(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-78842(P2016-78842A)
(43)【公開日】2016年5月16日
(54)【発明の名称】自動車の走行支援カメラ用クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/60 20060101AFI20160411BHJP
【FI】
B60S1/60 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-200814(P2015-200814)
(22)【出願日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】1459716
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効果的なカメラクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニングヘッド4を用いてカメラ2のレンズ8を洗浄するためのクリーニング装置1は、カメラ2またはクリーニングヘッド4を駆動するための駆動手段6を有する。駆動手段6は、クリーニングヘッド4がカメラ2の撮像領域外に位置するパッシブ位置と、クリーニングヘッド4がレンズ8に向かって延び、クリーニング液をレンズ8に対して噴射させるアクティブ位置の間で、クリーニングヘッド4をカメラ2に対して相対的に変位させることが可能である。クリーニング装置1は、特に、自動車に搭載されたバックカメラの洗浄に適用する場合に効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニングヘッド(4)を用いて自動車用カメラのレンズ(8)を洗浄するためのクリーニング装置(1)であって、
前記カメラまたは前記クリーニングヘッドを駆動するための駆動手段(6)を有し、前記駆動手段は、前記クリーニングヘッドが前記カメラの撮像領域外に位置するパッシブ位置と、前記クリーニングヘッドが前記レンズに向かって延びてクリーニング液を前記レンズに対して噴射することができるアクティブ位置との間で、前記クリーニングヘッド(4)を前記カメラ(2)に対して長手方向で相対的に変位させることが可能であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたクリーニング装置であって、
前記駆動手段(6)は、前記パッシブ位置においては前記クリーニングヘッドが前記レンズ(8)の長手方向の前方にあり、前記アクティブ位置においては、前記クリーニングヘッドが前記レンズの後方で前記カメラから長手方向に離れるように、前記クリーニングヘッド(4)を前記カメラ(2)に対して長手方向で相対的に変位させるように構成されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたクリーニング装置であって、
前記カメラ(2)は、対物部材(7)を有し、前記対物部材の端部に前記レンズ(8)が位置し、前記クリーニングヘッド(4)は、前記パッシブ位置において前記クリーニングヘッドが前記対物部材の周りに位置することができるように前記対物部材を補完する形状を有し、前記クリーニングヘッドは前記対物部材および前記レンズの軸線と一致する軸線を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたクリーニング装置であって、
前記カメラ(2)の前記対物部材(7)は円形断面を有し、前記クリーニングヘッド(4)は前記対物部材の周りとちょうど重なり合う寸法の円環形を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたクリーニング装置であって、
前記クリーニングヘッド(4)に接続された液体供給管(34)を有し、前記クリーニングヘッド(4)は、さらに、複数のノズル(20)を備えた内側長手方向端面(18)を備えており、前記アクティブ位置において、前記クリーニング液は、前記クリーニングヘッドから前記ノズルを介して前記レンズ(8)に向かって噴射されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたクリーニング装置であって、
前記内側長手方向端面(18)は、前記ノズル(20)が液体を前記環状クリーニングヘッド(4)の軸線に向けて噴射するように向くことができるように、前記環状クリーニングヘッドの軸線に直交する面に対して傾斜していることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載されたクリーニング装置であって、
前記カメラまたは前記クリーニングヘッド(4)の長手方向変位を案内するためのガイド手段(14、16)を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項7に記載されたクリーニング装置であって、
前記ガイド手段(14、16)は前記駆動手段(6)によって支持されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
請求項8に記載されたクリーニング装置であって、
前記ガイド手段は、前記駆動手段(6)に連結されたロッド(16)および、前記カメラ(2)または前記クリーニングヘッド(4)から突出するように位置するスリーブ(14)からなり、前記ロッドは滑動可能であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載されたクリーニング装置であって、
前記クリーニングヘッド(4)または前記カメラ(2)を駆動するための前記駆動手段(6)は、液圧式であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項11】
請求項10に記載されたクリーニング装置であって、
前記駆動手段(6)はチャンバー(22)を有し、前記チャンバーにおいて、前記カメラ(2)または前記クリーニングヘッド(4)に固定されたピストン(24)が、前記チャンバーに形成された第一の開口部(33)と第二の開口部(36)との間で循環する液体の圧力の影響を受けて滑動することができ、前記ピストンは前記チャンバーに収容されたばね(30)によって元の位置に戻ることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項12】
請求項11に記載されたクリーニング装置であって、
前記第一の開口部(33)は液体供給管に接続され、前記第二の開口部(36)は前記クリーニングヘッド(4)の他端に連結された別の供給管(34)に接続されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載されたクリーニング装置であって、
前記ピストンに圧力をかけ、前記カメラ(2)または前記クリーニングヘッド(4)を変位させる液体は、前記レンズ(8)の洗浄に使用できるクリーニング液であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載されたクリーニング装置であって、
前記駆動手段(6)は、前記駆動手段によって生じた変位に追従することができる前記カメラ(2)に固定され、一方、前記クリーニングヘッド(4)は固定されたままであることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載されたクリーニング装置であって、
前記駆動手段(6)は、前記駆動手段によって生じた変位に追従することができる前記クリーニングヘッド(4)に固定され、一方、前記カメラ(2)は固定されたままであることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項16】
自動車であって、請求項1〜15のいずれか一項に記載された、カメラ(2)を洗浄するためのクリーニング装置(1)を有することを特徴とする自動車。
【請求項17】
請求項16に記載された自動車であって、
前記クリーニング装置(1)によって洗浄することのできる前記カメラ(2)は前記自動車の後部に位置決めされ、かつ前記自動車の後方に続く道路状況を撮影するように向いたバックカメラであることを特徴とする自動車。
【請求項18】
請求項14に記載されたクリーニング装置を有する自動車であって、
前記クリーニングヘッド(4)は、前記自動車の外部車体と略同一平面になるように、前記自動車の構造体に対して固定され、前記カメラ(2)は、前記クリーニングヘッドの後ろのパッシブ位置と、前記カメラの端部に位置する前記レンズ(8)が同様に前記外部車体と同一平面となる撮像用のアクティブ位置との間を移動可能であることを特徴とする自動車。
【請求項19】
液体をクリーニングヘッド(4)から噴射することによって自動車用カメラ(2)を洗浄する前記カメラのクリーニング方法であって、
− 移動指令が生じ、前記カメラ(2)または前記クリーニングヘッド(4)を、前記クリーニングヘッドが前記カメラの視野の外側にあるパッシブ位置から前記クリーニングヘッドが前記カメラに面するアクティブ位置に動かし、
− 噴射指令が生じ、前記クリーニングヘッドが前記アクティブ位置にあるとき、前記クリーニングヘッドに液体を噴射させることを特徴とするクリーニング方法。
【請求項20】
請求項19に記載されたクリーニング方法であって、
前記移動指令と前記噴射指令とは、液圧回路にクリーニング液を循環させる一つの指令によって行われ、この指令により、前記カメラ(2)または前記クリーニングヘッド(4)が連続的に動き、液圧回路の端部に位置する前記クリーニングヘッドが液体を噴射することを特徴とするクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援の技術分野、特に、車両に搭載されたカメラに関する。具体的には、本発明は、ドライバーに提供される走行支援情報の品質を最適化するようにカメラを洗浄するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車には、特に駐車操作および/またはバック操作においてドライバーを支援するため、撮像手段、特にカメラを備えたものがある。これらの撮像手段によって得られる画像が明瞭であればあるほど、ドライバーに提供される情報がより有用となることは理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明にはこうした背景があり、特に効果的なカメラクリーニング装置を提供することを目的とする。このため、本発明の主題はクリーニングヘッドを用いて自動車用カメラのレンズを洗浄するためのクリーニング装置である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このクリーニング装置は、カメラまたはクリーニングヘッドを駆動するための駆動手段を有し、該駆動手段は、クリーニングヘッドがカメラの撮像領域外に位置するパッシブ位置と、クリーニングヘッドがレンズに向かって延び、クリーニング液をレンズに対して噴射することができるアクティブ位置との間で、クリーニングヘッドをカメラに対して長手方向へ相対的に変位させることが可能であることを特徴とする。
【0005】
本発明の好適な一実施態様において、クリーニングヘッドまたはカメラの、一方が他方に対して長手方向に、すなわち、略カメラの軸線に沿って動くようになっている。駆動手段は、クリーニングヘッドがカメラに対して相対的に変位するように構成される。つまり、パッシブ位置においてはクリーニングヘッドがレンズの長手方向前方にあるのに対し、アクティブ位置においてはクリーニングヘッドがレンズの後方にあり、長手方向でカメラから離れている。
【0006】
ここで、「後方」および「前方」が意味するものは、カメラの軸線に関して、かつ、撮像方向に関して定義される位置である。カメラがバックカメラであって、車両の後部に位置し、車両の後方に続く道路状況を撮影するように向いているとき、用語「後方」は、クリーニングヘッドがカメラよりも車両の後部により近く位置していることを意味する。また、カメラが車両の前部に位置する場合、用語「後方」は、クリーニングヘッドがカメラよりも車両の前部により近く位置することを意味することは理解されるであろう。
【0007】
本発明の種々の特徴によれば、以下を単独で、あるいは組み合わせたものと考えられる。
― カメラは対物部材(objective)を有し、対物部材の端部にレンズが位置し、クリーニングヘッドは、パッシブ位置において、クリーニングヘッドが対物部材の周りに位置することができるように対物部材を補完する形状を有し、クリーニングヘッドは対物部材およびレンズの軸線と一致する軸線を有する。
− カメラの対物部材は円形断面を有し、クリーニングヘッドは対物部材の周りとちょうど重なり合う寸法の円環形を有する。
− 液体供給管が設けられ、クリーニングヘッドに接続され、該クリーニングヘッドは、さらに、複数のノズルを備えた内面を備えており、アクティブ位置において、クリーニング液は、レンズに向かってクリーニングヘッドから噴射される。
− 上記内面は、ノズルが液体を環状クリーニングヘッドの軸線に向けて噴射するように向くことができるように、環状クリーニングヘッドの軸線に直交する面に対して傾斜している。
【0008】
他のいくつかの特徴によれば、クリーニング装置は、カメラまたはクリーニングヘッドの長手方向の移動を案内するためのガイド手段を有する。ガイド手段は駆動手段によって支持されてよく、ガイド手段は、駆動手段に連結されたロッドおよび、カメラまたはクリーニングヘッドから突出するように位置決めされたスリーブからなってよい。また、前記ロッドは滑動可能である。
【0009】
単独で、あるいはいくつかを組み合わせることが考えられ、上記の特徴を備えた一連の有利な特徴によれば、クリーニングヘッドまたはカメラを駆動するための駆動手段は液圧式とされてよい。ここで、駆動手段はチャンバーを有し、チャンバーにおいて、カメラまたはクリーニングヘッドに固定されたピストンが、チャンバーにそれぞれ形成された第一の通路と第二の通路の間で循環する液体の圧力を受けて滑動することができる。ピストンはチャンバーに収容されたばねによって元の位置に戻される。第一の通路は液体供給管に接続され、第二の通路はクリーニングヘッドの他端に連結された別の供給管に接続されてよい。有利なことには、ピストンに圧力をかけ、カメラまたはクリーニングヘッドを移動させる液体は、レンズを洗浄するために使用できるクリーニング液であってよい。
【0010】
好適な実施態様において、駆動手段は、駆動手段によって生じた変位を追従することができるカメラに固定され、一方、クリーニングヘッドは固定されたままである。しかしながら、駆動手段が、駆動手段によって生じた変位を追従することができるクリーニングヘッドに固定され、一方、カメラは固定されたままとすることもできることを理解されるであろう。
【0011】
また、本発明は、前述したようなカメラクリーニング装置を備えた自動車に関する。
【0012】
本発明の好適な一実施態様によると、前記クリーニング装置によって洗浄することのできるカメラは、自動車の後部に位置決めされ、自動車の後方に延びる道路状況を撮影するように向けられたバックカメラである。従って、本発明は限定するものではないが、自動車の駐車支援の分野に特に有利な用途が見い出される。
【0013】
クリーニング装置がカメラを、クリーニングヘッドに対して移動させる例において、クリーニングヘッドは、自動車の外部車体と略同一平面になるように、自動車の構造体に対して固定される。カメラは、クリーニングヘッドの後ろのパッシブ位置と、カメラの端部に位置するレンズが同様に外部車体と同一平面である、撮像用のアクティブ位置との間を移動可能とされている。
【0014】
本発明は、最後に、自動車用カメラのクリーニング方法に関し、この方法は、液体をクリーニングヘッドから噴射することによって自動車用カメラを洗浄する。本方法では、まず移動指令が生じ、カメラまたはクリーニングヘッドを動かし、クリーニングヘッドがカメラの視野外にあるパッシブ位置から、クリーニングヘッドがカメラに面するアクティブ位置になるようにする。次いで噴射指令が生じ、クリーニングヘッドがアクティブ位置にあるとき、クリーニングヘッドに液体を噴射させる。
【0015】
本発明の有利な一特徴によれば、移動指令と噴射指令とが、液圧回路にクリーニング液を循環させる一つの指令によって行われ、この指令により、カメラまたはクリーニングヘッドが連続的に動き、液圧回路の端部に位置するクリーニングヘッドが液体を噴射する。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は説明と図面により、さらに明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、クリーニング装置のクリーニングヘッドが、カメラによる撮像を妨げないように、クリーニング装置のカメラの周りに配置されたパッシブ位置における、本発明によるクリーニング装置の3/4を示す前部斜視図である。
【
図2】
図2は、クリーニングヘッドが液体をカメラのレンズに噴射できるアクティブ位置における、
図1のクリーニング装置の3/4を示す後部斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のパッシブ位置における、クリーニング装置が備えたクリーニングヘッドおよびスプレーノズルの詳細斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のアクティブ位置における、クリーニング装置が備えたクリーニングヘッドおよびスプレーノズルの詳細斜視図である。
【
図5】
図5は、前述したクリーニング装置の側面図であって、クリーニングヘッドを動かすピストンが点線で示されており、
図1のパッシブ位置におけるクリーニング装置を示ている。
【
図6】
図6は、前述したクリーニング装置の側面図であって、クリーニングヘッドを動かすピストンが点線で示されており、
図2のアクティブ位置におけるクリーニング装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるクリーニング装置1は、特に、カメラ2、クリーニングヘッド4および直動駆動手段(6)を有する。直動駆動手段6は、パッシブ位置(
図1に見られる)とアクティブ位置(
図2に見られる)との間において、クリーニングヘッドに対して、カメラを相対的に変位させることができる。パッシブ位置において、クリーニングヘッドは撮像を妨げないようにカメラの周りに後退している。アクティブ位置において、クリーニングヘッドはカメラに面して延び、かつレンズ洗浄機能を可能とするようにカメラから離間している。
【0019】
下記の図示した実施態様において、直動駆動手段6は、カメラを動かすことによってカメラとクリーニングヘッドとの間に相対的変位が生じるように、カメラに直接連結されている。この実施態様において、カメラとクリーニングヘッドは、カメラが道路の状況を撮像するとき、この例では、クリーニング装置がパッシブ位置にあると称されるとき、撮像を行うカメラの端部と車両の外側を向くクリーニングヘッドの正面とが車両の外側車体と略同一平面に位置するように、車両の構成体に設置されるのが有利である。
【0020】
カメラ2は、ドライバーが車両をバックさせるときにドライバーに情報を提供するため、車両の周り、および有利なことに車両の後方に位置する道路の状況の映像を撮るための撮像手段を形成する。カメラは、長手方向の一端、本例では、車両の後部に面する端部に、円形断面の円筒形の形態をとる対物部材(objective)7を有し、かつ、その自由端には、予め決められた一定間隔で、あるいは、バックカメラの使用前毎に、洗浄する必要のあるレンズ8を有する。
【0021】
カメラは、さらに、直動駆動手段6の出力部に位置する直動駆動軸12を連結するための取付板10を有する。直動駆動軸はこのようにしてカメラに固定され、また、その長手方向の直動運動によってカメラには対応する長手方向の運動を発生させる。
【0022】
図1および
図2に示されるように、カメラは、少なくとも一つのスリーブ14を有する。スリーブ14は、直動駆動手段に固定されたガイドロッド16を受け入れる長手方向に延在する内孔を有するように、カメラから横方向に突出して位置決めされている。車両の構造体によって支持された、ここには図示されていないが、相補的な長手方向のガイド手段が同様に設けられ、カメラが長手方向に移動するときのカメラの重さを支えている。
【0023】
クリーニングヘッド4は円環形を有し、その軸線はカメラの対物部材の軸線と一致し、また、その内径は対物部材7の外径より大きく、その結果、クリーニングヘッドは、レンズの前方において、カメラの撮像領域内に存在しないように後退し、対物部材の周りに位置するパッシブ位置において、対物部材を囲んでいる。
【0024】
クリーニングヘッド4は、外側長手方向端面17および内側長手方向端面18を有し、外側長手方向端面17は車両の外側を向いており、内側長手方向端面18は、図において選択された任意方向における車両の前部を向いており、また、クリーニング装置が
図2に見られるアクティブ位置と称されるようであるとき、カメラに対して面している。
【0025】
外側長手方向端面は、ここでは平らに示されているが、洗浄機能の役割を果たしていないこと、従って、主として、カメラの周りの車両の構造体の空間と一致し、また、車両の外部車体と同一平面にあり、および/または、クリーニングヘッドを、許容された空間において最大可能量の移動を可能とするような異なる形状とできることが理解されるであろう。
【0026】
内側長手方向端面18は、クリーニングヘッドの全周に配置されたスプレーノズル20を備えている。スプレーノズルは等間隔に配置されており、スプレーノズルの数とスプレーノズル間の間隔は製造者によって決定される。スプレーノズルはクリーニングヘッドの軸線の周りに円形に配置されている。スプレーノズルが形成する円はレンズの直径より大きい直径を有し、これは、スプレーノズルを支持するクリーニングヘッドの内面がレンズを支持する対物部材の周りにパッシブ位置を採用できるからである。その結果、スプレーノズルと内面は、クリーニング装置がアクティブ位置にあるとき、液体を内方に、すなわち、環状のクリーニングヘッドの軸線に向かって噴射するように向けられるように、配置されている。実施態様の説明によると、前記内面は、環状のクリーニングヘッドの軸線に直交する平面に対して傾斜する面を有し、それにより、円錐部を形成する。また、スプレーノズルは、液体を内面に対して直交して噴射するように配置される。
【0027】
直動駆動手段6は、カメラをクリーニングヘッドに対して離間、近接するように動かすことができる。直動駆動手段6が液圧式であり、また、クリーニング液が液圧装置の加圧液体として作用する一つの特に有利な実施態様について次に説明する。この直動駆動手段の他の考えられる実施態様については代替案として後述する。
【0028】
図示の場合においては、直動駆動手段は、特に、直動駆動軸12を形成するリンクロッドに固定されたピストン24が、上述したように、スライドできるチャンバー22を備えている。
【0029】
チャンバー22は、円形壁25によって形成され、カメラに面した基端壁26と称される第一の壁と、先端壁28と称される第二の壁によって長手方向に画成される、中空シリンダからなる。基端壁26はその中心が貫通されており、カメラをチャンバー内に収容されたピストンに連結するリンクロッド12の通路とされている。この基端壁の開口とリンクロッドの間に、チャンバー内に存在する液体が漏れ出ないように、密封手段が設けられている。ピストン24はチャンバー内に収容され、円形壁の寸法を補完する寸法の円盤の形態を有している。ピストンは円形壁よりわずかに小さいため、チャンバー内をスライドできるが、液体はピストンと円形壁の間を循環できないようになっている。
【0030】
螺旋ばねタイプのばね30が、
図5および
図6にて示されるように、先端壁28と、この先端壁28に面するピストンの面31との間に配置されている。このばねはピストンを基端壁に向けて押すように装填されている。
【0031】
例えば、
図1および
図2において理解されるように、2本のパイプが直動駆動手段のチャンバー22に連結されている。チャンバー液供給管と称される第一のパイプ32が、チャンバーの円形壁に形成され、基端壁の近くに位置決めされた第一の開口部33において、チャンバーと連通している。クリーニングヘッド液供給管と称される第二のパイプ34が、第二の開口部36においてこのクリーニングヘッドをチャンバーと連結している。第二の開口部36は同様にチャンバーの円形壁に形成され、第一の開口部と長手方向に一致するように、チャンバーの略中央に位置決めされている。
【0032】
前述したように、直動駆動手段はガイドロッド16を備えており、ガイドロッド16はチャンバーの基端壁から長手方向に突出して延び、カメラに固定されたスリーブに収容できるような直径を有している。ガイドロッドの長手方向サイズは、クリーニング装置がアクティブな位置、またはパッシブ位置にあろうともスリーブから抜けることができないようになっている。この長手方向のサイズは、特に、直動駆動手段のチャンバー内のピストンの移動距離に応じて計算される。
【0033】
まず、パッシブ位置における本発明のクリーニング装置について、特に
図1および
図5を参照して説明する。このパッシブ位置において、クリーニングヘッド4はカメラの対物部材7の周りに配置され、カメラの視野内に存在しないように、レンズ8から後退している。従って、クリーニングヘッドは撮像の品質およびドライバーに提供される運転支援を損なうことがない。
【0034】
チャンバー22に収容されたばね30は、ピストン24を第一の端点まで押すが、この端点においてピストンは基端壁に可能な限り近い位置となる。この第一の端点において、ピストンは、図において任意に選択された方向に応じて、後部に可能な限り離れている。従って、直動駆動軸12および連結板10によってピストンに固定されたカメラも、後部に対して可能な限り離れている。カメラの対物部材およびその端部のレンズは、クリーニングヘッドの円環形により画成されたハウジング内に押し込められ、クリーニング装置が設置された車両の車体と同一平面にある。
【0035】
第一の開口部33を介してチャンバー22内に噴射された液体が圧力を発生させてしまい、ばね30の戻り力に抗してピストンを移動させてしまうことのないように、パッシブ位置が安定的に備えられる。
【0036】
クリーニング装置をアクティブ位置に移動するためのクリーニング装置の動作について、主に
図2および
図6を参照して説明する。
【0037】
バックカメラが使用される可能性がある状況であると検知されたとき、例えばクラッチがかみ合わされたとき、あるいは定期洗浄間の所定時間が経過したとき、制御モジュールは、供給管32を用い第一の開口部33を介して、チャンバー22へ液体を送る。液体でチャンバーを満たすことにより、ピストン24に対する圧力が発生し、ピストンが基端壁から離れる方向に押される。ピストンが、図の選択された向きに応じて、チャンバーの前部に向かい長手方向に移動することによって、カメラ2を車両の前方に向かって同時に移動させ、固定されたままのクリーニングヘッド4から離脱させる。
【0038】
液体がピストンを押すことでばね30が圧縮され、チャンバーにおいて基端壁26と動いているピストンの間で水が満たされている部分は、少なくとも水が第二の開口部36に到達するまで、増え続ける。この後、この液体は第二の通路を介して出ることができる。チャンバー内の液体のうち一部が、第二の開口部を介して排出される場合、ピストン24は二つの力による均衡の位置にあることがわかる。すなわち、一方がばね30による圧力であり、他方が、第一の通路を介して入る液体と第二の通路を介して出る液体の水量により与えられる圧力である。ピストンは元の場所に戻ろうとうするため、液体を第二の通路を介して強制的に排出し、供給管を介してクリーニングヘッドに向けて排出する。このピストンが戻る効果によって供給管34内の液体に圧力が加えられることにより、スプレーノズル20の出口の液体が、レンズ8の汚れを洗い落とし、きちんと洗浄するのに十分な速度で噴射される。
【0039】
実施態様の説明によると、有利なことに、レンズに噴射されるクリーニング液は、液圧を調整するための液体として、噴射の前にも使用される。すなわち、カメラおよびクリーニングヘッドを相対的に変位させる目的や、クリーニング装置をパッシブ位置からアクティブ位置に移行させる目的に使用される。つまり、まず圧力を調整する際に使用される液体と、その水圧による調整作用によりクリーニング装置を所望のアクティブ位置に位置決めした後、クリーニングヘッドからレンズに向けて噴射させるクリーニング液として使われる液体は同じ液体である。ここでクリーニングヘッドは、クリーニング液が循環し、続いて、駆動装置のチャンバーおよびクリーニングヘッドを通過する液圧回路の端部に位置している。
【0040】
クリーニング装置がパッシブ位置に戻され、その結果、特に、クリーニングヘッドが視野内になく、カメラが映像を撮ることができるとき、制御モジュールはチャンバーへの液体の供給を遮断する指令を出す。ばね30はピストン24を押して、基端壁26に対して元の位置に戻るようにし、チャンバーにある残りの液体を第一の通路を介して排出する。この際、再度クリーニング装置をアクティブ位置に移動させる場合にすぐに対応できるように、液体は供給管内に残したままである。ピストンが基端壁に対してその元の位置に戻る動きは、同時に、カメラをクリーニングヘッドのほうへ移動させる。
【0041】
前述の記載において、本発明がどのようにして先述の目的、特にクリーニング装置を提供する目的を達成できるかについて説明した。このクリーニング装置においては、クリーニングヘッドがカメラ、特にバックカメラのレンズをきちんと洗浄する。またこの際、クリーニングヘッドは、カメラによる映像の撮影を邪魔しないパッシブ位置をつくる。本クリーニング装置においては、有利なことに、このパッシブ位置からアクティブなクリーニング位置への移行が容易かつ最小限の移動で済むようになっている。
【0042】
もちろん、当業者によれば、限定することのない例を介して、記載されたクリーニング装置の構造に対する種々の変更が可能であろう。この限定することのない例では、車両走行支援用の撮像カメラがクリーニングヘッドに対して相対的に移動可能とされ、クリーニングヘッドとカメラが一体化したパッシブ位置から、それらが互いに分離して、クリーニングヘッドからカメラのレンズへ容易に水を噴射できるアクティブ位置へ移動する。上記にて詳細に説明した実施態様が本発明に限定を加えることはない。いずれにしても、本発明は、本書類で詳細に記載された実施態様によって制限されることはなく、また特に、すべての同等な手段および技術的に実行可能なこれらの手段の組み合わせについても制限されることはない。
【0043】
これに従い、記載されていない代替的な実施態様を下に述べる。また、いくつかの代替的な実施例は上述にも記載があるが、このリストは決して網羅的なものではない。
− 駆動手段は、カメラとクリーニングヘッドの相対的な直動運動をもたらす電気モーターを有し、さらに、クリーニング装置がアクティブ位置にあるとき、独立した供給回路がクリーニングヘッドにクリーニング液を供給する。
− 駆動手段の駆動軸がカメラではなくクリーニングヘッドに固定され、ピストンおよび駆動軸が長手方向に直動運動することで、クリーニングヘッドがそれに対応して長手方向に運動する。この場合、カメラを長手方向後方に移動させるのではなく、クリーニング装置を長手方向前方に移動させるものであるが、最終的な目的として、クリーニングヘッドがカメラの覆いを取り、クリーニングヘッドのスプレーノズルからカメラのレンズに向けてクリーニング液を噴射させるという点は同じであることが理解されるであろう。
− カメラのレンズの洗浄を始める条件を明確にし、特に、車両の後部スクリーンの洗浄を始めるのと同時に、クリーニングヘッドへクリーニング液を供給する。
【外国語明細書】