【解決手段】制御装置(NC装置30)は、レーザ加工機100を次のように制御して板材Wに穴Wopを形成するする。制御装置は、角に位置する区画における外周線上の第1の位置を切断開始点と設定する。制御装置は、外周線上の第2の位置を、外周線の切断を分割する分割点と設定する。制御装置は、外周線における切断開始点から分割点までを初期切断線として切断するよう制御する。制御装置は、外周線における分割点から切断開始点までを最終切断線としたとき、穴形成領域を、最終切断線を含む区画以外の区画が1つずつの区画として落下するように切断し、最終切断線を含む区画が最後に落下するように切断するよう制御する。
前記制御装置は、前記第1の方向の分割線が1以上設定されているとき、前記穴形成領域における前記初期切断線を切断した後に、前記第2の方向の分割線を切断する前に、前記第1の方向の分割線を切断するよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工機。
前記制御装置は、前記第2の方向の分割線が複数設定されているとき、前記切断開始点とは最も離れた側の前記第2の方向の分割線より前記切断開始点に近い側の前記第2の方向の分割線へと順に切断するよう制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工機。
板材における所定の外周線で囲まれた穴形成領域における第1の方向に0または1以上の第1の方向の分割線が設定され、前記穴形成領域における前記第1の方向と直交する第2の方向に1または複数の第2の方向の分割線が設定されることによって、前記穴形成領域を複数の区画に分割するよう設定されているとき、角に位置する区画における前記外周線上の第1の位置に、前記外周線の切断を開始する切断開始点が設定され、
前記外周線と、前記切断開始点に最も近い前記第2の方向の分割線との2つの交点のうち、前記切断開始点に近い側の交点を第1の交点、前記切断開始点と離れた側の交点を第2の交点とし、前記外周線を、前記外周線と前記分割線との交点をより多く通過する方向に、前記切断開始点から前記第2の交点に向かって切断したときに、前記第2の交点または前記第2の交点を過ぎた最初の区画における前記外周線上の第2の位置に、前記外周線の切断を分割する分割点が設定され、
前記外周線における前記切断開始点から前記分割点までを初期切断線として切断し、
前記外周線における前記分割点から前記切断開始点までを最終切断線としたとき、前記穴形成領域を、前記最終切断線を含む区画以外の区画が1つずつの区画として落下するように切断し、
前記切断開始点に最も近い前記第2の方向の分割線と、前記最終切断線とを切断することによって、前記最終切断線を含む区画が最後に落下するように切断する
ことを特徴とするレーザ加工方法。
前記第1の方向の分割線が1以上設定されているとき、前記穴形成領域における前記初期切断線を切断した後に、前記第2の方向の分割線を切断する前に、前記第1の方向の分割線を切断することを特徴とする請求項5または6に記載のレーザ加工方法。
前記第2の方向の分割線が複数設定されているとき、前記切断開始点とは最も離れた側の前記第2の方向の分割線より前記切断開始点に近い側の前記第2の方向の分割線へと順に切断することを特徴とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
板材に対して所定の大きさ及び形状の穴を開ける穴形成領域が設定された図形データに基づき、前記穴形成領域を、0または1以上の第1の方向の分割線と1または複数の前記第1の方向と直交する第2の方向の分割線とによって、いくつの区画に分割するかを設定する分割数設定部と、
前記穴形成領域の外周線を切断する切断方向を設定する外周切断方向設定部と、
前記穴形成領域を複数の区画に分割したときの角に位置する区画における前記外周線上の第1の位置を、前記外周線の切断を開始する位置であるアプローチ位置と決定する外周切断アプローチ位置決定部と、
前記外周線と、前記アプローチ位置に最も近い前記第2の方向の分割線との2つの交点のうち、前記アプローチ位置に近い側の交点を第1の交点、前記アプローチ位置と離れた側の交点を第2の交点とし、前記外周線を、前記アプローチ位置から前記第2の交点に向かって前記切断方向に切断したときに、前記第2の交点または前記第2の交点を過ぎた最初の区画における前記外周線上の第2の位置を、前記外周線の切断を分割する位置である分割点と決定する分割点決定部と、
前記穴形成領域を加工する加工順を、
(1)前記外周線における前記アプローチ位置から前記分割点までを初期切断線として、前記外周切断方向設定部で設定された切断方向に切断;
(2)前記外周線における前記分割点から前記アプローチ位置までを最終切断線としたとき、記穴形成領域を、前記最終切断線を含む区画以外の区画が1つずつの区画として落下するように切断;
(3)前記穴形成領域を、前記切断開始点に最も近い前記第2の方向の分割線と、前記最終切断線とを切断することによって、前記最終切断線を含む区画が最後に落下するように切断;
よりなる(1)から(3)の順と決定する加工順決定部と、
前記加工順決定部が決定した加工順で前記板材を加工するようレーザ加工機を制御するための加工データを生成する加工データ生成部と、
を備えることを特徴とする加工データ作成装置。
前記加工順決定部は、前記第1の方向の分割線が1以上設定されているとき、加工順(2)を、前記穴形成領域における前記初期切断線を切断した後に、前記第2の方向の分割線を切断する前に、前記第1の方向の分割線を切断する加工順と決定することを特徴とする請求項9または10に記載の加工データ作成装置。
前記加工順決定部は、前記第2の方向の分割線が複数設定されているとき、加工順(2)を、前記切断開始点とは最も離れた側の前記第2の方向の分割線より前記切断開始点に近い側の前記第2の方向の分割線へと順に切断する加工順と決定することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の加工データ作成装置。
前記加工順決定部は、加工順(3)を、前記アプローチ位置に最も近い前記第2の方向の分割線と前記最終切断線とを一連の切断線として切断する加工順と決定することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の加工データ作成装置。
前記分割数設定部、前記外周切断方向設定部、前記外周切断アプローチ位置決定部、前記分割点決定部、前記加工順決定部、前記加工データ生成部は、前記穴形成領域の形状が、角,長角,丸,長丸のいずれかの形状であるとき、それぞれの動作を行うことを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の加工データ作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態のレーザ加工機、レーザ加工方法、加工データ作成装置について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
まず、
図1を用いて、一実施形態のレーザ加工機100の全体的な構成例を説明する。
図1において、ベース50上には、金属の板材Wを載置するためのテーブル60が設けられている。テーブル60内には、例えば鉄板よりなる複数のスキッド61がX方向に配列されている。
【0015】
図2に示すように、スキッド61の上端部には、複数の三角形状の突起610が形成されている。よって、板材Wは、複数の突起610によって支えられている。隣接する2つのスキッド61の間隔は間隔61i、隣接する2つの突起610の間隔は間隔610iである。間隔61i,610iをスキッド間隔と称することとする。
【0016】
間隔61iと間隔610iとは同じであってよいし、間隔610iが間隔61iよりも小さくてもよい。
【0017】
板状のスキッド61の代わりに、先端が尖った複数の棒状のスキッドをX方向及びX方向と直交するY方向に配列させた構成としてもよい。
【0018】
図1に戻り、レーザ加工機100は、テーブル60を跨ぐよう配置された門型のフレーム70を備える。フレーム70は、サイドフレーム71,72と上部フレーム73とを有する。フレーム70は、ベース50の側面に形成したX方向のレール51に沿って、X方向に移動するように構成されている。
【0019】
上部フレーム73内には、Y方向に移動自在のキャリッジ80が設けられている。キャリッジ80には、レーザを射出するレーザヘッド81が取り付けられている。フレーム70がX方向に移動し、キャリッジ80がY方向に移動することによって、レーザヘッド81は、板材Wの上方で、X及びY方向に任意に移動するように構成されている。
【0020】
レーザヘッド81がX方向またはY方向に移動しながら、板材Wに対してレーザを照射することにより、板材Wは穴開け加工される。なお、板材Wには、レーザを照射するのに合わせて、アシストガスが吹き付けられる。
図1では、アシストガスを吹き付ける構成の図示を省略している。
【0021】
レーザヘッド81は、Z方向にも移動自在となっている。レーザヘッド81が板材Wの上方で移動するとき、レーザヘッド81は板材Wとの間隔を所定の距離に保つように制御される。
【0022】
フレーム70には、レーザ加工機100を制御するためのNC装置30が取り付けられている。NC装置30は、板材Wを加工するための加工データ(NCデータ)に従ってレーザ加工機100を制御する。NC装置30は、レーザ加工機100を制御する制御装置である。
【0023】
図1に示すレーザ加工機100は、テーブル60が固定であり、レーザヘッド81がX方向及びY方向双方に移動するように構成されている。フレーム70のX方向の位置が固定され、テーブル60がX方向に移動するように構成されていてもよい。
【0024】
レール51に沿ってX方向に移動するフレーム70及びY方向に移動するキャリッジ80は、レーザヘッド81を板材Wに対して相対的に板材Wの面に沿った第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向とに移動させる移動機構である。
【0025】
移動機構は、レーザヘッド81を板材Wに対して所定距離離間させた状態で、レーザヘッド81を相対的に第1及び第2の方向に移動させる。上記のように、X方向に移動するテーブル60及びY方向に移動するキャリッジ80によって移動機構を構成することもできる。
【0026】
板材Wを二点鎖線で示すように切断して穴Wopを形成する場合を考える。穴Wopを形成する部分を穴形成領域と称することとする。板材Wにおける穴形成領域を複数の区画に細かく切り刻み、切り刻んだ区画をスキッド間隔よりも小さいスクラップ片として、下方へと落下させることが必要となる場合がある。
【0027】
穴形成領域を複数の区画に切り刻みながら板材Wを穴開け加工すると、板材Wの穴Wop側の端部には凹部または凸部(以下、凹凸部と称する)が形成されてしまう。具体的には、板材Wの穴Wop側の端部において、穴形成領域を複数の区画に切り刻むための分割線を形成した位置に凹凸部が形成される。
【0028】
次に、穴形成領域を複数の区画に切り刻みながら板材Wを穴開け加工したときに、板材Wの穴Wop側の端部に形成される凹凸部の箇所をより少なくするには、加工データをどのように作成すればよいかを説明する。
【0029】
図3において、CAD(Computer Aided Design)10は、板材Wに対して形成する穴Wopの位置、形状、大きさの各情報を含むCADデータを作成する。CADデータは、板材Wに対して所定の大きさ及び形状の穴を開ける穴形成領域が設定された図形データである。CADデータは、CAM(Computer Aided Manufacturing)20に入力される。
【0030】
CAM20は、後述するように、NCデータを作成する。CAM20には、操作部21が接続されている。CAM20は、オペレータが操作部21を操作することによって、部分的にオペレータの手動による設定に基づいて、NCデータを作成してもよい。
【0031】
CAM20は、一実施形態の加工データ作成装置を構成する。NCデータは、NC装置30に入力される。CAM20と、レーザ加工機100が備えるNC装置30とは、例えばネットワークによって接続されている。CAD10及びCAM20は、レーザ加工機100とは離れた場所に設置されていてもよい。
【0032】
図4を用いて、NCデータを作成するCAM20の具体的な構成及び動作を説明する。
図4において、対象穴データ取得部201は、入力されたCADデータに基づいて、分割対象となる穴Wopの形状及び寸法を示す対象穴データを取得する。対象穴データは、分割数・外周切断方向設定部202に入力される。
【0033】
分割数・外周切断方向設定部202は、穴形成領域を分割する分割数と、穴形成領域の外周を切断する方向(外周切断方向)とを設定する。分割数とは、分割の仕方を含む。分割の仕方とは、X方向に何分割、Y方向に何分割するかということである。分割数・外周切断方向設定部202は、分割数と外周切断方向とを自動的に設定することができる。
【0034】
X方向とY方向とのうちの一方を第1の方向、他方を第2の方向とする。分割数・外周切断方向設定部202は、0または1以上の第1の方向の分割線を設定し、1または複数の第2の方向の分割線を設定することによって、穴形成領域を複数の区画に分割するよう設定することができる。即ち、分割数・外周切断方向設定部202は、第1の方向には分割線を設定しない場合があってもよい。
【0035】
本実施形態では、X方向を第1の方向、Y方向を第2の方向とした場合を説明する。
【0036】
CAM20にスキッド61のスキッド間隔を保持させておくことにより、分割数・外周切断方向設定部202は、穴Wopの大きさとスキッド間隔とに基づいて、最適な分割数に自動的に設定することができる。
【0037】
分割数・外周切断方向設定部202は、破線の矢印にて示すように、オペレータが操作部21を操作した手動設定に基づいて、分割数と外周切断方向とを設定してもよい。
【0038】
分割数・外周切断方向設定部202は、分割数設定部と、外周切断方向設定部とに分離されていてもよい。
【0039】
対象穴データ取得部201及び分割数・外周切断方向設定部202における動作の一例を、
図5,
図6を用いて説明する。
【0040】
図5に示すように、対象穴データ取得部201が、板材Wに穴Wopを形成するための矩形状の外周線40よりなる対象穴データを取得したとする。ここでの穴Wopは長角穴である。板材Wを外周線40に沿って切断すると、外周線40の内側の部分がスクラップ400となる。
【0041】
図6に示すように、分割数・外周切断方向設定部202は、一例として、外周線40で囲まれた穴形成領域(スクラップ400)をX方向に4分割、Y方向に2分割して、8分割するよう設定する。
図6に示す分割の仕方を2行、4列の分割と称することとする。
【0042】
また、
図6に示すように、分割数・外周切断方向設定部202は、一例として、外周切断方向を
図6における左回りと設定する。左回り及び右回りとは便宜上の呼称である。分割数・外周切断方向設定部202は、レーザヘッド81を板材W上で左回りまたは右回りに相当する方向に移動させるよう設定すればよい。
【0043】
分割数・外周切断方向設定部202が
図6に示すように分割数を8とすると、スクラップ400は、区画401〜408それぞれのスクラップ片に分割される。
【0044】
図4に戻り、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、分割数・外周切断方向設定部202が設定した分割数と外周切断方向に基づいて、外周線40を切断する際のアプローチ位置を決定する。
【0045】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203におけるアプローチ位置の決定動作の一例を、
図7〜
図10を用いて説明する。まず、
図6に示す外周切断方向を考慮せず、板材Wの穴Wop側の端部に形成される凹凸部の箇所を少なくするには、アプローチ位置の候補点は、
図7に黒丸にて示す候補点4011,4012,4021,4022,4071,4072,4081,4082のいずれかとなる。
【0046】
X方向及びY方向の角に位置する区画(
図7では、区画401,402,407,408)にアプローチ位置の候補点を設定すれば、凹凸部の箇所を少なくすることが可能となる。
図6,
図7に示す8分割の場合、区画401,402,407,408以外に候補点を設けると、凹凸部が発生する箇所は1か所増えてしまう。
【0047】
候補点4011,4021,4071,4081は、区画401,402,407,408における外周線40のX方向側の部分のいずれかの位置に位置していればよい。
図7においては、候補点4011,4021,4071,4081は、X方向側の部分のほぼ中央部に位置している。
【0048】
候補点4012,4022,4072,4082は、区画401,402,407,408における外周線40のY方向側の部分のいずれかの位置に位置していればよい。
図7においては、候補点4012,4022,4072,4082は、Y方向側の部分のほぼ中央部に位置している。
【0049】
ここでは理解を容易にするための候補点を黒丸にて示している。アプローチ位置の候補点の具体的な意味については後述する。
【0050】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、
図6に示す外周切断方向を考慮して、区画401〜408を1つずつ落下させることができる候補点を抽出する。ここでは外周切断方向は左回りであるため、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、
図8に示すように、候補点4021,4022,4071,4072を最終的な候補点として抽出する。
【0051】
穴形成領域を区画401〜408それぞれのスクラップ片に切り刻むには、レーザ加工機100は次のように板材Wを加工すればよい。レーザ加工機100は、X方向に分割する分割線CX1によって、区画401,403,405,407と区画402,404,406,408との境界を切断する。
【0052】
レーザ加工機100は、Y方向に分割する分割線CY1〜CY3によって、区画405,406と区画407,408との境界、区画403,404と区画405,406との境界、区画401,402と区画403,404との境界を切断する。レーザ加工機100は、外周線40を切断する。
【0053】
分割線CX1による切断と、分割線CY1〜CY3による切断と、外周線40の切断の順については後述する。
【0054】
図7において、候補点4021,4022,4071,4072以外の候補点を選択して外周線40を左回りに切断すると、分割線CX1による切断や分割線CY1〜CY3による切断によって複数の区画がかたまりで落下してしまうことがある。
【0055】
外周線40を左回りに切断する場合、区画401〜408のうちの複数の区画をかたまりで落下させず、1つずつの区画として落下させるためには、
図8に示す候補点4021,4022,4071,4072のいずれかから外周線40を切断することが必要となる。
【0056】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、候補点4021,4022,4071,4072の中から、いずれか1つを選択して、外周切断のアプローチ位置と決定する。外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、自動的に任意の1つの候補点を選択してアプローチ位置を決定することができる。
【0057】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、
図4に破線の矢印にて示すように、オペレータが操作部21を操作することによって1つの候補点を指定した手動操作に基づいて、アプローチ位置を決定してもよい。
【0058】
図9に示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、一例として、候補点4021をアプローチ位置に決定したとする。
【0059】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、外周切断アプローチ位置決定部と、分割点決定部とに分離されていてもよい。
【0060】
ここで、
図10を用いて、アプローチ位置の候補点の意味を具体的に説明する。
図9に示す候補点4021より切断を開始して外周線40を切断するとき、候補点4021の位置を直接切断の開始位置とすることはできない。
【0061】
図10に示すように、区画402内の所定の位置にレーザによってピアスPsを開け、ピアスPsから外周線40に向かうように板材Wを切断する。ピアスPsと外周線40との間は分割線141が形成される。外周切断のアプローチ位置とは、ピアスPsに連続させた分割線141を外周線40まで到達させた、外周線40上の切断を開始する位置である。
【0062】
候補点4021をアプローチ位置A0と称することとする。アプローチ位置A0は第1の位置であり、外周線40の切断を開始する切断開始点となる。
【0063】
レーザが外周線40上のアプローチ位置A0に到達すれば、レーザヘッド81を移動させる方向を90度曲げることによって、外周線40を切断することが可能となる。
【0064】
外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、アプローチ位置A0を決定したら、外周線40上に、外周線40の切断を2分割するための分割点を決定する。分割点は、アプローチ位置A0から外周線40を、分割数・外周切断方向設定部202で設定した切断方向に切断していったときに、外周線40の切断を一旦停止させる外周切断停止位置となる。
【0065】
分割点は、凹凸部が発生する箇所をより少なくすることができる位置であり、スクラップ400が板材Wと接続された状態となる位置に設けることが必要である。この条件を満たすため、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、
図9に白丸で示すように、外周線40上の区画401,403の境界B13を分割点D0として決定する。分割点D0は第2の位置に位置している。
【0066】
分割点D0を設定する位置は、次のような決定方法で決定することができる。外周線40と、アプローチ位置A0(切断開始点)に最も近いY方向(第2の方向)の分割線CY3との2つの交点のうち、アプローチ位置A0に近い側の交点を第1の交点、アプローチ位置A0と離れた側の交点を第2の交点とする。後述する
図11の境界B24が第1の交点、境界B13が第2の交点である。
【0067】
なお、アプローチ位置A0に近い側の交点、離れた側の交点とは、アプローチ位置A0と2つの交点それぞれとの外周線40上の距離が短い側が近い側の交点、距離が長い側が離れた側の交点ということである。
【0068】
図9に示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、第2の交点に分割点D0を設定すればよい。
【0069】
ここでは外周切断方向が左回りと設定されているので、外周線40を、アプローチ位置A0から分割点D0まで左回りに切断すると、外周切断線は、外周線40と分割線CX1,CY1〜CY3との交点をより多く通過することになる。よって、凹凸部が発生する箇所をより少なくすることができる。
【0070】
外周線40を、外周線40分割線CX1,CY1〜CY3との交点をより多く通過する方向に、アプローチ位置A0から第2の交点に向かって切断したときに、第2の交点を過ぎた最初の区画における位置を第2の位置として、分割点D0を設定してもよい。例えば、
図9において、境界B13よりも左側の外周線40上で、区画401のX方向側の部分に分割点D0を設定してもよい。
【0071】
この場合に発生する凹凸部の箇所の数は、第2の交点に分割点D0を設定した場合と同じとなる。しかしながら、第2の交点を過ぎた位置を第2の位置として分割点D0を設定すると、分割線CY3の切断と、分割点D0からアプローチ位置A0までの左回りの切断とを別々のピアッシングで加工しなければならない。よって、加工時間及び消費電力が増加してしまう。
【0072】
従って、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、第2の交点に分割点D0を設定するのが最もよい。
【0073】
なお、外周線40の全周を連続的に一度に切断しないのは次の理由による。レーザヘッド81は板材Wとの間隔を所定の距離に保つように制御されている。よって、外周線40を一度に切断してスクラップ400が落下すると、レーザヘッド81が穴Wopより下方へと移動してしまう可能性がある。
【0074】
また、外周線40を一度に切断すると、外周線40の切断面の品質が悪化しやすい。外周線40を一度に切断すると、スクラップ400が立ち上がってしまう可能性もある。
【0075】
よって、外周線40を切断する際には、アプローチ位置A0から分割点D0までの、外周線40と分割線CX1,CY1〜CY3との交点をより多く通過する方向の切断と、残りの分割点D0からアプローチ位置A0までの切断とに分割するのがよい。
【0076】
アプローチ位置A0以外の任意のアプローチ位置の場合も同様にして、上記の決定方法によって分割点の位置を決定することができる。
【0077】
図4において、加工順決定部204は、分割数・外周切断方向設定部202が設定した分割数と外周切断方向、及び、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203が決定したアプローチ位置A0と分割点D0とに基づいて、板材Wを切断する加工順(切断順)を決定する。
【0078】
加工順決定部204は、概略的には、外周線40を部分的に切断する初期切断、穴形成領域(スクラップ400)を切り刻む分割切断、残りの外周線40を切断する最終切断の順となるように切断順を決定する。
【0079】
このような切断順とすれば、スクラップ400は外周線40の最終切断を行うまでは板材Wと連結した状態が維持される。また、穴形成領域を区画ごとに切断して、スクラップ片として落下させることができる。
【0080】
図11を用いて、加工順決定部204によって決定する具体的な加工順を説明する。
図11に示すように、まず、加工順決定部204は、実線にて示すように、外周線40をアプローチ位置A0から分割点D0まで切断する外周切断線C401を初期切断に設定する。外周切断線C401に括弧書きにて付している#1は、1番目の切断であることを示す。
【0081】
加工順決定部204は、外周切断線C401の次に、細破線にて示すように、X方向の分割線CX1を設定する。分割線CX1は、後述する最終切断の外周切断線C402と交わる第1の分割線である。分割線CX1に括弧書きにて付している#2は、2番目の切断線であることを示す。
【0082】
加工順決定部204は、分割線CX1の次に、一点鎖線にて示すように、Y方向の分割線CY1,CY2を、分割線CY1を先、分割線CY2を後の順に設定する。分割線CY1,CY2は、外周切断線C402とは交わらない第2の分割線である。分割線CY1,CY2に括弧書きにて付している#3,#4は、3,4番目の切断線であることを示す。
【0083】
最終切断線と交わらない分割線が複数存在する場合には、切断する順を、アプローチ位置(切断開始点)とは最も離れた側の分割線よりアプローチ位置に近い側の分割線への順とする。
【0084】
加工順決定部204は、分割線CY2の次に、太破線で示すように、外周線40上の区画402,404の境界B24から分割点D0までの分割線CY3に続けて、分割点D0からアプローチ位置A0まで外周線40を切断する外周切断線C402を最終切断に設定する。
【0085】
分割線CY3と外周切断線C402に括弧書きにて付している#5は、5番目の切断線であることを示す。分割線CY3と外周切断線C402とは1つの切断線として連続的に行われることから、全体を5番目の切断線とする。
【0086】
分割線CY3の切断と外周切断線C402の切断とを分けて、分割線CY3を5番目の切断線、外周切断線C402を最終の6番目の切断線としてもよい。但し、分割線CY3と外周切断線C402とを連続的な1つの切断線とすることが好ましい。
【0087】
仮に、加工順決定部204が分割線CX1の前に分割線CY1を設定したとする。この順とすると、外周切断線C401及び分割線CY1によって、区画407,408がスクラップ片として落下し、区画407,408の部分は穴となる。この状態で、分割線CX1の加工を行うと、レーザヘッド81が区画405,406を通過後に、レーザヘッド81が下方へと移動してしまう可能性がある。
【0088】
加工順決定部204が分割線CY1の前に分割線CX1を設定することにより、レーザヘッド81が下方へと移動することを回避することができる。
【0089】
以上のように、加工順決定部204は、複数の分割線(ここではCX1,CY1〜CY3)のうち、最終切断線(外周切断線C402)と交わる分割線(ここではCX1)を、初期切断線(外周切断線C401)に続く分割線として設定するのがよい。
【0090】
X方向の分割線が複数ある場合には、複数のX方向の分割線を全て、初期切断線に続く分割線として設定すればよい。複数のX方向の分割線を切断する順番は任意である。
【0091】
図11においては、分割線CY1,CY2の方向を下から上にしているが、逆であってもよい。分割線CY1の方向と分割線CY2の方向は同一の方向でなくてもよく、互いに逆の方向であってもよい。
【0092】
図4に戻り、加工順決定部204が加工順を決定したら、NCデータ生成部205は、NC装置30がレーザ加工機100を制御するためのNCデータを生成する。NCデータ生成部205は、加工データ生成部である。NCデータは、NC装置30に供給される。
【0093】
ここで、板材Wを
図11に示す切断順によって加工すると、凹凸部が発生する箇所を最少にすることができる理由を説明する。
図12Aは、外周線40上の区画405,407の境界B57の付近を拡大して示している。
図12Bは、分割点D0の付近を拡大して示している。
【0094】
図12Aに示すように、境界B57では、外周切断C401によって予め形成されている線状の開口の側面に、分割線CY1によるハッチングを付して示す線状の開口を連結させればよい。よって、境界B57に凹凸部は発生しにくい。境界B35,B46,B68も同様である。
【0095】
一方、
図12Bに示すように、分割点D0では、外周切断C401によって予め形成されている線状の開口の端部に、分割線CY3及び外周切断線C402によるハッチングを付して示す線状の開口を連結させなければならない。よって、分割点D0に凹凸部が発生しやすい。
【0096】
アプローチ位置A0では、外周切断線C401の始端と外周切断線C402の終端とを連結させなければならず、境界B12では、分割線CX1の始端と外周切断線C402とを交差させなければならないため、凹凸部が発生しやすい。
図11では、凹凸部が発生する箇所は、アプローチ位置A0と、分割点D0と、境界B12との3か所のみである。
【0097】
次に、以上説明した長角穴以外の形状の穴を開ける場合を説明する。
図13Aに示すように、長丸状の外周線41を切断して長丸穴を形成する場合、分割数・外周切断方向設定部202は、外周線41で囲まれた穴形成領域を例えば区画411〜418に分割するよう設定する。分割数・外周切断方向設定部202は、外周切断方向を右回りに設定したとする。
【0098】
図13Bに示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、例えば、区画418の外周線41上の位置をアプローチ位置A1と決定し、外周線41上の区画415,417の境界を分割点D1と決定する。加工順決定部204は、
図13Bに示す切断順#1〜#5を決定する。
【0099】
図14Aに示すように、角状の外周線42を切断して角穴を形成する場合、分割数・外周切断方向設定部202は、外周線42で囲まれた穴形成領域を例えば区画421〜424に分割するよう設定する。分割数・外周切断方向設定部202は、外周切断方向を右回りに設定したとする。
【0100】
図14Bに示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、例えば、区画424の外周線42上の位置をアプローチ位置A2と決定し、外周線42上の区画421,423の境界を分割点D2と決定する。加工順決定部204は、
図14Bに示す切断順#1〜#3を決定する。
【0101】
図15Aに示すように、円形の外周線43を切断して丸穴を形成する場合、分割数・外周切断方向設定部202は、外周線43で囲まれた穴形成領域を例えば区画431〜434に分割するよう設定する。分割数・外周切断方向設定部202は、外周切断方向を右回りに設定したとする。
【0102】
図15Bに示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、例えば、区画434の外周線43上の位置をアプローチ位置A3と決定し、外周線43上の区画431,433の境界を分割点D3と決定する。加工順決定部204は、
図15Bに示す切断順#1〜#3を決定する。
【0103】
前述のように、穴形成領域を、1行で複数列に分割する場合、1列で複数行に分割する場合があってもよい。
図16A,
図16Bは、穴形成領域を1行で複数列に分割する場合を示す。
【0104】
図16Aに示すように、細長い長角状の外周線44を切断して長角穴を形成する場合、分割数・外周切断方向設定部202は、外周線44で囲まれた穴形成領域を例えば区画441〜444に分割するよう設定する。分割数・外周切断方向設定部202は、外周切断方向を左回りに設定したとする。
【0105】
図16Bに示すように、外周切断アプローチ位置・分割点決定部203は、例えば、区画4441の外周線44上の位置をアプローチ位置A4と決定し、外周線44上の区画441,442の境界を分割点D4と決定する。加工順決定部204は、
図16Bに示す切断順#1〜#4を決定する。
【0106】
図17〜
図19に示すフローチャート、及び、
図20〜
図25を用いて、CAM20がNCデータを生成する動作を改めて説明する。
【0107】
図17において、CAM20は、ステップS01にて、CADデータを読み込む。CAM20は、ステップS02にて、分割対象の穴があるか否かを判定する。穴形成領域が所定の大きさ以上に大きい場合に、分割対象としなくてよい。
【0108】
分割対象の穴があれば(YES)、CAM20は処理をステップS03へと移行させ、分割対象の穴がなければ(NO)、CAM20は処理をステップS10へと移行させる。
【0109】
CAM20は、ステップS03にて、分割対象の穴を1つ選択し、ステップS04にて、選択した穴の穴形状を取得する。CAM20は、ステップS05にて、穴形状が角,長角,丸,長丸のいずれかであるか否かを判定する。
【0110】
例えば穴形状がL字形や星形のような角,長角,丸,長丸以外の穴形状の場合には、本実施形態の手法による分割切断の対象としない。
【0111】
穴形状が角,長角,丸,長丸のいずれかであれば(YES)、CAM20は、ステップS06,S07にて、本実施形態の手法による分割切断の割付を実施する。穴形状が角,長角,丸,長丸のいずれかでなければ(NO)、CAM20は、ステップS09にて、従来から行われている通常の穴分割の割付を実施して、処理をステップS08へと移行させる。
【0112】
CAM20は、ステップS06にて、分割線を設定し、ステップS07にて、加工順・加工軌跡を生成し、処理をステップS08へと移行させる。ステップS06,S07の具体的な手順については後述する。
【0113】
CAM20は、ステップS08にて、分割対象の穴全ての加工順・加工軌跡を設定したか否かを判定する。分割対象の穴全ての加工順・加工軌跡を設定していなければ(NO)、CAM20は、処理をステップS03に戻して、新たな分割対象の穴を選択して、同様の処理を繰り返す。
【0114】
分割対象の穴全ての加工順・加工軌跡を設定したら(YES)、CAM20は、ステップS10にて、NCデータを生成して、処理を終了させる。NCデータは、NC装置30がレーザ加工機100を制御するための機械制御コードで構成することができる。
【0115】
図18は、ステップS06の具体的な手順を示す。
図18において、CAM20(分割数・外周切断方向設定部202)は、ステップS61にて、分割数と外周切断方向を設定する。
【0116】
例えば
図20に示すような矩形状の外周線45を切断して角穴を形成する場合、CAM20は、外周線45で囲まれた穴形成領域を例えば区画451〜459に9分割し、外周切断方向を左回りに設定する。
【0117】
CAM20(外周切断アプローチ位置・分割点決定部203)は、ステップS62にて、角(ここでは四隅)に位置する区画を判定する。
図21に示すように、CAM20は、区画451,453,457,459が角に位置する区画であると判定する。
【0118】
CAM20(外周切断アプローチ位置・分割点決定部203)は、ステップS63にて、外周切断のアプローチ位置の候補点を
図22の黒丸で示すように設定する。
【0119】
CAM20(外周切断アプローチ位置・分割点決定部203)は、ステップS64にて、
図23に示すように、外周切断方向を考慮して、
図22に示すアプローチ位置の候補点から、区画451〜459を1つずつ落下させることができる最終的な候補点を抽出する。
【0120】
また、CAM20は、ステップS64にて、自動割付または手動操作によって、最終的な候補点の中から1つの候補点を選択して、
図24に示すようにアプローチ位置A5を決定する。アプローチ位置A5が決定したら、CAM20は、ステップS64にて、白丸で示す分割点D5を決定する。
【0121】
図19は、ステップS07の具体的な手順を示す。
図19において、CAM20(加工順決定部204)は、ステップS71にて、最終切断線と、最終切断線と交わる分割線を取得する。アプローチ位置A5及び分割点D5が
図24に示すように決定された場合、CAM20は、
図25に示す最終切断線C452と、最終切断線C452と交わる分割線CX1,CX2を取得する。
【0122】
CAM20(加工順決定部204)は、ステップS72にて、最終切断線と交わる分割線を初期切断線の次に加工するよう設定する。
【0123】
図25に示すように、CAM20は、アプローチ位置A5から分割点D5までの外周線45に沿った初期切断線C451と交わる分割線CX1,CX2を2番目と3番目に加工するよう設定する。
図25では、分割線CX1を2番目、分割線CX2を3番目としているが、逆でもよい。
【0124】
CAM20(加工順決定部204)は、ステップS73にて、最終切断線と交わらない分割線を、最終切断線と交わる分割線の次に加工するよう設定する。最終切断線と交わらない分割線が複数存在する場合には、CAM20は、アプローチ位置A5と最も離れた側の分割線よりアプローチ位置A5に近い側の分割線への順に加工順を設定する。
【0125】
図25に示すように、CAM20は、分割線CY1を4番目、分割線CY2を5番目に加工するよう設定する。
【0126】
CAM20(加工順決定部204)は、ステップS74にて、最終切断線を最後に加工するよう設定し、ステップS72〜S74で設定した順番で加工順を決定する。
【0127】
図25に示すように、CAM20は、最終切断線C452を最後に加工するよう設定する。分割線CY2と最終切断線C452とは一連の切断線として加工すればよいので、CAM20は、分割線CY2と最終切断線C452との全体を5番目に加工する切断線として設定する。
【0128】
図19に示す手順によって、CAM20は、穴形成領域を複数の区画に分割して切断する加工順及び加工軌跡を生成することができる。
【0129】
本実施形態のレーザ加工機100、レーザ加工機100によって実行される本実施形態のレーザ加工方法、レーザ加工機100を制御するための加工データを生成する本実施形態の加工データ作成装置によれば、次の各構成によって次のような効果を奏する。
【0130】
穴形成領域に0または1以上の第1の方向の分割線を設定し、穴形成領域に1または複数の前記第1の方向と直交する第2の方向の分割線を設定することによって、穴形成領域を複数の区画に分割するよう設定したとする。このとき、角に位置する区画における外周線上の第1の位置を、外周線の切断を開始する切断開始点(アプローチ位置)とすることにより、板材Wの穴Wop側の端部に形成される凹凸部の箇所を少なくすることができる。
【0131】
外周線と、切断開始点に最も近い第2の方向の分割線との2つの交点のうち、切断開始点に近い側の交点を第1の交点、切断開始点と離れた側の交点を第2の交点とする。外周線を、外周線と分割線との交点をより多く通過する方向に、切断開始点から第2の交点に向かって切断したときに、第2の交点または第2の交点を過ぎた最初の区画における外周線上の第2の位置を、外周線の切断を分割する分割点に設定する。
【0132】
第2の交点または第2の交点を過ぎた最初の区画における外周線上の第2の位置を、外周線の切断を分割する分割点に設定することにより、凹凸部の箇所をより少なくすることができる。外周線の切断を分割することにより、レーザヘッド81が下方へと移動してしまうことを回避しつつ、外周線の切断面の品質を向上させることができる。
【0133】
外周線における切断開始点から分割点までを初期切断線とする。外周線における分割点から切断開始点までを最終切断線としたとき、穴形成領域を、最終切断線を含む区画以外の区画が1つずつの区画として落下するように切断する。切断開始点に最も近い第2の方向の分割線と、最終切断線とを切断することによって、最終切断線を含む区画が最後に落下するように切断する。
【0134】
このような加工順とすることにより、穴形成領域を分割したそれぞれの区画を1つずつのスクラップ片として落下させることができる。
【0135】
具体的には、第1の方向の分割線が設定されている場合には、穴形成領域を、初期切断線の切断の次に、最終切断線と交わる1または複数の分割線によって分割する。その次に、穴形成領域を、最終切断線と交わらない分割線によって分割する。
【0136】
また、第2の方向の分割線が複数設定されている場合には、穴形成領域を、切断開始点とは最も離れた側の第2の方向の分割線より切断開始点に近い側の第2の方向の分割線へと順に切断する。
【0137】
複数の区画におけるそれぞれの角に位置する区画における外周線上に位置する複数の候補点より、外周切断方向に応じて候補点を抽出すれば、予め設定されている外周切断方向に応じて適切な候補点の中から、アプローチ位置を決定することができる。
【0138】
本実施形態による分割切断を、穴形成領域の形状が、角,長角,丸,長丸のいずれかの形状であるときに限定すれば、以上のそれぞれの効果を的確に奏することができる。
【0139】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。板状のスキッド61または棒状のスキッドのスキッド間隔よりスクラップ(スクラップ片)を落下させる代わりに、カッティングプレートよりスクラップ(スクラップ片)を落下させる構成であってもよい。