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特開2016-72600圧電素子及びこれを含む圧電振動モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-72600(P2016-72600A)
(43)【公開日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】圧電素子及びこれを含む圧電振動モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/053 20060101AFI20160404BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20160404BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20160404BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20160404BHJP
【FI】
   H01L41/053
   H01L41/083
   H01L41/09
   B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-55007(P2015-55007)
(22)【出願日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0127867
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボーム−ソック キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン−ウーク セオ
(72)【発明者】
【氏名】フイ−スン パク
(72)【発明者】
【氏名】セウン−ホ リー
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107CC05
5D107CC10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性及び寿命が増加する圧電素子及びこれを含む圧電振動モジュールを提供する。
【解決手段】内部電極層111と、隣接する内部電極層111間に形成される圧電体層112とで構成された活性層110;活性層110の上面をカバーする上部カバー層120と、活性層110の下面をカバーする下部カバー層130とを含む積層体部100;隣接する内部電極層111に互いに異なる極性の電荷が印加されるように積層体部100の上面に形成される電極端子部200;隣接する内部電極層111を電極端子部200に交互に接続させるように積層体部100に形成される導電ビア300;積層体部100で発生する漏洩電流を積層体部100の外部に排出するために、内部電極層111とは断絶され、一端が積層体部100の一面に露出するように積層体部100に形成される接地ビア400;を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極層と、隣接する前記内部電極層間に形成される圧電体層とで構成された活性層;
前記活性層の上面をカバーする上部カバー層と、前記活性層の下面をカバーする下部カバー層とを含む積層体部;
隣接する前記内部電極層に互いに異なる極性の電荷が印加されるように、前記積層体部の上面に形成される電極端子部;
隣接する前記内部電極層を前記電極端子部と交互に接続させるために前記積層体部に形成される導電ビア;
前記積層体部で発生する漏洩電流を前記積層体部の外部へ排出するために、前記内部電極層とは断絶され、一端が前記積層体部の一面に露出するように前記積層体部に形成される接地ビア;
を含む圧電素子。
【請求項2】
前記接地ビアは、他端が前記下部カバー層に形成される請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記接地ビアは、前記一端が前記積層体部の下面に露出する請求項1または2に記載の圧電素子。
【請求項4】
前記電極端子部は、
それぞれ1つの正電極端子及び1つの負電極端子からなる複数の電極端子対で構成される請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の圧電素子と、
前記圧電素子の横方向の伸縮により縦方向変位が生じるように、前記圧電素子に結合される振動板と、
前記振動板で発生する縦方向変位による振動力を増加させる質量体と、
前記振動板と前記質量体とをカバーし、内面の少なくとも一部が前記振動板と接触するケースと、を含み、
前記振動板は、前記接地ビアの前記一端と電気的に接続される圧電振動モジュール。
【請求項6】
前記ケースは、
外面に酸化処理が施された請求項5に記載の圧電振動モジュール。
【請求項7】
前記圧電素子と前記振動板との間に介在され、前記圧電素子と前記振動板とを結合させる樹脂層をさらに含む請求項5または6に記載の圧電振動モジュール。
【請求項8】
前記樹脂層には、
導電性フィラーが分散して含有される請求項7に記載の圧電振動モジュール。
【請求項9】
前記樹脂層の厚さは、0超過10μm未満である請求項7または8に記載の圧電振動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子及びこれを含む圧電振動モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にセラミックを圧電素子に応用するためには、セラミックの圧電定数及び電気機械結合係数が高くなければならない。さらに積層型圧電素子に用いるためには、内部電極に使用される物質の種類にもよるが、同時焼成のためにセラミックを1000℃以下の温度で焼結しても優れた圧電特性を有する必要がある。
【0003】
従来のチタン酸ジルコン酸鉛(Lead zirconate titanate、以下、PZTと称する)系の圧電セラミックは、焼結温度が1100℃以上の高温である。このため、PZT系セラミックを用いた積層型圧電素子の場合、内部電極としては上記の温度よりも融点の高い高価な物質を使用しなければならなかった。
【0004】
したがって、従来のPZTに新しい物質を添加して、圧電特性を保持しながらも焼結温度を低下させるための研究が行われている。
【0005】
また、電子製品の小型化などに伴って実装面積を最小化するために、積層型圧電素子の積層数を増加させるための研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
1.韓国公開特許公報第10−2006−0125750号(2006.12.06.公開)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、内部電極層と断絶され、積層体部に形成される接地ビアを用いて積層体部の漏洩電流を圧電素子の外部へ放出することができる。
【0008】
本発明の他の側面によれば、振動板を接地ビアと接続させ、圧電素子の漏洩電流を振動板に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る圧電素子を示す断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る圧電素子を示す分解斜視図である。
図3】本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュールを示す分解斜視図である。
図4】本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュールを示す断面図である。
図5図4におけるA部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0011】
また、「結合」とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触される場合のみを意味することではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として使用する。
【0012】
以下、本発明に係る圧電素子及びこれを含む圧電振動モジュールの実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0013】
先ず、本発明の一実施例に係る圧電素子を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る圧電素子を示す断面図であり、図2は、本発明の一実施例に係る圧電素子を示す分解斜視図である。
【0015】
図1及び2に示すように、本発明の一実施例に係る圧電素子1000は、積層体部100と、電極端子部200と、導電ビア300と、接地ビア400とを含む。
【0016】
積層体部100は、内部電極層111と、隣接する内部電極層111間に形成される圧電体層112とで構成された活性層110;活性層110の上面をカバーする上部カバー層120;活性層110の下面をカバーする下部カバー層130;を含む。
【0017】
活性層110は、内部電極層111と、隣接する内部電極層111間に形成される圧電体層112とで構成される。活性層110は、隣接する内部電極層111に互いに異なる極性の電荷が印加される場合に圧電体層112が機械的変位を生じさせて、本実施例に係る圧電素子1000の機能を発揮する部分である。
【0018】
圧電体層112は、電気的信号を機械的信号に変換できる材料を含む。具体的に、圧電セラミック及び圧電特性を示す高分子物質などが含まれ得る。本実施例では、圧電セラミックを例に挙げて説明するが、圧電特性を示す高分子物質を用いて圧電体層112を形成することもできる。
【0019】
圧電体層112は、圧電セラミック粉末をスラリーに調製した後にドクターブレードなどを用いてシート状に製作されることができる。
【0020】
内部電極層111は、圧電体層112と交互に積層することができる。すなわち、内部電極層111は、隣接する圧電体層112間に形成することができる。後述する電極端子部200により、隣接する内部電極層111には互いに異なる極性の電荷が印加されるので、内部電極層111は、圧電体層112に電場を形成することができる。内部電極層111には、互いに異なる極性の電荷が印加されるようにパターンを形成することができる。
【0021】
内部電極層111は、導電性物質を含む。本実施例では、圧電体層112との同時焼成のために、導電性物質として圧電セラミックの焼結温度よりも高い融点を有する単一金属または金属合金を用いることができる。
【0022】
内部電極層111は、圧電体層112の上面及び下面に形成されるが、蒸着(deposition)により形成してもよく、電極ペーストを圧電体層112上に塗布して形成してもよい。
【0023】
活性層110は、圧電体層112と内部電極層111とを複数積層することにより形成可能である。
【0024】
活性層110を形成する一例として、上面に内部電極層111の形成された圧電体層112を複数製作し、これを積層することにより活性層110を形成することができる。この場合、活性層110の積層時に、位置合わせのために圧電体層112に基準孔を形成してもよい。
【0025】
図1及び図2には、内部電極層111が5層に形成された活性層110が示されているが、必要によって内部電極層111の積層数は変更することができる。
【0026】
上部カバー層120は、活性層110の上面をカバーし、下部カバー層130は、活性層110の下面をカバーする。すなわち、上部カバー層120及び下部カバー層130は、本実施例に係る圧電素子1000の機能を発揮する活性層110をカバーすることができる。
【0027】
上部カバー層120及び下部カバー層130は、圧電機能とは関係のない部材であるため、圧電体層112を構成する物質とは異なる物質であっても構わない。しかし、活性層110との機械的結合または熱膨脹係数などを考慮して圧電体層112と類似の材質で形成することができる。すなわち、本実施例の場合、活性層110との機械的結合または熱膨脹係数を考慮して、上部カバー層120及び下部カバー層130も圧電体層112に用いられた圧電セラミック粉末を含んで形成することができる。
【0028】
積層体部100は、上述した活性層110を先に形成した後、活性層110の上面及び下面にそれぞれ上部カバー層120と下部カバー層130を形成して製作することができる。また、下部カバー層130を形成し、下部カバー層130上に内部電極層111と圧電体層112とを交互に複数積層した後に上部カバー層120を形成して製作することも可能である。
【0029】
電極端子部200は、隣接する内部電極層111に互いに異なる極性の電荷が印加されるように、積層体部100の上面に形成される。すなわち、電極端子部200は、外部電源を圧電素子1000に導く部分であって、後述する導電ビア300を介して内部電極層111に互いに異なる極性の電荷を印加する。
【0030】
電極端子部200は、互いに異なる極性を有する正電極端子210と負電極端子220とで構成される。一方、図1及び図2に表示された電極端子部200の極性は一例に過ぎず、図面とは反対の極性を有することも可能であり、外部電源が交流電源である場合は、極性が周期的に変更されることができる。
【0031】
電極端子部200は、積層体部100の上面に形成されるので、積層体部100を焼結した後に形成することができる。これにより、上述した内部電極層111とは異なって、比較的に低い融点を有する導電性物質を用いることができる。したがって電気導電度に優れたCu、Agまたはこれらの合金などを用いて形成することができる。また、Au、Pd、Ni、Agまたはその合金などを用いることもできる。
【0032】
導電ビア300は、隣接する内部電極層111を電極端子部200に交互に接続させるために積層体部100に形成される。上述したように、隣接する内部電極層111に互いに異なる極性の電荷が印加されるように、内部電極層111にはパターンを形成することができ、導電ビア300は、このようなパターンを介して特定の内部電極層111と特定の電極端子部200とを接続させる。
【0033】
接地ビア400は、積層体部100で発生する漏洩電流を積層体部100の外部へ排出するために、内部電極層111とは断絶され、一端が積層体部100の一面に露出するように積層体部に形成される。
【0034】
内部電極層111の積層数が増加することにより、隣接する内部電極層111間の距離はますます低減し、これにより圧電素子1000には漏洩電流が発生し得る。この漏洩電流を圧電素子1000の外部に除去するために、積層体部100に接地ビア400を形成することができる。
【0035】
接地ビア400は、電極端子部200の形成される積層体部100の上部領域と、反対の積層体部100の下部領域とに形成することができる。接地ビア400の一端は積層体部100の外部に露出しており、他端は積層体部100の内部に形成される。また、接地ビア400は、内部電極層111とは断絶される。
【0036】
接地ビア400は、通常の通電孔を形成する方法を用いて形成可能である。具体的に、ドリルを用いて孔を加工し、孔の内壁をメッキするか、孔に導電性物質を充填することで、電荷が移動可能な接地ビア400を形成することができる。
【0037】
一方、図1及び図2には接地ビア400が2つ形成されているが、これは一例に過ぎず、必要によって1つまたは3つ以上形成することもできる。また、接地ビア400の横断面の形状は、円形、多角形など様々に形成されることができる。
【0038】
このようにすることで、本発明の一実施例に係る圧電素子1000は、内部で発生する漏洩電流を外部へ排出することができる。漏洩電流を除去しなしと、素子破壊(Breakdown)が発生して素子の信頼性が低下してしまうことがあるが、漏洩電流が接地ビア400を介して圧電素子1000の外部に除去されるので素子の信頼性を高め、かつ可動寿命を向上させることができる。
【0039】
ここで、接地ビア400は、他端が下部カバー層122に形成されることができる。すなわち、接地ビア400の他端が活性層110まで延長されることなく下部カバー層122に形成されることができる。
【0040】
この場合、内部電極層と接地ビア400とを断絶させるためのパターンを内部電極層111に追加的に形成する必要がない。したがって、圧電体層112に接地ビア400のためのビアを加工する必要がなく、工程を単純化することができる。すなわち、漏洩電流を完全に除去できなくても漏洩電流を一部分散させることだけで素子の破壊などを防止することができるので、工程の単純化の側面で接地ビア400を下部カバー層122にだけ形成することができる。
【0041】
ここで、接地ビア400は、一端が積層体部100の下面に露出される。
【0042】
この場合、本実施例に係る圧電素子1000の下面に、後述する振動板500が結合され得るので、漏洩電流を振動板500に放出することができる。また、接地ビア400と電極端子部200のそれぞれが積層体部100の下面と上面に形成され得るので、接地ビア400を介して排出される漏洩電流が電極端子部200により再び圧電素子1000の内部へ流れて行くことを防止することができる。
【0043】
ここで、電極端子部200は、それぞれ1つの正電極端子210及び1つの負電極端子220からなる複数の電極端子対230で構成可能である。
【0044】
積層体部100に電極端子対230が複数形成される場合、積層体部100の内部のクラックなどにより内部電極層111が一部切れても、クラックを中心にして両方に存在する電極端子対230のために、クラックにより分離された2つの領域がそれぞれ個別的に圧電素子1000の機能を発揮することができる。
【0045】
このようにすることで、本発明の一実施例に係る圧電素子1000は、信頼性及び寿命が増加する。
【0046】
次に本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュールを説明する。
【0047】
図3は、本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュールを示す分解斜視図であり、図4は、本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュールを示す断面図である。図5は、図4におけるA部分を拡大した図である。
【0048】
図3及び図4に示すように、本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュール2000は、圧電素子1000と、振動板500と、質量体600と、ケース700とを含み、樹脂層800をさらに含むことができる。
【0049】
圧電素子1000は、積層体部100と電極端子部200などとを含み、電気信号により機械的変位を生じる素子であって、詳細な説明は上述したので重複範囲の説明は省略する。
【0050】
振動板500は、圧電素子1000の横方向の伸縮により縦方向変位が生じるように、圧電素子1000に結合される。また、振動板500は、接地ビア400の一端と電気的に接続される。
【0051】
図3から図5には、圧電素子1000が振動板500の下部に結合されているが、これは上述した圧電素子1000を逆にした状態のものである。
【0052】
振動板500は、接地ビア400の一端と電気的に接続されるが、これにより、圧電素子1000の内部で発生した漏洩電流は、接地ビア400を介して圧電素子1000の外部の振動板500に排出され得る。
【0053】
圧電素子1000は、ボンディング方法またはソルダリング方法を用いて振動板500に結合可能である。図5には、ボンディング方式、すなわち後述する樹脂層800を介して圧電素子1000と振動板500とが結合されているが、これは例示に過ぎない。
【0054】
振動板500は、電源を印加することにより引張及び圧縮変形を繰り返す圧電素子1000と一体に変形されるように、サス(Sus)のような弾性力を備えた金属材質で構成できるが、必要によって弾性力を備えた他の材質を用いることもできる。
【0055】
振動板500と圧電素子1000とがボンディング方法により結合された場合は、接着部材の硬化により発生し得るベンディング(Bending)現象を防止するために、振動板500は、圧電素子1000の熱膨脹係数と類似の材質であるインバー(Invar)を含むことが好ましい。
【0056】
振動板500は、導電性物質を含むことができる。すなわち、振動板500に含まれた導電性物質により漏洩電流が振動板500に流れることができる。
【0057】
図3及び図4には、圧電素子1000に結合される下部振動板520と、後述する質量体600を収容できる上部振動板510とを含む振動板500が示されているが、これは例示に過ぎず、圧電素子1000の横方向の伸縮により縦方向変位が生じることができれば、多様な形態に変形して製作することができる。
【0058】
質量体600は、振動板500で発生する縦方向変位による振動力を増加させる。質量体600の振動力を最大化するために、質量体600の中央部が圧電素子1000の引張及び圧縮変形により最大変位が生じる振動板500の最大変位箇所に結合されることができる。
【0059】
質量体600は、金属(Steel)材質で構成できるが、この場合、相対的に同じ体積でも密度の高いタングステンを含む材質で構成することが好ましい。
【0060】
ケース700は、振動板500及び質量体600をカバーし、内面が振動板500と接触する。すなわち、ケース700は、本実施例に係る圧電振動モジュール2000の外部を形成する部材であって、その内部に圧電素子1000、振動板500及び質量体600などを収容することができる。また、圧電素子1000に電源を印加するために圧電素子1000に結合される基板(図示せず)もケース700の内部に収容されることができる。
【0061】
ケース700は、一側面を開放したボックス(Box)形状の上部ケース710と、端部が上部ケース710と結合して、上部ケース710の開放された一側面を閉鎖できる下部ケース720とを含むことができる。
【0062】
ケース700の内面は、振動板500と接触しているので、ケース700は、振動板500とともにグラウンドの機能を発揮することができる。
【0063】
ケース700の外面は、アノダイジング(Anodizing)などの方式により酸化処理することができ、このようにすることで圧電素子1000で発生した漏洩電流が圧電振動モジュール2000の外部に漏出することを防止することができる。
【0064】
このようにすることで、本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュール2000は、振動板500及びケース700を、圧電素子1000で発生した漏洩電流を除去するためのグラウンドとして使用することができる。これにより、圧電素子1000の信頼性、さらに圧電振動モジュール2000の信頼性を向上させることができる。
【0065】
ここで、本実施例に係る圧電振動モジュール2000は、圧電素子1000と振動板500との間に介在され、圧電素子1000と振動板500とを結合させる樹脂層800をさらに含むことができる。すなわち、上述したボンディング方式により圧電素子1000と振動板500とが結合されることができる。樹脂層800は、硬化により発生し得るベンディング(bending)現象を予め防止するために、圧電素子1000の熱膨脹係数と類似の材質からなることができる。
【0066】
ここで、樹脂層800は、厚さが0超過10μm未満であることができる。樹脂層800の厚さが10μm以上になると、樹脂層800に漏洩電流が伝達されないことが発生し得る。
【0067】
ここで、樹脂層800には導電性フィラー810を分散して含有させることができる。一般的に樹脂層800として使用可能なエポキシなどは絶縁物質であるため、漏洩電流が振動板500に伝達されないことがある。したがって、樹脂層800に導電性フィラー810を分散させることにより、樹脂層800が比較的厚く形成されても、樹脂層800の導電性フィラー810を介して漏洩電流を振動板500に伝達することができる。
【0068】
このようにすることで、本発明の他の実施例に係る圧電振動モジュール2000は、樹脂層800を用いて振動板500と圧電素子1000とを接続させることで、より堅固に両者を結合させることができる。この場合、樹脂層800の厚さを制限したり、樹脂層800に導電性フィラー810を含有させたりすることで、漏洩電流が振動板500に伝達されないことを防止することができる。
【0069】
これにより、振動板500とケース700とがグラウンドとして機能することができ、圧電素子1000の漏洩電流を効果的に除去することができる。
【0070】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえよう。
【符号の説明】
【0071】
100 積層体部
110 活性層
111 内部電極層
112 圧電体層
120 上部カバー層
130 下部カバー層
200 電極端子部
210 正電極端子
220 負電極端子
230 電極端子対
300 導電ビア
400 接地ビア
500 振動板
510 上部振動板
520 下部振動板
600 質量体
700 ケース
710 上部ケース
720 下部ケース
800 樹脂層
810 導電性フィラー
1000 圧電素子
2000 圧電振動モジュール
図1
図2
図3
図4
図5