【解決手段】包装袋8と、包装袋8の内部に収容された貼付剤10とを備える貼付剤入り包装袋1であって、貼付剤10は、支持体12と、支持体12の少なくとも一方の面に積層され、ロピニロール及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する粘着剤層14と、粘着剤層14を被覆する剥離フィルム16とを有し、包装袋8の内部は、4℃における相対湿度が35%以上に維持されていることを特徴とする、貼付剤入り包装袋1。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、ロピニロール及びその薬学的に許容される塩を含有する貼付剤においては、特許文献3〜5の包装袋を用いただけでは、貼付剤の着色、結晶析出が発生するという問題が生じることを見出した。さらに、本発明者らは、これらの着色が薬物の分解により生じる可能性があることを見出した。
【0007】
そこで本発明は、保管時の結晶析出を防止するとともに、着色を抑制し、さらにはロピニロール及びその薬学的に許容される塩の分解が抑制される貼付剤入り包装袋、及び貼付剤の保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、包装袋と、該包装袋の内部に収容された貼付剤とを備える貼付剤入り包装袋であって、貼付剤は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に積層され、ロピニロール及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する粘着剤層と、該粘着剤層を被覆する剥離フィルムとを有し、包装袋の内部は、4℃における相対湿度が35%以上に維持されていることを特徴とする、貼付剤入り包装袋を提供する。
【0009】
かかる貼付剤入り包装袋によれば、保管時の結晶析出を防止するとともに、着色を抑制し、さらにはロピニロールの分解が抑制される。
【0010】
なお、4℃における相対湿度とは、4℃における一定体積中の空気が持つことができる最大の水蒸気量(kg・m
−3:飽和湿度)を100とした場合の、これに対する実際に含まれる水蒸気量(kg・m
−3)の割合(%)をいうものとする。
【0011】
上記包装袋は脱酸素手段を有することが好ましい。これにより、ロピニロールの分解防止効果、及び貼付剤の経時着色防止効果がさらに向上する。
【0012】
上記包装袋は2以上の層から構成され、包装袋の最も内側の層が、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリエステルからなる群より選択される1種の樹脂から形成されたシーラント層であることが好ましまた、包装袋の最も外側の層が、ポリエチレンテレフタレート、セロハン、二軸延伸ポリプロピレンからなる群より選択される1種の樹脂から形成された外層であることがより好ましい。
【0013】
上記包装袋は、上記シーラント層と上記外層との間に、アルミニウムから形成されたバリア層をさらに有することが好ましい。
【0014】
上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種の粘着剤を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に積層され、ロピニロール及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する粘着剤層と、該粘着剤層を被覆する剥離フィルムと、を有する貼付剤を包装袋に収容し、該包装袋の内部の4℃における相対湿度が35%以上となるように維持することを特徴とする、貼付剤の保存方法を提供する。
【0016】
かかる保存方法によれば、保管時の結晶析出を防止するとともに、着色を抑制し、さらにはロピニロールの分解が抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貼付剤入り包装袋、及び貼付剤の保存方法によれば、貼付剤に含まれるロピニロール又はその薬学的に許容される塩の結晶析出を抑制することができ、さらに、薬物の分解を抑制することができる。そのため、貼付剤の製造後、使用前において、貼付剤を包装袋の内部に収容させることにより、貼付剤に含まれる薬物含有量を維持することができる。従って、使用に際しては、充分な量のロピニロールを経皮吸収させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の貼付剤入り包装袋の好適な実施形態を示す断面図である。貼付剤入り包装袋1は、互いに対向配置された一対の積層包材7a,7bからなる包装袋8と、この包装袋8内部の空間に収容された貼付剤10を有している。また、
図1に示される貼付剤入り包装袋1においては、包装袋8内に、脱酸素手段としての包装脱酸素剤20がさらに収容されている。このような構成を有する貼付剤入り包装袋1においては、後述するように、包装袋8内部の4℃における相対湿度が35%以上に維持されている。
【0021】
上述した貼付剤10を包装する包装袋8は、互いに対向配置された一対の略矩形の積層包材7a,7bから構成されている。積層包材7a,7bは、略矩形を有するフィルム状の積層体であり、シーラント層2と、バリア層4と、外層6とが内側から順に積層された構成を有している。また、互いに対向配置された積層包材7a,7bは、これらの外縁部において接合されており、これにより周囲が全周にわたって閉じられている。なお、積層包材7同士の外縁部の接合は、ヒートシールにより行うか、又は接着剤を用いて行うことができる。
【0022】
積層包材7a,7bを構成する各層のうち外層6の材質は、特に限定するものではないが、例えば、セロハン、紙、合成紙、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)等から選択される樹脂フィルムが挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート、セロハン、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましく用いられる。外層6をこれらの樹脂とすることで、袋の内側となる層を物理的に保護するとともに、腐食等の包装袋外面に変性が生じるのを抑制することができる。
【0023】
なお、外層6は、材料が互いに異なる複数の層から構成されていてもよく、例えば、セロハンからなる層とポリエチレンからなる層とを積層したものであってもよい。
【0024】
外層6の厚みは、好ましくは5μm〜600μmの範囲、より好ましくは5μm〜500μmの範囲で形成される。外層6の厚みが5μmより小さいと、剛度が低下し、物理的な強度が低下し、取り扱い性、保護性が低下する傾向がある。また、外層6の厚みが600μmを超えて厚くなると、剛度は向上して物理的な強度も向上するものの、製造の歩留まりが低下する傾向、及び製造コストが上昇する傾向が生じる。
【0025】
バリア層4は、包装袋内部について、外部からの非透過性を確保し充填した内容物の揮散を防止するため、及び貼付剤の安定性を確保するために積層させるものである。その材質としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、プラスチックフィルムの表面にアルミニウム等の金属や酸化ケイ素等のセラミクスを蒸着したフィルムが挙げられ、好ましくはアルミニウム箔が用いられる。バリア層4としてアルミニウム箔を用いることにより、光線、水蒸気、酸素を完全に遮断することができる。
【0026】
シーラント層2とは、包装袋を構成する積層包材をヒートシールすることにより接着して包装袋を形成するための樹脂層であり、好ましくは熱可塑性樹脂層である。シーラント層2を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリエステル、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリオレフィン系アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)が挙げられ、好ましくはポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリエステルが用いられる。
シーラント層2が薬剤浸透性の高い材料からなるものである場合は、貼付剤保管中に積層包材の層の界面が剥離する現象(層間剥離)が生じることがあるが、内面となる層をポリアクリロニトリル、ポリエチレン又はポリエステルとすることによって貼付剤成分の浸透が防止されるため、層間剥離の問題が生じない。特に、内面の層を全てポリアクリロニトリル、ポリエチレン又はポリエステルとすると、薬物の分解を効率よく抑制できる。すなわち、薬物を含む貼付剤が、包装袋の内部に収容された後、貼付剤が包装袋の内部で動いた場合等であっても薬物の分解を防止できる。
【0027】
シーラント層2の厚みは、積層包材同士を接着するのに充分な厚みであればよく、例えば10μm〜50μm程度厚みを有していればよい。
【0028】
上記した積層包材7a,7bを構成する各層の積層加工(ラミネート)方法については、特に限定するものではなく、エキストルージョンラミネーション、ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション、ウェットラミネーションが用いられる。
【0029】
貼付剤10は、略矩形の支持体12と、この支持体12の片面略全面に積層された粘着剤層14と、粘着剤層14を被覆する、粘着剤層14からの剥離が可能な剥離フィルム16とを有するものである。
【0030】
支持体12は、粘着剤層14を支持可能なものであれば特に制限されないが、薬物の移行性を良好に維持しつつ柔軟性に優れるものが望ましく、伸縮性又は非伸縮性のものが用いられ、薬物を粘着剤層から効率的に放出可能なものが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンの合成樹脂で形成された、フィルムもしくはシート又はこれらの積層体、多孔質膜、発泡体、織布及び不織布、あるいは紙材を支持体として好適に用いることができる。
【0031】
剥離フィルム16としては、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレン等の樹脂フィルム、離型処理した紙等を用いることが可能であり、特にシリコン処理を施したポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが好適に用いられる。
【0032】
粘着剤層14は、粘着剤、及び、薬物であるロピニロール又はその薬学的に許容される塩(以下、これらをまとめて「ロピニロール化合物」という)を含有する粘着剤組成物から構成されるものである。
【0033】
粘着剤組成物におけるロピニロール化合物の含有量は、粘着剤組成物の全質量を基準として、0.5〜50質量%であると好ましく、1〜30質量%であるとより好ましい。薬物の含有量が0.5質量%未満であると、薬効を十分に得られなくなる傾向にある。一方、50質量%を超えると、粘着剤層中に薬物を保持しきれなくなり、粘着物性が劣る傾向にある。
【0034】
粘着剤組成物における粘着剤としては、粘着性に優れ、薬物の放出性に優れる粘着剤であれば特に限定されないが、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤から選択される1種又は2種以上が好ましく使用される。中でも、粘着性に優れ、また薬物の放出性に優れていることから合成ゴム系粘着剤及び/又はアクリル系粘着剤が好ましい。合成ゴム系粘着剤としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)又はスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレン系ブロック共重合体が挙げられ、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)が好ましい。
【0035】
アクリル系粘着剤としては、アクリル酸、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタクリル酸−2−エチルヘキシル等に代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一種含有させて共重合したものであれば特にその限定はない。アクリル系粘着剤の具体例としては例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸共重合体又はアクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体が挙げられ、特に、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体が好ましい。
【0036】
また、粘着剤としては、上述した粘着剤を複数種組み合わせた粘着剤組成物も好適である。このような粘着剤組成物としては、例えばSISとアクリル系粘着剤とを組み合わせた粘着剤組成物が挙げられ、具体的には、SISとアクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体とを組み合わせた粘着剤組成物が好ましい。
【0037】
上記粘着剤組成物における粘着剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量を基準として10〜95質量%であると好ましい。
【0038】
上記粘着剤組成物には、必要に応じて、粘着付与剤及び軟化剤等を含有させることもできる。
【0039】
粘着付与剤としては、脂環族飽和炭化水素樹脂、ロジン誘導体(例えばロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル又はロジンのペンタエリスリトールエステル)、テルペン樹脂、石油樹脂又はマレイン酸レジン等が挙げられる。これらの中でも特に、脂環族飽和炭化水素樹脂、水添ロジンのグリセリンエステルが好適である。これらの粘着付与剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
軟化剤としては、例えば、石油系オイル(例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル又は芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油又はラッカセイ油)、オレフィン酸、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えばジブチルフタレート又はジオクチルフタレート)、液状ゴム(例えばポリブテン又はポリイソプレン)、液状脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル又はセバシン酸イソプロピル等)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル又はクロタミトンが挙げられる。これらの中でも特に、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル及びセバシン酸ジエチルは皮膚への適度な付着性を付与できることから好適である。これらの軟化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
なお、粘着付与剤及び軟化剤等を粘着剤組成物に含有させる場合のその含有量は、それぞれ以下に示す範囲であると好ましい。すなわち、粘着剤組成物の全質量を基準として、粘着付与剤の含有量が10〜90質量%であり、軟化剤の含有量が5〜60質量%であると好ましい。
【0042】
また、上記粘着剤組成物には、必要に応じて、経皮吸収促進剤、分散補助剤、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、保存剤、紫外線吸収剤を適宜配合してもよい。
【0043】
経皮吸収促進剤としては、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の脂肪族アルコール、カプリン酸のような脂肪酸、プロピレングリコールモノラウレート、パルミチン酸イソプロピルやミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸誘導体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミドを挙げることができる。これらの吸収促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
吸収促進剤を配合する場合の配合量は、製剤としての組織への有効成分の充分な透過性及び局所刺激牲等を考慮して、粘着剤組成物の全質量を基準として1〜30質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜20質量%であり、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0044】
分散補助剤としては、例えば、無機系鉱物、高分子系化合物、有機酸が挙げられる。無機系鉱物としては、カオリン、タルク、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、ステアリン酸亜鉛、アエロジルや含水シリカ等のケイ酸化合物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル等が望ましい。高分子系化合物としては、ポリビニルピロリドン、オイドラギット(メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーL、メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマーS、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーS、メタアクリル酸−エチルアクリレートコポリマーRL、メタアクリル酸−エチルアクリレートコポリマーRS等)、クロスポビドン、カルボキシビニルポリマー等が望ましい。有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸等が望ましい。これらの分散補助剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
また、分散補助剤を配合する場合のその配合量は、粘着剤組成物の全質量を基準として、好ましくは0.5〜50質量%であり、さらに好ましくは1〜20質量%であり、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0046】
抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が望ましく、特に製造工程において溶解剤として使用するにはジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の使用が特に好ましい。
充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が望ましい。
保存剤としては、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が望ましい。
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が望ましい。
【0047】
このような抗酸化剤、充填剤、保存剤、紫外線吸収剤は、合計で粘着剤組成物の全質量を基準として、10質量%以下の量で配合することが好ましい。
【0048】
貼付剤10の製造方法は特に限定されないが、例えば、薬物(ロピニロール化合物)、粘着剤及び軟化剤等を含有する粘着剤組成物を溶融させて均一に混合し、剥離フィルムに塗工し、粘着剤層を形成後、支持体と貼り合わせることにより貼付剤10を製造することができる。
また、粘着剤組成物をトルエン、ヘキサン、ヘプタン又は酢酸エチル等の溶媒に溶解させ、剥離フィルムに展延して、溶媒を乾燥除去し、粘着剤層を形成後、支持体と貼り合わせることにより貼付剤10を製造することもできる。
【0049】
上述したように、本実施形態の貼付剤入り包装袋1においては、包装袋8内に脱酸素手段としての包装脱酸素剤20が貼付剤10とともに収容されている。この包装脱酸素剤20は、脱酸素剤用包装袋24、及びこの包装袋24内に収容された脱酸素剤22から構成されるものである。
【0050】
この包装脱酸素剤20としては、例えば、エージレス(三菱ガス化学)、StabilOx(Multisorb)、ウェルパック(タイセイ)、エバーフレッシュ(鳥繁産業)、オキシーター(上野製薬)、キーピット(ドレンシー)、ケプロン(ケプロン)、サンソカット(アイリス・ファインプロダクツ)、サンソレス(博洋)、セキュール(ニッソー樹脂)、タモツ(大江化学工業)、バイタロン(常盤産業)、モデュラン(日本化薬フードテクノ)、ワンダーキープ(パウダーテック)、鮮度保持剤C(凸版印刷)をそのまま、又は適宜包装したものを好適に用いることができる。
【0051】
また、包装脱酸素剤20を用いない脱酸素手段としては、例えば、包装袋を構成する層、例えばシーラント層にアルミニウム、亜鉛、マンガン、銅、鉄、ハイドロサルファイト、活性炭等のような脱酸素作用を有する粉末を混合する方法が挙げられる。
【0052】
本実施形態における包装袋内の空間の相対湿度は35%以上、好ましくは41%以上、より好ましくは41%〜70%に維持される。従来用いられる湿度より敢えて高く設定することにより、ロピニロール化合物をより安定的に保管することが可能となる。すなわち、包装袋内の湿度を35%未満にすると貼付剤中のロピニロール化合物の結晶が析出するため好ましくない。
【0053】
包装袋内の空間の相対湿度は、製造工程時に製造環境を所定の温湿度に調整する方法や、脱酸素剤中の水分により湿度を調整する方法等により、上記範囲に含まれるように調整することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
[貼付剤及び包装袋の製造例]
(実施例1)
(包装袋Aの作製)
低密度ポリエチレン(LDPE)、アルミニウム箔(Al)、ポリエチレン(PE)、セロハン(PT)をこの順で積層した多層フィルムAを2枚準備した。次いで、2枚の多層フィルムAをLDPEからなる層が対向するように配置し、周縁部の3辺を熱融着によって接着し、1辺が貼付剤収容のために開口した方形の包装袋Aを得た。
(貼付剤Bの製造)
混合機を用いて、表1に記載の配合率にて、塩酸ロピニロール、水酸化ナトリウム、流動パラフィン及びメタノール(溶剤)を混合した後、SIS、脂環族炭化水素樹脂及びトルエンの混合溶液を添加・混合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液をフィルム上に展延し、溶剤を乾燥除去して粘着剤層を形成した。この粘着剤層上に支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、貼付剤Bを得た。得られた貼付剤Bは6.25平方cm(正方形)に裁断した。なお、貼付剤Bの粘着剤層の厚さは100μmであった。
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Aに貼付剤B及び鉄系脱酸素剤を含有する脱酸素パック(三菱ガス化学製、脱酸素能:15cm
3、寸法:7.3cm×5cm)を、23℃、相対湿度38%の環境下封入し、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例2〜3、比較例1〜4については、表2に従って、以下に記載する方法で貼付剤入り包装袋を作製した。
【0058】
【表2】
【0059】
(実施例2)
包装袋Aに貼付剤B及び鉄系脱酸素剤を含有する脱酸素パック(三菱ガス化学製、脱酸素能15cm
3、寸法11cm×7.5cm)を23℃、相対湿度38%の環境下封入し、実施例1と同様に、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0060】
(実施例3)
(包装袋Bの作製)
ポリアクリロニトリル(PAN)、アルミニウム箔(Al)、ポリエチレン(PE)、セロハン(PT)をこの順で積層した多層フィルムAを2枚準備した。次いで、2枚の多層フィルムAをPANからなる層が対向するように配置し、実施例1と同様にして包装袋Bを得た。
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Bに貼付剤B及び鉄系脱酸素剤を含有する脱酸素パック(三菱ガス化学製、脱酸素能:15cm
3、寸法:7.3cm×5cm)を23℃、相対湿度38%の環境下封入し、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0061】
(比較例1)
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Aに貼付剤Bを23℃、相対湿度38%の環境下封入し、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0062】
(比較例2)
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Aに貼付剤B及び乾燥機能付き脱酸素パック(商品名;ファーマキープ KC−20、三菱ガス化学製)を23℃、相対湿度38%の環境下封入し、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0063】
(比較例3)
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Aに貼付剤B及び市販乾燥剤パック(Sud Chemie)を23℃、相対湿度38%の環境下封入し、4℃で30日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0064】
(比較例4)
(貼付剤の包装袋への封入)
包装袋Aに貼付剤Bを窒素置換して封入し、4℃で約7日間保管し、袋内の湿度を測定した。
【0065】
(湿度の測定方法)
各実施例及び比較例の貼付剤入り包装袋について、袋内の湿度の測定は、貼付剤とともに包装中に小型の湿度測定器(DICKSON TK500)を封入して測定を行った。なお、当該機器は、測定環境の相対湿度を測定して電子的に記録することができ、測定終了後にこの記録された湿度データを読み取って解析することができる。
【0066】
(湿度の測定結果)
各実施例1〜2、比較例1〜3の貼付剤入り包装袋について袋内の相対湿度を測定した結果、
図2に示すように、実施例1〜2の貼付剤入り包装袋では袋内の相対湿度が41%以上に保たれたのに対し、比較例1〜3の貼付剤入り包装袋はそれに満たない相対湿度で推移した。
【0067】
(貼付剤の保存安定性評価)
各実施例、比較例の貼付剤入り包装袋について以下の方法により、経時着色、結晶析出、分解物の生成を評価した。
【0068】
(貼付剤の経時着色の評価方法)
実施例及び比較例の貼付剤入り包装袋を表3に示す保存条件下にて保存した後、貼付剤を包装袋から取り出して、粘着剤層の着色を目視により以下の基準で評価した。その結果を表3に示す。
A:初期からの色の変化なし
B:わずかに着色したが実用上問題なし
C:明らかに着色しており、実用上問題あり
【0069】
【表3】
【0070】
実施例1の貼付剤は着色が観察されず、実施例3の貼付剤は60℃保存にて若干の着色が認められた。比較例1,4の貼付剤は明らかな着色が観察された。
【0071】
(貼付剤の薬物結晶析出の評価方法)
実施例及び比較例の貼付剤入り包装袋を4℃で30日間保管し、上述の方法で湿度を測定し、目視もしくは顕微鏡観察により貼付剤の一部もしくは全面に放射状の針状結晶が析出した場合を結晶析出「あり」とし、変化のないものを結晶析出「なし」と評価した。その結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
(薬物及び分解物の生成の評価方法)
実施例及び比較例の貼付剤入り包装袋を表5に示す保存条件下にて保存した後、貼付剤を包装袋から取り出した。この貼付剤に含まれる成分をテトラヒドロフラン10mL、水/メタノール混合溶液40mLで抽出して検液とし、高性能液体クロマトグラフィー(ODSカラム、UV検出器)にてロピニロール及び各未確認化合物を検索した。
各未確認化合物の量は、ロピニロールの理論量を100として、各化合物のクロマトグラフィーの吸収面積から算出した。なお、未確認化合物が検出されなかった場合は「−」で示した。
【0074】
【表5】
【0075】
その結果、表5に示すように実施例及び比較例の貼付剤について保持時間26.9分に主分解物が認められたが、比較例と比べると、実施例における分解物の量は極めて少なく、ロピニロールの含有量も高く維持された。