特開2016-81653(P2016-81653A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-81653発光窓構造の後付工法及びその後付工法用発光窓ユニット。
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  • 特開2016081653-発光窓構造の後付工法及びその後付工法用発光窓ユニット。 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-81653(P2016-81653A)
(43)【公開日】2016年5月16日
(54)【発明の名称】発光窓構造の後付工法及びその後付工法用発光窓ユニット。
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20160411BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160411BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20160411BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20160411BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20160411BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160411BHJP
【FI】
   F21V33/00 200
   F21S2/00 443
   F21S2/00 438
   F21V7/00 570
   E06B5/00 Z
   E06B7/28 C
   F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-210227(P2014-210227)
(22)【出願日】2014年10月14日
(71)【出願人】
【識別番号】508334340
【氏名又は名称】株式会社未来企画
(71)【出願人】
【識別番号】594054195
【氏名又は名称】金秀アルミ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野原 剛
(72)【発明者】
【氏名】金城 準
(72)【発明者】
【氏名】呉屋 良和
(72)【発明者】
【氏名】舟ヶ崎 貴士
(72)【発明者】
【氏名】山城 健一
(72)【発明者】
【氏名】有賀 俊二
【テーマコード(参考)】
2E039
3K014
3K244
【Fターム(参考)】
2E039AC00
3K014PB00
3K244AA05
3K244AA06
3K244BA31
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244ED25
3K244GA02
3K244JA10
3K244KA02
3K244KA13
3K244KA18
(57)【要約】
【課題】 優れた機能を有する発光窓構造を既設の窓に比較的容易に設置できる後付工法及びその後付工法用発光窓ユニットを実現することを課題とする。
【解決手段】 既設のガラス窓の内側に、LED導光板を取付け、その内側にハーフミラー層を設け、さらにその内側にガラス製の板体を取付け、積層構造の窓構造体を構成することを特徴とする発光窓構造の後付工法であり、前記のLED導光板とハーフミラー層とガラス板とが積層状に一体固定されるフレームを有することを特徴とするLED導光板を用いた発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のガラス窓の内側に、
LED導光板を取付け、その内側にハーフミラー層を設け、さらにその内側にガラス製の板体を取付け、積層構造の窓構造体を構成することを特徴とする発光窓構造の後付工法。
【請求項2】
前記のハーフミラー層は、内側のガラス製板体のさらに内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光窓構造の後付工法。
【請求項3】
前記の既設のガラス窓の内側にさらにハーフミラー層を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光窓構造の後付工法。
【請求項4】
前記のLED導光板の内側に取り付けられるガラス製の板体がマジックミラー機能を有するガラス板であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発光窓構造の後付工法。
【請求項5】
前記のLED導光板とハーフミラー層とガラス板とが積層状に一体固定されるフレームを有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のLED導光板を用いた発光窓構造の後付工法用発光窓ユニット。
【請求項6】
前記のフレームが伸縮自在に固定可能であり、既設の窓枠に対して内側から左右に伸長して固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニット。
【請求項7】
前記のフレームが伸縮自在に固定可能であり、既設の窓枠に対して内側から上下に伸長して固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニット。
【請求項8】
前記のフレームの端部に係り止め手段が設けられ、既設の窓枠に対して係り止め手段により固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニット。
【請求項9】
前記のフレームの外周部に気密手段が設けられ、既設の窓枠に対して気密状態で固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニット。
【請求項10】
前記の請求項5から請求項9までのいずれかに記載の後付工法用発光窓ユニットを、引き違い窓の内側窓、又は外側窓のいずれかの窓に設置し、該ユニットを取り付けたいずれかの窓の外枠と、引き違い窓全体の窓枠とに接点が設けられ、窓の閉止時に給電状態となることを特徴とする発光窓構造の後付工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マジックミラー機能を有するLED導光板を用いた発光窓構造において、既設の窓が活用できる後付工法及びその発光窓ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人らは、マジックミラー機能を有するLED導光板を用いた面状の発光ユニット(特許第5288507号)による窓構造体を開発した(特願2013-36330)。
【0003】
この窓構造体は、内側にハーフミラー層が設けられた透光性を有する面状発光体と、該面状発光体の内側と外側にガラス製の板体が設けられていることを特徴とする窓構造体であり、夜間において、室外からの覗き見防止を実現するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5288507号公報
【特許文献2】特願2012-192821号公報
【特許文献3】特願2013- 36330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の窓構造は、昼間は通常のマジックミラーとして機能し、夜間においては、LED導光板の発光機能により、外面が発光するマジックミラーユニットを備える窓構造である。
【0006】
特許文献2、3は、前記の特許文献1における、発光照度の高いLEDアクリル導光板によるマジックミラーユニットを2枚のガラス板で挟み、窓全面を高い輝度で均一に発光可能とする発光窓構造である。
【0007】
これらの窓構造により、昼間はマジックミラー窓として機能し、夜間は、外面発光により、外部からの視認を遮断することを可能とするものであり、従来のマジックミラー窓では実現できなかった夜間のプライバシーの問題を解決した新たな窓構造となる。
【0008】
このように優れた機能を有する窓構造であるが、新築の建築物の窓に設置する場合を想定しているものである。
【0009】
既存の建築物の窓に設置する場合には、既設の窓を枠ごと撤去してこの窓構造を新たに設置する必要があり、大きな工事となり、コストの問題も大きい。
【0010】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、優れた機能を有する発光窓構造を既設の窓に比較的容易に設置できる後付工法及びその後付工法用発光窓ユニットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、
既設のガラス窓の内側に、LED導光板を取付け、その内側にハーフミラー層を設け、さらにその内側にガラス製の板体を取付け、積層構造の窓構造体を構成することを特徴とする発光窓構造の後付工法である。
【0012】
該発光窓構造は、マジックミラー機能を有するLED導光板を用いた面状発光ユニットによる窓構造であり、すでに出願人が出願済の特許である、特許第5288507号公報に記載されているマジックミラーユニット及び特願2012-192821号公報に記載の窓構造ユニット及び特願2013- 36330号公報に記載の窓構造体である。
【0013】
すなわち、内側にハーフミラー層が設けられた透光性を有するLED導光板による面状発光体と、該面状発光体の内側と外側にガラス製の板体が設けられており、該面状発光体が、透光性アクリル樹脂板と、該アクリル樹脂板の端面に設けられたLED発光素子と、該透光性アクリル樹脂板の表面に設けられた光拡散層とからなり、該LED発光素子の光が該アクリル樹脂板の端面から入光し、該ハーフミラー層で反射し、該光拡散層で拡散することにより、面状発光体の表面が発光することを特徴とする窓構造体とするものである。
【0014】
該面状発光体は、ハーフミラー層が設けられたLED導光板であり、アクリル樹脂製板の片面に光拡散ドット(白色インク)が印刷されたものであり、アクリル樹脂板の端面からLED素子により光を入光させ、ハーフミラー層で前面に反射され、光拡散ドットで散乱させる面状の発光体である。
【0015】
該ハーフミラー層は、マジックミラー機能を有するフィルムや内側のガラス板に金属薄膜層を設けたものでも良い。
【0016】
既設のガラス窓に対して、その内側にLED導光板、さらに内側にハーフミラーフィルム層、さらにその内側にガラス板をセットし、既設のガラス窓枠の内側に後付用のフレームで上記のLED導光板、ハーフミラーフィルム、ガラス板を積層させて取り付けるものである。
【0017】
これにより、既設の窓を枠ごと解体、撤去し、そのあとに新たに発光窓構造を取り付ける大がかりな工事をする必要なく、発光窓構造を実現できるものである。
【0018】
本発明の請求項2は、前記のハーフミラー層は、内側のガラス製板体のさらに内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光窓構造の後付工法である。
【0019】
ハーフミラーフィルムなどを内側ガラスの外面側に貼付したものでも良い。
【0020】
本発明の請求項3は、前記の既設のガラス窓の内側にさらにハーフミラー層を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光窓構造の後付工法である。
【0021】
ハーフミラーフィルムなどを内側ガラスの内面側に貼付したものでも良い。
【0022】
本発明の請求項4は、前記のLED導光板の内側に取り付けられるガラス製の板体がマジックミラー機能を有するガラス板であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発光窓構造の後付工法である。
【0023】
内側ガラスの内面側又は外面側に金属薄膜層を設けたものでも良い。
【0024】
本発明の請求項5は、前記のLED導光板とハーフミラー層とガラス板とが積層状に一体固定されるフレームを有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のLED導光板を用いた発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。
【0025】
LED導光板とハーフミラー層とガラス板との相互の間隔は、1mm以下が好ましい。ハーフミラー層としてハーフミラーフィルムを使用する場合には、ガラス板に直接貼付したものでも良い。
【0026】
ガラス板の内側にハーフミラーフィルムを貼付しても良い。その場合にもLED導光板とガラス板の間隔は1mm以下が好ましい。
【0027】
積層構造としてフレームにより一体固定し、外周部をシール処理することが好ましい。
【0028】
本発明の請求項6は、前記のフレームが伸縮自在に固定可能であり、既設の窓枠に対して内側から左右に伸長して固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。
【0029】
該伸縮手段は、既設の左右の縦窓枠に対して、該フレームが伸縮可能であり、弾性部材やばね部材等で外側に押圧した状態で固定できるものであればいずれでも良い。
【0030】
本発明の請求項7は、前記のフレームが伸縮自在に固定可能であり、既設の窓枠に対して内側から上下に伸長して固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。
【0031】
該伸縮手段は、既設の上下の横窓枠に対して、該フレームが伸縮可能であり、弾性部材やばね部材等で外側に押圧した状態で固定できるものであればいずれでも良い。
【0032】
本発明の請求項8は、前記のフレームの端部に係り止め手段が設けられ、既設の窓枠に対して係り止め手段により固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。
【0033】
該係り止め手段は、該フレームの端部にフック部材が設けられ、既設の窓枠にフックの受け部が設けられたものなどでも良い。
【0034】
本発明の請求項9は、前記のフレームの外周部に気密手段が設けられ、既設の窓枠に対して気密状態で固定できることを特徴とする請求項5に記載の発光窓構造の後付工法用発光窓ユニットである。
【0035】
該気密手段は、前記のフレームの外周部に断熱性材料又は防水性材料により気密状にシールし、該フレームの取付後、該フレームと既設の窓枠との隙間を気密状にコーキングしたものなどでも良い。
【0036】
本発明の請求項10は、前記の請求項5から請求項9までのいずれかに記載の後付工法用発光窓ユニットを、引き違い窓の内側窓、又は外側窓のいずれかの窓に設置し、該ユニットを取り付けたいずれかの窓の外枠と、引き違い窓全体の窓枠とに接点が設けられ、窓の閉止時に給電状態となることを特徴とする発光窓構造の後付工法である。
【0037】
発光窓ユニットへの電源供給において、引き違い窓を閉めたときに当接する引き違い窓のフレームと窓枠との窓閉止時の当接部に各々接点を設けたものでも良い。また、電磁誘導方式などの無線電力送信などでも良い。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
1)既設の窓を解体撤去することなく、発光窓構造を設置することができる。
【0039】
2)ハーフミラー層を内側ガラス板のさらに内側にすることにより、印字ドット影響を受けず、発光品質を高めることができる。
【0040】
3)ハーフミラー層を増やすことで、発光照度を高めることができる。
【0041】
4)発光窓ユニットにより、現地設置が容易となり、取付精度が高まる。
【0042】
5)発光窓ユニットのフレームを伸縮自在に固定できることで、ビス止めなどの必要がなく、設置作業が容易となる。
【0043】
6)発光窓ユニットのフレームに係り止め手段が設けられることで、ビス止めなどの必要がなく、設置作業が容易となる。
【0044】
7)気密手段が設けられることで、結露などの問題が解消される。
【0045】
8)引き違い窓において、特別な配線の必要がなく、窓の閉止時に確実に給電できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明による発光窓構造の後付工法の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明による発光窓構造の後付工法の実施の一形態を、図1に基づいて説明する。
【0048】
図1は、発光窓構造の後付工法の実施例を示す概略構成図である。本図は、既設の窓部分である、窓枠2にガラス板3が取り付けられており、この既設の窓の内側に発光窓ユニット1が取り付けられているものである。
【0049】
発光窓ユニット1は、既設の窓ガラス3の内側に、光拡散層6が設けられたLEDアクリル導光板5が設けられ、その内側にガラス板7が設けられ、そのガラス板7の内側に貼付されたハーフミラーフィルム8とが設けられている。
【0050】
拡散層6を有するLEDアクリル導光板5とガラス板7とハーフミラーフィルム8とは、発光窓ユニット1のフレーム4により、既設の窓ガラス3に気密状態で固定されている。
【0051】
発光窓ユニット1のフレーム4は、既設の窓枠2との隙間を断熱材によりコーキング処理されており、気密状態が維持されている。
【0052】
これにより、既設の窓ガラス3とLEDアクリル導光板5との隙間、及びLEDアクリル導光板5と内側のガラス板7との隙間における空気層は気密状態が保たれており、かつ、各隙間の空気層は、0.1〜0.5mm程度であり、外部からの水分は遮断されているので、結露の問題が解消されている。
【0053】
必要に応じて、空気層をガスに置換したり、フレーム4に乾燥材を充填しても良い。
【0054】
このように、発光窓構造の後付工法によれば、既設の窓を解体、撤去してから、発光窓構造を設置する必要はなく、既設の窓枠、窓ガラスをそのまま使用して発光窓構造を実現できるものである。
【0055】
本発明による発光窓構造の後付工法では、窓構造を有したどのような被取付物(例えば、ビルの窓、電飾看板、掲示板、店舗のショーウィンドウ、エレベータ外面窓、パーテーション等)に対しても適用可能である。
【0056】
そして、LED光をカーテンやブラインドの代わりに使用することができる。
【0057】
さらに、本発明による発光窓構造の後付工法は、様々な窓に適用可能である。例えば、電車や自動車など乗り物の窓にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 発光窓ユニット
2 既設の窓枠
3 既設の窓ガラス
4 発光窓ユニットのフレーム
5 LEDアクリル導光板
6 光拡散層
7 ガラス板
8 ハーフミラーフィルム
図1