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特開2016-68287用紙、用紙搬送装置および用紙搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-68287(P2016-68287A)
(43)【公開日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】用紙、用紙搬送装置および用紙搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20160404BHJP
   B42D 3/04 20060101ALI20160404BHJP
【FI】
   B42F7/00 A
   B42D3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-197452(P2014-197452)
(22)【出願日】2014年9月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390027203
【氏名又は名称】株式会社中川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】堤 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】湯川 俊康
(72)【発明者】
【氏名】原田 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】竹田 国志朗
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QB01
(57)【要約】
【課題】用紙搬送装置により搬送方向に搬送する場合に、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かることを抑制する。
【解決手段】用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下である折筋15,16,17,18が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであり、折筋15,16,17,18で折り曲げることでフラットファイル100等に使用されるものである用紙10。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、折り曲げるための筋であって当該搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下である折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙。
【請求項2】
前記折筋の深さが40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の用紙。
【請求項3】
前記用紙を複数枚積載した状態から最上部の1枚の用紙を搬送しようとする際の静止摩擦係数が、0.8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙。
【請求項4】
前記用紙は、前記折筋で折り曲げることで予め定められた形状となるものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の用紙。
【請求項5】
前記用紙は、前記折筋で折り曲げることでフラットファイルとして使用されるものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の用紙。
【請求項6】
用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びる予め定められた深さの折筋が形成され、
前記折筋の前記深さは、当該折筋において折り処理をしたときに折割れが生ずる大きさより大きく、前記用紙搬送装置の積載部に複数枚積載した状態から最上部の1枚を搬送する際に、当該折筋の重なりにより生ずる搬送不良が生じる大きさより小さいことを特徴とする用紙。
【請求項7】
用紙を搬送する搬送部と、
搬送する前の前記用紙を積載する積載部と、
を備え、
前記積載部に積載する前記用紙は、装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下の折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項8】
前記用紙に形成された前記折筋の深さは40μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びる折筋が形成される用紙を搬送し、
前記用紙は、前記搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下である折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙搬送方法。
【請求項10】
前記用紙に形成された前記折筋の深さが40μm以上であることを特徴とする請求項9に記載の用紙搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙、用紙搬送装置、用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
折り曲げ用の折筋が形成された用紙として、例えば、いわゆるフラットファイルに用いられる用紙がある。フラットファイルに用いられる用紙は、1枚の用紙を折筋で折り曲げることで、少なくとも表表紙と裏表紙とを形成し、表表紙と裏表紙とで挟まれた内側の空間に書類等が綴じられる。この用紙には、表表紙の部分と裏表紙の部分との間に背表紙となる部分が形成されたものや、綴じ具が取り付けられる取り付け部分が形成されているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−229492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
折筋が形成された用紙に、例えばプリンタ等画像形成装置で印刷を行うために用紙を搬送する場合、複数枚の用紙が重ねて画像形成装置の手差しトレイ等に載せられる。用紙が重ねられると、用紙の折筋同士も重なるため、折筋の深さが深いと搬送の際に折筋同士が引っ掛かり、用紙が搬送されない。
【0005】
本発明は、用紙搬送装置により用紙を搬送方向に搬送する際に、深さが90μmよりも深い折筋が設けられている用紙を搬送する場合よりも、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、折り曲げるための筋であって当該搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下である折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙である。
請求項2に係る発明は、前記折筋の深さが40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の用紙である。
請求項3に係る発明は、前記用紙を複数枚積載した状態から最上部の1枚の用紙を搬送しようとする際の静止摩擦係数が、0.8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙である。
請求項4に係る発明は、前記用紙は、前記折筋で折り曲げることで予め定められた形状となるものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の用紙である。
請求項5に係る発明は、前記用紙は、前記折筋で折り曲げることでフラットファイルとして使用されるものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の用紙である。
請求項6に係る発明は、用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びる予め定められた深さの折筋が形成され、前記折筋の前記深さは、当該折筋において折り処理をしたときに折割れが生ずる大きさより大きく、前記用紙搬送装置の積載部に複数枚積載した状態から最上部の1枚を搬送する際に、当該折筋の重なりにより生ずる搬送不良が生じる大きさより小さいことを特徴とする用紙である。
請求項7に係る発明は、用紙を搬送する搬送部と、搬送する前の前記用紙を積載する積載部と、を備え、前記積載部に積載する前記用紙は、装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下の折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙搬送装置である。
請求項8に係る発明は、前記用紙に形成された前記折筋の深さは40μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の用紙搬送装置である。
請求項9に係る発明は、用紙搬送装置に対する搬送方向が定められ、当該搬送方向に対して交差する方向に延びる折筋が形成される用紙を搬送し、前記用紙は、前記搬送方向に対して交差する方向に延びるとともに深さが90μm以下である折筋が形成され、坪量が200gsm(g/m)〜370gsmであることを特徴とする用紙搬送方法である。
請求項10に係る発明は、前記用紙に形成された前記折筋の深さが40μm以上であることを特徴とする請求項9に記載の用紙搬送方法である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、用紙搬送装置により用紙を搬送方向に搬送する際に、深さが90μmよりも深い折筋が設けられている用紙を搬送する場合よりも、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かるのを抑制する。
請求項2に係る発明によれば、用紙に形成された折筋の深さが40μmより小さい場合よりも、折筋に沿って用紙を折り曲げた際に発生する毛羽立ちを抑制する。
請求項3に係る発明によれば、用紙搬送装置により用紙を搬送方向に搬送する際に、深さが90μmよりも深い折筋が設けられている用紙を搬送する場合よりも、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かるのを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、用紙搬送装置にて搬送した用紙を使用して、立体的な形状のものを作成することができる。
請求項5に係る発明によれば、用紙搬送装置にて搬送した用紙をフラットファイルとして形成することができる。
請求項6に係る発明によれば、用紙搬送装置の積載部に複数枚積載した状態から最上部の1枚を搬送する際に、折筋の重なりによる搬送不良が生じるのを抑制することができる。
請求項7に係る発明によれば、深さが90μmよりも深い折筋が設けられている用紙を用紙搬送装置により搬送する場合よりも、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かるのを抑制する。
請求項8に係る発明によれば、用紙に形成された折筋の深さが40μmより小さい場合よりも、折筋に沿って用紙を折り曲げた際に発生する毛羽立ちを抑制する。
請求項9に係る発明によれば、深さが90μmよりも深い折筋が設けられている用紙を用紙搬送装置により搬送する場合よりも、重ねられた用紙間で折筋同士が引っ掛かるのを抑制する。
請求項10に係る発明によれば、用紙に形成された折筋の深さが40μmより小さい場合よりも、折筋に沿って用紙を折り曲げた際に発生する毛羽立ちを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る用紙が用いられるフラットファイルを示す斜視図である。
図2】用紙の表面(おもてめん)を示す平面図である。
図3】用紙に文章等の文字を始めとした画像情報をプリントする機能を備えた画像形成装置の手差しトレイに、複数枚(例えば、10枚)の用紙が重ねてセットされた状態を示す模式図である。
図4】(A)は図2におけるIV−IV線に沿った断面を示す断面図、(B)は(A)における凹形状の折筋の拡大図、(C)は(A)における凸形状の折筋の拡大図である。
図5】複数の用紙が重ねられて画像形成装置の手差しトレイ上に載せられた状態の断面を示す模式図である。
図6図5に示した用紙のうち最上部の用紙が搬送方向に搬送されている様子を示す、図5相当の模式図である。
図7】(a)は、折筋を形成する折筋形成装置の概念図である。(b)は、第1ロールおよび第2ロールについて説明した模式図である。
図8】(a)〜(c)は、本実施例についてまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<フラットファイル用の用紙>
図1は、本発明の一実施の形態に係る用紙10が用いられるフラットファイル100を示す斜視図、図2は用紙10の表面(おもてめん)10aを示す平面図である。
図1に示したフラットファイル100は、内側に書類200を綴じたときの表紙となる用紙10と、書類200を用紙10の内側に綴じる綴じ具90とを備えている。
【0010】
綴じ具90は、書類200に形成された孔(図示省略)に通される2本の綴じ込み帯91と、綴じ込み帯91を押えて書類200を用紙10に固定する押え具92とを備える。
用紙10は、図2に示すように、1枚の例えば板紙で平板状に形成されている。板紙は、多層抄き(積層紙)のものに限定されず、単層抄きのものも含む。用紙10の四隅の部分10cはそれぞれR(アール)が付けられて丸められている。用紙10には、長手方向Xに直交する短手方向Yに沿った複数の折筋15,16,17,18が形成されている。
【0011】
折筋15,16,18は、図2の用紙10の紙面の手前側に凸となるように折り曲げられる、いわゆる山折用の折筋である。一方、折筋17は、図2の用紙10の紙面の奥側に凹となるように折り曲げられる、いわゆる谷折用の折筋である。平板状の用紙10の各折筋15,16,17,18をそれぞれ折り曲げることにより、用紙10は、図1に示すように立体的な表紙に形成される。
【0012】
図2に示すように、折筋15は、立体的に形成された状態の用紙10(図1参照)において表表紙となる部分11(以下、表表紙部分11という。)と背表紙となる部分12(以下、背表紙部分12という。)とを仕切る筋となっている。折筋16は、背表紙部分12と綴じ具90が取り付けられる取り付け部分13とを仕切る筋となっている。折筋18は、取り付け部分13と裏表紙となる部分14(以下、裏表紙部分14という。)とを仕切る筋となっている。
【0013】
取り付け部分13は、背表紙部分12に隣接した第1取り付け部分13aと、裏表紙部分14に隣接した第2取り付け部分13bとを重ね合わせて形成されていて、折筋17は、第1取り付け部分13aと第2取り付け部分13bとを仕切る筋となっている。第1取り付け部分13aと第2取り付け部分13bとは、用紙10の表面10a同士が向かい合わせて重ねられる。なお、フラットファイル100として使用される立体の状態では、第1取り付け部分13aと第2取り付け部分13bとが、両面テープやステープラなどによって、重ねられた状態に固定される。
【0014】
また、第1取り付け部分13aおよび第2取り付け部分13bにはそれぞれ、短手方向Yに沿って並ぶ2つの取り付け孔19が形成されている。これらの取り付け孔19は円形に形成されている。第1取り付け部分13aと第2取り付け部分13bとが重ねられた状態で、第1取り付け部分13aに形成された2つの取り付け孔19は、それぞれ第2取り付け部分13bに形成された2つの取り付け孔19に重ねられる。
【0015】
取り付け孔19には、第2取り付け部分13bの側から、一端が取り付け孔19の孔径よりも大きく形成された綴じ込み帯91(図1参照)が通される。取り付け孔19を通して第1取り付け部分13aの側から出た綴じ込み帯91は、書類200(図1参照)に形成された綴じ孔(図示せず)を通過して、綴じ具90の押え具92により押えられる。これにより、書類200は、取り付け部分13に固定されてフラットファイル100に綴じられる。
【0016】
<用紙搬送装置への用紙のセットの状態>
図3は、用紙10に文章等の文字を始めとした画像情報をプリントする機能を備えた画像形成装置300の手差しトレイ310に、複数枚(例えば、10枚)の用紙10が重ねてセットされた状態を示す模式図である。なお本実施の形態で画像形成装置300は、用紙搬送装置の一例である。また手差しトレイ310は、搬送する前の用紙10を積載する積載部の一例である。画像形成装置300は、図3に示すように、手差しトレイ310上に載せられた、折筋15,16,17,18(図2参照)が折り曲げられる前の平坦な状態の用紙10を、搬送方向Zに搬送する。そして、画像形成装置300は、図1に示すように、用紙10を搬送方向Zの下流側に搬送しながら、手差しトレイ310上で上方を向いた面に、プリントを行う。
【0017】
この画像形成装置300で用紙10にプリントを行う場合、用紙10の表面10aであって、表表紙部分11、背表紙部分12および裏表紙部分14のうち少なくとも1つにプリントを行う。プリントの内容は、一例として、フラットファイル100に綴じられる書類200(図1参照)の表題名、書類200の著者名や提供者名、書類200の宛名、ロゴマークや写真等の画像などである。
用紙10を画像形成装置300の手差しトレイ310にセットする場合、用紙10の表面10aを上方に向けた状態でセットすることが必要である。用紙10の裏面10b(図1参照)を上方に向けた状態でセットした場合、用紙10の裏面10bにプリントが行われてしまうからである。
【0018】
また、用紙10を画像形成装置300の手差しトレイ310にセットする場合、用紙10の表表紙部分11を裏表紙部分14よりも、画像形成装置300の搬送方向Zの下流側に合わせてセットすることが必要である。仮に、裏表紙部分14を表表紙部分11よりも搬送方向Zの下流側に合わせてセットした場合、例えば、表表紙部分11にプリントしようとした内容が裏表紙部分14に、上下逆にプリントされるからである。
本実施の形態の用紙10は、画像形成装置300による搬送方向Zの下流側に表表紙部分11、上流側に裏表紙部分14が合うように、画像形成装置300に対する搬送方向Zが定められている。そして、各折筋15,16,17,18は、画像形成装置300の搬送方向Zに対して直交する方向に延びている。
【0019】
<用紙における折筋の詳細>
図4(A)は、図2におけるIV−IV線に沿った断面を示す断面図、同図(B)は、同図(A)における凹形状の折筋15の拡大図、同図(C)は、同図(A)における凸形状の折筋17の拡大図である。図3に示すように用紙10が表面10aを上方に向けて載せられた際は、図4(A)に示すように、用紙10の山折用の折筋15,16,18は、下方に陥没した凹形状に形成されている。一方、用紙10の谷折用の折筋17は、上方に突出した凸形状に形成されている。
【0020】
ここで、本実施の形態の凹形状の折筋15は、図4(B)に示すように、搬送方向Zの上流側と下流側とでほぼ対称となる形状を採る。即ち、搬送方向Zの下流側の下流側立ち下がり部15bと搬送方向Zの上流側の上流側立ち下がり部15cの傾斜は、ほぼ同じである。
なお、他の凹形状の折筋16,18についても、折筋15と同様であり、搬送方向Zの上流側と下流側とでほぼ対称となる形状を採る。即ち、折筋16については、搬送方向Zの下流側の下流側立ち下がり部16bと搬送方向Zの上流側の上流側立ち下がり部16cの傾斜は、ほぼ同じである。さらに折筋18については、搬送方向Zの下流側の下流側立ち下がり部18bと搬送方向Zの上流側の上流側立ち下がり部18cの傾斜は、ほぼ同じである(図5参照)。
【0021】
また、凸形状の折筋17についても、図4(C)に示すように、搬送方向Zの上流側と下流側とでほぼ対称となる形状を採る。即ち、搬送方向Zの下流側の下流側立ち上がり部17bと搬送方向Zの上流側の上流側立ち上がり部17cの傾斜は、ほぼ同じである。
【0022】
図5は、複数の用紙10が重ねられて画像形成装置300の手差しトレイ310上に載せられた状態の断面を示す模式図である。また図6は、図5に示した用紙10のうち最上部の用紙10が搬送方向Zに搬送されている様子を示す。
本実施の形態の用紙10は、図5に示すように、画像形成装置300に対して複数重ねられてセットされる。そして、画像形成装置300にセットされた複数の用紙10は、図6に示すように、画像形成装置300の送出ロール320によって、最上部から1枚ずつ画像形成装置300の搬送方向Zに搬送される。ここで送出ロール320は、用紙10を搬送する搬送部の一例として捉えることができる。
【0023】
このとき、搬送される最上部の用紙10は、この用紙10に重なる下層の用紙10との間で、折筋15,16,18同士が引っ掛ることがある。つまり最上部の用紙10の凹形状の折筋15の下流側立ち下がり部15bが、この用紙10に重なる下層の用紙10の下流側立ち下がり部15bに引っ掛ることがある。また同様にして他の凹形状の折筋16,18の各下流側立ち下がり部16b,18bも引っ掛ることがある。
【0024】
同様に凸形状の折筋17同士が引っ掛かることもある。つまり最上部の用紙10の凸形状の折筋17の下流側立ち上がり部17bが、この用紙10に重なる下層の用紙10の下流側立ち上がり部17bに引っ掛かることがある。
そして折筋同士が引っ掛かると、最上部の用紙10が送出ロール320によって搬送することができず搬送不良が生ずる。
【0025】
そこで本実施の形態では、凹形状の折筋15,16,18、および凸形状の折筋17を以下の条件を満たすようにして、折筋同士が引っ掛かることを抑制する。
【0026】
本実施の形態で使用する用紙10は、上述したように例えば板紙であり、この坪量は、200gsm(g/m)〜370gsmである。なおこの坪量は、260gsm〜300gsmであることがより好ましい。そしてこの坪量の用紙10について折筋15,16,17,18の深さを以下のようにする。
【0027】
本実施の形態では、図4(B)に示すように凹形状の折筋15の深さd1を90μm以下としている。ここで凹形状の折筋15の深さd1は、用紙10の表面10aから折筋15の最深部15eまでの距離で定義される。これは、折筋15は、折筋15よりも搬送方向Zの下流側の平坦部15aや折筋15よりも搬送方向Zの上流側の平坦部15dより、用紙10の裏面10bの側(この場合、下方)に深さd1分凹んだ凹形状をなすと言い換えることもできる。なおこれは、凹形状の折筋16,18についても同様であり、凹形状の折筋16,18の深さを90μm以下とする。
【0028】
また本実施の形態では、図4(C)に示すように凸形状の折筋17の深さd2を90μm以下としている。ここで凸形状の折筋17の深さd2は、用紙10の裏面10bから折筋17の最深部17eまでの距離で定義される。これは、折筋17は、折筋17よりも搬送方向Zの下流側の平坦部17aや折筋17よりも搬送方向Zの上流側の平坦部17dより、用紙10の表面10aの側(この場合、上方)に深さd2分突き出た凸形状をなすと言い換えることもできる。
【0029】
このように凹形状の折筋15,16,18の深さd1、および凸形状の折筋17の深さd2を予め定められた深さ以下とすることで、上述した折筋同士の引っ掛かりが生じにくくなる。即ち、搬送される最上部の用紙10が、この用紙10に重なる下層の用紙10との間で、折筋15,16,17,18同士が引っ掛ることが生じにくくなる。これは、例えば、折筋15については、凹形状の折筋15の下流側立ち下がり部15bが、この用紙10に重なる下層の用紙10の下流側立ち下がり部15bに引っ掛ることが生じにくくなることによる。またこれは折筋16,17,18についても同様である。即ち、凹形状の折筋16の下流側立ち下がり部16b、凸形状の折筋17の下流側立ち上がり部17b、および凹形状の折筋18の下流側立ち下がり部18bが、それぞれ下層の用紙10の下流側立ち下がり部16b、下流側立ち上がり部17b、および下流側立ち下がり部18bに引っ掛ることが生じにくくなる。その結果、用紙10の搬送不良が生じにくくなる。
【0030】
このように折筋15,16,17,18の深さを小さくするほど折筋同士が引っ掛かりにくくなる。しかしながら折筋15,16,17,18の深さを過度に小さくすると、折筋15,16,17,18において用紙10のユーザが折り処理を行なう際に折りにくくなる。またさらに折割れが生じやすくなるという問題が生じる。この折割れは、折筋15,16,17,18を折り曲げたときに、その山折り側の部分において応力が集中することで紙層の割れや繊維質の毛羽立ちなどが生じる現象である。折割れが発生した場合、用紙10をフラットファイル100としたときに見栄えが悪くなる。
【0031】
よって折筋15,16,17,18の深さについては、下限が存在する。本実施の形態では、坪量が200gsm〜370gsmである用紙10を使用したときに、折筋15,16,17,18の深さとして40μm以上であれば折割れが生じにくいことを見い出し、折筋15,16,17,18の深さとしてこの値を採用している。
結局、坪量が200gsm〜370gsmである用紙10を使用したときの折筋15,16,17,18の深さは、40μm〜90μmであることが必要となる。
【0032】
なお以上説明した例では、折筋15,16,17,18の深さについて具体的な数値により定義したが、他の定義とすることもできる。例えば、折筋15,16,17,18の深さは、折筋15,16,17,18において折り処理をしたときに折割れが生ずる大きさより大きく、画像形成装置300の手差しトレイ310に複数枚積載した状態から最上部の1枚を搬送する際に、折筋15,16,17,18の重なりにより生ずる搬送不良が生じる大きさより小さい、と言うこともできる。
【0033】
なお坪量が200gsm〜370gsmである用紙10を使用したときには、上述したように折割れが生じない下限値としては、ほぼ一定の値(上述した例では、40μm)となる。またこの坪量の用紙10を使用したときには、折筋15,16,17,18の重なりにより生ずる搬送不良が生じる条件として折筋15,16,17,18の深さが問題となり、他の要因はあまり問題にならない。例えば、送出ロール320(図5参照)の直径、材質などによる影響はほとんどない。即ち、折筋同士の引っ掛かりが生じるか否か、折割れが生じるか否かは、用紙10の坪量と折筋15,16,17,18の深さにより定まる。
【0034】
また折筋15,16,17,18の深さを大きくすると、下流側立ち下がり部15b、16b,18bや下流側立ち上がり部17bで引っ掛かりが生じることで、最上部の用紙10を搬送しようとする際の見かけ上の静止摩擦係数が上昇する。つまり用紙を複数枚積載した状態から最上部の1枚の用紙を搬送しようとする際の静止摩擦係数が上昇する。そしてこの静止摩擦係数が、画像形成装置300の送出ロール320が最上部の用紙10と接触する際に生じる静止摩擦係数より大きくなったときに折筋同士の引っ掛かりが生じる。つまり折筋15,16,17,18の深さは、最上部の用紙10を搬送しようとする際の静止摩擦係数が送出ロール320と最上部の用紙10との間に生じる静止摩擦係数より小さくなる範囲とする、と言うこともできる。なお具体的には、最上部の用紙10を搬送しようとする際の静止摩擦係数は、0.8以下であれば、用紙10の搬送不良が生じにくくなる。
【0035】
本実施の形態の用紙10は、山折用の凹形状の折筋15,16,18と谷折用の凸形状の折筋17とが形成されたものであるが、本発明に係る用紙は、凹形状の折筋だけが形成されたものであってもよいし、凸形状の折筋だけが形成されたものであってもよい。
また、折筋は複数形成されたものであってもよいし、1つだけ形成されたものであってもよい。
【0036】
本実施の形態の用紙10は、一例として、フラットファイル100に用いられる用紙に適用されるものである。ここで、一般にフラットファイルは、1枚の用紙を折筋で折り曲げることで、少なくとも表表紙と裏表紙とを形成し、表表紙と裏表紙とで挟まれた内側の空間に書類等が綴じられる。したがって、フラットファイルに用いられる用紙は、少なくとも表表紙部分11(図1参照)および裏表紙部分14を備えたものであればよく、背表紙部分12や取り付け部分13を含まないものであってもよい。
また、本発明における用紙は、全体が単一の種類の材料(例えば紙)で形成されたものでなくてもよく、例えば、板紙の一部に、透明な樹脂材料で形成されたシート等を含むものであってもよい。
なお、本発明の用紙は板紙に限定されるものではない。
【0037】
本発明に係る用紙は、フラットファイル以外のものに用いられる用紙であってもよい。すなわち、本発明に係る用紙は、例えば、包装容器の一例としての箱(箱の収容部分のみや箱の蓋部分のみも含む。)を形成するための用紙に適用されてもよい。
包装容器としての箱を形成する用紙は、縦方向、横方向および斜め方向に多数の折筋が予め形成されていて、その折筋に沿って用紙を折り曲げることで、立体的な箱が形成される。そして、この箱の表面となる用紙の部分に、画像形成装置でプリントを行う場合にも、本発明の用紙を適用することで、画像形成装置に対して用紙が特定の状態にセットされる。
即ち、本実施の形態の用紙10は、折筋で折り曲げることで予め定められた形状となるものに対して好適に使用することができる。
【0038】
なお、箱を形成する用紙のように、縦方向、横方向および斜め方向に折筋が形成されている用紙の場合、少なくとも、画像形成装置による搬送方向に対して交差する方向に延びた折筋について、本発明が適用されればよい。すなわち、用紙に形成された折筋のうち、搬送方向に沿った方向に延びた凸形状の折筋については、折筋15,16,17,18の深さは、40μm〜90μmとしなくてもよい。
【0039】
<折筋の形成方法>
図7(a)は、折筋15,16,17,18を形成する折筋形成装置400の概念図である。
図示するように折筋形成装置400は、第1ロール401と第2ロール402とを備え、第1ロール401と第2ロール402とは連動して回転を行なう。第1ロール401と第1ロール401は、第2ロール402に付勢されており、第1ロール401と第2ロール402との間では、予め定められた圧力が生じるニップ部Nが形成される。そして第1ロール401と第2ロール402とは回転するときに、ニップ部Nにおいて用紙10を間に挟み込み、折筋15,16,17,18を形成する。
【0040】
図7(b)は、第1ロール401および第2ロール402について説明した模式図である。
図示するように第1ロール401には、折筋15を形成するための凸部415aと、折筋16を形成するための凸部416aと、折筋17を形成するための凹部417aと、折筋18を形成するための凸部418aとがその表面に形成されている。
また同様に第2ロール402には、折筋15を形成するための凹部415bと、折筋16を形成するための凹部416bと、折筋17を形成するための凸部417bと、折筋18を形成するための凹部418bとがその表面に形成されている。なおこれらの凹部や凸部は、第1ロール401および第2ロール402の軸方向に直線状に形成されている。
【0041】
このとき凸部415aと凸部416aとの第1ロール401の表面上の距離、および凹部415bと凹部416bとの第2ロール402の表面上の距離は、折筋15と折筋16との長手方向X(図2参照)の距離と同じとなっている。また凸部416aと凹部417aとの第1ロール401の表面上の距離、および凹部416bと凸部417bとの第2ロール402の表面上の距離は、折筋16と折筋17との長手方向Xの距離と同じとなっている。さらに凹部417aと凸部418aとの第1ロール401の表面上の距離、および凸部417bと凹部418bとの第2ロール402の表面上の距離は、折筋17と折筋18との長手方向Xの距離と同じとなっている。
【0042】
そして第1ロール401および第2ロール402が回転し、第1ロール401の凸部415aがニップ部Nの位置になるときには、第2ロール402の凹部415bもニップ部Nの位置となる。同様に第1ロール401の凸部416aがニップ部Nの位置になるときには、第2ロール402の凹部416bもニップ部Nの位置となる。さらに第1ロール401の凹部417aがニップ部Nの位置になるときには、第2ロール402の凸部417bもニップ部Nの位置となり、第1ロール401の凸部418aがニップ部Nの位置になるときには、第2ロール402の凹部418bもニップ部Nの位置となる。即ち、凸部415aと凹部415b、凸部416aと凹部416b、凹部417aと凸部417b、凸部418aと凹部418bは、それぞれニップ部Nの位置で迎合するように第1ロール401および第2ロール402上の位置が決められている。
【0043】
図7(b)で示す折筋形成装置400において、用紙10を図中左側よりニップ部Nに挿入した場合、第1ロール401および第2ロール402の回転に伴い、まず第1ロール401の凸部415aと第2ロール402の凹部415bとがニップ部Nにおいて迎合する。そしてニップ部Nで発生する圧力により用紙10は押圧され、その結果、凹形状の折筋15が用紙10に形成される。
【0044】
さらに第1ロール401および第2ロール402が回転すると、次に第1ロール401の凸部416aと第2ロール402の凹部416bとがニップ部Nにおいて迎合する。そして凹形状の折筋16が用紙10に形成される。
【0045】
同様にして第1ロール401および第2ロール402の回転に伴い、第1ロール401の凹部417aと第2ロール402の凸部417bとがニップ部Nにおいて迎合するときには、凸形状の折筋17が用紙10に形成される。そして第1ロール401の凸部418aと第2ロール402の凹部418bとがニップ部Nにおいて迎合するときには、凹形状の折筋18が用紙10に形成される。
【0046】
以上のようにして折筋形成装置400により折筋15,16,17,18が形成される。なお上述した例では、1枚ずつの用紙10に折筋15,16,17,18を形成する方法を示したが、実際には、1枚ずつの設定サイズに切断される以前の、長手方向X(図2参照)に繋がった長尺の連続紙を折筋形成装置400に供給して折筋15,16,17,18を形成することが製造効率の観点からは好ましい。そして連続紙に折筋15,16,17,18を形成した後に、取り付け孔19(図2参照)を図示しない孔開け装置により形成し、さらに図示しないカット装置により連続紙をカットすることで用紙10を製造する。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
【0048】
図8(a)〜(c)は、本実施例についてまとめた図である。
用紙10として307mm×520mmの大きさを有し、坪量が256gsmである板紙を用意した。そしてこの用紙10に図7で説明したような折筋形成装置400を使用して折筋15,16,17,18を形成した。折筋15,16,17,18の深さは、図8(a)に示す15μm〜180μmの間の12種類とした。
【0049】
そして図3で説明したように、それぞれの用紙10を画像形成装置300の手差しトレイ310に複数枚載せ、画像形成装置300により画像を形成した。
【0050】
このとき折筋同士の引っ掛かりおよび折割れが生じたか否かを目視で確認した。さらに用紙10を折筋15,16,17,18で実際に折り、折りやすさを評価した。
そして折筋同士の引っ掛かりによって用紙の搬送不良が発生した割合として搬送不良発生率(%)を算出した。また折割れについては、図8(c)に示すように折り目の状態によりG1〜G4の4段階で評価した。さらに折り易さについては、図8(c)に示すように折りやすさをG1〜G4の4段階で評価した。
【0051】
評価は以下のようにして行なった。
まず折筋同士の引っ掛かりについては、用紙の搬送不良発生率が0%の場合を合格とし、わずかでも用紙の搬送不良が生じたものは不合格とした。
折割れについてはG1およびG2の場合を合格とし、G3およびG4の場合を折割れが生じたとして不合格とした。
また折りやすさについてもG1およびG2の場合を合格とし、G3およびG4の場合を不合格とした。
【0052】
評価結果を図8(a)〜(b)に示す。
図8(a)〜(b)に示すように折筋の深さが110μm、180μmのものは、用紙の搬送不良が発生した。一方、折筋の深さが89μm以下のものは、用紙の搬送不良が発生しなかった。即ち、用紙の搬送不良発生率が0%であった。
【0053】
また折筋の深さが15μm、25μm、35μmのものは、折割れが発生した。一方、折筋の深さが43μm以上のものは、折割れが発生しなかった。
【0054】
以上の状況を鑑み、折筋の深さが40μm〜90μmである場合は、用紙の搬送不良は発生せず、また折割れも発生しないと判断した。さらに折りにくいこともないと判断した。
【符号の説明】
【0055】
10…用紙、10a…表面(おもてめん)、10b…裏面、15,16,17,18…折筋、15b…下流側立ち下がり部、15c…上流側立ち下がり部、17b…下流側立ち上がり部、17c…上流側立ち下がり部、100…フラットファイル、300…画像形成装置、Z…搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8