特開2016-74303(P2016-74303A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-74303(P2016-74303A)
(43)【公開日】2016年5月12日
(54)【発明の名称】船舶用舵
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/38 20060101AFI20160408BHJP
【FI】
   B63H25/38 C
   B63H25/38 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-206036(P2014-206036)
(22)【出願日】2014年10月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000107365
【氏名又は名称】ジャパン・ハムワージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有井 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】細萱 和敬
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和志
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハブ渦の消去に貢献して推進効率が向上するクラブフィンを備えた船舶用舵を提供する。
【解決手段】推進プロペラ101の後方の同軸心上に配設する舵ブレード102と、舵ブレード102の頂端部と底端部にそれぞれ左右両舷側に張り出して設けた頂端板103および底端板104と、舵ブレード102の前縁部102hに前方へ張り出して設けられた円盤状のクラブフィン107を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進プロペラの後方の同軸心上に配設する舵ブレードと、舵ブレードの頂端部と底端部にそれぞれ左右両舷側に張り出して設けた頂端板および底端板と、舵ブレードの前縁部に前方へ張り出して設けられた円盤状のクラブフィンを備えることを特徴とする船舶用舵。
【請求項2】
舵ブレードは、クラブフィンの後端側に舵ブレードの舵面から水平方向に向けて左右両舷側に張り出す一対の水平フィンを有することを特徴とする請求項1に記載の船舶用舵。
【請求項3】
舵ブレードは、水平断面において翼断面形状を有するとともに、最大幅部より前側の前縁領域が推進プロペラ軸心を含む水平面を境として上部前縁領域と下部前縁領域とに別れ、上部前縁領域における前記翼断面形状と下部前縁領域における前記翼断面形状とが鉛直面に対して面対称をなし、上部前縁領域および下部前縁領域は推進プロペラ軸心廻りの一方から他方へ回転する推進プロペラの回転方向において回転方向一方側が抗力面をなし、回転方向他方側が揚力面をなすことを特徴とする請求項1または2に記載の船舶用舵。
【請求項4】
頂端板および底端板は、舵ブレードの前縁部に前方へ張り出す円盤状のクラブフィンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の船舶用舵。
【請求項5】
水平フィンは、前縁が推進プロペラの軸心と直交する方向に延びた形状をなすことを特徴とする二枚舵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶用舵に関し、バルブを備えた舵の推進効率の向上に資する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の船舶用舵としては、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、推進プロペラの後方に同軸心上に配設した舵ブレードの頂端部と底端部にそれぞれ左右両舷側に張り出した頂端板と底端板を有するものであり、舵ブレードが水平断面の輪郭において前方へ半円形状に突出させた前縁部と前縁部に連続して流線型に幅を増大させた後に最小幅部に向けて徐々に幅を減少させた中間部と中間部に連続して所定幅の後方端に向けて徐々に幅を増大させた魚尾後縁部からなる形状を有している。
【0003】
そして、舵ブレードの前縁部には推進プロペラ軸心上で推進プロペラのボスキャップと端面間に所定間隙を介して対向する円筒状突起物を設けており、ボスキャップおよび円筒状突起物をその周面において連続した円筒形状に形成し、円筒状突起物の端面が舵軸軸心を中心とする円軌跡の一部をなす凸状の円弧面をなし、ボスキャップの端面が舵軸軸心を中心とする円軌跡の一部をなす凹状の円弧面、またはボスキャップの端面が直裁面をなすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3449981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の構成は、推進プロペラ後流の流束中心線の部分に生じるハブ渦が推進プロペラに負の推力を与えることを課題とするものではある。しかし、ラダーバルブ(円筒状突起物)は舵ブレードの舵厚さに等しいか、プロペラボスよりも僅かに大きい径を備えることを開示しているが、ラダーバルブが推進効率に与える影響の検討は必ずしも十分ではない。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、ハブ渦の消去に貢献して推進効率が向上するクラブフィンを備えた船舶用舵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の船舶用舵は、推進プロペラの後方の同軸心上に配設する舵ブレードと、舵ブレードの頂端部と底端部にそれぞれ左右両舷側に張り出して設けた頂端板および底端板と、舵ブレードの前縁部に前方へ張り出して設けられた円盤状のクラブフィンを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の船舶用舵において、舵ブレードは、クラブフィンの後端側に舵ブレードの舵面から水平方向に向けて左右両舷側に張り出す一対の水平フィンを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の船舶用舵において、舵ブレードは、水平断面において翼断面形状を有するとともに、最大幅部より前側の前縁領域が推進プロペラ軸心を含む水平面を境として上部前縁領域と下部前縁領域とに別れ、上部前縁領域における前記翼断面形状と下部前縁領域における前記翼断面形状とが鉛直面に対して面対称をなし、上部前縁領域および下部前縁領域は推進プロペラ軸心廻りの一方から他方へ回転する推進プロペラの回転方向において回転方向一方側が抗力面をなし、回転方向他方側が揚力面をなすことを特徴とする。
【0010】
本発明の船舶用舵において、頂端板および底端板は、舵ブレードの前縁部に前方へ張り出す円盤状のクラブフィンからなることを特徴とする。
本発明の船舶用舵において、水平フィンは、前縁が推進プロペラの軸心と直交する方向に延びた形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記した構成により、クラブフィンによってプロペラ後流の流束中にハブ渦が発生することを十分に抑制することが可能となり、推進効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における船舶用舵を示す側面図
図2】同実施の形態における船舶用舵を示す正面図
図3図2におけるA−A矢視図
図4】(a)、(b)、(c)は同船舶用舵の各種の実験モデルを示す斜視図
図5】実験結果を示すグラフ図
図6】本発明の他の実施の形態における船舶用舵を示し、(a)は正面図、(b)は側面図
図7】(a)〜(f)は各種の実験モデルを示す模式図
図8】(a)〜(f)は各種の実験モデルを示す斜視図
図9】実験結果を示すグラフ図
図10】本発明の他の実施の形態における船舶用舵を示す要部断面図
図11】同実施の形態における船舶用舵を示し、(a)は上面図、(b)は要部断面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は背面図
図12】(a)〜(c)は各種の実験モデルを示す模式図
図13】実験結果を示すグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1図3において、推進プロペラ101は推進プロペラ軸心廻りの一方から他方へ回転し、ここでは後方から見て時計方向に回転(右回転)する。推進プロペラ101が後方から見て時計方向に回転(右回転)する場合には、推進プロペラ後流の流束は右に回転しながら後方に流れる。
【0014】
船舶用高揚力舵100は、推進プロペラ101の後方で推進プロペラ軸心上に1枚の舵ブレード102を配設しており、舵ブレード102の頂端部と底端部にそれぞれ頂端板103と底端板104を有している。頂端板103と底端板104はそれぞれ左右両舷側に張り出した平板状をなし、底端板104は両側縁部が下方に若干屈曲する形状をなし、舵ブレード102に舵軸105を接続し、舵軸105を舵取り機106に接続している。
【0015】
舵ブレード102は水平断面において翼断面形状を有しており、最大幅部102aより前側の前縁領域が推進プロペラ軸心を含む水平面を境として上部前縁領域102bと下部前縁領域102cとに別れている。
【0016】
上部前縁領域102bにおける翼断面形状と下部前縁領域102cにおける翼断面形状とは鉛直面に対して面対称をなしている。上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cは推進プロペラ101の回転方向において回転方向一方側が抗力面をなし、回転方向他方側が揚力面をなす。
【0017】
つまり、推進プロペラ101が後方から見て時計方向に回転(右回転)する場合に、図2においては、推進プロペラ101の回転が反時計方向に示されており、船舶用高揚力舵100の上部前縁領域102bは左舷側が抗力面をなして右舷側が揚力面をなし、下部前縁領域102cは左舷側が揚力面をなして右舷側が抗力面をなす。
【0018】
舵ブレード102は、上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cに続いて中間部102dを有し、中間部102dは舵幅の最大幅部から最小幅部102eに向けて徐々に幅を減少させた水平断面の輪郭を有し、中間部102dに続いて魚尾後縁部102fを有し、魚尾後縁部102fは所定幅の後方端102gに向けて徐々に幅を増大させた水平断面の輪郭をなす。
【0019】
舵ブレード102の前縁部102hには、上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cを仕切る位置にクラブフィン107を設けている。クラブフィン107は、舵ブレード102の前縁部102hより前方に向けて、かつ舵面から左右両舷側に向けて水平方向に張り出した円盤状をなし、上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cの前縁領域から中間部102dにわたって延びており、推進プロペラ101のプロペラボスと対向している。
【0020】
クラブフィン107は、例えば次の諸元を有している。前縁部102hからの出代が舵ブレード102の最大舵厚さの1/2の約1.20−1.30倍で、好ましくは約1.25倍であり、クラブフィン107の最大幅がプロペラボス径の約1.20−1.30倍で、好ましくは約1.25倍である。プロペラボス径は推進プロペラ径の約0.18倍(FPP標準)である。
【0021】
上記した構成により、推進プロペラ101が推進プロペラ軸心廻りの一方から他方へ回転する場合、例えば推進プロペラが後方から見て時計方向に回転(右回転)する場合に、上部前縁領域102bと下部前縁領域102cの揚力面において前進方向成分を有する揚力が発生し、この前進方向成分とこれに対抗する抗力の成分との差分だけ推進力に寄与し、乱流状態にある推進プロペラ後流を整流するように作用して推進効率を向上させる。
【0022】
次に、推進プロペラ101の後流は、流束の中心線部に水空間が存在するとハブ渦を生じ、これが推進プロペラ101に負の推力を与える。しかし、本実施の形態によれば推進プロペラ101の後流の流束中心線部分には、クラブフィン107および舵ブレード102が存在し、ハブ渦を生じるべき部位における水空間の存在を低減し、ハブ渦の発生を抑制することで推進効率が向上する。
【0023】
本発明に基づく実験結果を以下に説明する。図4(a)に示すように、実験モデルのベースとなる形状を有する13番の実験モデルの船舶用舵は、上述した実施の形態においてクラブフィン107が存在しないものであり、図4(b)に示すように、48番の実験モデルの船舶用舵は、上述した実施の形態で説明したものであり、図4(c)に示すように、49番の実験モデルの船舶用舵は、48番の実験モデルの船舶用舵に一対の水平フィン108を付加したものである。
【0024】
この水平フィン108は、クラブフィン107の後端側に設けており、舵ブレード102の舵面から水平方向に向けて左右両舷側に張り出している。さらに、水平フィン108は、舵ブレード102の前後方向の軸心から左右舷側方向におけるフィン先端縁までの距離が推進プロペラ径の0.25倍であり、フィン前縁がフィン先端縁に向けて約15°の後退角度で後退し、フィン後縁がフィン先端縁に向けて前傾している。
【0025】
この各実験モデルにおける実験結果を図5に示す。図5において、効率%(推進効率)は、13番の実験モデルの船舶用舵を基準とし、その比較において増減分を示している。図5から明らかなように、クラブフィン107を設けることによって効率が約1.8%増加しており、クラブフィン107が推進効率の向上に寄与することが明確である。さらに、水平フィンを108を設けることによって、効率が約0.2%増加しており、クラブフィン107に水平フィン108を組み合わせることで推進効率が向上する。
実施の形態2
図6は本発明の他の実施の形態を示すものであり、先の実施の形態1において説明したものと同様の構成部材には、同符号を付して説明する。この船舶用舵200は、その舵ブレード102が実施の形態1で説明したものと同様の形状をなしており、実施の形態1における頂端板103、底端板104に変えて舵ブレード102の頂端部および底端部に頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204を設けている。舵ブレード102の前縁部102hには実施の形態1と同様にクラブフィン107を設けている。
【0026】
頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204は、クラブフィン107と同様に舵ブレード102の前縁部102hよりも前方に向けて、かつ左右両舷側に向けて水平方向に張り出した円盤状をなし、上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cの前縁領域から中間部102dにわたって延びており、クラブフィン107は推進プロペラ101のプロペラボスと対向している。
【0027】
本発明に基づく実験結果を以下に説明する。図8(a)に示す16番の実験モデルの船舶用舵、図8(b)に示す18番の実験モデルの船舶用舵、図8(c)に示す19番の実験モデルの船舶用舵は、舵ブレード302が水平断面において翼断面形状を有し、かつ舵軸の軸心方向において一様な形状をなす。そして、頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204を有し、クラブフィン107が存在しないものである。
【0028】
頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204は、図7(a)に示すように、16番の実験モデルの船舶用舵が最も大きく、図7(c)に示すように、19番の実験モデルの船舶用舵が最も小さく、図7(b)に示すように、18番の実験モデルの船舶用舵が中間の大きさを有する。
【0029】
図8(d)に示す22番の実験モデルの船舶用舵、図8(e)に示す23番の実験モデルの船舶用舵、図8(c)に示す24番の実験モデルの船舶用舵は、上述した実施の形態2において説明したものである。
【0030】
頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204は、図7(a)に示すように、22番の実験モデルの船舶用舵が最も大きく、図7(c)に示すように、24番の実験モデルの船舶用舵が最も小さく、図7(b)に示すように、23番の実験モデルの船舶用舵が中間の大きさを有する。
【0031】
クラブフィン107は、図7(d)に示すように、22番の実験モデルの船舶用舵が最も大きく、図7(f)に示すように、24番の実験モデルの船舶用舵が最も小さく、図7(e)に示すように、23番の実験モデルの船舶用舵が中間の大きさを有する。
【0032】
この各実験モデルにおける実験結果を図9に示す。図9において、効率%(推進効率)は、24番の実験モデルの船舶用舵を基準とし、その比較において増減分を示している。図9から明らかなように、本実施の形態2に係る船舶用舵200である22番、23番、24番の船舶用舵200においては、頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204、クラブフィン107が大きくなるのに伴って効率が向上する。
【0033】
一方、舵ブレード302が水平断面において翼断面形状を有し、かつ舵軸の軸心方向において一様な形状をなす16番、18番、19番の船舶用舵200においては、頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204が大きくなるのに伴って効率が低下する。
【0034】
このことから、クラブフィン107が推進効率の向上に寄与することが明確である。さらに、いわゆる反動舵の舵ブレード102に頂部クラブフィン203、底部クラブフィン204、クラブフィン107を組み合わせることで推進効率が向上することが明らかである。
実施の形態3
図10および図11は本発明の他の実施の形態を示すものであり、先の実施の形態1において説明したものと同様の構成部材には、同符号を付して説明する。この船舶用舵300は、その舵ブレード302が水平断面において翼断面形状を有し、かつ舵軸の軸心方向において一様な形状をなしており、舵ブレード302の頂端部および底端部に頂端板303、底端板304を設けている。
【0035】
頂端板303、底端板304は、それぞれ左右両舷側に張り出した平板状をなし、底端板304は両側縁部が下方に若干屈曲する形状をなしており、舵ブレード302の舵軸位置より前方に存在せず、舵ブレード302の舵軸位置より後方に存在する。
【0036】
舵ブレード302の前縁部102hには実施の形態1と同様にクラブフィン107を設けている。クラブフィン107は、舵ブレード302の前縁部102hより前方に向けて、かつ舵面から左右両舷側に向けて水平方向に張り出した円盤状をなし、上部前縁領域102bおよび下部前縁領域102cの前縁領域から中間部102dにわたって延びており、推進プロペラ101のプロペラボスと対向している。
【0037】
水平フィン308は、クラブフィン107の後端側に設けており、舵ブレード302の舵面から水平方向に向けて左右両舷側に張り出している。さらに、水平フィン308は、フィン前縁308aが推進プロペラ101の軸心と直交する方向に延びた形状をなす。
【0038】
本発明に基づく実験結果を以下に説明する。図12(a)に示す00番の実験モデルの船舶用舵は上記の実施の形態3におけるクラブフィン107が存在しないものであり、図12(b)に示す38番の実験モデルの船舶用舵は、上記の実施の形態3における水平フィン108が、そのフィン前縁をフィン先端縁に向けて約15°の後退角度で後退するものである。図12(c)に示す39番の実験モデルの船舶用舵は、上記の実施の形態3に係るものである。
【0039】
この各実験モデルにおける実験結果を図13に示す。図13において、効率%(推進効率)は、00番の実験モデルの船舶用舵を基準とし、その比較において増減分を示している。図13から明らかなように、本発明に係る船舶用舵である38番、39番の船舶用舵においては、効率がそれぞれ約0.9%と約1.19%向上する。
【0040】
したがって、本発明においては、舵ブレード302が水平断面において翼断面形状を有し、かつ舵軸の軸心方向において一様な形状をなす場合にあっても、クラブフィン107および水平フィン108を有することで効率が向上することが明らかである。さらに、本実施の形態3に係る船舶用舵300(39番の実験モデルに示す)のように、フィン前縁308aが推進プロペラ101の軸心と直交する方向に延びた形状をなす水平フィン308を備えることで、38番の実験モデルのようにフィン前縁が後退するものに比べて、効率が0.29%向上する。
【符号の説明】
【0041】
100 船舶用高揚力舵
101 推進プロペラ
102 舵ブレード
102a 最大幅部
102b 上部前縁領域
102c 下部前縁領域
102d 中間部
102e 最小幅部
102f 魚尾後縁部
102g 後方端
102h 前縁部
103 頂端板
104 底端板
105 舵軸
106 舵取り機
107 クラブフィン
108 水平フィン
200 船舶用舵
203 頂部クラブフィン
204 底部クラブフィン
300 船舶用舵
302 舵ブレード
303 頂端板
304 底端板
308 水平フィン
308a フィン前縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13