続される入力側ループバック手段(34)と、前記経路選択手段が前記スルー経路を選択している際に前記信号発生手段が発生する前記第1の信号の前記出力手段での信号レベルが予め定められた校正の送信基準レベルとなっている状態を示す校正レベル出力状態において前記ループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて前記経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出手段(6a)と、を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項1に係る試験装置は、補正値算出手段が、校正レベル出力状態においてループバック経路を介して信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出するので、校正時間の短縮化を図ることができる。
【0016】
本発明の請求項2に係る試験装置は、前記第2の信号を前記被試験装置から入力するとともに前記第1の信号を前記被試験装置に出力する入出力手段(39)と、前記入出力手段に接続され前記被試験装置から入力する信号と前記被試験装置に出力する信号とを分波する分波手段(36)と、前記出力側ループバック手段と前記出力手段との間に設けられ前記第1の信号を前記出力手段及び前記分波手段のいずれか一方に出力する第1の切替手段(32)と、前記入力側ループバック手段と前記入力手段との間に設けられ前記第2の信号を前記入力手段及び前記分波手段のいずれか一方から入力する第2の切替手段(33)と、を備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項2に係る試験装置は、被試験装置がシンプレクス通信又はデュプレクス通信のいずれの対応機種であっても校正時間の短縮化を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項3に係る試験装置は、前記信号発生手段は、信号を発生する信号発生源(201)と、前記信号発生源が発生した信号のレベルを可変するレベル可変手段(203)と、前記レベル可変手段の出力レベルに応じて前記信号発生手段の出力レベルが予め定められた目標レベルになるよう第1の制御信号を前記レベル可変手段に出力する第1の出力制御手段(206)と、前記第1の出力制御手段に第2の制御信号を送出して前記第1の制御信号のレベルを可変する第2の出力調整手段(6b)と、工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において前記第2の制御信号のレベルを記憶する記憶手段と、を備え、前記第2の出力調整手段は、工場出荷後に、前記記憶手段から前記第2の制御信号のレベルを読み出して前記第1の出力制御手段に設定するものである構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項3に係る試験装置は、信号発生手段の出力における経時や温度変化によるレベル変動を校正することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0020】
本発明の請求項4に係る試験装置は、工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において、前記経路選択手段が1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷時信号レベルを記憶する送信側出荷時信号レベル記憶手段(4)を備え、前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において、前記経路選択手段が前記1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷後信号レベルと前記出荷時信号レベルとの差分を前記1つの増幅器を含む増幅器経路のレベル変動を校正するための補正値とするものである構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項4に係る試験装置は、経路選択手段の増幅器の経時や温度変化によるレベル変動を校正することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0022】
本発明の請求項5に係る試験装置は、請求項1に記載の前記経路選択手段を第1の経路選択手段として備え、前記信号受信手段と前記入力手段との間に設けられ前記第2の信号を増幅する増幅器(353)を含む1以上の増幅器経路(35a、35b)及び前記増幅器を含まない1以上のスルー経路(35c)のいずれか1つを選択する第2の経路選択手段(35)を備え、前記補正値算出手段は、前記校正レベル出力状態において、前記第2の経路選択手段が前記スルー経路を選択し、前記ループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて前記第2の経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出するものである構成を有している。
【0023】
この構成により、本発明の請求項5に係る試験装置は、補正値算出手段が、校正レベル出力状態において、第2の経路選択手段がスルー経路を選択し、ループバック経路を介して信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて第2の経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出するので、校正時間の短縮化を図ることができる。
【0024】
本発明の請求項6に係る試験装置は、請求項1に記載の前記出力側ループバック手段、前記入力側ループバック手段及び前記ループバック経路をそれぞれ第1の出力側ループバック手段、第1の入力側ループバック手段及び第1のループバック経路として備え、前記信号発生手段と前記第1の経路選択手段との間に設けられ前記第1の信号を前記信号受信手段側にループバックする第2のループバック経路(2a)及び前記第1の経路選択手段のいずれか一方に接続される第2の出力側ループバック手段(21)と、前記信号受信手段と前記第2の経路選択手段との間に設けられ前記第2のループバック経路及び前記第2の経路選択手段のいずれか一方に接続される第2の入力側ループバック手段(22)と、工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において前記第2のループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルを記憶する記憶手段(4)と、を備え、前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において前記第2のループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した工場出荷後信号レベルと前記記憶手段が記憶した信号レベルとの差分を前記信号発生手段のレベル変動を校正するための補正値とするものである構成を有している。
【0025】
この構成により、本発明の請求項6に係る試験装置は、信号発生手段の出力における経時や温度変化によるレベル変動を校正することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0026】
本発明の請求項7に係る試験装置は、工場出荷時に、前記校正レベル出力状態において、前記第2の経路選択手段が1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷時信号レベルを記憶する受信側出荷時信号レベル記憶手段(4)を備え、前記補正値算出手段は、工場出荷後に、前記校正レベル出力状態において、前記第2の経路選択手段が前記1つの増幅器を含む増幅器経路を選択した場合の前記信号受信手段での出荷後信号レベルと前記出荷時信号レベルとの差分を前記1つの増幅器を含む増幅器経路のレベル変動を校正するための補正値とするものである構成を有している。
【0027】
この構成により、本発明の請求項7に係る試験装置は、第2の経路選択手段の増幅器の経時や温度変化によるレベル変動を校正することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0028】
本発明の請求項8に係る試験装置の校正方法は、請求項1に記載の試験装置を校正する校正方法であって、前記経路選択手段に前記スルー経路を設定するステップ(S12)と、前記出力側ループバック手段と前記入力側ループバック手段との間に前記ループバック経路(3a)を設定するステップ(S15)と、前記校正レベル出力状態において前記ループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて前記経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出ステップ(S18)と、を含む構成を有している。
【0029】
この構成により、本発明の請求項8に係る試験装置の校正方法は、校正レベル出力状態においてループバック経路を介して信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出ステップを含むので、校正時間の短縮化を図ることができる。
【0030】
本発明の請求項9に係る試験装置の校正方法は、請求項5に記載の試験装置を校正する校正方法であって、前記第1及び前記第2の経路選択手段に前記スルー経路を設定するステップ(S32)と、前記出力側ループバック手段と前記入力側ループバック手段との間に前記ループバック経路を設定するステップ(S35)と、前記校正レベル出力状態において前記ループバック経路を介して前記信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて前記第2の経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出ステップ(S37)と、を含む構成を有している。
【0031】
この構成により、本発明の請求項9に係る試験装置の校正方法は、校正レベル出力状態において、第2の経路選択手段がスルー経路を選択し、ループバック経路を介して信号受信手段が受信した信号レベルに基づいて第2の経路選択手段が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出する補正値算出ステップを含むので、校正時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、校正時間の短縮化を図ることができるという効果を有する試験装置及びその校正方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0035】
[試験装置の構成]
まず、本発明に係る試験装置の一実施形態における構成について説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態における試験装置1は、送受信部2、FE(フロントエンド)部3、記憶部4、操作部5、制御装置6、表示部7、入出力端子8を備え、DUT(被試験装置)11を試験するものである。
【0037】
試験装置1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。試験装置1は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを、送受信部2、FE部3、記憶部4、操作部5、制御装置6、表示部7の機能部として機能させるようになっている。なお、送受信部2及びFE部3の構成については後述する。
【0038】
記憶部4は、例えばハードディスクドライブで構成され、送受信部2の校正時に求めた各データを記憶するようになっている。この記憶部4は、記憶手段、送信側出荷時信号レベル記憶手段、受信側出荷時信号レベル記憶手段を構成する。
【0039】
操作部5は、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、測定条件等を表示するディスプレイ、これらを制御する制御回路やソフトウェア等で構成され、各試験条件の入力や、表示部7の表示内容の設定等を行うため、試験者が操作するものである。
【0040】
制御装置6は、操作部5からの信号を入力し、送受信部2、FE部3、記憶部4の動作を制御するようになっている。また、制御装置6は、校正用の補正値を算出する補正値算出手段としての補正値算出部6aと、第1レベル調整部206(後述)の出力レベルを調整する出力調整手段としての出力調整部6bと、を備えている。
【0041】
表示部7は、制御装置6からの制御信号に従って、校正時及び試験時の各種データを表示するようになっている。
【0042】
入出力端子8には、DUT11とともに、適宜、パワーメータ12、スペクトラムアナライザ13、シグナルジェネレータ14が接続される。
【0043】
[送受信部2の構成]
次に、送受信部2の構成について
図2を用いて説明する。
【0044】
送受信部2は、信号発生手段としての信号発生部20(20a〜20d)、第2の出力側ループバック手段としての送信LB(ループバック)切替部21、第2の入力側ループバック手段としての受信LB切替部22、信号受信手段としての信号受信部23(23a〜23d)を備えている。また、送受信部2は、送信LB切替部21と受信LB切替部22との間にループバック経路2aを備えている。なお、本実施形態では、信号発生部20及び信号受信部23の個数を各4個としているが、本発明はこれに限定されない。
【0045】
信号発生部20aは、制御装置6の出力調整部6bからの制御信号に基づいて所定の信号(第1の信号)を発生するようになっている。なお、信号発生部20b〜20dは、信号発生部20aと同じ構成であるので説明を省略する。
【0046】
具体的には、
図3に示すように、信号発生部20aは、信号発生源201、送信信号処理部202、レベル可変手段としての可変減衰器203、増幅器204、レベル検出部205、第1の出力制御手段としての第1レベル調整部206、演算部207、第2レベル調整部208、切替部209、制御レベルモニタ部210、出力端子211を備えている。この信号発生部20aは、出力端子211から出力するRF(無線周波数)信号の信号レベルを一定値に自動的に制御するALCオン状態と、自動的には制御しないALCオフ状態と、を有する。
【0047】
信号発生源201は、試験者が操作部5を操作して入力した情報に基づいて所定の信号を発生し、送信信号処理部202に出力するようになっている。
【0048】
送信信号処理部202は、例えば、ベースバンド変調部、直交変調器等を備え、DUT11に出力するRF信号を生成するようになっている。
【0049】
可変減衰器203は、ALCオン状態では演算部207からの出力信号を、ALCオフ状態では第2レベル調整部208からの出力信号を、それぞれ制御信号として入力し、その制御信号のレベル(電圧)に応じて減衰量が可変されるようになっている。
【0050】
増幅器204は、可変減衰器203の出力信号レベルを増幅し、レベル検出部205及び出力端子211に出力するようになっている。
【0051】
レベル検出部205は、例えば検波器で構成され、増幅器204の出力信号を検波して演算部207に出力するようになっている。
【0052】
第1レベル調整部206は、例えばDAC(デジタルアナログ変換器)で構成され、ALCオン状態において出力調整部6bから入力するデジタル値の制御信号に基づいたレベルを有する信号を出力するようになっている。
【0053】
演算部207は、レベル検出部205の出力信号と第1レベル調整部206の出力信号とを加算し、加算結果を示す信号を切替部209及び出力調整部6bに出力するようになっている。ここで、出力調整部6bは、ALCオン状態において、演算部207からの信号に応じて、制御信号により第1レベル調整部206の出力信号レベルを増減し、出力端子211から出力する信号レベルを目標レベルになるよう制御する。
【0054】
第2レベル調整部208は、例えばDACで構成され、ALCオフ状態において出力調整部6bから入力するデジタル値の制御信号に基づいたレベルを有する信号を出力するようになっている。
【0055】
切替部209は、接点209a及び209bを有し、ALCオン状態とALCオフ状態とを切り替えるものであって、ALCオン状態では接点209aを選択し、ALCオフ状態では接点209bを選択するようになっている。その結果、ALCオン状態では可変減衰器203は演算部207の出力信号により減衰量が制御され、ALCオフ状態では可変減衰器203は第2レベル調整部208の出力信号により減衰量が制御される。
【0056】
制御レベルモニタ部210は、例えばADC(アナログデジタル変換器)で構成され、可変減衰器203に入力される制御信号のレベルを監視し、そのレベルを示すデジタル値の信号を出力調整部6bに出力するようになっている。
【0057】
図2に戻り、送受信部2の構成の説明を続ける。
【0058】
送信LB切替部21は、図示しないスイッチを切り替えることによって、信号発生部20からの信号を送信FE部30(後述)又は受信LB切替部22(ループバック経路2a経由)に出力するようになっている。なお、ループバック経路2aは、第2のループバック経路を構成する。
【0059】
受信LB切替部22は、図示しないスイッチを切り替えることによって、送信LB切替部21(ループバック経路2a経由)又は受信FE部35(後述)からの信号を信号受信部23に出力するようになっている。
【0060】
前述のように、送受信部2は、送信LB切替部21及び受信LB切替部22を備えているので、両者の内部スイッチの切り替えにより、信号受信部23a〜23dは、それぞれ、ループバック経路2aを介し、信号発生部20a〜20dの出力信号を受信することができる。
【0061】
信号受信部23は、受信LB切替部22から入力するRF信号のレベルを測定できるようになっている。また、信号受信部23は、例えば、直交復調器、ベースバンド復調部等を備え、DUT11からのRF信号(第2の信号)を受信してベースバンド信号に復調するようになっている。
【0062】
[FE部3の構成]
次に、FE部3の構成について説明する。FE部3は、送信FE部30、送信FELB(フロントエンドループバック)切替部31、第1の切替手段としての送信切替部32、第2の切替手段としての受信切替部33、受信FELB切替部34、受信FE部35、分波手段としての分波器36、出力手段としての出力端子37(37a〜37d)、入力手段としての入力端子38(38a〜38d)、入出力手段としての入出力端子39(39a〜39d)を備えている。また、FE部3は、送信FELB切替部31と受信FELB切替部34との間にループバック経路3aを備えている。
【0063】
送信FE部30は、例えば、
図4に示す構成を有する。すなわち、送信FE部30は、入力端子301(301a〜301d)、可変減衰器302(302a、302b)、切替SW303(303a〜303n)、合成器304(304a、304b)、増幅器305(305a、305b)、出力端子307(307a〜307d)を備えている。この送信FE部30は、経路選択手段及び第1の経路選択手段を構成する。
【0064】
入力端子301a〜301dは、それぞれ、送信LB切替部21を介し、信号発生部20a〜20dからの信号を入力するようになっている。
【0065】
可変減衰器302a及び302bは、それぞれ、入力端子301a及び301bが入力した信号の信号レベルを減衰するようになっている。
【0066】
切替SW303a〜303nは、制御装置6からの制御信号に基づいて経路を切り替えるようになっている。なお、送信FE部30内の全ての経路を設定するための情報は、記憶部4に記憶されており、その情報を制御装置が読み出して切替SW303a〜303nを切り替えるようになっている。
【0067】
合成器304aは、入力端子301a及び301bが入力した信号を、可変減衰器302a及び切替SW303aと、可変減衰器302b及び切替SW303bと、を介して合成するようになっている。この合成器304aは、例えば通信規格LTE(Long Term Evolution)−Advancedにおける周波数広帯域化(CA:キャリアアグリゲーション)に対応したDUTを試験する際に用いられる。合成器304bもこれと同様である。
【0068】
増幅器305a及び305bは、入力信号を所定増幅率で増幅するようになっている。
【0069】
図4に示すように、送信FE部30は、増幅器を含む1以上の増幅器経路と増幅器を含まない1以上のスルー経路とを有し、切替SW303の切り替えにより、複数の経路のうちのいずれか1つを選択するようになっている。
【0070】
増幅器を1つ含む増幅器経路としては、例えば、入力端子301a〜可変減衰器302a〜切替SW303a〜合成器304a〜切替SW303c〜増幅器305a〜切替SW303d〜切替SW303g〜切替SW303e〜切替SW303h〜出力端子307a(増幅器経路30a)がある。
【0071】
増幅器を2つ含む増幅器経路としては、例えば、前述の増幅器を1つ含む増幅器経路の切替SW303gを切り替えて、切替SW303g〜合成器304b〜切替SW303i〜増幅器305b〜切替SW303j〜切替SW303m〜切替SW303h〜出力端子307a(増幅器経路30b)がある。
【0072】
増幅器を含まないスルー経路としては、例えば、入力端子301a〜可変減衰器302a〜切替SW303a〜切替SW303e〜切替SW303h〜出力端子307a(スルー経路30c)がある。
【0073】
なお、説明を省略するが、
図4を参照すれば、切替SW303の切り替えによって、入力端子301bと出力端子307bとの間、入力端子301cと出力端子307cとの間、入力端子301dと出力端子307dとの間にも、それぞれ、増幅器を1つ又は2つ含む増幅器経路やスルー経路が設定できることがわかる。
【0074】
図2に戻り、送信FELB切替部31は、図示しないスイッチを切り替えることによって、送信FE部30からの信号を送信切替部32又は受信FELB切替部34(ループバック経路3a経由)に出力するようになっている。この送信FELB切替部31は、出力側ループバック手段及び第1の出力側ループバック手段を構成する。また、ループバック経路3aは、第1のループバック経路を構成する。
【0075】
送信切替部32は、図示しないスイッチを切り替えることによって、送信FELB切替部31からの信号を出力端子37又は分波器36に出力するようになっている。ここで、送信切替部32は、DUT11がシンプレクス(片方向)通信の対応機種であれば、送信FELB切替部31からの信号を出力端子37に出力し、DUT11がデュプレクス(双方向)通信の対応機種であれば、送信FELB切替部31からの信号を分波器36経由で入出力端子39に出力する。
【0076】
受信切替部33は、図示しないスイッチを切り替えることによって、分波器36又は入力端子38からの信号を受信FELB切替部34に出力するようになっている。ここで、受信切替部33は、DUT11がシンプレクス通信の対応機種であれば、入力端子38からの信号を受信FELB切替部34に出力し、DUT11がデュプレクス通信の対応機種であれば、入出力端子39からの信号を分波器36経由で受信FELB切替部34に出力する。
【0077】
受信FELB切替部34は、図示しないスイッチを切り替えることによって、送信FELB切替部31(ループバック経路3a経由)又は受信切替部33からの信号を受信FE部35に出力するようになっている。この受信FELB切替部34は、入力側ループバック手段及び第1の入力側ループバック手段を構成する。
【0078】
受信FE部35は、例えば、
図5に示す構成を有する。すなわち、受信FE部35は、入力端子351(351a〜351d)、切替SW352(352a〜352i)、増幅器353(353a、353b)、分配器354(354a)、出力端子355(355a〜355d)を備えている。この受信FE部35は、第2の経路選択手段を構成する。
【0079】
入力端子351a〜351dは、それぞれ、信号発生部20a〜20d又は入力端子38a〜38dからの信号を入力するようになっている。
【0080】
切替SW352a〜352iは、制御装置6からの制御信号に基づいて経路を切り替えるようになっている。なお、受信FE部35内の全ての経路を設定するための情報は、記憶部4に記憶されており、その情報を制御装置が読み出して切替SW352a〜352iを切り替えるようになっている。
【0081】
分配器354aは、入力信号を2つに分配するようになっている。この分配器354aは、例えば通信規格LTE−Advancedにおける周波数広帯域化に対応したDUTを試験する際に用いられる。
【0082】
増幅器353a及び353bは、入力信号を所定増幅率で増幅するようになっている。
【0083】
図5に示すように、受信FE部35は、増幅器を含む1以上の増幅器経路と増幅器を含まない1以上のスルー経路とを有し、切替SW352の切り替えにより、複数の経路のうちのいずれか1つを選択するようになっている。
【0084】
増幅器を1つ含む増幅器経路としては、例えば、入力端子351a〜切替SW352a〜増幅器353a〜切替SW352b〜切替SW352c〜切替SW352d〜切替SW352h〜出力端子355a(増幅器経路35a)がある。
【0085】
増幅器を2つ含む増幅器経路としては、例えば、前述の増幅器を1つ含む増幅器経路の切替SW352dを切り替えて、切替SW352d〜切替SW352e〜切替SW352f〜増幅器353b〜切替SW352g〜分配器354a〜切替SW352h〜出力端子355a(増幅器経路35b)がある。
【0086】
増幅器を含まないスルー経路としては、入力端子351a〜切替SW352a〜切替SW352b〜切替SW352c〜切替SW352d〜切替SW352h〜出力端子355a(スルー経路35c)がある。
【0087】
なお、説明を省略するが、
図5を参照すれば、切替SW352の切り替えによって、入力端子351bと出力端子355bとの間、入力端子351cと出力端子355cとの間、入力端子351dと出力端子355dとの間にも、それぞれ、増幅器を1つ又は2つ含む増幅器経路やスルー経路が設定できることがわかる。
【0088】
図2に戻り、分波器36は、DUT11がデュプレクス通信の対応機種である場合に用いられるもので、入出力端子39に接続され、DUT11から入力する信号とDUT11に出力する信号とを分波するようになっている。
【0089】
出力端子37、入力端子38及び入出力端子39のうちのいずれか1つは、制御装置6の制御により切り替えられて入出力端子8(
図1参照)に接続されるようになっている。
【0090】
なお、
図2においては、送受信部2と送信FE部3とを分離した構成を説明したが、これらを合体させた構成としてもよい。
【0091】
[試験装置1の動作]
次に、本実施形態における試験装置1の動作について
図6〜
図12を用いて説明する。なお、以下の説明において、ループバック経路3aを第1のループバック経路3aと呼び、ループバック経路2aを第2のループバック経路2aと呼ぶ。
【0092】
[試験装置1の工場出荷時校正]
図6は、試験装置1の工場出荷時校正のメインフローチャートである。
図6に示すように、試験装置1は、ALCオンでの送信系の工場出荷時校正(ステップS1)と、ALCオフでの送信系の工場出荷時校正(ステップS2)と、受信系の工場出荷時校正(ステップS3)とが実行される。
【0093】
[送信系の工場出荷時校正]
図7は、
図6に示したステップS1で実行されるALCオンでの送信系の工場出荷時校正のフローチャートである。なお、初期状態では、送信LB切替部21が送信FE部30側に接続され、送信FELB切替部31が送信切替部32側に接続され、送信切替部32が出力端子37側に接続されているものとする。
【0094】
試験装置1の入出力端子8にパワーメータ12を接続し、制御装置6は、切替部209に接点209aを選択させてALCオン状態にする(ステップS11)。
【0095】
制御装置6は、送信FE部30内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する(ステップS12)。具体的には、
図4において、例えば、信号発生部20aの出力信号が伝送される経路では、入力端子301a〜可変減衰器302a〜切替SW303a〜切替SW303e〜切替SW303h〜出力端子307aのスルー経路30cが形成できるよう制御装置6が該当する切替SWを切り替える。信号発生部20b〜20dも信号発生部20aと同様に設定される。
【0096】
制御装置6は、信号発生部20の信号発生源201に信号を発生させ、出力端子37の測定レベルが予め定められた校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となるよう第1レベル調整部206にて可変減衰器203の減衰量を追い込みながら調整する。なお、出力端子37の測定レベルが校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となった状態が本発明に係る校正レベル出力状態である。
【0097】
制御装置6は、出力端子37の測定レベルが校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となったときの、第1レベル調整部206に対する設定値(TX_ALC_ONDAC)のデータを記憶部4に記憶する(ステップS13)。
【0098】
制御レベルモニタ部210は、出力端子37の測定レベルが校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となったときの可変減衰器203の制御レベルを読み取り、そのデータを制御装置6に送出する。制御装置6は、その時の可変減衰器203の制御レベル(TX_ALC_OFFDAC)のデータを記憶部4に記憶する(ステップS14)。なお、以下のステップS15〜S19は、出力端子37の測定レベルが校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となった状態での信号発生部20の出力信号を用いた処理である。
【0099】
制御装置6は、送信FELB切替部31及び受信FELB切替部34に含まれる各切替SWを切り替えて、送信FELB切替部31の出力側が受信FELB切替部34になるよう、また受信FELB切替部34の入力側が送信FELB切替部31になるよう第1のループバック経路3aを設定する(ステップS15)。
【0100】
制御装置6は、受信FE部35内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する(ステップS16)。具体的には、
図5において、例えば、信号発生部20aの出力信号が伝送される経路では、入力端子351a〜切替SW352a〜切替SW352b〜切替SW352c〜切替SW352d〜切替SW352h〜出力端子355aのスルー経路35cが形成できるよう制御装置6が該当する切替SWを切り替える。信号発生部20b〜20dに関する経路も信号発生部20aと同様に設定される。
【0101】
信号受信部23は、受信レベル(TX_FELB_LEV)を測定する。この受信レベル(TX_FELB_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS17)。
【0102】
制御装置6は、送信FE部30に含まれる各切替SWを適宜切り替え、信号受信部23は、送信FE部30の経路ごとの受信レベルを測定し、それらと受信レベル(TX_FELB_LEV)との測定レベル差(ΔTX_FELBx_LEV)を算出する。ここで、xは経路ごとに予め設定された識別番号を示し、経路がkとおりあればx=1〜kである。この測定レベル差(ΔTX_FELBx_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS18)。記憶された測定レベル差(ΔTX_FELBx_LEV)のデータを用いて送信FE部30の経路ごとの補正を行えば、試験装置1の入出力端子8における校正となる。すなわち、測定レベル差(ΔTX_FELBx_LEV)は送信FE部30が有する各経路の損失差を校正するための補正値である。
【0103】
制御装置6は、送信FE部30に含まれる各切替SWを適宜切り替え、1つの増幅器305のみを通る増幅器経路を順次設定する。具体的には、
図4において、例えば、信号発生部20aの出力信号が伝送される経路では、入力端子301a〜可変減衰器302a〜切替SW303a〜合成器304a〜切替SW303c〜増幅器305a〜切替SW303d〜切替SW303g〜切替SW303e〜切替SW303h〜出力端子307aの増幅器経路30aが形成できるよう制御装置6が該当する切替SWを切り替える。
【0104】
信号受信部23は、順次、1つの増幅器305のみを通る増幅器経路ごとに、受信レベル(TX_AMPn_LEV)を測定する。ここで、nは増幅器ごとに予め設定された識別番号を示し、
図4に示した構成の場合では、増幅器は3個なのでn=1〜3である。この受信レベル(TX_AMPn_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS19)。記憶された受信レベル(TX_AMPn_LEV)のデータは、増幅器305及び温度変動によるレベル変動を補正する際の基準値となる。
【0105】
図8は、
図6に示したステップS2で実行されるALCオフでの送信系の工場出荷時校正のフローチャートである。
【0106】
試験装置1の入出力端子8にはスペクトラムアナライザ13を接続し、制御装置6は、切替部209に接点209bを選択させてALCオフ状態にする(ステップS21)。
【0107】
制御装置6は、送信FE部30内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する(ステップS22)。
【0108】
制御装置6は、出力端子37の測定レベルが校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)であるときの、スペクトラムアナライザ13の測定レベル(SPA_REF_LEV)を測定する(ステップS23)。
【0109】
制御装置6は、第2レベル調整部208の調整可能範囲の下限から上限までを所定ビット単位で動作させる制御信号をそのレベルを変更しながら第2レベル調整部208に出力したときの出力端子37の測定レベルと、測定レベル(SPA_REF_LEV)とのレベル差(ΔSPA_REF_LEV)を算出して記憶部4に記憶する(ステップS24)。ここで、所定ビット単位としては、1ビット単位でもよいし、例えば10ビット単位で簡易化した測定を行った後で測定レベルを補間して1ビット単位の結果を得ることもできる。
【0110】
制御装置6は、ステップS24で測定したデータにより、出力端子37における出力レベルの変化(Δ出力レベル)に対する第2レベル調整部208への制御信号のレベルの変化を示すテーブル(OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC,Δ出力レベル))を作成する(ステップS25)。
【0111】
試験装置1の入出力端子8に、スペクトラムアナライザ13に代えてパワーメータ12を接続する(ステップS26)。
【0112】
制御装置6は、送信FE部30内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する。次いで、制御装置6は、送信切替部32の出力信号が出力端子37側になるよう送信切替部32に含まれる切替SWを設定し、入出力端子8での信号レベル(TX_SPX)をパワーメータ12により測定する。
【0113】
制御装置6は、送信切替部32の出力信号が分波器36側になるよう送信切替部32に含まれる切替SWを設定し、入出力端子39を経由して入出力端子8から出力される信号レベル(TX_DPX)をパワーメータ12により測定する。
【0114】
制御装置6は、信号レベル(TX_SPX)と信号レベル(TX_DPX)とのレベル差(ΔTX_SPX_DPX)を算出して記憶部4に記憶する(ステップS27)。
【0115】
[受信系の工場出荷時校正]
図9は、
図6に示したステップS3で実行される受信系の工場出荷時校正のフローチャートである。なお、初期状態は、受信LB切替部22が受信FE部35側に接続され、受信FELB切替部34が受信切替部33側に接続され、受信切替部33が入力端子38側に接続されているものとする。
【0116】
試験装置1の入出力端子8にパワーメータ12を接続し、制御装置6は、切替部209に接点209aを選択させてALCオン状態にする(ステップS31)。
【0117】
制御装置6は、送信FE部30内の経路及び受信FE部35内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する(ステップS32)。
【0118】
制御装置6は、信号発生部20の信号発生源201に信号を発生させ、出力端子37の測定レベルが予め定められた校正の送信基準レベル(TX_BASE_LEV)となるよう第1レベル調整部206にて可変減衰器203の減衰量を追い込みながら調整する。
【0119】
制御装置6は、送信LB切替部21及び受信LB切替部22に含まれる各切替SWを切り替えて、送信LB切替部21の出力側が受信LB切替部22になるよう、また受信LB切替部22の入力側が送信LB切替部21になるよう第2のループバック経路2aを設定する(ステップS33)。
【0120】
信号受信部23は、受信レベル(RX_ALC_LEV)を測定する。この受信レベル(RX_ALC_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS34)。
【0121】
制御装置6は、第2のループバック経路2aの設定を解除し、第1のループバック経路3aを設定する(ステップS35)。すなわち、制御装置6は、送信LB切替部21及び受信LB切替部22に含まれる各切替SWを切り替えて、送信LB切替部21の出力側が送信FE部30になるよう、また受信LB切替部22の入力側が受信FE部35になるよう設定することにより第2のループバック経路2aの設定を解除する。また、制御装置6は、送信FELB切替部31及び受信FELB切替部34に含まれる各切替SWを切り替えて、送信FELB切替部31の出力側が受信FELB切替部34になるよう、また受信FELB切替部34の入力側が送信FELB切替部31になるよう第1のループバック経路3aを設定する。
【0122】
信号受信部23は、受信レベル(RX_FELB_LEV)を測定し、この受信レベル(RX_FELB_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS36)。
【0123】
制御装置6は、受信FE部35に含まれる各切替SWを適宜切り替え、信号受信部23は、受信FE部35の経路ごとの受信レベルを測定し、それらと受信レベル(RX_FELB_LEV)との測定レベル差(ΔRX_FELBx_LEV)を算出する。ここで、xは経路ごとに予め設定された識別番号を示し、経路がkとおりあればx=1〜kである。この測定レベル差(ΔRX_FELBx_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS37)。
【0124】
信号受信部23は、順次、1つの増幅器353のみを通る増幅器経路ごとに、受信レベル(RX_AMPn_LEV)を測定する。ここで、nは増幅器ごとに予め設定された識別番号を示し、
図5に示した構成の場合では、増幅器は7個なのでn=1〜7である。この受信レベル(RX_AMPn_LEV)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS38)。
【0125】
試験装置1の入出力端子8にシグナルジェネレータ14を接続し、制御装置6は、入出力端子8と入力端子38とを接続して入力端子38から信号入力する状態に設定する(ステップS39)。シグナルジェネレータ14の出力レベルは、出力レベル(RX_BASE_LEV)とする。
【0126】
制御装置6は、受信FE部35内の経路を、増幅器を含まないスルー経路に設定する(ステップS40)。
【0127】
信号受信部23は、受信レベル(RX_BASE_LEV_SPX)を測定する。この受信レベル(RX_BASE_LEV_SPX)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS41)。
【0128】
制御装置6は、受信切替部33の入力信号が分波器36側になるよう受信切替部33に含まれる切替SWを設定し(ステップS42)、シグナルジェネレータ14からの信号を入出力端子8経由で入出力端子39から入力するよう設定する(ステップS43)。
【0129】
信号受信部23は、受信レベル(RX_BASE_LEV_DPX)を測定する。この受信レベル(RX_BASE_LEV_DPX)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS44)。
【0130】
[試験装置1の工場出荷後校正]
次に、ユーザが実施する試験装置1の工場出荷後校正について、
図10〜
図12を用いて説明する。
【0131】
図10は、試験装置1の工場出荷後校正のメインフローチャートである。
図10に示すように、試験装置1は、送信系の工場出荷後校正(ステップS4)と、受信系の工場出荷後校正(ステップS5)と、を行う。
【0132】
[送信系の工場出荷後校正]
図11は、
図10に示したステップS4で実行される送信系の工場出荷後校正のフローチャートである。なお、初期状態は、送信LB切替部21が送信FE部30側に接続され、送信FELB切替部31が送信切替部32側に接続され、送信切替部32が出力端子37側に接続されているものとする。
【0133】
制御装置6の出力調整部6bは、切替部209に接点209aを選択させてALCオン状態にする(ステップS51)。
【0134】
出力調整部6bは、設定値(TX_ALC_ONDAC)のデータを記憶部4から読み出す(ステップS52)。
【0135】
出力調整部6bは、読み出した設定値(TX_ALC_ONDAC)のデータを第1レベル調整部206に設定する(ステップS53)。
【0136】
制御レベルモニタ部210は、可変減衰器203の制御レベルを読み取り、そのデータを出力調整部6bに送出する。出力調整部6bは、その時の可変減衰器203の制御レベル(TX_ALC_OFFDAC)のデータを記憶部4に記憶する(ステップS54)。これにより、信号発生部20の出力端子211における経時や温度変化によるレベル変動を補正(校正)することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0137】
信号受信部23は、順次、1つの増幅器305のみを通る増幅器経路ごとに、受信レベル(TX_AMPn_LEV2)を測定する。この受信レベル(TX_AMPn_LEV2)のデータは、出力調整部6bによって記憶部4に記憶される(ステップS55)。
【0138】
制御装置6の補正値算出部6aは、受信レベル(TX_AMPn_LEV)及び受信レベル(TX_AMPn_LEV2)のデータを記憶部4から読み出し、両者の差分(ΔTX_AMPn_LEV)を算出して記憶部4に記憶する(ステップS56)。これが補正値となり、これにより、送信FE部30の増幅器の経時や温度変化によるレベル変動を補正(校正)することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0139】
[受信系の工場出荷後校正]
図12は、
図10に示したステップS5で実行される受信系の工場出荷後校正のフローチャートである。なお、初期状態は、受信LB切替部22が受信FE部35側に接続され、受信FELB切替部34が受信切替部33側に接続され、受信切替部33が入力端子38側に接続されているものとする。
【0140】
制御装置6は、切替部209に接点209aを選択させてALCオン状態にする(ステップS61)。
【0141】
制御装置6は、送信LB切替部21及び受信LB切替部22に含まれる各切替SWを切り替えて、送信LB切替部21の出力側が受信LB切替部22になるよう、また受信LB切替部22の入力側が送信LB切替部21になるよう第2のループバック経路2aを設定する(ステップS62)。
【0142】
信号受信部23は、受信レベル(RX_ALC_LEV2)を測定する。この受信レベル(RX_ALC_LEV2)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS63)。
【0143】
制御装置6の補正値算出部6aは、受信レベル(RX_ALC_LEV)及び受信レベル(RX_ALC_LEV2)のデータを記憶部4から読み出し、両者の差分(ΔRX_ALC_LEV)を算出して記憶部4に記憶する(ステップS64)。これが補正値となり、これにより、信号受信部23の経時や温度変化によるレベル変動を補正(校正)することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0144】
制御装置6は、第2のループバック経路2aの設定を解除し、第1のループバック経路3aを設定する(ステップS65)。すなわち、制御装置6は、送信LB切替部21及び受信LB切替部22に含まれる各切替SWを切り替えて、送信LB切替部21の出力側が送信FE部30になるよう、また受信LB切替部22の入力側が受信FE部35になるよう設定することにより第2のループバック経路2aの設定を解除する。また、制御装置6は、送信FELB切替部31及び受信FELB切替部34に含まれる各切替SWを切り替えて、送信FELB切替部31の出力側が受信FELB切替部34になるよう、また受信FELB切替部34の入力側が送信FELB切替部31になるよう第1のループバック経路3aを設定する。
【0145】
信号受信部23は、順次、1つの増幅器353のみを通る増幅器経路ごとに、受信レベル(RX_AMPn_LEV2)を測定する。この受信レベル(RX_AMPn_LEV2)のデータは、制御装置6によって記憶部4に記憶される(ステップS66)。
【0146】
制御装置6の補正値算出部6aは、受信レベル(RX_AMPn_LEV)及び受信レベル(RX_AMPn_LEV2)のデータを記憶部4から読み出し、両者の差分(ΔRX_AMPn_LEV)を算出して記憶部4に記憶する(ステップS67)。これが補正値となり、これにより、受信FE部35の増幅器の経時や温度変化によるレベル変動を補正(校正)することができ、工場出荷時と同等の信号レベルが得られることとなる。
【0147】
[送信系及び受信系の補正値]
試験装置1は、前述の各校正時に求めた補正値を適用して試験を実施する。以下、送信系及び受信系の補正値を整理する。
【0148】
[送信系の補正値]
以下、出力端子37を用いて信号をDUT11に出力することをSPXで表し、入出力端子39を用いて信号をDUT11に出力することをDPXで表す。
【0149】
校正の基準経路であるSPXスルー経路(送信FE部30がスルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0150】
[数1]
CMP=TX_ALC_OFFDAC
【0151】
SPX合成器経路(送信FE部30の増幅器スルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0152】
[数2]
CMP=TX_ALC_OFFDAC+OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC, ΔTX_FELBx_LEV)
【0153】
SPX合成器経路と増幅器経路とを組み合わせた経路での補正値CMPは次式で示される。
【0154】
[数3]
CMP=TX_ALC_OFFDAC+OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC, ΔLEV)
ただし、ΔLEV=ΔTX_FELBx_LEV+ΔTX_AMPn_LEV
【0155】
DPXスルー経路(送信FE部30がスルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0156】
[数4]
CMP=TX_ALC_OFFDAC+OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC, ΔTX_SPX_DPX)
【0157】
DPX合成器経路(送信FE部30の増幅器スルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0158】
[数5]
CMP=TX_ALC_OFFDAC+OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC, ΔLEV)
ただし、ΔLEV=ΔTX_FELBx_LEV+ΔTX_SPX_DPX
【0159】
DPX合成器経路と増幅器経路とを組み合わせた経路での補正値CMPは次式で示される。
【0160】
[数6]
CMP=TX_ALC_OFFDAC+OFFDAC_TABLE(TX_ALC_OFFDAC, ΔLEV)
ただし、ΔLEV=ΔTX_FELBx_LEV+ΔTX_AMPn_LEV+ΔTX_SPX_DPX
【0161】
[受信系の補正値]
以下、入力端子38を用いてDUT11から信号を入力することをSPXで表し、入出力端子39を用いてDUT11から信号を入力することをDPXで表す。
【0162】
まず、受信系の補正値を次式で定義する。
【0163】
[数7]
補正値[dBFS]=基準レベル測定値[dBFS]+経時・温度変化による測定値差[dBFS]+経路による測定値差[dBFS]
【0164】
SPXスルー経路(受信FE部35がスルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0165】
[数8]
CMP=RX_BASE_LEV_SPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2
【0166】
SPX分配器経路(受信FE部35の増幅器スルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0167】
[数9]
CMP=RX_BASE_LEV_SPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2+ΔRX_FELBx_LEV
【0168】
SPX分配器経路と増幅器経路とを組み合わせた経路での補正値CMPは次式で示される。
【0169】
[数10]
CMP=RX_BASE_LEV_SPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2+ΔRX_FELBx_LEV+ΔRX_AMPn_LEV
【0170】
DPXスルー経路(受信FE部35がスルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0171】
[数11]
CMP=RX_BASE_LEV_DPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2
【0172】
DPX分配器経路(受信FE部35の増幅器スルー経路)での補正値CMPは次式で示される。
【0173】
[数12]
CMP=RX_BASE_LEV_DPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2+ΔRX_FELBx_LEV
【0174】
DPX合成器経路と増幅器経路とを組み合わせた経路での補正値CMPは次式で示される。
【0175】
[数13]
CMP=RX_BASE_LEV_SPX+RX_ALC_LEV−RX_ALC_LEV2+ΔRX_FELBx_LEV+ΔRX_AMPn_LEV
【0176】
以上のように、本実施形態における試験装置1は、校正レベル出力状態において第1のループバック経路3aを介して信号受信部23が受信した信号レベルに基づいて送信LBFE部30が有する各経路の損失を校正するための補正値を算出するので、校正時間の短縮化を図ることができる。
【0177】
なお、前述の実施形態のステップS19、ステップS38、ステップS55、ステップS66において、1つの増幅器のみを通る経路でスルー経路との差分を求めて補正値としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、試験装置1に精密なレベル確度が要求されない場合は、もっとも多くの増幅器を通る経路(
図4に示した構成では3個の増幅器を経由する経路)での特性の差分を平均化して補正値とすることで、前述の手順は簡略化可能で校正にかかる時間を短縮できる。