特開2016-8188(P2016-8188A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-8188肌理改善剤、表皮ターンオーバー改善剤、表皮バリア機能改善剤、抗酸化剤、及び皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-8188(P2016-8188A)
(43)【公開日】2016年1月18日
(54)【発明の名称】肌理改善剤、表皮ターンオーバー改善剤、表皮バリア機能改善剤、抗酸化剤、及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20151215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20151215BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20151215BHJP
【FI】
   A61K8/55
   A61Q19/00
   A61Q19/08ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-128848(P2014-128848)
(22)【出願日】2014年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】宮地 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】新垣 健太
(72)【発明者】
【氏名】川口屋 幸
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC252
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC662
4C083AD042
4C083AD052
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD662
4C083CC03
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD32
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
本発明は、表皮ターンオーバー改善関連因子、表皮バリア機能改善関連因子、抗酸化関連因子の発現を促進することにより、安全かつ効率的に肌理を改善し得る素材を提供することを課題とする。
【解決手段】
水酸化レシチンを有効成分とする、肌理改善剤、表皮ターンオーバー改善剤、表皮バリア機能改善剤、抗酸化剤。また、水酸化レシチンと、炭素数が10〜22の脂肪酸の1種又は2種以上、脂肪酸トリグリセリドの1種又は2種以上、スクワラン、ミツロウ、及びホホバ油を含有する皮膚外用剤に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化レシチンを有効成分とする肌理改善剤。
【請求項2】
水酸化レシチンを有効成分とする、表皮ターンオーバー正常化剤。
【請求項3】
水酸化レシチンを有効成分とする、 表皮バリア機能改善剤。
【請求項4】
水酸化レシチンを有効成分とする、抗酸化剤。
【請求項5】
水酸化レシチンと、炭素数が10〜22の脂肪酸の1種又は2種以上、脂肪酸トリグリセリドの1種又は2種以上、スクワラン、ミツロウ、及びホホバ油を含有する皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸化レシチンを有効成分とする、肌理改善剤、表皮ターンオーバー改善剤、表皮バリア機能改善剤、抗酸化剤、及び皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化レシチンを含有する化粧料は、安全性、保湿性、感触性に優れることが知られている(特許文献1特開平6−116116号公報)。
ヒトは加齢により、表皮ターンオーバーの鈍化、表皮バリア機能の低下、抗酸化機能の低下が認められることが知られている。また、高齢化社会の中で、いつまでも美しくありたいと願う女性の願望は、年々高まっている。そのため、安全性が高く、より高い老化防止、改善効果を有する成分の開発に関するニーズは非常に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−116116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、表皮ターンオーバー改善関連因子、表皮バリア機能改善関連因子、抗酸化関連因子の発現を促進することにより、安全かつ効率的に肌理を改善し得る素材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、天然由来の種々の成分について検討を行った結果、水酸化レシチンが、ヒト表皮細胞における、表皮ターンオーバー改善関連因子、表皮バリア機能改善関連因子、抗酸化関連因子の発現を著しく促進することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、水酸化レシチンを有効成分とする、肌理改善剤、表皮ターンオーバー改善剤、表皮バリア機能改善剤、抗酸化剤に関する。
【0007】
さらに本発明は、水酸化レシチンと、炭素数が10〜22の脂肪酸の1種又は2種以上、脂肪酸トリグリセリドの1種又は2種以上、スクワラン、ミツロウ、及びホホバ油を含有する皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の肌理改善剤は、表皮における表皮ターンオーバー改善関連因子、表皮バリア機能改善関連因子、抗酸化関連因子の発現を促進することにより、安全かつ効率的に肌理を整える効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
水酸化レシチンは、レシチン中の不飽和炭素鎖に水酸基を導入したものである。水酸化大豆レシチン、水酸化卵黄レシチンが例示できる。本発明の効果の点から、水酸化大豆レシチンを用いることが好ましい。
【0010】
本発明の肌理改善剤での有効成分である水酸化レシチンは、炭素数が10〜22の脂肪酸の1種又は2種以上、脂肪酸トリグリセリドの1種又は2種以上、スクワラン、ミツロウ、及びホホバ油を含有する皮膚外用剤に配合することにより、保湿効果が相乗的に向上する。
【0011】
炭素数が10〜22の脂肪酸としては、デカン酸(カプリン酸),ウンデカン酸,ドデカン酸(ラウリン酸),テトラデカン酸(ミリスチン酸),ペンタデカン酸,ヘキサデカン酸(パルミチン酸),ヘプタデカン酸(マルガリン酸),オクタデカン酸(ステアリン酸),エイコサン酸(アラキン酸),ドコサン酸(ベヘン酸)等の直鎖飽和脂肪酸、9-デセン酸(カプロレイン酸),9-ウンデセン酸(9-ウンデシレン酸),10-ウンデセン酸(10-ウンデシレン酸),2-ドデセン酸(2-ラウロレイン酸),5-ドデセン酸(5-ラウロレイン酸),11-ドデセン酸(11-ラウロレイン酸),5-テトラデセン酸(5-ミリストレイン酸),9-テトラデセン酸(9-ミリストレイン酸),2-ヘキサデセン酸(2-パルミトレイン酸),cis-7-ヘキサデセン酸(7-パルミトレイン酸),cis-6-オクタデセン酸(ペトロセリン酸),trans-6-オクタデセン酸(ペトロセエライジン酸),cis-9-オクタデセン酸(オレイン酸),trans-9-オクタデセン酸(エライジン酸),cis-13-ドコセン酸(エルカ酸),trans-13-ドコセン酸(ブラシン酸)等の直鎖モノエン酸、cis-9-,cis-12-オクタデカジエン酸(リノール酸),trans-9-,trans-12-オクタデカジエン酸(リノエライジン酸)等のジエン酸、cis-9,cis-12,cis-15-オクタデカトリエン酸(リノレン酸),trans-9,trans-12,trans-15-オクタデカトリエン酸(リノレンエライジン酸)等のトリエン酸、イソパルミチン酸,イソステアリン酸等の分岐鎖を有する脂肪酸等が挙げられ、化粧品,医薬品用原料として市販されているものを利用することができる。本発明においては、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。本発明の効果の点から、ステアリン酸を用いることが最も好ましい。
【0012】
本発明において用いる脂肪酸トリグリセリドとしては、トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリル,トリアセチルリシノール酸グリセリル,トリイソステアリン酸グリセリル,トリウンデカン酸グリセリル,トリヒドロキシステアリン酸グリセリル,トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル,トリオレイン酸グリセリル,トリ(カプリル・カプリン・イソステアリン・アジピン酸)グリセリル,トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル,トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル,トリ(カプリル・カプリン・ラウリン酸)グリセリル,トリ(カプリル・カプリン・リノール酸)グリセリル,トリカプリル酸グリセリル,トリカプリン酸グリセリル,トリ牛脂脂肪酸グリセリル,トリ(牛脂脂肪酸・ミンク油脂肪酸・タラ肝油脂肪酸)グリセリル,トリステアリン酸グリセリル,トリパルミチン酸グリセリル,トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル,トリベヘン酸グリセリル,トリミリスチン酸グリセリル,トリ(ミンク油脂肪酸・パルミチン酸)グリセリル,トリヤシ油脂肪酸グリセリル,トリラウリン酸グリセリル,トリラノリン脂肪酸グリセリル,トリ(リシノレイン・カプロン・カプリル・カプリン酸)グリセリル,トリリノール酸グリセリル、水添トリ脂肪酸(C12−18)グリセリル、(水添ロジン/ジイソステアリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/リノール酸)グリセリル、トリ脂肪酸(C10−18)グリセリル、トリ脂肪酸(C12−18)グリセリル、トリ脂肪酸(C12−20)グリセリル、トリ脂肪酸(C18−36)グリセリル、トリ(パーム油脂肪酸/パーム核油脂肪酸/オリーブ油脂肪酸/マカデミアナッツ油脂肪酸/アブラナ種子油脂肪酸)グリセリル、トリ(ヒマシ脂肪酸/オリーブ脂肪酸)グリセリル、トリ分岐脂肪酸(C10−40)グリセリル、トリ分岐脂肪酸(C12−31)グリセリル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、トリ(ミンク脂肪酸/パルミチン酸)グリセリル、トリ(リシノレイン酸/カプロン酸/カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられ、化粧品,医薬品用原料として市販されているものを利用することができる。本発明においては、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。本発明の効果の点から、トリ(パーム油脂肪酸/パーム核油脂肪酸/オリーブ油脂肪酸/マカデミアナッツ油脂肪酸/アブラナ種子油脂肪酸)グリセリルを用いることが最も好ましい。
【0013】
スクワランは、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサンで、市販の化粧品,医薬品用原料を利用できるが、深海鮫の肝臓及びオリーブの果実から抽出されるスクワレンに水素添加して得られるものが好ましく使用できる。
【0014】
ミツロウは、トウヨウバチ(Apis indica Radoszkowski),ヨーロッパミツバチ(Apis mellifera L.)等のミツバチの分泌物で、蜜を除いた巣を煮沸して分離した粗ロウ分を化学的に、又は日光により精製漂白して製造される。本発明においては、化粧品,医薬品用原料として市販されている脱臭,精製品もしくは超精製品を用いることが好ましい。
【0015】
ホホバ油は、ホホバ(Simmondsia chinensis 又はSimmondsia californica Nuttall)の種子から抽出される液状のロウである。化粧品,医薬品用原料として市販されているものを用いることができる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤においては、上記した炭素数10〜22の脂肪酸の1種又は2種以上、脂肪酸トリグリセリドの1種又は2種以上、スクワラン、ミツロウ、及びホホバ油を必須の油性成分として含有させる。これらの油性成分全量における配合量及び配合量比は、皮膚外用剤の剤型により適宜定めることができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常皮膚外用剤に配合される、水性成分、油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防微剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0018】
以下に本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0019】
[肌理関連因子発現の確認]
肌理関連遺伝子の発現を、下記の手順で確認した。
ヒト表皮角化細胞を3×105個/ウェルとなるように6ウェルプレートに播種し、5%FBSを含むDMEM培地にて一晩培養した。水酸化レシチンを溶解した培地に交換し、37℃、5% CO2インキュベーター内で24時間培養した。細胞からのTotal RNA抽出はTrizol reagentを用い、ライフテクノロジーズ社のプロトコールに従って調製した。cDNA合成後に下記表1〜3プライマーを使用してリアルタイムPCRにより遺伝子発現を確認した。内部標準として下記表3のGAPDHを使用した。また、水酸化レシチンの培地への添加量は、単独の添加で細胞毒性を示さない濃度を添加量とした。またコントロールとして、水酸化レシチン無添加の培地で同様の実験を行い、コントロールの発現量を1とした相対値を算出後、t検定によりコントロールとの有意差の有無を確認し、結果を表1〜3に示した
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
表1に示した通り、水酸化レシチンは、表皮のターンオーバーに関連する遺伝子の発現を有意に促進し、表皮ターンオーバー改善効果が期待された。
【0024】
表2に示した通り、水酸化レシチンは表皮のバリア機能に関連する遺伝子の発現を有意に促進し、表皮バリア機能改善効果が期待された。
【0025】
表3に示した通り、水酸化レシチンは抗酸化機能に関連する遺伝子の発現を有意に促進し、抗酸化効果が期待された。
【0026】
[実施例1] クレンジングクリーム
(1)ステアリン酸 1.60(質量%)
(2)パルミチン酸 1.30
(3)トリ(牛脂脂肪酸・ミンク油脂肪酸・タラ肝油
脂肪酸)グリセリル 3.80
(4)スクワラン 40.00
(5)脱臭精製ミツロウ 6.00
(6)ホホバ油 4.30
(7)セタノール 1.20
(8)酢酸トコフェロール 0.10
(9)グリセリルモノステアリン酸エステル 0.80
(10)1,3−ブチレングリコール 3.00
(11)グリセリン 8.00
(12)L−アルギニン 0.30
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(14)水酸化レシチン 0.05
(15)精製水 全量を100.00とする量
(16)香料 0.10
製法:(1)〜(9)の油相成分を混合,加熱溶解して85℃とする。一方(10)〜(15)の水相成分を混合,溶解して85℃に加熱する。この水相成分に前記油相を徐々に添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却して40℃にて(16)を添加,混合する。
【0027】
[実施例2] クレンジングローション
(1)エタノール 15.00(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノラウリン酸エステル 1.50
(3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
ブロックポリマー 1.50
(4)イソステアリン酸 0.05
(5)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 0.05
(6)スクワラン 0.10
(7)ホホバ油 0.10
(8)脱臭精製ミツロウ 0.01
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(10)香料 0.05
(11)グリセリン 5.00
(12)1,3−ブチレングリコール 10.00
(13)クエン酸ナトリウム 0.01
(14)水酸化レシチン 0.02
(15)精製水 全量を100.00とする量
製法:(1)に(2)〜(10)を混合,溶解してエタノール相とする。一方、(11)〜(15)を混合,溶解して水相とし、この水相に前記エタノール相を添加して可溶化する。
【0028】
[実施例3] クレンジングフォーム
(1)ステアリン酸 10.00(質量%)
(2)パルミチン酸 10.00
(3)ミリスチン酸 12.00
(4)ラウリン酸 4.00
(5)トリウンデカン酸グリセリル 0.30
(6)スクワラン 1.00
(7)脱臭精製ミツロウ 0.20
(8)ホホバ油 2.00
(9)ポリエチレングリコール (平均分子量1,500) 10.00
(10)グリセリン 15.00
(11)水酸化カリウム 6.00
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(13)水酸化レシチン 0.05
(14)精製水 全量を100.00とする量
(15)グリセリルモノステアリン酸エステル 2.00
(16)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノステアリン酸エステル 2.00
(17)香料 0.10
製法:(1)〜(10)を混合,加熱溶解して70℃とする。(11)〜(13)を(14)に溶解し、前記油相を撹拌しながら添加して、十分に中和反応を行わせる。次いで(15),(16)を添加した後、冷却して40℃にて(17)を、添加,混合する。
【0029】
[実施例4] 化粧水
(1)エタノール 10.00(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノラウリン酸エステル 1.50
(3)ウンデシレン酸 0.05
(4)トリイソステアリン酸グリセリル 0.05
(5)スクワラン 0.10
(6)脱臭精製ミツロウ 0.02
(7)ホホバ油 0.10
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(9)香料 0.05
(10)1,3−ブチレングリコール 6.00
(11)グリセリン 4.00
(12)水酸化レシチン 0.10
(13)精製水 全量を100.00とする量
製法:(1)に(2)〜(9)を混合,溶解し、エタノール相とする。一方、(10)〜(13)を均一に混合,溶解して水相とする。この水相に前記エタノール相を添加して、均一に混合する。
【0030】
[実施例5] 乳液
(1)ステアリン酸 2.70(質量%)
(2)トリヤシ油脂肪酸グリセリル 1.50
(3)スクワラン 3.00
(4)脱臭精製ミツロウ 2.00
(5)ホホバ油 2.00
(6)セタノール 1.00
(7)グリセリン 5.00
(8)L−アルギニン 0.40
(9)N−ステアロイルグルタミン酸モノナトリウム 0.30
(10)水酸化レシチン 0.20
(11)精製水 全量を100.00とする量
(12)エタノール 4.00
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(14)香料 0.10
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、加熱溶解して75℃とする。一方、(7)〜(11)の水相成分を混合,溶解して75℃とする。これに前記油相を加えてホモミキサーにて乳化した後冷却し、40℃で(12)〜(14)を添加,混合する。
【0031】
[実施例6] クリーム
(1)ステアリン酸 3.00(質量%)
(2)トリ(パーム油脂肪酸/パーム核油脂肪酸/
オリーブ油脂肪酸/マカデミアナッツ油脂肪酸/
アブラナ種子油脂肪酸)グリセリル 7.00
(3)スクワラン 10.00
(4)脱臭精製ミツロウ 2.00
(5)ホホバ油 3.00
(6)セタノール 5.00
(7)プロピレングリコールモノステアリン酸 エステル 3.00
(8)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 3.00
(9)d−δ−トコフェロール 0.15
(10)1,3−ブチレングリコール 5.00
(11)グリセリン 5.00
(12)水酸化カリウム 0.20
(13)水酸化レシチン 0.30
(14)精製水 全量を100.00とする量
(15)香料 0.10
製法:(1)〜(9)の油相成分を混合,加熱溶解し、70℃とする。一方、(10)〜(14)の水相成分を混合,溶解した後70℃に加熱し、これに前記油相を添加して乳化する。冷却後40℃にて(15)を添加,混合する。
【0032】
[実施例7] パック剤
(1)ポリ酢酸ビニルエマルション 15.00(質量%)
(2)ポリビニルアルコール 10.00
(3)ソルビトール 5.00
(4)ポリエチレングリコール(平均分子量400) 5.00
(5)水酸化レシチン 0.20
(6)精製水 全量を100.00とする量
(7)酸化チタン 5.00
(8)タルク 10.00
(9)エタノール 8.00
(10)イソパルミチン酸 0.20
(11)トリステアリン酸グリセリル 0.25
(12)スクワラン 2.00
(13)脱臭精製ミツロウ 0.05
(14)ホホバ油 2.00
(15)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.00
モノステアリン酸エステル
(16)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(17)香料 0.10
製法:(6)に(3)〜(5)を添加後、(7),(8)を分散して70℃に加熱し、次いで(1),(2)を加えて溶解する。(9)に(10)〜(17)を添加,溶解し、前記水相に添加して混合し、冷却する。
【0033】
[実施例8] 油中水型乳剤
(1)マイクロクリスタリンワックス 1.00(質量%)
(2)ベヘニン酸 2.00
(3)トリラノリン脂肪酸グリセリル 2.00
(4)スクワラン 25.00
(5)脱臭精製ミツロウ 2.00
(6)ホホバ油 5.00
(7)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.00
(8)ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.00
モノオレイン酸エステル
(9)プロピレングリコール 7.00
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(11)水酸化レシチン 0.50
(12)精製水 全量を100.00とする量
製法:(1)〜(8)の油相成分を混合して加熱溶解し、70℃とする。一方(9)〜(12)の水相成分を混合,加熱溶解し、70℃とする。この水相を前記油相に加えてホモジナイザーにて乳化し、次いで冷却する。
【0034】
[使用試験]
実施例1〜6に配合した水酸化レシチンを、水添レシチンに代替した比較例1〜6を調製した。20代〜40代の女性10名を一群として、実施例1〜6、若しくは比較例1〜6を一日2回(実施例1、2、比較例1、2は一日1回)、1カ月連続して使用させた。右頬部位の角質層水分量を使用開始前と、使用後の2回測定した。使用前の水分量を1とした使用後の水分量の平均値を算出し、使用試験結果とし表4に示した。
【0035】
【表4】
【0036】
表4に記載した通り、実施例使用群においては、比較例使用群より高い水分量増加率を示しており、水酸化レシチンを配合することにより、高い保湿効果を発揮することが示された。