【課題】本発明は、印刷媒体、特に再生紙を用いた名刺、葉書、カード等の厚紙用紙の給紙・搬送・排出を不給、重送といったトラブルを生じることのない優れた機能を発揮するゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなる架橋成形物、工業用ゴム部品、OA機器用ゴム部品、印刷機器用ゴム部品の提供を目的とする。
【解決手段】(A)成分:エチレン・α−オレフィン系ゴムと(B)成分:極性基含有ゴムからなるゴム成分(a)と、(C)成分:架橋剤を含むゴム組成物であって、特に、(A)成分が、EPMあるいはEPDM、(B)成分が、平均結合AN量が、3〜30重量%、ΔANが、15〜50重量%、歪度が負値のNBRであって、(A)成分と(B)成分との重量比が95/5〜45/55、(C)成分が、有機過酸化物架橋剤であるゴム組成物を架橋することによって課題を解決する。
(A)成分がエチレン・α−オレフィン系ゴム、(B)成分が極性基含有ゴムであって、(A)成分と(B)成分との重量比が、95/5〜45/55であるゴム成分(a)と(C)成分の架橋剤からなるゴム組成物、該ゴム組成物を用いてなる架橋成形物、工業用ゴム部品、OA機器用ゴム部品、印刷用ゴム部品。
(A)成分のエチレン・α−オレフィン系ゴムが、エチレン・α−オレフィン共重合ゴムまたはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムであって、エチレンとα−オレフィンとの重量比が40/60〜90/10、非共役ジエンの共重合量がヨウ素価表示で3〜40であり、(B)成分の極性基含有ゴムが、α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムである請求項1に記載のゴム成分(a)。
エチレン・α−オレフィン共重合ゴムがEPM、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムがEPDM、α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムがアクリルニトリル・ブタジエンゴム(以下、NBRとも記す)である請求項1〜請求項2の少なくともいずれか1項に記載のゴム成分(a)。
EPDM中の非共役ジエンが、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン及び5−エチリデン−2−ノルボルネンの群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3の少なくともいずれか1項に記載のゴム成分(a)。
NBRが、平均結合アクリロニトリル量(平均結合AN量とも記す)3〜30重量%のNBR(1)からなる請求項1〜請求項4の少なくともいずれか1項に記載のゴム成分(a)。
NBRが、請求項5〜請求項6の少なくともいずれか1項に記載のNBR(1)と、平均結合アクリロニトリル量35〜70重量%のNBR(2)からなり、NBR(1)とNBR(2)の重量比が95/5〜10/90である請求項1〜請求項6の少なくともいずれか1項に記載のゴム成分(a)。
非共役ジエンが5−ビニル−2−ノルボルネンであるEPDMをヒドロシリル化反応用架橋剤及びヒドロシリル化反応用触媒で動的架橋し、NBRを海相、EPDMを島相とする海/島構造を有する請求項1〜請求項8の少なくともいずれか1項に記載のゴム成分(a)。
(C)成分が、架橋促進剤、共架橋剤及びヒドロシリル化反応用触媒の群から選択される少なくとも1種を含有してなる請求項1、請求項11の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
架橋成形物が、単層または多層構造であって、単層構造は本発明のゴム組成物、多層構造は少なくともその最表面層が本発明のゴム組成物を用いてなる請求項1に記載の架橋成形物。
紙製シートが再生シートであって、名刺、カード、葉書等の厚手の紙製シートへの印刷に用いる請求項1、請求項14の少なくともいずれか1項に記載の印刷機器用ゴム部品。
請求項1、請求項14〜請求項15の少なくともいずれか1項に記載の印刷機器用ゴム部品が、ピックアップローラー、給紙ローラー、搬送ローラー、排出ローラー、分離パッド。
請求項1、請求項14〜請求項16の少なくともいずれか1項に記載の印刷機器用ゴム部品を用いてなるインクジェットプリンタ、レーザープリンタ、プロッター、ファクシミリ、電話機、複写機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0011】
ゴム成分(a)を構成する(A)成分としては、エチレン及びα−オレフィン由来の繰り返し単位を含む共重合ゴムである。
【0012】
α−オレフィンとしては炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましい。炭素数が10以下のα−オレフィンを用いると、そのα−オレフィンと他の単量体との共重合性が良好となるため好ましい。例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができる。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、プロピレン及び1−ブテンが更に好ましい。A成分はこれらのα−オレフィンのうち、1種のα−オレフィンのみに由来する繰り返し単位を含むものであってもよいし、2種以上のα−オレフィンに由来する繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0013】
エチレン及びα−オレフィン由来の繰り返し単位のみから構成される共重合ゴム(エチレン・α−オレフィン二元共重合ゴム)としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・1−ペンテン共重合ゴム、エチレン・3−メチル−1−ブテン共重合ゴム、エチレン・1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン・3−エチル−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン・1−オクテン共重合ゴム、エチレン・1−デセン共重合ゴム及びエチレン・1−ウンデセン共重合ゴム等を挙げることができる。これらの中では、EPMが好ましい。
【0014】
(A)成分は、エチレン及びα−オレフィン由来の繰り返し単位を含む限りにおいて、他の繰り返し単位、例えば、非共役ジエン由来の繰り返し単位等を含むものであってもよい。非共役ジエンの具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐を有する非環状ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン;等を挙げることができる。
【0015】
これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン及び5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。A成分はこれらの非共役ジエンのうち、1種の非共役ジエンのみに由来する繰り返し単位を含むものであってもよいし、2種以上の非共役ジエンに由来する繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0016】
エチレン、α−オレフィン及び非共役ジエン由来の繰り返し単位から構成される共重合ゴム(エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合ゴム)としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン三元共重合ゴム、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合ゴム、エチレン・1−ブテン・ジシクロペンタジエン三元共重合ゴム、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン三元共重合ゴム及びエチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合ゴム等を挙げることができる。これらの中では、エチレン・プロピレン・非共役ジエン系の共重合ゴム(EPDM)が好ましい。
【0017】
(A)成分は以上説明した共重合ゴムのうち、1種の共重合ゴムのみを含む共重合ゴムであってもよいし、2種以上の共重合ゴムを含む共重合ゴムであってもよい。
【0018】
(A)成分を構成するエチレンと、α−オレフィンとの重量比としては40/60〜90/10である。好ましくは50/50〜80/20である。より好ましくは55/45〜70/30である。
【0019】
エチレンが40重量%未満であると、ゴム組成物の機械的強度が低下する傾向にあり好ましくない。この傾向は架橋剤として有機過酸化物を使用した場合に特に顕著である。一方、90重量%を超えるとゴム組成物の柔軟性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0020】
α−オレフィンが、10重量%未満であると、ゴム組成物として要求されるゴム弾性が得られ難くなる傾向にあり、一方、60重量%を超えるとゴム組成物の耐久性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0021】
(A)成分が、非共役ジエンを含む場合、非共役ジエンの共重合量は、ヨウ素価表示で3〜40、好ましくは5〜35、さらに好ましくは8〜30であることが望ましい。また、(A)成分を構成するエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合体ゴムの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.8〜4dl/g、好ましくは1〜3.5dl/gである。極限粘度が0.8dl/gよりも低いと液体状となりゴムとしての操作性に劣り、4dl/gよりも高いと通常の混練機で混練することが困難になる。
【0022】
(A)成分は、例えば、チーグラー・ナッタ触媒の他、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、エチレン、α−オレフィン、必要に応じて他のモノマー成分(非共役ジエン等)を重合させることにより得られる。この際、必要に応じて分子量調節剤としての水素を供給しつつ重合してもよい。重合は、気相法(流動床ないしは撹拌床)、液相法(スラリー法ないしは溶液法)のいずれでも実施することができる。
【0023】
「可溶性バナジウム化合物」としては、VOCl
3及びVCl
4の群から選択される少なくとも1種とアルコールとの反応生成物を用いることが好ましい。この場合、「アルコール」としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール等を挙げることができる。中でも、炭素数3〜8のアルコールを用いることが好ましい。
【0024】
「有機アルミニウム化合物」としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリド、トリメチルアルミニウムと水との反応生成物であるメチルアルミノキサン等を挙げることができる。中でも、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドとトリイソブチルアルミニウムとの混合物、トリイソブチルアルミニウムとブチルアルミニウムセスキクロリドとの混合物を用いることが好ましい。
【0025】
可溶性バナジウム化合物を溶解させるための「溶媒」としては、通常、炭化水素溶媒が用いられ、中でも、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン等を用いることが好ましい。これらの炭化水素溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
(A)成分の態様としては、例えば、ベール、クラム、ペレット、粉体(ベール粉砕品を含む)等の態様が挙げられ、いずれを用いてもよい。また、後に詳述するように、(A)成分の少なくとも一部として、(A)成分と鉱物油系軟化剤とが予め混合された油展ゴムを用いることも本発明の好ましい形態の一つである。油展ゴムを用いるとゴム組成物からブリードアウトし難いという利点がある。
【0027】
伸展油としては、例えば、鉱物油または合成油等を用いることができる。鉱物油としてはアロマティック系伸展油、ナフテン系伸展油、パラフィン系伸展油が挙げられる。また、合成油としては、アルキルベンゼン系オイルが挙げられる。
【0028】
アロマティック系伸展油としては、出光興産社製のダイアナプロセスオイルAC−12、AC−460、AH−16、AH−58、エクソンモービル社製のモービルゾールK、同22、同130、日鉱共石社製の共石プロセスX50、X100、X140、シェル化学社製のレゾックスNo.3、デュートレックス729UK、新日本石油社(旧日本石油社)製のコウモレックス200、300、500、700、エクソンモービル社製のエッソプロセスオイル110、同120、新日本石油社(旧三菱石油社)製の三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0029】
ナフテン系伸展油としては、出光興産社製のダイアナプロセスオイルNS−24、NS−100、NM−26、NM−280、NP−24、エクソンモービル社製のナプレックス38、富士興産社製のフッコールFLEX#1060N、#1150N、#1400N、#2040N、#2050N、日鉱共石社製の共石プロセスR25、R50、R200、R1000、シェル化学社製のシェルフレックス371JY、同371N、同451、同N−40、同22、同22R、同32R、同100R、同100S、同100SA、同220RS、同220S、同260、同320R、同680、新日本石油社(旧日本石油社)製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル社製のエッソプロセスオイルL−2、同765、新日本石油社(旧三菱石油社)製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0030】
パラフィン系伸展油としては、出光興産社製のダイアナプロセスオイルPW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430、富士興産社製のフッコールプロセスP−100、P−200、P−300、P400、P−500、日鉱共石社製の共石プロセスP−200、P−300、P−500、共石EPT750、同1000、共石プロセスS90、シェル化学社製のルブレックス26、同100、同460、エクソンモービル社製のエッソプロセスオイル815、同845、同B−1、エクソンモービル社製のナプレックス32、新日本石油社(旧三菱石油社)製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0031】
アルキルベンゼン系オイルは、プロピレンのテトラマーとベンゼンとの反応、またはn−パラフィンの脱水素化反応により得られるn−オレフィンとベンゼンとの反応によって製造される炭化水素系オイルであり、例えば、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、ジフェニルアルカン等のアルキルベンゼン類を含有する合成オイルである。
【0032】
このような伸展油は、2種類以上を併用することができ、その総配合量は、(A)成分100重量部に対して、5〜200重量部であることが好ましく、10〜180重量部であることが更に好ましく、10〜120重量部であることが特に好ましい。
【0033】
ゴム成分(a)を構成する(B)成分としては、分子中に極性基を有するものであれば特に制限はないが、その
分子構造中に炭素(C)と水素(H)のほかに、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、ハロゲン(F、Cl、Br等)、リン(P)等の原子を含有する極性基を有するゴムが好ましい。たとえば、α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴム、UR、ACM、CR、AEM、EVM、CSM、X−IIR、X−EP(D)M、X−NR、FKM、多硫化ゴム等が挙げられる。X−EP(D)M、X−NRにおけるXは、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸エステル基等が挙げられる。極性基の導入は、例えば極性基含有単量体をグラフト重合する方法や高分子反応により行なわれる。
【0034】
さらに本発明で用いられる(B)成分の分子量の指標であるムーニー粘度(ML
1+4,100℃)が、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜150である。ムーニー粘度が低すぎると、ゴムの強度物性が劣る場合がある。一方、高過ぎると、未架橋状態での取扱性が悪化してしまい、加工性および成形性に劣る場合がある。また、上記(B)成分のなかで、好ましくはα,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴム、UR、X−IIR、X−EP(D)M特に好ましくはα,β−不飽和ニトリル共役ジエン系ゴムである。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0035】
α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムは、(b1)成分:共役ジエンと、(b2)成分:α,β−不飽和ニトリルと、必要に応じて、(b3)成分:(b1)成分、(b2)成分と共重合可能なその他の単量体、を共重合させることにより得られる共重合ゴムである。
【0036】
(b1)成分としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−トリメトキシシリル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。これらの中でも、ブタジエンが好ましい。
【0037】
(b2)成分としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。
【0038】
(b3)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体を挙げることができる。これらの中でも、エチルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレートが好ましい。
【0039】
α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムの重合方法は、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法等が挙げられる。ラジカル重合法としては、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられ、重合終了時に安定な乳化分散液が得られる観点から、乳化重合法が特に好ましい。この乳化重合法は、所定の比率に混合された単量体を乳化剤の存在下、水系媒体中で乳化させ、ラジカル重合開始剤により重合を開始させ、所定の重合転化率に達した後、重合停止剤にて重合を停止する方法等が挙げられる。
【0040】
上記「乳化剤」としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アニオン系界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩、ロジン酸塩等が汎用される。より具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸のカリウム塩ないしはナトリウム塩等を好適に用いることができる。また、これらの乳化剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
上記「ラジカル重合開始剤」としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリルにより代表されるジアゾ化合物;過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化物;及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合せに代表されるレドックス系触媒等を用いることもできる。これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
更に、成分の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用してもよい。この「連鎖移動剤」としては、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレンまたはγ−テルピネン類等を使用することができる。
【0043】
α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムを重合する際に、各々の単量体、乳化剤、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤等は、反応容器に全量を一括して投入して重合を開始してもよいし、反応継続時に連続的に、または間欠的に追加してもよい。また、上記重合は、酸素を除去した雰囲気下で、通常0〜100℃、好ましくは0〜80℃の温度で行うことが好ましい。なお、反応途中で温度や攪拌等の反応条件を適宜に変更することもできる。重合方式は連続式でもよいし、回分式であってもよい。
【0044】
重合の停止は、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加することによって行うことが一般的である。上記重合停止剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノン等のキノン化合物;等を用いることができる。α,β−不飽和ニトリル共役ジエン系ゴムは、重合停止後、必要に応じて、水蒸気蒸留等の方法により反応系から未反応単量体を除去し、ラテックスを凝固させることによって得ることができる。
(B)成分の態様としては、例えば、ベール、クラム、ペレット、粉体(ベール粉砕品を含む)等の態様が挙げられ、いずれを用いてもよい。
【0045】
α,β−不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムとしては、特にアクリロニトリル・ブタジエンゴム:NBR、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム:H−NBRであることが好ましい。NBR、H−NBRは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合ゴムであり、後者はブタジエンの二重結合の一部が水素添加されたものである。なお、以下、H−NBRも含めてNBRと記述する。
【0046】
当該NBRは、単独あるいは2種以上のNBRからなり、少なくとも1種は、平均結合アクリロニトリル量(平均結合AN量とも記す)が、3〜30重量%好ましくは5〜30重量%特に好ましくは10〜30重量%を満たすNBR(1)である。3重量%未満では、本発明のゴム組成物を用いて得られる給紙性が不十分となる。一方、30重量%を超えると(A)成分との相溶性に支障を来たし、機械的性質が低下し好ましくない。
さらに、NBR(1)は、次の(i)及び/または(ii)を満たすNBR(1)であることがより好ましい。
(i)結合AN量の組成分布幅(ΔAN)として好ましくは、15〜50重量%特に好ましくは20〜50重量%である。
(ii)結合AN量の組成分布曲線における歪度が、負値を示すことが好ましい。
ΔANが、15〜50重量%では、(A)成分との相溶性が向上し、機械的性質、さらに本発明のゴム組成物を用いて得られる給紙ローラーによる給紙性がより優れる。15重量%未満では、相溶性が不十分で給紙性の効果が小さい。50重量%を超えるとNBR製造に長時間を要するため好ましくない。一方、歪度が、負値の場合、低AN側に裾が長く広がった形状を示し、(A)成分との相溶性に優れ、機械的強度や給紙性が向上する。一方零あるいは正値の場合はその効果が不十分となる。
【0047】
NBRは、NBR(1)の他に、更にNBR(2)を含んでもよい。例えば高ANのNBR(平均結合AN量35〜70%)である。高ANのNBRは、平均結合AN量の増大に伴い溶解度パラメータ(SP値)はより大きくなり、再生紙に含まれる澱粉との馴染みが向上する。このことは給紙・搬送・排出性にとってはより好ましい傾向にある。ただし、平均結合AN量が70を超えると硬度が高過ぎゴム弾性が低下し好ましくない。
【0048】
NBR(1)とNBR(2)との重量比については、特に制限はないが、95/5〜10/90好ましくは90/10〜20/80である。NBR(1)単独でも、従来用いられてきたEPM、EPDM製の給紙ローラーに比し優れているが、NBR(2)とのブレンドによりさらに優れた効果をもたらす。ただし、NBR(2)が90を超えると、圧縮永久歪が大きくなり、ローラーの復元性に問題を生じ、給紙性にも悪影響を及ぼす。NBR(2)が5未満では、添加効果が期待できず好ましくない。
【0049】
ゴム成分(a)中の(A)成分と(B)成分との重量比としては、特に制限はないが、好ましくは95/5〜45/55より好ましくは90/10〜60/40である。(A)成分の比率が45未満では、耐候性が不十分で成形物の表面に亀裂が生じる恐れがある。一方、(B)成分の比率が5未満では、紙表面との相性が不十分で添加効果が小さい。
【0050】
ゴム成分(a)の相構造は、(A)成分と(B)成分とが、両相連続相を形成してもよいし、いずれか一方を海相(連続相)、他方を島相(不連続相)とする海/島構造を形成してもよい。海/島構造を作る方法としては、(イ)島相になる成分として、予め架橋した微粉末ゴムを用いる方法、(ロ)両相連続相中で、一方を選択的に架橋させる架橋剤を添加し、せん断変形を与えながら架橋させて海/島構造を得る方法のいずれでもよい。
【0051】
本発明のゴム組成物を構成する(C)成分の架橋剤としては、用いられるゴムの種類により、硫黄架橋剤、
有機過酸化物架橋剤、キノイド架橋剤、樹脂架橋剤、金属酸化物架橋剤、含硫黄有機化合物、アミン架橋剤、トリアジン架橋剤、ポリオール架橋剤、金属石けん架橋剤、マレイミド架橋剤、ヒドロシリル化反応用架橋剤等を適宜選択して使用する。
【0052】
硫黄架橋剤としては、例えば粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等が挙げられる。これらの硫黄加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
有機過酸化物架橋剤としては、例えば1,1−ジ第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ第三ブチルパーオキサイド、第三ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(第三ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、第三ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、第三ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、第三ブチルパーオキシネオデカネート、第三ヘキシルパーオキシネオデカネート、第三ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、第三ヘキシルパーキシピバレート、第三ブチルパーヘキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシイソイソブチレート、1,1−ビス(第三ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、第三ブチルパーオキシマレイックアシッド、第三ブチルパーオキシラウレート、第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、第三ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)オクタン、第三ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)ブタン、第三ブチルパーオキシベンゾエート、ブチル−4,4−ビス(第三ブチルパーオキシ)バレレート、ジ第三ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(第三ブチルパーオキシ−mーイソプロピル)シクロヘキサン、ジイソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、pーメンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、第三ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
キノイド架橋剤としては、例えばp−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロベンゼン等が挙げられる。これらのキノイド架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
樹脂架橋剤としては、例えばアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン−ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂架橋剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
金属酸化物架橋剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
含硫黄有機架橋剤としては、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N、N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2ー(4’ーモルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの含硫黄有機架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
ポリアミン系架橋剤としては、例えばヘキサメチレンジアミンカルバメ−ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ−ト等が挙げられる。これらのポリアミン系架橋剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0059】
トリアジン加硫剤としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらのトリアジン架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0060】
ポリオ−ル架橋剤としては、例えばビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト−ル等が挙げられる。これらのポリオール系架橋剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0061】
金属石けん架橋剤としては、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられる。これらの金属石けん架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
マレイミド架橋剤としては、例えばN,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。これらのポリオ−ル架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0063】
ヒドロシリル化反応用架橋剤としては、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されないが、例えば、直鎖状、分岐状、環状、または三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。ケイ素原子に結合している有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0064】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物が例示される。
【0065】
上記架橋剤のうち、好ましくは硫黄架橋剤、有機過酸化物架橋剤であり、特に好ましくは有機過酸化物架橋剤である。(A)成分と(B)成分とは非極性ゴムと極性ゴムとの組み合わせであって、硫黄架橋剤は、(B)成分と馴染みがあり、(B)成分側に偏在しやすい。一方、有機過酸化物架橋剤は、どちらの成分にも分配されやすい特徴を有しており、より好ましい。
【0066】
(C)成分は、架橋剤の他に架橋を効率的に進行させるために、以下の架橋促進剤、共架橋剤、ヒドロシリル化反応用触の群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
【0067】
架橋促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド・アンモニア等のアルデヒドアンモニア類;n−ブチルアルデヒドーアニリン縮合品、ブチルアルデヒドーモノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒドーアニリン反応品、トリクロトニリデン・テトラミン等のアルデヒドアミン類;ジフェニルグアニジン、ジーoートリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グアニジン塩等のグアニジン塩類;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド等のチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等のスフェンアミド類;チオカルバニド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素等のチオ尿素類;ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジーn−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィド等のチウラム類;イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛等のザンテート類;4,4’−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステル等が挙げられる。これらの架橋促進剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
共架橋剤としては、例えば硫黄、pーキノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’ージベンゾイルキノンジオキシム、NーメチルーN’ー4ージニトロソアニリン、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメトロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルメラミン、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレンーブタジエンゴム、液状アクリロニトリルーブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸第一錫、(メタ)アクリル酸マグネシウム等が挙げられる。これらの共架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
ヒドロシリル化反応用触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、イリジウム系触媒、パラジウム系触媒、ルテニウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末を例示することができる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
【0070】
本発明のゴム組成物にはその目的を阻害しない範囲内において、その他の成分(D)として、以下の添加剤を使用することができる。(A)成分と(B)成分に含まれるゴムを除いたゴム、液状ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、活性剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、滑剤、奪水剤、ワックス、光安定剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等のカップリング剤、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助剤、抗菌剤、素練り促進剤、蓄熱剤、帯電防止剤、電子導電付与剤、イオン導電付与剤、熱伝導付与剤、放熱剤、蓄光剤、応力発光剤、着色剤等を添加することもできる。
【0071】
このうち充填剤としては、例えばカーボンブラック、乾式シリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、カオリン、セリサイト、微粉タルク、ウォラストナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、PMF(Processed Mineral Fiber :加工鉱物繊維)、セピオライト、炭酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルンシラスバルン、カーボン系バルン、フェノール樹脂、尿素樹脂、スチレン系樹脂、サラン樹脂等の有機系バルン、アルミナ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、炭酸繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム粉末、エボナイト粉末、有機補強剤、有機充填剤等を挙げることができる。前記充填剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
このうち、乾式シリカ、湿式シリカは、シランカップリング剤で処理したものが、混練り加工性、機械的強度、圧縮永久歪、摩擦係数が良好であり好ましい。シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフェン等が挙げられる。このうち、有機過酸化物架橋に適したビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。このようなシランカップリング剤の配合量は、充填剤100重量部に対して、1〜10重量部である。1重量部未満では、シランカップリング剤の性能が十分に発揮できず、一方、10重量部を超えると、架橋成形工程において、金型からの脱型が困難となり好ましくない。
【0073】
充填剤の配合量は、ゴム成分(a)100重量部に対して、通常、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、特に好ましくは10〜60重量部である。5重量部未満では、強度が不足し、200重量部を超えると、圧縮永久歪、硬度が高過ぎ好ましくない。
【0074】
また、帯電防止剤は、紙粉等の塵の付着を防止できる点で好ましく使用することができる。このような帯電防止剤としては、例えば、高分子型帯電防止剤及び/またはイオン性塩、界面活性剤などを挙げることができる。好ましくは、高分子型帯電防止剤及び/またはイオン性塩である。
高分子型帯電防止剤としては、少なくとも2個以上の繰返し単位を有する帯電防止剤であり、好ましくは、例えば、数平均分子量1,000以上の高分子型の帯電防止剤であれば使用でき、非イオン性、カチオン性あるいはアニオン性の高分子型帯電防止剤でも制限はされない。 このうち、非イオン性のものが好ましく、特に、親水性セグメントを有し、その親水性セグメントの吸湿性によって制電性が付与された高分子型帯電防止剤が好ましい。
【0075】
例えば、ポリエーテル系重合体であり、格別な制限なく、主鎖にエーテル結合(−C−O−C−)を有する重合体が用いられる。ポリエーテル系重合体として、好ましくは、アルキレンオキシド、エピハロヒドリン、不飽和エポキシドなどのオキシラン化合物を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、ブロックまたはランダムに付加重合したものが用いられる。具体例としては、例えば、アルキレンオキシドの単独重合体、2種以上のアルキレンオキシドの共重合体、アルキレンオキシドとエピハロヒドリンとの共重合体、アルキレンオキシドと不飽和エポキシドとの共重合体、アルキレンオキシドとエピハロヒドリンと不飽和エポキシドとの共重合体、エピハロヒドリンの単独重合体、2種以上のエピハロヒドリンの共重合体、エピハロヒドリンと不飽和エポキシドとの共重合体、不飽和エポキシドの単独重合体、2種以上の不飽和エポキシドの共重合体などが挙げられる。
【0076】
これらの中でも、2種以上のアルキレンオキシドの共重合体やアルキレンオキシドと不飽和エポキシドとの共重合体が好ましく、アルキレンオキシドと不飽和エポキシドとの共重合体が特に好ましい。ポリエーテルの成分として、アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−iso−ブタン、2,3−エポキシブタン、アミレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−2−ペンチルプロパン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、アミレンオキシドなどの低級アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドやプロピレンオキシドが特に好ましい。
【0077】
エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、2,3−エポキシ−1,1,1−トリフルオロプロパンなどが挙げられ、通常はエピクロルヒドリンが用いられる。
【0078】
不飽和エポキシドとしては、分子内に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合と少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物であれば格別な限定はないが、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、オクテニルグリシジルエーテルなどのアルケニルグリシジルエーテル;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;スチレンエポキシド、グリシジルフェニルエーテルなどのアリールエポキシド;などが挙げられる。これらの中でも、アルケニルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。ポリエーテル系重合体の市販品として、日本ゼオン社製のゼオスパン8010(エチレンオキシド・プロピレンオキシド・アリルグリシジルエーテル共重合比率(モル%)=87:1:12 数平均分子量 6万)、同じくゼオスパン8030(エチレンオキシド・プロピレンオキシド・アリルグリシジルエーテル共重合比率(モル%)=94:2:4 数平均分子量 8万)を挙げることができる。
【0079】
さらに、親水性ポリマーと親油性ポリマーとのブロック共重合体も高分子型帯電防止剤として好ましく用いることができる。
【0080】
こうした高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体等の親水性ポリマー/親油性ポリマーブロック共重合体が挙げられる。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体では、ポリエーテルのブロックが親水性セグメントとして機能するとともに、ポリオレフィンのブロックが親油性セグメントとして機能する。すなわち、親水性セグメントは、その吸湿性によって成形体の表面抵抗を低下させる作用を奏し、親油性セグメントは、基材であるゴム成分(a)との相溶性を高める作用を奏することから、特に優れた帯電防止剤である。
【0081】
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリエーテルとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマー等が含まれる。ポリエーテル含有親水性ポリマーとしては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド及びポリエーテルジオール又はポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが含まれる。
【0082】
ポリエーテルを構成するオキシアルキレン基は、例えばアルキレンの炭素数が2〜4のオキシアルキレン基であるエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。ポリエーテルを構成するオキシアルキレン鎖中におけるオキシエチレン基の占める割合は、制電性を高めるという観点から、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは60〜100重量%である。なお、ポリエーテルの数平均分子量は150〜20,000が好ましい。
【0083】
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリオレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜30のオレフィンから選ばれる少なくとも一種を重合して得られるポリオレフィン、より好ましくはエチレン及びプロピレンの少なくとも一種を重合して得られるポリオレフィンである。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリエーテルのブロックと、ポリオレフィンのブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数としては特に制限は無いが、制電性を付与する作用を考慮すると、好ましくは2〜50、より好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、最も好ましくは3〜10である。
【0084】
また、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体の重量比としては特に制限はないが、好ましくは20/80〜90/10、更に好ましくは25/75〜80/20、特に好ましくは30/70〜70/30である。
【0085】
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体の数平均分子量としては特に制限はないが、好ましくは2,000〜60,000、更に好ましくは5,000〜40,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。
このような高分子型帯電防止剤としては、三洋化成社製のペレスタット230、ペレスタット300、ペレスタット303等を挙げることができる。
【0086】
高分子型帯電防止剤を用いる場合には、ゴム成分(a)と高分子型帯電防止剤との相溶性を高めるために、相溶化剤を添加してもよい。
【0087】
相溶化剤としては、例えば、EVA/EPDM/ポリオレフィン系グラフトコポリマー、ポリオレフィン系グラフトコポリマーおよび反応性(GMA、MAH含有)ポリオレフィン系グラフトコポリマー、P(St−co−GMA)、EGMA、P(Et−co−EA−co−MAH)、SEBSおよびその無水マレイン酸変性物、オキサゾリン基含有スチレン系またはアクリロニトリル−スチレン系ポリマー、無水マレイン酸変性EPDM、無水マレイン酸変性PE、無水マレイン酸変性PP、無水マレイン酸変性EVA、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、SANグラフトEP(D)M、反応性ポリスチレン、ポリカプロラクトン−b−ポリスチレン、反応性スチレン・アクリロニトリルコポリマー、イミド化ポリアクリレート、エチレン・グリシジルメタクリレートアクリル酸コポリマー、塩素化ポリエチレン、反応性フェノキシ、シラン化合物、ペルオキシドポリマー、ポリカプロラクトン等が挙げられる(上記列挙中の略称は、夫々、EVA:エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM:エチレン−プロピレン・ジエン共重合体、EGMA:エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、SEBS:スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、GMA:メタクリル酸グリシジル、MAH:無水マレイン酸、EA:アクリル酸エチルである)
【0088】
これら相溶化剤を、ゴム成分(a)と高分子型帯電防止剤との総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部添加することにより、両者の相溶性を向上して、高分子型帯電防止剤の均質かつ良好な分散を可能にし、良好なゴム組成物を得ることができる。
【0089】
イオン性塩としては、特に制限はないが、例えば、1個以上のアリル基を有する窒素オニウムカチオンと弱配位性アニオンとからなるイオン性塩が好ましい。このイオン性塩は、高いイオン密度を有し、イオン移動度も大きいので、高いイオン伝導度を有する。
【0090】
窒素オニウムカチオンとしては、脂肪族窒素オニウムカチオン、不飽和環式窒素オニウムカチオン及び芳香族窒素オニウムカチオンが挙げられる。脂肪族窒素オニウムカチオンでは、第4級アミンが好ましく、特に、アリル基以外のアルキル基の炭素数が1〜18の第4級アルキルアミンが好ましい。
【0091】
また、不飽和環式窒素オニウムカチオン及び芳香族窒素オニウムカチオンとしては、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム及びトリアゾリウムが挙げられる。これらの不飽和環式窒素オニウムカチオン及び芳香族窒素オニウムカチオンの第4級アミンであれば、より好ましい。
【0092】
弱配位性アニオンとしては、少なくとも1個の高フッ素化アルキルスルホニル基を含む弱配位性フッ素有機アニオン、BF
4−、又はPF
6−であればよい。高フッ素化アルキルスルホニル基とは、全ての非フッ素炭化結合置換基が、スルホニル基に直接結合した炭素原子以外の炭素に結合しているパーフルオロアルカンスルホニル基又は部分フッ素化アルカンスルホニル基をいう。
【0093】
尚、イオン性塩は、公知の方法(例えば、渡邊正義他「イオン性液体の機能創生と応用」エヌ・ティー・エス(2004))を用いて製造できる。
【0094】
また、他のイオン性塩としては、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が挙げられる。この塩は水に溶解した状態で使用する。フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群の内の少なくとも1つから選ばれたアニオンと、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属及び両性金属からなる群の少なくとも1つから選ばれたカチオンからなる。
【0095】
上記アニオン及びカチオンによって構成される塩のうち、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなるものが好ましい。
【0096】
具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi(CF
3SO
2)
2N、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリカリウムK(CF
3SO
2)
2N、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa(CF
3SO
2)
2N、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムLi(CF
3SO
2)
3C、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドカリウムK(CF
3SO
2)
3C、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムNa(CF
3SO
2)
3C、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF
3SO
3)、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムK(CF
3SO
3)及びトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムNa(CF
3SO
3)が好ましい。
【0097】
なかでも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムが挙げられる。特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウムが好ましい。尚、イオン性塩の添加量としては、特に制限はないが、ゴム成分(a)100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部である。
【0098】
フルオロ基及び/又はスルホニル基を有する有機金属塩を用いる場合、添加量としては特に制限はないが、ゴム成分(a)100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.2〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部である。
【0099】
高分子型帯電防止剤とイオン性塩とを含有したものとして、例えば三光化学工業社製のサンコノール TBX−8310は、エチレンオキシド・プロピレンオキシド・アリルグリシジルエーテル共重合体とフルオロ基及び/又はスルホニル基を有する有機リチウム塩との混合物として市販されている。ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマーとフルオロ基及び/又はスルホニル基を有する有機リチウム塩との混合物として三光化学工業社製のサンコノールTBX−65が市販されている。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマーとフルオロ基及び/又はスルホニル基を有する有機リチウム塩との混合物として三光化学工業社製のサンコノールTBX−310、三洋化成工業社製のペレクトロンHS、同PVHが市販されている。
【0100】
帯電防止剤の添加量としては特に制限はないが、ゴム成分(a)100重量部に対し、好ましくは1〜100重量部、更に好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。1重量部未満では、効果が不十分の場合があり、100重量部を超えると価格的に高価である。
【0101】
上記帯電防止剤以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の帯電防止剤、例えば電子導電性高分子を挙げることができる。
【0102】
電子導電性高分子の具体的例としては、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−アルコキシチオフェン)、ポリ(クラウンエーテルチオフェン)、ポリピロール、ポリ(ジアルキル−2,2’−ビピリジン)、ポリピリジン、ポリアルキルピリジン、ポリ(2,2’−ビピリジン)、ポリ(N−アルキルピロール)、ポリピリミジン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリキノリン、ポリイソキノリン、ポリ(1,2,3−ベンゾチアジアゾール)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(キノキサリン)、ポリ(2,3−ジアリルキノキサリン)、ポリ(1,5−ナフチリジン)、ポリ(1,3−シクロヘキサジエン)、ポリ(アントラキノン)、ポリ(Z−メチルアントラキノン)、ポリ(フェロセン)及びポリ(6,6’−ビキノリン)などがある。
【0103】
上記電子導電性高分子の例示中、アルキル基は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素を意味する。また、前記電子導電性高分子の炭化水素がスルホン基に置換されれば、陽イオン輸送がより効果的に促進される。
【0104】
本発明に用いるゴム成分(a)は、例えば、以下の1法、2法のいずれかの方法によって得ることができる。なお、(D)成分であるその他の成分は、ゴム成分(a)を得る工程で添加してもよいし、ゴム成分(a)を得た後工程で添加してもよい。
(1)法[(A)成分、(B)成分ともに連続相を形成]
(A)成分、(B)成分をバンバリーミキサー、ニーダー等の混練機を使用し、温度50〜180℃で混練してゴム成分(a)を得る。
(2)法[(A)成分、(B)成分のいずれかが島相である海/島構造を形成]
(2・1法);(A)成分、(B)成分並びに(A)成分または(B)成分を選択的に架橋する架橋剤を、バンバリーミキサー等の混練機を使用し、温度50〜180℃で混練し、一方を選択的に架橋してゴム成分(a)を得る。
(2・2法);海相を形成する成分と、島相を形成する成分として微粉末ゴムをバンバリーミキサー等の混練機を使用し、温度50〜180℃で混練してゴム成分(a)を得る。
上記(1)法または(2)法で得たゴム成分(a)を冷却した後、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロール等を使用して、ゴム成分(a)と(C)成分の架橋剤[(2)法の場合は、先に用いた架橋剤とは異なる架橋剤を用いる]を混練り配合することにより本発明のゴム組成物を得る。次に得られたゴム組成物を、プレス加硫機、熱風加硫機、射出加硫機、UV加硫機、放射線加硫機等によって架橋して架橋成形物を得ることができる。
【0105】
本発明のゴム組成物を用いた架橋成形物の構造は、単層または多層構造を有し、単層構造は本発明のゴム組成物からなり、多層構造は少なくとも最表面層が、本発明のゴム組成物からなり、最表面層以外の層については、ゴム系、樹脂系(熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー)のいずれであってもよい。
【0106】
また、本発明のゴム組成物を用いた架橋成形物として具体的には、工業用ゴム部品、OA機器用ゴム部品、印刷機器用ゴム部品であり、特に印刷機器用ゴム部品として、ピックアップローラー、給紙ローラー、搬送ローラー、排出ローラー、プラテンローラー等の各種ローラーや分離パッドとして好適に用いられる。
【0107】
上記印刷機器用ゴム部品の対象とする印刷媒体としては特に制限はない。紙製、樹脂製、金属製のシートあるいはフィルム等の印刷媒体への印刷のための印刷機器用ゴム部品として適用可能である。特に紙製シートあるいはフィルムについては、非再生、再生を問わず、また厚みは、薄手・厚手を問わず、これらの印刷媒体への印刷のための印刷機器用ゴム部品として適用可能である。
【0108】
中でも、従来、重送、不給等のトラブルの多発した厚手のシート、特に名刺、カード、葉書(官製葉書、私製葉書)、光沢写真シートなどへの印刷のための印刷機器用ゴム部品に好適に用いることができる。
【0109】
本発明の印刷機器用ゴム部品を用いてなる機器としては特に制限はない。例えばインクジェットプリンタ、レーザープリンタ、プロッター、ファクシミリ、電話機、複写機を挙げることができる。
【実施例】
【0112】
以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
〔評価方法〕
【0113】
(1)平均結合アクリロニトリル量(平均結合AN量):コールマン窒素分析計より求めた。
【0114】
(2)AN量の組成分布幅(ΔAN):特公昭62−7934に準拠して求めた。
【0115】
(3)歪度:結合AN量の度数分布曲線より求めた。
AN量の度数分布曲線(横軸にAN量、縦軸に度数をとった分布曲線)において、平均値の回りの3次モーメントを標準偏差の3乗で除した値が、歪度に該当する。平均値が最頻値より低AN側に位置する場合に歪度が負値を示す。つまり、NBR中のAN量の度数分布曲線が、低AN側に裾が広がっていることを意味し、このことが(A)成分との相溶性を高め、機械的性質に優れるとともに、極性を生かして用紙との摩擦係数を向上させる機能を有している。
【0116】
(4)摩擦係数:
図1に示す装置を用いて測定した。温度23℃、湿度50%の雰囲気下、給紙ローラー5とテフロン(登録商標)板6との間にA4サイズの再生紙4をセットし、再生紙4に対して500gfの鉛直荷重(W)をかけ、矢印aで示す方向に周速300mm/sec(a)でゴムローラーを回転させてその時のロードセル7の測定値(F,単位:gf)を求め、摩擦係数(μ)を下式で求めた。摩擦係数(μ)=F/500なお、初期摩擦係数(μ
0 )は、ゴムローラー製造後、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で、1日放置後に測定した値である。一方、摩擦係数(μ
10)、(μ
20)、(μ
30)は、それぞれA4サイズのコピーシート(再生紙)10万回、20万回、30万回通紙後に測定したものである。
【0117】
(5)引張試験:JIS K6251に準拠し、引張強度、伸びを算出した。
(6)硬さ試験: 硬度 JIS K6253 タイプAデュロメータ を用いて硬度(Hs)を測定した。
【0118】
(7)オゾン劣化試験:JIS K6259に準拠し、ゴムシートからJIS 1号ダンベル試験片を打ち抜いて、所定の治具にセットし、試験片を50%伸長後、40℃、オゾン濃度50pphmの雰囲気下72時間放置した後、シート表面の亀裂の有無を観察した。またゴムローラーを40℃、オゾン濃度100pphmの雰囲気下72時間放置して、ゴムの表面亀裂の有無を観察した。
【0119】
(8)通紙試験:A4コピーシート(再生紙)、官製葉書を使用し実施した。
【0120】
(参考例1)〔NBR(1):n1の重合〕
ガラス製オートクレーブ中に蒸留水1500g、ロジン酸カリウム36gブタジエン(以下BDと略記する)1000g、アクリロニトリル(以下ANと略記する)250g、t−ドデシルメルカプタン(以下TDMと略記する)4.0gを仕込みP−メンタンヒドロペルオキシド−硫酸第一鉄を開始剤とし、13℃で重合し転化率70%で重合を停止した。次に生成ラテックスにオクチル化ジフェニルアミンを加え加熱水蒸気により未反応単量体を除去し、硫酸アルミニウム水溶液中に沈殿させることにより重合体を析出させ、水洗、乾燥した。得られた共重合体ゴムn1は常法により精製した後、コールマン窒素分析計により平均結合アクリロニトリル量(AN量)を求めた。その結果、平均AN量=22.1重量%であった。また、特公昭62−7934の方法に基づいてΔANを求めた。ΔAN=21.2重量%であった。
【0121】
(参考例2)〔NBR(1):n2の重合〕
実施例1と同様条件下、BD1100g、AN150g、TDM3.9gを仕込み、重合を開始し、転化率75%で重合を停止した。得られた共重合体ゴムn2は、AN量=15.2重量%、ΔAN=26.7重量%であった。
【0122】
(参考例3)〔NBR(1):n3の重合〕実施例1と同様条件下、BD900g、AN400g、TDM4.1gを仕込み、重合を開始し、転化率80%で重合を停止した。得られた共重合体ゴムn3は、AN量=28.2重量%、ΔAN=23.3重量%であった。
【0123】
(実施例1)
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP21を80重量部、(B)成分として、参考例1のNBR(1)を20重量部の計100重量部と、(D)成分であるその他の添加剤として、酸化亜鉛(堺化学社製亜鉛華1号)を5重量部、ステアリン酸(花王社製ステアリン酸)を1重量部、湿式シリカ(東ソー社製ニップシールLP)を15重量部、シランカップリング剤(モメンティブ社製TSL8370)を1重量部、シラン処理クレー(バーゲスピグメント社製バーゲスKE)を15重量部、軟化剤(出光興産社製PW−90)を7重量部、可塑剤(ADEKA社製RS107)を5重量部それぞれ計量し、加圧ニーダーを用いて温度80℃、回転数40rpmの設定条件で15分間混練し、混練物を得た。次に、6インチロール機を用いて、混練物と(C)成分の架橋剤である有機過酸化物架橋剤として化薬アクゾ社製パーカドックス14−40B、3重量部とを混練配合してゴム組成物を得た。次に、該ゴム組成物についてプレス金型を用いて、トランスファー成形を行い、表面を研磨して、外径30mm、内径20mm、幅20mmのゴムローラーを製造した。なお、架橋成形条件は、成形温度160℃で、成形時間15分とした。また、引張試験、硬度測定用に150×150×2mmのゴムシート用金型を用いてプレス成形した。
【0124】
得られたゴムシートの引張試験(強度、伸び)、硬さ試験、ゴムローラーの摩擦係数、通紙試験、オゾン劣化試験を上述の評価方法で評価し結果を表2に示した。いずれも、良好な結果であった。
【0125】
実施例2
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP21を70重量部、(B)成分として、参考例2のNBR(1)を30重量部の計100重量部用いた他は実施例1と同様にして混練り、架橋成形、評価した。いずれも、良好な結果であった。
【0126】
実施例3
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP21を90重量部、(B)成分として、参考例3のNBR(1)を10重量部の計100重量部、(C)成分の架橋剤である有機過酸化物架橋剤として化薬アクゾ社製パーカドックス14−40B、3重量部と共架橋剤として大内振興化学工業社製バルノックPM、0.5重量部を用いた他は実施例1と同様にして混練り、架橋成形、評価した。いずれも、良好な結果であった。
【0127】
実施例4
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP65を80重量部、(B)成分として参考例1のNBR(1)を20重量部の計100重量部用いた他は実施例1と同様にして混練り、架橋成形、評価した。いずれも、良好な結果であった。
【0128】
実施例5
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP21を80重量部、(B)成分として参考例1のNBR(1)を10重量部とNBR(2)であるJSR社製N222Lを10重量部の計100重量部、(D)成分として、さらに三光化学工業社製の帯電防止剤サンコノールTBX8310を5重量部用いた他は実施例1と同様にして混練り、架橋成形、評価した。いずれも、良好な結果であった。
【0129】
実施例6
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPMとしてJSR社製EP11を70重量部、(B)成分として参考例1のNBR(1)を30重量部の計100重量部と、(D)成分であるその他の添加剤及び(C)成分の架橋剤として(B)成分を選択的に架橋する硫黄(鶴見化学社製サルファックスPMC)1.5重量部、及び架橋促進剤(大内振興化学工業社製ノクセラーDM)2重量部を用いて、3lニーダーで混練し、この混練り過程で(B)成分を選択的に架橋してなる混練物を得た。次に、6インチロール機を用いて、混練物と(C)成分の架橋剤である有機過酸化物架橋剤として化薬アクゾ社製パーカドックス14−40B、3重量部を混練配合しゴム組成物を得た。次に、該ゴム組成物についてプレス金型を用いて、トランスファー成形を行い、表面を研磨して、外径30mm、内径20mm、幅20mmのゴムローラーを製造した。なお、架橋成形条件は、成形温度160℃で、成形時間15分とした。また、引張試験、硬度測定用に150×150×2mmのゴムシート用金型を用いてプレス成形した。得られたゴムシートの引張試験(強度、伸び)、硬さ試験、ゴムローラーの摩擦係数、通紙試験、オゾン劣化試験を上述の評価方法で評価し結果を表2に示した。いずれも、良好な結果であった。
【0130】
実施例7
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとして三井化学社製PX046を45重量部、(B)成分として参考例1のNBR(1)を20重量部、NBR(2)であるJSR社製N222Lを35重量部の計100重量部、(D)成分であるその他の添加剤及び(C)成分として(A)成分を選択的に架橋するヒドロシリル化反応用架橋剤(モメンティブ社製TSF484)を5重量部、及びヒドロシリル化反応用触媒(塩化白金酸のイソプロパノール1%溶液)0.5重量部を用いて、3lニーダーで混練し、この混練り過程で(A)成分を選択的に架橋してなる混練物を得た。次に、6インチロール機を用いて、混練物と(C)成分の架橋剤である有機過酸化物架橋剤として化薬アクゾ社製パーカドックス14−40Bとを配合しゴム組成物を得た。次に、該ゴム組成物についてプレス金型を用いて、トランスファー成形を行い、表面を研磨して、外径30mm、内径20mm、幅20mmのゴムローラーを製造した。なお、架橋成形条件は、成形温度160℃で、成形時間15分とした。また、引張試験、硬度測定用に150×150×2mmのゴムシート用金型を用いてプレス成形した。得られたゴムシートの引張試験(強度、伸び)、硬さ試験、ゴムローラーの摩擦係数、通紙試験、オゾン劣化試験を上述の評価方法で評価し結果を表2に示した。いずれも、良好な結果であった。
【0131】
比較例1
表1に示したゴム成分(a)である(A)成分のEPDMとしてJSR社製EP21を100重量部、(D)成分の中で、RS107を除いた他は実施例1と同様にして評価した。通紙試験では、特に葉書において20枚で不給が発生した。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】