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特開2016-7235放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-7235(P2016-7235A)
(43)【公開日】2016年1月18日
(54)【発明の名称】放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20151215BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20151215BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20151215BHJP
   A61M 1/22 20060101ALI20151215BHJP
【FI】
   A61M1/18 500
   A61M1/36 535
   A61M1/02 550
   A61M1/22 527
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-127711(P2014-127711)
(22)【出願日】2014年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】助川 威
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梢
(72)【発明者】
【氏名】森島 奈月
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆志
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077BB03
4C077GG05
4C077KK13
4C077KK30
4C077LL05
4C077NN02
4C077PP09
4C077PP12
4C077PP13
4C077PP15
(57)【要約】
【課題】体外循環用顆粒球除去器に乾燥状態で放射線を照射した後に経時的に起こる、顆粒球除去性能の低下を防止すること。
【解決手段】繊維状担体が乾燥状態で充填され、血液入口と血液出口を有する体外循環用顆粒球除去器が、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で、内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納され、繊維状担体が表面にアミノ基を有し、繊維状担体が平均繊維径1.4μm以上の不織布からなり、かつ、繊維状担体の総表面積が9m2以上である、放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状担体が乾燥状態で充填され、血液入口と血液出口を有する体外循環用顆粒球除去器が、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で、内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納され、
繊維状担体が表面にアミノ基を有し、繊維状担体が平均繊維径1.4μm以上の不織布からなり、かつ、繊維状担体の総表面積が9m2以上である、放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項2】
前記繊維状担体が、平均繊維径2.6μm以下の不織布を含む、請求項1に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項3】
前記繊維状担体が、平均繊維径8μm以上の不織布をさらに含む、請求項1又は2に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項4】
前記繊維状担体が、平均繊維径8〜14μmの不織布を含む、請求項3に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項5】
前記繊維状担体が表面に水酸基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項6】
前記水酸基が2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来である、請求項5に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項7】
前記アミノ基がジメチルアミノエチルメタクリレート由来である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項8】
前記包装袋がガス不透過性のフィルムからなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項9】
前記血液入口と血液出口の少なくとも一方に気体が通過可能なカバーが取り付けられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【請求項10】
前記繊維状担体の臨界湿潤表面張力が生理的溶液の表面張力以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、クローン病等の炎症性疾患の治療方法として、炎症性疾患患者の血液を体外循環治療器で循環させ、顆粒球を選択的に吸着除去する方法が知られ、体外循環用顆粒球除去器が開発されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
使用時に患者へ雑菌が入ることを防止するために、一般的に、体外循環用顆粒球除去器には滅菌処理が施される。滅菌処理には、ホルマリン、エチレンオキサイドガス、高圧蒸気滅菌法、放射線滅菌法等が用いられており、それぞれ特有の効果を発揮している。
これらの滅菌処理のうち、γ線や電子線等による放射線滅菌法は被処理物を包装状態のまま処理することができるとともに、滅菌効果が優れている。
【0003】
医療用具を放射線滅菌した際に生じる劣化を回避する方法として、酸素不透過の材料からなる包装材料で医療用具を脱酸素剤と共に密封し放射線を照射する方法が知られており、血液浄化器についても開示されている(例えば、特許文献3〜6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−193468号公報
【特許文献2】特開2010−63761号公報
【特許文献3】特開昭62−74364号公報
【特許文献4】特開昭62−204754号公報
【特許文献5】国際公開第98/58842号
【特許文献6】国際公開第2006/068124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体外循環用顆粒球除去器はプライミング等の操作が簡便なため液体が顆粒球除去器内に充填されていない乾燥状態であることが好ましい。
しかしながら、繊維状担体が充填された体外循環用顆粒球除去器に乾燥状態で滅菌のために放射線を照射すると、放射線によって発生したラジカルが時間と共に反応する事で繊維状担体表面の化学構造が変化し、滅菌した後に経時的に顆粒球の除去性能が低下するという課題に直面した。
特許文献3〜5には実質、中空糸膜を用いた血液浄化器についてのみ記載されており、繊維状担体を用いた体外循環用顆粒球除去器については記載されていない。また、脱酸素剤を用いた放射線照射における劣化に関しては、特許文献3には臭気の発生が、特許文献4には基材の強度や透析性能の低下が、特許文献5には基材の強度低下やアルデヒド類の発生が、特許文献6には溶出物の増加が記述されているが、顆粒球の除去性能低下に言及するものはない。
本発明が解決しようとする課題は、体外循環用顆粒球除去器に乾燥状態で放射線を照射した後に経時的に起こる、顆粒球除去性能の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の繊維状担体表面が接触する雰囲気が酸素濃度の低い状態を保つことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)
繊維状担体が乾燥状態で充填され、血液入口と血液出口を有する体外循環用顆粒球除去器が、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で、内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納され、
繊維状担体が表面にアミノ基を有し、繊維状担体が平均繊維径1.4μm以上の不織布からなり、かつ、繊維状担体の総表面積が9m2以上である、放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体。
(2)
前記繊維状担体が、平均繊維径2.6μm以下の不織布を含む、(1)に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(3)
前記繊維状担体が、平均繊維径8μm以上の不織布をさらに含む、(1)又は(2)に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(4)
前記繊維状担体が、平均繊維径8〜14μmの不織布を含む、(3)に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(5)
前記繊維状担体が表面に水酸基を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(6)
前記水酸基が2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来である、(5)に記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(7)
前記アミノ基がジメチルアミノエチルメタクリレート由来である、(1)〜(6)のいずれかに記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(8)
前記包装袋がガス不透過性のフィルムからなる、(1)〜(7)のいずれかに記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(9)
前記血液入口と血液出口の少なくとも一方に気体が通過可能なカバーが取り付けられている、(1)〜(8)のいずれかに記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
(10)
前記繊維状担体の臨界湿潤表面張力が生理的溶液の表面張力以上である、(1)〜(9)のいずれかに記載の体外循環用顆粒球除去器包装体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、体外循環用顆粒球除去器として、乾燥状態で放射線を照射した後に経時的に起こる、顆粒球除去性能の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
本実施形態の体外循環用顆粒球除去器包装体は、繊維状担体が乾燥状態で充填され、血液入口と血液出口を有する体外循環用顆粒球除去器が、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で、内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納され、繊維状担体が表面にアミノ基を有し、繊維状担体が平均繊維径1.4μm以上の不織布からなり、かつ、繊維状担体の総表面積が9m2以上である、放射線が照射された体外循環用顆粒球除去器包装体である。
本実施形態の体外循環用顆粒球除去器包装体は、体外循環用顆粒球除去器が、包装袋内に収容されており、体外循環用顆粒球除去器が、通液される血液の入口と出口を有し、体外循環用顆粒球除去器には、繊維状担体が充填されている。そして、体外循環用顆粒球除去器包装体は、放射線が照射されている。
本実施形態において、体外循環用顆粒球除去器とは、全血を通過させることが可能なカラムを意味し、体外に取り出された血液は、体外循環用顆粒球除去器を通った後、再び体内に戻すことが可能である。
【0011】
本実施形態において、体外循環用顆粒球除去器は、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で、内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納されている。
体外循環用顆粒球除去器を、血液入口と血液出口の少なくとも一方を気体が出入りできる状態で内部の酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納することにより、体外循環用顆粒球除去器に充填される繊維状担体を酸素濃度の低い雰囲気に保つことができる。放射線照射後においても、体外循環用顆粒球除去器に充填される繊維状担体が酸素濃度の低い雰囲気にあることが好ましい。
繊維状担体を酸素濃度の低い状態に保つことにより、繊維状担体表面の化学構造の破壊を防止することができ、顆粒球除去性能の低下を防止することができる。
【0012】
本実施形態において、血液入口と血液出口を気体が出入りできる状態とは、血液入口及び/又は血液出口が開口しているか、あるいは、血液入口及び/又は血液出口に気体が通過可能なカバーが取り付けられている状態を意味する。
また、本実施形態において、酸素濃度が1%以下である密閉された包装袋内に収納するとは、体外循環用顆粒球除去器が密閉された包装袋の中に収納されており、密閉された包装袋の中の酸素濃度が1%以下の状態にあることを意味する。
酸素濃度を1%以下にする方法としては、包装袋内に脱酸素剤を体外循環用顆粒球除去器と共に封入するか、包装袋内の空気を不活性ガスで置換する等の方法が挙げられる。
【0013】
本実施形態において、体外循環用顆粒球除去器包装体は、放射線が照射されているが、使用される放射線としては、例えば、γ線、電子線、X線等が挙げられる。放射線の線種は特に限定されるものではないが、透過性が高く均一に滅菌可能であることからγ線が好ましい。
【0014】
本実施形態において、繊維状担体は、乾燥状態で体外循環用顆粒球除去器に充填されている。
本実施形態において、乾燥状態であるとは、繊維状担体表面に液体が接触していない状態であることを意味する。
乾燥状態とするためには、体外循環用顆粒球除去器に充填する前に、乾燥してもよく、充填後、乾燥してもよい。
乾燥方法としては、繊維状担体表面から液体を除去するため、加熱又は減圧によって液体を蒸発させる方法、気体を吹き付けることで液体を吹き飛ばす方法等が挙げられる。
【0015】
繊維状担体は顆粒球を選択的に除去するために表面にアミノ基を有する。
アミノ基としては、例えば、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、四級アンモニウム基等が挙げられる。
アミノ基は血液中では正の荷電を有するため、生理的条件下で負に荷電している顆粒球を静電的な相互作用によって吸着する効果がある。
また、繊維状担体表面の親水性が向上し血小板等の吸着が起こり難くなり、より顆粒球を選択的に除去することができるため、繊維状担体は表面に水酸基を有することが好ましい。
繊維状担体表面にアミノ基及び/又は水酸基を導入する方法としては、例えば、繊維状担体を構成する基材表面にコート剤をコートする方法等が挙げられる。
【0016】
基材としては、血液を濾過し得るものであればよく、血球にダメージを与えにくいものであれば特に限定されるものではないが、有機高分子材料が切断等の加工性に優れるため好ましい。
有機高分子材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ弗化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスルホン、ポリ弗化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、弗化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース、セルロースアセテート等が挙げられる。
有機高分子材料としては、容易に繊維状の基材とすることができるため、好ましくはポリエステル、ポリオレフィンであり、より好ましくはポリエステルである。
【0017】
基材表面へのコート剤のコート方法としては、例えば、放射線グラフトやプラズマグラフト等のグラフト法、ポリマーによるコーティング法等が挙げられる。
操作が簡便で、製造性に優れることから、コーティング法が好ましい。
コーティング法に用いることのできるポリマーは、ビニル基等の重合性官能基を有するモノマーより通常のラジカル重合、アニオン重合等によって合成することができる。また、2種又はそれ以上の複数種の異種モノマーをランダム共重合、ブロック共重合させて合成してもよい。
基材表面にアミノ基を導入するためのモノマーとしては、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられ、ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。
基材表面に水酸基を導入するためのモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0018】
繊維状担体は、繊維状担体の総表面積が9m2以上となるように、体外循環用顆粒球除去器に充填される。
繊維状担体の総表面積を大きくすることで、大量の血液から顆粒球を除去することが可能になる。より大量の血液から顆粒球を除去するためには繊維状担体の総表面積は13m2以上であることがより好ましい。
本実施形態において、繊維状担体の総表面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0019】
繊維状担体は、血液細胞の吸着性、分離材としての取り扱い性や、細胞との多点的な接触が可能である点で、平均繊維径1.4μm以上の不織布からなる。繊維状担体が、平均繊維径1.4μm以上の不織布からなることにより、体外循環治療中に繊維状担体が目詰まりを起こさずに十分な量の顆粒球を選択的に除去することができる。
本実施形態において、平均繊維径1.4μm以上の不織布からなるとは、平均繊維径1.4μm未満の不織布を含まないことを意味する。
本実施形態において、繊維状担体は、不織布からなるが、1種類の不織布からなっていてもよく、2種類以上の不織布からなっていてもよい。
平均繊維径が1.4μm以上であるとは、繊維状担体を構成する不織布1つ1つにおいて、平均繊維径が1.4μm以上であり、繊維状担体を構成する不織布単位ごとに平均繊維径が1.4μm以上であることを意味している。
したがって、2種類以上の不織布からなる場合、構成する不織布の平均繊維径は異なることがあるが、平均繊維径が異なる場合でも、各不織布において平均繊維径は1.4μm以上である。
本実施形態においては、繊維状担体を1つ1つの不織布に分離した後、各不織布の平均繊維径を測定し、最小の平均繊維径が1.4μm以上である場合に、繊維状担体が、平均繊維径1.4μm以上の不織布からなるといえる。
繊維状担体の基材は、1種であってもよく、2種以上であってもよく、繊維状担体は、平均繊維径が異なる不織布からなっていてもよい。
【0020】
繊維状担体において、最小平均繊維径が1.4μm以上であることにより、血液が通過するに伴う圧力損失の増大を抑制し血液を流し続けることが可能になる。
体外循環用顆粒球除去器のリンパ球除去性能を抑え、より顆粒球を選択的に除去するために、平均繊維径が2.0μm以上の不織布からなることが好ましい。
また、繊維状担体は、顆粒球の除去性能を高めるために、平均繊維径2.6μm以下の不織布を含むことが好ましい。繊維状担体は、顆粒球を除去するためのフィルタに加え、凝集物を除去し目詰まりを防止するためのプレフィルタとして平均繊維径8μm以上の比較的目の粗い不織布をさらに含むことが好ましく、凝集物除去の効果から、平均繊維径8μm〜14μmの不織布を含むことがより好ましい。
本実施形態において、不織布の平均繊維径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0021】
体外循環用顆粒球除去器がプレフィルタを含む場合は、プレフィルタが容器の血液入口側に配置され、顆粒球を除去するためのフィルタは容器の血液出口側に配置されることが好ましい。
【0022】
繊維状担体の臨界湿潤表面張力(CWST)は体外循環用顆粒球除去器をプライミングする際に使用する生理的溶液の表面張力以上であることが好ましい。生理的溶液の表面張力は、表面をアルコールランプ等で充分に赤熱し清浄化した白金プレートを用意し、この白金プレートを生理的溶液に浸漬して引き出す時の抵抗を測定する、いわゆるWilhelmy法を用いて測定する。表面張力計としては、例えば、FACE SURFACE TENSIOMETER CBVP−A3(協和界面科学株式会社)を用いることができる。
本方法で生理的溶液の表面張力を測定すると、例えば、生理食塩液や、チトラミン(扶桑薬品国行株式会社)、ACD−A液(テルモ株式会社)、フサン(登録商標:鳥居薬品株式会社)などの抗凝固剤を含む生理食塩液の表面張力は、72dyn/cmとなる。
本実施形態において、繊維状担体のCWSTは72dyn/cm以上であることが好ましい。より好ましくは72dyn/cm以上115dyn/cm以下である。
【0023】
本実施形態において、繊維状担体のCWSTは、以下の方法によって求められる値をいう。
2ないし4dyn/cmずつ表面張力が変化するように水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸ナトリウム、酢酸及びエタノールの濃度の異なる水溶液を調整する。各水溶液の表面張力(dyn/cm)は、水酸化ナトリウム水溶液で94〜115、塩化カルシウム水溶液で90〜94、硝酸ナトリウム水溶液で75〜87、純粋な水で72.4、酢酸水溶液で38〜69、エタノール水溶液で22〜35のものが得られる(「化学便覧 基礎編II」改訂2版、日本化学会編、丸善、164(1975))。また、水酸化ナトリウムで、表面張力が74〜100dyn/cmの水溶液を調製してもよい。このようにして得られた表面張力が2ないし4dyn/cm異なる水溶液を表面張力が低いものから順番にフィルタ材上に10滴ずつ乗せ10分間放置する。10分間放置後、10滴中9滴以上がフィルタ材に吸収された場合に湿潤した状態であると定義し、吸収が10滴中9滴未満である場合に非湿潤状態であると定義する。このようにしてフィルタ材上に表面張力が小さい液体から順次測定していくと湿潤状態と非湿潤状態が出現する。この時湿潤状態を観察した液体の表面張力の値と非湿潤状態を観察した液体の表面張力の値の平均値をそのフィルタ材のCWST値とする。
例えば、64dyn/cmの表面張力を有する液体で湿潤し、66dyn/cmの表面張力を有する液体で非湿潤であった場合、そのフィルタ材のCWST値は65dyn/cmとなる。
本実施形態において、繊維状担体は、同一のフィルタ材からなっていてもよく、異なるフィルタ材からなっていてもよい。
【0024】
体外循環用顆粒球除去器包装体に用いられる包装袋は、一般的なフィルムから構成される袋であれば特に限定はされないが、長期間にわたって袋内の酸素濃度を低い状態に保つためにはガス不透過性のフィルムからなることが好ましい。
ガス不透過性のフィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールからなるフィルムや、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アルミ等を他の高分子と積層したフィルム等が挙げられる。
【0025】
体外循環用顆粒球除去器包装体は包装袋を開封した後、体外循環用顆粒球除去器を使用するまでの間に血液出入り口が汚染されるのを防止するために、顆粒球除去器の血液入口及び/又は血液出口に気体が通過可能なカバーを取り付けておくことが好ましい。カバーは例えば通気口を設けたキャップ、網状又はスポンジ状の材料で作られたキャップなどが挙げられる。
【0026】
体外循環用顆粒球除去器の容器内容積は、血液を体外循環処理する血液浄化器として使用できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、50mL〜500mLであり、好ましくは70mL〜400mLであり、より好ましくは90mL〜300mLである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。本実施例における測定法は以下のとおりである。
【0028】
(1)顆粒球/リンパ球の除去率、血小板の通過率及び圧力損失の測定法
7質量%となるように、ACD−A液(テルモ株式会社)を添加した豚血を調整し、血液分析装置(シスメックス株式会社 TX−1800i)により、カラム通過前の顆粒球
、リンパ球及び血小板の各濃度を測定した。
豚血を37±1℃に加温して、血液ポンプにて50mL/minの流速で、2Lの加温した豚血をカラムに流し、カラム出口から流出した血液を全て捕集した。捕集した血液について、顆粒球、リンパ球及び血小板の各濃度を測定した。
カラム通過前後での各成分の除去率又は通過率を求めた。
また、2Lの血液を処理した時点のカラム入口圧とカラム出口圧を測定し、入口圧から出口圧を引いた値を圧力損失とした。
【0029】
(2)繊維状担体の総表面積の測定法
顆粒球除去器に充填された繊維状担体の総表面積は、繊維状担体の平均繊維径から算出される繊維状担体の比表面積と、充填される繊維状担体の重量との積の合計として算出した。複数種のフィルタ材を用いて繊維状担体としている場合には、各フィルタ材ごとに表面積を求め、その総和を繊維状担体の総表面積とした。
繊維状担体の比表面積は、繊維径をD、繊維状担体の基材の密度をρとすると、4/(ρ×D)で算出した。繊維状担体の基材の密度は、JIS Z 8807:2012に従って測定する。
【0030】
(3)親水性高分子のコート量の測定法
親水性高分子をコートした繊維状担体を、フィルタ材ごとに、一定量採取し、重量(W0)を測定した。
親水性高分子を溶解し、かつ基材を溶解しない溶媒に、重量測定後の繊維状担体を浸漬し5分間振盪撹拌した。撹拌後、溶媒を交換し、再度5分間振盪撹拌した。溶媒の交換と振盪撹拌を計3回繰り返した後、溶媒を廃棄し、繊維状担体を24時間50℃で真空乾燥した。乾燥後の重量(W1)を測定した。
コート量は(W1−W0)/W0で算出した。
【0031】
(4)平均繊維径の測定法
繊維状担体について、フィルタ材ごとに、走査電子顕微鏡を用いて拡大倍率2500倍で、合計本数が100本を超えるまで視野を変えながら写真を撮影した。撮影した、それぞれの繊維の繊維軸に直角な繊維の幅を、その繊維の直径として測定した。測定した繊維の直径の総和を、直径を測定した繊維の総本数で割った値を平均繊維径として算出した。
【0032】
(5)CWSTの測定法
繊維状担体を、フィルタ材ごとに、100mm四方に切断した。表面張力が90dyn/cmから100dyn/cmの範囲で、2dyn/cmずつ異なる水酸化ナトリウム水溶液を表面張力が低いものから順番に繊維状担体上に10滴ずつ乗せ10分間放置した。10分放置後、10滴中9滴以上が繊維状担体に吸収された場合に湿潤状態であるとし、吸収が10滴中9滴未満である場合に非湿潤状態であるとして、湿潤状態であると観察された内で水酸化ナトリウム水溶液の最大の表面張力値と、非湿潤状態であると観察された内で水酸化ナトリウム水溶液の最小の表面張力値を平均し、繊維状担体のCWST値として測定した。
【0033】
<親水性高分子の合成>
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)とをモル比で97:3の割合で混合し、エタノール中の総モノマー濃度を1.0モル/Lとして、1/200モル/Lのアゾビスイソブチロニトリルの重合開始剤の存在下、60℃で8時間、溶液ラジカル重合することによって親水性高分子(以下、HM−3と略称する)を合成した。
【0034】
<繊維状担体の作成>
HM−3濃度が0.4質量%となるように、HM−3を50%エタノール水溶液にて溶解した。得られた溶液に、平均繊維径12μm、目付100g/m2、厚み0.47mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬し、余分な液を除去した後に、50℃で20分間乾燥して、フィルタ材(A)を得た。ポリエチレンテレフタレートの密度は、1.38g/cm3であった。
フィルタ材(A)のCWST値は95dyn/cmであった。フィルタ材(A)の親水性高分子のコート量を、溶媒に50%エタノール水溶液を用いて測定したところ、繊維状担体1g当たり17mgであった。
【0035】
HM−3濃度が0.4質量%となるように、HM−3を50%エタノール水溶液にて溶解した。得られた溶液に、平均繊維径12μm、目付30g/m2、厚み0.20mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬し、余分な液を除去した後に、50℃で20分間乾燥して、フィルタ材(B)を得た。
フィルタ材(B)のCWST値は95dyn/cmであった。フィルタ材(B)の親水性高分子のコート量を、溶媒に50%エタノール水溶液を用いて測定したところ、繊維状担体1g当たり8mgであった。
【0036】
HM−3濃度が0.4質量%となるように、HM−3ポリマーを50%エタノール水溶液にて溶解した。得られた溶液に、平均繊維径2.3μm、目付60g/m2、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬し、余分な液を除去した後に、50℃で20分間乾燥して、フィルタ材(C)を得た。
フィルタ剤(C)のCWST値は95dyn/cmであった。フィルタ材(C)の親水性高分子のコート量を、溶媒に50%エタノール水溶液を用いて測定したところ、繊維状担体1g当たり32mgであった。
【0037】
HM−3濃度が0.4質量%となるように、HM−3を50%エタノール水溶液にて溶解した。得られた溶液に、平均繊維径1.4μm、目付66g/m2、厚み0.40mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬し、余分な液を除去した後に、50℃で20分間乾燥して、フィルタ材(D)を得た。
フィルタ剤(D)のCWST値は91dyn/cmであった。フィルタ材(D)の親水性高分子のコート量を、溶媒に50%エタノール水溶液を用いて測定したところ、繊維状担体1g当たり27mgであった。
【0038】
HM−3濃度が0.4質量%となるように、HM−3を50%エタノール水溶液にて溶解した。得られた溶液に、平均繊維径1.1μm、目付40g/m2、厚み0.24mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬し、余分な液を除去した後に、50℃で20分間乾燥して、フィルタ材(E)を得た。
フィルタ材(E)のCWST値は87dyn/cmであった。フィルタ材(E)の親水性高分子のコート量を、溶媒に50%エタノール水溶液を用いて測定したところ、繊維状担体1g当たり17mgであった。
【0039】
[実施例1]
フィルタ材(C)を18枚積層し、その上にフィルタ材(A)を9枚、フィルタ材(B)を4枚重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、フィルタ材(A)が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装体を得た。
【0040】
[実施例2]
フィルタ材(D)を18枚積層し、その上にフィルタ材(A)を9枚、フィルタ材(B)を4枚重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、フィルタ材(A)が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装体を得た。
【0041】
[実施例3]
フィルタ材(C)を10枚積層し、その上にフィルタ材(A)を9枚、フィルタ材(B)を4枚重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、フィルタ材(C)が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装体を得た。
【0042】
[実施例4]
フィルタ材(C)を18枚積層し、シート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装体を得た。
【0043】
[実施例5]
フィルタ材(C)を27枚積層し、シート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装体を得た。
【0044】
[比較例1〜5]
それぞれ、実施例1〜5に記載のカラムと同一のカラムを作成し、カラムをナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装を得た。
【0045】
[比較例6]
フィルタ材(C)を6枚積層し、その上にフィルタ材(A)を9枚、フィルタ材(B)を4枚重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、フィルタ材(C)が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装を得た。
【0046】
[比較例7]
平均繊維径2.3μm、目付60g/m2、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を18枚積層し、その上に平均繊維径12μm、目付100g/m2、厚み0.47mmのポリエチレンテレフタレート製不織布9枚、平均繊維径12μm、目付30g/m2、厚み0.20mmのポリエチレンテレフタレート製不織布4枚を重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、平均繊維径2.3μmの不織布が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装を得た。
【0047】
[比較例8]
フィルタ材(E)を18枚積層し、その上にフィルタ材(A)を9枚、フィルタ材(B)を4枚重ねてシート状フィルタを作成した。シート状フィルタを97mm四方に切断して、液体の第1出入口と第2出入口とをそれぞれ対向の頂角部に有する容量125mLの四角形状扁平型容器へ、フィルタ材(A)が第2出入口側になるように充填して、超音波溶着を行うことで扁平型のカラムを作製した。カラムを脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社、エージレス(登録商標)SS200)と共にナイロン、アルミ、ポリエチレンの積層フィルムによって作られた包装袋に入れ、包装袋をヒートシールする事で密閉した。密閉後24時間たった後、25kGyのγ線を照射し滅菌を行い、顆粒球除去器包装を得た。
【0048】
得られた顆粒球除去器包装体の繊維状担体の総表面積を算出し、γ線照射後一週間以内に顆粒球/リンパ球の除去率、血小板の通過率、圧力損失を測定した。また、同様に用意した顆粒球除去器包装体を60℃で60日保存した後、包装袋内の酸素濃度を酸素濃度計(飯島電子工業株式会社、RO−102−SDP)を用いて測定し、包装袋を開封し顆粒球の除去率を測定した。結果を表1に示す。本実施例においては、例示として、γ線照射後一週間以内で測定した顆粒球の除去率と、顆粒球除去器包装体を60℃で60日保存した後に測定した顆粒球の除去率の比較により、体外循環用顆粒球除去器に乾燥状態で放射線を照射した後に経時的に起こる、顆粒球除去性能の低下を防止することができることについて確認した。
【0049】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の体外循環用顆粒球除去器包装体は、炎症性疾患の治療に用いることができる点で、産業上の利用可能性を有する。