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特開2016-72959トップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステムマイクロフォン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-72959(P2016-72959A)
(43)【公開日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】トップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステムマイクロフォン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20160404BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20160404BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20160404BHJP
【FI】
   H04R1/02 106
   H01L29/84
   B81B7/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-155683(P2015-155683)
(22)【出願日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】201410511198.X
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515216022
【氏名又は名称】シャンドン ゲットトップ アコースティック カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジンミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ジーロン
【テーマコード(参考)】
3C081
4M112
5D017
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA30
3C081BA32
3C081BA33
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA05
3C081CA32
3C081EA21
4M112AA06
4M112BA00
4M112CA01
4M112CA03
4M112CA11
4M112CA13
4M112DA18
4M112EA11
4M112FA01
4M112GA01
4M112GA03
5D017BC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トップポート型MEMSマイクロフォンのSN比を向上させる。
【解決手段】MEMSチップ2とASICチップ3の両方が、ハウジングと回路基板によって形成された空間の内部に配置され、金属線で接続される。MEMSチップ2はハウジング6頂部の内壁に固定され、バックチャンバー10は、MEMSチップの外側とハウジングと回路基板で囲まれている。MEMSチップ2の内側に対向したハウジング6部分にサウンドホール5が設けられ、フロントチャンバー20は、サウンドホール5とMEMSチップ2の内側の間に形成される。大容量のバックチャンバー10を形成でき、高SN比を提供できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)マイクロフォンであって、
ハウジングと回路基板によって形成された空間の内部に配置されたMEMSチップ及び特定用途向け集積回路(ASIC)チップを含み、前記MEMSチップと前記ASICチップは金属線を介して接続されており、
前記MEMSチップは前記ハウジング頂部の内壁に固定され、バックチャンバーは前記MEMSチップの外側と前記ハウジングと前記回路基板で囲まれており、
サウンドホールが、前記ハウジングの、前記MEMSチップの内側に対向する部分に設けられ、フロントチャンバーが、前記サウンドホールと前記MEMSチップの内側の間に形成され、
前記ハウジングに固定された上端と、ボンディングパッドが設けられ回路基板に固定された下端とを有する導電接続部材が設けられ、導電接続部材は金属線を介してMEMSチップとASICチップとを導電接続するよう構成されている、
トップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)マイクロフォン。
【請求項2】
空間を形成するために、前記ハウジングと前記回路基板がシーラントにより密封されている、
請求項1に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項3】
前記ASICチップが、前記ハウジング頂部の内壁に固定されている、
請求項1に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項4】
前記導電接続部材は、前記MEMSチップと前記ASICチップの同じ側に配置されている、
請求項3に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項5】
前記ASICチップが、前記回路基板上に固定されている、
請求項1に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項6】
前記導電接続部材が、前記MEMSチップと前記ASICチップとの間に配置されている、
請求項5に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項7】
前記導電接続部材の上端は固定接着材によって前記ハウジングに固定され、前記導電接続部材の下端にある前記ボンディングパッドは前記回路基板に溶接、または前記固定接着材で前記回路基板に接着されている、
請求項1または4または6に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項8】
前記MEMSチップの底部は固定接着材によって前記ハウジングに接着され、前記ASICチップの底部は前記固定接着材で前記ハウジングまたは前記回路基板に接着されている、
請求項1に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項9】
前記導電接続部材の本体の底部は段差形状になっており、前記導電接続部材の上端は固定接着材によって前記ハウジングに接着され、前記導電接続部材の下端にある前記ボンディングパッドは前記回路基板に溶接、または前記固定接着材で前記回路基板に接着されている、
請求項1または4に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【請求項10】
前記ASICチップは、前記導電接続部材の本体に固定されている、
請求項9に記載のトップポート型MEMSマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、マイクロフォンの技術分野、とくに高い信号対雑音比を実現するトップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステムマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロメカニカルシステムマイクロフォンは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(以下ではMEMSと略す)技術に基づいて製造されたマイクロフォンである。従来の技術では、トップポート型MEMSマイクロフォンが一般的である。図1は、従来技術におけるトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
【0003】
図1に示されているように、トップポート型MEMSマイクロフォンは、MEMSチップ2’、特定用途向け集積回路(以下ではASICと略す)チップ3’を含み、MEMSチップ2’とASICチップ3’はいずれも回路基板1’上に配置され、回路基板1’の底部にはボンディングパッドが設けられ、そしてMEMSチップ2’、ASICチップ3’、回路基板1’は金属線4’を介して接続される。サウンドホール5’はハウジング6’に配置され、MEMSチップ2’の外面とハウジング6’と回路基板1’により囲まれた空間はフロントチャンバー11’と呼ばれ、MEMSチップ2’の底部に位置する空洞はバックチャンバー21’と呼ばれる。トップポート型MEMSマイクロフォンの構造は、信号対雑音比(SN比)の大きさを左右する。SN比とは、増幅器から出力される信号の電力(パワー)と、それと同時に増幅器から出力される雑音の電力の比のことであり、SN比が高いほどデバイスが発する雑音は少ない。SN比が高いことは、信号に混在する雑音が殆どないことを意味し、音声再生時の音質が高いことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SN比は、バックチャンバーの大きさと関係しており、バックチャンバーが大きいほどSN比は高くなる。トップポート型MEMSマイクロフォンのバックチャンバーは、MEMSチップ2’の底部の空洞に制限されており、フロントチャンバーはバックチャンバーよりもはるかに大きい。そのためトップポート型MEMSマイクロフォンで、高いSN比を実現することは困難である。
【0005】
それゆえ、従来からあるトップポート型MEMSマイクロフォンのSN比を向上させることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の取り組む技術課題は、バックチャンバーの体積をより拡大し、高SN比を実現するトップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)マイクロフォンを提供することである。
【0007】
上記目標を実現するために、本願では、MEMSチップと特定用途向け集積回路(ASIC)チップの両方が、ハウジングと回路基板によって形成された空間の内部に配置され、MEMSチップとASICチップが金属線で接続された、トップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)マイクロフォンが提供される。MEMSチップはハウジング頂部の内壁に固定され、バックチャンバーは、MEMSチップの外側と、ハウジングと回路基板で囲まれている。サウンドホールは、ハウジング上の、MEMSチップの内側に対向する部分に設けられ、フロントチャンバーは、サウンドホールとMEMSチップの内側の間に形成される。また、ハウジングに固定された上端と、ボンディングパッドを有し回路基板に固定された下端を有する導電接続部材が設けられ、導電接続部材は金属線を介してMEMSチップとASICチップとを導電接続するよう構成されている。
【0008】
好ましくは、ハウジングと回路基板は、空間を形成するためにシーラントにより密封される。
【0009】
好ましくは、ASICチップは、ハウジング頂部の内壁に固定される。
【0010】
好ましくは、導電接続部材は、MEMSチップとASICチップの同じ側に配置される。
【0011】
好ましくは、ASICチップは回路基板上に固定される。
【0012】
好ましくは、導電接続部材は、MEMSチップとASICチップとの間に配置される。
【0013】
好ましくは、導電接続部材の上端は固定接着材によってハウジングに接着され、導電接続部材の下端にあるボンディングパッドは回路基板に溶接される、または固定接着材で回路基板に接着される。
【0014】
好ましくは、MEMSチップの底部は固定接着材によってハウジングに接着され、ASICチップの底部は固定接着材でハウジングまたは回路基板に接着される。
【0015】
好ましくは、導電接続部材本体の底部は段差形状になっており、導電接続部材の上端は固定接着材によってハウジングに接着され、導電接続部材の下端にあるボンディングパッドは回路基板に溶接される、または固定接着材で回路基板に接着される。
【0016】
さらに好ましくは、ASICチップは導電接続部材の本体に固定される。
【0017】
上の記述及び運用に基づくと、本願の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンでは、第一に、MEMSチップがハウジングに固定され、サウンドホールは、ハウジング上のMEMSチップの内側に対向する部分に配置され、フロントチャンバーがMEMSチップの内側とハウジングとの間に形成され、バックチャンバーはMEMSチップの外側とハウジングと回路ボードによって囲まれ、これによりバックチャンバーの体積が、従来技術に係るトップポート型MEMSマイクロフォンのバックチャンバーの体積よりも明らかに増加し、よって本願のトップポート型MEMSマイクロフォンのSN比が増加する。これにより高いSN比を持つMEMS型マイクロフォンを提供することができる。第二に、ハウジングと回路基板により形成される密閉された空間の中に導電接続部材が設けられ、導電接続部材の一端がハウジングに固定され、導電接続部材のもう一方の端部が回路基板に固定され、これにより、支持効果と、MEMSチップとASICチップと回路基板との間の導電接続を可能にする効果を有する。導電接続部材は、MEMSチップとASICチップとを回路基板に導電接続するよう構成されており、MEMSチップとASICチップの相対的な位置は柔軟に決められてよく、MEMSチップとASICチップとが導電接続されるようにするために、導電接続部材の位置には柔軟性がある。たとえば、導電接続部材はMEMSチップとASICチップの同じ側に配置されてもよいし、MEMSチップとASICチップの間に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の特徴及び技術的利点は、図面と以下の実施形態の説明により明らかになり、また容易に理解できるであろう。
図1図1は、従来技術におけるトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
図2図2は、本願の一実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
図3図3は、本願の別の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
図4図4は、本願の第3の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
図5図5は、本願の第4の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
図6図6は、本願の第5の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。
【0019】
MEMSマイクロフォン100’の参照番号:
1’ プリント回路基板, 2’ MEMSチップ,
3’ ASICチップ, 4’ 金線,
5’ サウンドホール, 6’ ハウジング,
7’ ボンディングパッド, 11’ フロントチャンバー,
21’ バックチャンバー;
MEMSマイクロフォン100の参照番号:
1 回路基板, 2 MEMSチップ,
3 ASICチップ, 4 金属線,
5 サウンドホール, 6 ハウジング,
7 導電接続部材, 8 固定接着材,
9 シーラント, 10 バックチャンバー,
20 フロントチャンバー
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の目的、特徴、利点をより明らかにし、かつ容易に理解できるようにするために、以下では図面及び以降の実施例とともに本願が詳細に説明される。
【0021】
図2は、本願の一実施形態に係るトップポート型マイクロエレクトロメカニカルシステム(以下、MEMSと略す)マイクロフォンの構造を示す概観図である。図2に示されているように、トップポート型MEMSマイクロフォン100は、回路基板1、MEMSチップ2、特定用途向け集積回路(以下、ASICと略す)チップ3、金属線4、サウンドホール5、ハウジング6、導電接続部材7、そして固定接着材8を含む。
【0022】
MEMSチップ2とASICチップ3は、ハウジング6と回路基板1により形成されている空間内に配置される。好ましくは、ハウジング6と回路基板1は、空間を形成するためにシーラントにより密封される。本実施形態では、MEMSチップ2とASICチップ3はいずれも、ハウジング6に固定される。好ましくは、MEMSチップ2の底部は固定接着材8でハウジング6に接着され、ASICチップ3の底部は固定接着材8でハウジング6に接着される。MEMSチップ2とASICチップ3は、金属線4を介して接続される。本実施形態では、MEMSチップ2とASICチップ3は、金線を介して接続される。
【0023】
MEMSチップ2は、ハウジング6頂部の内壁に固定され、MEMSチップ2の底部は固定接着材8でハウジング6に接着される。MEMSチップ2の外側と、ハウジング6と回路基板1で囲まれた空間は、バックチャンバー10と呼ばれる。
【0024】
ハウジング6の、MEMSチップ2の内側に対向する部分に、サウンドホール5が開けられており、サウンドホール5はMEMSチップ2の内側の空間に対向している。そして、サウンドホール5とMEMSチップ2の内側の間の空間のことは、フロントチャンバー20と呼ばれる。
【0025】
ハウジング6と回路基板1により形成される密閉された空間内で、導電接続部材7の上端はハウジング6に固定され、導電接続部材7の下端にはボンディングパッド71が設けられる。導電接続部材7は固定接着材8によって回路基板1に固定的に接着される、あるいは回路基板1に溶接されてもよく、これにより支持効果と導電接続の効果とを有する。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3とを金属線4を介して回路基板1に導電接続することができる。ASICチップの導電接続部材7に近い側が、金属線4を介して回路基板1に接続される。もしASICチップのうち、導電接続部材7から遠くMEMSチップに近い部分が、金属線4を介して導電接続部材7に接続されていると、回路短絡現象が発生しやすくなる。
【0026】
本実施例では、MEMSチップ2の底部は固定接着材8でハウジング6に接着され、ASICチップ3の底部は固定接着材8でハウジングに接着され、MEMSチップ2とASICチップ3は金属線4を介して接続され、ASICチップ3はシーラント9で覆われることで封入される。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3の同じ側にあり、導電接続部材7の上端は固定接着材8によってハウジング6に接着され、導電接続部材7の下端にあるボンディングパッド71は金属線4を介してASICチップ3に導電接続されるとともに、固定接着材8によって回路基板1に接着される。
【0027】
図3は、本願の別の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。図3におけるトップポート型MEMSマイクロフォンと図2におけるトップポート型MEMSマイクロフォンとの主な違いは、図3では、MEMSチップ2の底部は固定接着材8によってハウジング6に接着され、ASICチップ3の底部は固定接着材8によって回路基板1に接着され、導電接続部材7はMEMSチップ2とASICチップ3の間に設けられる。導電接続部材7の上端は固定接着材8によってハウジング6に接着され、導電接続部材7の底部にあるボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に接着される。2本の金属線4が、それぞれボンディングパッド71の両側から延びており、一方の金属線4はMEMSチップ2に接続され、もう一方の金属線4はASICチップ3に接続される。
【0028】
図4は、本願の第3の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。図4におけるトップポート型MEMSマイクロフォンと図2におけるトップポート型MEMSマイクロフォンとの主な違いは、図4では、ハウジング6と回路基板1により形成される密閉された空間において、導電接続部材7の底部は段差形状になっている。MEMSチップ2は金属線4を介して導電接続部材7の段差形状部分の上部(突出部という)に接続される。導電接続部材7の段差形状部分の下部(凹陥部という)は、ボンディングパッド71に接続される下端を有し、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に接着される。導電接続部材7の上端はハウジング6に固定され、導電接続部材7の下端にはボンディングパッド71が設けられ、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に接着される、あるいは導電接続部材7の下端が回路基板1に溶接または固定接着材8で接着され、これにより支持効果と導電接続の効果とを有する。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3とを金属線4を介して回路基板1に導電接続することができる。
【0029】
図5は、本願の第4の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。図5におけるトップポート型MEMSマイクロフォンと図2におけるトップポート型MEMSマイクロフォンとの主な違いは、図5では、ハウジング6と回路基板1により形成される密閉された空間において、MEMSチップ2の底部は固定接着材8によってハウジング6に接着され、ASICチップ3の底部は固定接着材8によって回路基板1に接着され、MEMSチップ2はASICチップ3の上方に位置する。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3の同じ側にあり、導電接続部材7の上端はハウジング6に固定され、導電接続部材7の下端にはボンディングパッド71が設けられ、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に固定接着されるか、あるいは導電接続部材7の下端が回路基板1に溶接または固定接着材8で接着され、これにより支持効果と導電接続の効果とを有する。導電接続部材7の底部は段差形状になっており、MEMSチップ2は金属線4を介して導電接続部材7の段差形状部分の上部(突出部という)に接続される。導電接続部材7の段差形状部分の下部(凹陥部という)は、ボンディングパッド71に接続される下端を有し、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に接着される。1本の金属線4がボンディングパッド71から延びており、ASICチップ3の端部と導電接続部材7のボンディングパッド71とを導電接続する。またASICチップ3のもう一方の端部から1本の金属線4が延びており、回路基板1と接続されている。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3とを金属線4を介して回路基板1に導電接続することができる。
【0030】
図6は、本願の第5の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンの構造を示す概観図である。図6におけるトップポート型MEMSマイクロフォンと図2におけるトップポート型MEMSマイクロフォンとの主な違いは、図6では、ハウジング6と回路基板1により形成される密閉された空間内にL字型の導電接続部材7があり、L字型の一辺に相当する導電接続部材7の部分は、固定接着材8によってハウジング6に固定的に接着される面と、取付け場所を提供する面とを有し、この取付け場所にはASICチップ3が固定接着材8によって導電接続部材7に固定的に接着される。MEMチップ2は金属線4を介してASICチップ3に接続され、ASICチップ3はシーラント9で覆われることで封入される。L字型のもう一方の辺に相当する導電接続部材7の別の部分は、段差形状の底部を有する。ASICチップ3は金属線4を介して導電接続部材7の段差形状部分の上部(突出部という)に接続される。導電接続部材7の段差形状部分の下部(凹陥部という)は、ボンディングパッド71に接続される下端を有し、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に固定的に接着される。導電接続部材7の上端はハウジング6に固定され、導電接続部材7の下端にはボンディングパッド71が設けられ、ボンディングパッド71は固定接着材8によって回路基板1に固定的に接着されるか、導電接続部材7の下端が回路基板1に溶接または固定接着材8で接着され、これにより支持効果と導電接続の効果とを有する。導電接続部材7は、MEMSチップ2とASICチップ3とを金属線4を介して回路基板1に導電接続することができる。
【0031】
本願の実施形態に係るトップポート型MEMSマイクロフォンでは、第一に、MEMSチップがハウジングに固定され、サウンドホールは、ハウジング上のMEMSチップの内側に対向する部分に配置される。またフロントチャンバーがMEMSチップの内側とハウジングとの間に形成され、バックチャンバーはMEMSチップの外側とハウジングと回路ボードによって囲まれる。これによりバックチャンバーの体積が、従来技術に係るトップポート型MEMSマイクロフォンのバックチャンバーの体積よりも明らかに増加し、本願のトップポート型MEMSマイクロフォンのSN比が増加する。これにより高いSN比を持つMEMS型マイクロフォンを提供することができる。第二に、ハウジングと回路基板により形成される密閉された空間の中に導電接続部材が設けられ、導電接続部材の一端がハウジングに固定され、導電接続部材のもう一方の端部が回路基板に固定され、これにより、支持効果と、MEMSチップとASICチップと回路基板との間の導電接続を可能にする効果を有する。導電接続部材は、MEMSチップとASICチップとを回路基板に導電接続するよう構成されており、MEMSチップとASICチップの相対的な位置は柔軟に決められてよい。そしてMEMSチップとASICチップとが導電接続されるようにするために、導電接続部材の位置には柔軟性がある。たとえば、導電接続部材はMEMSチップとASICチップの同じ側に配置されてもよいし、MEMSチップとASICチップの間に配置されてもよい。
【0032】
ここで記述した実施形態は、本願の好適な実施形態に過ぎず、本願の範囲がこれに限定されるものではない。本願の技術分野に属する当業者によってなされる、様々な変形物や置換物は、本願の範囲に属する物である。それ故、本願の範囲は請求項によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
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