特開2016-80073(P2016-80073A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-80073(P2016-80073A)
(43)【公開日】2016年5月16日
(54)【発明の名称】ばね部材
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/073 20060101AFI20160411BHJP
   F16F 1/18 20060101ALI20160411BHJP
【FI】
   F16F15/073
   F16F1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-212022(P2014-212022)
(22)【出願日】2014年10月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀雅
(72)【発明者】
【氏名】冨永 潤
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AB01
3J048BC04
3J048CB01
3J048DA01
3J048EA07
3J059AB01
3J059BA13
3J059BB04
3J059BB07
3J059BC01
3J059BD03
3J059CA02
3J059CB02
3J059EA17
3J059GA01
(57)【要約】
【課題】接触部と枠部との剛性差を抑制することができるばね部材を提供すること。
【解決手段】二つの部材間を接続するばね部材であって、略帯状の部材を用いて形成され、一端が湾曲してなる基端部と、他端が一端に対して逆の湾曲態様で湾曲してなる先端部とを有し、該基端部および該先端部で接触対象とそれぞれ接触する接触部と、基端部を保持する平板状の保持部と、を備え、保持部の主面と直交する方向からみて、当該ばね部材全体に対する該保持部の占有率が1/4以上1/2以下であり、接触部には、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材間を接続するばね部材であって、
略帯状の部材を用いて形成され、一端が湾曲してなる基端部と、他端が前記一端に対して逆の湾曲態様で湾曲してなる先端部とを有し、該基端部および該先端部で接触対象とそれぞれ接触する接触部と、
前記基端部を保持する平板状の保持部と、
を備え、
前記保持部の主面と直交する方向からみて、当該ばね部材全体に対する該保持部の占有率が1/4以上1/2以下であり、
前記接触部には、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とするばね部材。
【請求項2】
前記接触部を平板状に延ばしたときの前記貫通孔の面積をS3、前記接触部の面積をS4としたとき、面積比S3/S4は、1/2以下を満たすことを特徴とする請求項1に記載のばね部材。
【請求項3】
前記貫通孔は、開口がひし形をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のばね部材。
【請求項4】
前記接触部は、前記保持部の主面と直交する方向からみて矩形をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のばね部材。
【請求項5】
複数の前記接触部を備え、
前記保持部は、マトリックス状に設けられた複数の開口部を有し、
前記開口部は、一または複数の接触部の各基端部を保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のばね部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの部材の間に介在するばね部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車分野や精密機器産業分野において、構成部材間の接続には、振動に対する追従性が求められている。構成部材間の接続に用いられ、振動に対する追従性を有する部材としては、該二つの部材の間に介在するばね部材が知られている。ばね部材は、一方の部材で発生する振動に応じて弾性変形することによって、接続を維持したまま他方の部材などの部材に振動が伝わるのを抑制できる。
【0003】
このようなばね部材として、略平板状をなす枠部と、該枠部の一部を立ち上げてなり、接触対象の部材と接触する接触部(突起体)と、を有するばね部材(金属体)が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1が開示するばね部材は、接触部によって振動を吸収して二つの部材の間の接触状態を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−303340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、追従性を高めるには、接触部の数や大きさを増やして接触面積を大きくすることが好ましい。しかしながら、接触部と接触対象の部材との間の接触面積を大きくすると、接触部を支持している枠部の占有率が低下し、接触部と枠部との剛性に差がでる。接触部と枠部との剛性に差がでると、外部から加わる荷重に対して接触部が変形した際、枠部には該変形による応力が加わり、該応力によりばね部材にへたりが生じてしまう。このため、接触部と枠部との剛性差を抑制する技術が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接触部と枠部との剛性差を抑制することができるばね部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるばね部材は、二つの部材間を接続するばね部材であって、略帯状の部材を用いて形成され、一端が湾曲してなる基端部と、他端が前記一端に対して逆の湾曲態様で湾曲してなる先端部とを有し、該基端部および該先端部で接触対象とそれぞれ接触する接触部と、前記基端部を保持する平板状の保持部と、を備え、前記保持部の主面と直交する方向からみて、当該ばね部材全体に対する該保持部の占有率が1/4以上1/2以下であり、前記接触部には、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるばね部材は、上記の発明において、前記接触部を平板状に延ばしたときの前記貫通孔の面積をS3、前記接触部の面積をS4としたとき、面積比S3/S4は、1/2以下を満たすことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるばね部材は、上記の発明において、前記貫通孔は、開口がひし形をなすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるばね部材は、上記の発明において、前記接触部は、前記保持部の主面と直交する方向からみて矩形をなすことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるばね部材は、上記の発明において、複数の前記接触部を備え、前記保持部は、マトリックス状に設けられた複数の開口部を有し、前記開口部は、一または複数の接触部の各基端部を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接触部と枠部との剛性差を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の構成を模式的に示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を示す側面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を模式的に示す部分断面図であって、外部から荷重が加わった場合を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施の形態にかかるばね部材と、比較例にかかるばね部材とにおけるばね定数比および単位面積当たりの熱抵抗比をそれぞれ示すグラフである。
図6図6は、本発明の実施の形態にかかるばね部材と、比較例にかかるばね部材とにおけるばね高さと、荷重および単位面積当たりの熱抵抗との関係をそれぞれ示すグラフである。
図7図7は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の製造方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)として、ばね部材について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態にかかるばね部材1は、対向する発熱部材と放熱部材との間に配置される。ばね部材1は、弾性力により、発熱部材と放熱部材との双方に対して圧力を加えるとともに、発熱部材が発した熱を放熱部材に伝達する。ばね部材1は、弾性特性を有する材料、例えば銅系の合金(例えばコルソン系銅合金)などからなる平板状の部材を用いて形成される。
【0016】
ばね部材1は、マトリックス状に設けられた開口部10aを有する平板状の枠部10と、枠部10の開口部10aの内周面から枠部10に対して立ち上がる方向に帯状をなして延在し、接触対象と接触する接触部11とを備える。枠部10は、複数の接触部11を保持する保持部としての機能をする。ここで、本実施の形態では、枠部10の主面と直交する方向からみた投影形状において、ばね部材1に対する枠部10の占有率が1/4以上1/2以下となる。なお、枠部10の占有率が1/2より大きい場合は、枠部はばね部材の半分以上を占めるため、枠部10と接触部11との剛性に差が生じることはないものと考えられる。
【0017】
図2は、本実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を示す平面図である。図3は、本実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を示す側面図であって、ばね部材を放熱部材上に載置した状態を示す図である。接触部11が枠部10に対して延在する側を枠部10の上方とするとき、接触部11は枠部10の表面に対して下に凸な曲面をなす基端部11aと、枠部10の表面に対して上に凸な曲面をなし、接触対象と接触する先端部11bとを有する。接触部11は、上方からみた投影形状が矩形をなす。基端部11aおよび先端部11bは、それぞれ所定の曲率半径で湾曲した形状をなしている。なお、本実施の形態における基端部11aおよび先端部11bの曲率半径(r)とは、曲率半径が最も小さくなる部位(例えば凸の頭頂部や凹の底部)における曲率半径のことをさす。
【0018】
また、接触部11には、板厚方向に貫通する貫通孔11cが形成される。貫通孔11cは、枠部10の主面と直交する方向からみた(ばね部材1の上面視の)開口の形状が、略ひし形をなしている。該開口は、例えば、ひし形の短軸(または長軸)が、基端部11aおよび先端部11bのそれぞれの中央を通過する直線を含み、枠部10の主面と垂直な平面上にある。接触部11を平板状に延ばしたとき(例えば、後述する図7の第1舌片部203)の貫通孔11cの面積をS3、接触部11の面積をS4としたとき、面積比S3/S4は、1/2以下(ただし、0は含まない)を満たす。上述した枠部10の占有率が最少(1/4)の場合、面積比S3/S4を1/2とすることで枠部10と接触部11との剛性差を調整できる。貫通孔11cを形成することにより、貫通孔を形成しない同一の板厚の接触部と比して、接触部11の剛性を低下させることができる。貫通孔11cは、枠部10の剛性と、接触部11の形状による剛性とを考慮して大きさや形状が決定される。接触部11は、枠部10の主面と直交する方向からみた投影形状において、基端部11aおよび先端部11bのそれぞれの中央を通過する直線を軸とする対称性を有することが好ましい。
【0019】
ばね部材1は、図3に示すように、枠部10を放熱部材100上に配置し、反対側から発熱部材101(図4参照)を配置する。この際、接触部11の両端が、放熱部材100および発熱部材101とそれぞれ接触する。具体的には、基端部11aが放熱部材100と接触し、先端部11bが発熱部材101と接触する。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態にかかるばね部材の要部の構成を模式的に示す部分断面図であって、外部から荷重が加わった場合を説明する図である。なお、図4では、先端部11bに荷重が加わっていない状態の接触部11の形状を破線Qで示している。ばね部材1は、放熱部材100と発熱部材101との間に配置されると、基端部11aが放熱部材100と接触し、先端部11bが発熱部材101と接触する。放熱部材100と発熱部材101との間の距離を小さくしていくと、ばね部材1に荷重が加わり始める。ばね部材1に荷重が加わり始めると、接触部11は枠部10に対して徐々に寝ていく。一方、枠部10は、荷重によらず平面性を維持している。
【0021】
続いて、同一の板厚のばね部材において、接触部11に貫通孔を形成した場合と、貫通孔を形成していない場合とにおけるばね定数と、単位面積当たりの熱抵抗(接触熱抵抗)とについて説明する。
【0022】
単位面積当たりの熱抵抗は、導体の熱抵抗および接触熱抵抗の和により求められる。導体の熱抵抗については、本比較では使用する材料が同じであるため、同一となる。
【0023】
接触熱抵抗については、接触面積を一定とした場合の接触熱抵抗R(mK/W)は、下式(1)、(2)により得ることができる(日本機械学会論文集(A集)、76巻、763号(2010−3)、論文No.09−0569(p.344−350)参照)。
接触熱抵抗Rは、下式(1)に基づいて求めることができる。
【数1】
ここで、h:接触熱伝達率(W/mK)であり、下式(2)に基づいて求めることができる。
【数2】
ここで、P:接触面圧(MPa)、λ:材料の熱伝導率(W/mK)、Hv:材料のビッカース硬度、Ra:接触面の中心線平均粗さ(μm)、c,c,c:定数。
式(2)において、右辺の第1項は高温側部材(例えば発熱部材)に関する項であり、第2項は低温側部材(例えばばね部材)に関する項である。
【0024】
式(1)および式(2)により求まる接触熱抵抗Rを求めることで、単位面積当たりの接触熱抵抗Rcuは、下式(3)に基づいて得ることができる。
【数3】
ここで、A:接触面積、Asp:接触面と直交する方向からみたばね部材の投影面積。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態にかかるばね部材と、比較例1にかかるばね部材とにおけるばね定数比および単位面積当たりの熱抵抗比をそれぞれ示すグラフである。図5に示すグラフでは、接触部11に貫通孔11cを形成した場合のばね部材を実施例とし、貫通孔を形成していない場合を比較例1とし、比較例1の値を1としたときの実施例の比を示している。接触部に同一の荷重を加えた場合における一つの接触部の特性を比較している。図5に示すように、貫通孔11cを形成した場合の方は、貫通孔11cを形成していない場合と比して、ばね定数が小さい。ばね定数kは、k=P/δで与えられる(Pは荷重(N)、δは、変位(mm))。同一の荷重を加えた場合は、貫通孔11cを形成し剛性が低下した接触部11の方が、比較例1と比して、ばね定数が小さくなる。
【0026】
一方で、貫通孔11cを形成した場合の方は、貫通孔11cを形成していない場合と比して、接触熱抵抗が大きい。枠部10の剛性と貫通孔11cを形成し接触部11の剛性との差を低減した方が、単位面積当たりの接触熱抵抗Rcuは大きくなる。このことから、枠部10の剛性と貫通孔11cを形成し接触部11の剛性との差を低減した方が、枠部10に加わる応力を低減することで、ばね部材1のへたりが低減され、単位面積当たりの接触熱抵抗が大きくなると考えることができる。
【0027】
このように、同一の板厚の材料を用いてばね部材を形成した場合であっても、貫通孔11cを形成するか否かでばね定数および単位面積当たりの熱抵抗が異なる。例えば、板厚が0.10mmの材料を用いて貫通孔11cを有しないばね部材のばね定数および単位面積当たりの熱抵抗と同等のものを、貫通孔11cを形成することにより、板厚が0.13mmの材料を用いて作製することができる。この場合、枠部10の板厚は0.13mmとなるため、枠部10の剛性を上げつつ、貫通孔11cを形成することで板厚が0.10mmの接触部の特性と同等の特性を有する接触部とすることができる。
【0028】
図6は、本発明の実施の形態にかかるばね部材(実施例)、および比較例2にかかるばね部材におけるばね高さと、荷重および単位面積当たりの熱抵抗との関係をそれぞれ示すグラフである。図6に示す実施例は、板厚が0.13mmの材料を用いて作製されたばね部材1であり、比較例2は、板厚が0.10mmの材料を用いて作製され、貫通孔を有しないばね部材である。なお、実施例と比較例2とにかかるばね部材(接触部)のばね定数は同一である。ここでいうばね高さとは、図3に示すばね部材1において、枠部10の底部から接触部11の頭頂部までの高さDをさし、荷重が加われば加わるほど、ばね高さは小さくなる。
【0029】
図6に示すように、実施例にかかるばね部材1は、同一のばね高さでみると、比較例2のばね部材と比較して、ばね高さに対する荷重(接触部一つ当たりの荷重(N))が大きい。これは、実施例にかかるばね部材1は、比較例2のばね部材と比較して、塑性ひずみが小さいことを示している。換言すれば、実施例にかかるばね部材1は、同一のばね高さに対し、比較例2のばね部材よりも、初期へたりが低減されているといえる。このことは、貫通孔11cの形成により枠部10と接触部11との剛性差が小さくなったためであると考えられる。このように、実施例にかかるばね部材1は、ばね定数が同じであっても、板厚が薄く、貫通孔11cが形成されていないばね部材と比して、弾性特性および熱特性を向上させることができる。
【0030】
また、単位面積当たりの熱抵抗についても、実施例にかかるばね部材1は、貫通孔11cの形成により初期へたりが低減したため、同一のばね高さでみると、比較例2のばね部材と比較して、熱抵抗が小さくなっている。
【0031】
次に、本実施の形態にかかるばね部材の製造方法の一例を、図面を参照して説明する。図7は、本実施の形態にかかるばね部材の製造方法の一例を説明する図である。例えば、コルソン系銅合金からなる帯状の母材200に対し、複数のスリット201を形成する。スリット201は、平面視で略M字状をなす中空空間を形成する。スリット201により、枠部202が形成されるとともに、該枠部202から矩形をなして延びる第1舌片部203および第2舌片部204が形成される。
【0032】
第1舌片部203および第2舌片部204の形成後、ひし形の開口を有する貫通孔203a,204aを形成する。貫通孔203a,204aの形成後、第1舌片部203および第2舌片部204に対して、枠部に連なる側の端部と、枠部202に連なる側と異なる側の端部と、をそれぞれ所定の曲率半径となるように湾曲させることにより、上述した接触部11を形成する。
【0033】
このように、スリット201を形成し、スリット201の形成によって生成された第1舌片部203および第2舌片部204を湾曲させることにより、上述した枠部10と接触部11とを有するばね部材1を作製することができる。
【0034】
上述した実施の形態によれば、ばね部材1の接触部11において、板厚方向に貫通する貫通孔11cを形成するようにしたので、枠部10と接触部11との剛性差を抑制することができる。これにより、一様な板厚の材料を用いてばね部材1を形成する場合において、板厚を変更して枠部10の剛性のみを上げ、板厚を変更する前の接触部11の特性を維持させることが可能となる。
【0035】
また、上述した実施の形態によれば、接触部11が、矩形をなして延びる舌片部であって、ひし形をなす開口を有する貫通孔を形成した舌片部を用いて形成されるため、先細な形状、例えば錘状をなす舌片部を湾曲させて接触部を形成する場合や、円などの他の形状をなす開口を有する貫通孔が形成される場合と比して熱の伝達効率が高い。一般的に、舌片部を湾曲させて接触部を形成するような場合には、先細な形状に成形した舌片部を湾曲させるが、本実施の形態のように、矩形をなす舌片部をもとに接触部を形成することで、一層効率的な熱伝達を行うことができる。
【0036】
従来用いられる伝熱用のばね部材として伝熱グリスや伝熱シートが挙げられるが、導体熱抵抗の観点から伝熱グリスや伝熱シートの厚みを薄くすると、振動に対する追従性が低下する。これに対し、伝熱グリスにおいて、振動に対する追従性の観点からばね部材の厚みを厚くする場合は、厚み調整が困難であるために熱抵抗の管理が難しい。また、放熱シートにおいて、振動に対する追従性の観点からばね部材の厚みを厚くする場合は、導体熱抵抗低減のために高熱伝導性フィラーを多く含有させる必要があり、該高熱伝導性フィラーにより硬くなって振動に対する追従性を高めることができない。これに対し、本実施の形態にかかるばね部材は、上述した構成を有することで、高い熱伝導性と高い振動追従性とを両立させることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態において、各接触部11は、同一の形状をなすものであってもよいし、大きさや湾曲態様が異なるものであってもよい。荷重の加え方などにより、適宜設計することが好ましい。なお、同一の形状とは、設計上同一の形状をなすものであり、製造上の誤差を含む。
【0038】
また、上述した実施の形態では、複数の接触部11を有するものとして説明したが、矩形の平板状をなし、矩形の開口を有する枠部と、枠部の開口の一部から延びる一つの接触部(接触部11)と、を有するばね部材としてもよい。この場合も、枠部の剛性に応じて貫通孔の大きさや形状が定められる。
【0039】
上述した実施の形態では、接触部11がひし形をなす開口を有する貫通孔11cが形成されるものとして説明したが、円や楕円、三角形や五角形以上の多角形をなす開口を有する貫通孔であってもよい。上述した伝熱用の他、二つの部材間に設けられ、該二つの部材間を支持するばね部材など、用途に応じて貫通孔の形状を適宜変更することができる。特に、伝熱用ではひし形の開口を有する貫通孔が熱特性の点で好ましく、接触部の弾性特性を考慮すると、円をなす開口を有する貫通孔の方が弾性特性の点で好ましい。
【0040】
以上のように、本発明にかかるばね部材は、接触部と枠部との剛性差を抑制するばね部材を得ることに好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 ばね部材
10,202 枠部(保持部)
11 接触部
11a 基端部
11b 先端部
11c,203a,204a 貫通孔
201 スリット
203 第1舌片部
204 第2舌片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7