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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-73251(P2016-73251A)
(43)【公開日】2016年5月12日
(54)【発明の名称】三層ガムの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 4/00 20060101AFI20160408BHJP
【FI】
   A23G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-207444(P2014-207444)
(22)【出願日】2014年10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149766
【弁理士】
【氏名又は名称】京村 順二
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智史
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB13
4B014GE02
4B014GP03
4B014GQ02
4B014GT06
4B014GT07
4B014GU10
(57)【要約】
【課題】効率良く三層ガムを製造することのできる製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】三層ガムの製造装置は、外用ノズル14および中用ノズル15を備える。外用ノズル14は、出力方向の先端部に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が相対的に広く、厚み方向が相対的に薄い偏平な直方体状の外層用内空間16を区画する外層用口部17を有する。中用ノズル15は、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が外層用内空間16と同じ寸法で、厚み方向が外層用内空間16のほぼ3分の1の寸法の偏平な直方体状の中層用内空間19を区画する中層用口部20を有する。中層用口部20は、外層用口部17が区画する外層用内空間16内で、当該内空間を外層用上内空間16Uおよび外層用下内空間16Dに分けるように、外層用口部17の上下方向の中央部に配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中層ガムを一対の外層ガムで挟んだ三層ガムを製造するための装置であって、
外層ガムの原料である第1ガム組成物を外用ノズルへ供給するための第1経路と、
中層ガムの原料である第2ガム組成物を中用ノズルへ供給するための第2経路とを備え、
前記外用ノズルは、出力方向の先端部に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が相対的に広く、厚み方向が相対的に薄い偏平な直方体状の外層用内空間を区画する外層用口部を有し、
前記中用ノズルは、出力方向に向かって内径が狭められた縮径部と、縮径部の先端に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が前記外層用内空間と同じ寸法で、厚み方向が前記外層用内空間のほぼ3分の1の寸法の偏平な直方体状の中層用内空間を区画する中層用口部を有し、
前記中層用口部は、前記外層用口部が区画する外層用内空間内で、当該内空間を外層用上内空間および外層用下内空間に分けるように、外層用口部の上下方向の中央部に配置されていることを特徴とする、三層ガムの製造装置。
【請求項2】
前記中層用口部は、入口側および出口側が開口され、上壁、下壁および左右側壁が金属板で区画された偏平な直方体状をし、
前記左右側壁が前記外層用口部の内側面に係合していることを特徴とする、請求項1に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項3】
前記外層用口部の内側面には、前記中層用口部の側壁を受け入れる凹溝が形成されており、
前記外層用口部の内側面と、前記中層用口部の内側面とは面一になっていることを特徴とする、請求項2に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項4】
前記外層用口部に比べ、前記中層用口部は、出力方向に見て、一定寸法だけ後方に位置していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項5】
前記第1経路は前記外用ノズルと直線状に連結されており、その内部にエクストルーダーを備え、
前記第2経路は、前記中用ノズルに直交方向に連結されており、その内部にエクストルーダーを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項6】
帯状三層ガムを圧延するための複数のロール対を備え、帯状三層ガムの移送方向上流側のロール対は、移送方向下流側のロール対と比べて、ロール周面の回転速度が相対的に遅く設定されており、
前記複数のロール対を移送される間に、帯状三層ガムは移送方向に張力が付与されて、その厚みが薄くされることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項7】
帯状三層ガムの移送方向に見て、前記複数のロール対の下流側に設けられ、圧延された帯状三層ガムの一方側面をガイドする直線状のガイド面と、
前記ガイド面に対し、帯状三層ガムの移送方向に直交方向に一定の間隔を開けて設けられ、前記圧延された帯状三層ガムの幅が所定の幅より広いときに、帯状三層ガムの他方側面側を切断するカッターと、
を有することを特徴とする、請求項6に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項8】
帯状三層ガムの移送方向に見て、前記ガイド面およびカッターの下流面側に設けられ、幅が調整された帯状三層ガムを、その移送方向に一定の寸法の長板状に切断して、最終製品にする前の長板状半製品を作成する手段、をさらに有することを特徴とする、請求項7に記載の三層ガムの製造装置。
【請求項9】
三層ガムを製造するための方法であって、
出口が、横方向に長い偏平な長方形状をした外層用口部と、
外層用口部の上下方向中央に、外層用口部から一定寸法だけ奥まって設けられ、横方向に延びる上下一対の直線で区画された内層中層用口部とを準備する工程と、
第1ガム組成物および第2ガム組成物を外層用口部および中層用口部から共押し出しする工程と、
を含むことを特徴とする中層ガムを一対の外層ガムで挟んだ三層ガムを製造する方法。
【請求項10】
前記方法は、さらに、
共押し出しにより形成される帯状三層ガムを圧延する工程と、
圧延した帯状三層ガムの一方側面をガイドしながら他方側面を必要に応じて切断する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の三層ガムの製造方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、
切断工程の後に、帯状三層ガムを所定長さの板状三層ガム半製品に切断する工程、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の三層ガムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三層ガムの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三層ガムの製造装置としては、たとえば特許文献1に開示された装置が知られている。特許文献1に開示された三層ガムの製造装置は、その第1図に記載されているように、基台25の出口側に取り付けられたダイス8と、ダイス8内に設けられた賦形用筒体10とを有する構成であり、吐出口9および賦形用筒体10を正面側A側から見ると、第2図に示される形状をしている。
【0003】
また、別の吐出口の例として、特許文献1の第8図に示されているものがある。
特許文献2には、その図3および図4に、押し出し装置のノーズ部26や開口34の形状の一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2796425号公報
【特許文献2】特許第4951519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製造装置を用いて三層ガムを製造しようとした場合、所望の幅の三層ガムを製造するのが困難であったり、所望の幅に三層ガムを切断した場合に、過剰な余剰部分を生じ、生産効率が悪いという課題があった。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、効率良く三層ガムを製造することのできる製造装置および製造方法を提供することを主たる目的とする。
【0006】
また、この発明は、特に小型の三層ガムを効率良く製造するための製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、中層ガムを一対の外層ガムで挟んだ三層ガムを製造するための装置であって、外層ガムの原料である第1ガム組成物を外用ノズルへ供給するための第1経路と、中層ガムの原料である第2ガム組成物を中用ノズルへ供給するための第2経路とを備え、前記外用ノズルは、出力方向の先端部に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が相対的に広く、厚み方向が相対的に薄い偏平な直方体状の外層用内空間を区画する外層用口部を有し、前記中用ノズルは、出力方向に向かって内径が狭められた縮径部と、縮径部の先端に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が前記外層用内空間と同じ寸法で、厚み方向が前記外層用内空間のほぼ3分の1の寸法の偏平な直方体状の中層用内空間を区画する中層用口部を有し、前記中層用口部は、前記外層用口部が区画する外層用内空間内で、当該内空間を外層用上内空間および外層用下内空間に分けるように、外層用口部の上下方向の中央部に配置されていることを特徴とする、三層ガムの製造装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記中層用口部は、入口側および出口側が開口され、上壁、下壁および左右側壁が金属板で区画された偏平な直方体状をし、前記左右側壁が前記外層用口部の内側面に係合していることを特徴とする、請求項1に記載の三層ガムの製造装置である。
請求項3記載の発明は、前記外層用口部の内側面には、前記中層用口部の側壁を受け入れる凹溝が形成されており、前記外層用口部の内側面と、前記中層用口部の内側面とは面一になっていることを特徴とする、請求項2に記載の三層ガムの製造装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記外層用口部に比べ、前記中層用口部は、出力方向に見て、一定寸法だけ後方に位置していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置である。
請求項5記載の発明は、前記第1経路は前記外用ノズルと直線状に連結されており、その内部にエクストルーダーを備え、前記第2経路は、前記中用ノズルに直交方向に連結されており、その内部にエクストルーダーを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置である。
【0010】
請求項6記載の発明は、帯状三層ガムを圧延するための複数のロール対を備え、帯状三層ガムの移送方向上流側のロール対は、移送方向下流側のロール対と比べて、ロール周面の回転速度が相対的に遅く設定されており、前記複数のロール対を移送される間に、帯状三層ガムは移送方向に張力が付与されて、その厚みが薄くされることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の三層ガムの製造装置である。
【0011】
請求項7記載の発明は、帯状三層ガムの移送方向に見て、前記複数のロール対の下流側に設けられ、圧延された帯状三層ガムの一方側面をガイドする直線状のガイド面と、前記ガイド面に対し、帯状三層ガムの移送方向に直交方向に一定の間隔を開けて設けられ、前記圧延された帯状三層ガムの幅が所定の幅より広いときに、帯状三層ガムの他方側面側を切断するカッターと、を有することを特徴とする、請求項6に記載の三層ガムの製造装置である。
【0012】
請求項8記載の発明は、帯状三層ガムの移送方向に見て、前記ガイド面およびカッターの下流面側に設けられ、幅が調整された帯状三層ガムを、その移送方向に一定の寸法の長板状に切断して、最終製品にする前の長板状半製品を作成する手段、をさらに有することを特徴とする、請求項7に記載の三層ガムの製造装置である。
請求項9記載の発明は、三層ガムを製造するための方法であって、出口が、横方向に長い偏平な長方形状をした外層用口部と、外層用口部の上下方向中央に、外層用口部から一定寸法だけ奥まって設けられ、横方向に延びる上下一対の直線で区画された内層中層用口部とを準備する工程と、第1ガム組成物および第2ガム組成物を外層用口部および中層用口部から共押し出しする工程と、を含むことを特徴とする中層ガムを一対の外層ガムで挟んだ三層ガムを製造する方法である。
【0013】
請求項10記載の発明は、前記方法は、さらに、共押し出しにより形成される帯状三層ガムを圧延する工程と、圧延した帯状三層ガムの一方側面をガイドしながら他方側面を必要に応じて切断する工程と、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の三層ガムの製造方法である。
請求項11記載の発明は、前記方法は、さらに、切断工程の後に、帯状三層ガムを所定長さの板状三層ガム半製品に切断する工程、を含むことを特徴とする、請求項10に記載の三層ガムの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、生産効率の向上した三層ガムの製造装置とすることができる。特に小型の板状ガムにおいて、三層ガムを製造するのに好適な製造装置および製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る三層ガム1の斜視図である。
図2図2は、この発明の一実施例に係る三層ガム1の製造工程を示すフロー図である。
図3図3は、帯状の長い三層ガム12がメインエクストルーダー10のノズルから出力され、複数のローラー13により搬送されている様子を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示すノズル11を正面側(出力方向側)から見た図である。
図5図5は、図4に示すノズル11を、外用ノズル14と中用ノズル15とに分解した状態の斜視図である。
図6図6は、メインエクストルーダー10のノズル11部分を中心とする図解的な縦断面図である。
図7図7は、外層用口部17と中層用口部20との配置関係を説明するための側面視の部分縦断面である。
図8図8は、外層用口部17と中層用口部20との配置および取付関係を説明するための正面視の部分縦断面である。
図9図2でステップS7として説明した圧延工程を実行するための圧延装置40の構成例を示す図である。
図10図10は、厚みセンサー48および幅センサー49を説明する図である。
図11図11は、図2でステップS8として説明した幅調整を実現するための装置の構成を図解的に示す図である。
図12図12は、図11におけるI−I部分の構成を示す図解的な図である。
図13図13は、図11におけるII−II部分の構成を示す図解的な図である。
図14図14は、図11におけるIII−III部分の構成を示す図解的な図である。
図15図15は、図2でステップS9として説明した半製品としてカット処理された三層ガム半製品6を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る三層ガムの製造装置および製造方法について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る三層ガム1の斜視図である。この実施形態に係る三層ガム1は、図1に示すような、小型の板状ガムとして提供されるものである。小型板状ガムを、三層ガムとして製造するための製造装置および製造方法を、本願発明が提供するものである。
【0017】
図1において、三層ガム1は、たとえば、その長さLが42mm、その幅Wが12mm、その厚みTが3mmである。
図2は、この発明の一実施形態に係る三層ガム1の製造工程を示すフロー図である。
図2を参照して説明すると、ステップS1では、ミキサーによって、外層ガム3の原料が混合され、第1ガム組成物が準備される。
【0018】
混合された第1ガム組成物は、ステップS2として、プレエクストルーダーへ与えられ、混合・混練されて、ロープ状の細長い連続体として出力される。そして出力されるロープ状の第1ガム組成物は冷却装置を通されて(ステップS3)、所定の温度、たとえば約40℃に冷まされて温度が安定される。そして、メインエクストルーダーの一方入力経路(第1経路)へ与えられる(ステップS4)。
【0019】
上記の製造処理と並行して、中層ガム2の原料がミキサーで混合される(ステップS5)。ステップS5でミキサーにて混合された原料は第2ガム組成物として出力され、ブロック状に切り分けられる(ステップS6)。ステップS6で切り分けられた材料は、メインエクストルーダーの他方入力経路(第2経路)へ供給される(ステップS4)。
メインエクストルーダーにおいては、第1経路へ供給される外層ガム3となる第1ガム組成物を、たとえば2軸エクストルーダーを用いて混合・混練して外用ノズルから出力する。と同時に、第2経路へ供給される中層ガム2となる第2ガム組成物を、たとえば1軸エクストルーダーにより混合・混練して中用ノズルから出力する。
【0020】
メインエクストルーダーに備えられた外用ノズルおよび中用ノズルの具体的な構成については後述する。
メインエクストルーダーからは、第2ガム組成物(中層ガム2)を一対の第1ガム組成物(外層ガム3)で挟んだ帯状三層ガムが出力される。
この帯状三層ガムは、圧延工程(ステップS7)において所定の厚みに延ばされ、幅調整工程(ステップS8)において最終製品の長さに相当する幅になるように、幅が調整される。
【0021】
そして、幅が調整された帯状三層ガムは、その移送方向に一定の寸法の長板状に切断されて、最終製品にする前の半製品にされる(ステップS9)。
当該半製品は、その幅Wが最終製品の長さLになっているので、半製品はその長さ方向に最終製品の幅Wになるように複数個にカットされる(ステップS10)。
カットされて完成した三層ガム1は、個包装がされ(ステップS11)、個包装された三層ガム1はカートンに収容されてカートン包装される(ステップS12)。
【0022】
図3は、長い帯状三層ガム12がメインエクストルーダー10のノズル11から出力され、複数のローラー13により搬送されている様子を示す斜視図である。
図4は、図3に示すノズル11を正面側(出力方向側)から見た図である。ノズル11には、外用ノズル14と中用ノズル15とが含まれている。
図5は、図4に示すノズル11を、外用ノズル14と中用ノズル15とに分解した状態の斜視図である。
【0023】
図4および図5を参照して、外用ノズル14は、出力方向の先端部に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が相対的に広く、厚み方向が相対的に薄い偏平な直方体状の外層用内空間16を区画する外層用口部17を有する。
中用ノズル15は、外用ノズル14内に配置されている。中用ノズル15は、出力方向に向かって内径が狭められた縮径部18と、縮径部18の先端に設けられ、出力方向に向かって所定の長さを有し、出力方向と直交する幅方向が外層用内空間16と同じ寸法で、厚み方向が外層用内空間16のほぼ3分の1の寸法の偏平な直方体状の中層用内空間19を区画する中層用口部20を有する。
【0024】
中層用口部20は、外層用口部17が区画する外層用内空間16内で、当該内空間16を外層用上空間16Uおよび外層用下空間16Dに分けるように、外層用口部17の上下方向中央部に配置されている。
図6は、メインエクストルーダー10のノズル11部分を中心とする図解的な縦断面図である。図6を参照して、メインエクストルーダー10には、外層ガム3となる第1ガム組成物を外用ノズル14へ供給するための第1経路21と、中層ガム2となる第2ガム組成物を中用ノズル15へ供給するための第2経路22とを備えている。
【0025】
第1経路21は、外用ノズル14と直線状に連結されており、その内部にたとえば2軸エクストルーダー23を備える。第2経路22は、中用ノズル15と直交方向に連結されており、その内部にたとえば1軸エクストルーダー24を備える。このエクストルーダー24は、2軸であってもよい。
図7は、外層用口部17と中層用口部20との配置関係を説明するための側面視の部分縦断面である。図8は、外層用口部17と中層用口部20との配置および取付関係を説明するための正面視の部分縦断面である。
【0026】
図5図8を参照して、中層用口部20は、入口側および出口側が開口され、上壁25、下壁26、左側壁および右側壁28が金属板で区画された偏平な直方体状をしている。そして、中層用口部20の左側壁および右側壁28は、それぞれ、外層用口部17の外層用内空間16により区画される右内側面30および左内側面に係合されている。より具体的には、外層用口部17の右内側面30には、中層用口部20の右側壁28を受け入れる凹溝31が形成されており、凹溝31に中層用口部20の右側壁28が係合している。このため、外層用口部17の右内側面30と、中層用口部20の右内側面32とは面一になっている(図8を参照)。
【0027】
外層用口部17および中層用口部20の左側面側も、同様の構成である。
さらに、中層用口部20の先端は、出力方向に見て、外層用口部17の先端に比べて一定寸法xだけ後方に位置している(図7を参照)。この一定寸法xは、この実施形態では、たとえば12mmという寸法である。中層用口部20を僅かに後方にすることにより、共押し出しされる三層ガムの外層および中層を密着させて出力させることができる。
【0028】
外層用口部17および中層用口部20を、上述の構成にすることにより、中層用口部20から出力される中層ガム2が外層用口部17から出力される一対の外層ガム3で挟まれた三層ガムとして、良好に出力できるという効果を有する。
図9は、図2でステップS7として説明した圧延工程を実行するための圧延装置40の構成例を示す図である。
【0029】
圧延装置40は、メインエクストルーダー10のノズル11から出力されてくる帯状三層ガム12を圧延するための複数のロール対、たとえば7組のロール対41〜47を備える。7組のロール対41〜47は、帯状三層ガム12の移送方向に沿って配列されており、帯状三層ガム12を順次ニップして上流側から下流側へと移送する。
7組のロール対41〜47の各回転速度は、移送方向上流側のロール対が、移送方向下流側のロール対に比べて、ロール周面の回転速度が相対的に遅く設定されている。
【0030】
たとえば、7組のロール対41〜47は、等しい直径のロール対が用いられているとした場合、ロール対41の回転速度をV1、ロール対42の回転速度をV2、ロール対43の回転速度をV3、ロール対44の回転速度をV4、ロール対45の回転速度をV5、ロール対46の回転速度をV6、ロール対47の回転速度をV7とすると、
V1<V2<V3<V3<V4<V5<V6<V7
とされている。
【0031】
このように、ロール対41〜47の回転速度を、移送方向に沿って、順次上げていくことにより、帯状三層ガム12が複数のロール対41〜47を移送される間に、移送方向に張力が付与されて、その厚みが段階的に薄くなる。
図10を参照して、帯状三層ガム12の移送方向に見て、圧延装置40の上流側には、メインエクストルーダー10のノズル11から出力されてくる帯状三層ガム12の厚みおよび幅を測定するための厚みセンサー48および幅センサー49が設けられている。当該厚みセンサー48および幅センサー49は、たとえばレーザ光を用いたレーザセンサーで実現することができる。
【0032】
また、帯状三層ガム12の移送方向に見て、圧延装置40の下流側には、圧延された帯状三層ガム12の幅を測定するための幅センサー59が設けられている。この幅センサー59も、レーザセンサーで実現されている。
この実施形態の装置では、上流側に設けられた厚みセンサー48および幅センサー49の出力に基づいて、メインエクストルーダー10から押し出される外層ガム3の吐出量が制御され、それによってノズル11から出力される帯状三層ガム12の厚みおよび幅が所望の値になるように調整される。
【0033】
また、下流側に設けられた幅センサー59の出力が、上記メインエクストルーダー10から押し出される外層ガム3の吐出量の制御に反映されてもよい。
さらに、幅センサー59の出力に基づいて、7組のロール対41〜47の回転速度の比率を制御するようにして、帯状三層ガム12の最終的な幅を調整するように制御することも可能である。
【0034】
図11は、図2でステップS8として説明した幅調整を実現するための装置の構成を図解的に示す図である。
また、図12図13図14は、それぞれ、図11におけるI−I、II−II、III−III部分の構成を示す図解的な図である。
図11図14を参照して、幅調整の装置は、片方側面切断装置50により実現されている。片方側面切断装置50は、圧延された帯状三層ガム12の一方側面を沿わせてガイドする直線状のガイド面51を有する。ガイド面51には、帯状三層ガム12の移送方向に見て、その上流側に配対された一対の搬送ローラー52と、その下流側に配置された別の一対の搬送ローラー53とを含む。圧延された帯状三層ガム12は、一対の搬送ローラー52から一対の搬送ローラー53に向って、直線状に延びた状態で送られる。また、その際、帯状三層ガム12の一方側面はガイド面51にガイドされており、幅方向にみて、一方側面の位置は定められた位置になっている。
【0035】
搬送ローラー52と搬送ローラー53との間には、受けローラー57と、回転軸54を中心に回転する回転刃55とが配置されている。回転刃55は、ガイド面51から間隔W(この間隔Wは、圧延された帯状三層ガム12の幅として要求される幅Wと等しい寸法である)空けて、移送方向に沿って帯状三層ガム12の他方側面側を切断できるように設けられている。
【0036】
より具体的には、ガイド面51に対して垂直方向に回転軸54が延び出ており、その回転軸54に対して直交方向に広がる回転刃55が取り付けられている。よって、搬送される帯状三層ガム12の他方側面側が、帯状三層ガム12に要求される幅Wより出ている場合(要求される幅Wより帯状三層ガム12の幅が広い場合)、回転刃55により他方側面側が切断される仕組みである。
【0037】
システム全体の設計上として、外層用口部17および中層用口部20の幅と、圧延装置40の圧延量と、幅センサー59で検出される帯状三層ガム12の幅とを制御することにより、圧延された帯状三層ガム12の幅を要求される一定幅Wに制御することは、理論的には可能である。しかしながら、実際の製造では、圧延された帯状三層ガム12の幅W´は、要求される所定幅Wよりも広くなったり狭くなったり変化する傾向にある。そこで、片側側面切断装置50が必要に応じて機能し、回転刃55、57により帯状三層ガム12の他方側面が切断され、帯状三層ガム12は、その幅が所定幅Wに調整される。具体的には、意図的に帯状三層ガム12の幅W´を広めに作成し、片側側面切断装置50で帯状三層ガム12の他方側面側を切断して、所定幅Wに調整する。
【0038】
図15は、図2でステップS9として説明した半製品としてカット処理された三層ガム半製品6を示す(ステップS9)。
図15に示すように、三層ガム半製品6は、その短手方向の寸法Wが、1個の最終製品の長さLとなっている。また、三層ガム半製品6の長手方向の寸法Lは、当該半製品12がたとえばn個(nは任意の自然数)の最終製品(三層ガム1)にカットされる長さ(L=W×n)となっている。
【0039】
このように圧延された帯状三層ガム12を、製造の中途段階として半製品にカットすることにより、最終製品の切断、個包装、カートン包装の際の歩留りが向上し、効率の良い三層ガムの製造が可能となる。
上記実施形態の説明では、三層ガムの製造に関してこの製造装置を説明したが、この製造装置における圧延装置40、片方側面切断装置50は、三層ガムの製造に限らず、普通の単層の板状ガムの製造に対しても適用できる。
【0040】
この発明は、以上説明した実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 三層ガム
2 中層ガム
3 外層ガム
6 三層ガム半製品
10 メインエクストルーダー
11 ノズル
12 帯状三層ガム
13 ローラー
14 外用ノズル
15 中用ノズル
16 外層用内空間
16U 外層用上内空間
16D 外層用下内空間
17 外層用口部
18 縮径部
19 中層用内空間
20 中層用口部
21 第1経路
22 第2経路
23 2軸エクストルーダー
24 1軸エクストルーダー
25 上壁
26 下壁
28 右側壁
30 右内側面
31 凹溝
32 内側面
40 圧延装置
41、42、43、44、45、46、47 ロール対
48 厚みセンサー
49 幅センサー
50 装置は、片方側面切断装置50により実現されている。
51 ガイド面
52、53、57 搬送ローラー
54 回転軸
55 回転刃
59 幅センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15