(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-67468(P2016-67468A)
(43)【公開日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】携帯用多機能はさみ
(51)【国際特許分類】
B26B 13/22 20060101AFI20160404BHJP
B26B 29/04 20060101ALI20160404BHJP
B25F 1/00 20060101ALI20160404BHJP
【FI】
B26B13/22
B26B29/04
B25F1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-197984(P2014-197984)
(22)【出願日】2014年9月29日
(71)【出願人】
【識別番号】591113068
【氏名又は名称】日本利器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109597
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 章
(72)【発明者】
【氏名】亀井 高利
(72)【発明者】
【氏名】山藤 正二
(72)【発明者】
【氏名】荒井 利春
【テーマコード(参考)】
3C061
3C065
【Fターム(参考)】
3C061BC03
3C065AA02
3C065DA02
3C065GA05
3C065GA06
(57)【要約】
【課題】はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有し、持ち運びが容易で高齢者等に有用な携帯用多機能はさみを提供すること。
【解決手段】先端側に切断部を有する一対の刃体と、当該刃体の基端側に嵌着される柄部10と、一対の刃体を回動自在に軸支する軸部20と、切断部に被せられる先端側が細くなるキャップ30とを備え、柄部10は略環状で弾性を有し、また、柄部10の内側は滑り止め13、14、15、16、17が形成され、また、刃体の基端側の後端が柄部10の内側に露出し、切断部にキャップ30を被せた柄部10の内側でペットボトル等の蓋を挟持して開けることができ、また、切断部に被せられた前記キャップ30の先端側でプルトップ容器の蓋を開けることができることを特徴とする携帯用多機能はさみ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有する携帯用多機能はさみであって、先端側に切断部を有する一対の刃体と、当該刃体の基端側に嵌着される柄部と、一対の刃体を回動自在に軸支する軸部と、前記刃体の切断部に被せられる先端側が細くなるキャップとを備え、前記柄部は略環状で弾性を有し、前記柄部の内側は滑り止めが形成され、また、前記刃体の基端側の後端が前記柄部の内側に露出し、前記刃体の切断部にキャップを被せた前記柄部の内側でペットボトル等の蓋を挟持して開けることができ、また、前記刃体の切断部に被せられた前記キャップの先端側でプルトップ容器の蓋を開けることができることを特徴とする携帯用多機能はさみ。
【請求項2】
前記柄部が厚肉に形成される前半部と薄肉に形成される後半部とから構成され、前記柄部の幅寸法が前方から後方に向け次第に広くなることを特徴とする請求項1に記載の携帯用多機能はさみ。
【請求項3】
前記キャップは、先端側が次第に細くなりかつ湾曲することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯用多機能はさみ。
【請求項4】
前記柄部の前半部の上下間の間隙にバネが設けられてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の携帯用多機能はさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有し、持ち運びが容易なはさみに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者、障害者、子供等、手に力がない人や手が不自由な人にとって、はさみで被切断物を切断することやペットボトルの蓋やプルトップ容器の蓋を開けることは容易なことではない。高齢化が確実に進行する今日、手に力がない人や手の不自由な人のますますの増加が予想され、はさみの機能とペットボトルの蓋やプルトップ容器の蓋を開けることができる機能を有し、持ち運びが容易なはさみがあれば、高齢者等にとって大きな福音となる。
【0003】
従来、本願の出願人は、高齢者や障害者等の手の不自由な人も使用できるハサミを提案している(特許文献1参照)。また、柄部の相対向内側部に設けた蓋挟持部に柔軟材を取着し、はさみの機能と蓋回しの機能を有する蓋回し補助具付き鋏の提案がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−102280号公報
【特許文献2】特開平9−192359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のハサミは、手の不自由な人も使用できるものの、ペットボトル等の蓋やプルトップ容器の蓋を開ける機能を有しない。特許文献2に記載の蓋回し補助具付き鋏は、はさみの機能とペットボトル等の蓋の蓋回し機能を有するものの、プルトップ容器の蓋を開ける機能を有しない。また、蓋挟持部に柔軟材を取着することにより滑りにくくして摩耗を抑制するものであるが、長期の使用により柔軟材が劣化し、蓋回しが困難となる可能性がある。さらに、蓋挟持部を柄部の相対向内側部に設ける構成上、掌にスッポリ収まるような大きさにして持ち運びが容易な鋏とすることはできない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有し、持ち運びが容易で、高齢者、障害者、子供等、手に力がない人や手が不自由な人にとって有用で、また、長期に使用してもペットボトル等の蓋を確実に開けることができるはさみを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者等は上記の課題を解決するため種々検討を重ね本発明に想到した。
すなわち、本発明は、はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有する携帯用多機能はさみであって、先端側に切断部を有する一対の刃体と、当該刃体の基端側に嵌着される柄部と、一対の刃体を回動自在に軸支する軸部と、前記刃体の切断部に被せられる先端側が細くなるキャップとを備え、前記柄部は略環状で弾性を有し、前記柄部の内側は滑り止めが形成され、また、前記刃体の基端側の後端が前記柄部の内側に露出し、前記刃体の切断部にキャップを被せた前記柄部の内側でペットボトル等の蓋を挟持して開けることができ、また、前記刃体の切断部に被せられた前記キャップの先端側でプルトップ容器の蓋を開けることができることを特徴とする携帯用多機能はさみに関する。
【0008】
本発明は、上記の構成により、携帯用多機能はさみを起立させ、柄部の上部を下方向に押さえて被切断物を切断でき、また、柄部の内側の滑り止めと柄部の内側に露出する刃体の基端側の後端により確実にペットボトル等の蓋を開けることができ、さらに、刃体の切断部に被せられる先端側が細くなるキャップによりプルトップ容器の蓋を開けることができる。ここで、「ペットボトル等」とは清涼飲料、水等の飲料等のペットボトル容器だけでなく、本発明の柄部の内側で蓋を開けることができる限りペットボトル容器に限定されず、ガラスの容器等をも含むものである。また、プルトップ容器の「蓋」は、プルトップである。
【0009】
また、上記の発明において、柄部を厚肉に形成される前半部と薄肉に形成される後半部とから構成し、柄部の幅寸法が前方から後方に向け次第に広くなるようにしてもよい。この構成により、柄部の復元力を高め、また携帯用多機能はさみを起立させることができる。
【0010】
また、上記の発明において、キャップを先端側が次第に細くなりかつ湾曲するようにしてもよい。この構成により、プルトップ容器の蓋のリング内にキャップを挿入し易くできかつ蓋を開け易くできる。
【0011】
また、上記の発明において、柄部の前半部の上下間の間隙にバネが設けてもよい。この構成により、バネの復元力が柄部の復元力を補完できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯用多機能はさみは、はさみの機能とペットボトル等の蓋とプルトップ容器の蓋を開ける機能を併せ有し、しかも持ち運びが容易であるため、高齢者、障害者、子供等、手に力がない人や手が不自由な人に大きな福音をもたらすことができる。また、本発明の携帯用多機能はさみは、長期の使用でもペットボトル等の蓋を確実に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る携帯用多機能はさみのキャップを外した状態を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る携帯用多機能はさみのキャップを外した状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る携帯用多機能はさみの刃体の切断部にキャップが被せられた状態を示す正面図である。
【
図4】本実施形態に係る携帯用多機能はさみのキャップを外した状態における柄部内の刃体を示した正面図である。
【
図5】本実施形態に係る携帯用多機能はさみの刃体の切断部を閉じた状態を示す正面図である。
【
図6】本実施形態に係る携帯用多機能はさみのキャップの斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る携帯用多機能はさみでペットボトル等の蓋を開ける状態を示す説明図である。
【
図8】本実施形態に係る携帯用多機能はさみでプルトップ容器の蓋を開ける状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次いで、本発明を図面を参照しながら実施の形態により説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
図1、
図2に示すように、ステンレス製の2本の刃体1、2は、先端側に切断部3、4が形成され、基端側に柄部10が嵌着されている。2本の刃体1、2は、軸部20により回動自在に軸支されている。また、刃体1、2の切断部3、4には、
図3に示すよう、キャップ30が被せられている。
【0016】
柄部10は、合成樹脂により略環状に形成され弾性を有している。また、柄部10は、厚肉に形成される前半部11と薄肉に形成される後半部12とから構成されている。これにより、柄部10に高い弾性を付与することができる。柄部10の幅寸法は前方から後方に向け次第に広くなるように構成されている。これにより、携帯用多機能はさみ50は起立が可能となる。また、柄部10の内側には、滑り止めの凸部13、14、15、16、17が形成されている。
【0017】
図4に示すよう、刃体1、2の基端側の後端5は、柄部10の内側に露出している。これにより、柄部10の内側の滑り止めの凸部13、14、15、16、17と相俟って、ペットボトル等の蓋を容易に開けることができる。また、滑り止めの凸部13、14、15、16、17が磨り減ったとしても、刃体1、2の基端側の後端5が露出しているため、これによりペットボトル等の蓋を長期に亘り確実に開けることができる。
【0018】
柄部10の前半部11の上側には、操作用突起18が突設されている。操作用突起18は、柄部10との間に指を挿入できる幅寸法でかつ湾曲して形成されているので、携帯用多機能はさみ50の操作性を高めることに資することができる。
【0019】
柄部10の前半部11の上下間の間隙にバネ19が設けられ、バネ19の復元力は柄部の復元力を補完することができる。本発明の携帯用多機能はさみ50は、
図1、
図2に示すように、キャップ30を被せないと2本の刃体1、2の切断部3、4が開いた状態となり、はさみとして使用しない時は
図5に示すように、柄部10の上下を内側方向に押さえ、切断部3、4を閉じた状態にしてキャップ30を被せる。
【0020】
キャップ30は、
図6に示すように、合成樹脂により形成され、先端側が次第に細くなりかつ湾曲している。これにより、キャップ30はプルトップ容器の蓋のリングR内に挿入し易くなりかつ蓋が開け易くなる。また、キャップ30の基端側近傍に取付孔31が形成されている。キャップ30は刃体1、2の切断部3、4に嵌入されると、合成樹脂の可撓性により略半球状の軸部20に取付孔31が嵌まり込み、切断部3、4に強固に固定される。
【0021】
上記のように構成される本発明に係る携帯用多機能はさみ50は、掌にスッポリ収まる大きさで持ち運びが容易であるので、外出先でもはさみで被切断物を切断をしたり、ペットボトル等の蓋を開けたり、あるいはプルトップ容器の蓋を開けることを容易に行うことができる。
【0022】
次いで、本発明に係る携帯用多機能はさみ50の使用方法について説明する。はさみとして使用する場合、キャップ30を外すと刃体1、2の切断部3、4が開くので、柄部10の上下を内側方向に握ることにより被切断物を切断することができる。この場合、柄部10と操作用突起18の間に指を入れれば、柄部10に力を入れ易く切断が容易となる。
また、携帯用多機能はさみ50を起立させ、被切断物を切断部3、4の間に入れ切断することもでき、この場合、柄部の上部を下方向に押さえるだけで簡単に被切断物を切断できるので、高齢者等手に力がないとか手が不自由な人も容易に被切断物を切断することができる。また、ペットボトル等の蓋を開ける場合、
図7に示すように、キャップ30を被せた状態でペットボトル等の蓋を柄部10の内側に挿入して挟持し、携帯用多機能はさみ50を反時計回りに回すことにより蓋を開くことができるので、蓋を手で開ける場合に比べ容易に開けることができる。プルトップ容器の蓋を開ける場合、
図8に示すように、キャップ30を被せた状態でプルトップ容器の蓋のリングR内にキャップ30を挿入し、携帯用多機能はさみ50を動かすことにより蓋を開けることができ、蓋を手で開ける場合に比べ容易に開けることができる。
【0023】
本発明は、その技術的範囲に属する限り、種々形態を変更して実施できるので、以下に例示する。
(1)刃体は、ステンレスに限定されず、金属、セラミックなどで形成してもよい。
(2)柄部は、略環状に構成することで弾性を有する限り、種々の合成樹脂、金属等を用いることができる。
(3)柄部の前半部の上下間の間隙にバネを設けない構成としてもよい。
(4)柄部の形状は、略環状で起立可能である限り実施の形態に限定されない。
(5)キャップは、合成樹脂に限定されず、金属等で形成してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1、2 刃体
3、4 切断部
10 柄部
11 前半部
12 後半部
13、14、15、16、17 凸部(滑り止め)
18 操作用突起
19 バネ
30 キャップ
31 取付孔
50 携帯用多機能はさみ