(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-73565(P2016-73565A)
(43)【公開日】2016年5月12日
(54)【発明の名称】多機能扇子
(51)【国際特許分類】
A45B 27/00 20060101AFI20160408BHJP
【FI】
A45B27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-207612(P2014-207612)
(22)【出願日】2014年10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】714009706
【氏名又は名称】株式会社進策
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幸尚
(72)【発明者】
【氏名】高山 典明
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104ZB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】扇子は、若者から高齢者まで、また、男性、女性に万遍なく使用でき、更には世界へ向け発信できる日本古来の扇子文化を復活させ得る事が出来るものである。扇子本来の視覚的美観を損なわずに、使う方に合わせた価値を提供する。
【解決手段】扇子の「和」のイメージに「洋」を付加した扇子とする。また、親骨1一対と中骨2がLEDの光によりファイバー棒を発光させる。扇面6は、インクジェット印刷技術を使い発光可能とする。外観は、プラスチックを中心に、各シリーズにより木材、紙、和紙・天産布を使用する。電源は、電池または、太陽光によるものを使用し、光をファイバー棒の端面または、横から当て、扇子全体を発光させる。扇子自体の価値を上げるため、電源部の他に房飾りを付け、楽しめる、安全、話題性を取れる製品とした。多機能とは、発光、通信、無線、音声機能を扇子に有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇子本体を構成する一対の親骨と4本から20本で構成される中骨はプラスチック素地または、木製で構成され、表面処理を施してある。
扇面は、普通紙、和紙、布、天蚕繊維の組み合わせにより、単品で使用するか、4点の内2点を貼り付け使用する。
一対の親骨、多数本から構成される中骨はプラスチック素地には光拡散材をプラスチック材料に入れてある。
また骨外観は、シボ、ヘアラインを施してある。
親骨は、木製を使用する場合、漆等高級感を出せる処理を施している。
親骨をプラスチックにする場合、ガラスフィラー入りにして強度を上げる方法をとる。
構造上の特徴としては、中骨の中心に位置する骨が扇子の基準となっている。
【請求項2】
親骨、中骨には、蛍光カラーファイバー棒(この後「ファイバー棒」)で発光させる。
直径は、0.5ミリ、0.8ミリ、1.0ミリを使い分ける。
中骨の素材は、木製、竹製とプラスチック製を組み合わせてある。
ファイバー棒は、プラスチックの薄肉インサート成形または、薄肉成形部材に、各色ファイバー棒を埋め込む特徴を有する。
親骨と、中骨、中心骨は、先端、または途中まで直線・曲線で親骨、中骨に溝をきり、ファイバー棒を入れ込む。
または、ファイバー棒が入る中骨は、扇面に差し掛かる手前まで入れ込んである。
中骨の形状は、根本は幅が広く、扇がかかる部位は、薄く、細くなっており強度を上げるため段差部にコーナーRを取っており、先端は、細く、薄くなっている。
ファイバー棒の根本の光が強いと感じられる場合があるため、使用用途によりその部分の骨に黒に近い色で塗装を施す。
【請求項3】
電源部は、使用用途により親骨の中、または扇子の下部に設けられるケース、または扇子の横、または扇子の下部から線状に垂らされた房飾りに入っている。
房飾りを使用する目的は、美的感覚を上げる事と扇子を持った時にケースが小型化でき違和感を与えないためである。
扇子下部に設けられるケースからは、光源からのほのかな光を発している。
光を効率良く伝達するため、目に対する安全性を考慮し、遮光板、遮光布を有し、光が漏れない様に覆われている。
更なる安全性も考え、根本、扇面を構成する材質に紫外線をカットする塗料を施してある。
電源は単1電池から単5電池、各種ボタン電池、または、親骨の外観部、または、房飾りに太陽光フィルムが貼られ、その太陽電池を電源とする。
電源のボルト数は、1.5ボルトから6ボルトを使用用途に合わせ組み込む。
【請求項4】
光源はLEDと紫外線LEDを使用し、1から3連のライトを有し、ファイバー棒の下、もしくは横、もしくはファイバー棒に対し斜め45度から照射する。
紫外線LEDを使用する場合の特性は、半減角150度以下を使用、波長280から405ナノメートルを使用する。
また、ファイバー棒に光が最適に当たる様にファイバー棒を緩やかに束ね、ファイバー棒の弾性が邪魔しない様な構造であり、光が均等に当たる事を特徴としている。
この事により、効率よくファイバー先端に光が通じ、中間でも発光させる事が出来る。
光源の反射角度が少ないLED、紫外線LEDを使用する場合は、光源を納めている箱内にミラーコーティングを施し、反射角度の狭さを補っている。
【請求項5】
扇子の下部に設けられた房飾りからは個人の好む香りを発する。
その房飾り、若しくは、電源部には、近距離無線通信技術ブルートゥース拡張仕様(以後BELと言う)を使用し現在位置確認、または、扇子に装着させたボタンを押す事により通信機能を可能としている。
また、音声案内機能、録音された音声を聞ける機能もその中に入れてある特徴を有する。
【請求項6】
中骨を構成する薄肉インサート成形、または薄肉成形部材と扇面の紙状に固定する方法は、糊で接着する、もしくは、フィルムの熱溶着とする、もしくは、ファイバー棒が入る溝のコーナー部を治具にて潰しファイバー棒が飛び出ない方法をとっている。
貼り方は、中骨基準の骨を境に、右寄せ、左寄せ、中央とする方法と片方の親骨を基準として右寄せ、左寄せ、中央とする2通りがある。
また、中骨の板厚を考慮し、扇面を構成する紙状のセンターは、通常考えると扇子が束ねられている穴位置であるが、その穴位置からずらしてセンターを取り扇面の紙状の形を作らいないときれいに貼れない。
扇子の扇面を各使用用途に合わせ、インクジェット印刷技術を用い、多種多様なデザインを提供できる。
インクジェット蛍光塗料を使い、発光可能な機能を持たせる事も出来る。
【請求項7】
扇子の中骨等に使用される、ファイバー棒は、折り曲、もしくは叩く・プレスすると、その部分の発光が強くなる特性を有しており、その特徴を利用しオリジナル性を出す事も可能としている。
また、扇子に配したLEDの場合光源の色を変える事により、ファイバー棒の色彩が異なって見える発見をした。
【請求項8】
前記扇子本体は、中骨を発光させる事ができ、発光色の選択も出来る。また、扇子の位置確認、無線、音声に関する機能を有する事を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の扇子。
プラスチック製の場合、閉じた時ハリセンの様な形状にもでき、扇子を閉じた状態で叩くと音を発することも可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光機能・無線機能・場所確定機能・音声案内機能・音声発生機能を有する多機能扇子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扇子は、棒の状態から扇面状に開き涼をとる道具であるが、最近種々の目的で使用される様になって来ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−87020号公報
【特許文献2】特開平11−56434号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】実用新案登録第3102065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1で提案された扇子は、音による効果の事を強調しており、扇子の持つ視覚的な美観について考慮されておらず、夜間等に使用する場合、扇子の有する特性である美装性が生かされていないものである。
【0006】
前記特許文献2で提案されている扇子は、蛍光塗料を用いているため、暗やみに美しく視覚的にうったえる効果はあるが、発光性と言う面では、必ずしも満足し得るものではない。
他の文献でも、蛍光材の他蓄光材、UV素材も提案されているが上記の様に発光と言う面では満足し得るものではない。
【0007】
これに対して、実案文献1で提案された扇子は、親骨に発光ダイオードを光源とした発光機能を持たせ、扇子全面に透明性を持たせ発光色を変化させる、連続的発光、断続的発光、消光及び発光色の切り替え、または発音の調整を有し、雰囲気を盛り上げる効果はあるが、扇子全面に幻想的な表現が出来ると言う面では、必ずしも満足し得るものではない。
他の文献でもプラスチック素材で成形し製作する扇子はあるが、安価と言う観点での効果はあるが美的感、発光に対する美しさと言う面では満足し得るものではない。
また他の文献で、団扇において光ファイバーを使用しているが、発光の色を比べると、紫外LEDと蛍光カラーファイバー棒の組み合わせの方が、よりきれいで、幻想的な色を発する事が出来る。
ファイバー棒を仕込んだ扇子を製作する場合、扇子本来の持っている折畳みと言う点が課題となり、本発明はプラスチックの技術を熟知し、特にいかに先端を薄肉にしつつ、幻想的な光の演出ができるという点で困難を克服した技術と言える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の扇子の親骨・中骨・扇面は、各用途により材質を変える。
“個”の価値を得るためには、プラスチック素材の骨材にも特殊な添加材、外観の特殊加工を施してある事を特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、扇面に構成される中骨部をファイバー棒または、有機ELにて発光出来る仕組みを特徴とするものである。
その上、各部位の加工方法、形状に付いて記した。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、電源部の位置に付いて4ヶ所に限定しており、これは、多機能扇子を実現するものである。
電源は、通常の電池ないしは、ボタン電池ないしは太陽電池としている。
扇子の開く角度を確保しつつ、光源の光を逃がさない様な構造としている所に特徴を持っている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、光源の数を指定しており、その光源を効率よくファイバーに伝達させることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、日本古来の扇子に房飾りを付ける事により高級感を生み出し、その他、多機能扇子の持ち合わせている特徴を述べている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、扇子の扇面を構成する製作方法と扇面に対する印刷に関しオーダーメイド・カスタマイズでき、オリジナル性を出せる特徴を述べている。
【0014】
また、請求項7に記述の発明は、扇子の主に中骨の中に位置するファイバー棒の特性、所謂任意の場所を潰す事により局部的に強い光を発する性能を利用して特徴としたものである
また、LEDを使用する場合、光源を白昼色にすると、赤のファイバー棒が鮮明さを増す。
白色LEDは、各色ファイバー棒への当て方により色が多少変化すると共にムラが発生する。このことより、LEDの光源の色を変える事で好みの色を鮮明に出す事ができる特徴を有する。
【0015】
また、請求項8に記述の発明は、中骨自体を発光させる事を明示した他、多機能扇子を実現する技術の所以を明確にして問題を解決した。
【発明の効果】
【0016】
この発明の扇子は、扇子自体が持つ清涼感を味わえ、且つ、親骨・中骨まで発光でき、イ)ファッション性を追求した優れたデザインを持ち合わせたタイプ、ロ)扇子の居所が分かる高級感を追求した優れた通信技術を持ち合わせたタイプ、ハ)扇子を扇ぐ、またはボタンを押す事で呼び出し機能を持ち合わせ且つ、製品自体に話題性を呼ぶデザインを持ち合わせたタイプ、ニ)扇子本体に音声案内・録音再生機能を持たせ、その名所旧跡等の特徴を扇子からどの人にも理解できる言葉で知らせる機能を持ちあわせた4タイプで構成されている。各タイプとも、特にその美麗さは従来のものと比較できないもので、機能も充実している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は扇子全体を示した説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0018】
電源部から光源への経路を示し、光源から扇面へ光を伝達する仕組みの1例を示している。
特に、光源を効率的に伝達する方法、光源が直接目に入らない様にした仕組みの1例を示している。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明品の1実施例の全体図であって、1、2、4、6、8、9を示している。
【実施例2】
【0020】
図2は、本発明品を実現させる1実施例の詳細図であって、3、5、7、8を示している。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明の扇子は、従来の涼を取るという機能、すなわち送風機能に加えて、発光機能を主力として更に高齢者が徘徊し居場所が分からなくなった場合は居場所検知する機能、お店の宣伝用に、呼び出しコール機能を扇子に付加したもの、外国人観光客を想定した通訳機能を有する観光地案内用等、日本の文化「扇子」を世界に広げるものであり、扇子本来の視覚的美観を損なわずに、しかも、華やかなに、またその場の雰囲気を盛り上げるもので、扇子を含む、手工芸品、装飾品、服飾小物等の製造業に寄与するばかりでなく、女性の感性に訴え、高齢者の安全を支援し、お店の売上向上に貢献し、観光地への誘致にも利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 親骨
2 中骨
3 発光ダイオード
4 ケース
5 遮光板
6 扇面
7 ファイバー棒
8 電池ケース(房飾り)
9 中骨(基準)