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特開2016-82967エグ味が除去されたビノスガイの生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-82967(P2016-82967A)
(43)【公開日】2016年5月19日
(54)【発明の名称】エグ味が除去されたビノスガイの生産方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/00 20060101AFI20160415BHJP
【FI】
   A01K61/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-186137(P2015-186137)
(22)【出願日】2015年9月21日
(31)【優先権主張番号】特願2014-217855(P2014-217855)
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度 独立行政法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100122574
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 貴大
(72)【発明者】
【氏名】松原 創
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA22
2B104DA00
2B104EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な方法で生鮮利用が可能となる技術を提供する。
【解決手段】海水から生きているビノスガイを取り出し、ビノスガイに干出ストレス又は淡水ストレスを付与する工程と、海水にビノスガイを戻し、5℃以下で2週間以上飼育する工程と、を有する、エグ味が除去されたビノスガイの生産方法により飼育した後で、ビノスガイを加熱された淡水または海水に一定時間浸漬させることで生きたままの状態で貝殻を開くようになり、手で簡単に生鮮利用可能な見及び貝柱を取り出すことが出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水から生きているビノスガイを取り出し、該ビノスガイに環境ストレスを付与する工程と、
前記海水に該ビノスガイを戻し、2週間以上飼育する工程と、
を有する、エグ味が除去されたビノスガイの生産方法。
【請求項2】
前記環境ストレスが、干出ストレス又は淡水ストレスである、請求項1に記載のビノスガイの生産方法。
【請求項3】
前記干出ストレスが、空気中に前記ビノスガイを晒すものである、請求項2に記載のビノスガイの生産方法。
【請求項4】
前記淡水ストレスが、淡水中に前記ビノスガイを浸漬するものである、請求項2に記載のビノスガイの生産方法。
【請求項5】
前記海水が、5℃以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビノスガイの生産方法。
【請求項6】
前記ビノスガイを加熱した淡水又は海水に一定時間浸漬し、前記ビノスガイの貝内の温度を36〜48℃とすることにより前記ビノスガイを開殻する工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビノスガイの生産方法。
【請求項7】
海水から生きているビノスガイを取り出し、該ビノスガイに環境ストレスを付与する工程と、
前記海水に該ビノスガイを戻し、2週間以上飼育する工程と、
を有する、ビノスガイのエグ味除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エグ味が除去されたビノスガイ(Mercenaria stimpsoni)の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビノスガイは三陸沿岸・若狭湾以北、オホーツク海の水深5m〜30mの砂地に生息し、殻長が10cm前後に達する国産種の二枚貝で、漁獲実態はないが、ホッキガイ漁において大量に混獲される。
【0003】
しかし、ビノスガイは独特のエグ味を有し、さらに貝殻が開きにくい割には可食部分が少なく北海道では食用とはされていない(なお、北アメリカ原産の移入種であり、東京湾に生息する食用のホンビノスガイ(Mercenaria mercenaria)とは区別される)。そのため、ホッキガイ漁で混獲されたビノスガイはその多くが廃棄され、市場に流通することはほとんどなかった。
【0004】
ビノスガイの有効利用の研究はほとんど行われていないが、北海道のいぶり中央漁協により、ホッキ漁で混獲され従来未利用だったビノスガイの有効活用を進めるべく、むき身ボイル製品を開発する取り組みが行われている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】週刊水産新聞,「いぶり中央漁協の挑戦 ホッキ混獲ビノス貝 有効活用」,2014年6月23日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のビノスガイの食用としての利用は、調理方法を工夫してビノスガイのエグ味を低減するか、調味料でエグ味をマスキングするものが主流であった。しかしながら、ビノスガイは加熱処理すると身が硬くなり食味が低下するため、エグ味を低減するために過度に加熱処理するのは食味の面からもコストの面からも好ましくない。また、調理方法を工夫したり調味料でマスキングしたとしても、ビノスガイ独特のエグ味は残ってしまうのが実情である。そのため、ビノスガイのエグ味そのものを除去する技術の開発が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は簡易な方法でビノスガイの生鮮利用が可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ビノスガイのエグ味を除去するための方法を検討した結果、海中から捕獲した生きているビノスガイに、低温・高温干出又は淡水浸漬する等の方法で環境ストレスを付与した後、一定温度以下の海水で飼育することで、ビノスガイ独特のえぐみを除去することができるとの知見を得た。
【0009】
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、海水から生きているビノスガイを取り出し、該ビノスガイに環境ストレスを付与する工程と、海水に該ビノスガイを戻し、2週間以上飼育する工程と、を有する、エグ味が除去されたビノスガイの生産方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のビノスガイの生産方法によれば、安心、安全、安価な方法でビノスガイ独特のエグ味を除去し、これまで生鮮利用されていなかったビノスガイの生鮮利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ビノスガイの開殻処理前と開殻処理後の状態を示す図である。
図2図1に示すビノスガイの2ヶ所の貝柱を切断すると、さらに大きく(20〜30mmほど)貝殻が開く状態を示す図である。
図3図2に示すビノスガイの貝殻を開いた状態を示す図である。
図4図2に示すビノスガイの貝柱を切断した後の状態を示す図である。
図5】開殻した後のビノスガイを示す図である。
図6】ビノスガイを開殻処理した後のRGB値を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明のビノスガイの生産方法は、海水から生きているビノスガイを取り出し、該ビノスガイに環境ストレスを付与する工程と、前記海水に該ビノスガイを戻し、2週間以上飼育する工程と、を有する。
【0013】
前記環境ストレスは、外部環境の変動によりビノスガイに対して与えられるストレスであり、具体的には、干出ストレス、淡水ストレス、低温ストレス等を挙げることができる。特に、コストや手順の容易さの観点からは、干出ストレス又は淡水ストレスであることが好ましい。
【0014】
本実施形態において、「干出ストレス」とは、空気中にビノスガイを晒すことによるストレスをいう。干出ストレスを付与する際の温度は適宜設定することができるが、−20℃〜20℃の範囲内とすることが好ましい。また、干出ストレスを付与する時間は、30分〜180分の間が好ましい。この温度と時間は、ビノスガイが死亡しない条件で決定されることが前提であり、かかる観点からは、温度が低い場合は干出時間は短時間とし、温度が高い場合は長時間とすることが好ましい。
【0015】
具体的には、例えば、ビノスガイを海水から取り出し−20℃で干出ストレスを付与する場合は、30分間でストレス付与処理を終了することが好ましく、20℃で干出ストレスを付与する場合は、180分間でストレス付与処理を終了することが好ましい。
【0016】
本実施形態において、「淡水ストレス」とは、淡水中にビノスガイを浸漬することによるストレスをいう。淡水ストレスを付与する際の温度は適宜設定することができるが、10℃〜20℃の範囲内とすることが好ましい。また、淡水ストレスを付与する時間は、30分〜180分の間が好ましい。
【0017】
本実施形態において「低温ストレス」とは、海水温が0℃以下の条件にビノスガイを晒すことによるストレスをいう。ビノスガイの生育適温は0℃から20℃であるが、これを−0.5℃以下とすることによりビノスガイにストレスを与えることができる。低温ストレスを付与する際の時間は、30分〜180分の間が好ましい。
【0018】
環境ストレスを付与した後、海水にビノスガイを戻し、2週間以上飼育する。すなわち、環境ストレスを付与した後は、通常の環境下でビノスガイを飼育する。この工程によってビノスガイ中に存在するエグ味成分が除去され、生鮮食品としての付加価値が形成される。ここで、海水の温度はビノスガイが生息する地域の海水の温度に設定することが、ビノスガイの生存率を高める観点から好ましい。具体的には、1.5℃以下であることが好ましい。
【0019】
一方、ビノスガイに対し強い環境ストレスを与えた場合は、その後ビノスガイを海水で飼育するときの海水の温度が高いとビノスガイの死亡率が高まるため留意する必要がある。また、干出ストレス処理の条件が20℃、30分の場合、または淡水ストレス処理の条件が10℃、30分の場合は、海水の温度が15℃であっても死亡率は低いが、その場合はエグ味の除去率が低下する傾向にある。したがって、環境ストレス付与後に飼育する好適な海水温度は、ストレス付与の条件を勘案して選択されるが、一般に、海水温度は5℃以下、特に1.5℃以下に保つことが好ましい。
【0020】
海水で飼育する期間は2週間以上であれば本発明の効果を得ることができ、一度環境ストレス処理を実施したビノスガイは再びエグ味成分を保有することはないが、あまりに長期間飼育すると、身が痩せる傾向があり、死亡率が高まることが懸念されるだけでなく、飼育コストの負担も大きくなるため、2ヵ月を上限とすることが好ましい。
【0021】
このようにして得られたビノスガイはその後開殻処理及び脱殻処理等が行われ、エグ味が除去された生鮮食品として、生食用、加熱調理用を始めとする様々な用途に利用することができる。
【0022】
ところで、ビノスガイは貝殻が比較的厚く開殻しにくいという問題を有している。仮に開殻用ナイフを使用してビノスガイを開殻してもビノスガイの細かい貝殻が身に混入してしまい、これらを取り除く作業が大きな負担となっていた。熱水でビノスガイを煮れば開殻することはできるが、生鮮利用という本発明の目的は達成できない。
【0023】
そこで、ビノスガイを容易に開殻するため、貝内の温度が36±0.2℃〜47.87±0.32℃となるように、加熱された淡水又は海水にビノスガイを一定時間浸漬することが好ましい。貝内の温度が36±0.2℃以上になると、ビノスガイは生きたままの状態で5〜10mmほど貝殻を開く(図1)。その隙に2ヶ所の貝柱(図2、矢印参照)を切断すると、さらに大きく(20〜30mmほど)開殻する(図3)。その後は手で貝殻を簡単に開くことができ、生鮮利用可能な身及び貝柱を取り出すことができる(図4)。身及び貝柱は上述のようにエグ味も除去されているため食味も良好である。
【0024】
ビノスガイの貝内の温度を36±0.2℃〜47.87±0.32℃とするためには、例えば、48℃の淡水又は海水中に、生きたビノスガイを30分間浸漬すればよい。なお、貝内の温度が36℃未満ではビノスガイを開殻することができず、逆に、48℃以上ではビノスガイの身及び貝柱がタンパク変性を起こし、ビノスガイが死亡してしまう。
【実施例】
【0025】
1.干出ストレス処理
(1)干出ストレス処理後2週間海水中で飼育した場合
漁獲したビノスガイを自然海水(約5℃)の水槽で管理した。水槽からビノスガイを取り出し、3−5個体をそれぞれ干出ストレス処理(−20℃又は20℃の空気中にて30分又は180分間曝露)した後、低温海水(−1℃)、冬季の自然海水(平均1.5℃海水)又は高温海水(15℃)で100Lの止水水槽で2週間飼育した。なお、換水は毎日行った。
【0026】
また、食味ブラインドテストを、生産者2名、加工業者1名、調理師2名、研究者15名、大学事務員10名及びメディア関係者1名で行った。なお、食味ブラインドテストでは、刺身、酒蒸し、天ぷら、バター炒めにして評価を試みた。
【0027】
結果を表1に示す。無処理区の飼育水温が15℃の条件では強いエグ味を感じ、低温および自然海水ではややエグ味を感じる程度であった。試験区ではいずれの区もエグ味が感じられず、美味であった。以上の結果から、ビノスガイを干出ストレス処理した後に冬季の自然海水(平均1.5℃海水)で飼育すれば、エグ味を除去できることが明らかとなった。
【0028】
飼育期間中の死亡率は、無処理区では認められなかったが、飼育水温15℃の−20℃干出30分のストレス付与条件で30%のビノスガイが死亡し、−20℃干出180分のストレス付与条件では100%のビノスガイが死亡した(すなわち全滅した)。−20℃干出180分のストレス付与条件では飼育水温−1℃及び自然海水でも高い死亡率を示した。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)干出ストレス処理後2ヵ月間飼育した場合
上記と同様の要領で、干出ストレス処理を行った後、飼育期間を2ヵ月に延長したものについても検討を行った。結果を表2に示す。飼育期間を2ヵ月間としても、いずれの条件下でもエグ味除去効果は持続していることが判明した。なお、干出ストレス処理時において長時間(180分)処理した場合はその後の飼育においてビノスガイの死亡率が高くなる傾向が認められた。
【0031】
【表2】
【0032】
2.淡水ストレス処理
(1)淡水ストレス処理後2週間飼育した場合
漁獲したビノスガイを自然海水(約5℃)の水槽で管理した。水槽からビノスガイを取り出し、3−5個体をそれぞれ淡水ストレス処理(10又は20℃の水道水にて30分又は180分間浸漬)した後、低温海水(−1℃)、自然海水(平均1.5℃海水)又は高温海水(15℃)で100Lの止水水槽で2週間飼育した。なお、換水は毎日行った。
【0033】
結果を表2に示す。無処理区の飼育水温が15℃の条件では非常に強いエグ味を感じ、低温および自然海水ではややエグ味を感じる程度であった。これに対し、試験区では、すべての条件においてエグ味の除去効果が認められた。なお、飼育期間中のビノスガイの死亡率は、無処理区では認められなかったが、淡水ストレス処理後、高温海水(15℃)で飼育した場合はエグ味除去効果が低下する傾向が認められ、比較的死亡率も高くなることが判明した。
【0034】
【表3】
【0035】
(2)淡水ストレス処理後2ヵ月間海水中で飼育した場合
上記と同様の要領で、淡水ストレス処理を行った後、飼育期間を2ヵ月に延長したものについても検討を行った。結果を表4に示す。飼育期間を2ヵ月間としても、いずれの条件下でもエグ味除去効果は持続していることが判明した。但し、淡水ストレス処理時において長時間(180分)処理した場合はその後の飼育においてビノスガイの死亡率がやや高くなる傾向が認められた。
【0036】
【表4】
【0037】
3.ビノスガイの開殻処理
(1)開殻温度の検討
上記1(1)において干出ストレス処理(−20℃、30分)を行った後、冬季の自然海水(平均1.5℃海水)で飼育したビノスガイを、淡水(水道水)、海水、気相のぞれぞれにおいて所定温度で所定時間浸漬し、開殻処理を実施してビノスガイの開殻率を計測した(表5〜表7)。また、加温により開殻した/開殻しなかったビノスガイの貝内温度をおんどとりJr.TR-52i(株式会社ティアンドデイ社製)を用いて測定した(表8)。これらの結果より、ビノスガイの貝内温度が36±0.2℃以上に達すると貝殻が開くことが判明した。なお、海水が最も早くその温度に達し、続いて淡水、気相の順となった。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
(2)ビノスガイの生存率及び味
上記(1)に示す処理条件で開殻処理を行ったビノスガイの生存率の測定と味の評価を行った。味の評価は、調理師2名、研究者1名の食味ブラインドテストで行った。
【0043】
結果を表9に示す。加温により開殻したビノスガイの生存率は、低温で処理した場合ほど生存率が高い傾向が認められたが、味については、48℃でも40℃と変わらなかった。また、上述した表5〜表7の結果によれば、48℃の開殻処理が最も早く貝殻が開く(すなわち、貝内温度が36±0.2℃に達する)ため、開殻するには、短時間での処理が可能で、かつ、味にも影響を与えない48℃での開殻処理が最も好ましいと判断した。
【0044】
【表9】
【0045】
(3)高温処理による影響
ビノスガイを60℃の加熱海水に浸漬し、開殻率、貝内温度、生存率及び味について検討を行った。結果を表10に示す。味の評価は、調理師2名、研究者1名で行ない、下記の評価基準に従って行った。結果を表10と図5に示す。図5は開殻した後のビノスガイを示す図である。図5の左は48℃の海水に10分間浸漬したビノスガイであり、右は60℃の海水に10分間浸漬したビノスガイである。60℃の海水に10分間浸漬したビノスガイは、15分で100%開殻したものの、10分にはすべてのビノスガイが死亡していた。開殻後、身と貝柱を観察したところ、明らかにタンパク質が変性していた。一方、48℃で処理したビノスガイは、タンパク質の変性は認められなかった。
【0046】
【表10】
【0047】
(4)開殻処理したビノスガイのRGB値の比較
48℃の海水に10分間浸漬したビノスガイと、60℃の海水に10分間浸漬したビノスガイのRGB値を測定した。RGB値は、PowerShot A640(キャノン社製)を使用して撮影を行い、得られた画像データをカラーチャート(ベア―メディック社製)により輝度を補正し、Photoshoop Elements 13(アドビシステム社製)を用いて数値化した。なお、数値は各部で一定の面積を測定し、RGBの平均値として表した。
【0048】
結果を図6に示す。貝柱及び身ともに、60℃の海水に10分間浸漬したビノスガイのRGB値は48℃の海水に10分間浸漬したビノスガイのRGB値よりも優位に高く、貝内温度が47.87±0.32℃以上(60℃海水10分で処理したもの)となる場合は、タンパク変性を起こすことが認められた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6