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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-85904(P2016-85904A)
(43)【公開日】2016年5月19日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20160415BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-219078(P2014-219078)
(22)【出願日】2014年10月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】古賀 伸一
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC31
5E021FC32
5E021FC36
5E021HC33
(57)【要約】
【課題】ロック及びロックを解除する構成を備えた部品点数及び組立工数を削減したコネクタを提供する。
【解決手段】ベースコネクタ11と、ベースコネクタ11に装着された第1コンタクト12と接続される第2コンタクト56と、を有するコネクタ10であって、ベースコネクタ11は、第2コンタクト56に接触される第1接触部14を有する第1コンタクト12と、第1コンタクト12が装着されたハウジング17と、ハウジング17の被取付部材に取り付けられる側の反対側に移動部材39とを有し、第1接触部14には第1係止部15が形成され、第2コンタクト56には第2係止部68が形成され、ベースコネクタ11に第2コンタクト56が接続された場合、第1係止部15と第2係止部68が係止され、第2コンタクト56をベースコネクタ11から取り外す場合、移動部材39を移動させ、第1係止部15と第2係止部68との係止が解除される。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に取り付けられるベースコネクタと、前記ベースコネクタに装着された第1コンタクトと接続される第2コンタクトと、を有するコネクタであって、
前記ベースコネクタは、前記第2コンタクトに接触される第1接触部を有する前記第1コンタクトと、前記第1コンタクトが装着されたハウジングと、前記ハウジングの前記被取付部材に取り付けられる側の反対側に前記第2コンタクトの抜き差し方向に移動できるように設けられた移動部材とを有し、
前記第1コンタクトの前記接触部には第1係止部が形成され、
前記第2コンタクトには第2係止部が形成され、
前記ベースコネクタに前記第2コンタクトが接続された場合、前記第1係止部と前記第2係止部が係止され、
前記第2コンタクトを前記ベースコネクタから取り外す場合、前記移動部材を移動させることで、前記第1係止部と前記第2係止部との係止が解除されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第2コンタクトには、前記移動部材の移動により押圧されて移動される前記第2係止部が形成された可動片が設けられ、
前記移動部材に押圧されることで前記可動片が移動され、前記可動片の移動により前記第2係止部が移動されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングの内部には、前記第2コンタクトが収容できる収容空間が形成され、
前記ハウジングの前記移動部材が設けられる側には、前記ベースコネクタに前記第2コンタクトが接続された場合に、少なくとも前記第2コンタクトの前記可動片の前記移動部材に押圧される部分が前記上面開口部に配置できるように開口され、前期収容空間と繋がる上面開口部が形成されており、
前記移動部材が移動されることで、前記上面開口部に配置された前記可動片が押圧されることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングの前記移動部材が設けられる側には、前記移動部材が移動可能に設けられるスライド部を有し、
前記スライド部は、前記ハウジングの内側に向かって窪ませて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記上面開口部は、少なくとも前記可動片が配置できるように前記移動部材により塞がれており、
前記移動部材は、前記ハウジング側に段部を有しており、
前記移動部材が移動した場合、前記段部により前記可動片を押圧することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記移動部材は、一方に薄肉部と、他方に厚肉部を有する板状体で形成されており、
前記薄肉部と前記厚肉部との境が前記段部となっていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第2コンタクトは、一方に前記第1コンタクトが挿入される挿入口を有し、
前記可動片は、
前記第2コンタクトが前記ベースコネクタに接続された場合に、前記挿入口側から前記挿入口の反対側に向かって前記第1コンタクトの第1接触部の先端側が配置された位置を越える位置まで延設され、前記第2係止部が形成された延設部と、
前記延設部の前記挿入口と反対側の端部から前記移動部材が配置される側に向かって設けられた立設部と、を有し、
前記立設部の端部が前記移動部材に押圧されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第2コンタクトは、前記挿入口が設けられた筒状体で形成された端子部を有し、
前記端子部の内側に、前記第1接触部と接触される第2接触部が形成され、
前記第2接触部は、前記筒状体の上側と下側にそれぞれ上側接触部と下側接触部とを有し、
前記下側接触部の中央部分に、前記可動片が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等の被取付部材に取り付けられるベースコネクタと、このベースコネクタに着脱自在に接続される相手方のコンタクトとを有するコネクタに関し、詳しくは、相手方のコンタクトが接続された際にベースコネクタ内でロックされるとともに、このロックを解除する構成を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラグと容易に接続及び接続の解除ができるコネクタの発明が下記特許文献1に開示されている。下記特許文献1に開示されたコネクタの発明は、プラグが挿入される開口を有するコネクタハウジングと、コネクタハウジングに収容されたジョイント端子と、ジョイント端子に収容され、挿入されたプラグの外周面と接触する接触子とを備え、接触子は、プラグの外周面と接触する複数のばね部を有し、ばね部の一方の端部は前記接触子に接続されており、他方の端部は自由端であることを特徴としている。また、下記特許文献1のコネクタでは、プラグとコネクタの接続を解除する構成として、プラグのロック溝と係合するロック部材と、ロック部材を可動させるロックレバーと、ロックレバーを付勢する弾性部材とを備えているとしている。このような構成とすることで、下記特許文献1に開示されたコネクタの発明によれば、プラグをコネクタに挿入するのみで、両者を容易に接続することができるとし、また、ロックレバーを操作することで接続を解除することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−302868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたコネクタでは、プラグとコネクタの接続を解除するために、コネクタにロックレバー等の構成を備えている。そのため、上記特許文献1に開示されたコネクタでは、部品点数が多くなり、製造コストが増大したり、コネクタが大型化したりする課題があり、さらに、コネクタの組み立て工程が複雑になるという課題もある。
【0005】
本発明の目的は、相手方のコンタクトとベースコネクタとのロック及びロックを解除するための構成を、ロックレバー等の複雑な構成を用いる場合と比べて、部品点数及び組立工数を削減したコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコネクタは、被取付部材に取り付けられるベースコネクタと、前記ベースコネクタに装着された第1コンタクトと接続される第2コンタクトと、を有するコネクタであって、
前記ベースコネクタは、前記第2コンタクトに接触される第1接触部を有する前記第1コンタクトと、前記第1コンタクトが装着されたハウジングと、前記ハウジングの前記被取付部材に取り付けられる側の反対側に前記第2コンタクトの抜き差し方向に移動できるように設けられた移動部材とを有し、
前記第1コンタクトの前記第1接触部には第1係止部が形成され、
前記第2コンタクトには第2係止部が形成され、
前記ベースコネクタに前記第2コンタクトが接続された場合、前記第1係止部と前記第2係止部が係止され、
前記第2コンタクトを前記ベースコネクタから取り外す場合、前記移動部材を移動させることで、前記第1係止部と前記第2係止部との係止が解除されることを特徴とする。
【0007】
また、第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記第2コンタクトには、前記移動部材の移動により押圧されて移動される前記第2係止部が形成された可動片が設けられ、
前記移動部材に押圧されることで前記可動片が移動され、前記可動片の移動により前記第2係止部が移動されることを特徴とする。
【0008】
また、第3の態様のコネクタは、第2の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングの内部には、前記第2コンタクトが収容できる収容空間が形成され、前記ハウジングの前記移動部材が設けられる側には、前記ベースコネクタに前記第2コンタクトが接続された場合に、少なくとも前記第2コンタクトの前記可動片の前記移動部材に押圧される部分が前記上面開口部に配置できるように開口され、前記収容空間と繋がる上面開口部が形成されており、
前記移動部材が移動されることで、前記上面開口部に配置された前記可動片が押圧されることを特徴とする。
【0009】
また、第4の態様のコネクタは、第1〜第3のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングの前記移動部材が設けられる側には、前記移動部材が移動可能に設けられるスライド部を有し、
前記スライド部は、前記ハウジングの内側に向かって窪ませて形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、第5の態様のコネクタは、第1〜第4のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記上面開口部は、少なくとも前記可動片が配置できるように前記移動部材により塞がれており、
前記移動部材は、前記ハウジング側に段部を有しており、
前記移動部材が移動した場合、前記段部により前記可動片を押圧することを特徴とする。
【0011】
また、第6の態様のコネクタは、第5の態様のコネクタにおいて、前記移動部材は、一方に薄肉部と、他方に厚肉部を有する板状体で形成されており、
前記薄肉部と前記厚肉部との境が前記段部となっていることを特徴とする。
【0012】
また、第7の態様のコネクタは、第2〜第6のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記第2コンタクトは、一方に前記第1コンタクトが挿入される挿入口を有し、
前記可動片は、
前記第2コンタクトが前記ベースコネクタに接続された場合に、前記挿入口側から前記挿入口の反対側に向かって前記第1コンタクトの第1接触部の先端側が配置された位置を越える位置まで延設され、前記第2係止部が形成された延設部と、
前記延設部の前記挿入口と反対側の端部から前記移動部材が配置される側に向かって設けられた立設部と、を有し、
前記立設部の端部が前記移動部材に押圧されることを特徴とする。
【0013】
また、第8の態様のコネクタは、第7の態様のコネクタにおいて、前記第2コンタクトは、前記挿入口が設けられた筒状体で形成された端子部を有し、
前記端子部の内側に、前記第1接触部と接触される第2接触部が形成され、
前記第2接触部は、前記筒状体の上側と下側にそれぞれ上側接触部と下側接触部とを有し、前記第1接触部が挟まれるように設けられ、
前記下側の第2接触部の中央部分に、前記可動片が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様のコネクタによれば、ベースコネクタの第1コンタクトに形成された第1係止部と第2コンタクトに形成された第2係止部を係止させてロック状態とすることができ、他の部品を用いる必要がないため、部品点数を削減することができる。また、第1の態様のコネクタによれば、第1コンタクトの第1係止部と第2コンタクトの第2係止部との係止の解除を、ハウジングに取り付けられた移動部材を移動させるだけで行なえるので、部品点数を削減できると共に、組立工数を削減することができる。
【0015】
また、第2の態様のコネクタによれば、移動部材の移動により押圧される可動片に第2係止部を形成することで、第1係止部と第2係止部との係止の解除をより容易に行うことができる。
【0016】
また、第3の態様のコネクタによれば、ハウジングの一部を開口して上面開口部を形成し、この上面開口部に可動片を配置する構成としたので、この可動片と移動部材が押圧するようにしたことで、簡単な構成とすることができ、また、ハウジングの開口させた部分に移動部材を設けているので、小型化を図ることができる。
【0017】
また、第4の態様のコネクタによれば、スライドが設けられるスライド部がハウジングを窪ませて形成されているので、より小型化とすることができる。
【0018】
また、第5の態様のコネクタによれば、移動部材に段部を設ける構成とするだけで可動片の押圧を行なえるので、より部品点数を削減することができる。
【0019】
また、第6の態様のコネクタによれば、段部を有する移動部材を1つの部材で形成することができる。
【0020】
また、第7の態様のコネクタによれば、可動片を第2コンタクトと一体に形成することができるので、より部品点数を減らすことができる。
【0021】
また、第8の態様のコネクタによれば、第2コンタクトの構成をより小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1Aは実施形態に係るコネクタの斜視図であり、図1Bはベースコネクタと第2コンタクトを取り外した接続前の状態を示した斜視図である。
図2】実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図3図3Aはベースコネクタの一方から見た側面図であり、図3Bは正面図であり、図3Cは背面図であり、図3Dは平面図であり、図3Eは底面図である。
図4図4A図3DのIVA−IVA線での断面図であり、図4B図3DのIVB−IVB線での断面図である。
図5図5Aは第1コンタクトの一方から見た側面図であり、図5Bは正面図であり、図5Cは背面図であり、図5Dは平面図であり、図5Eは底面図である。
図6図6Aはハウジングの一方から見た側面図であり、図6Bは正面図であり、図6Cは背面図であり、図6Dは平面図であり、図6Eは底面図である。
図7図7Aはスライダの一方から見た側面図であり、図7Bは正面図であり、図7Cは背面図であり、図7Dは平面図であり、図7Eは底面図である。
図8図8Aは電線を装着した状態の第2コンタクトの一方から見た側面図であり、図8Bは背面図であり、図8Cは正面図であり、図8Dは平面図であり、図8Eは底面図であり、図8F図8AのVIIIF−VIIIF線での断面図である。
図9図9Aは実施形態のベースコネクタと第2コンタクトの接続前の状態を示した平面図であり、図9B図9AのIXB−IXB線での断面図であり、図9C図9AのIXC−IXC線での断面図である。
図10図10Aはベースコネクタに第2コンタクトを接続する途中の状態を示した図9Bに対応する断面図であり、図10B図9Cに対応する断面図である。
図11図11Aはベースコネクタに第2コンタクトを接続した状態を示した図9Bに対応する断面図であり、図11B図10Cに対応する断面図である。
図12図12Aはコネクタのスライダを移動させた状態を示した斜視図であり、図12Bはスライドを移動させたベースコネクタから第2コンタクトを取り外した状態を示した斜視図である。
図13図13Aはベースコネクタから第2コンタクトを取り外す途中の状態を示した図9Bに対応する断面図であり、図13B図9Cに対応する断面図である。
図14図14Aはベースコネクタから第2コンタクトを取り外すことができる状態を示した図9Bに対応する断面図であり、図14B図9Cに対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0024】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るコネクタ10について、図1図14を参照して説明する。コネクタ10は、図1に示すように、被取付部材としての、例えば、基板(図示省略)に取り付けられるベースコネクタ11と、ベースコネクタ11に挿入されて接続される、電線70が装着された相手方のコンタクトとしての第2コンタクト56とで構成されている。
【0025】
ベースコネクタ11は、図1図4に示すように、第1コンタクト12と、第1コンタクト12が装着されたハウジング17と、ハウジング17の基板に載置される側と反対側の面に取り付けられた移動部材としてのスライダ39と、ベースコネクタ11の基板への取り付けを補強する取付部材54とで構成されている。そして、ベースコネクタ11のハウジング17内に第2コンタクト56を挿入することで、第1コンタクト12と接触され、接続されるようになる。
【0026】
このとき、第2コンタクト56は、ベースコネクタ11に着脱自在となっており、また、ベースコネクタ11は、第2コンタクト56の着脱する際にロック及びこのロックを解除できる構成を有している。以下、各構成について説明する。
【0027】
第1コンタクト12は、図4及び図5に示すように、金属性の板体を屈曲させてL字状となるように形成されている。第1コンタクト12の一方側は基板と接続されて固定される接続部13となっており、他方側は第2コンタクト56と接触される第1接触部14となっている。
【0028】
接続部13は、基板に接続される部分が2つに分かれて形成されており、例えば、基板に形成した穴に挿入されて、はんだにより取り付けられる部分となる。なお、接続部13は、2つに限らず、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0029】
第1接触部14は、所定の幅を有する平らな板状体で形成されている。第1接触部14の長手方向の中心線に沿った一部には、第1係止部15が形成されている。なお、実施形態では、第1係止部15は孔状となっている。また、第1コンタクト12の第1接触部14の接続部13側の両側には、ハウジング17に装着される際に嵌め入れられる嵌入部16がそれぞれ第1接触部14より幅広くなるように形成されている。さらに、第1接触部14の接続部13とは反対側の端部側は、テーパーが形成されており、ハウジング17の装着部24への挿入、及び第2コンタクト56との接触を円滑に行なうことができるようになっている。
【0030】
ハウジング17は、図2図4及び図6に示すように、樹脂材料で直方体状に形成されており、基板に載置される底面18と、底面18と対向する上面19と、第2コンタクト56が挿入される側の前面20と、第1コンタクト12が装着される側の背面21と、一方の側面22及び他方の側面23とを有している。また、ハウジング17の内部には、第1コンタクト12が装着される装着部24と第2コンタクト56が収容される収容空間25とが形成されている。
【0031】
底面18は、基板に載置される側の面であり、平面で形成されている。
【0032】
上面19は、スライダ39が取り付けられる面となっており、平面で形成された部分と、この平面よりハウジング17の内側に窪ませたスライド部26が形成されている。このスライド部26は、スライダ39が第2コンタクト56の抜き差しされる方向に反復して移動できるように形成されている。このとき、スライド部26の窪みは、上面19の平坦な部分から、スライダ39が嵌る程度の深さとなっている。
【0033】
また、このスライド部26には、ハウジング17の収容空間25と繋がる上面開口部27が形成されている。この上面開口部27は、実施形態では、ハウジング17の略中央部分であって長手方向に沿って形成されている。
【0034】
また、スライド部26の前面20側には、取り付けられたスライダ39の移動を規制する規制突起28が突出して形成されている。この規制突起28は、スライダ39が背面21側方向に抜けることを抑制する部分となる。
【0035】
また、スライド部26の背面21側には、山状となった凸部29が形成されている。この凸部29は、凸部29以外の部分が低く形成されることで山状となっている。
【0036】
また、スライド部26の一方の側面22側及び他方の側面23側の両側に凹状に形成された案内溝30がそれぞれ形成されている。さらに、スライド部26の長手方向において、凸部29と重ならない位置に、嵌合突起31が形成されている。この案内溝30及び嵌合突起31により、スライダ39の移動が案内される。
【0037】
なお、スライド部26は、規制突起28が形成された部分に比べ、凸部29、案内溝30及び嵌合突起31が形成された部分の方の高さが低くなるように形成されている。
【0038】
また、ハウジング17の上面19の前面20側の一方の側面22側及び他方の側面23側には、取付部材54が挿通される挿通孔32が、底面18まで達するようにそれぞれ形成されている。このとき上面19の挿通孔32が形成される部分は、他の上面19の部分より低く形成されており、この部分は前面20に至るまで形成されている。
【0039】
前面20には、第2コンタクト56が抜き差しされる前面開口部33が形成されており、この前面開口部33は、ハウジング17の内部の収容空間25に繋がっている。また、前面開口部33の周囲には、前面開口部33の内側に向かうように張り出した部分34が形成されている。
【0040】
背面21には、第1コンタクト12が装着される装着口35が形成されており、この装着口35は、ハウジング17の内部の装着部24に繋がっている。装着口35は、ハウジング17の幅方向に長くなるような扁平な開口なっている。
【0041】
また、ハウジング17の内部の収容空間25は、第2コンタクト56が収容される空間となっている。収容空間25は、内部に前面開口部33の大きさに比べ狭くなる狭空間部36を有している。狭空間部36は、収容空間25の上面19側及び底面18側が隆起することで形成されている。この隆起は、上面19側が上面開口部27に至るまで続き、底面18側は、背面21の内側に至るまで続いている。なお、狭空間部36の上面19側には中央部分に長手方向に沿って上側逃げ溝37が形成され、また、底面18側には、長手方向の中央部分に、底側逃げ溝38が形成されている。
【0042】
また、装着部24は、長手方向に対して、所定の長さに亘って肉厚となっており、この肉厚の部分に第1コンタクト12が装着される扁平な溝で形成されている。この装着部24は、第1コンタクト12の第1接触部14が挿通される部分と、第1コンタクト12の嵌入部16が装着される部分とで、溝の幅が異なるように形成されている。このとき、装着部24の溝は、第1接触部14が装着される部分が狭くなり、第1コンタクト12の嵌入部16が引っ掛かることで、第1コンタクト12を装着部24の規定の位置に装着させることができる。
【0043】
スライダ39は、図4及び図7に示すように、ハウジング17の上面19に移動可能に設けられる樹脂製の板体であり、一方側の薄肉部40と他方側の厚肉部41とで構成され、段差を有するように形成されている。スライダ39は、ハウジング17に取り付けられる側の底部42と、底部42と反対側の上部43と、薄肉部40側の端部の前部44と、厚肉部41の端部の後部45と、一方の側部46及び他方の側部47とで構成されている。スライダ39の薄肉部40と厚肉部41は、上部43側が平坦となるように繋がれ、底部42側の薄肉部40と厚肉部41とが繋がれた部分に高さの異なる段部48が形成されるようになっている。
【0044】
また、スライダ39の一方及び他方の側部46、47には、厚肉部41の長手方向に沿って延設された凸状の案内突起49がそれぞれ形成されている。この案内突起49は、ハウジング17にそれぞれ形成された案内溝30と嵌り合うことで、スライダ39の移動が案内される。さらに、スライダ39の厚肉部41側の底部42には、中央部分から外れた位置に長手方向に沿った嵌合溝50が形成されている。この嵌合溝50は、ハウジング17に形成された嵌合突起31と嵌り合う部分となり、嵌合突起31と嵌合溝50が嵌り合うことでスライダ39の移動がずれることなく行なえるようになる。
【0045】
また、スライダ39の厚肉部41の底部42の後部45側には、突起部51が形成されている。この突起部51は、ハウジング17のスライド部26に形成された凸部29と対応するように中央部分に形成されている。
【0046】
また、スライダ39の薄肉部40の底部42には、溝部52が形成されると共に、この溝部52の前部44側の端部に壁部53が形成されている。この溝部52は、ハウジング17に形成された規制突起28が嵌め入れられて移動する部分となり、溝部52に形成された壁部53に規制突起28が突き当たり、スライダ39の移動が規制されるようになる。なお、溝部52は、規制突起28と対応するように2つの溝が形成されている。
【0047】
取付部材54は、図2に示すように、基板へ固定される取付部55側が二股となった板状体で形成されており、ハウジング17の上面に形成された挿通孔32から底面に挿通されて、取付部55により基板に固定されるものである。この取付部材54は、ハウジング17の前面20側に設けられるようになっている。なお、ハウジング17の背面21側は、第1コンタクト12により基板に固定される。
【0048】
次に、図2図4を参照して、ベースコネクタ11の組み立てについて説明する。ベースコネクタ11の組み立ては、ハウジング17の背面21の装着口35から第1コンタクト12を第1接触部14側から挿入し、第1コンタクト12をハウジング17の装着部24に装着させる。
【0049】
次に、ハウジング17の背面21側からスライダ39を取り付ける。このとき、スライダ39の両側部46、47の案内突起49をハウジング17のスライド部26に形成された案内溝30に嵌め込むように行うと共に、スライド部26の嵌合突起31にスライダ39の嵌合溝50が嵌るようにする。
【0050】
さらに、スライド部26に沿ってスライダ39を押し込み、スライダ39の底部42の溝部52の端部の壁部53が、スライド部26に形成された規制突起28を越える位置まで押し込むことで、スライダ39がハウジング17へ取り付けられる。このとき、溝部52の端部の壁部53が規制突起28と当接するようになり、スライダ39が抜けることを抑制している。このとき、ハウジング17の規制突起28とスライダ39の溝部52の壁部53及び、ハウジング17の凸部29とスライダ39の突起部51とがそれぞれ当接することで、スライダ39の移動が抑制されている。また、ハウジング17にスライダ39が取り付けられることで、ハウジング17に形成された上面開口部27がスライダ39により塞がれるようになる。
【0051】
第2コンタクト56は、図1及び図8に示すように、ベースコネクタ11に接続される相手方のコンタクトであり、一方に第1コンタクト12と接触される端子部57と、他方に電線70と接続される電線装着部58とを有しており、金属性の板体を抜き打ち及び折り曲げ等により一体に形成されている。
【0052】
端子部57は、一方側の端部に第1コンタクト12の第1接触部14が挿入される挿入口59を有する筒状体60で形成されており、ハウジング17の前面開口部33に挿入できる大きさ及び形状であって収容空間25に収容できるように形成されている。
【0053】
筒状体60の内側には、挿入された第1コンタクト12と接触する第2接触部61が形成されている。第2接触部61は、筒状体60の内側の上側に設けられた弾性変形できるように形成された上側接触部62と、下側に設けられた端子部57の一部が隆起して形成された下側接触部63とで構成されている。
【0054】
上側接触部62は、板状体を屈曲させて、弾性変形できるように形成されている。そのため、上側接触部62は、第1コンタクト12が挿入された際に、上方へ移動されるようになると共に、上方へ移動されることで弾性力を有するようになり、下方へ押圧するように形成されている。実施形態では、上側接触部62は、中央部に隙間を有するように2つの片で形成されている。
【0055】
下側接触部63は、端子部57の一部が内側に隆起した丘状に形成されている。また、下側接触部63の中央部分には、挿入口59側を支点に弾性変形される可動片64が形成されている。そのため、下側接触部63は、この可動片64を挟んだ両側に形成されている。
【0056】
可動片64は、下側接触部63に挟まれるように筒状体60の底部42の中央部に形成されており、底部42側が第2コンタクト56の長手方向に沿って延設された延設部65と、延設部65の端部から上部43側に向かうように形成された立設部66とを有し、この立設部66の端部がスライダにより押圧される押圧部67となっている。
【0057】
延設部65は、挿入口59側が固定され、この固定された側が下側接触部63と略同じように筒状体60の内側に隆起している。また、延設部65には、中央部分に第2係止部68が形成されており、第2係止部68は、第1コンタクト12の第1係止部15と対応する位置に形成されている。なお、実施形態の第2係止部68は、孔状の第1係止部15に係止される形状、例えば、一方が傾斜して突出した突起状に形成されている。
【0058】
また、立設部66は、延設部65が上側接触部62を越えた部分から上部43側に屈曲して、さらに延設されている。立設部66の端部は、端子部57の筒状体60を越える位置まで形成されている。
【0059】
また、電線装着部58は、複数の圧着片69を有し、この圧着片69を折り曲げることで電線70が圧着され、固定される。
【0060】
次に、図1図9図11を参照して、実施形態のコネクタ10のベースコネクタ11と第2コンタクト56の接続について説明する。
【0061】
まず、図1B及び図9に示すように、ベースコネクタ11に接続される第2コンタクト56を、ベースコネクタ11のハウジング17に形成された前面開口部33に対して正しい向きとなるように配置する。ベースコネクタ11は、ハウジング17の底面18を基板(図示省略)側にして設置されており、ハウジング17の装着部24に装着された第1コンタクト12の接続部13、及びハウジング17の挿通孔32を挿通された取付部材54により基板に取り付けられる。このとき、第2コンタクト56は、端子部57をハウジング17の前面開口部33側に向け、端子部57の可動片64の立設部66が上側を向くように配置される。
【0062】
次に、第2コンタクト56をベースコネクタ11に挿入する。この挿入は、図10に示すように、ハウジング17の前面20に形成された前面開口部33に第2コンタクト56の端子部57から挿入させる。このとき、前面開口部33には、一部に張り出した部分34が形成されていることで、第2コンタクト56が正しくない向きでは挿入することができないようになっている(図1参照)。
【0063】
第2コンタクト56を挿入したのち、第2コンタクト56をハウジング17の収容空間25に押し込む。しばらくすると、収容空間25の一部が狭く形成されている狭空間部36に到達し、この狭空間部36の上下から隆起して形成された部分に第2コンタクトの端子部57が挟まれるようにして押し込まれるようになる。その際に、ハウジング17の収容空間25の上側に形成された上側逃げ溝37に、第2コンタクト56の可動片64の立設部66及びその先端の押圧部67が嵌り込むようにして移動する。
【0064】
さらに、第2コンタクト56を収容空間25の奥側、すなわち背面21の内側へ押し込むと、第2コンタクト56の端子部57と第1コンタクト12が接触するようになる。この接触は、まず、第1コンタクト12の第1接触部14側が第2コンタクト56の筒状体60の挿入口59に挿入され、第1コンタクト12の第1接触部14の端部が第2コンタクト56の上側接触部62及び下側接触部63と接触する。
【0065】
さらに第2コンタクト56を押し込むと、第1コンタクト12の端部により上側接触部62が変形し、上方へ移動される。その後、上側接触部62と下側接触部63が第1コンタクト12の第1接触部14の両面を摺りながら移動し、第1コンタクト12の第1接触部14の底側と第2コンタクト56の可動片64に形成された第2係止部68が接する。
【0066】
そして、第2コンタクト56をさらに押し込むと、突出して形成された第2係止部68が、第1コンタクト12の端部により下方に押されることで、第2係止部68が形成された延設部65と共に可動片64が挿入口59側を支点として、下方に移動される。このとき、下方に移動した可動片64はハウジング17の底側逃げ溝38に嵌り込むようになる。
【0067】
さらに、第2コンタクト56を押し込み、第2コンタクト56の端子部57の端部が、ハウジング17の収容空間25の最奥、すなわち、背面21の内側と接する位置に達すると、図11に示すように、突出した突起状に形成された第2係止部68が、孔状に形成された第1係止部15に嵌り込み、第1係止部15と第2係止部68の係止が行なわれると共に、可動片64がもとの位置にもどり、ロックされた状態となる。このとき、可動片64の立設部66及び立設部66の端部の押圧部67は、ハウジング17の上面開口部27が形成された位置に配置されるようになる(図1A参照)。
【0068】
次に、図12図14を参照して、ベースコネクタ11から、第2コンタクト56を取り外す場合について説明する。ベースコネクタ11から第2コンタクト56を取り外す場合は、図12Aに示すように、ベースコネクタ11に第2コンタクト56が接続された状態から、スライダ39を第2コンタクト56を抜き取る方向に向かって移動させる。そして、スライダ39を移動させることで、第1コンタクト12の第1係止部15と第2コンタクト56の第2係止部68との係止の解除を行なう。
【0069】
この解除は、まず、図13に示すように、スライダ39をハウジング17の前面20側に向かうように移動させる。スライダ39が移動されることで、まず、スライダ39の底部42の薄肉部40と厚肉部41との段部48が、上面開口部27に配置された第2コンタクト56の可動片64の押圧部67と当接し、さらにスライダ39が移動されることで、この段部48により押圧部67が押圧され、可動片64が下方に移動される。
【0070】
さらにスライダ39が移動されると、図14に示すように、移動したスライダ39の厚肉部41の底部42により押圧部67が押され続けるようになり、可動片64は、下方に移動した状態で維持されるようになる。そして、可動片64が下方に移動することで、可動片64の延設部65に形成された第2係止部68も下方に移動され、第1コンタクト12の第1係止部15との係止が解除されるようになる。
【0071】
このとき、スライダ39の後部45側に形成された突起部51が、ハウジング17のスライド部26に形成された凸部29を越えて移動し、凸部29を越えた位置に配置されるようになる。このようにすることで、外力が加わらない限り、スライダ39がもとの位置に戻ることを抑制することができる。さらに、突起部51が凸部29を越えるときに、振動や音を発することで、作業者が、スライダの移動を認識することができる。
【0072】
このスライダ39の移動は、ハウジング17のスライド部26に形成された規制突起28に沿ってスライダ39の薄肉部40の底部42に形成された溝部52が移動する。さらに、ハウジング17に形成させた案内溝30に沿ってスライダ39の両側部46、47に形成された案内突起49が移動し、また、ハウジング17のスライド部26の嵌合突起31がスライダ39の底部42の嵌合溝50を移動するようになる。
【0073】
そして、第1コンタクト12の第1係止部15と第2コンタクト56の第2係止部68の係止が解除された後、図12Bに示すように、第2コンタクト56を引き抜くことで、ベースコネクタ11から第2コンタクト56を取り外すことができるようになる。
【0074】
また、第2コンタクト56をベースコネクタ11から取り外した後、スライダ39を図12Bに示す位置から、ハウジング17の背面21側に移動させ、図1Bに示す基の位置に戻すことで、スライダ39により塞がれていたハウジング17の上面開口部27が開口されるため、再度、第2コンタクト56を接続させることができるようになる。このとき、ハウジング17のスライド部26の凸部29をスライダ39の突起部51が越える際に、振動及び音を発することで、作業者がスライダの移動を認識することができる。
【0075】
なお、実施形態では、第1係止部を孔状とし、第2係止部を突出した突起状としたが、これに限らず、第1係止部を孔状とし、第2係止部と突出した突起状としてもよい。また、第1係止部と第2係止部の両方を突出した突起状としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:コネクタ 11:ベースコネクタ 12:第1コンタクト 13:接続部 14:第1接触部 15:第1係止部 16:嵌入部 17:ハウジング 18:底面 19:上面 20:前面 21:背面 22:一方の側面 23:他方の側面 24:装着部 25:収容空間 26:スライド部 27:上面開口部 28:規制突起 29:凸部 30:案内溝 31:嵌合突起 32:挿通孔 33:前面開口部 34:張り出した部分 35:装着口 36:狭空間部 37:上側逃げ溝 38:底側逃げ溝 39:スライダ(移動部材) 40:薄肉部 41:厚肉部 42:底部 43:上部 44:前部 45:後部 46:一方の側部 47:他方の側部 48:段部 49:案内突起 50:嵌合溝 51:突起部 52:溝部 53:壁部 54:取付部材 55:取付部 56:第2コンタクト 57:端子部 58:電線装着部 59:挿入口 60:筒状体 61:第2接触部 62:上側接触部 63:下側接触部 64:可動片 65:延設部 66:立設部 67:押圧部 68:第2係止部 69:圧着片 70:電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14