特開2016-65623(P2016-65623A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-65623ダイヤフラム弁、軸封装置、および弁体保持部
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  • 特開2016065623-ダイヤフラム弁、軸封装置、および弁体保持部 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-65623(P2016-65623A)
(43)【公開日】2016年4月28日
(54)【発明の名称】ダイヤフラム弁、軸封装置、および弁体保持部
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/17 20060101AFI20160401BHJP
   F16K 31/126 20060101ALI20160401BHJP
   F16K 25/00 20060101ALI20160401BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20160401BHJP
   F16K 41/12 20060101ALI20160401BHJP
   F16J 3/02 20060101ALI20160401BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20160401BHJP
【FI】
   F16K7/17 A
   F16K31/126 Z
   F16K25/00
   F16K1/32 C
   F16K41/12
   F16J3/02 Z
   F16J15/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-195659(P2014-195659)
(22)【出願日】2014年9月25日
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小泉 芳昭
(72)【発明者】
【氏名】久保田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 正春
(72)【発明者】
【氏名】大西 真由子
【テーマコード(参考)】
3H052
3H056
3H066
3J043
3J045
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA02
3H052BA31
3H052CD02
3H056AA07
3H056BB22
3H056BB37
3H056BB41
3H056BB46
3H056CA02
3H056CA08
3H056CB03
3H056CC05
3H056CD03
3H056DD04
3H056DD06
3H066AA01
3H066BA12
3H066BA31
3J043AA02
3J043CA12
3J043FB11
3J045AA04
3J045CA10
3J045CA20
3J045EA10
(57)【要約】
【課題】外部からの作動気体の供給を受けずに閉じることができる、信頼性の高いダイヤフラム弁を提供する。
【解決手段】ダイヤフラム弁は、ダイヤフラムシール3と、ダイヤフラムシール3に形成された孔に嵌め込まれた軸1と、軸1の一端に固定された第1のダイヤフラム21と、軸1の他端に連結された弁体25と、弁体25と流体導入管28との間に配置された第2のダイヤフラム32と、弁体25を流体導入管28に向かって押すばね35とを備える。第1のハウジング11には、圧力室40に作動気体を取り入れるための通孔41が形成されており、第1のダイヤフラム21の作動気体の受圧面積は、ダイヤフラムシール3の作動気体の受圧面積よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有するダイヤフラムシールと、
前記孔に嵌め込まれた、軸方向に移動可能な軸と、
前記ダイヤフラムシールを保持するシール保持部を有する第1のハウジングと、
流体導入管に接続される第2のハウジングと、
前記軸の一端に固定された第1のダイヤフラムと、
前記軸の他端に連結され、前記軸と一体に移動可能な弁体と、
前記弁体と前記流体導入管との間に配置された第2のダイヤフラムと、
前記弁体を前記流体導入管に向かって押すばねとを備え、
前記ハウジングと、前記第1のダイヤフラムと、前記ダイヤフラムシールと、前記軸とにより圧力室が形成されており、
前記第1のハウジングには、前記圧力室に作動気体を取り入れるための通孔が形成されており、前記第1のダイヤフラムの前記作動気体の受圧面積は、前記ダイヤフラムシールの前記作動気体の受圧面積よりも大きいことを特徴とするダイヤフラム弁。
【請求項2】
前記弁体を傾動可能に支持する弁体保持部が、前記軸の前記他端と前記弁体との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム弁。
【請求項3】
前記弁体保持部は、
前記弁体の中央部を支持する硬質弾性部材と、
前記弁体に近接して配置された接続プレートと、
前記接続プレートと前記弁体との間に配置された軟質弾性部材とを備え、
前記軟質弾性部材は前記硬質弾性部材の周囲に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のダイヤフラム弁。
【請求項4】
孔を有するダイヤフラムシールと、
前記孔に嵌め込まれた、軸方向に移動可能な軸と、
前記ダイヤフラムを保持するシール保持部とを備えたことを特徴とする軸封装置。
【請求項5】
弁体を傾動可能に支持する弁体保持部であって、
前記弁体の中央部を支持する硬質弾性部材と、
前記弁体に近接して配置された接続プレートと、
前記接続プレートと前記弁体との間に配置された軟質弾性部材とを備え、
前記軟質弾性部材は前記硬質弾性部材の周囲に配置されていることを特徴とする弁体保持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を閉じる弁、および弁を作動させる圧力室にダイヤフラムを使用したダイヤフラム弁に関する。また、本発明は、軸の往復運動を許容しつつ軸に沿った流体の漏洩を防止するための軸封装置に関する。さらに、本発明は、弁体を傾動可能に保持する弁体保持部に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラム弁は、液体の流路の開閉弁として広く使用されている。例えば、図4に示すように、ダイヤフラム弁500は、水槽502の流出配管504の流路を開閉する弁として使用される。このダイヤフラム弁500は、ゴム製の駆動ダイヤフラム505と弁体ダイヤフラム510とを備えている。この駆動ダイヤフラム505と弁体ダイヤフラム510との間には、スペーサ520が介在しており、このスペーサ520を介して、駆動ダイヤフラム505と弁体ダイヤフラム510とが連動する構造になっている。
【0003】
ダイヤフラム弁500は、電磁弁522を介してコンプレッサ524に接続されている。このコンプレッサ524により、駆動ダイヤフラム505に電磁弁522を介して空気圧力をかけることで弁体ダイヤフラム510が閉じられる。一方、コンプレッサ524による圧縮空気の供給を止めて、圧縮空気を大気解放することで、弁体ダイヤフラム510が、流出配管504から流出する液体の圧力(1次側圧力)に押され、弁体ダイヤフラム510が開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−148191号公報
【特許文献2】特開2002−349733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイヤフラム弁を含む様々な工業製品では、軸の往復運動を許容しつつ軸に沿った流体の漏洩を防止するための軸封装置が使用されることがある。一般的な軸封装置は、軸の外周面に接触するOリングまたはパッキンなどのシール部材を用いて軸をシールするように構成されている。しかしながら、このような構成では、軸が往復運動するたびに軸の外周面がシール部材に摺接し、シール部材が少しずつ摩耗する。シール部材の摩耗が進行すると、気体などの流体が軸とシール部材との間の隙間から漏れてしまう。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、外部からの作動気体の供給を受けずに閉じることができる、信頼性の高いダイヤフラム弁を提供することを目的とする。また、本発明は、ダイヤフラム弁を含む様々な製品に使用することができ、流体の漏れを確実に防止することができる軸封装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、弁体と配管の開口端との間に異物がある場合でも、弁体と配管の開口端との隙間を小さくすることができる弁体保持部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の第1の態様は、孔を有するダイヤフラムシールと、前記孔に嵌め込まれた、軸方向に移動可能な軸と、前記ダイヤフラムシールを保持するシール保持部を有する第1のハウジングと、流体導入管に接続される第2のハウジングと、前記軸の一端に固定された第1のダイヤフラムと、前記軸の他端に連結され、前記軸と一体に移動可能な弁体と、前記弁体と前記流体導入管との間に配置された第2のダイヤフラムと、前記弁体を前記流体導入管に向かって押すばねとを備え、前記ハウジングと、前記第1のダイヤフラムと、前記ダイヤフラムシールと、前記軸とにより圧力室が形成されており、前記第1のハウジングには、前記圧力室に作動気体を取り入れるための通孔が形成されており、前記第1のダイヤフラムの前記作動気体の受圧面積は、前記ダイヤフラムシールの前記作動気体の受圧面積よりも大きいことを特徴とするダイヤフラム弁である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記弁体を傾動可能に支持する弁体保持部が、前記軸の前記他端と前記弁体との間に設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記弁体保持部は、前記弁体の中央部を支持する硬質弾性部材と、前記弁体に近接して配置された接続プレートと、前記接続プレートと前記弁体との間に配置された軟質弾性部材とを備え、前記軟質弾性部材は前記硬質弾性部材の周囲に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、孔を有するダイヤフラムシールと、前記孔に嵌め込まれた、軸方向に移動可能な軸と、前記ダイヤフラムを保持するシール保持部とを備えたことを特徴とする軸封装置である。
【0010】
本発明の第3の態様は、弁体を傾動可能に支持する弁体保持部であって、前記弁体の中央部を支持する硬質弾性部材と、前記弁体に近接して配置された接続プレートと、前記接続プレートと前記弁体との間に配置された軟質弾性部材とを備え、前記軟質弾性部材は前記硬質弾性部材の周囲に配置されていることを特徴とする弁体保持部である。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の態様によれば、作動気体が圧力室に供給されたときに第2のダイヤフラムが流体導入管から離れてダイヤフラム弁が開かれる。一方、作動気体が圧力室に供給されないときは、第2のダイヤフラムはばねによって流体導入管に押し付けられ、ダイヤフラム弁が閉じられる。このような構成により、コンプレッサなどの作動気体供給源が停電や故障などで運転できない場合では、ダイヤフラム弁は閉じた状態に維持される。したがって、ダイヤフラム弁の信頼性を向上させることができる。
【0012】
上記第2の態様によれば、軸が移動するときに、ダイヤフラムシールは軸の移動に追随して変形する。したがって、軸とダイヤフラムシールとの間に摩擦は実質的に発生しない。結果として、ダイヤフラムシールは摩耗せず、ダイヤフラムシールと軸との間からの流体の漏洩を確実に防止することができる。
【0013】
上記第3の態様によれば、弁体と配管の開口端との間に異物がある場合には、弁体にモーメント力が働いて弁体が硬質弾性部材を中心として傾くので、弁体と配管の開口端との隙間を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るダイヤフラム弁を示す断面図である。
図2】開いた状態のダイヤフラム弁を示す断面図である。
図3】弁体保持部の拡大断面図である。
図4】一般的なダイヤフラム弁を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るダイヤフラム弁を示す断面図である。ダイヤフラム弁は、軸方向に移動可能な軸1と、軸1が貫通する孔を有するダイヤフラムシール3と、ダイヤフラムシール3を保持するシール保持部6を有する第1のハウジング11と、流体導入管28が接続される第2のハウジング12とを備えている。
【0016】
ダイヤフラムシール3は第1のハウジング11のシール保持部6に固定されている。シール保持部6は円盤状の形状を有しており、軸1が貫通する通孔を有している。ダイヤフラムシール3は、軸1とシール保持部6との間の隙間を封じるシール要素である。シール保持部6の中央には円筒状のガイド保持部15が接続されている。ガイド保持部15の内面には軸ガイド20が配置されており、軸1はこの軸ガイド20により軸方向に移動可能に支持されている。この軸方向とは、軸1の長手方向である。
【0017】
軸1の一端には、第1のダイヤフラム21が固定されており、軸1の他端には、軸1と一体に移動可能な弁体25が連結されている。第2のハウジング12には、弁体25と同心上に並ぶように流体導入管28が接続されている。この流体導入管28は、水槽などの液体貯留槽(図示せず)から延びる配管(図示せず)に接続される。本実施形態では、流体導入管28は筒体から構成されているが、本発明はこの実施形態に限定されない。第2のハウジング12内には流体室13が形成されており、流体導入管28の先端開口部は流体室13内に位置している。第2のハウジング12は、その流体室13に連通する流体出口29を有している。
【0018】
弁体25と流体導入管28の先端開口部との間には第2のダイヤフラム32が配置されている。さらに、弁体25を流体導入管28に向かって押すばね35が設けられている。このばね35は、シール保持部6と弁体25との間に配置されており、弁体25および第2のダイヤフラム32を流体導入管28に向かって付勢している。したがって、第2のダイヤフラム32は、流体導入管28の先端開口部に押し付けられ、これによってダイヤフラム弁が閉じられる。図1は、ダイヤフラム弁が閉じている状態を示している。
【0019】
第1のハウジング11と第2のハウジング12との間には、中間ハウジング37が配置されている。この中間ハウジング37内にはばね35が配置されている。第1のダイヤフラム21の外縁部は第1のハウジング11に固定されている。第1のダイヤフラム21の中央部は、固定プレート39と軸1の端部との間に挟まれている。固定プレート39は複数のねじ(図示せず)によって軸1の端部に固定されている。
【0020】
第2のダイヤフラム32の外縁部は、中間ハウジング37と第2のハウジング12との間に挟まれている。第1のハウジング11と中間ハウジング37はねじ16によって互いに固定されており、中間ハウジング37と第2のハウジング12は、その間に第2のダイヤフラム32の外縁部が挟まれた状態でねじ17によって互いに固定されている。中間ハウジング37の内部空間と、第2のハウジング12の流体室13とは、第2のダイヤフラム32によって隔離されている。
【0021】
ダイヤフラムシール3は、ゴムなどの柔軟な材料から構成されている。ダイヤフラムシール3の材料として、ゴムとポリエステルとの組み合わせ、またはゴムとナイロンとの組み合わせが使用されることもある。ダイヤフラムシール3の外側縁部は、第1のハウジング11のシール保持部6に固定されている。より具体的には、ダイヤフラムシール3の外側縁部は、固定リング14とシール保持部6との間に挟まれており、固定リング14は複数のねじ(図示せず)によりシール保持部6に固定されている。本実施形態では、ダイヤフラムシール3は、その中央部に孔が形成された円形状を有している。軸1はダイヤフラムシール3の孔に嵌め込まれており、この孔を形成するダイヤフラムシール3の内側縁部の全体は、ダイヤフラムシール3自身の弾性により軸1の外面に圧接されている。したがって、ダイヤフラムシール3の内側縁部と軸1の外面との間には隙間は形成されていない。
【0022】
第1のハウジング11と、第1のダイヤフラム21と、ダイヤフラムシール3と、軸1とにより圧力室40が形成されている。第1のハウジング11の側壁には、圧力室40に作動気体を取り入れるための通孔41が形成されている。この通孔41には、作動気体の供給源であるコンプレッサ100が接続されており、コンプレッサ100から作動気体としての圧縮空気が圧力室40に供給されるようになっている。圧力室40は、ダイヤフラムシール3によって中間ハウジング37の内部空間から隔離されている。
【0023】
円盤状の第1のダイヤフラム21の直径は、ダイヤフラムシール3の直径よりも大きく、第1のダイヤフラム21の作動気体の受圧面積は、ダイヤフラムシール3の作動気体の受圧面積よりも大きい。したがって、作動気体(圧縮空気)が圧力室40に供給されると、図2に示すように、第1のダイヤフラム21、軸1、弁体25、および第2のダイヤフラム32は、ばね35の付勢力に打ち勝って移動し、第2のダイヤフラム32が流体導入管28から離れる。これにより、ダイヤフラム弁が開かれる。ダイヤフラム弁が開かれると、液体などの流体が流体導入管28を通じて第2のハウジング12内の流体室13に流入し、さらに流体出口29を通ってダイヤフラム弁の外部に排出される。
【0024】
図1および図2に示すように、弁体25および第2のダイヤフラム32を流体導入管28に押し付けてダイヤフラム弁を閉じる力はばね35により発生され、弁体25および第2のダイヤフラム32を流体導入管28から離してダイヤフラム弁を開く力は作動気体により発生される。作動気体が圧力室40に供給されるまでダイヤフラム弁は閉じられた状態に維持されるので、停電やコンプレッサの故障により作動気体が圧力室40に供給されない場合であっても、ダイヤフラム弁は流体の通過を許容しない。
【0025】
軸1がその長手方向(すなわち軸方向)に移動するとき、ダイヤフラムシール3の内側端部は、軸1とともに移動する。このとき、ダイヤフラムシール3は柔軟に変形し、ダイヤフラムシール3の内側端部が軸1に密着した状態が維持される。軸1の外面には、ダイヤフラムシール3の内側端部に沿って延びるテーパー面45が構成されている。このテーパー面45は、円錐台形状を有しており、より具体的には、ダイヤフラムシール3の内側端部から径方向外側に傾斜している。
【0026】
図2に示すように、作動気体が圧力室40に供給されると、軸1が移動するとともに、ダイヤフラムシール3の内側端部を含む部位は作動気体によって軸1のテーパー面45に対して押し付けられる。作動気体がダイヤフラムシール3を軸1のテーパー面45に押し付ける力は、作動気体の圧力に応じて変わる。したがって、圧力の高い作動気体が圧力室40に供給される場合であっても、軸シール状態を確実とすることができる。
【0027】
ダイヤフラムシール3は、軸1の移動に伴って柔軟に変形するので、ダイヤフラムシール3と軸1との間の摩擦は実質的に発生しない。したがって、ダイヤフラムシール3の摩耗が防止され、結果としてダイヤフラムシール3と軸1との間からの作動気体の漏洩が防止される。このようなダイヤフラムシール3を備えた軸封装置は、図1および図2に示すダイヤフラム弁に限らず、軸方向に移動する軸を有する他の装置または製品にも使用することができる。
【0028】
図1に示すように、流体導入管28は、弁体25および第2のダイヤフラム32によって閉じられる。しかしながら、流体導入管28の先端開口部と第2のダイヤフラム32との間に異物が存在すると、流体導入管28の先端開口部と第2のダイヤフラム32との間に隙間が形成され、この隙間を通って流体が漏れてしまう。そこで、図3に示すように、弁体25を傾動自在に保持する弁体保持部50が軸1と弁体25との間に設けられている。
【0029】
弁体保持部50は、弁体25に近接して配置された接続プレート51と、弁体25の中央を支持する硬質弾性部材52と、接続プレート51と弁体25との間に配置された円環状の軟質弾性部材54とを備えている。硬質弾性部材52および軟質弾性部材54は、どちらも変形可能な材料から構成されているが、軟質弾性部材54は硬質弾性部材52よりも柔らかい材料から構成されている。接続プレート51の中央部には孔が形成されており、硬質弾性部材52はこの孔の内部に位置している。
【0030】
接続プレート51は軸1の端部にねじ(図示せず)により固定されている。接続プレート51と弁体25との間には、隙間が形成されている。硬質弾性部材52は接続プレート51よりも厚みを有しており、硬質弾性部材52の一方の端面は軸1の端部に接触し、硬質弾性部材52の他方の端面は弁体25に接触している。
【0031】
接続プレート51の外縁部には複数の円筒スペーサ58が配置されており、円筒スペーサ58の内部をねじ60が延びている。ねじ60の先端は弁体25に螺合されている。ねじ60は、円筒スペーサ58を弁体25に対して締め付けているが、ねじ60は接続プレート51を実質的に締め付けていない。円筒スペーサ58は、接続プレート51に形成された孔に収容されており、ねじ60および円筒スペーサ58は接続プレート51に対して軸方向に移動することが許容されている。
【0032】
軟質弾性部材54は、硬質弾性部材52の周りを延びる円環形状を有している。軟質弾性部材54には、円筒スペーサ58が貫通する複数の孔が形成されている。複数の円筒スペーサ58およびねじ60は、硬質弾性部材52の周りに等間隔に配列されている。ばね35の押付力は、硬質弾性部材52および軟質弾性部材54を通じて弁体25に伝達される。
【0033】
上記構成において、弁体25の中央部は硬質弾性部材52によって支持され、弁体25の外縁部は軟質弾性部材54によって支持されている。したがって、弁体25は、硬質弾性部材52を中心として全方向(360度)にある程度傾くことができるようになっている。弁体25が傾くことができる角度は、軟質弾性部材54の弾性に依存する。
【0034】
第2のダイヤフラム32と流体導入管28の先端開口部との間に異物が挟まっている場合は、弁体25にはモーメント力が加わり弁体25が傾く。よって、第2のダイヤフラム32と流体導入管28の先端開口部との間の隙間を限りなく小さくすることができる。このような構成を有する弁体保持部50は、ダイヤフラム弁に限らず、弁体を有する他の製品にも使用することができる。例えば、止水装置や、汚泥脱水機のろ布の押え機構などに弁体保持部50を使用することができる。
【0035】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 軸
3 ダイヤフラムシール
6 シール保持部
11 第1のハウジング
12 第2のハウジング
13 流体室
14 固定リング
15 ガイド保持部
16,17 ねじ
20 軸ガイド
21 第1のダイヤフラム
25 弁体
28 流体導入管
29 流体出口
32 第2のダイヤフラム
35 ばね
37 中間ハウジング
39 固定プレート
40 圧力室
41 通孔
45 テーパー面
50 弁体保持部
51 接続プレート
52 硬質弾性部材
54 軟質弾性部材
58 円筒スペーサ
60 ねじ
100 コンプレッサ
図1
図2
図3
図4