【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は一般に、選別装置の分野に関し、特に選別デバイスの中の光走査システムに関し、より詳細には広帯域選別デバイスに関する。そのような選別装置に於いて、光ビームが、選別される製品に向けて誘導され、これらの製品に衝突する。反射光が検出され、この検出された光に基づいて、製品が選別されるか、又は特徴づけられる。
【0015】
広帯域選別という用語により、この文脈に於いて選別とは、紫外と可視、可視と近赤外、及び紫外と可視と赤外など、広いスペクトル範囲に亘って分布する波長を収集することを利用する選別プロセスを意味する。
【0016】
更に、本発明は一般に、食品選別機、光走査システム、食品や樹脂などの製品の走査用、異物除去用、及び水や油の含有量などの品質に基づく選別用など、選別デバイスと組み合わせてフォトニック結晶ファイバを使用することに関する。
【0017】
本発明は一般に、白色光源に関し、より詳細には選別装置における白色光源、例えば広帯域光源、の使用に関する。
【0018】
本発明は特に、フォトニック結晶ファイバの中で生成されるスーパコンティニュームなど、光導波路広帯域スーパコンティニューム光源を有する選別デバイスに関する。
【0019】
本発明は更に、光ファイバ、特にエンドレス・シングル・モード・ファイバを備える光導波路システムを有する選別デバイスに関する。
【0020】
本発明は更に、光を選別装置の焦点調節システムの中に誘導するために、エンドレス・シングル・モード光ファイバを使用することに関する。
【0021】
本発明は更に、選別装置の中で、前記導波路ベースのスーパコンティニューム光源及び前記エンドレス・シングル・モード導波路システムを使用することに関する。
【0022】
以下に、本発明による光システムに関連して、この選別装置について簡単に説明し、続いて従来技術について簡単に説明する。
【0023】
本発明による選別デバイスの光レーザ走査システムは、簡潔には、
1)スーパコンティニューム放射源を備える光送出側と、
2)ポリゴン・ミラーなどの走査要素と、
3)検出手段を備える光受信側と
を有する。
【0024】
送出側は、焦点調節システムを介して小面積即ちスポットで、選別される製品を照らすための光源を備える。一般に、選別パラメータ及び選別される品目を増すために、選別プロセスには複数の波長が必要である。
【0025】
従来技術によれば、この目的のために、マルチ−ライン・レーザ・システムが使用されるか、又はダイクロイック・ミラーを使用して、異なる波長のレーザが、単一ビームの中に組み合わされる。選別プロセスのために、これらの複数の光源の光ビームが、同様のスポット・サイズを有し、選別する品目の同一スポットに一致するか又は重なり、それにより選別の効率及び精度が向上することが重要である。
【0026】
例えば、従来技術の特許出願である欧州特許第0620051号(米国特許第5729473号に相当)及び欧州特許第0736339号に於いて、果物や野菜などの製品の選別が、単色ビーム、例えば赤外波長、と組み合わされた、離散的ないくつかの予備選択された波長から成り、単一スポットの中に重ね合わされた、多色ビームを用いた照明により、実施される。これらの用途の欠点は、離散的なレーザ線の入手可能性に左右されること、及び既に述べたように、複数の光ビームを重ね合わせることの煩雑さである。
【0027】
マルチ・ライン・レーザからの光ビームが、1本の光ファイバの中に組み合わされることが、米国特許第5729473号の文献から知られている。個別の色である赤、緑及び青を含むマルチ・ライン・レーザの出力は、最初に1本の光ファイバの中で組み合わされ、その後、自由空間の中で赤外光源と組み合わされる。それ故、言及した特許の中で開示される方法は、広帯域選別用途に特に適しているものではない。光導波路の前記方法を広帯域用途に使用する欠点は、光導波路の遮断波長より低い波長のマルチ・モード特性、及びある高い波長を超える場合の高い損失であり、即ち、基本モードにおける誘導が、狭帯域の動作窓の中でのみ可能であることである。選別の目的に対して、光ビームのマルチ・モード誘導は、不規則で大きなスポット・サイズをもたらし、それ故、分解能、効率及び精度が低下する結果となる。このことは、広帯域選別用途の場合のように、スペクトル的に広く離れている波長の場合に、特に当てはまる。広帯域選別用途に於いて、複数の光源の波長は、通常、488nm、830nm及び980nmなど、可視と近赤外の範囲内にあるが、これらの波長だけに限らず、350nmと488nmの間のUV波長、並びに1100nmから3μmまでの赤外波長をも含むことができる。特に、1100nmと1600nmの間の波長範囲は、選別する品目の水と油の吸収特性のために、重要である。また、1000nmと3000nmの間の波長は、樹脂材料を選別するために重要である。
【0028】
最近の広帯域選別技術の欠点は、市販のレーザ源の多く、又は一般的なレーザ技術ですら、広帯域選別プロセスに必要な極めて特定の波長に適合できないことである。最近のマルチ・ライン・レーザ源の更に別の欠点は、含まれる波長の総数が限られていることである。それ故、多くの状況下で依然として、レーザ源は、上述のような、結果として生じる欠点を有する結合光学機器によって、単一のビームの中に結合されなければならない。
【0029】
選別デバイスに於いてレーザ源を使用する代わりに、ハロゲン電球などの広帯域光源が使用されうる。伝統的な広帯域の又は白色の光源が、選別機で使用されることは、例えば米国特許第5333739号又はロシア特許2012430号の文献から知られている。今までは、これらのシステムで使用されるこれらの光源は、例えば、キセノン又はタングステン−ハロゲンの電球など、高輝度放電ランプ(HID)、或いは発光ダイオード(LED)、特に超高輝度LED(SLED)であった。しかし、これらの光源は、明るさ及び/又はスペクトル幅及びスペクトル形状のいずれかにより制限を受ける。例えば、キセノン・ランプは、低い空間コヒーレンスを有し、そのことが、低い照明効率を結果としてもたらす。
【0030】
これらの光源に加えて、流体検査システムに於いて、石英ハロゲン電球の光が、石英ガラス光ファイバ・ケーブルの中に収束されることが、米国特許第5333739号の文献から知られている。HID電球又は通常の電球の光が光ファイバの中で結合する効率は、一般に非常に低い。
【0031】
本発明の目的は、上記の欠点及び問題を改善することにある。
【0032】
この目的のために、本発明による選別デバイスは、製品の流れの中で製品を特徴づけるための、スーパコンティニューム放射源を備える。このスーパコンティニューム放射源は、広帯域スペクトルを有する光ビーム、特にコヒーレント光ビームを生成し、光が、製品により散乱及び/又は反射されるように検出ゾーンの中で前記製品上に衝突し、それにより、検出手段が、前記散乱光及び/又は反射光を検出するために設けられ、前記検出手段が、製品を特徴づけるために処理ユニットと協働する。
【0033】
スーパコンティニュームの現象は、媒体との非線形相互作用によるシード・レーザ光のスペクトルの広がりとして、最もよく説明される。前記シード・レーザ源は、パルス波又は連続波のいずれでもありうる。前記スーパコンティニュームは、とりわけ、材料の非線形性と分散、並びに材料を通して伝播する光の波長と輝度の両者に応じて、種々の材料の中で生成されうる。スーパコンティニュームが、光導波路の中で、より具体的には光ファイバの中で生成されうることは、ファイバ光学の分野でよく知られている。光ファイバは、コア領域への高いモードフィールド閉じ込めの利点を有し、そのことが局部的輝度と非線形相互作用を増加させる。
【0034】
ごく最近、スーパコンティニューム発生(SCG)が、フォトニック結晶ファイバ(PCF)の中で初めて達成された(J.K.Ranka、R.S.Windeler、及びA.J.Stentz、「Visible continuum generation in air−silica microstructure fibers with anomalous dispersion at 800nm」、Opt.Lett.25、25〜27(2000))。これらの光ファイバを使用する利点は、モードフィールド、分散及び非線形プロセスを画定するファイバ・パラメータを制御することであり、それらは、スーパコンティニュームの特性を画定するための、媒体の主要な設計パラメータである。フォトニック結晶ファイバ(PCF)における非線形性は、モードフィールド径を減少させ、光を固体コア領域に閉じ込め、輝度を増し、それ故コア材料との非線形相互作用を増すことにより、強化されうる。PCFは、コア領域とエア・クラッドの間の高い屈折率差により、コア領域への高度のモード閉じ込めを得るためには、特に有利である。又、高度非線形ファイバ(HNLF)が、スーパコンティニュームを生成するために使用されうる。これらのHNLFは、通常、小さな有効面積と、低く平坦な分散特性を示す(「Pulsed and continuous−wave supercontinuum generation in highly nonlinear,dispersion−shifted fibers」、J.W.Nicholson、Appl.Phys.B77、2003年)。
【0035】
PCFと比較したとはいえ、HNLFを含む光ファイバの古典的設計は、極めて低い、分散特性の設計の自由度を示す。分散特性は、非常に重要であり、分散がゼロである波長は、特に重要である。超広帯域スーパコンティニュームは、分散の特異な領域における波長、及びゼロ分散波長に近い波長を有する高輝度パルス・レーザでPCFをポンピングすることにより生成されうる(Genty、「Route to supercontinuum」、Proceedings CLEO2002)。PCFにおける分散特性の設計の自由度の他の利点は、特性が、低コストポンプ・レーザの波長に適合させうることである(S.G.Leon−Saval、T.A.Birks、W.J.Wadsworth and P.St.J.Russell、M.W.Mason、「Supercontinuum generation in submicron fibre Waveguides」、Optics Express、Vol.12、No.13、2864頁)。
【0036】
更に別の利点は、スペクトルがUVから中赤外まで及ぶように(「Generation of High−Power Femtosecond Pulse and Octave−Spanning Ultrabroad Supercontinuum Using All−Fiber System」、J.Takayanagi、N.Nishizawa、H.Nagai、M.Yoshida、T.Goto、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.17、NO.1、2005年)、又は輝度の強化が特定の波長範囲内だけで達成されるように(「Supercontinuum generation in a fibre grating」、P.S.Westbrook、J.W.Nicholson、K.S.Feder、Y.Li、T.Brown、APPLIED PHYSICS LETTERS VOL.85、NO.20、2004年)、スペクトル幅が設計されうることである。最近、スーパコンティニュームは、カルコゲニドなどの非シリカ・ガラスの中で示されており、シリカのバックグラウンド減衰が非常に増加する、2000nmを超える波長まで広がった(L.B.Shawら、Adv.Solid State Photonics Tech.Digest、paper TuC5、Austria(2005年2月6〜9日))。スーパコンティニューム光源は、現在、市販されており、通常、UVから近赤外にまたがるスペクトル領域を有し、高いスペクトル密度と高い空間コヒーレンス長さを示す。PCFの中のスーパコンティニューム発生に基づく、最初の市販されている白色光源の1つは、例えば、2004年に、デンマークのKoheras A/S社から出された。
【0037】
フォトニック結晶ファイバの設計の自由度は又、シリカの全透過窓に亘って真のシングル・モード誘導の可能性を開いた。このファイバ、エンドレス・シングル・モード・ファイバは、国際公開第00/37974号の特許出願から知られている。特定の種類の導波路を使用して、シングル・モード誘導が、非常に広いスペクトル範囲に亘って達成されうることが、フォトニック結晶ファイバ(PCF)(Birks、T.A.、Knight、J.C.、及びRussel、P.St.J.、「Endlessly single−mode photonic crystal fiber」、Opt.Lett.、1997、22、961頁)の分野で知られている。従来のシングル・モード光導波路は、遮断される下方の波長と、その波長を超えると損失が誘導を凌駕する上方の波長とで制限される、動作窓を有する。遮断波長の下方では、誘導は、基本モードに加えて高次モードにあり、それ故マルチ・モードにあり、より大きくより不規則なスポットを結果としてもたらす。この問題は、例えば、それぞれアフラトキシンと水の吸収に対する選別波長である365nmと980nmの波長のように、波長がスペクトル的に互いに広く離れている環境に於いて、特に厳しい。
【0038】
ESM導波路は、典型的には、入念に設計された空気孔格子のクラッドにより取り囲まれる固体コアを用いて設計される。クラッドは、コアとの屈折率差を引き上げ、それ故コア内に光を閉じ込める。低い波長は、主としてコア領域にのみ閉じ込められ、場のテール、即ちエバネセント場のテールがクラッドの中に貫入することはほとんどない。この状況は、エア・クラッドを持たない古典的なシングル・モード・ファイバと比較可能である。又、波長を増大させると、クラッドの中の光場即ちエバネセント場のテールが増大する。場がクラッドの中に貫入すればするほど、コアとの屈折率差が大きくなり、それ故クラッド有効屈折率は、波長に強く左右され、それ故光がシングル・モードに留まることが、数学的に又実験的に示されうる。
【0039】
スーパコンティニューム光源は、容易に、種々の用途で使用される。以下に、最近の開発のいくつかを要約する。
【0040】
顕微鏡検査におけるスーパコンティニュームの使用が、例えば、従来技術の「Chromatic confocal microscopy using supercontinuum light」、K.Shi、P.Li、S.Yin、Z.Liu、Optics Express、Vol.12、No.10、2004年、及び「Confocal laser scanning fluorescence microscopy with a visible continuum source」、G.McConnell、Optics Express、Vol.12、No.13、2004年で知られている。それらの記事は、構造の3次元マッピングを可能にする焦点調節システムの色収差を使用して、異なる深さレベルで、スーパコンティニューム光源の出力から直接収束された、スーパコンティニュームのスペクトル成分を記載している。
【0041】
好適には、本発明による選別デバイスは、エンドレス・シングル・モード・ファイバの基本モードの中に偏光された広帯域高輝度光源を有し、即ち、非線形ファイバとエンドレス・シングル・モード・ファイバが、一体型に組み合わされている。
【0042】
可能性として、シングル・モード問題(issues)の場合、これは、NLFとESMFの組合せでありうる。
【0043】
また、最近の多重レーザをESMFの中に結合させる組合せが可能である。
【0044】
ESMFを利用することの他の利点は、全スペクトルに亘って回折が制限されたビーム幅である。
【0045】
スーパコンティニューム光源により生成される光ビームにおける有効波長のコンティニュームが、従来技術の選別装置でなしえなかった製品を選別すること、且つ/又は(例えば、樹脂を選別するため、又は油/水の含有量に基づいて製品を選別するための)技術を適用することを可能にすることに留意することも重要である。
【0046】
本発明に於いて、スーパコンティニューム光源は、選別デバイスの中で使用される。
【0047】
本発明による選別デバイスの有利な一実施例に於いて、全光導波路ベースのスーパコンティニューム光源が使用される。
【0048】
この光導波路は、フォトニック結晶ファイバであることが好ましい。
【0049】
本発明の特定の興味深い実施例に於いて、このフォトニック結晶ファイバは、エンドレス・シングル・モード・ファイバである。
【0050】
前記スーパコンティニューム光源の光は、エンドレス・シングル・モード・ファイバ(ESMF)により選別デバイスの中に誘導されることが好ましい。
【0051】
本発明によれば、ESMFにより、少なくとも2つのレーザ源の光を選別デバイスの中に誘導することができる。
【0052】
エンドレス・シングル・モード・ファイバから発生する光ビームは、選別される製品上の小さな単一スポットの中に収束させられる。
【0053】
選別デバイスの中でスーパコンティニューム光源を使用する利点は、極めて広いスペクトル範囲の中で全ての波長を利用できることである。スーパコンティニューム光源の広いスペクトルは、任意の特定の波長、又は特定の波長の任意の組合せを選択するための、高い自由度を提供する。このことが、そうでなければ例えば半導体レーザ源又はバルク・レーザ源などのレーザ源などの他の光源で達成することが困難なはずの波長を選択することを可能にする。選別システムの中で特定の波長の組合せを選択する可能性は、色彩選別又は蛍光選別など、選別原理の異なる分野の中の選別選択パラメータの数が増加されうるという利点を有する。選別選択パラメータの数の増加は、結果として、より効率的で正確な選別システムをもたらすだけでなく、選別される品目の種類の増加をもたらす。選別デバイスの中でスーパコンティニュームを使用することで、例えば、ナッツやオリーブなどの製品の選別に於いて特別な関心がある、製品の油及び水の含有量に基づいて製品を選別する道を拓くことができる。
【0054】
選別デバイスの中で、レーザ及び/又はマルチ・ライン・レーザと比較してスーパコンティニューム光源を使用する他の利点は、選別される製品により反射される光を受けている製品又は検出器のいずれかの上に入射する全出力を選択する柔軟性である。このことは、帯域幅フィルタ又は帯域通過フィルタを備えることにより制御可能であり、これらのフィルタは、光源のすぐ後ろか又は検出器の前のいずれかに置かれる。帯域幅は、選択された帯域通過の波長範囲の中で、送出された出力に直接比例し、いくぶん、それは、レーザ源として適切ではない。このようにして、製品上に衝突している高出力ビームを得るために、低出力のスーパコンティニューム光源が、高帯域幅の帯域通過フィルタと組み合わされうる。低出力のスーパコンティニューム光源は、信頼性と利便性に対する利点を有する。レーザ駆動の機械の利便性は、レーザ・クラスにより制限され、ユーザの安全に関して選別機の設計に対する要件が画定される。低出力は又、光部品への熱負荷が低いため、信頼性水準が増すことが期待される。
【0055】
選別デバイスの中でスーパコンティニューム光源を使用することは、そこから選別波長が選択されうる非常に広いスペクトルに亘って、高いスペクトル密度で分割され、レーザ光の典型的な特性、即ち高度のコリメーション、高輝度の能力をもたらすという利点を有する。単一の光源だけが必要とされるという別の利点があり、経済的に、即ち必要な予備光源の備蓄がより少ない点で、またシステム設計の複雑さが減るという観点からも有利である。
【0056】
他の利点は、フォトニック結晶ファイバの中で生成されるスーパコンティニューム光源の偏光状態の制御である。例えば、濡れた製品又はよく反射する製品を選別するために、偏光は極めて重要である。生成されたスーパコンティニュームは、非偏光、即ち偏光状態が、光源の出力に於いて楕円形である可能性があり、後で、Glan−Thompsen又はGlan−Taylorのポラライザなど、広帯域偏光ビーム・スプリッタで偏光されうる。
【0057】
より有利には、スーパコンティニュームは、偏光保持フォトニック結晶ファイバの偏光状態のうちの1つに於いて、生成されうる。
【0058】
更に他の有利な点は、スーパコンティニュームはPCFの中で生成され、それ故、光誘導システム内の無視できる損失、又はESMFなどの光ファイバなど、導波路システムとの無視できる結合損失を考慮すると、生成された光のほぼ100%が、選別を目的とする選別システムの中に誘導されうることである。キセノン・ランプと比較すると、光ファイバとの結合損失が著しいため、全輝度のほんの一部しか、例えば光ファイバの中に結合されえないであろう。
【0059】
他の広帯域光源、例えばHID(高輝度放電)電球などと比較すると、スーパコンティニューム光源は、HID電球などの従来の白色光源の場合より約3桁大きい、非常に高いスペクトル密度及び輝度の利点を有する。他の利点は、スペクトルが、2オクターブ超に亘って広がることができることである(D.A.Akimovら、「Spectral superbroadening of subnanojoule Cr: forsterite femtosecond laser pulses in a tapered fiber」、J.Catal.74、460−463(2001))。このことは、1100nmを超え、特に2000nmと3000nmの間の波長範囲における使用に、特にふさわしい。
【0060】
ESMファイバの中でスーパコンティニュームを生成することは、生成されたスペクトルが、基本モードのみと結合され、それ故それが真のシングル・モードであるという利点を有する。基本モード内での誘導は、発生する光を単一の小さなスポットの中に収束させることを可能にし、そのことが、スポット・サイズと逆比例する走査の解像度を改善する。基本モード内での光の誘導は又、曲げ損失に対して非常に低い感受性を示す。更に、基本モード内での光の誘導は、外部の機械振動又は音響振動に対して感受性を示さない。このことは、異なるレーザ・ビームが、単一スポットの中に重なるように、結合光学機器を介して結合されるレーザ・システムに対する、著しい改善である。ESMファイバの中でスーパコンティニューム光を生成する他の利点は、異なるレーザ源のビームの完全な重なりを確保するために、結合光学機器の据え付けとメンテナンスの両方に必要な人手が、削減されることである。選別デバイスの中でESMファイバを使用する他の利点は、ステップ屈折率ファイバの伝送帯域幅を超えて離隔する波長を有する複数のレーザが、今や、基本モードの中だけで結合され誘導され、スポット特性が改善されうることである。
【0061】
本発明による選別デバイスの好ましい一実施例に於いて、スーパコンティニュームは、光ファイバの中で生成される。このことは、スーパコンティニュームの広帯域スペクトルが光ファイバの中に生成され、そのスペクトルが、直接、光焦点調節システムの中に結合されうるか、又は低い結合損失で、エンドレス・シングル・モード・ファイバなどの光導波路システムの中に結合されうる、という利点を有する。スーパコンティニューム・ファイバ光源の出力における全てのスペクトルが、自動的に重ね合わされ、整合されて、単一スポットの中に収束されうることが、他の利点である。
【0062】
好ましい一実施例に於いて、前記光ファイバは、フォトニック結晶ファイバ(又は、ホーリーファイバ、又は、マイクロ構造ファイバ)である。このファイバは、スーパコンティニュームのスペクトルが、クラッドの穴あき構造の設計パラメータにより個別に作製されうるという利点を有する。このファイバは又、ポンプ波長が市販のレーザ源に適合するように、ポンプ波長が選択されうるという利点を有する。
【0063】
好ましい一実施例に於いて、前記フォトニック結晶ファイバは、エンドレス・シングル・モード・ファイバである。このエンドレス・シングル・モード・ファイバは、生成されるスーパコンティニュームが、全スペクトル範囲に亘って基本モードの中でのみ結合されるという利点を有する。
【0064】
このことは、例えば、最低のゼロ分散点を1060nmなど、より高い波長に於いて選択することにより実施可能であり、遮断波長は、したがって、300nmなど、より低い波長にシフトされる。
【0065】
一実施例に於いて、前記光ファイバは、高非線形ファイバ(HNLF)である。
【0066】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームは、前記PCF又はHNLFの第1の部分の中で生成され、同じPCF又はHNLFの第2の部分の中で選別システムの中に誘導される。このことは、他のファイバとの接合が不要であり、光は1本のファイバで選別システムの中に誘導されうるという利点を有する。
【0067】
一実施例に於いて、前記光ファイバの中で生成されたスーパコンティニュームの光は、エンドレス・シングル・モード・ファイバの中に直接結合される。このことは、波長の広いスペクトルが、ESMFの基本モードの中で誘導可能であり、そのスペクトルの光が、真のシングル・モード状態の中で伝播することを可能にするという利点を有する。他の利点は、光源のスペクトル、又はスペクトルの一部分がマルチ・モードであれば、光は、ESMファイバのみの基本モードの中で誘導されることである。基本モードのガウス形は、ESMFの出力端から発生する光が、可能な限り最小で最も均一なスポット・サイズに収束されうるという利点を有する。このことは、選別デバイスに有利である。というのは、より小さいスポット・サイズが選別の解像度を高め、それ故選別効率を高め、可能な限り最小の欠陥を検出するからである。選択波長の数の増加をもたらす非常に広いスペクトル範囲の中で空間シングル・モード光を誘導できる導波路システムを持つことは、選別デバイスに於いて特に有利である。
【0068】
一実施例に於いて、ESMファイバが、分類する製品上に光を収束させるためのシステムを通して、選別デバイスの中に光を誘導するために使用され、そこでは、焦点調節システムは、独立したユニットであってよく、又はESMファイバに直接取り付けられてよい。焦点調節システムの中に光を誘導するためにESMファイバを使用することは、スーパコンティニューム光源のスペクトルの全範囲の波長が、或いは多重レーザ源を使用する場合などでスペクトル的に広く離れている波長が、基本モードの中で誘導され、シングル・モードであるという利点を有する。シングル・モードの中での誘導は、光が、焦点調節システムにより、選別対象の上の、可能な限り最小で最も均一なスポットに収束されうるという利点を有する。
【0069】
他の実施例に於いて、本発明の目的は、1つのスーパコンティニューム光源を使用するだけでなく、ESMファイバの中に結合された2つ又はそれ以上のレーザを含むことも可能である。このことは、広く広がった波長を有するレーザ、即ちシングル・モードのステップ屈折率ファイバの伝送帯域幅を超えるレーザが、ESMファイバの基本モードの中で誘導され、ビームが重ね合わされる単一スポットの中に収束されうるという利点を有する。
【0070】
一実施例に於いて、光ファイバのゼロ分散波長は、スーパコンティニューム光源で使用されるような低コストのポンプ・レーザの波長に接近して位置する。
【0071】
一実施例に於いて、小サイズで低コストのポンプ・レーザが使用される。このことは、スーパコンティニューム光源の全体のサイズが縮小されうるという利点を有する。
【0072】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームが、UVから、2μmから3μmまでの範囲の中赤外域まで生成される。このことは、選別パラメータが、典型的にはUV、可視域、近赤外域の範囲の波長、更には赤外域、特に2μmから3μmまでの波長範囲、の波長を有する選別デバイスに、特にふさわしい。2μmと3μmの間の範囲は、例えば樹脂など、この範囲内に典型的な吸収スペクトルを有する材料を選別することを可能にする選別機に、特にふさわしい。
【0073】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームが生成されるPCFの材料は、セレン化物PCFなどのカルコゲニド(「Chalcogenide optical fibers target mid−IR applications」、J.S.Sangheraら、Laser Focus World、2005年4月、83f頁)など、非シリカである。非シリカ材料を使用する利点は、中赤外域の波長範囲に於いて、損失がより少ないことである。それ故、非シリカ材料は、2000nmを十分に超し、3000nmを十分に超すスーパコンティニュームを生成することを可能にさせうる。
【0074】
一実施例に於いて、帯域通過フィルタの幅は、選別する製品に(入口フィルタリング)、又は検出器に(検出側フィルタリング)、入射する全出力を調節するように選択されうる。選別する製品又は検出器に入射する出力は、フィルタの帯域通過の帯域幅と直接比例する。
【0075】
他の実施例に於いて、多重波長フィルタが、スーパコンティニューム光源の出力に配置される。このことは、選別デバイスの自由空間領域に結合される全光出力が著しく削減されうるという利点を有する。このことは、改善される利便性に関して特に有利であり、利便性は、使用される光源のレーザ・クラスにより制限される。
【0076】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームの輝度は、特定の波長範囲に於いて強められる。これらの波長範囲における輝度の強化は、結果的に、信号対ノイズ比を改善する。輝度の強化は、選別デバイスに特にふさわしい。というのは、結果として改善される信号対ノイズ比が、選別デバイスの中で低コストの光検出器を使用することを可能にするからである。
【0077】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による選別デバイス及び方法のいくつかの具体的な実施例についての以下の説明から明らかとなろう。この説明は、実例としてのみ与えられ、特許請求の範囲の保護の範囲をいかなる形に於いても限定することはなく、以下に使用される参照図は、添付の図面を参照する。