【解決手段】フレキシブルシート1は、手術等の医療処置時において医療機器が載置される医療用のシート状部材である。フレキシブルシート1は、シリコーンにて形成される。フレキシブルシート1は、平面状の粗面である第1主面21と、凹凸が設けられた凹凸面である第2主面22とを備える。第2主面22の凸部25は、格子状に交差する複数の横リブ251および複数の縦リブ252を備える。フレキシブルシート1は、使用直後の比較的高温な電気メス等の医療機器が載置された場合であっても、当該医療機器からの熱が下方へと伝達することを抑制することができる。また、比較的重い医療機器が載置された場合であっても、当該医療機器の載置時の物理的衝撃がフレキシブルシート1の下方へと伝達されることを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外科手術等の医療処置では、施術者と看護師との間で手術器具の受け渡し等を行う際に、手術器具がニュートラルゾーンに一時的に載置されることがある。ニュートラルゾーンとしては、例えば、ワゴンやメーヨ台を不織布シートや樹脂シート等で被覆して清潔領域としたものが利用される。このようなニュートラルゾーンに、使用直後の電気メス等の高温の医療機器を載置すると、医療機器からの熱によりシートが焦げたり溶けたりして穴があいてしまうおそれがある。また、ニュートラルゾーンに整形外科手術用等の比較的重い医療機器を載置すると、載置時の衝撃等により上述のシートが破れてしまうおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、医療機器からの熱の伝達、および、医療機器の載置時の衝撃の伝達を抑制することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、医療処置時において医療機器が載置される医療用のフレキシブルシートであって、シリコーンにて形成され、平面状の粗面である、または、凹凸が設けられた凹凸面である第1主面と、他方の主面であって、平面状の粗面である、または、凹凸が設けられた凹凸面である第2主面とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルシートであって、前記第1主面が前記粗面であり、前記第2主面が前記凹凸面である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のフレキシブルシートであって、前記凹凸面の凸部の頂部が粗面である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブルシートであって、前記凹凸面の凸部が、格子状に交差する複数のリブである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のフレキシブルシートであって、前記凹凸面の凸部により周囲を囲まれる閉領域の周囲において前記凸部の頂部に切り欠きが設けられる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のフレキシブルシートであって、硬度が20度以上70度以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、医療機器からの熱の伝達、および、医療機器の載置時の衝撃の伝達を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るフレキシブルシート1を示す平面図である。フレキシブルシート1は、手術等の医療処置時において医療機器が載置される医療用のシート状部材である。フレキシブルシート1は、比較的柔軟な薄いシート状の部材である。フレキシブルシート1は、例えば、不織布シートや樹脂シート等でワゴンやメーヨ台等を被覆して形成されたニュートラルゾーン上に載置される。あるいは、フレキシブルシート1は、患者を覆うドレープ上に載置される。医療処置の際には、電気メスや電動ドリル等の医療機器がフレキシブルシート1上に一時的に載置される。
【0015】
フレキシブルシート1は、シリコーンゴムにて形成される。シリコーンゴムとは、シリコーンにて形成された常温でゴム弾性を有するエラストマーである。
図1に示すフレキシブルシート1は、平面視において略矩形状である。以下の説明では、
図1中の左右方向および上下方向をそれぞれ「横方向」および「縦方向」と呼ぶ。フレキシブルシート1の長辺、すなわち、横方向に平行な辺の長さは、例えば、約400mm(ミリメートル)である。フレキシブルシート1の短辺、すなわち、縦方向に平行な辺の長さは、例えば、約300mmである。
【0016】
フレキシブルシート1の硬度は、20度以上であることが好ましく、また、70度以下であることが好ましい。より好ましくは、フレキシブルシート1の硬度は30度以上60度以下である。
図1に示す例では、フレキシブルシート1の硬度は約30度である。フレキシブルシート1の上記硬度は、デュロメータにより測定したゴム硬度である。フレキシブルシート1の色は、医療処置時に利用される不織布シートやドレープ等との識別が容易な色(例えば、黄色やオレンジ色)であることが好ましい。フレキシブルシート1の色は、例えば、色相環においてドレープの色から遠い色相(例えば、補色)とされる。
【0017】
図2は、フレキシブルシート1を
図1中のA−Aの位置にて切断した断面図である。
図2では、フレキシブルシート1の一部を拡大して示す。
図1および
図2に示すように、フレキシブルシート1は、一方の主面である第1主面21と、他方の主面である第2主面22とを備える。
図1では、第2主面22を手前側に向けてフレキシブルシート1を描いている。
図2では、第1主面21を図中の下側に向けてフレキシブルシート1を描いている。第1主面21は、平面状の粗面である。第2主面22は、凹凸が設けられた凹凸面である。
【0018】
本実施の形態で、粗面とは、目視にて略平面と見なせる程度の粗さを有する面(例えば、梨地面)であり、感触は滑らかではなくざらつき感を有する。また、凹凸面とは、略平面とは見なせない程度に凹部および凸部の少なくとも一方が設けられた面である。上記粗面は、例えば、フレキシブルシート1を金型を利用して製造する際に、金型の上記粗面に対応する部位にサンドブラストを施すことにより形成される。サンドブラストに使用される研磨材の番手は、例えば、100番台である。第1主面21の算術平均粗さRaは、0.3μm(マイクロメートル)以上1.5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。第2主面22では、フレキシブルシート1の厚さ方向における凸部の頂部と凹部の底部との間の距離(以下、「凸部の高さ」ともいう。)は、0.5mm以上であることが好ましく、また、2mm以下であることが好ましい。
【0019】
図1および
図2に示す例では、第1主面21の算術平均粗さRaは約0.7μmであり、第2主面22の凸部25の高さ、すなわち、各凹部26の深さは、約1mmである。
図1および
図2に示すフレキシブルシート1全体の厚さは、約1.7mmであり、フレキシブルシート1から凸部25を除いた略平板状の部位(以下、「平板部27」という。)の厚さは、約0.7mmである。
【0020】
図1に示すように、第2主面22の凸部25は格子状に交差する複数のリブである。凸部25は、横方向に略平行な複数の横リブ251と、縦方向に略平行な複数の縦リブ252とを備える。
図1では、横リブ251および縦リブ252を細線にて示す。複数の横リブ251と複数の縦リブ252とは、互いに略垂直に交差する。各横リブ251の幅(すなわち、縦方向の厚さ)は、例えば、約0.5mmである。複数の横リブ251のピッチ、すなわち、縦方向に隣接する各2つの横リブ251の間の縦方向の距離は、例えば、約10mmである。各縦リブ252の幅(すなわち、横方向の厚さ)は、例えば、約0.5mmである。複数の縦リブ252のピッチ、すなわち、横方向に隣接する各2つの縦リブ252の間の横方向の距離は、例えば、約10mmである。横リブ251および縦リブ252の幅およびピッチは、適宜変更されてよい。横リブ251の幅およびピッチと、縦リブ252の幅およびピッチとは、互いに異なっていてもよい。
【0021】
図3は、横リブ251と縦リブ252とが交差する部位およびその近傍を拡大して示す斜視図である。
図2および
図3に示すように、各横リブ251および各縦リブ252の頂部253(すなわち、凸部25の頂部253)は、平板部27(
図2参照)の凸部25側の主面に略平行な平面である。
図2および
図3に示す例では、凸部25の頂部253は粗面である。頂部253の算術平均粗さRaは、0.3μm(マイクロメートル)以上1.5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。頂部253の算術平均粗さRaは、例えば、約0.7μmである。
【0022】
図3に示すように、複数の横リブ251および複数の縦リブ252の頂部253には、切り欠き254が設けられる。換言すれば、切り欠き254は、凸部25(すなわち、横リブ251および縦リブ252)により周囲を囲まれる略矩形状の閉領域の周囲において、当該凸部25の頂部253に設けられる。切り欠き254は、当該閉領域から閉領域の外部に至る。
図3に示す例では、切り欠き254は、各横リブ251と各縦リブ252との交差部に設けられる。切り欠き254は、例えば、フレキシブルシート1を金型等を利用して製造する際に、横リブ251と縦リブ252との交差部を半球状に欠けさせることにより形成される。切り欠き254の深さ、すなわち、切り欠き254の周囲における頂部253の最上部(すなわち、平板部27から最も離れている部位)と切り欠き254の最下部(すなわち、平板部27に最も近い部位)との間の厚さ方向の距離は、例えば、0.2μm〜0.3μmである。
【0023】
以上に説明したように、フレキシブルシート1は、耐熱性および耐薬品性に優れたシリコーンゴムにより形成される。このため、使用直後の比較的高温な電気メス等の医療機器がフレキシブルシート1上に載置された場合や、フレキシブルシート1に薬品が付着した場合であっても、フレキシブルシート1が溶けて穴があくことを防止することができる。また、フレキシブルシート1の下方への熱伝導(すなわち、医療機器からの熱の伝達)を抑制することもできる。さらに、フレキシブルシート1は、医療機器が載置される際の物理的衝撃を吸収することもできるため、比較的重い医療機器が載置された場合であっても、医療機器の載置時の物理的衝撃がフレキシブルシート1の下方へと伝達されることを抑制することができる。その結果、フレキシブルシート1の下側のシート等が、熱により溶けるまたは焦げることを防止することができるとともに、物理的衝撃により破損することを防止することもできる。
【0024】
フレキシブルシート1は、柔軟なシート部材であるため、載置される場所が平坦ではない場合であっても、載置される場所の形状に合わせて容易に変形する。すなわち、載置される場所に対する高い形状追随性を有する。これにより、フレキシブルシート1の用途に合わせて、様々な場所にフレキシブルシート1を安定して載置することができる。上述のように、フレキシブルシート1の硬度は20度以上70度以下であることが好ましい。フレキシブルシート1の硬度が70度以下とされることにより、さらに高い形状追随性を実現することができる。また、フレキシブルシート1の硬度が20度以上とされることにより、フレキシブルシート1の製造コストを低減することができる。
【0025】
フレキシブルシート1は、例えば、使い捨て医療機器セットに含まれる。使い捨て医療機器セットとは、医療処置の内容に合わせて用意された複数の使い捨ての医療機器のセットである。フレキシブルシート1は、例えば、2つ折りにされた状態で、使い捨て医療機器セットのトレイに収容され、当該トレイは、通気性を有する包装袋内に収容される。使い捨て医療機器セットは、出荷前に酸化エチレンガス等の滅菌ガスを利用して加熱ガス雰囲気下にてガス滅菌処理される。
【0026】
フレキシブルシート1では、上述のように、第1主面21が平面状の粗面である。このため、フレキシブルシート1が第1主面21を内側にして折り畳まれた状態で包装袋内に収容されている場合であっても、対向する第1主面21同士が密着することを防止することができる。これにより、上記ガス滅菌処理の際に、対向する第1主面21の奥まで(すなわち、フレキシブルシート1の折り畳み線の位置まで)滅菌ガスが到達する。その結果、使用前のフレキシブルシート1の滅菌を確実に行うことができる。
【0027】
上述のように、フレキシブルシート1の第1主面21の算術平均粗さRaは、0.3μm(マイクロメートル)以上1.5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。第1主面21の算術平均粗さRaを0.3μm以上とすることにより、使い捨て医療機器セット内において、フレキシブルシート1が第1主面21を内側にして折り畳まれている場合に、第1主面21同士が密着することがより一層防止される。その結果、フレキシブルシート1の滅菌をより確実に行うことができる。また、第1主面21の算術平均粗さRaを1.5μm以下とすることにより、金型によるフレキシブルシート1の製造を容易とすることができる。その結果、フレキシブルシート1の製造コストを低減することができる。
【0028】
また、フレキシブルシート1の第2主面22は、凹凸が設けられた凹凸面である。このため、使い捨て医療機器セット内において、フレキシブルシート1が第2主面22を内側にして折り畳まれている場合であっても、対向する第2主面22同士が密着することを防止することができる。これにより、ガス滅菌処理の際に、対向する第2主面22の奥まで(すなわち、フレキシブルシート1の折り畳み線の位置まで)滅菌ガスが到達する。その結果、使用前のフレキシブルシート1の滅菌を確実に行うことができる。
【0029】
上述のように、フレキシブルシート1の厚さ方向における凸部25の頂部253と各凹部26の底部との間の距離(すなわち、凸部25の高さ)は、0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。凸部25の高さを0.5mm以上とすることにより、フレキシブルシート1の下側のシート等への熱および物理的衝撃の伝達をさらに抑制することができる。フレキシブルシート1では、凸部25の高さを2mm以下とすることにより、金型によるフレキシブルシート1の製造を容易とすることができる。その結果、フレキシブルシート1の製造コストを低減することができる。また、フレキシブルシート1が嵩高になることを抑制し、フレキシブルシート1の取り扱い、および、フレキシブルシート1への医療機器の載置を容易とすることができる。
【0030】
第2主面22では、凸部25の頂部253が粗面である。これにより、使い捨て医療機器セット内において、フレキシブルシート1が第2主面22を内側にして折り畳まれている場合であっても、対向する第2主面22の凸部25の頂部253同士が密着することを防止することができる。その結果、使用前のフレキシブルシート1の滅菌をより確実に行うことができる。
【0031】
上述のように、凸部25の頂部253の算術平均粗さRaは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。頂部253の算術平均粗さRaを0.3μm以上とすることにより、使い捨て医療機器セット内において、フレキシブルシート1が第2主面22を内側にして折り畳まれている場合に、頂部253同士が密着することがより一層防止される。その結果、フレキシブルシート1の滅菌をより確実に行うことができる。また、頂部253の算術平均粗さRaを1.5μm以下とすることにより、金型によるフレキシブルシート1の製造を容易とすることができる。その結果、フレキシブルシート1の製造コストを低減することができる。
【0032】
上述のように、第2主面22の凸部25は、格子状に交差する複数の横リブ251および複数の縦リブ252(以下、まとめて「リブ」とも呼ぶ。)であり、これらのリブに囲まれた複数の凹部26が第2主面22に設けられる。第2主面22では、複数の凹部26内の空気が、フレキシブルシート1上に載置される医療機器と、フレキシブルシート1の下側のシート等との間に位置する空気層となる。このため、フレキシブルシート1上に使用直後の電気メス等の医療機器が載置される場合であっても、当該医療機器の熱がフレキシブルシート1の下側のシート等に伝達されることを、より一層抑制することができる。
【0033】
また、フレキシブルシート1上に比較的重い医療機器が載置される際には、格子状に交差する複数の横リブ251および複数の縦リブ252が撓む。これにより、医療機器を載置する際の物理的衝撃が吸収されるため、フレキシブルシート1の下側のシート等に当該衝撃が伝達されることを、より一層抑制することができる。さらに、フレキシブルシート1が平坦でない場所に載置された際に、格子状に配置された複数のリブにより平板部27が支持されることにより、平板部27が部分的に垂れ下がることを抑制することもできる。フレキシブルシート1では、上記複数のリブにより、第2主面22上に載置された医療機器の位置がずれることを抑制することもできる。
【0034】
上述のように、第2主面22では、複数の横リブ251および複数の縦リブ252の頂部253に切り欠き254が設けられる。これにより、フレキシブルシート1が第2主面22を内側にして折り畳まれた状態でガス滅菌処理される場合であっても、滅菌ガスが切り欠き254を介して対向する第2主面22の奥まで到達する。また、凸部253により周囲を囲まれる複数の閉領域内にも、切り欠き254を介して滅菌ガスが到達する。その結果、使用前のフレキシブルシート1の滅菌をさらに確実に行うことができる。
【0035】
フレキシブルシート1は、凹凸面である第2主面22を下側に向けて載置され、平面状の粗面である第1主面21上に医療機器が載置されてもよい。フレキシブルシート1では、第1主面21が粗面であり、第2主面22が凹凸面であることにより、フレキシブルシート1上に載置される医療機器の種類等に合わせて、当該医療機器が載置される主面の形状を粗面および凹凸面から選択することができる。また、第1主面21および第2主面22が凹凸面である場合に比べて、フレキシブルシート1の製造コストを低減することができる。
【0036】
上記フレキシブルシート1は、様々な変更が可能である。
【0037】
例えば、第1主面21の算術平均粗さRa、第2主面22の凸部25の高さ、および、凸部25の頂部253の算術平均粗さRaは、フレキシブルシート1の用途等に合わせて適宜変更されてよい。フレキシブルシート1の長辺および短辺の長さ、並びに、硬度も適宜変更されてよい。フレキシブルシート1の平面視における形状は、用途に合わせて様々に変更されてよく、例えば、略円形であってもよい。
【0038】
第2主面22では、凸部25の頂部253の切り欠き254は、必ずしも、各横リブ251と各縦リブ252との交差部に設けられる必要はない。切り欠き254は、例えば、複数の横リブ251のみに設けられてもよく、複数の縦リブ252のみに設けられてもよい。この場合であっても、上述と同様に、使用前のフレキシブルシート1の滅菌をより確実に行うことができる。なお、フレキシブルシート1の滅菌が確実に行われるのであれば、切り欠き254は必ずしも設けられなくてもよい。
【0039】
また、第2主面22では、複数の横リブ251と複数の縦リブ252とは、必ずしも略垂直に交差する必要はなく、横リブ251と縦リブ252との成す角度は適宜変更されてよい。例えば、
図4に示すフレキシブルシート1aの第2主面22には、第2主面22の外縁に対して傾斜する方向に延びる複数の第1リブ255と、第2主面22の外縁に対して傾斜する方向に延びる複数の第2リブ256とが、凸部25として設けられる。複数の第1リブ255と複数の第2リブ256とは格子状に交差する。フレキシブルシート1aは、
図1に示すフレキシブルシート1と同様に、医療機器からの熱の伝達、および、医療機器の載置時の衝撃の伝達を抑制することができる。
図4に示す例では、第2主面22の外縁には、略矩形枠状のリブ257が設けられる。当該リブ257は、第1主面21の外縁にも設けられてよい。
【0040】
図4に示すフレキシブルシート1aでは、複数の第1リブ255および複数の第2リブ256の頂部に、
図3に示す切り欠き254と略同様の切り欠き(図示省略)が設けられる。換言すれば、当該切り欠きは、凸部25(すなわち、第1リブ255および第2リブ256)により周囲を囲まれる略菱形状の閉領域の周囲において、当該凸部25の頂部に設けられる。切り欠きは、当該閉領域から閉領域の外部に至る。切り欠きは、例えば、各第1リブ255と各第2リブ256との交差部に設けられる。これにより、フレキシブルシート1aが第2主面22を内側にして折り畳まれた状態でガス滅菌処理される場合であっても、滅菌ガスが切り欠きを介して対向する第2主面22の奥まで到達する。また、凸部25により周囲を囲まれる複数の閉領域内にも、切り欠きを介して滅菌ガスが到達する。その結果、使用前のフレキシブルシート1aの滅菌をさらに確実に行うことができる。
【0041】
フレキシブルシート1,1aでは、第2主面22の凸部25は、必ずしも格子状に交差する複数のリブである必要はなく、凸部25の形状は様々に変更されてよい。例えば、凸部25は、互いに離間する複数の突起であり、当該複数の突起が平板部27上に略均等に分布するように配置されてもよい。この場合、複数の突起以外の部位が凹部26である。あるいは、第2主面22は、平面に複数の凹部26が略均等に分布するように設けられたものであってもよい。この場合、複数の凹部26以外の部位が凸部25である。
【0042】
フレキシブルシート1では、第1主面21および第2主面22はそれぞれ、平面状の粗面、または、凹凸が設けられた凹凸面であればよい。すなわち、第1主面21および第2主面22が共に、平面状の粗面であってもよく、あるいは、凹凸が設けられた凹凸面であってもよい。いずれの場合であっても、
図1および
図2に示す例と同様に、使用前のフレキシブルシート1の滅菌を確実に行うことができる。
【0043】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。