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特開2016-81546ディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-81546(P2016-81546A)
(43)【公開日】2016年5月16日
(54)【発明の名称】ディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シート
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20160411BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20160411BHJP
【FI】
   G11B21/21 A
   G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-210684(P2014-210684)
(22)【出願日】2014年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 巧
【テーマコード(参考)】
5D042
5D059
【Fターム(参考)】
5D042TA08
5D059AA01
5D059BA01
5D059CA01
5D059DA01
5D059DA26
5D059DA36
5D059EA08
(57)【要約】
【課題】多数のフレキシャ要素を有するフレームユニットの枠部を小形化できるフレキシャ連鎖シートを提供する。
【解決手段】フレキシャ連鎖シートのフレームユニットは、それぞれ、枠部60と、多数のフレキシャ要素40´とを備えている。枠部60は、フレキシャ要素40´の長さ方向Xに延びる一対の縦枠と、フレキシャ要素40´の幅方向Yに延びる一対の横枠とを含んでいる。これら横枠のうち第1の横枠は、フレキシャ要素40´のテール部同士をつないでいる。第2の横枠76は、フレキシャ要素40´の延出部40e同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部110からなる。延出部40eは、フレキシャ要素40´の先端部40cから長さ方向Xに延びている。先端連鎖部110は、互いに隣り合う延出部40e間で長さ方向Xに切断される第1の切離し可能部C1,C2と、先端部40cと延出部40eとの間で幅方向Yに切断される第2の切離し可能部とを有している。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングされたメタルベースを有し、枠部と、該枠部の内側に所定ピッチで配置された複数のフレキシャ要素とを含むフレームユニットを備えたディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シートにおいて、
前記枠部が、
前記フレキシャ要素の長さ方向に延びる一対の縦枠と、
前記フレキシャ要素の幅方向に延びかつ各フレキシャ要素のテール部同士をつなぐ第1の横枠と、
前記フレキシャ要素の幅方向に延びかつ各フレキシャ要素の先端部から前記長さ方向に延びる延出部同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部からなる第2の横枠とを有し、かつ、
前記先端連鎖部が、
互いに隣り合う前記延出部の間で前記長さ方向に切断される第1の切離し可能部と、
前記先端部と前記延出部との間で前記幅方向に切断される第2の切離し可能部と、
を具備したことを特徴とするディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シート。
【請求項2】
互いに隣り合う前記フレキシャ要素の前記延出部間に形成された第1の開口と、該第1の開口に臨んで前記延出部同士をつなぎかつ前記第1の切離し可能部を有した第1のブリッジ部とを具備したことを特徴とする請求項1に記載のフレキシャ連鎖シート。
【請求項3】
前記各延出部に形成された第2の開口と、該第2の開口に臨んで該第2の開口の両側に形成され前記先端部と前記延出部とをつなぎかつ前記第2の切離し可能部を有した第2のブリッジ部とを具備したことを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシャ連鎖シート。
【請求項4】
前記第1の横枠に第1の位置決め孔が形成され、前記延出部に第2の位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフレキシャ連鎖シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク装置用サスペンションのフレキシャの製造に使用されるディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シートに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に、ハードディスク装置(HDD)が使用されている。ハードディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジなどを含んでいる。キャリッジのアームに、ディスク装置用サスペンション(これ以降、単にサスペンションと称する)が設けられている。サスペンションは、ロードビーム(load beam)と、ロードビームに重ねて配置されるフレキシャ(flexure)などを有している。フレキシャの先端付近に形成されたジンバル部にスライダを含む磁気ヘッドが取付けられている。磁気ヘッドには、データの読取りあるいは書込み等のアクセスを行なうための素子が設けられている。これらロードビームとフレキシャなどによってヘッドジンバルアセンブリが構成されている。
【0003】
前記フレキシャは、要求される仕様に応じて様々な形態のものが実用化されている。その一例として配線付フレキシャ(flexure with conductors)が知られている。配線付フレキシャは、薄いステンレス鋼板からなるメタルベースと、このメタルベース上に形成されたポリイミド等の電気絶縁材料からなる絶縁層と、この絶縁層上に形成された複数の導体などを含んでいる。該フレキシャは、ロードビームに重なる基部と、ベースプレートの後方に延出するテール部(フレキシャテール)とを含んでいる。
【0004】
従来より、フレキシャの生産効率を高めるための1つの手段として、例えば特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、1枚のステンレス鋼板をエッチングすることによって、同一形状の多数のフレキシャ要素を有するフレキシャ連鎖シートを製造することが行なわれている。フレキシャ連鎖シートの一例は、複数のフレームユニットを該シートの長さ方向あるいは幅方向に接続することによって構成されている。各フレームユニットは、それぞれ、枠部と、枠部の内側に所定ピッチで配置された多数のフレキシャ要素とによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5,273,271号公報
【特許文献2】特許第5,365,944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記フレキシャ連鎖シートのフレームユニットの枠部は、フレキシャ要素の長さ方向に沿う一対の縦枠と、フレキシャ要素の幅方向に沿う一対の横枠とを有しているのが通例である。これら縦枠および横枠は、フレキシャ要素とは異なる枠専用の部分であり、最終的に切り除かれてスクラップとなる。横枠の幅(横枠の長さ方向に対し直角な方向の寸法)が大きくなればフレームユニットの長さが大きくなり、ひいては1枚のフレキシャ連鎖シートの長さも大きくなる。
【0007】
フレキシャの製造工程で使用される装置や治具によっては、1枚のフレキシャ連鎖シートの大きさが制限されることがある。例えばフレキシャ連鎖シートの長さが少しでも大きいと、1枚のフレキシャ連鎖シートに形成することができるフレームユニットの数を1つ減らさなければならない。1つのフレームユニットには、エッチングによって形成された多数(数十から数百)のフレキシャ要素が所定ピッチで配置されているため、フレームユニットを1つ減らすと、多数のフレキシャが一度に減ることになる。このためフレキシャの生産効率が大幅に低下するという問題が生じる。
【0008】
従ってこの発明は、フレームユニットの枠部を小形化することができることにより、フレキシャの長さが多少大きくなってもフレームユニットの数を減らさずに済むディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エッチングされたメタルベースを有し、枠部と、該枠部の内側に所定ピッチで配置された複数のフレキシャ要素とを含むフレームユニットを備えたディスク装置用サスペンションのためのフレキシャ連鎖シートにおいて、前記枠部が、前記フレキシャ要素の長さ方向に延びる一対の縦枠と、前記フレキシャ要素の幅方向に延びかつ各フレキシャ要素のテール部同士をつなぐ第1の横枠と、前記フレキシャ要素の幅方向に延びかつ各フレキシャ要素の先端部から前記長さ方向に延びる延出部同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部からなる第2の横枠とを有し、かつ、前記先端連鎖部が、互いに隣り合う前記延出部の間で前記長さ方向に切断される第1の切離し可能部と、前記先端部と前記延出部との間で前記幅方向に切断される第2の切離し可能部とを具備している。
【0010】
1つの実施形態では、互いに隣り合う前記フレキシャ要素の前記延出部間に形成された第1の開口と、該第1の開口に臨んで前記延出部同士をつなぎかつ前記第1の切離し可能部を有した第1のブリッジ部とを具備している。また前記各延出部に形成された第2の開口と、該第2の開口に臨んで該第2の開口の両側に形成され前記先端部と前記延出部とをつなぎかつ前記第2の切離し可能部を有した第2のブリッジ部とを具備してもよい。さらに前記第1の横枠に第1の位置決め孔が形成され、前記延出部に第2の位置決め孔が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フレキシャ要素の延出部同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部を横枠として利用するため、枠部を小形化することができる。このため、フレキシャ要素の長さが多少大きくても、1枚のフレキシャ連鎖シートに形成されるフレームユニットの数を減らさずに済む。このためフレキシャ連鎖シートを用いてフレキシャを製造する場合に、より多くのフレキシャ要素を有するフレキシャ連鎖シートを用いることができ、フレキシャの生産を効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ディスク装置の一例を示す斜視図。
図2図1に示されたディスク装置の一部の断面図。
図3】サスペンションの一例を示す平面図。
図4図3に示されたサスペンションのフレキシャの平面図。
図5】1つの実施形態に係るフレキシャ連鎖シートの一部の平面図。
図6図5に示されたフレキシャ連鎖シートの一部の拡大図。
図7図5に示されたフレキシャ連鎖シートのフレームユニット同士が切り離された状態の平面図。
図8】切り離された一方のフレームユニットのフレキシャ要素のテール部付近を拡大して示す平面図。
図9図8に示されたフレームユニットの横枠から切り離されたテール部の平面図。
図10】切り離された一方のフレームユニットのフレキシャ要素の先端部付近を拡大して示す平面図。
図11】(A)は図10に示された第1の切断可能部が切断されたフレキシャ要素の先端部付近の平面図、(B)は第2の切断可能部が切断されたフレキシャ要素の先端部付近の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に1つの実施形態に係るフレキシャ連鎖シートについて、図1から図11を参照して説明する。
図1に示すハードディスク装置(HDD)10は、ケース11と、スピンドル12を中心に回転するディスク13と、ピボット軸14を中心に旋回可能なキャリッジ15と、キャリッジ15を旋回させるためのポジショニング用モータ16を有している。ケース11は蓋(図示せず)によって密閉される。
【0014】
図2はディスク装置10の一部を模式的に示す断面図である。キャリッジ15にアーム17が設けられている。アーム17の先端部に、ディスク装置用サスペンション20(これ以降、単にサスペンション20と称する)が取付けられている。サスペンション20の先端に、磁気ヘッドとして機能するスライダ21が設けられている。ディスク13が高速で回転することにより、ディスク13とスライダ21との間にエアベアリングが形成される。
【0015】
キャリッジ15がポジショニング用モータ16によって旋回すると、サスペンション20がディスク13の径方向に移動することにより、スライダ21がディスク13の所望トラックまで移動する。スライダ21には、ディスク13にデータを記録するための磁気コイルと、ディスク13に記録されたデータを読取るためのMR(Magneto Resistive)素子などが設けられている。MR素子は、ディスク13に記録された磁気信号を電気信号に変換する。
【0016】
図3はサスペンション20の一例を示している。サスペンション20は、ベースプレート30と、ロードビーム31と、ヒンジ部32と、配線付フレキシャ(flexure with conductors)40とを備えている。これ以降、配線付フレキシャ40を単にフレキシャ40と称する。ベースプレート30のボス部30aは、キャリッジ15のアーム17(図1図2に示す)に固定される。
【0017】
図4はフレキシャ40を示している。フレキシャ40は、ロードビーム31(図3に示す)と重なる基部40aと、基部40aからベースプレート30の後方(図3に矢印Rで示す方向)に延びるテール部40bとを含んでいる。フレキシャ40の基部40aは、レーザ溶接等の固定手段によってロードビーム31に固定される。フレキシャ40の先端部40c付近にタング41が形成されている。タング41にスライダ21(図2図3に示す)が取付けられている。テール部40bに複数のテール電極42が形成されている。
【0018】
図5は、フレキシャ40の製造過程で使用されるフレキシャ連鎖シート50の一部を示す平面図である。図6は、フレキシャ連鎖シート50の一部を拡大した拡大図である。フレキシャ連鎖シート50は、複数のフレームユニット51〜51を含んでいる。これらフレームユニット51〜51は、1枚の金属板(例えばステンレス鋼の板)をエッチングしてなるメタルベース65からなる枠部60と、枠部60の内側に所定ピッチで並ぶ複数(数十〜数百)のフレキシャ要素40´とを有している。メタルベース65の材料である金属板の一例は、オーステナイト系ステンレス鋼からなり、厚さの一例は18μm(12〜25μm)である。
【0019】
各フレームユニット51〜51は、それぞれ、各フレームユニット51〜51の周囲に形成された枠部60と、枠部60の内側に所定ピッチで配置された多数(数十〜数百個)のフレキシャ要素40´とを備えている。フレキシャ要素40´は、前記ステンレス鋼の板をエッチングしてなるメタルベース65と、メタルベース65上に形成された配線部66とを有している。配線部66は、メタルベース65上に形成された絶縁層と、この絶縁層上に形成された銅からなる複数本の導体と、これら導体を覆う電気絶縁性のカバー層を含んでいる。
【0020】
枠部60は、フレキシャ要素40´の長さ方向(図5において矢印Xで示す方向)に延びる第1の縦枠71および第2の縦枠72と、フレキシャ要素40´の幅方向(図5において矢印Yで示す方向)に延びる第1の横枠75および第2の横枠76とを含んでいる。これら一対の縦枠71,72と横枠75,76とによって、各フレームユニットの全周にわたって連続する枠部60が形成されている。各フレームユニットごとに、フレキシャ要素40´のテール部40bの後端40dが第1の横枠75によって互いにつながれている。
【0021】
フレキシャ連鎖シート50の長さ方向(図5において矢印Xで示す方向)に隣り合うフレームユニット51,51間に、スリット80と、接続部81と、凹部82,83とが形成されている。スリット80は、第1の開口幅G1(図6に示す)を有している。スリット80は、一方のフレームユニット51の第1の横枠75と他方のフレームユニット51の第2の横枠76との間に形成され、横枠75,76に沿う方向に延びている。
【0022】
接続部81と凹部82,83とは、第1の横枠75に形成されている。接続部81は、一方のフレームユニット51の第1の横枠75と他方のフレームユニット51の第2の横枠76とを互いにつないでいる。接続部81は、枠部60の幅方向(図5に矢印Yで示す方向)に間隔を存して少なくとも2箇所に形成されている。これら接続部81は、それぞれカッタによって切断される切断予定部91を有している。
【0023】
接続部81の両側に凹部82,83が形成されている。凹部82,83は、それぞれ第2の開口幅G2(図6に示す)を有している。第2の開口幅G2は、第1の開口幅G1よりも大きい。しかも第2の開口幅G2は前記カッタの厚さよりも大きい。第1の開口幅G1は前記カッタの厚さよりも小さい。すなわち凹部82,83は、前記カッタの挿入を許容する形状と大きさを有している。
【0024】
さらに第1の横枠75には、接続部81とは異なる位置に円形の第1の位置決め孔100が形成されている。第1の横枠75の幅W1(図6図7に示す)は、第1の位置決め孔100の外径よりも大きい。ここで言う幅W1は、第1の横枠75の長さ方向と直角な方向の幅寸法である。フレキシャ40の製造工程において、フレキシャ連鎖シート50を所定位置に保持するために、第1の位置決め孔100に第1の位置決めピンが挿入されてもよい。
【0025】
第1の横枠75は、各フレームユニットのフレキシャ要素40´のテール部40b同士をつないでいる。テール部40bと第1の横枠75との間には、テール部40bを第1の横枠75から切離す際に切断される切断予定部105(図8に2点鎖線で示す)が設けられている。
【0026】
第2の横枠76は、第1の横枠75と同様に、フレキシャ要素40´の幅方向(図5図10に矢印Yで示す方向)に延びている。第2の横枠76は、各フレームユニットに形成されたフレキシャ要素40´の延出部40e同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部110からなる。延出部40eは、各フレキシャ要素40´ごとに、先端部40cから長さ方向(図5図10に矢印Xで示す方向)に延びている。
【0027】
図6図7および図10に示されるように、先端連鎖部110には、互いに隣り合うフレキシャ要素40´の延出部40e,40e間に第1の開口111が形成されている。この第1の開口111に臨んで、互いに隣り合う延出部40e同士をつなぐ一対の第1のブリッジ部112,113が形成されている。第1のブリッジ部112,113のそれぞれの幅B1,B2(図10に示す)は、いずれも第2の横枠76の幅W2よりも小さい。ここで言う幅W2は、第2の横枠76の長さ方向と直角な方向の幅寸法である。
【0028】
第1のブリッジ部112,113に、それぞれ第1の切離し可能部C1,C2(図10に2点鎖線で示す)が設けられている。第1の切離し可能部C1,C2は、互いに隣り合うフレキシャ要素40´の延出部40e同士の間で、フレキシャ要素40´の長さ方向(矢印Xで示す方向)に切断される。
【0029】
第1のブリッジ部112,113のそれぞれの幅B1,B2は、いずれも第2の横枠76の幅W2よりも十分小さく、幅W2の半分未満である。このため第1の切離し可能部C1,C2を個々に切断することは、第2の横枠76の幅W2の全長を切断する場合と比較して容易である。
【0030】
各フレキシャ要素40´の延出部40eに、それぞれ第2の開口115が形成されている。第2の開口115の両側には、第2の開口115に臨む第2のブリッジ部116,117が形成されている。第2のブリッジ部116,117はフレキシャ要素40´の先端部40cに連なっている。
【0031】
第2のブリッジ部116,117に、それぞれ第2の切離し可能部C3,C4(図11(A)に2点鎖線で示す)が設けられている。第2の切離し可能部C3,C4は、先端部40cと延出部40eとの間でフレキシャ要素40´の幅方向(矢印Yで示す方向)に切断される。
【0032】
第2のブリッジ部116,117のそれぞれの幅B3,B4(図11(A)に示す)は、いずれも延出部40eの幅W3よりも十分小さく、幅W3の半分未満である。このため第2の切離し可能部C3,C4を個々に切断することは、延出部40eの幅W3の全長を切断する場合と比較して容易である。
【0033】
また延出部40eには、各フレキシャ要素40´ごとに、枠部60の幅方向(図5に矢印Yで示す方向)に一定のピッチで、第2の位置決め孔120が形成されている。第2の横枠76の幅W2(図6図7に示す)は、第2の位置決め孔120の外径よりも大きい。フレキシャ40の製造工程において、フレキシャ要素40´を所定位置に保持するために、第2の位置決め孔120に第2の位置決めピンが挿入されてもよい。
【0034】
本実施形態のフレキシャ連鎖シート50は、テール部40bの切断予定部105(図8に示す)をカッタによって切断することにより、図9に示されるようにテール部40bが第1の横枠75から切離される。
【0035】
前記したように、第2の横枠76をなす先端連鎖部110の第1のブリッジ部112,113に第1の切離し可能部C1,C2が設けられている。第1の切離し可能部C1,C2をカッタによってフレキシャ要素40´の長さ方向(図10に矢印Xで示す方向)に切断することにより、図11(A)に示す延出部40eを備えたフレキシャ要素40´が得られる。
【0036】
また第2のブリッジ部116,117に第2の切離し可能部C3,C4が設けられている。第2の切離し可能部C3,C4をカッタによって幅方向(図11(A)に矢印Yで示す方向)に切断することにより、図11(B)に示すフレキシャ要素40´が得られる。切り除かれた延出部40eはスクラップとして処理される。
【0037】
フレキシャの製造工程で使用する装置や治具によっては、1枚のフレキシャ連鎖シートの大きさ(長さと幅)が制限されることがある。その場合、フレキシャ連鎖シートの長さが少しでも許容値を越えると、1枚のフレキシャ連鎖シートに形成することのできるフレームユニットの数を1つ減らさなければならない。1つのフレームユニットには、エッチングによって形成された数十から数百個のフレキシャ要素が所定ピッチで配置されているため、フレームユニットを1つ減らすと、数十から数百個のフレキシャが一度に減ることになる。このためフレキシャの生産効率が大幅に低下するという問題が生じる。
【0038】
しかるに本実施形態のフレキシャ連鎖シート50は、フレキシャ要素40´の延出部40e同士をつなぐことによって構成された先端連鎖部110を第2の横枠76として利用している。そしてこの先端連鎖部110に第1の切離し可能部C1,C2と第2の切離し可能部C3,C4とが設けられている。このため、従来のようにフレキシャ要素の延出部とは別に形成された第2の横枠を用いるフレキシャ連鎖シートと比較して、枠部60の大きさ(特に長さ)を小さくすることができた。
【0039】
このためフレキシャの仕様変更などによってフレキシャ要素の長さが多少大きくなっても、1枚のフレキシャ連鎖シート50の許容寸法内で従来と同等の数のフレームユニットを確保することができ、フレキシャ要素40´の数が減ることを回避できる。すなわち1枚のフレキシャ連鎖シート50に多数のフレキシャ要素40´を形成することができ、フレキシャ40を効率良く生産することができる。
【0040】
なお本発明を実施するに当たり、フレキシャ要素の具体的な形状をはじめとして、フレームユニットやフレキシャ要素の数および配置、第1のブリッジ部および第2のブリッジ部、第1の開口および第2の開口、そして第1の切離し可能部および第2の切離し可能部の形状など、フレキシャ連鎖シートを構成する各要素を種々に変形して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10…ディスク装置(HDD)、20…サスペンション、40…フレキシャ、40´…フレキシャ要素、40b…テール部、40c…先端部、40d…テール部後端、40e…延出部、50…フレキシャ連鎖シート、51〜51…フレームユニット、60…枠部、65…メタルベース、71…第1の縦枠、72…第2の縦枠、75…第1の横枠、76…第2の横枠、100…第1の位置決め孔、110…先端連鎖部、111…第1の開口、112,113…第1のブリッジ部、115…第2の開口、116,117…第2のブリッジ部、120…第2の位置決め孔、C1,C2…第1の切離し可能部、C3,C4…第2の切離し可能部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11