【実施例1】
【0010】
実施例として、
図1に示すソレノイドバルブ2を有する装置の自動運転動作タイムチャート1のラダー回路の作成において、本考案のステージ選択方式PLCラダー回路を使用した場合を例にとって説明する。
ソレノイドバルブ2に電圧を印可することによりエアーシリンダを介して各メカ部が動作するものとし、その一連のメカ部の動きを時系列にあらわしたものが、自動運転動作タイムチャート1であり、時間軸t17の矢印方向に時間の流れを示す。
各メカ部が動作することによりそれぞれの作動端でリミットスイッチ(LS1〜14)15がONするものとする。
この上記の場合のPLCに接続する入出力としては、
図1のソレノイドバルブ2に接続する出力やこれらの動作による位置の確認用リミットスイッチ(LS1〜14)15の入力があり、さらにこれらにより
図2の操作盤18としてそれぞれのソレノイドバルブ2を手動操作するためのソレノイドバルブ手動操作用押ボタンスイッチ22、運転モード手動/自動切替スイッチ19、自動運転起動用押ボタンスイッチ20、および自動運転停止押ボタンスイッチ21などの入力が必要となるのが一般的である。
上記より必要なPLCの入力を
図3のPLC入力割付表23に、また出力を
図4のPLC出力割付表25のとおり示す。
図3のPLC入力割付番号24は、X000〜の記号で内部ラダー回路で押ボタンスイッチやリミットスイッチの入力接点として使用し、
図4のPLCの出力割付番号26は、Y000〜の記号で内部ラダー回路でそれぞれ外部への出力として使用され、それぞれのソレノイドバルブ2に接続される。
【0011】
本考案のステージ選択方式PLCラダー回路を使用して作成したラダー回路を
図6、7、8、9、10のステージ選択方式PLCラダー回路作成例42に示し、順を追って説明する。ここで、
図5のPLC各種命令30と
図6のPLC各種命令47に今回使用している各種命令の説明を示すが、これらは各メーカーのPLCに一般的に使用可能な命令ばかりであり、特殊な命令は使用していない。
1.
図6のステージ選択用データメモリ32のD000は数値を扱う事が出来るデータメモリで、自動運転停止中、初期値は数値の“0”が格納されており、ステージNo0は存在しないので、いずれのステージも選択されず、初めは何もしない。
2.ここで、
図5の自動運転起動/停止ラダー回路27で、自動運転起動押ボタンスイッチ20が押されると、自動運転起動時初期処理ラダー回路28でステージ選択用データメモリ32のD000に数値の“1”が格納される。
3.
図6のステージ選択方式PLCラダー回路作成例42のD000=1判断33で、この数値と比較した結果一致するので43のステージNo1が下記のとおり処理される。
補助リレーM300のコイル36をONすると同時に補助リレーM400のコイル37をOFFする。つづいて、補助リレーM300のコイル36の接点は、
図11のステージ選択方式PLCラダー回路作成例のM300のコイルの接点信号50に使用され、これにより
図11の55のチャック閉ソレノイドバルブ55をONし、補助リレーM400のコイル37の接点は、
図11のステージ選択方式PLCラダー回路作成例のM400のコイルの接点信号51に使用され、これにより
図11のチャック開ソレノイドバルブ56をOFFにする。そして、
図6のこのステージの最後に、ステージ選択用データメモリ32のD000をインクリメント(+1)し、D000に格納される値は数値の“2”となる。
4.同様に、
図6のステージ選択方式PLCラダー回路42のD000=2判断38で、この数値と比較した結果一致するので45のステージNo2が下記のとおり処理される。
この45のステージNo2で、LS1状態判断39がONするのを待ちONになると、補助リレーM303のコイル40をONすると同時に補助リレーM403のコイル41をOFFする。つづいて、補助リレーM303のコイル40の接点は、
図12のステージ選択方式PLCラダー回路作成例のM303のコイルの接点信号52に使用され、これによりストッパー出ソレノイドバルブ57をONし、補助リレーM403のコイル41の接点は、
図12のステージ選択方式PLCラダー回路作成例のM303のコイルの接点信号53に使用され、これによりストッパー戻ソレノイドバルブ58をOFFにする。つづいて、タイマーのセット46で、T000(
図1のチャック遅延タイマー14)に500msecの値をセットする。そして、このステージの最後に、ステージ選択用データメモリ32のD000をインクリメント(+1)し、D000に格納される値は数値の“3”となる。
5. 以降、同様にステージ選択用データメモリ32のD000が16になるまで順次各ステージが処理される。
6.ステージ16の最後で、ステージ選択用データメモリ32のD000に数値の“1”を格納するとこれにより、再度43のステージNo1のステージからの自動運転を繰り返し行う。
【0012】
ここで、ステージ選択用データメモリ32のD000に格納するデータを任意の数値にすることにより、任意のステージより実行することが可能であり、ソレノイドバルブ手動操作用押ボタンスイッチ22にて必要な装置の状態を準備することで、自動運転動作タイムチャート1の任意の位置からの自動運転の起動が可能となる特徴を持つ。
【0013】
本考案のステージ選択方式PLCラダー回路を使用して作成したステージ選択方式PLCラダー回路作成例42のフローチャートをフローチャート31に示す。判断、各処理ともに1対1で完全に対応していることに特徴を持つ。このことは、逆に本考案のステージ選択方式PLCラダー回路に対応したフローチャートを作成すれば、誰もが簡単に本考案のステージ選択方式PLCラダー回路が作成できることを意味し、フローチャートが正確であればラダー回路も間違いがなく、初心者であっても複雑なラダー回路を作成することが可能であるという特徴を持つ。
【0014】
この様にフローチャート31からラダー回路42を簡単に作成することができ、同一タイミングの処理のラダー回路が時系列に並んでいて、複数のステージ全部がひとかたまりとして一箇所に配置されているので回路を理解しやすく、回路作成も容易となり、完成後の修正も新規作成時と同じ設計レベルで行えることを特徴に持つ。
【0015】
複雑な制御部分を本発明のステージ選択方式PLCラダー回路は、動作タイミングチャートからフローチャートが非常に描きやすい回路の構成となっている特徴を持つ。
【0016】
デバック時やメンテナンス時にも異常が発生して動作しない場合、ステージ番号を確認すれば、フローチャート31やステージ選択方式PLCラダー回路作成例42のどのステージで先に進まないかが一目瞭然であるという特徴を持つ。
【0017】
また、試運転や実運転時にトラブルが発生し動作が設計通りでない場合、この作成したラダー回路の動作待ちのステージ選択用データメモリ32のD000に格納された数値でステージの位置がわかり、このステージのラダー回路を確認することで容易にトラブルの内容を判断することができる特徴を持つ。
【0018】
上記のステージ選択用データメモリ32のD000は、D001でもD002でもメーカーから用意されているデータメモリ番号が使用可能である。
【0019】
また、上記のステージ選択用データメモリ32は、数値が格納可能なメモリであり、メーカーによりアルファベットの記号が異なる場合もあるがいづれも同様の効果が得られる。
【0020】
また、ステージ選択用データメモリ32に格納するデータは、数値、文字、ビットなどのどの様なデータでも、比較一致、差が0など、いずれも選択条件として扱えるものであれば可能であり、同様の効果が得られる。
【0021】
ステージ選択用データメモリ32は、カウンタ、インデックス用メモリ、データレジスタ、または今後新たに追加されるデータ格納、比較可能なものであれば、いずれも使用可能であり、同様の効果が得られる。
【0022】
また、ステージ選択用データメモリ32の代わりに補助リレーなどのその接点を使用し、ONを条件としてステージ35を順次選択しても同様の効果は得られる。ただし、このス場合、ステージの数のを補助リレーを使用し、選択するステージの補助リレーのみONにするという処理が必要となる。
【0023】
この実施例1は、自動運転回路を例にとって説明したが、複雑な計算他、複雑なデータ処理他、複雑なラダー回路になる場合にも同様の効果が得られる。
【0024】
本考案のステージ選択方式PLCラダー回路は、1スキャンにおいて、選択された1ステージのラダー回路のみの処理なので、PLCのCPUの負荷としては非常に軽いという特徴を持つ。
【0025】
本考案のステージ選択方式PLCラダー回路は、いくつ作成してもよく、複数実行することが可能で、必要に応じて分岐したり、サブルーチンとして使うことで、より高度な処理が可能となる特徴を持つ。