特開2016-69807(P2016-69807A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-69807(P2016-69807A)
(43)【公開日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】ブロック
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/14 20060101AFI20160404BHJP
【FI】
   E02B3/14 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-196827(P2014-196827)
(22)【出願日】2014年9月26日
(71)【出願人】
【識別番号】509237066
【氏名又は名称】梶原 謙太郎
(71)【出願人】
【識別番号】391024984
【氏名又は名称】水工技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】梶原 謙太郎
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA25
2D118AA28
2D118CA02
2D118CA07
2D118DA01
2D118FA06
2D118FB01
2D118HA03
2D118HA11
2D118HA13
2D118HA17
2D118HA20
2D118HA31
2D118HB09
2D118HD03
(57)【要約】
【課題】敷設が容易で、曲面や折れ面にも敷設することができ、施工後の緑化が可能であって且つ背の高い植物が生育し難いブロックを提供する。
【解決手段】本実施形態のブロック100は、地面に沿って複数配列して護岸構造物を形成するための建設資材であって、互いに平行をなす二対の周面部13,14(15,16)を有する平板形状の本体部10と、本体部10の一方の周面部13に設けられた凸状の第一連結部11と、本体部10の他方の周面部14に第一連結部11とファスナ状に係合可能な形状に設けられた凸状の第二連結部12と、本体部10にその表面10a側に開口した状態に設けられた複数の有底穴17と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に沿って複数配列して護岸構造物を形成するためのブロックであって、
互いに平行をなす少なくとも一対の周面部を有する平板形状の本体部と、前記本体部の一方の前記周面部に設けられた凸状の第一連結部と、前記本体部の他方の周面部に前記第一連結部とファスナ状に係合可能な形状に設けられた凸状の第二連結部と、前記本体部にその表面側に開口した状態に設けられた有底穴と、を備えたブロック。
【請求項2】
複数の前記ブロックを、それぞれの前記第一連結部と前記第二連結部とをファスナ状に係合させて配列したとき、前記第一連結部と前記第二連結部との分離を阻止する凹凸嵌合機構を前記第一連結部と前記第二連結部との隣接領域に設けた請求項1記載のブロック。
【請求項3】
前記凹凸嵌合機構として、前記第一連結部に前記本体部の表面側に開口する凹溝を設け、前記第二連結部に前記凹溝内に嵌入可能な凸部を設けた請求項2記載のブロック。
【請求項4】
前記有底穴に水抜き用の貫通孔を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のブロック。
【請求項5】
前記有底穴の表面開口部が多角形状である請求項1〜4のいずれかに記載のブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然環境や水辺の生態系に悪影響を及ぼすことなく、河川の堤防や海岸などの浸食を防止可能な護岸構造物を構築するためのブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
護岸構造物を構築するためのブロックについては、従来、様々な形状、構造のものが提案されているが、本発明に関連するブロックとして、例えば、特許文献1記載の「連節式ブロックマット」がある。
【0003】
特許文献1記載のブロックマットは、施工対象となる斜面に沿って敷設されるシート部材と、シート部材上に配列される複数のブロック本体などによって構成されている。ブロック本体は、輪郭が凹凸形状をなし、垂直方向の離脱防止用嵌着型凹凸ヒンジ係止部と、円形穴部などを有している。
【0004】
特許文献1に記載されているブロック本体は、敷設時の位置合わせが容易であり、曲面及び折れ面での敷設対応が可能であるなどの長所を備え、中央部に複数の円形穴部が設けられているので、敷設後、植生・緑化も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−45990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、特許文献1に記載されているブロック本体は中央部に複数の円形穴部が設けられているので、施工後、土砂が充填された円形穴部において植物の生育が可能であるが、円形穴部はブロック本体を貫通しているので、高木類の樹木の種子が根付くと、地中深く根を張って、人間の背丈より大きく生育し、邪魔になることがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、敷設が容易で、曲面や折れ面にも敷設することができ、施工後の緑化が可能であって且つ背の高い植物が生育し難いブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロックは、地面に沿って複数配列して護岸構造物を形成するためのブロックであって、互いに平行をなす少なくとも一対の周面部を有する平板形状の本体部と、前記本体部の一方の前記周面部に設けられた凸状の第一連結部と、前記本体部の他方の周面部に前記第一連結部とファスナ状に係合可能な形状に設けられた凸状の第二連結部と、前記本体部にその表面側に開口した状態に設けられた有底穴と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、複数の前記ブロックを、それぞれの前記第一連結部と前記第二連結部とをファスナ状に係合させて配列したとき、前記第一連結部と前記第二連結部との分離を阻止する凹凸嵌合機構を前記第一連結部と前記第二連結部との隣接領域に設けることが望ましい。
【0010】
さらに、前記凹凸嵌合機構として、前記第一連結部に前記本体部の表面側に開口する凹溝を設け、前記第二連結部に前記凹溝内に嵌入可能な凸部を設けることができる。
【0011】
一方、前記有底穴に水抜き用の貫通孔を設けることもできる。
【0012】
また、前記有底穴の表面開口部を多角形状とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、敷設が容易で、曲面や折れ面にも敷設することができ、施工後の緑化が可能であって且つ背の高い植物が生育し難いブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態であるブロックの表面側を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態であるブロックの表面側を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態であるブロックの裏面側を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態であるブロックの裏面側を示す斜視図である。
図5図1に示すブロックを複数配列した状態を示す図である。
図6図5中の矢線X方向から見た側面図である。
図7図1に示すブロックを法面に敷設した状態を示す垂直断面図である。
図8図1に示すブロックのその他の配列形態を示す図である。
図9】その他の実施形態であるブロックの表面側を示す斜視図である。
図10図9に示すブロックの配列形態を示す図である。
図11図9に示すブロックのその他の配列形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図8に基づいて、本発明の実施形態であるブロック100について説明する。図1図4に示すように、本実施形態のブロック100は、地面に沿って複数配列して護岸構造物を形成するための建設資材であって、互いに平行をなす二対の周面部13,14(15,16)を有する四角形で平板形状の本体部10と、本体部10の一方の周面部13に設けられた凸状の第一連結部11と、本体部10の他方の周面部14に第一連結部11とファスナ状に係合可能な形状に設けられた凸状の第二連結部12a,12bと、本体部10にその表面10a側に開口した状態に設けられた複数の有底穴17と、を備えている。
【0016】
図5に示すように、複数のブロック100を、それぞれの第一連結部11と第二連結部12a,12bとを交互にファスナ状に係合させて配列したとき、第一連結部11と第二連結部12a,12bとの分離を阻止する凹凸嵌合機構として、第一連結部11に凹溝21が設けられ、凹溝21内に嵌入可能な凸部22が第二連結部12a,12bに設けられている。凹溝21は、本体部10の表面10a側に開口する断面半円形状をなし、凸部22は円柱状をなしている。凹溝21及び凸部22は、複数のブロック100を配列したときに第一連結部11と第二連結部12とが隣接する領域に設けられている。
【0017】
凹溝21は、その長手方向が周面部13と平行をなすような状態で第一連結部11の両側に設けられている。凸部22は、その軸心方向が周面部14と平行をなすような状態で、周面部14の中央に位置する第二連結部12aの両側と、周面部15,16寄りに位置する第二連結部12bの中央寄りの片側に突設されている。第一連結部11は2個設けられ、第二連結部12a,12bは3個設けられているが、個数は限定されない。
【0018】
図5に示すように、複数のブロック100を連結したとき、隣接するブロック100の凹溝21と凸部22が周面部13,14と平行な同一直線上に並ぶように嵌合されるので、隣接するブロック100同士は凹溝21及び凸部22を中心に蝶番状に折れ曲がることができる。
【0019】
なお、図5に示す配列においては、複数のブロック100を千鳥状に配列(周面部15,16と平行方向に隣接するブロック100同士を、周面部13,14と平行方向にブロック100の周面部13,14方向のサイズの半分の距離だけ変位させた状態に配列)しているので、ブロック100のみを配列した場合、図5に示す構造物の左右側縁部分が凹凸状となるが、ブロック100の半分サイズのブロック50を凹状部分に配置することにより、左右側縁部分を直線状にしている。ブロック50は、ブロック100の周面部13,14と平行方向の半分の位置において、周面部15,16と平行方向に切断したサイズ、形状を有している。
【0020】
有底穴17の表面開口部は六角形であり、底部に向かって縮径した形状をなしている。有底穴17の底部には本体部10の裏面10bに開口した水抜き用の貫通孔18が設けられている。周面部15,16に面する有底穴17aは、有底穴17を半分に縦割りした形状をなし、それぞれ周面部15,16に開口している。有底穴17の表面開口部は六角形であるが、これに限定しないので、その他の多角形あるいは円形や楕円形などとすることもできる。
【0021】
次に、図6図7に基づいてブロック100,50を用いた護岸構造物の施工について説明する。図7に示すように、施工対象となる河川Rの堤防Gの法面に沿って遮水シート30を敷設し、遮水シート30の表面にブロック100,50を配列する。このとき、図5図6に示すように、上下に隣接するブロック100同士は、それぞれの第一連結部11と第二連結部12a,12bとを交互にファスナ状に連結することによって互いに固定される。
【0022】
複数のブロック100,50を縦横に配列すると、法面は複数のブロック100,50によって隙間なく覆われた状態となる。この後、各ブロック100,50の本体部10の有底穴17,17aに土砂などを充填したり、場合によっては覆土したりすると、護岸構造物の施工が完了する。
【0023】
上下に隣り合うブロック100同士は第一連結部11と第二連結部12a,12bとを連結させることにより一体化するので、流体力に対して優れた抵抗力を発揮することができる。また、ブロック100,50を配列する場合、その他の連結作業を行う必要がないので、敷設作業も容易である。また、連結部分にて折れ曲がることができるので、堤防Gの法面に曲面や折れ面があってもそれに沿って敷設することができる。
【0024】
また、複数の有底穴17,17aに充填された土砂の部分では植物が生育できるので、施工後の緑化が可能である。複数の有底穴17,17aの底部は貫通孔18を除いて閉塞されているので、有底穴17,17a中で生育する植物が堤防Gの地盤に向かって深く根を張ることができない。このため、有底穴17,17aにおいて生育できる植物は背の低い草花に限られる結果、背の高い植物の生育を防ぐことができる。有底穴17の底部には水抜き用の貫通孔18が設けられているので、有底穴17内に余分な水が貯留されることもない。
【0025】
次に、図8に基づいて、ブロック100のその他の配列形態について説明する。図5に示す配列形態においては複数のブロック100を千鳥状に配列しているが、これに限定しないので、図8に示すように、複数のブロック100を周面部13,14と平行方向に変位させることなく、周面部15,16と平行方向に直列をなすように配列することもできる。
【0026】
次に、図9図11に基づいて、本発明のその他の実施形態であるブロック200について説明する。なお、ブロック200において、図1〜4に示すブロック100の構成部分と共通する部分については図1図4中の符号と同符号を付して説明を省略する。
【0027】
図9に示すように、本実施形態のブロック100xは、互いに平行をなす二対の周面部13,14(15,16)を有する四角形で平板形状の本体部10xと、本体部10xの一方の周面部13に設けられた凸状の第一連結部11と、本体部10xの他方の周面部14に第一連結部11とファスナ状に係合可能な形状に設けられた凸状の第二連結部12aと、本体部10xにその表面10a側に開口した状態に設けられた複数の有底穴17と、を備えている。
【0028】
図10に示すように、複数のブロック100を、それぞれの第一連結部11と第二連結部12aとを交互にファスナ状に係合させて配列したとき、第一連結部11と第二連結部12aとの分離を阻止する凹凸嵌合機構として、第一連結部11に凹溝21が設けられ、第二連結部12aに凹溝21内に嵌入可能な凸部22が設けられている。凹溝21は、本体部10xの表面10a側に開口する断面半円形状をなし、凸部22は円柱状をなしている。凹溝21及び凸部22は、複数のブロック100xを配列したときに第一連結部11と第二連結部12とが隣接する領域に設けられている。
【0029】
凹溝21は、その長手方向が周面部13と平行をなすような状態で第一連結部11の両側に設けられている。凸部22は、その軸心方向が周面部14と平行をなすような状態で第二連結部12aの両側に突設されている。第一連結部11は周面部13の長手方向に沿って2個設けられ、第二連結部12aは周面部14の長手方向に沿って2個設けられているが、個数は限定されない。
【0030】
図10に示すように、複数のブロック100xを連結したとき、隣接するブロック100xの凹溝21と凸部22が周面部13,14と平行な同一直線上に並ぶように嵌合されるので、隣接するブロック100x同士は連結部分にて折れ曲がることができる。
【0031】
図10に示す配列形態においては、周面部15,16と平行方向に隣接するブロック100x同士を、周面部13,14と平行方向にブロック100xの周面部13,14の長手方向のサイズの1/4の距離だけ変位させた状態にして、複数のブロック100xを配列している。この場合、ブロック100xのみを配列した場合、図10に示す構造物の左右側縁部分が凹凸状となるが、ブロック100xの3/4サイズのブロック75L,75Rを凹状部分に配置することにより、左右側縁部分を直線状にしている。ブロック75L,75Rは、ブロック100xの周面部13,14の長さ方向の右端から(または左端から)1/4の位置において、周面部15,16と平行方向に切断して1/4の部分を削除したようなサイズ、形状を有している。
【0032】
一方、図11に示す配列形態においては、複数のブロック100x及び75L,75Rと、図5に示すブロック50と、を組み合わせて配列している。このように、複数のブロック100x,50,75L,75Rを組み合わせて配列することによって左右側縁部を直線状に形成することもできる。
【0033】
なお、図1図11に基づいて説明したブロック100,50,100x,75L,75Rは、本発明を例示するものであり、本発明のブロックは前述したブロック100,50,100x,75L,75Rに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のブロックは、河川の堤防や海岸などの浸食を防止するために施工される護岸構造物の建設資材として、土木建設業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 本体部
11 第一連結部
12a,12b 第二連結部
13,14,15,16 周面部
17,17a 有底穴
18 貫通孔
21 凹溝
22 凸部
30 遮水シート
50,75L,75R,100x,100 ブロック
G 堤防
R 河川
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11