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特開2016-84325含臭素環状アセタール化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-84325(P2016-84325A)
(43)【公開日】2016年5月19日
(54)【発明の名称】含臭素環状アセタール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/16 20060101AFI20160415BHJP
   C07D 319/06 20060101ALI20160415BHJP
   C07D 321/06 20060101ALI20160415BHJP
   C07C 43/06 20060101ALN20160415BHJP
   C07C 43/184 20060101ALN20160415BHJP
【FI】
   C07D317/16
   C07D319/06
   C07D321/06
   C07C43/06
   C07C43/184
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-219414(P2014-219414)
(22)【出願日】2014年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
(71)【出願人】
【識別番号】507119250
【氏名又は名称】東ソー有機化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】松原 浩
(72)【発明者】
【氏名】竒藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】曽我 真一
【テーマコード(参考)】
4C022
4H006
【Fターム(参考)】
4C022GA03
4H006AA03
4H006AB80
4H006GP01
4H006GP02
(57)【要約】
【課題】含臭素環状アセタール化合物の製造方法を効率的かつ高収率で製造する方法、または安全性が高く安価な製造方法を提供する。
【解決手段】エーテル共存下、α,β−不飽和カルボニル化合物と臭化水素とエチレングリコールを反応させることにより、含臭素環状アセタール化合物を高収率で得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
[式(1)中、R1、R2、R3又はR4は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物と、下記一般式(2)〜(5)
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
[式(2)〜(5)中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13又はR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示されるいずれかのジオール化合物と、臭化水素とを反応させて、下記一般式(6)〜(9)
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
[式(6)〜(9)中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13又はR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示される含臭素環状アセタール化合物の製造方法において、エーテルを共存させる、含臭素環状アセタール化合物の製造方法。
【請求項2】
エーテルが、脂肪族エーテルおよび/または環状エーテルである、請求項1記載の含臭素環状アセタール化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含臭素環状アセタール化合物の製造方法に関するものであり、本発明の製造によって得られる化合物は、医薬、農薬、機能材料、電子材料の原料あるいは合成中間体として有用である。
【背景技術】
【0002】
含臭素環状アセタール化合物の製造方法として、α,β−不飽和カルボニル化合物と臭化水素とジオール化合物を反応させ含臭素1,3−ジオキソラン類や含臭素1,3−ジオキサン類を得る方法はよく知られている。この方法では安価で入手容易な原料を用いることができ、また臭化水素が臭素化剤および酸触媒として機能し、臭素化反応とアセタール化反応を一度に行うことが可能であるため効率的な手法ではあるが、収率が低いという課題があった。
【0003】
含臭素1,3−ジオキソラン類の合成法として、アクロレインとエチレングリコールの混合溶液に臭化水素ガスを吹き込んで2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランを合成する方法が知られているが、この方法では収率が45%と非常に低い(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1と同じ手法にてクロトンアルデヒドを用い、2−(2−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソランを合成した例もあるが、収率は69%と満足できる結果ではなかった(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
また、メチルビニルケトンと臭化水素とエチレングリコールを反応させ、2−ブロモエチル−2−メチル−1,3−ジオキソランを合成する例も知られている(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照)。しかしながらこの方法では収率の範囲が40〜80%と広く、再現性が良いとは言えないため、安定的に高収率で合成する方法が望まれていた。
加えて、アクロレインとエチレングリコールと臭化水素の反応においてヒドロキノン存在下で反応させる方法も知られているが収率は59%に留まっていた(例えば、非特許文献5参照)。
【0005】
含臭素1,3−ジオキサン類も含臭素1,3−ジオキソラン類と同様の手法にて合成可能であることが知られている。例えば、臭化水素と1,3−プロパンジオールの混合溶液にアクロレインを滴下し、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキサンを合成する報告例があるが、収率74%と改善の余地が残されていた(例えば、非特許文献6参照)。
また、アクロレインを臭化水素によって臭素化した後に、2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、p−トルエンスルホン酸、脱水剤としてモレキュラーシーブを加えアセタール化を行う方法も報告されている(例えば、非特許文献7参照)。この方法では収率は89%と比較的高いが、臭素化とアセタール化を段階的に行うため効率が悪いことやモレキュラーシーブを大量に使用するため工業的に製造する上で課題となっていた。
【0006】
α,β−不飽和カルボニル化合物とエチレングリコールを用いて含臭素環状アセタール化合物を合成するその他の製法として、ブロモトリメチルシランとp−トルエンスルホン酸によって臭素化およびアセタール化を行う方法が知られている。例えば、ベンゼン溶媒中でアクロレインをブロモトリメチルシランによって臭素化し、次いでp−トルエンスルホン酸とエチレングリコールを添加して目的とする2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランを合成する方法が知られている(例えば、非特許文献8参照)。この方法では収率が83%と比較的高いが、臭素化反応とアセタール化反応を別々に行うため効率が悪く、また高価なブロモトリメチルシランを使用すること、毒性・発がん性が問題視されるベンゼンを溶媒として大量に用いるという課題があるため、効率的で安全な工業的製法の開発が望まれていた。また、非特許文献8には、メチルビニルケトンをα,β−不飽和カルボニル化合物として用いて含臭素1,3−ジオキソラン類を合成する方法も記載されており、収率は82%と比較的高いが、上述したような課題があるため、より安全で工業的な手法が求められていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】アドバンスト シンセシス アンド カタリスト(Advanced Synthesis & Catalysis), 354(7), 1363-1372 (2012)
【非特許文献2】テトラヘドロン(Tetrahedron), 42(12), 3147-56 (1986)
【非特許文献3】オーガニック マス スペクトロメトリ(Organic Mass Spectrometry), 24(11), 977-983 (1989)
【非特許文献4】ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry), 52(1), 34-44 (1987)
【非特許文献5】Beijing Gongshang Daxue Xuebao, Ziran Kexueban, 20(3), 18-21 (2002)
【非特許文献6】ブレチン オブ ザ ケミカル ソサイティ オブ ジャパン(Bulletin of the Chemical Society of Japan), 54(2), 505-508 (1981)
【非特許文献7】Huaxue Yanjiu Yu Yingyong, 12(4), 419-421 (2000)
【非特許文献8】シンセティック コミュニケーションズ(Synthetic Communications), 20(8), 1175-1179 (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は従来技術では満足できなかった含臭素環状アセタール化合物の効率的な製造方法を提供することにある。さらに本発明の別の目的として、安全性が高く安価な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エーテル共存下にて、α,β−不飽和カルボニル化合物と臭化水素とジオール化合物を反応させることにより、従来臭化水素を用いた場合に低収率であった含臭素環状アセタール化合物の製造を高収率で、かつ、毒性の高いベンゼンなどの有機溶媒を使用することのない方法で製造可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
[式(1)中、R1、R2、R3又はR4は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物と、下記一般式(2)〜(5)
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
[式(2)〜(5)中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13又はR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示されるいずれかのジオール化合物と、臭化水素とを反応させて、下記一般式(6)〜(9)
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
[式(6)〜(9)中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13又はR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
で示される含臭素環状アセタール化合物の製造方法において、エーテルを共存させる、含臭素環状アセタール化合物の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0023】
α,β−不飽和カルボニル化合物と臭化水素とジオール化合物を反応させることによって、上記一般式(3)で示される含臭素環状アセタール化合物を製造する方法は、従来は低収率であった。これに対し、本発明の製造方法によれば、エーテルを共存させることで、上記一般式(3)で示される含臭素環状アセタール化合物を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、一般式(1)中の、R1、R2、R3、R4が「炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基」である場合としては、例えば、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0025】
本発明において上記一般式(1)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物としては、特に限定するものではないが、α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和ケトン、α,β−不飽和カルボン酸やα,β−飽和エステルを挙げることができ、これらの内でもα,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和ケトンを好ましく用いることができる。さらに具体的には、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、2−エチルアクロレイン、クロトンアルデヒド、2−ペンテナール、2−ヘキセナール、2−ヘプテナール、2−オクテナール、2−ノネナール、2−メチルブテナール、2−エチルブテナール、2−メチルペンテナール、2−エチルペンテナール、メチルビニルケトン、エチルビニルケトンなどが挙げられる。
【0026】
本発明において、一般式(2)〜(5)のいずれかで示されるジオール化合物において、式中の、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14が「炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状のアルキル基」である場合としては、例えば、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0027】
本発明において上記一般式(2)〜(5)のいずれかで示されるジオール化合物としては、特に限定するものではないが、脂肪族のジオール化合物を挙げることができる。さらに具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。
【0028】
本発明においてエーテルとしては、特に限定するものではないが、脂肪族エーテル、環状エーテルを挙げることができる。さらに具体的には、例えば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサンなどが挙げられる。
【0029】
エーテルの使用量としては、特に制限するものではないが、通常、α,β−不飽和カルボニル化合物に対して3.0グラム当量〜7.0グラム当量が好ましく、さらに好ましくは3.5グラム当量〜5.5グラム当量である。
本発明において、エーテルは通常一種のみを使用するが、上記に例示されたエーテルを、複数組み合わせて使用することができ、一般式(3)で示される含臭素環状アセタール化合物を製造する前に予め混合して使用しても、また、別々に製造容器等に加えて使用しても良い。
【0030】
本発明において、臭化水素の使用量は、特に制限するものではないが、通常、α,β−不飽和カルボニル化合物に対して1.0モル当量〜2.0モル当量が好ましく、さらに好ましくは1.1モル当量〜1.3モル当量である。
本発明において、エチレングリコールの使用量は、特に制限するものではないが、通常、α,β−不飽和カルボニル化合物に対して1.0モル当量〜2.0モル当量が好ましく、さらに好ましくは1.1モル当量〜1.3モル当量である。
【0031】
本発明において反応温度としては、10〜40℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。反応温度が10℃より低い場合には、エチレングリコールが固化し、反応の進行が極端に遅くなることがある。反応温度が40℃より高い場合には、副反応による目的物の選択率の低下や重合の恐れがある。反応は常圧または加圧下で実施できる。
本発明において、反応時間としては、基質の種類及び反応温度の違いにより異なるため、特に限定するものではないが、通常、30分〜1時間の範囲内で反応は完結できる。
【0032】
生成した含臭素環状アセタール化合物は、一般に公知の精製手法を用いることができ、例えば、分液操作で有機層を分離し、得られた有機層を水または食塩水またはアルカリ水溶液等で洗浄した後、蒸留またはカラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離精製することができる。
このようにして得られる含臭素環状アセタール化合物は、下記の一般式(6)〜(9)で表される。
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
[式(6)〜(9)中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13又はR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
これらに示される化合物は、上記した一般式(2)〜(5)で示されるジオール化合物と相互に対応している。具体的には、ジオール化合物が一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表される場合、それぞれ、一般式(6)、(7)、(8)、(9)で表される含臭素環状アセタール化合物が得られる。
【0038】
含臭素環状アセタール化合物の具体例としては、例えば、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン、2−(2−ブロモ−1−メチルエチル)−1,3−ジオキソラン、2−(2−ブロモエチル)4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキソラン、2−(2−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキサン、−(2−ブロモ−1−メチルエチル)−1,3−ジオキサン、2−(2−ブロモエチル)4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサン、2−(2−ブロモプロピル)−1,3−ジオキサン、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキセパン、2−(2−ブロモ−1−メチルエチル)−1,3−ジオキセパン、2−(2−ブロモエチル)4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキセパン、2−(2−ブロモプロピル)−1,3−ジオキセパン、2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソカン、2−(2−ブロモ−1−メチルエチル)−1,3−ジオキソカン、2−(2−ブロモエチル)4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキソカン、2−(2−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソカンなどが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、生成物の分析は、いずれもガスクロマトグラフィー分析(以下、「GC分析」という)によって下記条件で行った。
装置:株式会社島津製作所製GC−2010 Plus(水素炎イオン化検出器付き)
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製、キャピラリーカラムNB−5(0.32mmI.D.×30m)
実施例1 2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランの製造
50mLの3つ口フラスコに攪拌子、温度計、ジムロート、臭化水素ガス導入管を取り付け、1,4−ジオキサン(10mL)とエチレングリコール(2.461g,39.6mmol)を入れた。室温で臭化水素ガスを16.6mL/minにて54分間導入した(導入した臭化水素ガスの物質量:40.0mmol)。反応混合物を5℃に冷却し、アクロレイン(1.894g,33.8mmol)をシリンジポンプにより30分かけてゆっくり加えた。滴下終了後、室温で1時間攪拌した。(時間が経過に伴い、反応溶液は無色の単一相から無色と淡黄色の2相へと変化した)。反応終了後の溶液にアセトン5mLと秤量したジメチルホルムアミド(内部標準)を加え、5分攪拌した後、GC分析を行い、GC収率を計算した(93%)。溶液をジエチルエーテルで希釈し、3回水洗し、さらに飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤をろ過して除き、濾液を濃縮すると、茶褐色の液体が5.51g得られた。濃縮液中の目的化合物の含有量をGC分析によって算出したところ、目的化合物の収量は4.65g、収率は76%であった。
【0040】
実施例2〜9および比較例1
基質であるα,β−不飽和カルボニル化合物、ジオール化合物およびエーテルの種類を変更した以外は、実施例1と同じ条件下で反応を行った。結果を表1中に示した。
比較例2〜4
エーテルではなく他の有機溶媒を添加した以外は、実施例1と同じ条件下で反応を行った。
【0041】
以上の実施例、比較例の反応条件と結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から、比較例1〜4に比べ、エーテルが共存している実施例1〜9では、高収率で含臭素アセタール化合物が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明により得られる含臭素環状アセタール化合物は、医薬、農薬、機能材料、電子材料の原料あるいは合成中間体として非常に有用である。