【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例に係る長尺スイッチについて図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る長尺スイッチ1を示すものであり、この長尺スイッチ1は、長尺で板状の導体材料からなる下部電極板2と、この下部電極板2の外周を開口部2aの領域を除いて覆う長尺の絶縁材3と、開口部6上に重ねた長尺で板状の導体材料からなる上部電極板4と、上端側に凸部5aを備えるとともに、前記絶縁材3及び上部電極板4の外周を覆う長尺でポリエチレンのような合成樹脂等からなる絶縁材料からなる外被5とを有している。
【0020】
本実施例の説明では、前記上部電極板4を一方の電極板とも言い、前記下部電極板2を他方の電極板とも言うものとする。
【0021】
一方の電極板である前記上部電極板4は、長尺スイッチ1の長さ方向に伸縮可能であり、かつ、長さ方向と直交する方向に屈曲可能な構成を有している。
【0022】
前記上部電極板4の具体的構成例を
図2乃至
図7を参照して説明する。
【0023】
図2は長さ方向に連続する部分が存在しない網形状の無導体部8を有する上部電極板4を示すものであり、この上部電極板4は、上部電極板4自体に略四角形状を呈する多数の穴7からなる網形状の無導体部8を設けて全体として網形状を呈するように構成している。
【0024】
また、前記上部電極板4の長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部9を形成している。
【0025】
このような上部電極板4によれば、多数の穴7の存在と外周端辺部9の存在とにより長さ方向の引っ張り応力が小さくなり、連続する部分が存在せず、長さ方向への伸縮が容易となる。
【0026】
また、上部電極板4の幅方向についての曲げ応力も、多数の穴7の存在により小さくなり、幅方向に曲げる(屈曲)ことも容易となる。
【0027】
すなわち、無導体部8の存在により、上部電極板4はあたかも板ばねのようになって長さ方向へ伸縮し、幅方向へ屈曲することが可能となる。
【0028】
そして、上部電極板4の伸縮、屈曲は、2次元平面で完結するので引用文献2のように面外方向へRの小さなアーチ部を付加したことによるこの部分の屈曲による破断を伴う惧れもない。
【0029】
更に、網形状の無導体部8の各穴7は、その周りがすべて上部電極板4の肉厚部で囲まれ閉じた形状であることから、穴7の周りの枝部は細くてすむとともに、従来例のように上部電極板の外縁部が端部絶縁体に入り込むようなことは無くなる。
【0030】
なお、前記上部電極板4の無導体部8の形状としては、後述するような上部電極板4A乃至上部電極板4Eの各無導体部11A乃至11Eと類似した形状を採用することも可能である。
【0031】
更には、無導体部8の形状としては、図示しない楕円形状穴群、多角形状穴群、略階段状を呈する穴群等の中から自在に選定することも可能である。
【0032】
図3は一方の電極板の第1の例である長さ方向に直交する方向に対称な網形状の無導体部11Aを有する上部電極板4Aを示すものであり、この上部電極板4Aは、上部電極板4A自体の長さ方向に直交する方向に対称な網形状の、すなわち、略四角形状を呈する多数の穴12からなる網形状の無導体部11Aを設けて全体として網形状を呈するように構成している。また、前記上部電極板4Aの長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部12aを形成している。
【0033】
このような上部電極板4Aによれば、多数の穴12と無導体凹陥部12aの存在により長さ方向の引っ張り応力が小さくなり、連続する部分が存在せず、長さ方向への伸縮が容易となる。
【0034】
また、上部電極板4Aの幅方向についての曲げ応力も多数の穴12の存在により小さくなり、幅方向に曲げる(屈曲)ことも容易となる、
【0035】
すなわち、無導体部11Aの存在により、上部電極板4Aはあたかも板ばねのようになって長さ方向へ伸縮し、幅方向へ屈曲することが可能となる。
【0036】
そして、上部電極板4Aの伸縮、屈曲は、2次元平面で完結するので引用文献2のように面外方向へRの小さなアーチ部を付加したことによるこの部分の屈曲による破断を伴う惧れもない。
【0037】
更に、網形状の無導体部11Aの各穴12は、その周りがすべて上部電極板4Aの肉厚部で囲まれ閉じた形状であることから、穴12の周りの枝部は細くてすむとともに、従来例のように上部電極板の外縁部が端部絶縁体に入り込むようなことは無くなる。
【0038】
図4は第2の例である上部電極板4Bを示すものであり、この上部電極板4Bは、上部電極板4B自体の長さ方向に直交する方向に対称な網形状の、すなわち、略菱形状を呈する多数の穴13からなる網形状の無導体部11Bを設けて全体として網形状を呈するように構成している。また、前記上部電極板4Bの長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部13aを形成している。
【0039】
この上部電極板4Bによっても、前記上部電極板4Aの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0040】
図5は第3の例である上部電極板4Cを示すものであり、この上部電極板4Cは、上部電極板4C自体の長さ方向に直交する方向に対称な網形状の、すなわち、略平行四辺形状を呈する多数の穴14からなる網形状の無導体部11Cを設けて全体として網形状を呈するように構成している。また、前記上部電極板4Cの長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部14aを形成している。
【0041】
この上部電極板4Cによっても、前記上部電極板4Aの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0042】
図6は第4の例である上部電極板4Dを示すものであり、この上部電極板4Dは、上部電極板4D自体の長さ方向に直交する方向に対称な形状の、すなわち、円形状を呈する多数の穴15からなる網形状の無導体部11Dを設けて全体として網形状を呈するように構成している。また、前記上部電極板4Dの長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部15aを形成している。
【0043】
この上部電極板4Dによっても、前記上部電極板4Aの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0044】
図7は第4の例である上部電極板4Eを示すものであり、この上部電極板4Eは、上部電極板4D自体の長さ方向に直交する方向に対称な形状の、すなわち、四角形状を呈する多数の穴16からなる網形状の無導体部11Eを設けて全体として網形状を呈するように構成している。また、前記上部電極板4Eの長さ方向の外周端辺部には、不連続な無導体凹陥部16aを形成している。
【0045】
この上部電極板4Eによっても、前記上部電極板4Aの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0046】
前記上部電極板4A乃至4Eにおける各無導体部の形状としては、上述した各例に限らず、図示しない楕円形状穴群、多角形状穴群、略階段状を呈する穴群等の中から自在に選定することができ、これらの場合も上述した場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0047】
次に、他方の電極板である下部電極板2について説明する。
【0048】
下部電極板2における長さ方向と直交する方向に屈曲可能な形状としては、
図8に第1の例を示すように、この下部電極板2を構成する長さ方向に連続する直線状導体部21と、この直線状導体部21から前記上部電極板4との接触面方向で、かつ、前記直線状導体部21と交叉する方向に間隔をおいて突出させた多数の突出片22とからなる形状を挙げることができる。
【0049】
前記直線状導体部21は、下部電極板2が長さ方向に伸びないようにするためのものであり、また、直線状導体部21の端部は直線状とし、押し出し成型の絶縁体で覆うことで絡まないようにしている。
【0050】
また、多数の突出片22の前記直線状導体部21と交叉する方向の撓みを利用して下部電極板2を屈曲可能とするものである。
【0051】
図9は第2の例である下部電極板2Aを示すものであり、長さ方向に連続する直線状導体部21Aと、この直線状導体部21Aから前記上部電極板4との接触面方向で、かつ、前記直線状導体部21Aと交叉する方向両側に間隔をおいて櫛歯状に突出させた多数の突出片22Aとからなるものである。
【0052】
この下部電極板2Aによっても、前記下部電極板2の場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0053】
図10は第3の例である下部電極板2Bを示すものであり、長さ方向に連続する直線状導体部21Bと、この直線状導体部21Bから前記上部電極板4との接触面方向で、かつ、前記直線状導体部21Bと交叉する方向片側に間隔をおいて櫛歯状に突出させた多数の突出片22Bとからなるものである。
【0054】
この下部電極板2Bによっても、多数の突出片22Bを片持ち梁型とした構成の基に前記下部電極板2の場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0055】
図11は第4の例である下部電極板2Cを示すものであり、長さ方向に連続する直線状導体部21Cと、この直線状導体部21Cから前記上部電極板4との接触面方向で、かつ、前記直線状導体部21Cと交叉する方向に前記直線状導体部21Cを中央位置としてその両側から間隔をおいて突出させた多数の広幅の突出片22Cとからなるものである。
【0056】
図11に示す下部電極板2Cの場合には、各突出片22Cは、各々直線状導体部21Cからの突出部分に設けたT字状溝部23により画される狭幅部24で直線状導体部21Cに連なるように形成している。
【0057】
図11に示す下部電極板2Cによれば、前記直線状導体部21Cにより長さ方向の伸縮を防止する。
【0058】
また、広幅の各突出片22CをT字状溝部23により画される狭幅部24で直線状導体部21Cに連なるようにしているので、長尺スイッチ1の製造時における樹脂による下部電極板2Cの被覆工程時における樹脂癒着を防止できるとともに、下部電極板2Cの撓み応力を低下させ容易に前記直線状導体部21Cと交叉する方向に屈曲させることが可能となる。
【0059】
なお。上述した実施例では、前記上部電極板4を一方の電極板とし、下部電極板2を他方の電極板として説明したが、前記長尺スイッチ1における下部電極板2、上部電極板4の配置を上下逆とした構成とすることももちろん可能できる。