(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-7375(P2016-7375A)
(43)【公開日】2016年1月18日
(54)【発明の名称】フットペダル
(51)【国際特許分類】
A63B 23/04 20060101AFI20151215BHJP
【FI】
A63B23/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-129889(P2014-129889)
(22)【出願日】2014年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100079072
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】名児耶 美樹
(57)【要約】
【課題】 本発明は、簡単な構成でありながらも安全且つ効率的にエコノミークラス症候群の発症を予防することができるようにすることにある。
【解決手段】 固定椅子8の前面に対向位置する壁面から固定椅子8方向に平行に突出する一対の保持ブレード2間に軸ピン3を横架設し、中央上面に突条5を横設したペダル板4の一対を、軸ピン3に搖動自在に並列軸支した構成であり、一対の保持ブレード2を壁面に固定し、又は一対の保持ブレード2の基端部を、壁面に上下回動自在に軸支し、又は一対の保持ブレード2を壁面内に前後方向にスライド自在に組み込む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定椅子(8)の前面に対向位置する壁面から前記固定椅子(8)方向に平行に突出する一対の保持ブレード(2)間に軸ピン(3)を横架設し、中央上面に突条(5)を横設したペダル板(4)の一対を、前記軸ピン(3)に搖動自在に並列軸支したことを特徴とするフットペダル。
【請求項2】
保持ブレード(2)を壁面に固定したことを特徴とする請求項1に記載のフットペダル。
【請求項3】
保持ブレード(2)の基端部を、壁面に上下回動自在に軸支したことを特徴とする請求項1に記載のフットペダル。
【請求項4】
保持ブレード(2)を壁面内に前後方向にスライド自在に組み込んだことを特徴とする請求項1に記載のフットペダル。
【請求項5】
壁面を前方に位置する固定椅子(7)背面の下部に設定したことを特徴とする請求項1、又は2、又は3、又は4に記載のフットペダル。
【請求項6】
椅子(8)の前下部に、前方に平行に突出する一対の保持ブレード(2)間に軸ピン(3)を横架設し、中央上面に突条(5)を横設したペダル板(4)の一対を、前記軸ピン(3)に搖動自在に並列軸支したことを特徴とするフットペダル。
【請求項7】
保持ブレード(2)の基端部を、椅子(8)の前下部に上下回動自在に軸支したことを特徴とする請求項6に記載のフットペダル。
【請求項8】
保持ブレード(2)を椅子(8)の前下部内に前後方向にスライド自在に組み込んだことを特徴とする請求項6に記載のフットペダル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車、車両、航空機等の狭い空間内で長時間にわたって着席していなければならないような場合、或いは長時間のデスクワークのような場合の足乗せとしてのフットペダルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車、車両、航空機内、或いはデスクワーク等で長時間着席していると足の静脈に小血栓が生じ、そのままの状態で体を動かすとこの小血栓が体内を流れて肺の動脈に達し、血管を塞いで肺塞栓症となって呼吸困難や心肺停止を引き起こす状態になることがある。特にシートベルトを装着しての椅子に対するほぼ固定状態ではこの症状が顕著である。所謂エコノミークラス症候群である。
【0003】
この症状の発生を予防する手段として、着席したまま或る程度下肢を動かすことのできるストレッチ器具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−210038号公報
【特許文献2】特開2002−233592号公報
【特許文献3】特開2002−336375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の発明は、前方の椅子の背面に吊るした一対の吊り輪状の運動具であり、着席したままこの吊り輪に足を掛けて適度の動作によりエコノミークラス症候群の予防を行おうとするものであり、相応の効果が得られると思われる。しかしながらこの構成では、常時この一対の吊り輪状の足掛けが下げられた状態であるので、外観体裁が甚だ悪く、航空機等の僅かの揺れでも大きく振れたりして、極めて不都合なものである。
【0006】
また、特許文献2の発明は床に置いた器具を左右交互に踏んで足踏み運動をする構成、特許文献3の発明は床に置いた器具を前後に揺らして運動をする構成であり、同じく相応の効果は得られると思われるが、これらの器具は固定されない単体であるので、航空機等の僅かの揺れでも大きく床面を移動してしまったりして、極めて危険である。
【0007】
よって本発明は、上述した従来技術の欠点、不都合、不満を解消するべく発明されたものであって、簡単な構成でありながらも安全且つ効率的にエコノミークラス症候群の発症を予防することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のフットペダルは、固定椅子の前面に対向位置する壁面から前記した固定椅子方向に平行に突出する一対の保持ブレード間に軸ピンを横架設し、中央上面に突条を横設したペダル板の一対を、前記した軸ピンに搖動自在に並列軸支したことを特徴とする構成である。
【0009】
また、一対の保持ブレードを壁面に固定し、又は一対の保持ブレードの基端部を、壁面に上下回動自在に軸支し、又は一対の保持ブレードを壁面内に前後方向にスライド自在に組み込む。
【0010】
そして、壁面を前面に対向位置する固定椅子背面の下部に設定する。
【0011】
椅子の前下部に、前方に平行に突出する一対の保持ブレード間に軸ピンを横架設し、中央上面に突条を横設したペダル板の一対を、前記した軸ピンに搖動自在に並列軸支したことを特徴とする構成としてもよい。この場合、保持ブレードを単に突出固定するのではなく、その基端部を、椅子の前下部に上下回動自在に軸支し、或いは椅子の前下部内に前後方向にスライド自在に組み込む。
【発明の効果】
【0012】
従って固定椅子に座った状態で、固定椅子の前面に対向位置する壁面或いは前方の椅子に背面下部から平行に突出する一対の保持ブレード間に軸ピンを介して軸支された一対のペダル板に両足を乗せ、ペダル板の中央上面に横設された突条を土踏まず部分に位置させ、ペダル板を前後方向に踏み搖動させると、アキレス腱部分からふくらはぎ部分の筋肉が伸縮し、土踏まず部分が突条により刺激されて、適度のマッサージ効果が得られ、血行を良くすることができるのである。
【0013】
保持ブレードを壁面に固定して突出させたままであると着席時に邪魔になることも想定されるので、一対の保持ブレードの基端部を壁面に上下回動自在に軸支して不使用時には上方に回動させて跳ね上げておくこともできるし、保持ブレードを壁面内に前後方向にスライド自在に組み込んで、不使用時に前方の壁面に収納しておくこともできる。
【0014】
更には、椅子の前下部に、前方に一対の保持ブレードを平行に突出させて一対のペダル板を配置する構成とすれば、着席する椅子と一体にすることもできる等、本発明は簡易な構成で簡単な操作でありながらも、安全且つ効率的にエコノミークラス症候群の発症を予防することができるという多くの優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明のフットペダルの動作状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明のフットペダルを前方の固定椅子に固定した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明のフットペダルを前方の固定椅子に回転収納した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明のフットペダルを前方の固定椅子にスライド収納した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明のフットペダルを着席する椅子に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のフットペダル1は、平行な一対の保持ブレード2間に軸ピン3を横架設し、中央上面に突条5を横設したペダル板4の一対を、軸ピン3に搖動自在に並列軸支した構成である。軸ピン3よりもやや離れた位置の保持ブレード2にはストッパーピン6が設けられていて、ペダル板4の側面に係止できるようにしてあり(図示省略)、不使用時に足を乗せてもペダル板4が搖動しないようにしてある。使用する際は、
図2のようにストッパーピン6を側方に引き出すことになる。
【実施例】
【0017】
図3は、列車や航空機のように椅子が前後に配列されている場合、前方の固定椅子7の背面下部に一対の保持ブレード2を突出固定した状態を示すものであり、前方に椅子のない場合、単なるデスクの場合は、対向する壁面に固定することになる。
【0018】
図4は、同じく前方の固定椅子7の背面下部に取り付けたものであるが、保持ブレード2の基端部は壁面に上下回動自在に軸支させてあり、不使用時に上方に回動させることができるようにする形態を示し、
図5は、保持ブレード2を壁面内に前後方向にスライド自在に組み込んで、不使用時に収納しておくこともできるようにする形態を示す。
【0019】
更に
図6は、着席する椅子8と保持ブレード2とを一体にした形態で、椅子8の前下部に、前方に一対の保持ブレード2を平行に突出させて一対のペダル板4を配置する構成としたものである。この構成にあっても、保持ブレード2を単に突出固定するのではなく、前述の
図4、
図5で示した構成のように、その基端部を、椅子8の前下部に上下回動自在に軸支し、或いは椅子8の前下部内に前後方向にスライド自在に組み込む形態としてもよい(図示省略)。
【0020】
表1は、本発明のフットペダル1の使用前後の足の表面温度変化をサーモグラフィで測定した数値である。即ち、使用前の撮影後、フットペダル1を使用して5〜10分程度、ストレッチ、足裏マッサージ、足指開き等を行い、使用後2〜3分後に再度撮影したものであり、ふくらはぎから太腿にかけて体温が上昇し、血行が良くなっていることが理解されよう。尚、サーモグラフィ写真は、色彩写真として物件提出書に添付した。
【0021】
【表1】
【符号の説明】
【0022】
1 フットペダル
2 保持ブレード
3 軸ピン
4 ペダル板
5 突条
6 ストッパーピン