の第1推定位相情報及び第1推定周波数情報を推定する。また、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号の第2位相情報及び第2周波数情報を推定する。第1推定周波数情報に対する第2推定周波数情報の誤差の移動平均値(F
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来と同一又は同様の構成には、同一符号を付している。
【0021】
図1は、高周波電圧の検出例を示すブロック図である。
第1高周波電源110は、発振器100から出力される高周波信号を増幅し、無線周波数帯域の出力周波数を有する進行波電力PFを出力して負荷となるプラズマ処理装置130に供給するための装置である。高周波電源110から出力された進行波電力PFは、伝送線路140を介してプラズマ処理装置130に供給される。なお、一般にこの種の高周波電源では、数百kHz以上の無線周波数帯域の周波数(例えば、13MHz,40MHz等の周波数)を有する進行波電力PFを出力している。
【0022】
負荷となるプラズマ処理装置130は、加工部を備え、その加工部の内部に搬入したウエハ、液晶基板等の被加工物を加工(エッチング、CVD等)するための装置である。なお、加工部には、電極(
図6及び
図7参照)が設けられている。この加工部にプラズマ放電用ガスが導入され、電極に高周波電源110から出力された進行波電力PFが供給されると、放電が生じてプラズマが発生する。プラズマ処理装置130は、このプラズマを利用して被加工物を加工している。
【0023】
方向性結合器150は、第1高周波電源110とプラズマ処理装置130との間に挿入されて、高周波電源110からプラズマ処理装置130に向かう進行波電圧VFを検出し、その検出信号を進行波検出信号V
fとして出力する。なお、方向性結合器150は、負荷で反射された反射波電圧を検出する機能も有するが、この例では必要ないので省略している。
【0024】
フィルタ160は、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタであり、方向性結合器150から出力される進行波検出信号V
fから高調波成分を除去し、基本周波数成分を通過させる。これにより、フィルタ160から出力される信号は正弦波信号となり、周波数情報検出装置1へ送られる。本明細書では、フィルタ160から出力される信号を周波数情報検出装置1への入力信号V
inとする。
なお、入力信号V
inは、アナログの電圧信号であるので、出力周波数をf、時間をt、位相オフセットをθ、角周波数をω(=2π・f)とすると、入力信号V
inは、式(1)のように表すことができる。なお、ここでは、入力信号V
inの振幅を「1」としている。
V
in=sin(2π・f・t+θ)
=sin(ω・t+θ) ・・・(1)
【0025】
また、フィルタ160の後段には、後述するA/D変換部10の入力範囲に適するように信号のレベルを変換するレベル変換回路を設けてもよいが、この
図1では省略している。
【0026】
図2は、周波数情報検出装置1の構成例である。周波数情報検出装置1は、
図2に示すように、A/D変換部10、第1推定位相情報出力部20、第1推定周波数情報出力部30、正弦波信号生成部40、第2推定位相情報出力部50、第2推定周波数情報出力部60、誤差周波数情報出力部70、誤差位相情報出力部80及び周波数補正部90を備えている。
【0027】
<A/D変換部10>
A/D変換部10は、フィルタ160から出力されるアナログの入力信号V
inを予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数f
sの逆数:1/f
s)でデジタル信号に変換する。A/D変換されたサンプリングデータは、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]として順次出力される。これにより、交流のアナログ信号波形が、複数のサンプリングデータで構成されるデジタル信号波形に変換される。なお、フィルタ160から出力される入力信号V
inが正弦波信号であれば、A/D変換部10から出力されるデジタル信号波形も正弦波信号となる。
なお、A/D変換部10には、A/Dコンバータが備わっていて、上記のようなA/D変換を行う。また、A/Dコンバータの後段にローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを設けて、基本周波数成分を通過させるようにしてもよい。
【0028】
ここで、入力信号V
inの周波数をf
in、サンプリング周波数をf
s、位相オフセットをθ’、相対角周波数をω
in=2π・(f
in/f
s)とすると、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]は、式(2)のように表すことができる。なお、ここでは、入力信号V
inの振幅を「1」としている。また時間データ「t」はサンプリング周期毎にインクリメントされる変数である。
V
in[t]=sin(2π・(f
in/f
s)[t]+θ’)
=sin(ω
in[t]+θ’) ・・・・・(2)
【0029】
<第1推定位相情報出力部20>
第1推定位相情報出力部20は、時刻[t]における入力信号Vinの位相情報の推定値α[t]を第1推定位相情報として出力する。この第1推定位相情報出力部20は、余弦値推定部21、位相推定部22を備えている。
【0030】
[余弦値推定部21]
余弦値推定部21は、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]を微分した余弦値「cos(ω
in[t]+θ’)」の推定値を、時刻[t−1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t−1]、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]及び既知の値を用いて演算する。推定した余弦値「cos(ω
in[t]+θ’)」は位相推定部22に送られる。以下、具体的に説明する。
【0031】
「α[t]=ω
in[t]+θ’=2π・(f
in/f
s)[t]+θ’」とすると、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))は、式(3)で表すことができる。
cos(α[t])
={(2sin(ω
in[t])・cos(α[t])}/(2sin(ω
in[t]))
={sin(α[t]+ω
in[t])−sin(α[t]−ω
in[t])}/(2sin(ω
in[t]))
={sin(2ω
in[t]+θ’)−sin(θ’)}/(2sin(ω
in[t])) ・・・(3)
【0032】
式(2)を参照すると、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]は「sin(ω
in[t]+θ’)」であるので、入力信号V
inの周波数f
inが変化しなければ、サンプリング周期(1/f
s)毎の相対角周波数ω
inの変位量は「ω
in[t]」で一定である。したがって、式(3)の分子は、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]から、時刻[t−1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t−1]を減算することを表している。
【0033】
また、式(3)の分母の「sin(ω
in[t])」は、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]から位相オフセットθ’を省略したものとなっている。
【0034】
したがって、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))は、時刻[t−1]、[t]及び[t+1]における3つの入力信号V
inの瞬時値V
in[t−1]、V
in[t]及びV
in[t+1]を用いて推定することができる。
【0035】
ただし、上記のように、「sin(ω
in[t])」は、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]から位相オフセットθ’を省略したものとなっているので、式(3)の分母には誤差が生じる。ここで、正弦関数の値(sinの値)は、0を中心として±1の範囲で変化するものであるから、誤差は正になることもあれば負になることもある。
【0036】
後述するように、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を推定した後、位相α[t]を演算し、さらに位相α[t]のサンプリング周期毎の位相変位量Δα[t]に基づいて入力信号V
inの周波数の推定値f
est[t]又は角周波数の推定値ω
est[t]を演算する。その後、演算した周波数の推定値f
est[t]又は角周波数の推定値ω
est[t]の移動平均値を演算するので、式(3)の分母の誤差は、殆ど相殺される。
【0037】
そこで、もともと誤差のある式(3)の分母を構成する入力信号V
inの周波数f
inを、式(4)のように、設定周波数f
setに置き換えても殆ど影響はない。ここで、設定周波数f
setとは、入力信号V
inの設定周波数であるので、誤差も小さい。例えば、
図6及び
図7の例では、発振器100から出力される高周波信号の周波数である。この設定周波数f
setは、予め分かっているので、例えば余弦値推定部21に入力しておけばよい。もちろん、設定角周波数ω
set(=2π・f
in)を用いてもよい。
2sin(ω
in[t])=2sin(2π・(f
in/f
s)[t])
→ 2sin(2π・(f
set/f
s)[t]) ・・・(4)
【0038】
なお、本明細書では、設定周波数f
set及び設定角周波数ω
setを総称して「設定周波数情報F
set」という。
【0039】
ここで、式(4)を構成する各要素は、全て既知の値である。そのため、「1/{2sin(2π・(f
set/f
s)[t])}」を定数Kで表すと、式(3)は式(5)のように変形できる。したがって、本来であれば、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を推定する際には、式(3)を用いる必要があるので複雑な演算が必要であるが、式(5)を用いることによって、演算式を簡略化でき、演算負荷を低減できる。
cos(α[t])=K・{sin(2ω
in[t]+θ’)−sin(θ’)}
=K・{V
in[t+1]−V
in[t−1]} ・・・(5)
【0040】
上記のように、余弦値推定部21は、A/D変換部10によってデジタル信号となった複数の入力信号V
inのデータを用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を演算する。そのため、余弦値推定部21は図示しないメモリを有し、そのメモリにA/D変換部10から出力された入力信号V
inの瞬時値V
in[t]を順次記憶していく。
【0041】
なお、上記のように、余弦値推定部21では、時刻[t−1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t−1]と、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]とを用いるが、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]を用いない。しかし、後述するように位相推定部22で行う演算には時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]を用いるので、メモリには、少なくとも瞬時値V
in[t−1]、瞬時値V
in[t]及び瞬時値V
in[t+1]の連続する3つのデータを記憶しておく。
【0042】
また、上記の例では、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を演算することができる。
【0043】
[位相推定部22]
位相推定部22は、時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]を正弦要素(sin要素)とし、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、式(6)に示すように、逆正接関数(tan
−1)を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する。この位相α[t]は、±π[単位:rad]の範囲で演算される。演算された位相α[t]は、位相変位量演算部31に送られる。
α[t]=tan
−1(V
in[t]/cos(α[t])) ・・・(6)
【0044】
なお、上記のように、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))が演算されるので、位相α[t]も、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算される。また、位相α[t]の演算に必要な時刻[t]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t]は、余弦値推定部21に設けたメモリから読み出せばよい。
【0045】
<第1推定周波数情報出力部30>
第1推定周波数情報出力部30は、時刻[t]における入力信号Vinの周波数情報の推定値を第1推定周波数情報F
est[t]として出力する。この第1推定周波数情報出力部30は、位相変位量演算部31、周波数推定部32を備えている。
【0046】
[位相変位量演算部31]
位相変位量演算部31は、位相推定部22で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する。演算された位相変位量Δα[t]は、周波数推定部32に送られる。
【0047】
ここで、位相変位量演算部31は、時刻[t−1]から時刻[t]のサンプリング周期の間に生じた位相変位量Δα[t]を演算するのであるが、位相推定部22から出力される時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]が、上記のように±π[単位:rad]の範囲で演算されるため、{「α[t]−α[t−1]}が正の場合は、位相変位量Δα[t]を式(7)を用いて演算し、{「α[t]−α[t−1]}が負の場合は、位相変位量Δα[t]を式(8)を用いて演算する。
Δα[t]=α[t]−α[t−1] ・・・(7)
Δα[t]=(α[t]−α[t−1])+2π ・・・(8)
【0048】
なお、上記のように、位相変位量演算部31は、位相推定部22によって演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]を用いて時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算するので、位相変位量演算部31は、図示しないメモリを有し、そのメモリに位相推定部22から出力された位相α[t]を順次記憶していく。このメモリには、少なくとも時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]を記憶しておく。
【0049】
また、上記のように、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に、時刻[t]における位相α[t]が演算されるので、位相変位量Δα[t]も、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算される。
【0050】
[周波数推定部32]
周波数推定部32は、位相変位量演算部31で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号V
inの角周波数の推定値ω
est[t]又は周波数の推定値f
est[t]を演算する。演算された入力信号V
inの角周波数の推定値ω
est[t]又は周波数の推定値f
est[t]は、誤差周波数情報出力部70に送られる。
なお、入力信号V
inの周波数の推定値(検出値)は、周波数推定部32から出力される推定周波数情報F
est[t]を移動平均することによって、誤差を小さくし、精度のよい周波数情報を得ることができる。そこで、周波数推定部32の後段に移動平均部(図略)を設けて、移動平均部(図略)の出力を入力信号V
inの周波数の推定値(検出値)とすることができる。
【0051】
ここで、位相変位量Δα[t]は、サンプリング周期の間に生じた位相変位量であるから、式(9)に示すように、位相変位量Δα[t]にサンプリング周波数f
sを乗算すると、1秒間に生じる位相変位量を求めることができる。すなわち、時刻[t]における入力信号V
inの角周波数の推定値ω
est[t][単位:rad/s]を演算することができる。また、式(10)に示すように、時刻[t]における位相変位量Δα[t]にサンプリング周波数f
sを乗算するとともに「2π」で除算することにより、時刻[t]における周波数の推定値f
est[t][単位:Hz]を演算することができる。
ω
est[t]=Δα・f
s ・・・(9)
f
est[t]=Δα・f
s/(2π) ・・・(10)
【0052】
また、角周波数の推定値ω
est[t]と設定角周波数ω
setとの差角周波数の推定値ω
dif[t]は、式(11)のように演算できる。なお、設定角周波数ω
setは、「2π・f
set」である。また周波数の推定値f
est[t]と設定周波数f
setとの差周波数の推定値f
dif[t]は、式(12)のように演算できる。そのため、周波数推定部32は、差角周波数の推定値ω
dif[t]、差周波数の推定値f
dif[t]を出力することもできる。この場合、例えば、周波数推定部32に設定周波数f
setを入力すればよい。もちろん、周波数推定部32に設定角周波数ω
setを入力してもよい。また設定周波数f
setから設定角周波数ω
setを演算してもよいし、その逆に、設定角周波数ω
setから設定周波数f
setを演算してもよい。
ω
dif[t] =ω
est[t]−ω
set[t] ・・・(11)
f
dif[t] =f
est[t]−f
set[t] ・・・(12)
【0053】
なお、本明細書では、入力信号V
inの角周波数の推定値ω
est[t]、周波数の推定値f
est[t]、差角周波数の推定値ω
dif[t]及び差周波数の推定値f
dif[t]を総称して時刻[t]における入力信号V
inの「推定周波数情報F
est[t]」という。
【0054】
また、入力信号V
inの角周波数の推定値ω
est[t]、周波数の推定値f
est[t]、差角周波数の推定値ω
dif[t]及び差周波数の推定値f
dif[t]は、いずれか1つを出力すればよいが、複数を出力するようにしてもよい。
【0055】
なお、上記のように、時刻[t]における位相変位量Δα[t]は、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算されるので、時刻[t]における入力信号V
inの推定周波数情報F
est[t]も、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算される。
【0056】
<正弦波信号生成部40>
正弦波信号生成部40は、設定周波数情報F
setに後述する補正周波数情報F
rev[t]を加算した同期周波数情報F
syc[t]を指令値として、同期周波数情報F
syc[t]と同じ周波数(角周波数で表現してもよい)の正弦波信号V
out[t]を生成して出力する。
なお、内部の発振器41(
図3参照)から出力する正弦波信号V
outの時刻[t]における瞬時値をV
out[t]としている。
【0057】
この正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
out[t]は、入力信号V
in[t]に同期する信号となる。すなわち、後述するように内部の発振器41から出力する正弦波信号V
outの周波数及び位相が、入力信号V
inの周波数及び位相に近づくように収束していく。その結果、内部の発振器41から出力する正弦波信号V
outは、入力信号V
inに同期する信号となる。
【0058】
図3は、正弦波信号生成部40の構成例を示す図である。この
図3に示すように、正弦波信号生成部40は、例えば
図3(a)〜(b)のような構成例が考えられるが、いずれの場合も、正弦波信号生成部40には、例えば、ダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS))で構成される発振器41が備わっている。
発振器41は、他の高周波電源(例えば
図6及び
図7に示した第2高周波電源120)の発振器として機能する。なお、「他の高周波電源」の「他」とは、入力信号V
inの発生源である高周波電源(この実施形態では
図1に示した第1高周波電源110)に対して他の高周波電源という意味である。この
図3では、他の高周波電源43と表記している。
【0059】
(1)
図3(a)の正弦波信号生成部40は、発振器41とA/D変換部42とを備えている。この例では、発振器41の出力を他の高周波電源43に送り、他の高周波電源43において無線周波数帯域の周波数を有する進行波電力PFを出力させるとともに、発振器41から出力される正弦波信号V
outをA/D変換部42を介して第2推定位相情報出力部50に送る。
【0060】
ここで、発振器41から出力される正弦波信号V
outの周波数をf
out、時間をt、位相オフセットをθ”、角周波数をω(=2π・f)とすると、発振器41から出力される正弦波信号V
outは、式(13)のように表すことができる。なお、ここでは、正弦波信号V
outの振幅を「1」としている。
V
out=sin(2π・f
out・t+θ”)
=sin(ω・t+θ”) ・・・(13)
【0061】
A/D変換部42は、A/D変換部10と同様に、発振器41から出力される正弦波信号V
outを予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数f
sの逆数:1/f
s)でデジタル信号に変換する。A/D変換されたサンプリングデータは、時刻[t]における正弦波信号V
outの瞬時値V
out[t]として順次出力される。これにより、交流のアナログ信号波形が、複数のサンプリングデータで構成されるデジタル信号波形に変換される。なお、発振器41から出力される正弦波信号V
outが正弦波信号であれば、A/D変換部42から出力されるデジタル信号波形も正弦波信号となる。
なお、A/D変換部42には、A/Dコンバータが備わっていて、上記のようなA/D変換を行う。また、A/Dコンバータの後段にローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを設けて、基本周波数成分を通過させるようにしてもよい。
【0062】
ここで、正弦波信号V
outの周波数をf
out、サンプリング周波数をf
s、位相オフセットをθ”、相対角周波数をω
out=2π・(f
out/f
s)とすると、時刻[t]における正弦波信号V
outの瞬時値V
out[t]は、式(14)のように表すことができる。なお、ここでは、正弦波信号V
outの振幅を「1」としている。また時間データ「t」はサンプリング周期毎にインクリメントされる変数である。
V
out[t]=sin(2π・(f
out/f
s)[t]+θ”)
=sin(ω
out[t]+θ”) ・・・・・(14)
【0063】
(2)
図3(b)の正弦波信号生成部40は、発振器41の出力を他の高周波電源43で増幅し、その出力である進行波電圧VF
2を方向性結合器44で検出する。そして、その検出信号である進行波検出信号V
f2をフィルタ45及びA/D変換部46を介して第2推定位相情報出力部50に送る。
なお、方向性結合器44、フィルタ45及びA/D変換部46は、それぞれ
図1に示した方向性結合器150、フィルタ160及びA/D変換部10と同様の機能を有する。そのため詳細説明は省略する。また、
図3(b)では、フィルタ45の出力を正弦波信号V
out’、A/D変換部46の出力を正弦波信号V
out’[t]としている。また、説明を簡略化するために、
図3(a)及び
図3(b)では、発振器41の符号を同じにしている。
【0064】
図3(b)の場合でも、発振器41から出力される正弦波信号V
outに基づいて他の高周波電源43から進行波電圧VF
2が出力されるので、正弦波信号V
outと進行波電圧VF
2とは、周波数及び位相が同期する。そのため、その後段にある方向性結合器44、フィルタ45及びA/D変換部46を介して第2推定位相情報出力部50に送られる正弦波信号V
out’[t]も入力信号V
inに同期する信号となる。
【0065】
図2及び
図3に示す正弦波信号生成部40から出力する正弦波信号V
out[t]の周波数は、同期周波数情報F
syc[t]である。そして同期周波数情報F
syc[t]は、第1高周波電源110からプラズマ処理装置130に向かう進行波電圧VFの周波数を表すので、他の高周波電源用の発振器41の指令信号として同期周波数情報F
syc[t]を用いることにより、第1高周波電源110の出力周波数と他の高周波電源の出力周波数とを合わせることができる(同期させることができる)。
【0066】
<第2推定位相情報出力部50>
第2推定位相情報出力部50は、第1推定位相情報出力部20と同様の構成であるが、第1推定位相情報出力部20が、時刻[t]における入力信号Vinを入力とし、入力信号Vinの位相α[t]を出力するのに対して、第2推定位相情報出力部50は、正弦波信号生成部40から出力された時刻[t]における正弦波信号V
out[t]を入力とし、正弦波信号V
out[t]の位相α
2[t]を出力する点が異なる。その他は、第1推定位相情報出力部20と同様なので、説明を省略する。
【0067】
<第2推定周波数情報出力部60>
第2推定周波数情報出力部60は、第1推定周波数情報出力部30と同様の構成であるが、第1推定周波数情報出力部30が、第1推定位相情報出力部20から出力された入力信号Vinの位相α[t]を入力し、時刻[t]における入力信号Vinの周波数情報の推定値を第1推定周波数情報F
est[t]として出力するのに対して、第2推定周波数情報出力部60は、第2推定位相情報出力部50から出力された時刻[t]における正弦波信号V
out[t]の位相α
2[t]を入力し、時刻[t]における正弦波信号V
out[t]の周波数情報の推定値を第2推定周波数情報F
est2[t]として出力する点が異なる。その他は、第1推定周波数情報出力部30と同様なので、説明を省略する。
【0068】
<誤差周波数情報出力部70>
誤差周波数情報出力部70は、時刻[t]における第1推定周波数情報F
est[t]に対する第2推定周波数情報F
est2[t]の誤差を、時刻[t]における誤差周波数情報F
err[t]として出力する。この誤差周波数情報出力部70は、誤差周波数情報F
err[t]の移動平均値を演算する移動平均部71が備わっている。
【0069】
なお、第1推定周波数情報F
est[t]と第2推定周波数情報F
est2[t]とは同じ種類の情報で比較する必要がある、例えば、第1推定周波数情報F
est[t]が周波数で表されているのであれば、第2推定周波数情報F
est2[t]も周波数で表されている必要がある。角周波数、差周波数又は差角周波数の場合も同様である。
【0070】
[移動平均部71]
移動平均部71は、誤差周波数情報F
err[t]の移動平均値を演算し、誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]として出力する(周波数情報検出装置1の外部に出力することもできる)。移動平均値は、予め定めたデータ数を用いて演算される。
【0071】
上記のように、移動平均部71は、誤差演算された時刻[t]における誤差周波数情報F
err[t]に基づいて、予め定めたデータ数の移動平均値を演算するので、移動平均部71は、図示しないメモリを有し、そのメモリに誤差周波数情報F
err[t]を順次記憶していく。このメモリには、少なくとも移動平均値の演算に必要な予め定めた数のデータを記憶しておく。
【0072】
また、上記のように、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に、時刻[t]における入力信号V
inの推定周波数情報F
est[t]が演算されるので、角周波数の移動平均値ω
ave[t]、周波数の移動平均値f
ave[t]も、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算される。そのため、対応する誤差周波数情報F
err[t]も、時刻[t+1]における入力信号V
inの瞬時値V
in[t+1]が余弦値推定部21に入力された後に演算される。
【0073】
また、データのサンプリングを開始した直後は、移動平均値を演算するために必要な
予め定めた数のデータがメモリに保存されていない。そのため、予め定めた数のデータがメモリに保存されていない間は、予め定めた数よりも少ないデータを用いて移動平均値を演算してもよい。または、予め定めた数のデータがメモリに保存された後に、移動平均値を演算してもよい。どのように移動平均値を演算するかは、予め定めておけばよい。
【0074】
<移動平均値を演算する理由>
上記のように、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))には、誤差が含まれているので、位相α[t]にも誤差が含まれる。もちろん、時刻[t−1]における余弦値(cos(α)[t−1])、位相α[t−1]にも誤差が含まれる。その結果、位相変位量Δα[t]にも誤差が含まれる。そのため、時刻[t]における入力信号V
inの推定周波数情報F
est[t]にも誤差が含まれる。
【0075】
すなわち、時刻[t]における入力信号V
inの推定周波数情報F
est[t]に含まれる誤差は、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))に起因する。
この時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の誤差は、上記のように正になることもあれば負になることもあるので、時刻[t]における入力信号V
inの推定周波数情報F
est[t]の誤差も正になることもあれば負になることもある。そこで、移動平均部71によって、複数のデータの移動平均を行えば、誤差が相殺するので、誤差を小さくし、精度のよい周波数情報を得ることができる。
【0076】
誤差周波数情報出力部70での移動平均は、第1推定周波数情報F
est[t]に対して行われるわけではなく、時刻[t]における誤差周波数情報F
err[t]に対して行われる。この際、第2推定周波数情報F
est2[t]にも誤差が含まれるため、上記と同様に移動平均の効果を得ることができる。
【0077】
このように、移動平均部71を設けて移動平均を行うことが好ましいが、第1推定周波数情報F
est[t]及び第2推定周波数情報F
est2[t]の誤差が小さければ省略可能な場合もある。
【0078】
<誤差位相情報出力部80>
誤差位相情報出力部80は、時刻[t]における第1推定位相情報位相α[t]に対する第2推定位相情報α
2[t]の誤差を、時刻[t]における誤差位相情報α
err[t]として出力する。この誤差位相情報出力部80は、誤差位相情報α
err[t]の移動平均値を演算する移動平均部81が備わっている。
【0079】
[移動平均部81]
移動平均部81は、誤差位相情報α
err[t]の移動平均値を演算し、誤差位相移動平均値情報α
err_ave[t]として出力する(周波数情報検出装置1の外部に出力することもできる)。移動平均値は、予め定めたデータ数を用いて演算される。
移動平均部71が誤差周波数情報F
err[t]の移動平均値を演算するのに対して、移動平均部81は、誤差位相情報α
err[t]の移動平均値を演算する点が異なるがその他は、同様なので説明を省略する。
【0080】
<周波数補正部90>
周波数補正部90は、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t])が予め定めた範囲外の場合は、誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が小さくなるように時刻[t]における補正周波数情報F
rev[t]を定めて出力する。また、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲内の場合は、誤差位相移動平均値情報α
err_ave[t]が小さくなるように補正周波数情報F
rev[t]を定めて出力する。以下、周波数補正部90について、更に説明する。
【0081】
上述したように、設定周波数情報F
setと第1高周波電源110からプラズマ処理装置130に向かう進行波電圧VFの周波数とに誤差が生じる場合がある。そのために、実際の進行波電圧VFの周波数を検出し、その周波数の情報を他の高周波電源(例えば
図6及び
図7に示した第2高周波電源120)の発振器の指令信号にすることにより、第1高周波電源110の出力周波数と他の高周波電源の出力周波数とを合わせることができる(同期させることができる)。
【0082】
なお、進行波電圧VFの周波数は、周波数推定部32から出力される推定周波数情報F
est[t]によって得られる。また、誤差を低減させて精度のよい周波数情報の推定値を得るために、周波数推定部32の後段に移動平均部を設けている。
【0083】
しかし、周波数推定部32から出力される推定周波数情報F
est[t]だけでは、進行波電圧VFの位相情報を得ることができない。
そこで、進行波電圧VFの検出信号である進行波検出信号V
f(より具体的には、フィルタ160を通過した入力信号V
in)と同期させるための正弦波信号V
outを正弦波信号生成部40で発生させている。また、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの周波数及び位相を入力信号V
inの周波数及び位相に近づける制御を行っている。
そして、正弦波信号V
outの周波数及び位相が入力信号V
inの周波数及び位相に近づき、両者の誤差が十分に小さい状態にすることで、第1高周波電源110と他の高周波電源の出力周波数及び位相を合わせることができる(同期させることができる)。
【0084】
そのために、誤差周波数情報出力部70によって、時刻[t]における第1推定周波数情報F
est[t]に対する第2推定周波数情報F
est2[t]の誤差を求めている。この誤差が誤差周波数情報F
err[t]として出力され、移動平均部71を介して誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が周波数補正部90に入力される。
【0085】
一方、位相情報に関しては、誤差位相情報出力部80によって、時刻[t]における第1推定位相情報位相α[t]に対する第2推定位相情報α
2[t]の誤差を求めている。この誤差が誤差位相情報α
err[t]として出力され、移動平均部81を介して誤差位相移動平均値情報α
err_ave[t]が周波数補正部90に入力される。
【0086】
そして、上述したように、周波数補正部90では、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲外の場合は、誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が小さくなるように時刻[t]における補正周波数情報F
rev[t]を定めて出力する。
すなわち、第1推定周波数情報F
est[t]の方が、第2推定周波数情報F
est2[t]よりも大きい(周波数が高い)場合は、正弦波信号生成部40への指令値である同期周波数情報F
syc[t]が大きく(周波数が高く)なるように、正(プラス)の補正周波数情報F
rev[t]を出力する。反対に、第1推定周波数情報F
est[t]の方が、第2推定周波数情報F
est2[t]よりも小さい(周波数が低い)場合は、負(マイナス)の補正周波数情報F
rev[t]を出力する。
【0087】
なお、第1推定周波数情報F
est[t]と第2推定周波数情報F
est2[t]との誤差の大きさ(より詳細には誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]の大きさ)に応じて補正周波数情報F
rev[t]が定まるが、誤差に乗じる係数(K
f)を調整できるようにしておくと、制御がし易くなるので好ましい。
【0088】
上記のような制御を行うことによって、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの周波数を入力信号V
inの周波数に近づけることができる。
【0089】
そして、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲内になると、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの周波数が入力信号V
inの周波数に近づいたと判断して、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの位相を入力信号V
inの位相に近づける制御に移行する。
【0090】
このとき、周波数補正部90では、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲内の場合は、誤差位相情報α
err[t]が小さくなるように補正周波数情報F
rev[t]を定めて出力する。
すなわち、第1推定位相情報位相α[t]の方が、第2推定位相情報α
2[t]よりも大きい場合は、正弦波信号生成部40への指令値である同期周波数情報F
syc[t]が大きく(周波数が高く)なるように、正(プラス)の補正周波数情報F
rev[t]を出力する。反対に、第1推定位相情報位相α[t]の方が、第2推定位相情報α
2[t]よりも小さい場合は、負(マイナス)の補正周波数情報F
rev[t]を出力する。
【0091】
なお、第1推定位相情報位相α[t]と第2推定位相情報α
2[t]との誤差の大きさ(より詳細には誤差位相移動平均値情報α
err_ave[t]の大きさ)に応じて補正周波数情報F
rev[t]が定まるが、誤差に乗じる係数(K
α)を調整できるようにしておくと、制御がし易くなるので好ましい。
【0092】
周波数補正部90から補正周波数情報F
rev[t]が出力されると、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの周波数が変化するので、第1推定位相情報位相α[t]に対する第2推定位相情報α
2[t]の関係が変化して、誤差位相情報α
err[t]が小さくっていく。
【0093】
そして、誤差位相情報α
err[t]が予め定めた範囲内になると、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの位相が入力信号V
inの位相に近づいたと判断する。
上記のような制御を行うことによって、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの位相を入力信号V
inの位相に近づけることができる。
【0094】
なお、正弦波信号生成部40から出力される正弦波信号V
outの位相を入力信号V
inの位相に近づける制御を行う際に、正弦波信号V
outの周波数を変更しているので、誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲外になっていることが考えられる。そのため、周波数補正部90は、再度、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t]が予め定めた範囲外になっているか否かを確認し、上記のような制御を繰り返して実行する。
【0095】
これにより、正弦波信号V
outの周波数及び位相が、入力信号V
inの周波数及び位相に近づくように収束していく。そして、周波数補正部90は、時刻[t]における誤差周波数移動平均値情報F
err_ave[t])が予め定めた範囲内であり、且つ、誤差位相移動平均値情報α
err_ave[t]が予め定めた範囲内になったときに、収束したと判定する。なお、収束したと判定した際には、その旨を示す収束信号S
conを外部に出力してもよい。
【0096】
<シミュレーション結果>
上記のように、進行波電圧VFの周波数は、周波数推定部32から出力される推定周波数情報F
est[t]を移動平均することによって得ることができる。そこで、周波数推定部32の後段に移動平均部を設けた場合のシミュレーション結果を示す。
【0097】
図4は、入力信号V
inの周波数f
inが設定周波数f
setからずれていると想定した場合に、移動平均部71から出力される差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]のシミュレーション結果である。
図4(a)は、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]のシミュレーション結果であり、
図4(b)は、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]のシミュレーション結果であり、
図4(c)は、
図4(b)の一部拡大図である。また、
図4(a)及び
図4(b)は、サンプリング開始後、約150〜160μs間のデータであり、
図4(c)は、サンプリング開始後、約159〜160μs間のデータである。
【0098】
なお、シミュレーション条件は次のとおりである。
(1)サンプリング周波数f
s :50MHz
(2)設定周波数f
set :13.56MHz
(3)入力信号V
inの周波数f
in:13.563MHz
(設定周波数f
setと3,000Hzだけずれていると想定)
(4)移動平均値の演算に用いるデータ数:500個(10μsの移動平均値)
【0099】
図5は、入力信号V
inの周波数f
inが設定周波数f
setからずれていると想定した場合に、移動平均部71から出力される差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]の他のシミュレーション結果である。
図5(a)は、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]のシミュレーション結果であり、
図5(b)は、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]のシミュレーション結果であり、
図5(c)は、
図5(b)の一部拡大図である。
なお、この
図5は、入力信号V
inの周波数f
inが13.5603MHz(設定周波数f
setと300Hzだけずれていると想定)であることを除き、
図4と同じ条件でのシミュレーション結果である。
【0100】
図4(a)のように、入力信号V
inの周波数が設定周波数f
set(13.56MHz)に対して3,000Hzずれていると想定した場合、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]は、検出すべき周波数(3,000Hz)に対して約±400Hzの範囲でばらついているが、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]は、検出すべき周波数(3,000Hz)に対して約±0.6Hzの範囲に収まっていることが分かる。
このように、入力信号V
inの周波数が設定周波数f
setに対して大幅にずれている場合であっても、移動平均部71から出力される差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]は、検出すべき周波数に対して誤差が小さい。
【0101】
また、
図5(a)のように、入力信号V
inの周波数f
inが設定周波数f
set(13.56MHz)に対して300Hzずれていると想定した場合、入力信号V
inの差周波数の推定値f
dif[t]は、検出すべき周波数(300Hz)に対して約±40Hzの範囲でばらついているが、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、差周波数の推定値f
dif[t]の移動平均値f
dif_ave[t]は、検出すべき周波数(300Hz)に対して約±0.05Hzの範囲に収まっていることが分かる。したがって、精度良く入力信号V
inの周波数を検出できていることが分かる。
【0102】
すなわち、入力信号V
inの周波数f
inと設定周波数f
setとの誤差が小さい程、より精度良く入力信号V
inの周波数を検出できていることが分かる。
上記の実施形態では、正弦波信号V
outの周波数が、入力信号V
inの周波数に近づくように制御するので、制御を行うにつれて、より精度良く入力信号V
inの周波数を検出することができることを示している。
【0103】
なお、本実施例の周波数情報検出装置は、アナログの正弦波信号V
inを、予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数f
sの逆数:1/f
s)でデジタル信号にA/D変換することによって得られるデジタルの正弦波信号の周波数情報を検出する周波数情報検出装置であり、特に用途は限定されない。そのため、上記では、周波数情報検出装置を、例えば
図6及び
図7のような高周波電力供給システムに用いる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、商用周波数帯域(50Hz〜60Hz)でも適用できる。