【解決手段】本発明の変速装置の一つの態様は、入力側部材が取り付けられるブラケットと、変速部と、を備える。変速部は、太陽回転部材と共に遊星変速機構を構成する遊星回転部材と、遊星回転部材を一方側から支持するワッシャーと、を有する。ブラケットのブラケット本体部は、入力側部材と変速部とを隔てる第1の隔壁部と、第1の隔壁部の他方側の面から突出し、環状の内側面を有する第2の隔壁部と、第2の隔壁部の径方向内側に位置しワッシャーを一方側から支持する支持部と、を有する。第1の隔壁部と支持部とは、単一の部材の部分である。第2の隔壁部の径方向の内側には、空隙部が設けられる。空隙部は、太陽回転部材および遊星回転部材が配置される空間と接続される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る変速装置および駆動装置について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、
図1に示す中心軸J1の軸方向(一方向)と平行な方向とする。Z軸方向は、中心軸J1の径方向と平行な方向のうち
図1の上下方向とする。X軸方向は、Y軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Y軸方向の正の側(+Y側,他方側)を「フロント側」と呼び、Y軸方向の負の側(−Y側,一方側)を「リア側」と呼ぶ。ただし、リア側およびフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、以下の説明においては、中心軸J1に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ
Y方向)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Y軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Y軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
図1は、本実施形態の駆動装置10の部分を示す断面図である。
本実施形態の駆動装置10は、
図1に示すように、入力側部材としてのモータ30と、モータ30に取り付けられる変速装置20と、を備える。
【0014】
モータ30は、一方向(Y軸方向)に延びる中心軸J1を中心とするシャフト31と、シャフト31を支持するシャフト軸受32と、を有する。
変速装置20は、変速部50と、ブラケット40と、を備える。
【0015】
ブラケット40の軸方向(Y軸方向)のリア側(−Y側)には、モータ30が取り付けられる。変速部50は、ブラケット40の軸方向のフロント側(+Y側)に設けられる。すなわち、ブラケット40は、モータ30と変速部50とを連結している。シャフト軸受32は、ブラケット40に保持されている。シャフト31は、ブラケット40を介して変速装置20の内部に挿入されている。以下、各部品について詳細に説明する。
【0016】
<変速装置>
本実施形態において変速装置20は、2段型の変速装置である。すなわち、変速装置20は、モータ30から入力された回転運動を2段階変速して出力する。本実施形態において、変速装置20の筐体は、ブラケット40と、後述するリア側円筒部材60と、後述するフロント側円筒部材70と、後述する蓋部77と、で構成されている。
【0017】
(変速部)
変速部50は、リア側遊星変速機構(遊星変速機構)51と、フロント側遊星変速機構52と、を有する。本実施形態においてリア側遊星変速機構51およびフロント側遊星変速機構52は、例えば、遊星歯車機構である。
【0018】
[リア側遊星変速機構]
図2は、リア側遊星変速機構51の部分を示す分解斜視図である。
リア側遊星変速機構51は、
図1および
図2に示すように、リア側円筒部材60と、複数のリア側遊星回転部材(遊星回転部材)62と、複数のリア側キャリアピン(キャリアピン)63と、複数のリア側ニードルベアリング(ニードルベアリング)64と、リア側遊星キャリア65と、リア側ワッシャー(ワッシャー)66と、フロント側ワッシャー67と、を有する。すなわち、変速部50は、リア側円筒部材60と、複数のリア側遊星回転部材62と、複数のリア側キャリアピン63と、複数のリア側ニードルベアリング64と、リア側遊星キャリア65と、リア側ワッシャー66と、を有する。
【0019】
リア側遊星変速機構51は、
図1に示すように、シャフト31のフロント側(+Y側)の端部に設けられたリア側太陽回転部材(太陽回転部材)61によって、リア側遊星回転部材62に回転動力が伝達されることで機能する。すなわち、リア側遊星変速機構51は、上記の各部品と、リア側太陽回転部材61と、で構成される。
【0020】
本実施形態においてリア側太陽回転部材61は、例えば、太陽歯車である。すなわち、本実施形態においてリア側太陽回転部材61の外側面には、歯車が設けられている。本実施形態においてリア側太陽回転部材61は、例えば、シャフト31と単一の部材として設けられている。
【0021】
リア側円筒部材60は、円筒状の部材である。リア側円筒部材60は、変速装置20の筐体の一部を構成している。本実施形態においてリア側円筒部材60は、例えば、内歯車である。すなわち、本実施形態においてリア側円筒部材60の内側面には、歯車が設けられている。
【0022】
リア側遊星回転部材62は、リア側円筒部材60の径方向内側に設けられている。リア側遊星回転部材62は、リア側太陽回転部材61と共にリア側遊星変速機構51を構成する。本実施形態においてリア側遊星回転部材62は、例えば、遊星歯車である。すなわち、リア側遊星回転部材62の外側面には、歯車が設けられている。リア側遊星回転部材62は、例えば、
図2に示すように3つ設けられている。リア側遊星回転部材62は、
図1に示すように、リア側太陽回転部材61の径方向外側に設けられている。リア側遊星回転部材62は、
図2に示すように、周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0023】
リア側遊星回転部材62は、リア側キャリアピン63によってリア側遊星キャリア65に取り付けられている。リア側遊星回転部材62は、リア側キャリアピン63の中心を通る軸であるリア側キャリアピン軸(キャリアピン軸)J2周りに回転可能である。すなわち、リア側キャリアピン63は、リア側遊星回転部材62を回転可能に支持している。径方向において、リア側遊星回転部材62とリア側キャリアピン63との間には、リア側ニードルベアリング64が設けられている。
【0024】
リア側遊星回転部材62の外側面は、リア側太陽回転部材61の外側面およびリア側円筒部材60の内側面に接触している。本実施形態においては、リア側遊星変速機構51が遊星歯車機構であるため、リア側太陽回転部材61の歯車とリア側遊星回転部材62の歯車とが噛み合っている。また、リア側円筒部材60の歯車とリア側遊星回転部材62の歯車とが噛み合っている。図示は省略するが、各歯車の噛み合う箇所には、潤滑油としてグリースが注入されている。リア側遊星回転部材62は、リア側太陽回転部材61の回転に伴って、リア側キャリアピン軸J2周りに自転すると共に、中心軸J1周り(±θ
Y方向)に公転する。
【0025】
なお、潤滑油として注入されるグリースとしては、例えば、ちょう度が1以上のグリースを用いることが好ましい。グリースとしては、例えば、ちょう度が2以上のグリースを用いることが特に好ましい。ちょう度とは、グリースの硬さを表す値である。ちょう度は、JIS規格(JIS K 2220:2013)に基づいて測定できる。ちょう度が上記の範囲である場合には、後述する空隙部AR11内にグリースを保持しやすい。
【0026】
リア側キャリアピン63は、リア側遊星キャリア65に設けられた孔部に嵌合されている。リア側キャリアピン63は、リア側遊星キャリア65に固定されている。本実施形態においてリア側キャリアピン63は、リア側遊星回転部材62の数に合わせて、例えば、3つ設けられている。リア側キャリアピン63のリア側キャリアピン軸J2は、シャフト軸受32よりも径方向外側に位置している。
【0027】
リア側ニードルベアリング64は、リア側遊星回転部材62の内側に嵌合されている。リア側ニードルベアリング64の内側には、リア側キャリアピン63が嵌合されている。本実施形態においてリア側ニードルベアリング64は、リア側遊星回転部材62の数に合わせて、例えば、3つ設けられている。リア側ニードルベアリング64の構成は、特に限定されない。すなわち、本実施形態においては、リア側ニードルベアリング64として、いかなるニードルベアリングを用いてもよい。
【0028】
リア側遊星キャリア65は、リア側キャリアピン63を介してリア側遊星回転部材62を支持する。リア側遊星キャリア65の中心には、中心軸J1と同心のフロント側(+Y側)に開口する中心孔部65aが設けられている。中心孔部65aには、後述するフロント側太陽回転部材71が嵌合されて、固定されている。リア側遊星キャリア65は、リア側遊星回転部材62の公転と共に、中心軸J1周り(±θ
Y方向)に回転する。
【0029】
リア側ワッシャー66は、リア側遊星回転部材62のリア側(−Y側)に設けられている。リア側ワッシャー66は、軸方向(Y軸方向)に視て、リア側遊星回転部材62の少なくとも一部、リア側キャリアピン63の少なくとも一部、およびリア側ニードルベアリング64の少なくとも一部と重なっている。本実施形態においてリア側ワッシャー66は、軸方向に視て、リア側遊星回転部材62の一部、リア側キャリアピン63の全体、およびリア側ニードルベアリング64の全体と重なっている。
【0030】
本実施形態においてリア側ワッシャー66は、複数のリア側遊星回転部材62、複数のリア側キャリアピン63および複数のリア側ニードルベアリング64をリア側から支持する。リア側ワッシャー66のフロント側(+Y側)のワッシャーフロント面66aは、リア側遊星回転部材62、リア側キャリアピン63およびリア側ニードルベアリング64のうちの少なくとも一つと接触している。リア側ワッシャー66は、後述するブラケット40の支持部44によって、フロント側から支持されている。
【0031】
なお、本明細書において、リア側ワッシャー66が部材を支持するとは、リア側ワッシャー66がその部材に接触することのみを意味せず、リア側ワッシャー66によってその部材の移動が制限されることも含む。例えば、リア側ワッシャー66がリア側遊星回転部材62を支持するとは、リア側ワッシャー66によって、リア側遊星回転部材62のリア側ワッシャー66よりリア側(−Y側)への移動が制限されることを含む。この場合において、リア側ワッシャー66とリア側遊星回転部材62とは、必ずしも接触していなくてもよい。リア側キャリアピン63とリア側ニードルベアリング64とについても同様である。
【0032】
リア側ワッシャー66の外縁は、リア側ニードルベアリング64よりも径方向外側に位置している。リア側ワッシャー66の外縁は、後述する第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aよりも径方向内側に位置している。リア側ワッシャー66の内縁は、リア側ニードルベアリング64よりも径方向内側に位置している。リア側ワッシャー66の内縁は、リア側太陽回転部材61よりも径方向外側に位置している。
【0033】
フロント側ワッシャー67は、リア側遊星キャリア65をフロント側(+Y側)から支持する。フロント側ワッシャー67は、リア側遊星キャリア65と接触している。フロント側ワッシャー67は、後述するフロント側遊星キャリア75によって、フロント側から支持されている。
【0034】
リア側ワッシャー66とフロント側ワッシャー67とは、リア側遊星回転部材62、リア側キャリアピン63、リア側ニードルベアリング64、およびリア側遊星キャリア65を軸方向(Y軸方向)の両側から挟み込む。これにより、リア側遊星キャリア65は、ブラケット40と後述するフロント側遊星キャリア75との間において、中心軸J1を中心に回転可能に支持される。リア側遊星回転部材62、リア側キャリアピン63、およびリア側ニードルベアリング64は、ブラケット40とフロント側遊星キャリア75との間において、中心軸J1を中心に公転可能に支持される。
【0035】
[フロント側遊星変速機構]
フロント側遊星変速機構52は、リア側遊星変速機構51のフロント側(+Y側)に設けられている。フロント側遊星変速機構52は、フロント側円筒部材70と、フロント側太陽回転部材71と、複数のフロント側遊星回転部材72と、複数のフロント側キャリアピン73と、複数のフロント側ニードルベアリング74と、フロント側遊星キャリア75と、フロント側遊星キャリア軸受76a,76bと、蓋部77と、出力軸78と、を有する。
【0036】
フロント側円筒部材70は、リア側遊星変速機構51のリア側円筒部材60のフロント側(+Y側)に取り付けられている。フロント側円筒部材70は、リア側円筒部材60と同様である。
フロント側太陽回転部材71は、リア側遊星変速機構51のリア側遊星キャリア65に固定されている。フロント側太陽回転部材71は、リア側遊星キャリア65と共に、中心軸J1周り(±θ
Y方向)に回転する。
【0037】
フロント側円筒部材70とフロント側太陽回転部材71とフロント側遊星回転部材72とは、リア側遊星変速機構51と同様にして噛み合って構成されている。すなわち、フロント側遊星回転部材72は、フロント側太陽回転部材71の回転に伴って、フロント側キャリアピン軸J3周りに自転すると共に、中心軸J1周り(±θ
Y方向)に公転する。フロント側遊星回転部材72のその他の構成は、リア側遊星回転部材62の構成と同様である。
【0038】
フロント側キャリアピン73は、リア側遊星変速機構51のリア側キャリアピン63と同様である。フロント側ニードルベアリング74は、リア側遊星変速機構51のリア側ニードルベアリング64と同様である。
【0039】
フロント側遊星キャリア75は、リア側遊星キャリア65と同様に、フロント側遊星回転部材72の公転に伴って、中心軸J1周り(±θ
Y方向)に自転する。フロント側遊星キャリア75は、フロント側遊星キャリア軸受76a,76bによって、中心軸J1周りに回転可能に支持されている。フロント側遊星キャリア75のフロント側(+Y側)の端部には、出力軸78が連結されている。
【0040】
フロント側遊星キャリア軸受76aは、リア側円筒部材60とフロント側円筒部材70とによって保持されている。
フロント側遊星キャリア軸受76bは、蓋部77に保持されている。
【0041】
蓋部77は、フロント側円筒部材70のフロント側(+Y側)に取り付けられている。蓋部77の中央には軸方向(Y軸方向)に貫通する孔部が設けられている。蓋部77は、変速装置20の筐体の一部を構成している。
フロント側遊星キャリア75のフロント側の端部に連結された出力軸78は、蓋部77の孔部を介して、変速装置20の筐体の外部に露出している。本実施形態において出力軸78は、フロント側遊星キャリア75と単一の部材である。
【0042】
(ブラケット)
図3から
図5は、ブラケット40を示す図である。
図3は、正面図(ZX面図)、すなわち、フロント側(+Y側)からリア側(−Y側)に向かって視た図である。
図4は、背面図(ZX面図)、すなわち、リア側からフロント側に向かって視た図である。
図5は、断面図である。
ブラケット40は、
図5に示すように、ブラケット本体部41と、軸受保持部材45と、を有する。本実施形態においてブラケット40は、単一の部材である。ブラケット40は、変速装置20の筐体の一部を構成する。
【0043】
[ブラケット本体部]
ブラケット本体部41には、
図1に示すように、モータ30が取り付けられる。ブラケット本体部41は、第1の隔壁部42と、第2の隔壁部43と、複数の支持部44と、を有する。第1の隔壁部42と支持部44とは、単一の部材、すなわち、ブラケット40の部分である。本実施形態において第2の隔壁部43は、単一の部材すなわち、ブラケット40の部分である。すなわち、本実施形態においては、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43と支持部44とは、単一の部材であるブラケット40の部分である。
【0044】
第1の隔壁部42は、モータ30と変速部50とを隔てる。第1の隔壁部42は、
図4に示すように、略円板状である。第1の隔壁部42は、貫通孔42bを有する。貫通孔42bは、第1の隔壁部42の中央に設けられている。貫通孔42bには、
図1に示すように、シャフト31が挿入される。貫通孔42bは、中心軸J1と同心である。
【0045】
第2の隔壁部43は、第1の隔壁部42のフロント側(+Y側)の隔壁部フロント面42aからフロント側に突出する。第2の隔壁部43は、
図3に示すように、周方向(θ
Y方向)の一周に亘って設けられている。第2の隔壁部43は、環状の隔壁部内側面43aを有している。本実施形態において第2の隔壁部43は、
図3および
図5に示すように、例えば、円筒状である。第2の隔壁部43は、ブラケット40の内側壁部を構成する。本実施形態において第2の隔壁部43は、第1の隔壁部42の径方向外側の端部に設けられている。
【0046】
第2の隔壁部43の径方向の内側には、空隙部AR11が設けられている。空隙部AR11は、
図1に示すように、リア側太陽回転部材61およびリア側遊星回転部材62が配置される空間AR2と接続されている。空間AR2は、リア側円筒部材60の内側に位置する空間である。本実施形態において空隙部AR11は、リア側ワッシャー66の内縁より径方向内側およびリア側ワッシャー66の外縁より径方向外側において、空間AR2と直接的に接触している。
【0047】
本実施形態において第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aは、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置している。すなわち、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側(+Y側)の端部は、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置している。
【0048】
本実施形態において第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aは、
図1および
図5に示すように、リア側からフロント側に向かって、径方向外側に傾く傾斜面である。すなわち、本実施形態において第2の隔壁部43の内径は、リア側(−Y側)からフロント側(+Y側)に向かうに従って、連続的に大きくなっている。
【0049】
言い換えると、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aには、傾斜部が設けられている。傾斜部は、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置する隔壁部内側面43aのフロント側(+Y側)の端部から、リア側(−Y側)へ径方向内側に傾いて延びている。
【0050】
支持部44は、リア側ワッシャー66をリア側(−Y側)から支持する。すなわち、支持部44は、リア側ワッシャー66を介して、複数のリア側遊星回転部材62、複数のリア側キャリアピン63および複数のリア側ニードルベアリング64をリア側から支持する。支持部44は、第2の隔壁部43の径方向内側に位置する。
【0051】
本実施形態において支持部44は、第1の隔壁部42の隔壁部フロント面42aからフロント側(+Y側)に突出する板状である。支持部44は、
図3に示すように、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aから径方向内側に延びている。すなわち、支持部44は、径方向に延びている。本実施形態において支持部44は、
図5に示すように、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43とに接続されている。
【0052】
本実施形態において支持部44は、
図3に示すように、例えば、8つ設けられている。支持部44は、第1の隔壁部42の貫通孔42bの周りに、中心軸J1の周方向(θ
Y方向)に沿って等間隔に配置されている。
【0053】
支持部44のフロント側(+Y側)の端部には、
図5に示すように、径方向内側がリア側(−Y側)に凹となる段差部46が設けられている。段差部46は、径方向と交差する段差面46aと、軸方向(Y軸方向)と交差する支持面46bと、で構成される。本実施形態において段差面46aは、径方向と直交する。本実施形態において支持面46bは、軸方向と直交する。
【0054】
段差面46aは、
図3に示すように、周方向に沿って等間隔に配置された支持部44ごとに設けられている。各段差面46aの中心軸J1からの径方向の距離は、同じである。段差面46aの径方向内側には、リア側ワッシャー66が配置される。リア側ワッシャー66は、各段差面46aで構成される面に嵌め込まれている。これにより、リア側ワッシャー66は、各段差面46aによって径方向に位置決めされている。
【0055】
支持面46bは、
図1に示すように、リア側ワッシャー66のリア側(−Y側)のワッシャーリア面66bと接触している。これにより、支持部44は、リア側ワッシャー66を支持している。
【0056】
[軸受保持部材]
軸受保持部材45は、シャフト軸受32を保持する。軸受保持部材45は、ブラケット本体部41における第1の隔壁部42のリア側(−Y側)に設けられる。軸受保持部材45は、第1の隔壁部42のリア側の面からリア側に突出する。軸受保持部材45は、
図4に示すように、例えば、円筒状である。本実施形態において軸受保持部材45は、中心軸J1と同心である。本実施形態において軸受保持部材45は、単一の部材、すなわち、ブラケット40の部分である。
【0057】
<モータ>
図1に示すように、モータ30のシャフト31のフロント側(+Y側)の端部は、軸受保持部材45に保持されたシャフト軸受32、および第1の隔壁部42の貫通孔42bを介して、変速装置20の内部に挿入されている。シャフト31のフロント側の端部は、ブラケット40の第2の隔壁部43の径方向内側に設けられた空隙部AR11に位置している。シャフト31のフロント側の端部には、リア側太陽回転部材61が設けられている。
【0058】
シャフト31には、リア側(−Y側)からフロント側(+Y側)に向かって直径が小さくなる小径段部31aが設けられている。本実施形態において小径段部31aは、例えば、テーパ面である。小径段部31aは、空隙部AR11内に位置している。
シャフト軸受32は、軸受保持部材45の内側に嵌合されている。
【0059】
モータ30は、その他の部品として、シャフト31を有するロータおよびステータ等を有している。モータ30としては、特に限定されず、いかなるモータを用いてもよい。
【0060】
モータ30のシャフト31が回転することで、リア側太陽回転部材61が回転する。リア側太陽回転部材61の回転によって、リア側遊星回転部材62が自転すると共に公転し、リア側遊星キャリア65が回転する。リア側遊星キャリア65の回転速度は、シャフト31の回転速度に対して、リア側円筒部材60の歯車の数、リア側太陽回転部材61の歯車の数、およびリア側遊星回転部材62の歯車の数に応じて変速された速度である。これにより、リア側遊星変速機構51によって、シャフト31の回転速度が変速される。
【0061】
リア側遊星キャリア65が回転することで、フロント側太陽回転部材71が回転し、リア側遊星変速機構51と同様にしてフロント側遊星キャリア75が回転する。フロント側遊星キャリア75の回転速度は、リア側遊星キャリア65の回転速度に対して、フロント側円筒部材70の歯車の数、フロント側太陽回転部材71の歯車の数、およびフロント側遊星回転部材72の歯車の数に応じて変速された速度である。これにより、フロント側遊星変速機構52によって、リア側遊星キャリア65の回転速度が変速される。フロント側遊星キャリア75が回転することで、出力軸78がフロント側遊星キャリア75の回転速度で回転する。
【0062】
以上のようにして、本実施形態の駆動装置10において、モータ30のシャフト31の回転は、変速装置20によって変速されて出力される。より詳細には、モータ30のシャフト31の回転は、変速部50のリア側遊星変速機構51およびフロント側遊星変速機構52によって2段階に変速される。変速装置20は、シャフト31の回転速度を減速させてもよいし、増速させてもよい。
【0063】
図6は、本実施形態の効果を説明するための説明図である。
図6に示すように、リア側遊星変速機構51に注入されたグリースGは、シャフト31を伝ってブラケット40側に漏れ出す場合がある。
【0064】
これに対して、本実施形態によれば、モータ30と変速部50とを隔てる第1の隔壁部42が設けられているため、グリースGがモータ30に漏れ出すことを抑制できる。また、シャフト31に付着するグリースGは、空隙部AR11内においてシャフト31の回転による遠心力で径方向外側に飛ばされる。飛ばされたグリースGは、例えば、
図6に示すように第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aに付着し、空隙部AR11内に溜められる。このようにして本実施形態によれば、オイルシールを用いることなく、リア側遊星変速機構51から漏れ出したグリースGが、モータ30に漏れ出すことを抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1の隔壁部42と、リア側ワッシャー66を支持する支持部44とは、単一の部材の部分である。そのため、変速装置20の部品点数が増加することを抑制できる。また、これにより、変速装置20の組み付け工数が増加することを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、変速装置20の製造コストが増加することを抑制でき、変速装置20の生産性が低下することを抑制できる。
【0066】
以上により、本実施形態によれば、グリースGの入力側部材への漏れ出しを抑制できると共に、製造コストが増加することを抑制でき、かつ、生産性の低下を抑制できる構造を有する変速装置が得られる。また、本実施形態によれば、そのような変速装置を備える駆動装置が得られる。
【0067】
また、本実施形態によれば、第2の隔壁部43は単一の部材であるブラケット40の部分である。すなわち、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43と支持部44とは、単一の部材であるブラケット40の部分である。そのため、部品点数の増加をより抑制でき、かつ、組み付け工数が増加することをより抑制できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ブラケット40は、シャフト軸受32を保持する軸受保持部材45を有する。すなわち、モータ30のシャフト31を支持するシャフト軸受32が、変速装置20に保持される。そのため、例えば、モータ30と変速装置20との間にシャフト軸受32を保持するための部材を別途設けるような場合に比べて、各部材間の公差の積み上げを小さくできる。これにより、本実施形態によれば、シャフト31を軸精度よく配置できる。
【0069】
また、空隙部AR11内にグリースGが溜められていくにつれて、リア側遊星変速機構51に注入されたグリースGは低減する。そのため、リア側遊星変速機構51の潤滑の信頼性が低下する虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、空隙部AR11に溜まったグリースGの一部を再びリア側遊星変速機構51へと戻すことができるため、リア側遊星変速機構51の潤滑の信頼性を向上できる。以下、詳細に説明する。
【0070】
本実施形態において、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aは、リア側からフロント側に向かって径方向外側に傾く傾斜面である。そのため、
図6に示すように、シャフト31から遠心力によって飛ばされたグリースGは、隔壁部内側面43aに径方向外側に向けて押し付けられることで、フロント側へと力を受ける。これにより、隔壁部内側面43aに付着したグリースGの一部が、隔壁部内側面43aに沿ってフロント側へと移動する。
【0071】
また、本実施形態において第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側の端部は、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に設けられている。そのため、空隙部AR11の径方向外側の端部において、空隙部AR11とリア側遊星変速機構51との間には、リア側ワッシャー66が設けられていない。すなわち、空隙部AR11は、径方向外側の端部において、空間AR2と直接的に接触している。これにより、上述したようにして移動するグリースGの一部が、空隙部AR11内から、空間AR2、すなわちリア側遊星変速機構51の内部へと移動する。
【0072】
以上のようにして、リア側遊星変速機構51から空隙部AR11内に漏れ出したグリースGの一部は、再びリア側遊星変速機構51へと供給される。このように、本実施形態によれば、リア側遊星変速機構51のグリースGは、
図6において矢印で示すようにして循環する。したがって、本実施形態によれば、リア側遊星変速機構51の潤滑の信頼性を向上できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aは、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置しているため、空隙部AR11を大きくできる。これにより、空隙部AR11内に溜められるグリースGの量を増加できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、リア側ワッシャー66を支持する支持部44が設けられている。そのため、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aをリア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に配置した場合であっても、リア側遊星回転部材62等を支持するリア側ワッシャー66を安定して支持できる。これにより、空隙部AR11を大きくしつつ、リア側ワッシャー66が外れてリア側遊星回転部材62とリア側太陽回転部材61との噛み合わせが外れることを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、支持部44は、径方向に延びている。そのため、シャフト31から径方向外側に飛ばされるグリースGが、支持部44に付着しにくい。これにより、グリースGが第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aに付着しやすい。したがって、本実施形態によれば、上述したようにして、グリースGの一部が循環しやすい。また、空隙部AR11において径方向外側からグリースGが溜まっていきやすいため、グリースGを効率的に溜められ、モータ30にグリースGが漏れ出すことをより抑制できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、支持部44は、径方向に延びる板状であるため、支持部44にグリースGがより付着しにくく、上記効果を大きく得られる。
【0077】
また、本実施形態によれば、複数の支持部44が周方向に沿って等間隔に配置されているため、リア側ワッシャー66を安定して支持できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、支持部44は、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43とに接続されているため、ブラケット本体部41の強度を向上できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、支持部44のフロント側の端部には、径方向内側がリア側に凹となる段差部46が設けられている。段差部46の段差面46aの径方向内側には、リア側ワッシャー66が配置されている。そのため、段差面46aよって、リア側ワッシャー66の外縁の径方向の位置が制限され、リア側ワッシャー66を径方向に位置決めしやすい。
【0080】
また、本実施形態によれば、リア側ワッシャー66は、複数の段差面46aで構成される面に嵌め込まれている。そのため、径方向において、リア側ワッシャー66をより精度よく位置決めできる。
【0081】
また、本実施形態によれば、リア側キャリアピン軸J2は、シャフト軸受32よりも径方向外側に位置する。そのため、リア側キャリアピン軸J2と中心軸J1との径方向の距離を大きくできる。これにより、本実施形態によれば、空隙部AR11を大きくできる。
【0082】
また、本実施形態によれば、リア側ワッシャー66は、リア側ニードルベアリング64をリア側から支持する。そのため、リア側ニードルベアリング64が外れることを抑制できる。特に、リア側ニードルベアリング64がニードルを保持するケージを有さない場合には、ニードルが抜けやすい。そのため、リア側ニードルベアリング64がニードルを保持するケージを有さない場合に、リア側ニードルベアリング64が外れることを抑制できる効果を、特に大きく得られる。
【0083】
また、本実施形態によれば、シャフト31には、小径段部31aが設けられている。小径段部31aに付着したグリースGは、シャフト31の回転による遠心力で振り切られ、シャフト31から分離しやすい。そのため、本実施形態によれば、リア側遊星変速機構51からシャフト31を伝って漏れ出したグリースGを、シャフト31から飛ばして第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aに付着させやすい。その結果、本実施形態によれば、グリースGがモータ30に漏れ出すことをより抑制できる。
【0084】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0085】
本実施形態においては、ブラケット40が軸受保持部材45を有していなくもよい。すなわち、本実施形態においては、シャフト軸受32がモータ30に保持される構成であってもよい。
また、本実施形態においては、軸受保持部材45は、ブラケット40において、ブラケット本体部41と別部材として設けられていてもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるリア側の端部の少なくとも一部が、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向内側で、かつ、リア側ワッシャー66の内縁より径方向内側に位置していてもよい。すなわち、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるリア側の端部の一部が、軸方向に視て、リア側ワッシャー66と重なっていてもよい。
【0087】
また、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側の端部の少なくとも一部が、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側の端部の一部のみが、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向外側に位置していてもよい。この場合においては、例えば、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側の端部の他の一部が、リア側ワッシャー66の外縁よりも径方向内側で、かつ、リア側ワッシャー66の内縁より径方向内側に位置していてもよい。すなわち、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aにおけるフロント側の端部の一部が、軸方向に視て、リア側ワッシャー66と重なっていてもよい。
【0088】
また、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aは、傾斜面でなくてもよい。すなわち、本実施形態においては、第2の隔壁部43の隔壁部内側面43aには、傾斜部が設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、第2の隔壁部43は、径方向に直交する面を有する部分と、傾斜面を有する傾斜部と、を有していてもよい。この場合においては、傾斜部は、第2の隔壁部43のフロント側の端部に設けられる。
【0089】
また、本実施形態においては、支持部44は、第1の隔壁部42と共に単一の部材の部分として設けられ、かつ、リア側ワッシャー66を支持できる範囲において、どのような構成であってもよい。例えば、支持部44の数は、特に限定されず、1つ以上、7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。また、例えば、支持部44は、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43とのうちのいずれか一方とのみ接続されている構成であってもよい。また、例えば、支持部44は、周方向に延びていてもよい。
【0090】
また、本実施形態において、ブラケット40は、第1の隔壁部42と支持部44とが単一の部材の部分であれば、他の部分が単一の部材として設けられていても、別部材として設けられていてもよい。一例として、第2の隔壁部43は、第1の隔壁部42と別部材として設けられていてもよい。
【0091】
また、本実施形態においては、支持部44は、段差部46を有していなくてもよい。
また、本実施形態においては、リア側キャリアピン軸J2は、シャフト軸受32よりも径方向内側に位置していてもよい。
【0092】
また、本実施形態においては、リア側ワッシャー66は、リア側ニードルベアリング64をリア側から支持していなくてもよい。
また、本実施形態においては、リア側ニードルベアリング64が設けられていなくてもよい。
【0093】
また、上記説明においては、入力側部材であるモータ30のシャフト31と、フロント側遊星変速機構52の出力軸78とは同心、すなわち、中心軸J1を中心としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、出力軸78は、中心軸J1と平行な他の軸を中心としてもよいし、中心軸J1と交差する軸を中心としてもよい。
【0094】
また、本実施形態においては、
図7から
図9のような構成を採用することもできる。以下、各構成について説明する。
なお、以下の各構成の説明においては、上記説明した構成と同様の構成について、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0095】
図7は、本実施形態の他の一例であるブラケット140を示す正面図である。
ブラケット140は、
図7に示すように、ブラケット本体部141を有する。ブラケット本体部141は、第1の隔壁部42と、第2の隔壁部43と、複数の支持部144と、を有する。
【0096】
支持部144は、
図3において説明した支持部44に対して、第2の隔壁部43と径方向に離間して設けられている点において異なる。支持部144のその他の構成については、支持部44と同様である。
【0097】
支持部144が第2の隔壁部43と径方向に離間して設けられているため、第2の隔壁部43の内側に設けられた空隙部AR12は、径方向外側の端部において、周方向の一周に亘って繋がっている。
ブラケット140のその他の構成は、上記説明したブラケット40と同様である。
【0098】
この構成によれば、空隙部AR12とリア側遊星変速機構51が設けられた空間AR2とが、リア側ワッシャー66を介さずに直接的に接する領域を大きくできる。そのため、空隙部AR12からリア側遊星変速機構51に再び戻るグリースGの量を多くできる。
【0099】
図8は、本実施形態の他の一例である駆動装置210を示す断面図である。
駆動装置210は、
図8に示すように、変速装置220を備える。変速装置220は、ブラケット240を有する。ブラケット240は、ブラケット本体部241と、軸受保持部材45と、を有する。ブラケット本体部241は、第1の隔壁部42と、第2の隔壁部43と、複数の支持部44と、突出部247と、を有する。第2の隔壁部43の内側には、空隙部AR13が設けられている。空隙部AR13は、上記説明した空隙部AR11と同様である。
【0100】
突出部247は、第1の隔壁部42の隔壁部フロント面42aからフロント側(+Y側)に突出する。より詳細には、突出部247は、第1の隔壁部42に設けられた貫通孔42bの外縁からフロント側に突出する。突出部247は、例えば、周方向の一周に亘って設けられている。突出部247は、例えば、円筒状である。突出部247のフロント側の端部は、シャフト31の小径段部31aよりもリア側(−Y側)に位置する。
駆動装置210のその他の構成は、
図1等において説明した駆動装置10と同様の構成である。
【0101】
この構成によれば、突出部247が設けられているため、グリースGがモータ30に漏れ出すことをより抑制できる。
【0102】
また、この構成によれば、突出部247は、小径段部31aよりもリア側に設けられている。そのため、小径段部31aによる上述したグリースGを振り切る作用を阻害することなく、グリースGがモータ30に漏れ出すことを抑制できる。
【0103】
なお、この構成においては、突出部247は、周方向の一部に設けられていてもよい。
また、この構成においては、突出部247は、小径段部31aよりフロント側まで延びていてもよい。
また、この構成においては、突出部247の形状は、特に限定されない。
【0104】
図9は、本実施形態の他の一例である駆動装置310を示す断面図である。
駆動装置310は、
図9に示すように、変速装置320を備える。変速装置320は、ブラケット340を有する。ブラケット340は、ブラケット本体部341を有する。ブラケット本体部341は、第1の隔壁部42と、第2の隔壁部43と、支持部344と、を有する。
【0105】
支持部344は、周方向(θ
Y方向)の一周に亘って設けられている。支持部344は、環状の支持部内側面344aを有している。本実施形態において支持部344は、図示は省略するが、例えば、円筒状である。支持部344は、第1の隔壁部42と第2の隔壁部43とに接続されている。
【0106】
支持部内側面344aは、リア側ワッシャー66の外縁より径方向内側で、リア側ワッシャー66の内縁より径方向内側に位置する。すなわち、支持部内側面344aは、軸方向(Y軸方向)に視て、リア側ワッシャー66と重なる位置に設けられている。
【0107】
支持部内側面344aには、凹部344bが設けられている。凹部344bは、例えば、支持部344の軸方向(Y軸方向)の中央に設けられている。凹部344bは、例えば、周方向の一周に亘って設けられている。凹部344bの形状は、例えば、円環状である。
【0108】
支持部344の内側には、空隙部AR14が設けられている。空隙部AR14は、第2の隔壁部43の径方向内側に位置している。この構成において、空隙部AR14は、支持部内側面344aの径方向内側に位置する空間と、凹部344bの内側の空間とで構成されている。空隙部AR14は、リア側ワッシャー66の内縁よりも径方向内側において、空間AR2と直接的に接触している。
【0109】
支持部344のフロント側(+Y側)の端部には、段差部346が設けられている。段差部346は、周方向の一周に亘って設けられている。段差部346の段差面346aは、径方向と直交する円環状である。段差部346の支持面346bは、軸方向(Y軸方向)と直交する円環状である。段差面346aには、リア側ワッシャー66が嵌合されている。リア側ワッシャー66のリア側のワッシャーリア面66bは、支持面346bと接触している。これにより、支持部344は、リア側ワッシャー66をリア側から支持している。
駆動装置310のその他の構成は、
図1等において説明した駆動装置10と同様の構成である。
【0110】
この構成によれば、支持部344が環状の支持部内側面344aを有する。すなわち、支持部344が周方向の一周に亘って設けられている。そのため、支持部344によってリア側ワッシャー66をより安定して支持できる。
【0111】
また、この構成によれば、支持部344の支持部内側面344aには、凹部344bが設けられているため、空隙部AR14を大きくできる。
【0112】
なお、この構成においては、凹部344bの設けられる位置および形状は、特に限定されない。
また、この構成においては、凹部344bは、複数設けられていてもよい。
【0113】
なお、上記説明した各構成においては、変速装置が2つの遊星変速機構を有する構成としたが、これに限られない。本発明は、遊星変速機構が1つ、または3つ以上設けられた変速装置に適用することもできる。
【0114】
また、上記説明した各構成においては、遊星変速機構が遊星歯車機構である構成としたが、これに限られない。本発明は、例えば、摩擦車を用いた遊星変速機構を備える変速装置に適用することもできる。
【0115】
また、上記説明した各構成においては、駆動装置に設けられる入力側部材をモータとしたが、これに限られない。本発明は、入力側部材として、例えば、油圧、空気圧、熱等によってシャフトが回転駆動される駆動機を備える駆動装置に適用することもできる。
【0116】
また、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。