【解決手段】ブロー成形システム12Aを構成する流体圧回路10Aは、制御部22から1つの制御信号が第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに出力された際に、供給流路56を開閉する第1流体駆動弁30aの開弁動作の開始時期を、排出流路58を開閉する第2流体駆動弁30bの閉弁動作の開始時期よりも遅らせる遅延回路(遅延手段)120を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に係る空気圧回路(流体圧回路)では、多数のバルブの個別制御が煩雑である。流体圧回路において、例えば、
図8に示す外部パイロット式の3ポート弁200を用いることにより制御の簡素化を図ることが考えられる。
図8に示すように、3ポート弁200は、例えば、供給ポート202、出力ポート204、及び排出ポート206を有する。
【0005】
3ポート弁200では、パイロットポート208にパイロット流体が供給されていない状態でリターンスプリング210の作用下に弁体212が供給ポート202を閉塞して出力ポート204及び排出ポート206を連通する。一方、パイロットポート208にパイロット流体が供給されて弁体212が駆動されることにより、排出ポート206を閉塞して供給ポート202及び出力ポート204を連通する。
【0006】
しかしながら、このような3ポート弁200では、流路切替時に、弁体212における供給ポート202の開放動作と排出ポート206の閉塞動作が同時に行われるため供給ポート202及び排出ポート206が一時的に連通してしまう。その結果、供給ポート202から導かれた流体が排出ポート206を介して外部に漏出する(吹き抜けが発生する)という問題がある。特に、ブロー成形システム等に適用される流体圧回路では、流体として高圧のエアーが用いられると共に切替動作を頻繁に行うためエアーの消費量が増大してしまう。
【0007】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、流体の消費量を抑えることができると共に制御の簡素化を図ることができる流体圧回路及びブロー成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体圧回路は、流体供給部の流体を流体被供給部に導く供給流路と、前記供給流路を開閉する第1流体駆動弁と、前記流体被供給部の流体を流体排出部に導く排出流路と、前記排出流路を開閉する第2流体駆動弁と、前記第1流体駆動弁にパイロット流体を導く第1パイロット流路と、前記第1パイロット流路に設けられた第1電磁弁と、前記第2流体駆動弁に前記パイロット流体を導く第2パイロット流路と、前記第2パイロット流路に設けられた第2電磁弁と、制御部から1つの制御信号が前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁に対して出力された際に、前記第1流体駆動弁の開弁動作の開始時期を前記第2流体駆動弁の閉弁動作の開始時期よりも遅らせる遅延手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、制御部から1つの制御信号を第1電磁弁及び第2電磁弁に対して出力すると、遅延手段によって第2電磁弁の作用下に第2流体駆動弁の閉弁動作が開始された後で、第1電磁弁の作用下に第1流体駆動弁の開弁動作が開始される。これにより、流体供給部と流体排出部とが連通する時間を比較的短くすることができるので、流体供給部から流体排出部への流体の漏出を少なくすることができる。よって、流体の消費量を抑えることができる。また、1つの制御信号を用いて第1流体駆動弁及び第2流体駆動弁を開閉させているので、制御の簡素化を図ることができる。
【0010】
上記の流体圧回路において、前記遅延手段は、前記第2流体駆動弁の閉弁動作の完了以後に前記第1流体駆動弁の開弁動作を開始させてもよい。このような構成によれば、流体供給部から流体排出部への流体の漏出をさらに少なくすることができるので、流体の消費量を一層抑えることができる。
【0011】
上記の流体圧回路において、前記遅延手段は、前記第1電磁弁に設けられた遅延回路を有していてもよい。このような構成によれば、1つの制御信号を第1電磁弁及び第2電磁弁に対して出力した場合であっても、第1電磁弁の駆動開始時期を第2電磁弁の駆動開始時期よりも遅延させることができる。これにより、簡易な構成で第1流体駆動弁の開弁動作の開始時期を第2流体駆動弁の閉弁動作の開始時期よりも遅延させることができる。
【0012】
上記の流体圧回路において、前記第1電磁弁は、前記制御信号が入力された場合に前記第1流体駆動弁に前記パイロット流体が供給され、前記制御信号の入力が停止された場合に前記第1流体駆動弁への前記パイロット流体の供給が停止されるように動弁駆動し、前記第1流体駆動弁は、前記第1電磁弁から導かれた前記パイロット流体の圧力が所定の駆動圧力に達した時に開弁動作が開始され、前記遅延手段は、前記第1パイロット流路における前記第1電磁弁と前記第1流体駆動弁との間に設けられたタンクを有していてもよい。
【0013】
このような構成によれば、制御信号が第1電磁弁に入力されると、第1電磁弁が動弁駆動してパイロット流体がタンクを通り第1流体駆動弁に供給される。これにより、タンクを設けない構成と比較して第1流体駆動弁に供給されるパイロット流体の圧力が所定の駆動圧力(第1流体駆動弁の開弁動作を開始するのに必要な圧力)に到達するまでの時間を遅延させることができる。よって、簡易な構成で第1流体駆動弁の開弁動作の開始時期を第2流体駆動弁の閉弁動作の開始時期よりも遅延させることができる。
【0014】
上記の流体圧回路において、前記第1電磁弁は、パイロット流体供給部の前記パイロット流体が導入されるパイロット流体供給ポートと、前記パイロット流体を前記第1流体駆動弁に向けて出力するパイロット流体出力ポートと、パイロット流体排出部に前記パイロット流体を導出するパイロット流体排出ポートと、を有し、前記制御信号が入力された場合に前記パイロット流体排出ポートを閉塞してパイロット流体供給ポート及び前記パイロット流体出力ポートを連通し、前記制御信号の入力が停止された場合に前記パイロット流体供給ポートを閉塞して前記パイロット流体出力ポート及び前記パイロット流体排出ポートを連通してもよい。
【0015】
このような構成によれば、第1電磁弁への制御信号の入力が停止された場合にパイロット流体供給ポートを閉塞してパイロット流体出力ポート及びパイロット流体排出ポートを連通するので、タンク内のパイロット流体を容易且つ確実に排出することができる。
【0016】
本発明に係るブロー成形システムは、流体供給部の流体を流体被供給部に供給してブロー成形を行うブロー成形システムにおいて、前記流体供給部及び前記流体被供給部と、前記流体供給部の流体を前記流体被供給部に供給する流体圧回路と、前記流体被供給部から前記流体圧回路を介して導かれた流体を排出する流体排出部と、前記流体圧回路を制御する制御部と、を備え、前記流体圧回路は、上述した流体圧回路であることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、上述した流体圧回路と同様の作用効果を奏するブロー成形システムを得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る流体圧回路及びブロー成形システムによれば、制御部から1つの制御信号が第1電磁弁及び第2電磁弁に対して出力された際に、第1流体駆動弁の開弁動作の開始時期を第2流体駆動弁の閉弁動作の開始時期よりも遅らせる遅延手段を備えているので、流体の消費量を抑えることができると共に制御の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る流体圧回路及びブロー成形システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、流体圧回路をブロー成形システムに適用した例について説明するが、流体圧回路は、例えば、シリンダに流体を供給して駆動する流体圧シリンダシステム等の各種システム又は装置に対しても適用可能である。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る流体圧回路10Aを備えたブロー成形システム12Aは、例えば、ペットボトル等の樹脂容器を成形するために利用されるものであって、流体の供給源である流体供給部14と、流体が供給される流体被供給部(出力部)16と、流体被供給部16の流体を大気中に排出する流体排出部18と、パイロット流体の供給源であるパイロット流体供給部20と、パイロット流体を大気中に排出する複数(
図1では2つ)のパイロット流体排出部21、23と、流体圧回路10Aと、制御部22とを備えている。
【0022】
流体供給部14及びパイロット流体供給部20は、例えば、コンプレッサ又はポンプ等を含んで構成されている。流体供給部14から供給される流体としては、高圧エアーが好適に用いられるが、任意の気体又は液体を用いても構わない。パイロット流体についても同様である。
【0023】
流体被供給部16は、ブロー成形前のワークが装着されるワーク装着部として構成されている。流体排出部18及び各パイロット流体排出部21、23は、流体の排出音を低減するためのサイレンサを含んでいる。ただし、流体排出部18及び各パイロット流体排出部21、23は、このようなサイレンサを含んでいなくてもよい。
【0024】
流体圧回路10Aは、流体圧回路本体24と、流体圧回路本体24にパイロット流体を供給するパイロット弁機構26とを有している。流体圧回路本体24は、
図2に示すように、弁ボディ28と、弁ボディ28に並設された第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bとを含む。
【0025】
弁ボディ28は、ベース部34及びカバー部36を備えており、ベース部34及びカバー部36により第1流体駆動弁30aが配設される第1弁室38と第2流体駆動弁30bが配設される第2弁室40とが形成されている。
【0026】
ベース部34には、第1弁室38に連通する供給ポート42及び第1出力ポート44と、第2弁室40に連通する第2出力ポート46及び排出ポート48とが形成されている。供給ポート42には、流体供給部14に接続された流体通路の端部が接続される。
【0027】
第1出力ポート44及び第2出力ポート46は、第1流体駆動弁30aと第2流体駆動弁30bの間に形成された共通出力ポート50に連通している。この共通出力ポート50は、ベース部34に設けられた接続孔とカバー部36に設けられた貫通孔とが連通して形成されている。共通出力ポート50には、流体被供給部16に接続された流体通路の端部が接続される。
【0028】
排出ポート48は、ベース部34に設けられた接続孔とカバー部36に設けられた貫通孔とが連通して形成されている。排出ポート48には、流体排出部18に接続された流体通路の端部が接続される。なお、ベース部34とカバー部36との間には、共通出力ポート50から弁ボディ28の外部への流体の漏出を防止するシールシング52と、排出ポート48から弁ボディ28の外部への流体の漏出を防止するシールリング54とが設けられている。
【0029】
第1流体駆動弁30aは、流体供給部14の流体を流体被供給部16に導く供給流路56を開閉し、第2流体駆動弁30bは、流体被供給部16の流体を流体排出部18に導く排出流路58を開閉する(
図1参照)。第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bは、いわゆる外部パイロット式の2ポート弁として構成されている。
【0030】
第1流体駆動弁30aは、カバー部36に設けられたパイロットピストン60と、パイロットピストン60に連結されたピストンロッド62と、第1弁室38内に固定されてピストンロッド62が挿通するブッシュ64と、ピストンロッド62に設けられたアダプタ66及びピストン68とを有している。
【0031】
パイロットピストン60の外周面には、環状凹部を介してピストンパッキン70及びウェアリング72が装着されている。また、第1弁室38を構成する壁面のうちパイロットピストン60の端面に対向する部位には、パイロット流体が流通するパイロットポート74aが形成されている。
【0032】
ピストンロッド62は、その両端部が縮径しており、一端側の縮径部にはロッドパッキン76を介してアダプタ66が設けられ、他端側の縮径部にはロッドパッキン78を介してピストン68が設けられている。
【0033】
ブッシュ64は、円筒状に形成されており、カバー部36から供給ポート42の近傍までピストンロッド62の軸線方向に沿って延在している。なお、ブッシュ64には、第1出力ポート44に連通する連通孔が形成されている。ブッシュ64のうちパイロットピストン60側の端面には、パイロットピストン60との衝突による衝撃を緩和するリング状のダンパ(弾性部材)80が装着されている。ブッシュ64の外周面には、一対のシールリング82が装着されている。
【0034】
アダプタ66の外周面には、環状凹部を介してシールリング84及びウェアリング86が装着されている。本実施形態では、アダプタ66の一端面に押さえリング88が配設されることによりシールリング84の抜け止めがなされている。また、アダプタ66の他端面をピストンロッド62の段差部に当接させた状態でピストンロッド62の一端部に形成されたねじ部にナット90を螺合して押さえリング88をピストンロッド62の他端側に押し付けることによりアダプタ66がピストンロッド62に対して固定されている。
【0035】
ピストン68は、その一端部がブッシュ64の内径よりも大きく形成されており、一端面に形成された凹部には、ブッシュ64に形成された弁座91に接触する弁体としてのバッファリング(弾性部材)92とバッファリング92を固定するための押さえ部94とが配設されている。
【0036】
ピストン68の縮径した他端側の外周面には、環状凹部を介してウェアリング96及びシールリング98が装着されている。本実施形態では、ピストン68の他端面に押さえリング100が配設されることによりシールリング98の抜け止めがなされている。また、押さえ部94をピストンロッド62の段差部に当接させた状態でピストンロッド62の他端部に形成されたねじ部にナット102を螺合して押さえリング100をピストンロッド62の一端側に押し付けることによりピストン68がピストンロッド62に対して固定されている。
【0037】
押さえリング100には、ピストン68をパイロットピストン60側に付勢するリターンスプリング104が設けられている。なお、第1弁室38のうちリターンスプリング104が配設される空間を構成する壁面には、大気に連通する呼吸ポート106aが形成されている。
【0038】
このように構成される第1流体駆動弁30aは、パイロット流体が供給されていない状態でリターンスプリング104の付勢力によってバッファリング92が弁座91に接触することにより閉弁状態となる。一方、パイロットポート74aを介してパイロット流体が供給されると、リターンスプリング104のばね力に抗してピストンロッド62がリターンスプリング104側に変位することによりバッファリング92が弁座91から離間して開弁状態となる。
【0039】
第2流体駆動弁30bは、第1流体駆動弁30aと同様の構成を有しているため、その詳細な説明を省略する。この第2流体駆動弁30bにおいて、ブッシュ64は、カバー部36から第2出力ポート46の近傍までピストンロッド62の軸線方向に沿って延在している。なお、第2流体駆動弁30bのブッシュ64には、排出ポート48に連通する連通孔が形成されている。
【0040】
また、第2弁室40を構成する壁面のうちパイロットピストン60の端面に対向する部位には、パイロット流体が流通するパイロットポート74bが形成され、第2弁室40のうちリターンスプリング104が配設される空間を構成する壁面には、大気に連通する呼吸ポート106bが形成されている。
【0041】
図1に示すように、パイロット弁機構26は、パイロット流体供給部20のパイロット流体を第1流体駆動弁30aに導く第1パイロット流路108と、第1パイロット流路108に設けられた第1電磁弁110aと、パイロット流体供給部20のパイロット流体を第2流体駆動弁30bに導く第2パイロット流路112と、第2パイロット流路112に設けられた第2電磁弁110bとを備える。
【0042】
第1電磁弁110aは、いわゆる3ポートソレノイド弁として構成されており、パイロット流体供給部20のパイロット流体が導入されるパイロット流体供給ポート114aと、パイロット流体を第1流体駆動弁30aに向けて出力するパイロット流体出力ポート116aと、パイロット流体排出部21にパイロット流体を導出するパイロット流体排出ポート118aとを有している。
【0043】
第1電磁弁110aは、制御部22からの制御信号が入力されていない状態で、パイロット流体供給ポート114aを閉塞してパイロット流体排出ポート118a及びパイロット流体出力ポート116aを連通するノーマルクローズ弁として構成されている。これにより、第1流体駆動弁30aは、リターンスプリング104の作用によって閉弁状態となる。
【0044】
また、第1電磁弁110aは、制御部22からの制御信号が入力されると、パイロット流体排出ポート118aを閉塞してパイロット流体供給ポート114a及びパイロット流体出力ポート116aを連通する。これにより、第1流体駆動弁30aは、パイロット流体の作用によって開弁状態となる。
【0045】
第2電磁弁110bは、いわゆる3ポートソレノイド弁として構成されており、パイロット流体供給部20からパイロット流体が導入されるパイロット流体供給ポート114bと、パイロット流体を第2流体駆動弁30bに向けて出力するパイロット流体出力ポート116bと、パイロット流体排出部23にパイロット流体を導出するパイロット流体排出ポート118bとを有している。
【0046】
第2電磁弁110bは、制御部22からの制御信号が入力されていない状態で、パイロット流体排出ポート118bを閉塞してパイロット流体供給ポート114b及びパイロット流体出力ポート116bを連通するノーマルオープン弁として構成されている。これにより、第2流体駆動弁30bは、パイロット流体の作用によって開弁状態となる。
【0047】
また、第2電磁弁110bは、制御部22からの制御信号が入力された際に、パイロット流体供給ポート114bを閉塞してパイロット流体排出ポート118b及びパイロット流体出力ポート116bを連通する。これにより、第2流体駆動弁30bは、スプリングの作用によって閉弁状態となる。
【0048】
制御部22は、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して1つの制御信号を出力することにより、第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bの両方を開閉制御する。
【0049】
本実施形態では、第1電磁弁110aの基板に遅延回路(遅延手段)120が組み込まれている。この遅延回路120は、制御部22から第1電磁弁110aに制御信号が入力された際に、第1電磁弁110aの動弁駆動(ソレノイド部への通電)を開始するタイミングを所定の遅延時間ΔTだけ遅らせる。これにより、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始された後で第1流体駆動弁30aの開弁動作を開始させることができる。
【0050】
本実施形態において、遅延時間ΔTは、第2流体駆動弁30bの閉弁動作の完了以後に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような時間に設定される。これにより、流体供給部14の流体が第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bを介して流体排出部18から漏出されることを確実に防止することができる。
【0051】
この場合、遅延時間ΔTは、第2流体駆動弁30bの閉弁動作の完了と略同時(閉弁動作が完了した直後)に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような時間に設定されるのがより好ましい。流体圧回路10Aの流路切替動作に要する時間が長期化することを効率的に抑えつつ流体供給部14の流体が第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bを介して流体排出部18から漏出されることを確実に防止することができるからである。
【0052】
本実施形態に係る流体圧回路10Aを備えたブロー成形システム12Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0053】
先ず、ブロー成形を行う前の初期状態では、制御部22は、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対する制御信号の出力を停止している。このとき、第1電磁弁110aでは、パイロット流体供給ポート114aが閉塞されると共にパイロット流体排出ポート118a及びパイロット流体出力ポート116aが連通している。これにより、第1流体駆動弁30aにはパイロット流体が供給されないため、供給ポート42及び第1出力ポート44の連通が遮断されている。つまり、流体供給部14の流体被供給部16への流体の供給は停止されている。
【0054】
また、第2電磁弁110bでは、パイロット流体排出ポート118bが閉塞されると共にパイロット流体供給ポート114b及びパイロット流体出力ポート116bが連通している。これにより、第2流体駆動弁30bにはパイロット流体が供給されるため、第2出力ポート46及び排出ポート48が連通している。
【0055】
ブロー成形を行う場合、図示しないワーク(パリソン)を所定の金型に配設して当該ワークに流体被供給部16を装着し、制御部22から第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して1つの制御信号を出力する。そうすると、
図3に示すように、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに制御信号が略同時に入力される。
【0056】
第2電磁弁110bに制御信号が入力されると、パイロット流体供給ポート114bが閉塞されると共にパイロット流体出力ポート116b及びパイロット流体排出ポート118bが連通する。そうすると、第2流体駆動弁30bに供給されていたパイロット流体がパイロット流体排出部23を介して大気中に排出されるため、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始される。具体的には、第2流体駆動弁30bにおいて、リターンスプリング104によって押圧されたピストン68が弁座91に向かって変位する。そして、第2流体駆動弁30bにおいてバッファリング92が弁座91に当接して第2流体駆動弁30bの閉弁動作が完了することにより第2出力ポート46及び排出ポート48の連通が遮断される。
【0057】
一方、第1電磁弁110aに制御信号が入力されると、遅延回路120によって所定の遅延時間ΔTが経過した後で第1電磁弁110aが動弁駆動される。すなわち、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が完了以後に第1電磁弁110aが動弁駆動され、パイロット流体排出部21が閉塞されると共にパイロット流体供給ポート114a及びパイロット流体出力ポート116aが連通する。
【0058】
そうすると、パイロット流体供給部20のパイロット流体が第1流体駆動弁30aに導かれるため、第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始される。具体的には、第1流体駆動弁30aにおいて、パイロットピストン60がパイロット流体によって押圧されることによって、バッファリング92が弁座91から離間する。すなわち、供給ポート42及び第1出力ポート44が連通して供給流路56が開放される。そして、第1流体駆動弁30aの開弁動作が完了することにより流体被供給部16に供給される流体が所定圧力に達する。
【0059】
これにより、流体供給部14の流体が、供給ポート42、第1出力ポート44、共通出力ポート50を介して流体被供給部16に導かれてワークがブロー成形される。このとき、排出流路58が閉塞されているので、第1出力ポート44から共通ポートに導かれた流体が大気中に排出されることはない。
【0060】
ブロー成形が完了すると、制御部22は、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対する制御信号の出力を停止する。これにより、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bが動弁駆動され、パイロット流体の作用下に第2流体駆動弁30bが開弁すると共にパイロット流体がパイロット流体排出部21を介して大気中に排出されることによりリターンスプリング104の作用下に第1流体駆動弁30aが閉弁して初期状態に復帰する。
【0061】
本実施形態によれば、制御部22から1つの制御信号を第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して出力すると、遅延回路120によって第2電磁弁110bの作用下に第2流体駆動弁30bの閉弁動作の完了以後に(第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始された後で)、第1電磁弁110aの作用下に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始される。これにより、流体供給部14から流体排出部18への流体の漏出を少なくすることができるので、ブロー成形を行う際に流体の消費量を効率的に抑えることができる。また、1つの制御信号で第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bを動弁駆動させることにより第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bを開閉動作させているので、制御の簡素化を図ることができる。
【0062】
本実施形態では、第1電磁弁110aの基板に遅延回路120を組み込んでいるので、1つの制御信号を第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して出力した場合であっても、第1電磁弁110aの駆動開始時期を第2電磁弁110bの駆動開始時期よりも遅延させることができる。これにより、簡易な構成で第1流体駆動弁30aの開弁動作の開始時期を第2流体駆動弁30bの閉弁動作の開始時期よりも遅延させることができる。
【0063】
本実施形態は、上述した構成乃至制御に限定されない。遅延時間ΔTは、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始してから完了するまでの間に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような時間に設定してもよい。この場合、制御部22から1つの制御信号を第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して出力すると、
図4に示すように、遅延回路120によって第2電磁弁110bの作用下に第2流体駆動弁30bの閉弁動作の開始から完了までの間に(第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始された後で)、第1電磁弁110aの作用下に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始される。
【0064】
これにより、流体供給部14と流体排出部18とが連通する時間を比較的短くすることができるので、流体供給部14から流体排出部18への流体の漏出を少なくすることができる。よって、制御の簡素化を図ることができると共に流体の消費量を抑えることができる。また、流体圧回路10Aの流路切替動作に要する時間が長期化することを一層抑えることができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る流体圧回路10Bを備えたブロー成形システム12Bについて
図5〜
図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係るブロー成形システム12Bにおいて、上述したブロー成形システム12Aと同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
図5に示すように、本実施形態に係る流体圧回路10Bは、第1パイロット流路108における第1電磁弁110aのパイロット流体出力ポート116aと第1流体駆動弁30aのパイロットポート74aと間に遅延手段としてのタンク122が設けられている。
【0067】
これにより、パイロット流体供給部20のパイロット流体がタンク122を通って第1流体駆動弁30aのパイロットポート74aに導かれるため、そのパイロット流体の圧力(パイロット圧力)が第1流体駆動弁30aのパイロットピストン60を変位させるのに必要な圧力(駆動圧力)に到達するまでの時間を遅らせることができる。よって、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始された後で第1流体駆動弁30aの開弁動作を開始させることができる。
【0068】
タンク122の容量は、第2流体駆動弁30bの閉弁動作の完了以後に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような容量に設定される。これにより、流体供給部14の流体が第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bを介して流体排出部18から漏出されることを確実に防止することができる。
【0069】
この場合、タンク122の容量は、第2流体駆動弁30bの閉弁動作の完了と略同時(閉弁動作が完了した直後)に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような容量に設定するのが好ましい。流体圧回路10Aの流路切替動作に要する時間が長期化することを効率的に抑えつつ流体供給部14の流体が第1流体駆動弁30a及び第2流体駆動弁30bを介して流体排出部18から漏出されることを確実に防止することができるからである。
【0070】
本実施形態では、上述した遅延回路120は設けられていない。ただし、本実施形態において、遅延回路120を第1電磁弁110aに設けることも可能である。この場合、遅延回路120及びタンク122の両方の作用により第1流体駆動弁30aの開弁動作を遅延させることができる。
【0071】
本実施形態では、
図6に示すように、ブロー成形を行う際に制御部22が第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して1つの制御信号を出力すると、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bが略同時に動弁駆動する。すなわち、第2電磁弁110bの作用下に第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始する。そして、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が完了することにより第2出力ポート46及び排出ポート48の連通が遮断される。
【0072】
また、第1電磁弁110aにおいて、パイロット流体排出ポート118aが閉塞されると共にパイロット流体供給ポート114a及びパイロット流体出力ポート116aが連通する。そうすると、パイロット流体供給部20のパイロット流体がタンク122を通り第1流体駆動弁30aのパイロットポート74aに供給される。このとき、第1流体駆動弁30aに作用するパイロット圧力は、所定の遅延時間ΔTが経過したときに第1流体駆動弁30aの駆動圧力に達する。
【0073】
すなわち、第1流体駆動弁30aのパイロット圧力が立ち上がっている間に第2流体駆動弁30bの閉弁動作が完了される。そして、パイロット圧力が駆動圧力に達すると、第1流体駆動弁30aのパイロットピストン60がパイロット流体によって押圧されることによって、バッファリング92が弁体から離間する。これにより、供給ポート42及び第1出力ポート44が連通して供給流路56が開放される。そして、第1流体駆動弁30aの開弁動作が完了して流体被供給部16に供給される流体が所定圧力に達することによりブロー成形が行われる。
【0074】
ブロー成形の完了後に制御部22が第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対する制御信号の出力を停止すると、第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bが動弁駆動され、第2流体駆動弁30bが開弁されると共に第1流体駆動弁30aが閉弁される。このとき、第1電磁弁110aにおいて、パイロット流体供給ポート114aが閉塞されると共にパイロット流体出力ポート116a及びパイロット流体排出ポート118aが連通するので、タンク122内に存在するパイロット流体は、パイロット流体排出部21を介して大気中に排出される。そのため、タンク122は、ブロー成形を行う毎に第1流体駆動弁30aの開弁動作を繰り返し遅延させることが可能である。
【0075】
本実施形態によれば、制御信号が第1電磁弁110aに入力されると、第1電磁弁110aが動弁駆動してパイロット流体がタンク122を通り第1流体駆動弁30aに供給される。これにより、タンク122を設けない場合と比較して第1流体駆動弁30aに供給されるパイロット流体の圧力が第1流体駆動弁30aの駆動圧力に到達するまでの時間を遅延させることができる。よって、簡易な構成で第1流体駆動弁30aの開弁動作の開始時期を第2流体駆動弁30bの閉弁動作の開始時期よりも遅延させることができる。
【0076】
また、第1電磁弁110aへの制御信号の入力が停止された場合にパイロット流体供給ポート114aが閉塞してパイロット流体出力ポート116a及びパイロット流体排出ポート118aが連通するので、タンク122内のパイロット流体を容易且つ確実に排出することができる。
【0077】
本実施形態は、上述した構成乃至制御に限定されない。タンク122の容量は、第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始してから完了するまでの間に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始されるような容量に設定してもよい。この場合、制御部22から1つの制御信号を第1電磁弁110a及び第2電磁弁110bに対して出力すると、
図7に示すように、タンク122によって第2電磁弁110bの作用下に第2流体駆動弁30bの閉弁動作の開始から完了までの間に(第2流体駆動弁30bの閉弁動作が開始された後で)、第1電磁弁110aの作用下に第1流体駆動弁30aの開弁動作が開始される。
【0078】
これにより、流体供給部14と流体排出部18とが連通する時間を比較的短くすることができるので、流体供給部14から流体排出部18への流体の漏出を少なくすることができる。よって、制御の簡素化を図ることができると共に流体の消費量を抑えることができる。また、流体圧回路10Bの流路切替動作に要する時間が長期化することを一層抑えることができる。
【0079】
本発明に係る流体圧回路及びブロー成形システムは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。