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特開2016-8170ユウロピウムをドープした、塩化物、臭化物およびヨウ化物シンチレーター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-8170(P2016-8170A)
(43)【公開日】2016年1月18日
(54)【発明の名称】ユウロピウムをドープした、塩化物、臭化物およびヨウ化物シンチレーター
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/12 20060101AFI20151215BHJP
   C30B 19/00 20060101ALI20151215BHJP
   G01T 1/202 20060101ALI20151215BHJP
【FI】
   C30B29/12
   C30B19/00 Z
   G01T1/202
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-249070(P2014-249070)
(22)【出願日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】14/314,393
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100162123
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 誠
(72)【発明者】
【氏名】マリヤ、ジュラブリョーワ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、カン
【テーマコード(参考)】
2G188
4G077
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC09
2G188CC21
2G188DD41
4G077AA02
4G077AB01
4G077AB09
4G077AB10
4G077BE01
4G077BE03
4G077BE04
4G077CD02
4G077CD04
4G077EB01
4G077HA02
4G077MB04
4G077MB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医用画像および国土安全保障などの応用で使用されるシンチレーション検出器の製造に適するハロゲン化物シンチレーター材料の提供。
【解決手段】単結晶性であり、一般式ABXの組成を有し、(Aはアルカリ;Bはアルカリ土類;Xはハロゲン化物)特に、式ACa1−yEu(A=K、RbおよびCs)の結晶において、二価ユウロピウムがドープされる(この場合、0≦y≦1)。式CsA1−yEu(A=Ca、Sr、Ba又はこれらの組み合わせ;X=Cl、Br、I又はこれらの組み合わせ)の結晶と同様に形成され、Euドーピングは1〜10モル%である。この結晶は垂直式温度傾斜凝固法の炉を用いて成長される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直式温度傾斜凝固法のうちの1つによって成長させた、化学組成CsCaI:yEu(式中、yは0.01以上0.10以下である)を含んでなるシンチレーター。
【請求項2】
yが約0.01〜0.03である場合、一次元で0.1cmより大きな単結晶を含んでなる、請求項1に記載のシンチレーター。
【請求項3】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直勾配凍結法のうちの1つによって成長させた、化学組成RbCaI:yEu(式中、yは0.01以上0.03以下である)を含んでなるシンチレーター。
【請求項4】
yが約0.03である場合、一次元で0.1cmより大きい単結晶を含んでなる、請求項3に記載のシンチレーター。
【請求項5】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直式温度傾斜凝固法のうちの1つによって成長させた、化学組成CsCaCl:yEu(式中、yは0.01以上0.10以下である)を含んでなるシンチレーター。
【請求項6】
一次元で0.1cmより大きな単結晶を含んでなる、請求項5に記載のシンチレーター。
【請求項7】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直式温度傾斜凝固法のうちの1つによって成長させた、化学組成CsSrBr:yEtt(式中、yは0.01以上0.10以下である)を含んでなるシンチレーター。
【請求項8】
一次元で0.1cmより大きな単結晶を含んでなる、請求項7に記載のシンチレーター。
【請求項9】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直式温度傾斜凝固法のうちの1つによって成長させた、化学組成CsSrCl:yEti(式中、yは約0.10である)を含んでなるシンチレーター。
【請求項10】
一次元で0.1cmより大きな単結晶を含んでなる請求項9に記載のシンチレーター。
【請求項11】
ブリッジマン法、改良ブリッジマン法、チョクラルスキー法、複合チョクラルスキー/ブリッジマン法および垂直式温度傾斜凝固法のうちの1つによって成長させた化学組成CsBaSr1−x:yEu(式中、yは約0.01〜0.03であり、xは0.00以上0.24以下である)を含んでなり、単結晶が形成され、バリウム濃度の増加とともに減少する吸湿性を示す、シンチレーター。
【請求項12】
一次元で0.1cmを上回る単結晶を含んでなる、請求項11に記載のシンチレーター。
【請求項13】
バリウム濃度がCsSrI:yEu(式中、yは約0.01〜0.03である)の吸湿特性を改善する、請求項11に記載のシンチレーター。
【請求項14】
x=0.03でCsSrI:yEuの水分吸収速度が1分あたり0.10から0.065%のレベルまで、すなわち約35%改善され、0.14より大きなxでは、水分吸収速度の改善が50%を上回る、請求項13に記載のシンチレーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2012年1月17日に出願され、現在は認可された米国特許出願第13/351,748号の一部係属出願であり、この出願は、2011年2月15日に出願された米国特許仮出願第61/443,076号、および2011年5月27日に出願された米国特許仮出願第61/491,074号の利益を主張し、また2010年5月10日に出願された米国特許仮出願第61/332,945号の利益を主張する2011年5月2日に出願された米国特許出願第13/098,654号(現在、2014年4月8日に発行された米国特許第8,692,203号)の一部係属出願であり、すべてZhuravleva et al.のものであり、すべての優先出願は、それらの全体の開示内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(政府支援の記載)
本発明は、国土安全保障省によって授与された契約番号DHS−DNDO2009−DN−077−AR1031−03および米国エネルギー省によって授与されたDOE−NA22:DE−NA0000473の下で政府支援を得てなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本発明は、一般に、二価ユウロピウムをドープした、新たな塩化物、臭化物およびヨウ化物シンチレーター結晶に関し、より詳細には、次式:ACa1−yEu(式中、A=K、RbもしくはCs、またはそれらの組み合わせであり、0≦y≦1)およびCsA1−yEu(式中、A=Ca、Sr、Ba、またはそれらの組み合わせであり、0≦y≦1)のうちの1つによって表され、いずれの式においても、X=Cl、BrもしくはI、またはそれらの組み合わせである、ハロゲン化物シンチレーターに関する。
【背景技術】
【0004】
放射線検出用のハロゲン化物シンチレーターは、米国公開特許出願第2011/0272585号で記載され、そして放射線検出用の塩化物シンチレーターは、2011年11月10日に公開された米国公開出願第2011/0272586号で記載され、どちらもテネシー大学のZhuravleva et al.の公開出願である。ハロゲン化物シンチレーターは、単結晶性であり、式AMBr6(1−x)Cl6xまたはAMBr7(1−x)Cl7xの組成を有し、式中、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、またはこれらのいずれかの組み合わせからなり、M、Ce、Sc、Y、La、Lu、Gd、Pr、Tb、Yb、Nd、またはこれらのいずれかの組み合わせからなり、0≦x≦1である。塩化物シンチレーターも単結晶性であり、式AMClの組成を有し、AおよびMは前述の元素からなる。改良されたブリッジマン(Bridgman)の技術を使用して結晶が形成された。ブリッジマン法は、ブリッジマン法の理解に必須とみなされる任意の物質に関して本明細書中で参照により援用される他の公知指導書の中でも、Robertson J. M., 1986, Crystal Growth of Ceramics、 Bridgman-Stockbarger method in Bever、 1986 “Encyclopedia of Materials Science and Engineering,” Pergamon, Oxford pp. 963-964”に記載されている。
【0005】
放射線検出用のヨウ化物シンチレーターは、2011年11月16日に公開された欧州特許出願第2387040号で記載され、2011年5月2日に出願された米国特許出願第13/098,654号および2010年5月10日に出願された米国特許仮出願第61/332,945号の優先権を主張し、これもまたテネシー大学のZhuravleva et al.のものである。開示されたヨウ化物シンチレーターは、式AM1−xEuI、A1−xEuおよびAM2(1−x)Eu2xの組成を有し、式中、Aはアルカリ元素(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)、またはこれらのいずれかの組み合わせから本質的になり、Mは、Sr、Ca、Ba、またはこれらのいずれかの組み合わせから本質的になり、0≦x≦1である。まず、上記組成の化合物を合成し、次いで、合成された化合物から、例えば、垂直式温度傾斜凝固法(Vertical Gradient Freeze method)によって単結晶を形成することによって、これらのヨウ化物シンチレーター結晶を作製した。特に、高純度の、複数の出発ヨウ化物(例えば、CsI、SrI、EuI、および希土類ヨウ化物)を、例えば、純粋な窒素雰囲気を有するグローブボックス中で取扱い、混合して溶融させ、シンチレーター材料の所望の組成の化合物を合成する。シンチレーター材料の単結晶を、合成された化合物からブリッジマン法または垂直式温度傾斜凝固(VGF)法によって成長させる。この方法では、合成された化合物を含有する密封されたアンプル(ampoule)を制御された温度勾配により高温域(hot zone)から低温域(cold zone)へ高速で輸送して、溶融合成化合物から単結晶性シンチレーターを形成する。アンプルは、約1×10−6ミリバールの真空を形成した後、水素トーチで密封してもよい。シンチレーター結晶を切断してもよく、紙やすりおよび鉱油を用いて研磨してもよく、場合によって、シンチレーターによって生じた光子を受容するように配置され、光子生成を示すシグナルを生成させる光電子増倍管(PMT)などの光子検出器に連結してもよい。典型的には、厚さが約1〜3mmのプレートをブール(boules)から切り出すことができ、光学的特性評価のために小さい試料(サンプル)を選択することができる。このシンチレーター結晶の研究は、テネシー州ノックスビルのテネシー大学シンチレーション材料研究所で続けられている。
【0006】
また、2011年7月7日に公開された、米国出願公開公報第2011/0165422号によれば、補完的開発(complimentary development)として、ランタニドドープストロンチウムバリウム混合ハロゲン化物シンチレーター結晶、例えば、Sr0.2Ba0.75Eu0.05BrIに5%のEuを添加して、ブリッジマン成長技術も使用することがカリフォルニア大学で開発された。
【0007】
Shah et alの2011年2月3日に公開された、米国特許出願公開公報第2011/0024635号によれば、リチウム含有ハロゲン化物シンチレーター組成物が開示される。このCsLiLn組成物は、マサチューセッツ州ウォータータウンのRadiation Monitoring Devices, Inc.で製造されている。
【0008】
近年、放射線検出物質(radiation detecting material)は、他の応用の中でも、国家安全保障、医用画像、X線検出、ガンマ線検出、油井探査(oil well logging:地質学的応用)、および高エネルギー物理学で応用するため、材料研究として最も要求がある。典型的には、上述の種類の結晶は、望ましくは、高い光収率、速いルミネッセンス減衰(例えば、1000ns未満)、良好な阻止能(good stopping power)、高密度、良好なエネルギー分解、成長の容易性、比例性および周囲条件下での安定性を示す。LaBr:Ce1−x(E. V. D. van Loef et al; Applied Physics Letters, 2007, 79, 1573)、およびSr:Eu1−x(N. Cherepy et al., Applied Physics Letters, 2007, 92, 083508)は所望の基準のいくつかを満足する今日の基準物質であるが、それらの適用は極端な吸湿性により限定される。商業的に入手可能な他の公知基準としては、多くの供給源から入手可能なゲルマニウム酸ビスマス(BGO)およびNaI:Tlが挙げられる。
【0009】
当該技術分野では、上記のように適用するため、シンチレーター結晶材料のさらなる研究開発が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
この概要は、概念の選択のために提供される。これらの概念は、詳細な説明でさらに後述される。この概要は、請求される対象の重要な特徴、または基本的特徴を特定することを意図するものではなく、この概要は、請求される対象の範囲の決定を補助することを目的とするものでもない。
【0011】
本発明は、次式:ACa1−yEu(式中、A=K、Rb、もしくはCs、またはこれらの組み合わせであり、X=Cl、Br、もしくはI、またはこれらの組み合わせであり、0≦y≦1)およびCsA1−yEu(式中、A=Ca、Sr、Ba、またはこれらの組み合わせであり、X=Cl、Br、もしくはI、またはこれらの組み合わせであり、0≦y≦1)のうちの1つによって表される二価ユウロピウムでドープされたハロゲン化物シンチレーターなどの無機シンチレーター結晶を提供することによって上記要求を満たす。一般に、1つの実施形態は、ABXを含んでなる(Aはアルカリであり、Bはアルカリ土類であり、Xはハロゲン化物である)。
【0012】
1つの実施形態においては、無機単結晶シンチレーターは、式:ACa1−yEu(式中、A=K、Rb、もしくはCs、またはこれらの組み合わせであり、X=Cl、Br、もしくはI、またはこれらの組み合わせであり、0≦y≦l)を含んでなる。特に、KCaI:Euについては、例えば、200〜800℃の温度の間など種々の温度で、0%KIから100%CaIのモル濃度まででヨウ化カリウム(KI)およびヨウ化カルシウム(CaI)がプロットされた、公知のKI−CaI状態図を参照して結晶を形成させた(なお、状態図は、米国国立標準技術研究所(NIST)の提供している状態図データベースから入手可能である)。また、RbCaI、CsCaI、およびCsCaClについては、公知の状態図にしたがって、できる限り、高純度かつ無水の原材料を使用して、結晶を形成した。無水RbIは、一般的に入手できないため、公知技術を用いてRbI原料を精製した。垂直式温度勾配凝固法、または改良ブリッジマン法のうちの1つを用いて、これらの結晶を成長させた。チョクラルスキー(Czochralski)技術、または組み合わせブリッジマン/チョクラルスキー法を、シンチレーター結晶を成長させるための代替プロセスとして使用してもよい。
【0013】
別の実施形態では、無機単結晶シンチレーターは、式:CsA1−yEu(式中、Aは、Ca、Sr、Ba、またはそれらの組み合わせであり、0≦y≦l、、Xは、Cl、Br、もしくはI、またはこれらの組み合わせである)を含んでなる。同様の成長技術を利用し、シンチレーターとしてこれらの特徴を研究した。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の様々な態様の構造および操作を、添付の図面を参照して詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特徴および利点は、図面とあわせた場合に後述の詳細な説明からさらに明らかになり、図中、同様の参照番号は、同一または機能的に類似した要素を示す。
【0016】
図1、2および9は、米国国立標準技術研究所(KIST)の提供している状態図データベースによって得られる先行技術の状態図を含んでなり、当業者の実行可能性のためにここで再現される。
【0017】
図1図1は、KI−CaI系の先行技術の状態図であり、KIは、左側に示され、CaIは、右側に0〜100%のモル濃度で示され、一方、温度は左側の縦軸に沿って200℃〜800℃で示される。図は、一致溶融化合物(congruently melting compound)KCaIの形成を示し、KCaIの結晶を溶融物から成長させることができるという事実を指摘する。
【0018】
図2図2は、KCaI、ならびにRbIからCaI、およびCsIからCaIに類似した系の、200℃〜800℃の先行技術の状態図である。3つの化合物、KCaI、CsCaIおよびRbCaIはすべて一致溶融化合物であり、これらの結晶を溶融物から成長させることができる。
【0019】
図3図3は、上から下へ、高温域、断熱域および低温域を含んでなるブリッジマン装置の形態の典型的な概略図を示し、炉の中央は高温域のアンプルからの結晶成長方向を示す。
【0020】
図4図4は、フォトルミネッセンス発光のグラフ、ならびにCsCaI:EuおよびKCaI:Euの励起スペクトルを示し、図中、破線は広い励起帯を表し、実線は各結晶の発光帯を表す。
【0021】
図5図5は、X線による励起下でEu2+の5dから4fへの発光を示す、CsCaI:Eu、KCaI:Eu、およびRbCaI:Euの各結晶の放射線ルミネッセンスのグラフを示す。
【0022】
図6図6は、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマン酸ビスマス(BGO)標準試料に対して正規化された、CsCaI:Eu3%(上側の曲線)およびKCaI:Eu3%(下側の曲線)の662keVガンマ線光電ピークを有する137Csエネルギースペクトルを示す。
【0023】
図7A図7Aは、ナノ秒で測定された時間にわたる結晶KCaI:Eu1%についてのシンチレーション減衰(カウント)のグラフを示す。シンチレーション時間プロフィールは、137Csガンマ線源を用いて記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文で示す。
図7B図7Bは、ナノ秒で測定された時間にわたる結晶RbCaI:En1%についてのシンチレーション減衰(カウント)のグラフを示す。シンチレーション時間プロフィールは、137Csガンマ線源を用いて記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文で示す。
図7C図7Cは、ナノ秒で測定された時間にわたる結晶CsCaI:Eu1%についてのシンチレーション減衰(カウント)のグラフを示す。シンチレーション時間プロフィールは、137Csガンマ線源を用いて記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文で示す。
【0024】
図8A図8Aは、定規と比較した、KCaI:Eu3%結晶の写真から作製した白黒図を示す。
図8B図8Bは、定規と比較した、CsCaI:Eu3%結晶の写真から作製した白黒図を示す。
図8C図8Cは、RbCaCl:Eu3%結晶の写真から作製した白黒図を示す。
【0025】
図9A図9Aは、CsCl−CaCl系の先行技術の状態図であり、CsClは左側に示され、CaClは右側に0〜100%のモル濃度で示され、温度は200℃〜800℃で左側の垂直軸に沿って示される。
図9B図9Bは、CsCl−SrCl系の先行技術の状態であり、CsClは左側に示され、SrClは右側に0〜100%のモル濃度で示され、温度は200℃〜800℃で左側の垂直軸に沿って示される。
図9C図9Cは、SrBr−CsBr系の先行技術の状態図であり、SrBrは左側に示され、CsBrは右側に0〜100%モル濃度で示され、温度は200℃〜800℃で左側の垂直軸に沿って示される。 3つの化合物、CsCaI、CsSrIおよびCsSrBrはすべて一致溶融化合物であり、これらの結晶を溶融物から成長させることができる。
【0026】
図10図10は、基準としてのCsLiYCl:Ce、およびNaI、ならびに以下の結晶:CsSrCl:Eu10%、CsSrBr:Eu10%、およびCsCaCl:Eu10%の水分吸収の経時的グラフであり、後者の2つの結晶は、ほとんどまたは全く水分吸収を示さない。測定は、同じ温度および湿度条件で実施した。
【0027】
図11図11は、CsCaCl:Eu10%、CsSrCl:Eu10%、およびCsSrBr:Eu10%の結晶の各々についてのフォトルミネッセンス発光および励起スペクトルグラフであり、図中、破線は広い励起帯を表し、実線は発光帯を表す。
【0028】
図12図12は、X線による励起下でEu2+5d−4fルミネッセンスを示す、CsCaCl:Eu10%、CsSrCl:Eu10%、およびCsSrBr:Eu10%の各結晶についての放射線ルミネッセンスのグラフを提供する。
【0029】
図13A図13Aは、各結晶、特に、CsCaCl:Eu10%について経時的シンチレーション減衰のグラフを表す。137Csガンマ線源を使用してシンチレーション時間プロフィールを記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文中に示す。
図13B図13Bは、各結晶、特に、CsSiCl:Eu10%について経時的シンチレーション減衰のグラフを表す。137Csガンマ線源を使用してシンチレーション時間プロフィールを記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文中に示す。
図13C図13Cは、各結晶、特に、CsSrBr:Eu10%について経時的シンチレーション減衰のグラフを表す。137Csガンマ線源を使用してシンチレーション時間プロフィールを記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文中に示す。
【0030】
図14A図14Aは、各結晶について、662keVガンマ線光電ピークを有する137Csエネルギースペクトルのグラフを表し、特に、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマン酸ビスマス(BGO)標準試料に対して正規化したCsCaCl:Eu10%を表す。
図14B図14Bは、各結晶について、662keVガンマ線光電ピークを有する137Csエネルギースペクトルのグラフを表し、特に、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマン酸ビスマス(BGO)標準試料に対して正規化したCsSrCl:Eu10%を表す。
図14C図14Cは、各結晶について、662keVガンマ線光電ピークを有する137Csエネルギースペクトルのグラフを表し、特に、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマン酸ビスマス(BGO)標準試料に対して正規化したCsSrBr:Eu10%を表す。
【0031】
図15A図15Aは、エネルギーに対する相対的光出力比例性を示すグラフであり、図15Aは、CsSrBr:Eu10%を表す。
図15B図15Bは、エネルギーに対する相対的光出力比例性を示すグラフであり、図15Bは、CsCaCl:Euについての同様のグラフである。
【0032】
図16A図16Aは、結晶:CsSrCl:Eu10%の写真から作製される白黒図である。
図16B図16Bは、結晶:CsSrBr:Eu10%の写真から作製される白黒図である。
図16C図16Cは、結晶:CsCaCl:Eu10%の写真から作製される白黒図である。
【0033】
図17図17は、バリウム濃度がx=0.03からx=0.24まで増加し、y=1%である場合に水分吸収速度(MAR)において減少を示すCsBaSr1−x:yEu系中のバリウム濃度のグラフである。
【0034】
図18図18は、室温でCsSr1−xBa:1%Euの放射線ルミネッセンススペクトル、445nm〜450nmで出現する放出ピークを示すグラフの集まりである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、概して、概念ABXから得られる、新たな無機シンチレーター結晶に関するものであり、Aはアルカリであり、Bはアルカリ土類であり、Xは塩素、臭素およびヨウ素のうちの1つを含んでなるハロゲン化物である。また、例示的シンチレーター結晶を成長させて二価ユウロピウムドーピングのレベルを1%〜10%で調査し、それらの特性を記録した。また、本発明は、例えば、他の二価元素(Sr、CaおよびSrBaの組み合わせ)のうちの1つでの置換するために二価ユウロピウムでドープした、式CsSrX:Eu1〜10%、CsCaX:Eu1〜10%、またはCsSrBaX:Eu1〜10%のシンチレーター結晶を形成するためにセシウム、ストロンチウム、カルシウム、およびバリウムを組み合わせて使用する、組み合わせ無機結晶シンチレーターに関する。まず、二価ユウロピウムをドープしたACaI結晶の形成を一例として説明し、続いて組み合わせ結晶について説明する。
【0036】
実施例1 ACa1−yEu(式中、A=K、RbおよびCs)
【0037】
図1に、先行技術として、モル濃度と温度プロットとの関係を示す、典型的なヨウ化カリウムおよびヨウ化カルシウム系が示される。ハロゲン化物塩は、一般に急速に水分を吸収し、好ましくは水を含む結晶形態を予めとらないように乾燥状態に維持される。本明細書中で説明するように、これらのハロゲン化物塩の精製プロセスおよび取扱いは、純粋な無水塩を得るために保護的雰囲気下で、例えば、炉中の帯域精製技術、溶融−濾過、または他の公知技術を使用して最も良好に実施され、この場合、材料を石英アンプル中、真空下または窒素もしくはアルゴンガス下のいずれかで密封してもよい。
【0038】
図2は、それぞれルビジウムおよびセシウム、ならびに塩化カルシウムについての同様のプロットを示す。RbIは、現在、純粋な無水形態では入手できず、公知技術を用いて精製し、できるだけ無水にしなければならない。まず、図1より、KCaIは524℃の融点を有する一致溶融化合物である。
【0039】
下記先行技術の表1は、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの各々について形成された各結晶についての詳細および公知式を用いて計算されたZeffを提供する。
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1の概要から、3つの結晶すべてが斜方晶系結晶構造を示す。Eu3%の各結晶の精密な白黒図を図8に示す。融点はカリウムの524℃からセシウムの686℃まで変化する。カリウムまたはセシウムのいずれについても相転移は示されない。469℃または約470℃での相転移がルビジウムについて見られた。Zeffはそれほど変わらず、50.0から52.6までで変化した。密度はおよそ3.8〜4.1g/cmであった。
【0042】
図3で示される垂直式温度傾斜凝固法および改良ブリッジマン技術を使用して、その特性が表1に記載されている結晶を形成することができる。また、方法は、垂直式温度傾斜凝固(VGF)法とともに、またはその代替法として使用することもできる。チョクラルスキー技術または複合チョクラルスキー/ブリッジマン技術を代替法として使用してシンチレーター結晶を成長させてもよい。上述のように、ハロゲン化物塩は感湿性である。プロセス中の1つの段階は、CsI、KI、RbI、EuIおよびCaIなどの高純度無水出発ハロゲン化物を使用して化合物を合成することである。RbIの場合、公知技術を使用してグローブボックス中で塩を乾燥させ、精製した。乾燥塩原材料を図3のアンプルへ移す前はグローブボックス中で取り扱うことが推奨される。典型的なアンプルは、10-6の真空圧力で真空密封した石英アンプルである。並進モーター(translation motor)を有する、メレン(Mellen)製のエレクトロダイナミック勾配(Electro−Dymmic Gradient:EDG)炉を利用して、熱を発生させることができる。合成された材料は、フリットを通して濾過し、続いて数回帯域精製を実施することによってさらに精製することができる。成長パラメータは、次のように示唆されている。温度勾配は、結晶成長1インチあたり25〜75℃であり得る。並進速度は、1時間あたり1ミリメートルであり得る(1時間あたり0.5〜2mmの範囲)。典型的な冷却速度は、1時間あたり5℃であり得る。結晶成長結果は、図8に示すように、成長の長さを示す定規に対して示す。
【0043】
単結晶形態での成長に加えて、本明細書中で説明されているシンチレーター化合物は、微粒子粉末成分を化学量論比で混合し、融点より若干低い温度にて焼結することによって多結晶粉末として調製することができる。さらに、これらの組成物は、微粒子粉末の熱間等静圧圧縮によって多結晶セラミック形態で合成することができる。
【0044】
次に、図4に、285、290nm波長で励起(破線)および460nm波長で発光(実線)の各ピークを示すCsCaIおよびKCaIの各結晶のグラフを示す。強度レベルは、正規化された強度として垂直軸で示される。ホリバ・ジョバンイボン(horiba Jobin Yvon)の蛍光分光光度計(商品名「Flourolog 3」)を測定で使用した。発光および励起帯は、典型的には、Eu2+の5dから4fへの発光(Eu2+5d−4fルミネッセンス)である。Ca2+イオンは、Eu2+ドーピングのための置換部位を与える。特徴的データは、カルシウムの代替として、Eu2+が安定な二価状態で各結晶シンチレーターの格子中へ組み入れられることを裏付ける。さらに、Eu2+ドーピングは、通常の室温で優れた光度および高スペクトルエネルギー分解を示すことが確認される。CsCaClおよびCsCaIは、全体を参照することにより本明細書中で援用される、“Theoretical and experimental characterization of promising new scintillators: Eu2+ CsCaCl3 and CsCaI3,” J. App. Phys. 113, 203504 (2013) of Tyagi, Zhuravleva et al.、および“New single crystal scintillators: CsCaCl3:Eu and CsCaI3:Eu,” Journal of Crystal Growth 352 (2012) pp. 115-119でやや詳しく記載されている。
【0045】
図5に、CsCaI:Eu、KCaI:Eu、およびRbCaI:Euの各結晶のX線放射線ルミネッセンススペクトルのグラフが示され、最大放出ピークは、それぞれ450、470および470nmであり、前述のように、正規化強度を垂直軸として示す。放射線ルミネッセンススペクトルを室温にてX線発生装置からの連続照射下(35kVおよび0.1mA)で測定した。また、発光帯は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴的である。発光は、例えば、Photonis社製のPMT(商品名:「XP2020Q」)および高速タイミングエレクトロニクス(fast timing electronics)などの光電子増倍管(PMI)などの当該技術分野で公知の従来型の光検出器とともに使用するのに適している。
【0046】
次に、図6に、CsCaI:Euが3%およびKCaI:Euが3%の結晶の137Csガンマ線エネルギースペクトルを示す。光出力測定を、鉱油中で、光電子増倍管(PMT)に直接連結され、テフロンテープで覆われた試料に関して実施した。PMT(浜松ホトニクス製の「H3177−50」)を絶対光測定のために使用してもよい。6μ秒の成形時間で137Cs源を使用してガンマ線エネルギースペクトルを記録した。CsCaI:Eu 3%(一般に、上方、菱形で示す。)、およびKCaI:Eu3%(一般に、下方、下向きの三角形)のシンチレーター結晶スペクトルは、どちらも、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマン酸ビスマス(BGO)結晶よりもはるかに高いチャンネル数で662keVガンマ線光電ピーク位置を示し、このことは、はるかに高い光出力を意味する。異なるEuドーピングを1〜10モル%で使用した場合、最適Eu2+アクチベータ濃度は3モル%であることが判明した。
【0047】
図6中の光電ピークをガウス関数と適合させて、ピークの重心およびエネルギー分解を決定した。シンチレーターの発光スペクトルにしたがってPMTの積分量子効率を使用して、単位ガンマ線エネルギーあたりの光子中の光出力を評価した。下記表2は、NaI:Tl参考試料と比較した測定のために使用される特定の試料についての絶対光出力およびエネルギー分解を示す。662keVでのエネルギー分解を662keV光電ピークの半値全幅(FWHM)から決定した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2からわかるように、RbCaI:Eu3%の試料は、分解されたガンマ線光電ピークを示さなかった。それに対し、KCaI:Eu3%の結晶は、NaI:Tlの38,000と比較して1MeVあたり60,000個の光子の光収率で基準NaI:Tl結晶を大きく上回り、一方、CsCaI:Eu3%結晶は一致しても一致しなくても、NaI:Tlの光収率を越えなかった。エネルギー分解に関して、KCaI:Eu3%およびCsCaI:Eu3%の結晶は、どちらも、662keVで5%(カリウムについて)〜7%(セシウムについて)に非常に許容される範囲を示した。
【0050】
各結晶のシンチレーション減衰を図7A〜7Cで示す。図7Aは、KCaI:Eu1%、図7Bは、RbCaI:Eu1%、図7Cは、CsCaI:Eu1%のシンチレーション減衰結果を経時的にカウントした結果を示す。時間相関のある単一光子カウンティング技術を使用すると共に、137Cs662keVガンマ線源を使用して、シンチレーション減衰を測定した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文で示す。1μ秒付近の一次減衰は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴的である。
【0051】
次に、図8Aに、目盛り付定規と比較したKCaI:Eu3%結晶の写真から作製した白黒図を示す。本明細書中の図面で示されるすべての単結晶は、亀裂が無く、一次元で0.1cmより大きい。縦の定規は、カリウム結晶が6cmを超える長さまで成長し、幅は約0.5cmと測定されたことを示す。次に、図8Bに、定規と比較したCsCaI:Eu3%結晶の写真から作製した白黒図を示す。CsCaI:Eu1%の単結晶は、その全体を参照することにより本明細書中で援用される、2011年2月15日に出願された米国特許出願第61/443,076号の図2として示されている。縦の定規(インチ)は、カリウム結晶が2インチを上回る長さまで成長し、幅が約0.5cmと測定されたことを示す。CsCaClおよびCsCaIは、全体を参照することにより本明細書中で援用される、Tyagi, Zhuravleva et al.の“Theoretical and experimental characterization of promising new scintillators: Eu2+ CsCaCl3 and CsCaI3,” J. App. Phys. 113, 203504 (2013)、および、また“New single crystal scintillators: CsCaCl3:Eu and CsCaI3:Eu,” Journal of Crystal Growth 352 (2012) pp. 115-119に説明されている。次に、図8Cに、RbCaI:Eu3%の結晶の写真から作製された白黒図を示す。
【0052】
以下の表3は、基準NaI:Tl結晶のものと比較したCsCaI:Eu3%、およびKCaI:Eu3%の結晶の結果の概要を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
本実施例から、NaI:Tlに匹敵するほど実際に成長する結晶を妥当なコスト(一致溶融および許容される融点を含む)で得られる得ること示されている。結晶は吸湿性であるので、Photonis XP2020Q PMTおよび高速タイミングエレクトロニクスなどの光電増倍管などの従来型の光検出器を密封包装して使用してもよい。X線、ガンマ線および光学的励起が示された。結晶品質(原材料不純物の除去および改善された加工)が改善されれば、光出力およびエネルギー分解の両方が現在のレベルを超えて改善されることが期待される。
【0055】
実施例2 二価ユウロピウムをドープ(0≦y≦1)したCsA1−yEu(式中、A=Ca、Sr、Ba、またはそれらの組み合わせであり、X=Cl、BrもしくはIまたはそれらの組み合わせ)
【0056】
上記のように、1〜10モル%で調べた、二価ユウロピウムドーピングをドープした式CsAXの単結晶無機結晶シンチレーターを記載する。ここで、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)もしくはバリウム(Ba)、またはこれらの組み合わせであり、Xは、塩素、臭素またはヨウ素から選択されるハロゲン化物である。特に、CsSrCl:Eu10%の結晶が、1MeVあたり約46,000光子の光収率および2.6μ秒でシンチレーション減衰を示し、そして優れたガンマ線およびX線検出特性を発揮することが示されるであろう。A2+格子部位はEu2+ドーピングの置換部位を与える。
【0057】
図9A〜9Cに示すように、図9Aは、CsCl−CaCl系の先行技術の状態図を示し、CsClは左側に示され、CaClは右側に0〜100%モル濃度で示され、温度は200℃〜800℃で左の垂直軸に沿って示される。図9Bは、CsCl−SrCl系の類似した先行技術の状態図であり、CsClは左側に示され、SrClは右側に示される。図9Cは、SrBr−CsBr系の先行技術の状態図であり、SrBrは左側に示され、CsBrは右側に0〜100%モル濃度で示され、温度は200℃〜800℃で左側の垂直軸に沿って示される。二価ユウロピウムを、次のように、r(Eu2+)=1.20A(CN=7)、r(Sr2+)=1.21A、およびr(Ca2+)=1.06Aとして、主にドーピングのために使用した。ペロブスカイト型ABX化合物は、一致溶融により、そして前述および後述の方法にしたがった実際の結晶成長を伴って得られた。
【0058】
下記表4(一部先行技術)は、各シンチレーター結晶の結晶成長の概要を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
結晶成長の方法は、図3の説明に関して、すでに前述されている。ブリッジマン結晶成長は、無水99.99%の純粋な原材料を集めて含んでいてもよい。材料を真空乾燥および溶融濾過によってさらに精製してもよい。前述のように、高温域および低温域を有する石英アンプルを用いてもよく、それにより、結晶を真空シール下で成長させることができる。並進モーターを有する、メレン(Mellen)製のエレクトロダイナミック勾配(Electro−Dynamie Gradient:EDG)炉を用いて熱を発生させることができる。結晶成長パラメータは、前述と同じであり得る。75℃/インチの温度勾配、1インチあたり1ミリメートルの並進速度、1時間あたり5℃の冷却速度(典型例)。シンチレーター結晶を自発配向で成長させた。垂直式温度傾斜凝固法(VGF)、ブリッジマンおよび溶融合成ならびに前述の他の技術を使用して三元ハロゲン化物シンチレーターを合成することができる。
【0061】
図10は、基準としてのCsLiYCl:CeおよびNaIならびに次の結晶:CsSrCl:Eu10%;CsSrBr:Eu10%およびCsCaCl:Eu10%の水分吸収の経時的なグラフであり、後者の2つの結晶は、ほとんどまたは全く水分吸収を示さない。CsSrBr:Eu10%、およびCsCaCl:Eu10%は、どちらも、250分(4時間超)の期間にわたって実質的に変化のない水分吸収を示す。さらに、CsSrClは、6.5%超でのNaIと比較して、4時間にわたって2%の大幅に改善された水分吸収を示す。試料を、室温にて制御された環境の閉鎖されたボックス中で測定した。すべての試料は、NaIおよびCLYCシンチレーターと比較して有意に低い感湿性を示した。
【0062】
図11は、CsCaCl:10%、CsSrCl:Eu10%およびCsSrBr:Eu10%シンチレーター結晶の各々についてのフォトルミネッセンススペクトルを表し、図中、破線は、広い励起帯を表し、実線は、発光帯を表す。発光および励起帯は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴的である。結晶の安定な二価状態で光子構造中へEu2+が取り込まれることが、このように裏付けられる。フォトルミネッセンス励起および発光スペクトルは、Xeランプ励起源および走査モノクロメーターを使用する、Horiba製の蛍光分光光度計(商品名「Fluorolog−3」)で測定することができる。以下の表5は、励起(EXC)帯および発光(EM)帯の概要を示す。
【0063】
【表5】
【0064】
図12は、CsCaCl:10%、CsSrCl:Eu10%およびCsSrBr:Eu10%シンチレーター結晶のX線励起した種々のナノメートル波長に対する正規化された強度のグラフである。放射線ルミネッセンススペクトルをX線発生装置(0.1mA、35kV)からの連続照射下、室温にて測定した。Acton社製のモノクロメーターを使用して、波長の機能としてスペクトルを分散することができる。グラフは、X線による励起下での効率的な放射線ルミネッセンスの好結果を示す。発光帯は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴的である。発光帯は、Photonis社製のPMT(商品名:「XP2020Q」)および高速タイミングエレクトロニクスなどの光電子増倍管(PMT)などの従来型の光検出器を用いた捕捉に適した波長であった。測定された放出ピークは、次のとおりである。CsCaCl:Eu10%については、ピークは450nmであり,CsSrCl:Eu10%については、ピークは437nmであり、CsSrBr:Eu10%については、ピークは443nmであった。
【0065】
図13A〜13Cは各結晶についての経時的なシンチレーション減衰のグラフを表し、図13Aは、CsCaCl:Eu10%を表し、図13Bは、CsSrCl:Eu10%を表し、図13Cは、CsSrBr:Eu10%を表す。137Cs662keVガンマ線源を用いてシンチレーション時間プロフィールを記録した。曲線を指数関数と適合させることから得られるシンチレーション減衰定数を説明文中に示す。2〜4μ秒付近の一次減衰は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴的である。測定されたシンチレーション減衰時間は、次の通り測定された。CsCaCl:Eu10%については、減衰時間は4.1μ秒であり、CsSrCl:Eu10%については、減衰時間は2.6μ秒であり(最速)、CsSrBr:Eu10%については、減衰時間は3.5μ秒であった。
【0066】
図14A〜14Cは、各結晶の137Csガンマ線発光スペクトルのグラフを表し、図14Aは、CsCaCl:Eu10%を表し、図14Bは、CsSrCl:Euを表し、図14Cは、CsSrBr:Euを表し、チャンネル100でその光電ピークを有する基準ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)に対して正規化されている。効率的なシンチレーション特性は、3つの結晶すべてについて電離放射線による励起下で示された。以下の表6は、基準としてNaI:Tlと比較した各結晶についての光収率およびエネルギー分解を示す。
【0067】
【表6】
結果からわかるように、CsSrCl:Eu10%は、公知のNaI:Tlよりも光収率が改善されていることを示す。
【0068】
図15A、15Bは、光出力比例性を示すグラフであり、図15Aは、CsSrBr:Euについてのエネルギー(keV)に対する1keVあたりの光出力のグラフであり、図15Bは、CsCaCl:Euについての同様のグラフである。図15は、これらのグラフが10〜1000keVの広範囲のエネルギーレベルにわたって1keVあたりの光出力について良好な比例を示すように、良好な比例であれば、良好なエネルギー分解に寄与することの重要性を示す。
【0069】
図16A〜16Cは、CsSrCl:Eu10%、CsSrBr、Eu10%、およびCsCaCl:Eu10%の各結晶の写真から作成した白黒図である。CsSrCl:Eu10%を約2インチの長さになるまで成長させた。しかしながら、相転移のためと思われるが、多少の亀裂がみられる可能性がある。1%Euでドーピングすることは、同じ発明者らにより、2011年5月27日に出願された米国特許出願第61/491,074号で研究され、その全内容が参照により本明細書中に組み込まれている。Eu1%がドーピングされた単結晶試料は、図1にCsSrBrのものが示され、図8ではEu1%がドーピングされたCsCaClのものが示される。それぞれのガンマ線およびX線のシンチレーション特性が付与される。結晶は、横断面で約1cmである。CsSrBr:Eu10%は、長さ約2cmになるまで成長し、比較的無色透明であり、亀裂がなかった。その円形横断面は、直径2cmより少し小さかった。CsCaCl:Eu10%を、3cmを超える長さまで成長させた。それも比較的無色透明で、亀裂がなかった。その円形横断面は、直径が約11/16インチと測定された。
表7は、基準NaI:Tlと比較した、次のような結晶についての総括表を示す。
【0070】
【表7】
表は、NaI:Tlと比較した場合、良好な透明性、低吸湿性から無吸湿性、良好な光出力および優れた比例性をはじめとする期待できる結果が、上述の新規無機単結晶について得られたことを示す。原材料の精製および成長パラメータの最適化でさらに改善すれば、さらに良好な結果が達成されることが予想される。
【0071】
CsSr1−xBa:Eu1%および3%を含んでなる複合結晶(combination crystal)を次に記載する。結晶をx=0.00、0.03、0.06、0.09、0.14および0.24で成長させた。例えば、Eu1モル%がドープされた結晶中のバリウムをストロンチウムに段階的に置換する目的は、置換がCsSrIの吸湿性に影響を及ぼすかどうかを調べることであった。後者は、シンチレーターとしてのその能力に悪影響を及ぼす水分の吸収体であるように思われる。全体を参照することにより本明細書中で援用される、本発明者らのPhys. Status Solidi RRL 5, No 1, pp. 43-45 (2011), “Crystal growth and characterization of CsSr1-xEuxI3 high light yield scintillators”で報告されているように、単結晶を成長させ、X線およびガンマ線のシンチレーションが見られた。x=0.08である場合、光収率は65000ph/MeVであった。さらに、出願人は、あるEuIII(対Eu2+)が表面で出現する可能性があり、酸化される可能性があることを見出した。一方、全内容を参照することにより本明細書中で援用される、2011年5月27日に出願された同じ発明者らの米国特許出願第61/491,074号(「‘仮074」)では、CsBaIは、Eu1、3および7モル%ドーピングレベルで研究された(全内容に関して参照することにより援用される、Zhuravleva et alのOptical Materials 36 (2014) pp. 670-674, “The Europium oxidation state in CsSrI3:Eu scintiallators measured by X-ray absorption spectroscopy”参照)。3つの試料の単結晶の写真は、Euが1、3および7モル%のドーピングレベル(各々約50mmの体積を有する)で’仮074の図12にて示されている。図13は、UV光で励起された3つの試料を示し、図14は、Eu7モル%ドーピングレベルでのガンマ線検出のためのデータを示す。さらに、バリウムをストロンチウムで部分的に置換すると、CsSrIの斜方晶系結晶構造および一致溶融特性が保存されることが予想され、証明された。0.03、0.06、0.09、0.14および0.24のx値を有するこれらの複合結晶のすべては、シンチレーターとして機能し、亀裂の無い単結晶として良好に製造された。しかしながら、その全体を参照することにより本明細書中で援用される、2013年9月18日に出版された本発明者らによるJournal of Crystal Growth 384 (2013)中、27−32で公開された、出願人の論文“Effect of Ba substitution in CsSrI3: Eu2+”(JCG2013論文)の図6から引用された図17に示すように、バリウム濃度の増加にともなって水分吸収速度は著しく減少していることが示された。図18は、室温でCsSr1−xBa:1%Euの放射線ルミネッセンススペクトル、445nm〜450nmで出現する放出ピークを示すグラフの集まりである。445〜450nmの範囲は公知の5dから4f転移に特徴がある。欠損発光の不純物は、観察されない。ピーク位置の小さなばらつきは、Ba濃度と相関しないようであり、結晶品質および光吸収における小さなばらつきによる可能性が高い。
【0072】
JCG2013論文の図8は、0.03〜0.24のx値についての1%Euの発光および励起スペクトルを示す。バリウム濃度ゼロで0.10%/分から始まる図17中で示される水分吸収速度はわずか3%のバリウム濃度で35%改善され、14%のバリウム濃度で0.05%/分まで50%改善される。この吸湿性が改善されることは、重大であることは明らかである。下記表8は、バリウム濃度の増加に伴って増加する実効密度および実効原子番号の表を示す。
【0073】
【表8】
【0074】
密度および実効原子番号が増加すれば、X線およびガンマ線検出効率が増強されるという結果になる。改善されたシンチレーション特性の結果を表9で後述する。
【0075】
【表9】
【0076】
X線放射線ルミネッセンスは、445〜450um波長でピークを示した。発光帯は、Eu2+の5dから4fへの発光に特徴がある。発光は、光電子増倍管(PMT)などの従来型の光検出器を用いた使用に適した波長である。紫外線/可視光励起および発光を446nmでの放出ピークで測定した。xが3%、Eu1モル%である場合、最大光出力が測定され、1.9μ秒の減衰時間で1MeVあたり28,000個の光子と測定された。xが24%である場合、Euは3モル%であり、シンチレーション減衰時間が1.5μ秒であると、光出力は1MeVあたり21,000個の光子であったように、光出力はxの増加とともに減少する。
【0077】
本発明の様々な態様を上述したが、それらは限定ではなく一例として提示されていると理解されるべきである。当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細において様々な変更をなすことができることは明らかであろう。したがって、本発明は前述の例示的態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらと同様物によってのみ規定されるべきである。
【0078】
加えて、本発明の構造、方法、機能性および長所を強調する添付の図面は、例示目的のためだけに提示されると理解すべきである。本発明は、添付の図面で示される以外の方法で実施することができるように充分に柔軟に構成可能である。
【0079】
さらに、要約書の目的は、米国国立標準技術研究ならびに特許用語もしくは法律用語または表現に精通していない国民一般ならびに特に関連分野の科学者、技術者および実行者が特にこの技術的開示の本質および特質を判断することが可能になるようにすることである。要約書は、本発明の範囲に関して決していかなる方法でも限定することを目的とするものではない。
図1
図2
図4
図5
図9A
図9B
図9C
図11
図12
図15A
図15B
図17
図3
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図10
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図16A
図16B
図16C
図18
【外国語明細書】
2016008170000001.pdf