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特開2016-6437広スペクトル光源を有する選別デバイスとその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-6437(P2016-6437A)
(43)【公開日】2016年1月14日
(54)【発明の名称】広スペクトル光源を有する選別デバイスとその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20151211BHJP
   G02F 1/365 20060101ALI20151211BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20151211BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G02F1/365
   G01N21/85 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-190131(P2015-190131)
(22)【出願日】2015年9月28日
(62)【分割の表示】特願2010-523241(P2010-523241)の分割
【原出願日】2008年9月3日
(31)【優先権主張番号】07447051.9
(32)【優先日】2007年9月3日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510059103
【氏名又は名称】ベルジアン エレクトロニック ソーティング テクノロジー、エヌ.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルグマンズ、ポール
【テーマコード(参考)】
2G051
2K102
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA08
2G051BA10
2G051BB11
2G051BB17
2G051BC05
2G051CB01
2G051CB05
2G051CC11
2G051CC15
2G051CD03
2K102AA06
2K102BA20
2K102BB03
2K102BC01
2K102BD09
2K102DA06
(57)【要約】
【課題】多色選別用途におけるマルチ・モードの問題、及び従来のシングル・モード・ファイバの限られた帯域幅(動作窓)という欠点のない選別デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明は、広帯域光源と選別デバイスとを備えるシステムに関し、より詳細にはレーザ式選別デバイスに関する。本発明の目的は、選別プロセスに対して全ての波長を提供する光源を有する選別デバイスを備えるシステムを提供することにある。このことは、全ファイバ・スーパコンティニューム光源を使用することにより解決される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域スペクトルを有する光ビームを生成する放射源と、検出ゾーンを通して製品を移動させる手段とを用いて、製品の流れの中で製品を特徴づけるための選別デバイスであって、前記光ビームが前記検出ゾーンの中で前記製品に衝突し、それにより、前記製品により光が散乱及び/又は反射され、検出手段が、前記散乱光及び/又は反射光を検出するために設けられ、前記検出手段が前記製品を特徴づけるための処理ユニットと協働する、デバイスにおいて、前記放射源がスーパコンティニューム放射源を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
製品の流れを検査する方法であって、少なくとも1本の光ビームが前記製品の流れに向けて誘導され、前記製品が検出ゾーンを通って特定の方向に移動し、それにより、前記光ビームが前記製品により少なくとも部分的に散乱及び/又は反射され、前記製品が、測定された散乱光及び/又は反射光に基づいて選別される、方法において、前記光ビームがスーパコンティニューム放射源により生成されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品における不ぞろいを検出するための方法及び選別装置に関し、少なくとも1本の光ビームが、可動鏡によりこの製品に向けて誘導され、製品が、検出ゾーンを通って特定の方向に移動し、それにより、製品の経路を横断して動くことが好ましい前記光ビームが、前記製品によって少なくとも部分的に散乱及び/又は反射される。散乱光及び/又は反射光は、製品を特徴付けて選別するために、少なくとも1つの検出器によって検出される。
【背景技術】
【0002】
そのような選別装置は、例えば、従来技術文書である米国特許第6864970号、米国特許第4723659号、欧州特許第0952895号及び欧州特許第1012582号で開示されている。
【0003】
レーザ式選別デバイスに於いて、製品は、一連の選択パラメータ、例えば吸収、蛍光発光、散乱、又は偏光の状態を含む、様々な選別原理によって選別される。大部分の選別原理は、レーザ源の一連の特定の離散的な波長に基づく。
【0004】
しかし、選別プロセスに関連する多くの極めて特定のレーザ波長は市販されていないか、或いは、そのレーザ源は、大きく且つ/又は高価であり、且つ/又は信頼性がない。更に、他の問題は、いくつかのレーザを1つの選別システムの中に組み合わせることであり、そのことが、光システムの複雑さを増し、予備のレーザ光源の大量の備蓄を必要とする。
【0005】
1つの選別装置の中でいくつかのレーザ源が使用されるとき、これらのレーザ源のビームは、単一のビームに組み合わされる。しかし、多くの場合、レーザ源のビームの断面形状は、互いに異なる。更に、多くのレーザ・ビームは楕円形の断面を有し、それ故これらのレーザ・ビームを、一様で均質な断面を有する単一のビームに組み合わせることは、極めて困難である。しかし、選別プロセスの精度のためには、選別される製品上に衝突する光ビームの断面が、一様であり、且つ光の周波数の均質な分散を示す断面を有することが重要である。
【0006】
レーザ・ビームの、不規則な表面を有する製品上への衝突が、干渉現象を引き起こす。製品の表面における凹凸の大きさが、衝突するレーザ・ビームの波長と同じ大きさである場合は、特にそうである。したがって、選別デバイスの検出器に於いて、反射された光ビームにより生成される、結果として得られる信号は、限られた精度を有する。
【0007】
更に、現存するレーザ式選別装置は、選別される製品の機能の種類に応じて選択される光の周波数を有する、固定された一組のレーザ源を備える。したがって、特定のレーザ式選別装置は、一定の種類の製品を選別するために、且つ一定の種類の欠陥又は異物を特定するためにのみ、使用可能である。各選別プロセスは、そのプロセス自体の光の周波数を必要とする。そのようなレーザ式選別装置を他の種類の製品の選別ができるように適合させることは、非常にやっかいである。というのは、そのような他の製品を選別するために、他の光の周波数が必要とされる可能性があるからである。
【0008】
選別装置は又、白色光の広帯域光源、例えばキセノン電球などの高輝度放電ランプ(HIDランプ)を備えることができる。これらの広帯域光源に伴う問題は、生成された光が、低い空間コヒーレンス及び明るさ、並びに光ファイバに対して極めて低い結合効率を有することである。更に、HIDランプの使用は、比較的、予熱時間及び再点弧時間の影響を受ける。
【0009】
光源として広帯域電球を用いる選別装置は、その光源が低出力及び低解像度を有するため、満足な結果を与えてはいない。
【0010】
更に、レーザ式選別装置には、限られた数の特定の波長だけのためのレーザ源が利用可能であるという欠点、又は、ある波長に対するレーザ源が、選別装置に使用されるにはあまりに大きい又は高価であるという欠点がある。既存のレーザ式選別装置の他の欠点は、異なる種類のレーザが、個別の特別な電子機器や電源などを必要とするということである。更なる欠点は、複数のレーザ・ビームを1本のビームに組み合わせるダイクロイック・ミラーなど、多数の特別な光学機器を必要とすること、及び、動作中にレーザ・ビームの調整が狂う可能性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6864970号
【特許文献2】米国特許第4723659号
【特許文献3】欧州特許第0952895号
【特許文献4】欧州特許第1012582号
【特許文献5】欧州特許第0620051号
【特許文献6】米国特許第5729473号
【特許文献7】欧州特許第0736339号
【特許文献8】米国特許第5333739号
【特許文献9】ロシア特許2012430号
【特許文献10】国際公開第00/37974号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J.K.Ranka、R.S.Windeler、及びA.J.Stentz、「Visible continuum generation in air−silica microstructure fibers with anomalous dispersion at 800nm」、Opt.Lett.25、25〜27(2000)
【非特許文献2】「Pulsed and continuous−wave supercontinuum generation in highly nonlinear,dispersion−shifted fibers」、J.W.Nicholson、Appl.Phys.B77、2003年
【非特許文献3】Genty、「Route to supercontinuum」、Proceedings CLEO2002
【非特許文献4】S.G.Leon−Saval、T.A.Birks、W.J.Wadsworth and P.St.J.Russell、M.W.Mason、「Supercontinuum generation in submicron fibre Waveguides」、Optics Express、Vol.12、No.13、2864頁
【非特許文献5】「Generation of High−Power Femtosecond Pulse and Octave−Spanning Ultrabroad Supercontinuum Using All−Fiber System」、J.Takayanagi、N.Nishizawa、H.Nagai、M.Yoshida、T.Goto、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.17、NO.1、2005年
【非特許文献6】「Supercontinuum generation in a fiber grating」、P.S.Westbrook、J.W.Nicholson、K.S.Feder、Y.Li、T.Brown、APPLIED PHYSICS LETTERS VOL.85、NO.20、2004年
【非特許文献7】L.B.Shawら、Adv.Solid State Photonics Tech.Digest、paper TuC5、Austria(2005年2月6〜9日)
【非特許文献8】Birks、T.A.、Knight、J.C.、及びRussel、P.St.J.、「Endlessly single−mode photonic crystal fiber」、Opt.Lett.、1997、22、961頁
【非特許文献9】「Chromatic confocal microscopy using supercontinuum light」、K.Shi、P.Li、S.Yin、Z.Liu、Optics Express、Vol.12、No.10、2004年
【非特許文献10】「Confocal laser scanning fluorescence microscopy with a visible continuum source」、G.McConnell、Optics Express、Vol.12、No.13、2004年
【非特許文献11】D.A.Akimovら、「Spectral superbroadening of subnanojoule Cr: forsterite femtosecond laser pulses in a tapered fiber」、J.Catal.74、460−463(2001)
【非特許文献12】「Chalcogenide optical fibers target mid−IR applications」、J.S.Sangheraら、Laser Focus World、2005年4月、83f頁
【非特許文献13】L.B.Shawら、「IR supercontinuum generation in As−Se Photonic Crystal Fiber」、in Advanced Solid State Photonics.、Vol.98 of OSA Proceedings Series(Optical Society of America、Washington、DC.、2005年)、864〜868頁
【非特許文献14】M.D.Nielsen、J.R.Folkenberg、N.A.Mortensen、及びA.Bjarklev、「Bandwidth comparison of photonic crystal fibers and conventional single−mode fibers」、Optics Express 12、430(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
レーザ・ビームを誘導するために光ファイバを使用するレーザ式選別装置は、多色選別用途におけるマルチ・モードの問題を有する。更なる欠点は、従来のシングル・モード・ファイバの限られた帯域幅(動作窓)である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は一般に、選別装置の分野に関し、特に選別デバイスの中の光走査システムに関し、より詳細には広帯域選別デバイスに関する。そのような選別装置に於いて、光ビームが、選別される製品に向けて誘導され、これらの製品に衝突する。反射光が検出され、この検出された光に基づいて、製品が選別されるか、又は特徴づけられる。
【0015】
広帯域選別という用語により、この文脈に於いて選別とは、紫外と可視、可視と近赤外、及び紫外と可視と赤外など、広いスペクトル範囲に亘って分布する波長を収集することを利用する選別プロセスを意味する。
【0016】
更に、本発明は一般に、食品選別機、光走査システム、食品や樹脂などの製品の走査用、異物除去用、及び水や油の含有量などの品質に基づく選別用など、選別デバイスと組み合わせてフォトニック結晶ファイバを使用することに関する。
【0017】
本発明は一般に、白色光源に関し、より詳細には選別装置における白色光源、例えば広帯域光源、の使用に関する。
【0018】
本発明は特に、フォトニック結晶ファイバの中で生成されるスーパコンティニュームなど、光導波路広帯域スーパコンティニューム光源を有する選別デバイスに関する。
【0019】
本発明は更に、光ファイバ、特にエンドレス・シングル・モード・ファイバを備える光導波路システムを有する選別デバイスに関する。
【0020】
本発明は更に、光を選別装置の焦点調節システムの中に誘導するために、エンドレス・シングル・モード光ファイバを使用することに関する。
【0021】
本発明は更に、選別装置の中で、前記導波路ベースのスーパコンティニューム光源及び前記エンドレス・シングル・モード導波路システムを使用することに関する。
【0022】
以下に、本発明による光システムに関連して、この選別装置について簡単に説明し、続いて従来技術について簡単に説明する。
【0023】
本発明による選別デバイスの光レーザ走査システムは、簡潔には、
1)スーパコンティニューム放射源を備える光送出側と、
2)ポリゴン・ミラーなどの走査要素と、
3)検出手段を備える光受信側と
を有する。
【0024】
送出側は、焦点調節システムを介して小面積即ちスポットで、選別される製品を照らすための光源を備える。一般に、選別パラメータ及び選別される品目を増すために、選別プロセスには複数の波長が必要である。
【0025】
従来技術によれば、この目的のために、マルチ−ライン・レーザ・システムが使用されるか、又はダイクロイック・ミラーを使用して、異なる波長のレーザが、単一ビームの中に組み合わされる。選別プロセスのために、これらの複数の光源の光ビームが、同様のスポット・サイズを有し、選別する品目の同一スポットに一致するか又は重なり、それにより選別の効率及び精度が向上することが重要である。
【0026】
例えば、従来技術の特許出願である欧州特許第0620051号(米国特許第5729473号に相当)及び欧州特許第0736339号に於いて、果物や野菜などの製品の選別が、単色ビーム、例えば赤外波長、と組み合わされた、離散的ないくつかの予備選択された波長から成り、単一スポットの中に重ね合わされた、多色ビームを用いた照明により、実施される。これらの用途の欠点は、離散的なレーザ線の入手可能性に左右されること、及び既に述べたように、複数の光ビームを重ね合わせることの煩雑さである。
【0027】
マルチ・ライン・レーザからの光ビームが、1本の光ファイバの中に組み合わされることが、米国特許第5729473号の文献から知られている。個別の色である赤、緑及び青を含むマルチ・ライン・レーザの出力は、最初に1本の光ファイバの中で組み合わされ、その後、自由空間の中で赤外光源と組み合わされる。それ故、言及した特許の中で開示される方法は、広帯域選別用途に特に適しているものではない。光導波路の前記方法を広帯域用途に使用する欠点は、光導波路の遮断波長より低い波長のマルチ・モード特性、及びある高い波長を超える場合の高い損失であり、即ち、基本モードにおける誘導が、狭帯域の動作窓の中でのみ可能であることである。選別の目的に対して、光ビームのマルチ・モード誘導は、不規則で大きなスポット・サイズをもたらし、それ故、分解能、効率及び精度が低下する結果となる。このことは、広帯域選別用途の場合のように、スペクトル的に広く離れている波長の場合に、特に当てはまる。広帯域選別用途に於いて、複数の光源の波長は、通常、488nm、830nm及び980nmなど、可視と近赤外の範囲内にあるが、これらの波長だけに限らず、350nmと488nmの間のUV波長、並びに1100nmから3μmまでの赤外波長をも含むことができる。特に、1100nmと1600nmの間の波長範囲は、選別する品目の水と油の吸収特性のために、重要である。また、1000nmと3000nmの間の波長は、樹脂材料を選別するために重要である。
【0028】
最近の広帯域選別技術の欠点は、市販のレーザ源の多く、又は一般的なレーザ技術ですら、広帯域選別プロセスに必要な極めて特定の波長に適合できないことである。最近のマルチ・ライン・レーザ源の更に別の欠点は、含まれる波長の総数が限られていることである。それ故、多くの状況下で依然として、レーザ源は、上述のような、結果として生じる欠点を有する結合光学機器によって、単一のビームの中に結合されなければならない。
【0029】
選別デバイスに於いてレーザ源を使用する代わりに、ハロゲン電球などの広帯域光源が使用されうる。伝統的な広帯域の又は白色の光源が、選別機で使用されることは、例えば米国特許第5333739号又はロシア特許2012430号の文献から知られている。今までは、これらのシステムで使用されるこれらの光源は、例えば、キセノン又はタングステン−ハロゲンの電球など、高輝度放電ランプ(HID)、或いは発光ダイオード(LED)、特に超高輝度LED(SLED)であった。しかし、これらの光源は、明るさ及び/又はスペクトル幅及びスペクトル形状のいずれかにより制限を受ける。例えば、キセノン・ランプは、低い空間コヒーレンスを有し、そのことが、低い照明効率を結果としてもたらす。
【0030】
これらの光源に加えて、流体検査システムに於いて、石英ハロゲン電球の光が、石英ガラス光ファイバ・ケーブルの中に収束されることが、米国特許第5333739号の文献から知られている。HID電球又は通常の電球の光が光ファイバの中で結合する効率は、一般に非常に低い。
【0031】
本発明の目的は、上記の欠点及び問題を改善することにある。
【0032】
この目的のために、本発明による選別デバイスは、製品の流れの中で製品を特徴づけるための、スーパコンティニューム放射源を備える。このスーパコンティニューム放射源は、広帯域スペクトルを有する光ビーム、特にコヒーレント光ビームを生成し、光が、製品により散乱及び/又は反射されるように検出ゾーンの中で前記製品上に衝突し、それにより、検出手段が、前記散乱光及び/又は反射光を検出するために設けられ、前記検出手段が、製品を特徴づけるために処理ユニットと協働する。
【0033】
スーパコンティニュームの現象は、媒体との非線形相互作用によるシード・レーザ光のスペクトルの広がりとして、最もよく説明される。前記シード・レーザ源は、パルス波又は連続波のいずれでもありうる。前記スーパコンティニュームは、とりわけ、材料の非線形性と分散、並びに材料を通して伝播する光の波長と輝度の両者に応じて、種々の材料の中で生成されうる。スーパコンティニュームが、光導波路の中で、より具体的には光ファイバの中で生成されうることは、ファイバ光学の分野でよく知られている。光ファイバは、コア領域への高いモードフィールド閉じ込めの利点を有し、そのことが局部的輝度と非線形相互作用を増加させる。
【0034】
ごく最近、スーパコンティニューム発生(SCG)が、フォトニック結晶ファイバ(PCF)の中で初めて達成された(J.K.Ranka、R.S.Windeler、及びA.J.Stentz、「Visible continuum generation in air−silica microstructure fibers with anomalous dispersion at 800nm」、Opt.Lett.25、25〜27(2000))。これらの光ファイバを使用する利点は、モードフィールド、分散及び非線形プロセスを画定するファイバ・パラメータを制御することであり、それらは、スーパコンティニュームの特性を画定するための、媒体の主要な設計パラメータである。フォトニック結晶ファイバ(PCF)における非線形性は、モードフィールド径を減少させ、光を固体コア領域に閉じ込め、輝度を増し、それ故コア材料との非線形相互作用を増すことにより、強化されうる。PCFは、コア領域とエア・クラッドの間の高い屈折率差により、コア領域への高度のモード閉じ込めを得るためには、特に有利である。又、高度非線形ファイバ(HNLF)が、スーパコンティニュームを生成するために使用されうる。これらのHNLFは、通常、小さな有効面積と、低く平坦な分散特性を示す(「Pulsed and continuous−wave supercontinuum generation in highly nonlinear,dispersion−shifted fibers」、J.W.Nicholson、Appl.Phys.B77、2003年)。
【0035】
PCFと比較したとはいえ、HNLFを含む光ファイバの古典的設計は、極めて低い、分散特性の設計の自由度を示す。分散特性は、非常に重要であり、分散がゼロである波長は、特に重要である。超広帯域スーパコンティニュームは、分散の特異な領域における波長、及びゼロ分散波長に近い波長を有する高輝度パルス・レーザでPCFをポンピングすることにより生成されうる(Genty、「Route to supercontinuum」、Proceedings CLEO2002)。PCFにおける分散特性の設計の自由度の他の利点は、特性が、低コストポンプ・レーザの波長に適合させうることである(S.G.Leon−Saval、T.A.Birks、W.J.Wadsworth and P.St.J.Russell、M.W.Mason、「Supercontinuum generation in submicron fibre Waveguides」、Optics Express、Vol.12、No.13、2864頁)。
【0036】
更に別の利点は、スペクトルがUVから中赤外まで及ぶように(「Generation of High−Power Femtosecond Pulse and Octave−Spanning Ultrabroad Supercontinuum Using All−Fiber System」、J.Takayanagi、N.Nishizawa、H.Nagai、M.Yoshida、T.Goto、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.17、NO.1、2005年)、又は輝度の強化が特定の波長範囲内だけで達成されるように(「Supercontinuum generation in a fibre grating」、P.S.Westbrook、J.W.Nicholson、K.S.Feder、Y.Li、T.Brown、APPLIED PHYSICS LETTERS VOL.85、NO.20、2004年)、スペクトル幅が設計されうることである。最近、スーパコンティニュームは、カルコゲニドなどの非シリカ・ガラスの中で示されており、シリカのバックグラウンド減衰が非常に増加する、2000nmを超える波長まで広がった(L.B.Shawら、Adv.Solid State Photonics Tech.Digest、paper TuC5、Austria(2005年2月6〜9日))。スーパコンティニューム光源は、現在、市販されており、通常、UVから近赤外にまたがるスペクトル領域を有し、高いスペクトル密度と高い空間コヒーレンス長さを示す。PCFの中のスーパコンティニューム発生に基づく、最初の市販されている白色光源の1つは、例えば、2004年に、デンマークのKoheras A/S社から出された。
【0037】
フォトニック結晶ファイバの設計の自由度は又、シリカの全透過窓に亘って真のシングル・モード誘導の可能性を開いた。このファイバ、エンドレス・シングル・モード・ファイバは、国際公開第00/37974号の特許出願から知られている。特定の種類の導波路を使用して、シングル・モード誘導が、非常に広いスペクトル範囲に亘って達成されうることが、フォトニック結晶ファイバ(PCF)(Birks、T.A.、Knight、J.C.、及びRussel、P.St.J.、「Endlessly single−mode photonic crystal fiber」、Opt.Lett.、1997、22、961頁)の分野で知られている。従来のシングル・モード光導波路は、遮断される下方の波長と、その波長を超えると損失が誘導を凌駕する上方の波長とで制限される、動作窓を有する。遮断波長の下方では、誘導は、基本モードに加えて高次モードにあり、それ故マルチ・モードにあり、より大きくより不規則なスポットを結果としてもたらす。この問題は、例えば、それぞれアフラトキシンと水の吸収に対する選別波長である365nmと980nmの波長のように、波長がスペクトル的に互いに広く離れている環境に於いて、特に厳しい。
【0038】
ESM導波路は、典型的には、入念に設計された空気孔格子のクラッドにより取り囲まれる固体コアを用いて設計される。クラッドは、コアとの屈折率差を引き上げ、それ故コア内に光を閉じ込める。低い波長は、主としてコア領域にのみ閉じ込められ、場のテール、即ちエバネセント場のテールがクラッドの中に貫入することはほとんどない。この状況は、エア・クラッドを持たない古典的なシングル・モード・ファイバと比較可能である。又、波長を増大させると、クラッドの中の光場即ちエバネセント場のテールが増大する。場がクラッドの中に貫入すればするほど、コアとの屈折率差が大きくなり、それ故クラッド有効屈折率は、波長に強く左右され、それ故光がシングル・モードに留まることが、数学的に又実験的に示されうる。
【0039】
スーパコンティニューム光源は、容易に、種々の用途で使用される。以下に、最近の開発のいくつかを要約する。
【0040】
顕微鏡検査におけるスーパコンティニュームの使用が、例えば、従来技術の「Chromatic confocal microscopy using supercontinuum light」、K.Shi、P.Li、S.Yin、Z.Liu、Optics Express、Vol.12、No.10、2004年、及び「Confocal laser scanning fluorescence microscopy with a visible continuum source」、G.McConnell、Optics Express、Vol.12、No.13、2004年で知られている。それらの記事は、構造の3次元マッピングを可能にする焦点調節システムの色収差を使用して、異なる深さレベルで、スーパコンティニューム光源の出力から直接収束された、スーパコンティニュームのスペクトル成分を記載している。
【0041】
好適には、本発明による選別デバイスは、エンドレス・シングル・モード・ファイバの基本モードの中に偏光された広帯域高輝度光源を有し、即ち、非線形ファイバとエンドレス・シングル・モード・ファイバが、一体型に組み合わされている。
【0042】
可能性として、シングル・モード問題(issues)の場合、これは、NLFとESMFの組合せでありうる。
【0043】
また、最近の多重レーザをESMFの中に結合させる組合せが可能である。
【0044】
ESMFを利用することの他の利点は、全スペクトルに亘って回折が制限されたビーム幅である。
【0045】
スーパコンティニューム光源により生成される光ビームにおける有効波長のコンティニュームが、従来技術の選別装置でなしえなかった製品を選別すること、且つ/又は(例えば、樹脂を選別するため、又は油/水の含有量に基づいて製品を選別するための)技術を適用することを可能にすることに留意することも重要である。
【0046】
本発明に於いて、スーパコンティニューム光源は、選別デバイスの中で使用される。
【0047】
本発明による選別デバイスの有利な一実施例に於いて、全光導波路ベースのスーパコンティニューム光源が使用される。
【0048】
この光導波路は、フォトニック結晶ファイバであることが好ましい。
【0049】
本発明の特定の興味深い実施例に於いて、このフォトニック結晶ファイバは、エンドレス・シングル・モード・ファイバである。
【0050】
前記スーパコンティニューム光源の光は、エンドレス・シングル・モード・ファイバ(ESMF)により選別デバイスの中に誘導されることが好ましい。
【0051】
本発明によれば、ESMFにより、少なくとも2つのレーザ源の光を選別デバイスの中に誘導することができる。
【0052】
エンドレス・シングル・モード・ファイバから発生する光ビームは、選別される製品上の小さな単一スポットの中に収束させられる。
【0053】
選別デバイスの中でスーパコンティニューム光源を使用する利点は、極めて広いスペクトル範囲の中で全ての波長を利用できることである。スーパコンティニューム光源の広いスペクトルは、任意の特定の波長、又は特定の波長の任意の組合せを選択するための、高い自由度を提供する。このことが、そうでなければ例えば半導体レーザ源又はバルク・レーザ源などのレーザ源などの他の光源で達成することが困難なはずの波長を選択することを可能にする。選別システムの中で特定の波長の組合せを選択する可能性は、色彩選別又は蛍光選別など、選別原理の異なる分野の中の選別選択パラメータの数が増加されうるという利点を有する。選別選択パラメータの数の増加は、結果として、より効率的で正確な選別システムをもたらすだけでなく、選別される品目の種類の増加をもたらす。選別デバイスの中でスーパコンティニュームを使用することで、例えば、ナッツやオリーブなどの製品の選別に於いて特別な関心がある、製品の油及び水の含有量に基づいて製品を選別する道を拓くことができる。
【0054】
選別デバイスの中で、レーザ及び/又はマルチ・ライン・レーザと比較してスーパコンティニューム光源を使用する他の利点は、選別される製品により反射される光を受けている製品又は検出器のいずれかの上に入射する全出力を選択する柔軟性である。このことは、帯域幅フィルタ又は帯域通過フィルタを備えることにより制御可能であり、これらのフィルタは、光源のすぐ後ろか又は検出器の前のいずれかに置かれる。帯域幅は、選択された帯域通過の波長範囲の中で、送出された出力に直接比例し、いくぶん、それは、レーザ源として適切ではない。このようにして、製品上に衝突している高出力ビームを得るために、低出力のスーパコンティニューム光源が、高帯域幅の帯域通過フィルタと組み合わされうる。低出力のスーパコンティニューム光源は、信頼性と利便性に対する利点を有する。レーザ駆動の機械の利便性は、レーザ・クラスにより制限され、ユーザの安全に関して選別機の設計に対する要件が画定される。低出力は又、光部品への熱負荷が低いため、信頼性水準が増すことが期待される。
【0055】
選別デバイスの中でスーパコンティニューム光源を使用することは、そこから選別波長が選択されうる非常に広いスペクトルに亘って、高いスペクトル密度で分割され、レーザ光の典型的な特性、即ち高度のコリメーション、高輝度の能力をもたらすという利点を有する。単一の光源だけが必要とされるという別の利点があり、経済的に、即ち必要な予備光源の備蓄がより少ない点で、またシステム設計の複雑さが減るという観点からも有利である。
【0056】
他の利点は、フォトニック結晶ファイバの中で生成されるスーパコンティニューム光源の偏光状態の制御である。例えば、濡れた製品又はよく反射する製品を選別するために、偏光は極めて重要である。生成されたスーパコンティニュームは、非偏光、即ち偏光状態が、光源の出力に於いて楕円形である可能性があり、後で、Glan−Thompsen又はGlan−Taylorのポラライザなど、広帯域偏光ビーム・スプリッタで偏光されうる。
【0057】
より有利には、スーパコンティニュームは、偏光保持フォトニック結晶ファイバの偏光状態のうちの1つに於いて、生成されうる。
【0058】
更に他の有利な点は、スーパコンティニュームはPCFの中で生成され、それ故、光誘導システム内の無視できる損失、又はESMFなどの光ファイバなど、導波路システムとの無視できる結合損失を考慮すると、生成された光のほぼ100%が、選別を目的とする選別システムの中に誘導されうることである。キセノン・ランプと比較すると、光ファイバとの結合損失が著しいため、全輝度のほんの一部しか、例えば光ファイバの中に結合されえないであろう。
【0059】
他の広帯域光源、例えばHID(高輝度放電)電球などと比較すると、スーパコンティニューム光源は、HID電球などの従来の白色光源の場合より約3桁大きい、非常に高いスペクトル密度及び輝度の利点を有する。他の利点は、スペクトルが、2オクターブ超に亘って広がることができることである(D.A.Akimovら、「Spectral superbroadening of subnanojoule Cr: forsterite femtosecond laser pulses in a tapered fiber」、J.Catal.74、460−463(2001))。このことは、1100nmを超え、特に2000nmと3000nmの間の波長範囲における使用に、特にふさわしい。
【0060】
ESMファイバの中でスーパコンティニュームを生成することは、生成されたスペクトルが、基本モードのみと結合され、それ故それが真のシングル・モードであるという利点を有する。基本モード内での誘導は、発生する光を単一の小さなスポットの中に収束させることを可能にし、そのことが、スポット・サイズと逆比例する走査の解像度を改善する。基本モード内での光の誘導は又、曲げ損失に対して非常に低い感受性を示す。更に、基本モード内での光の誘導は、外部の機械振動又は音響振動に対して感受性を示さない。このことは、異なるレーザ・ビームが、単一スポットの中に重なるように、結合光学機器を介して結合されるレーザ・システムに対する、著しい改善である。ESMファイバの中でスーパコンティニューム光を生成する他の利点は、異なるレーザ源のビームの完全な重なりを確保するために、結合光学機器の据え付けとメンテナンスの両方に必要な人手が、削減されることである。選別デバイスの中でESMファイバを使用する他の利点は、ステップ屈折率ファイバの伝送帯域幅を超えて離隔する波長を有する複数のレーザが、今や、基本モードの中だけで結合され誘導され、スポット特性が改善されうることである。
【0061】
本発明による選別デバイスの好ましい一実施例に於いて、スーパコンティニュームは、光ファイバの中で生成される。このことは、スーパコンティニュームの広帯域スペクトルが光ファイバの中に生成され、そのスペクトルが、直接、光焦点調節システムの中に結合されうるか、又は低い結合損失で、エンドレス・シングル・モード・ファイバなどの光導波路システムの中に結合されうる、という利点を有する。スーパコンティニューム・ファイバ光源の出力における全てのスペクトルが、自動的に重ね合わされ、整合されて、単一スポットの中に収束されうることが、他の利点である。
【0062】
好ましい一実施例に於いて、前記光ファイバは、フォトニック結晶ファイバ(又は、ホーリーファイバ、又は、マイクロ構造ファイバ)である。このファイバは、スーパコンティニュームのスペクトルが、クラッドの穴あき構造の設計パラメータにより個別に作製されうるという利点を有する。このファイバは又、ポンプ波長が市販のレーザ源に適合するように、ポンプ波長が選択されうるという利点を有する。
【0063】
好ましい一実施例に於いて、前記フォトニック結晶ファイバは、エンドレス・シングル・モード・ファイバである。このエンドレス・シングル・モード・ファイバは、生成されるスーパコンティニュームが、全スペクトル範囲に亘って基本モードの中でのみ結合されるという利点を有する。
【0064】
このことは、例えば、最低のゼロ分散点を1060nmなど、より高い波長に於いて選択することにより実施可能であり、遮断波長は、したがって、300nmなど、より低い波長にシフトされる。
【0065】
一実施例に於いて、前記光ファイバは、高非線形ファイバ(HNLF)である。
【0066】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームは、前記PCF又はHNLFの第1の部分の中で生成され、同じPCF又はHNLFの第2の部分の中で選別システムの中に誘導される。このことは、他のファイバとの接合が不要であり、光は1本のファイバで選別システムの中に誘導されうるという利点を有する。
【0067】
一実施例に於いて、前記光ファイバの中で生成されたスーパコンティニュームの光は、エンドレス・シングル・モード・ファイバの中に直接結合される。このことは、波長の広いスペクトルが、ESMFの基本モードの中で誘導可能であり、そのスペクトルの光が、真のシングル・モード状態の中で伝播することを可能にするという利点を有する。他の利点は、光源のスペクトル、又はスペクトルの一部分がマルチ・モードであれば、光は、ESMファイバのみの基本モードの中で誘導されることである。基本モードのガウス形は、ESMFの出力端から発生する光が、可能な限り最小で最も均一なスポット・サイズに収束されうるという利点を有する。このことは、選別デバイスに有利である。というのは、より小さいスポット・サイズが選別の解像度を高め、それ故選別効率を高め、可能な限り最小の欠陥を検出するからである。選択波長の数の増加をもたらす非常に広いスペクトル範囲の中で空間シングル・モード光を誘導できる導波路システムを持つことは、選別デバイスに於いて特に有利である。
【0068】
一実施例に於いて、ESMファイバが、分類する製品上に光を収束させるためのシステムを通して、選別デバイスの中に光を誘導するために使用され、そこでは、焦点調節システムは、独立したユニットであってよく、又はESMファイバに直接取り付けられてよい。焦点調節システムの中に光を誘導するためにESMファイバを使用することは、スーパコンティニューム光源のスペクトルの全範囲の波長が、或いは多重レーザ源を使用する場合などでスペクトル的に広く離れている波長が、基本モードの中で誘導され、シングル・モードであるという利点を有する。シングル・モードの中での誘導は、光が、焦点調節システムにより、選別対象の上の、可能な限り最小で最も均一なスポットに収束されうるという利点を有する。
【0069】
他の実施例に於いて、本発明の目的は、1つのスーパコンティニューム光源を使用するだけでなく、ESMファイバの中に結合された2つ又はそれ以上のレーザを含むことも可能である。このことは、広く広がった波長を有するレーザ、即ちシングル・モードのステップ屈折率ファイバの伝送帯域幅を超えるレーザが、ESMファイバの基本モードの中で誘導され、ビームが重ね合わされる単一スポットの中に収束されうるという利点を有する。
【0070】
一実施例に於いて、光ファイバのゼロ分散波長は、スーパコンティニューム光源で使用されるような低コストのポンプ・レーザの波長に接近して位置する。
【0071】
一実施例に於いて、小サイズで低コストのポンプ・レーザが使用される。このことは、スーパコンティニューム光源の全体のサイズが縮小されうるという利点を有する。
【0072】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームが、UVから、2μmから3μmまでの範囲の中赤外域まで生成される。このことは、選別パラメータが、典型的にはUV、可視域、近赤外域の範囲の波長、更には赤外域、特に2μmから3μmまでの波長範囲、の波長を有する選別デバイスに、特にふさわしい。2μmと3μmの間の範囲は、例えば樹脂など、この範囲内に典型的な吸収スペクトルを有する材料を選別することを可能にする選別機に、特にふさわしい。
【0073】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームが生成されるPCFの材料は、セレン化物PCFなどのカルコゲニド(「Chalcogenide optical fibers target mid−IR applications」、J.S.Sangheraら、Laser Focus World、2005年4月、83f頁)など、非シリカである。非シリカ材料を使用する利点は、中赤外域の波長範囲に於いて、損失がより少ないことである。それ故、非シリカ材料は、2000nmを十分に超し、3000nmを十分に超すスーパコンティニュームを生成することを可能にさせうる。
【0074】
一実施例に於いて、帯域通過フィルタの幅は、選別する製品に(入口フィルタリング)、又は検出器に(検出側フィルタリング)、入射する全出力を調節するように選択されうる。選別する製品又は検出器に入射する出力は、フィルタの帯域通過の帯域幅と直接比例する。
【0075】
他の実施例に於いて、多重波長フィルタが、スーパコンティニューム光源の出力に配置される。このことは、選別デバイスの自由空間領域に結合される全光出力が著しく削減されうるという利点を有する。このことは、改善される利便性に関して特に有利であり、利便性は、使用される光源のレーザ・クラスにより制限される。
【0076】
一実施例に於いて、スーパコンティニュームの輝度は、特定の波長範囲に於いて強められる。これらの波長範囲における輝度の強化は、結果的に、信号対ノイズ比を改善する。輝度の強化は、選別デバイスに特にふさわしい。というのは、結果として改善される信号対ノイズ比が、選別デバイスの中で低コストの光検出器を使用することを可能にするからである。
【0077】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による選別デバイス及び方法のいくつかの具体的な実施例についての以下の説明から明らかとなろう。この説明は、実例としてのみ与えられ、特許請求の範囲の保護の範囲をいかなる形に於いても限定することはなく、以下に使用される参照図は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】本発明による、振動テーブル、移送デバイス、光システム、及び除去システムを装備された選別装置の概略的斜視図である。
図2】本発明による選別装置の、光システムの実施例の部品を示す線図である。
図3】高い光閉じ込めとシングル・モード誘導のための小さなコアを有する、典型的なフォトニック結晶ファイバの断面の写真を示す図である。
図4】シリカPCF(例えば、フィアニウムSC450)の中で生成されるスーパコンティニュームの典型的なスペクトルを示すグラフである。
図5】As−Seフォトニック結晶ファイバの1mのサンプルの場合の、非シリカPCFの中で生成されるスーパコンティニュームの典型的なスペクトルを示すグラフである。L.B.Shawら、「IR supercontinuum generation in As−Se Photonic Crystal Fiber」、in Advanced Solid State Photonics.、Vol.98 of OSA Proceedings Series(Optical Society of America、Washington、DC.、2005年)、864〜868頁から引用した。
図6】1.スーパコンティニューム光源、2.増幅された自然放出光(ASE)源、3.白熱灯、及び4.多重スーパ発光ダイオード(SLED)[Crystal Fiber A/S社の Application Note Supercontinuumから引用した]を含む4つの異なる光源のスペクトルを示すグラフである。
図7】スーパコンティニューム光源を有する選別デバイスを示す概略図である。
図8】スーパコンティニューム光源(フィアニウムSV450−4)を装備された選別デバイスの、検出器信号のトレースを示すグラフである。
図9】散乱信号(図7の番号12)の赤外検出器のトレースを示すグラフである。
図10】ステップ屈折率ファイバ(1)とエンドレス・シングル・モードのフォトニック結晶ファイバ(2)それぞれの中の、基本モードに対する伝送曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0079】
異なる図面に於いて、同じ参照数字は、同等又は類似の要素を示す。
【0080】
本発明は、一般に、広帯域スペクトルを有する光ビームを生成する放射源と、検出ゾーンを通して製品を移動させる手段とを用いて、製品の流れの中の製品を特徴づけるための、選別デバイスに関する。
【0081】
図1は、光システム3の前に位置する検出ゾーン6を通って、自由落下で移動している製品7の流れを生成している傾斜分配面1に、選別される製品7を供給するための振動テーブル2を有する選別デバイスを示す。
【0082】
製品流れから望ましくない製品又は異物8を取り除き、合格製品7のみを含ませるために、検出ゾーン6の下流に、一連の空気弁4’を備える除去システム4が設けられる。
【0083】
製品7が検出ゾーン6を通って移動しているとき、製品7に、光システムの集束された光ビーム5が衝突する。この光ビーム5は、検出ゾーン6の幅全体に亘って走査されている。
【0084】
光システム3は、図2に線図で示され、前記光ビーム5を生成する光源11と、回転するポリゴン・ミラー12と、複数の光要素とを備える。
【0085】
前記光ビーム5は、光源11からビーム・スプリッタ13を通って、回転するポリゴン・ミラー12に向かって導かれ、それにより、光ビーム5はこのミラーで反射され、検出ゾーン6を通って移動する製品7を走査する。
【0086】
こうして、光ビーム5が、検出ゾーン6の中で前記製品7上に衝突し、それにより、光は、製品7によって散乱され、且つ/又は反射される。この散乱光及び/又は反射光は、回転するポリゴン・ミラー12によって、ビーム・スプリッタ13に向かって戻される。このビーム・スプリッタ13は、例えば偏光ビーム・スプリッタであり、製品7により散乱及び/又は反射される光を合焦レンズ14に向けて誘導し、更に検出器15、16、17、及び18を備える検出手段に向かって誘導する。
【0087】
前記光源11は、既に上で述べた通りスーパコンティニューム放射源を備え、例えば、300nmと3000nmの間で高いスペクトル密度を持つ連続広帯域光を生成する。この光ビームは、高い空間コヒーレンシーをもたらし、それにより、好ましくは、選別される製品の平均サイズより少なくとも1桁小さく、有利には、選別目的で検出されなければならない製品の欠陥より少なくとも小さい断面直径を有する、集束された光ビームが得られる。
【0088】
更に、検出手段は、選択された波長の光を検出器15、16、17、及び18に向けて導くために、ダイクロイック・ミラー19及び20を備える。これらの波長は、選別される製品、及び検出される製品の欠陥に応じて選択され、関連する光選別技術に詳しい人には知られている。検出手段のいくつかの具体的な実施例が、例えば、米国特許第6864970号に開示されている。
【0089】
本発明による選別デバイスの好ましい実施例によれば、帯域幅フィルタが、光源11と検出ゾーン6の間に設けられる。これら複数の帯域幅フィルタは、これらの帯域幅フィルタが、製品を選別するために選択される異なる複数の波長の周囲に位置するスペクトル帯域の中を光が通過することを可能にするように、選択される。これらのスペクトル帯域の幅は、製品の表面で生成される可能性のある干渉現象が回避されるように、選択される。そうすることにより、非常に正確な信号が、検出器15、16、17、及び18に於いて得られる。
【0090】
前記選択された波長周りの帯域幅は、5nmから30nm程度が好ましい。10nmから20nm程度の帯域幅で、優れた結果が得られた。
【0091】
ある欠陥の検出に対して、又はある製品の選別に対しては、選別は、製品の蛍光特性に基づく。このような選別デバイスの用途に於いて、前記スーパコンティニューム放射源と前記検出ゾーンの間の前記光ビームの光路の中に、少なくとも1つのスペクトル・バンド・ブロック・フィルタが設けられる。このスペクトル・バンド・ブロック・フィルタは、このフィルタでブロックされるスペクトル帯域の外に位置する波長を有する光の、前記製品上への衝突による蛍光発光によって生成される光が、検出手段に到達することを、実質的に防止する。好ましくは、光源と、製品による反射光及び/又は散乱光から、衝突する光ビームが分離される位置との間、即ち光源とビーム・スプリッタ13との間に、そのようなバンド・ブロック・フィルタが配置される。
【0092】
本発明による選別装置は、前記帯域幅フィルタ及び/又は前記バンド・ブロック・フィルタが、波長可変光フィルタ、及び/又は帯域幅可変型波長可変フィルタで形成される場合は、特に重要である。そのような場合、選別装置は、順応性が高くなる。というのは、ほぼ全ての製品が、任意の個別選択された光の波長に基づいて、選別されうるからである。
【0093】
スーパコンティニューム光ビームを非線形PCFの中で生成するときは、高輝度パルスが、ポンプ・レーザによりファイバの中に誘導される。高輝度成分を除去するために、フィルタが置かれることが好ましい。
【0094】
図7参照。スーパコンティニューム(SC)光源(1)により放出された光が、選別デバイス(2)の中に誘導される。スーパコンティニューム光源(1)の出力が非偏光である場合、ビームを偏光する偏光ビーム・スプリッタなど、広帯域偏光光学機器(3)が使用されうる。光は、高速回転するポリゴン・ミラー(4)により反射されて広い範囲(5)に亘って展開され、即ち、製品(6)が選別のために検出される検出ゾーンの中の走査線となる。散乱光及び/又は反射光(13)は、検出された製品に対する指紋であり、ポリゴン・ミラー(4)で収集され、レンズとミラーのシステムを介して検出サイド(7)に誘導される。検出サイドに於いて、光は、ダイクロイック・ミラー(8)により関心のあるスペクトル成分に分離される。これらのスペクトル成分は、例えば、青色(9)、緑色(10)、及び赤色(11)でありうる。製品で直接反射した光は、偏光ビーム・スプリッタ(14)でブロックされる。赤外信号は、製品(12)の散乱挙動に基づく選別のために使用されうる。エンドレス・シングル・モード・ファイバ出力を有する単一スーパコンティニューム光源から生じる青、赤、及び赤外のチャネルの検出器信号を、図8及び図9に示す。
【0095】
図8は、スーパコンティニューム光源(フィアニウムSV450−4)を装備された選別デバイスの検出信号のトレースを示す。この場合、赤(1)及び青(2)の信号を示す(それぞれ図7の番号11及び番号9に対応)。走査線(図10、番号5参照)の位置に置かれた個別の色の、いくつかのサンプルの色検出を示す。赤のサンプル(3)は、赤のトレース(1)の高い信号を与え、一方、青のトレース(2)は低い。明らかに、青のサンプル(4)は、高い青と低い赤の検出器信号を、結果としてもたらす。白(5)及び黒(6)のサンプルの場合、対応する赤(1)及び青(2)の検出器信号の両方が、それぞれ高くなり、また低くなる。
【0096】
図9は、散乱信号の赤外検出器のトレース(図7の番号12)を示す。検出器の前に、直径Dの金属製ブロッキング・フィルタ(1)が、サンプル表面の直接反射信号を除去するために使用され、散乱した信号だけが伝送される。走査線(図10、番号5)に於いて、高い反射を生じる白い紙片(図示せず)、及び高度の散乱を示すいわゆるバック−ドラムが、共に置かれる。結果として、赤外検出器は、白紙(2)の位置に於いて低い信号で、それ以外の位置(3)に於いて高い信号で、応答する。
【0097】
図10は、ステップ屈折率ファイバ(1)とエンドレス・シングル・モードのフォトニック結晶ファイバ(2)それぞれの中の基本モードに対する伝送曲線を示す。データは、M.D.Nielsen、J.R.Folkenberg、N.A.Mortensen、及びA.Bjarklev、「Bandwidth comparison of photonic crystal fibers and conventional single−mode fibers」、Optics Express 12、430(2004年)から引用した。ステップ屈折率ファイバにおける基本モードの伝送のスペクトル帯域幅は、それぞれ、高い(3)波長側と低い(4)波長側における、高いクラッド損失と高次モードへの結合との両者により、明確に境界をつけられる。ステップ屈折率ファイバとは対照的に、エンドレス・シングル・モードのフォトニック結晶ファイバは、高い波長側に於いてクラッド・モードに対する損失を全く示さず、遮断波長の下で高次モードへの結合を示すだけであり、その結合は、ステップ屈折率ファイバにおけるよりもずっと低い。1.4μm付近の高いピークは、製造プロセスに依存する、水の吸収線から生じる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10