【課題】部品実装基板や部品内蔵基板等に用いるときに高さ方向向きを制御する必要がなく、しかも、実装時や内蔵後に第1外部電極と第2外部電極とに短絡を生じることがない積層型電子部品を提供する
【解決手段】積層コンデンサのコンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第1外部電極12の一方の主電極部12aと高さ方向他面に存する第2外部電極13の他方の主電極部13aは部分的に対向し、コンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第2外部電極13の一方の主電極部13aと高さ方向他面に存する第1外部電極12の他方の主電極部12aは部分的に対向しており、各々の対向領域ORとコンデンサ本体11の高さ方向両面の各端縁との間には略帯状の余白領域MR1〜MR4が存在している。
【背景技術】
【0002】
前記積層型電子部品として、後記特許文献1には、表裏向き(高さ方向向き)の考慮を不要とした積層型電子部品(以下、従前部品と言う)が開示されている。この従前部品は、長さと幅と高さとで規定された略直方体状を成す積層構造の部品本体を有していて、該部品本体の高さ方向一面の1つのコーナーに第1外部電極が配置され、且つ、該コーナーと対角に位置するコーナーに第2外部電極が配置されていると共に、高さ方向他面の前記1つのコーナーの真裏のコーナーの隣に位置するコーナーに第1外部電極が配置され、且つ、該コーナーと対角に位置するコーナーに第2外部電極が配置されている。即ち、第1外部電極と第2外部電極の区別を問わなければ、積層型電子部品の高さ方向一面が上を向いたときの2つの外部電極の位置と、積層型電子部品の高さ方向他面が上を向いたときの2つの外部電極の位置とが略同じになる。しかしながら、従前部品を昨今の小型化及び薄型化の要求に対応させようとすると、以下のような懸念が生じ得る。
【0003】
即ち、従前部品は、後記特許文献1の
図3及び
図5から明らかなように、部品本体の高さ方向一面に配置された第1外部電極と部品本体の高さ方向他面に配置された第2外部電極とが部品本体を介して部分的に対向しており、部品本体の高さ方向一面に配置された第2外部電極と部品本体の高さ方向他面に配置された第1外部電極とが部品本体を介して部分的に対向しており、各々の対応部分は何れも部品本体の高さ方向一面の端縁又は高さ方向他面の端縁に達している。
【0004】
つまり、各外部電極の作製方法を勘案すると、部品本体の高さ方向一面に配置された第1外部電極の対向部分と部品本体の高さ方向他面に配置された第2外部電極の対向部分との最短距離、並びに、部品本体の高さ方向一面に配置された第2外部電極の対向部分と部品本体の高さ方向他面に配置された第1外部電極の対向部分との最短距離は、何れも部品本体の高さ以下となってしまう。これら最短距離は前記の小型化及び薄型化に伴って部品本体の高さが低くなるほど近くなる。具体例を挙げて説明すれば、部品本体の高さを100μmとした場合には、前記の最短距離は100μm以下となる。
【0005】
依って、前記の小型化及び薄型化に伴って従前部品の部品本体の高さを低くし、該部品本体の高さ方向一面又は高さ方向他面の第1外部電極及び第2外部電極を部品実装基板や部品内蔵基板等の導体パッドにハンダを用いて実装すると、実装時のハンダの飛散や濡れ上がり等に起因して生成されるブリッジによって第1外部電極の対向部分と第2外部電極の対向部分とが導通して、第1外部電極と第2外部電極とが短絡する可能性が高い。また、前記の小型化及び薄型化に伴って従前部品の部品本体の高さを低くし、該部品本体の高さ方向一面又は高さ方向他面の第1外部電極及び第2外部電極に導体ビアを接続して従前部品を部品内蔵基板に内蔵すると、内蔵後に、部品封止樹脂に含まれる水分に起因するマイグレーションの生成物によって第1外部電極の対向部分と第2外部電極の対向部分とが導通して、第1外部電極と第2外部電極とが短絡する可能性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、
図1〜
図3を引用して、本発明を適用した積層コンデンサの構造について説明する。
【0012】
この積層コンデンサは、長さと幅と高さとで規定された略直方体状を成す積層構造の部品本体11に、使用時の極性が異なる第1外部電極12と第2外部電極13を設けて構成されており、全体として幅W>長さL>高さHの条件を満足している。因みに、
図1(B)は、
図1(A)に示した積層コンデンサを長さ方向中央を通る線を中心として180度回転させたものである。また、
図1〜
図3に示した積層コンデンサの幅Wと長さLと高さHは、例えば1000μmと500μmと100μm(何れも公差を含まない基準寸法)である。
【0013】
コンデンサ本体11は、積層コンデンサと同様に幅>長さ>高さの条件を満足していて、計8つの角(第1の角C1〜第8の角C8)を有している。ここでは、
図1(A)に示したようにコンデンサ本体11の高さ方向一面の左下の角を第1の角C1と称し、右下の角を第2の角C2と称し、右上の角を第4の角C4と称し、左上の角を第5の角C4と称する一方、
図1(B)に示したようにコンデンサ本体11の高さ方向他面の左下の角を第6の角C6と称し、右下の角を第8の角C8と称し、右上の角を第3の角C4と称し、は左上の角を第7の角C7と称する。
【0014】
また、コンデンサ本体11の内部には、複数(
図2及び
図3では便宜上8層を表示)の内部電極層11aが高さ方向に間隔を置き、且つ、長さ方向に交互にずれるように配置されている。各内部電極層11aは長さと幅とで規定された略矩形状を成していて、各々の長さと幅はコンデンサ本体11の長さと幅よりも小さく、且つ、幅>長さの条件を満足している。高さ方向一面から奇数番目の内部電極層11cはその長さ方向一端縁(
図1(A)の下側端縁)を第1外部電極12に電気的に接続され、高さ方向一面から偶数番目の内部電極層11cはその長さ方向他端縁(
図1(A)の上側端縁)を第2外部電極13に電気的に接続されている。
【0015】
前記のコンデンサ本体11には、好ましくはチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、より好ましくはε>1000又はクラス2(高誘電率系)の誘電体セラミックスが使用されている。また、前記の各内部電極層11aには、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体が使用されている。
【0016】
第1外部電極12は、コンデンサ本体11の高さ方向一面の第1の角C1に近い位置と高さ方向他面の第3の角C3に近い位置に存する略矩形状の2つの主電極部12aと、該2つの主電極部12aを導通させるためにコンデンサ本体11の長さ方向一端部(
図1(A)の下側端部)を覆うようにして形成された部位(符号無し)とを連続して有している。この部位は、コンデンサ本体11の高さ方向両面の長さ方向一端部に該一端部に沿って存する略矩形状の2つの第1回り込み部12bと、コンデンサ本体11の幅方向両面の長さ方向一端部に該一端部に沿って存する略矩形状の2つの第2回り込み部12cと、コンデンサ本体11の長さ方向一面(
図1(A)の下側面)に存する略矩形状の1つの端面部12dとの連続物である。
【0017】
各主電極部12aの最大長さと第1回り込み部12bの長さ(端面部12dの厚さを含む)の和は、積層コンデンサの長さLの1/2よりも大きい。また、各主電極部12aと後記第1回り込み部13bとの最小間隔は、例えば積層コンデンサの長さLが500μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは25〜200μmの範囲内で設定されている。さらに、第1回り込み部12bの長さ及び第2回り込み部12cの長さは、例えば積層コンデンサの長さLが500μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは1〜175μmの範囲内で設定されている。
【0018】
さらに、コンデンサ本体11の高さ方向一面の主電極部12aと、高さ方向一面の第1の角C1と第5の角C5を結ぶ端縁との間には、略帯状の第1の余白領域MR1が存在すると共に、コンデンサ本体11の高さ方向他面の主電極部12aと、高さ方向他面の第1の角C3と第8の角C8を結ぶ端縁との間には、略帯状の第4の余白領域MR4が存在する。これら余白領域MR1及びMR4の離隔寸法Dmr(
図2(B)を参照)は同等であり、例えば積層コンデンサの高さHが100μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは1〜250μmの範囲内で設定されている。
【0019】
図2及び
図3から分かるように、第1外部電極12は、第1下地層GL1と第2下地層GL2との連続層と、該連続層の表面を覆う導体層CLとの2層構造である。第1下地層GL1及び第2下地層GL2と導体層CLには、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、チタン、スズ、亜鉛、これらの合金等を主成分した良導体が使用されている。第1下地層GL1の主成分と第2下地層GL2の主成分と導体層CLの主成分は異なっていても良いし、同じであっても良い。因みに、第1外部電極12の作製方法については後に詳述する。
【0020】
一方、第2外部電極13は、コンデンサ本体11の高さ方向一面の第4の角C4に近い位置と高さ方向他面の第6の角C6に近い位置に存する略矩形状の2つの主電極部13aと、該2つの主電極部13aを導通させるためにコンデンサ本体11の長さ方向他端部(
図1(A)の上側端部)を覆うようにして形成された部位(符号無し)とを連続して有している。この部位は、コンデンサ本体11の高さ方向両面の長さ方向他端部に該他端部に沿って存する略矩形状の2つの第1回り込み部13bと、コンデンサ本体11の幅方向両面の長さ方向他端部に該他端部に沿って存する略矩形状の2つの第2回り込み部13cと、コンデンサ本体11の長さ方向他面(
図1(A)の上側面)に存する略矩形状の1つの端面部13dとの連続物である。
【0021】
各主電極部13aの最大長さと第1回り込み部13bの長さ(端面部13dの厚さを含む)の和は、積層コンデンサの長さLの1/2よりも大きい。また、各主電極部13aと前記第1回り込み部12bとの最小間隔は、例えば積層コンデンサの長さLが500μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは25〜200μmの範囲内で設定されている。さらに、第1回り込み部13bの長さと第2回り込み部13cの長さは、例えば積層コンデンサの長さLが500μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは1〜175μmの範囲内で設定されている。
【0022】
さらに、コンデンサ本体11の高さ方向一面の主電極部13aと、高さ方向一面の第1の角C2と第4の角C4を結ぶ端縁との間には、略帯状の第3の余白領域MR3が存在すると共に、コンデンサ本体11の高さ方向他面の主電極部13aと、高さ方向他面の第6の角C6と第7の角C7を結ぶ端縁との間には、略帯状の第2の余白領域MR2が存在する。これら余白領域MR3及びMR2の離隔寸法Dmr(
図2(B)を参照)は前記余白領域MR1及びMR4の離隔寸法Dmrと同等であり、例えば積層コンデンサの高さHが100μm(公差を含まない基準寸法)の場合において好ましくは1〜250μmの範囲内で設定されている。
【0023】
図2及び
図3から分かるように、第2外部電極13は、前記第1外部電極12と同様、第1下地層GL1と第2下地層GL2との連続層と、該連続層の表面を覆う導体層CLとの2層構造である。第1下地層GL1及び第2下地層GL2と導体層CLには、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、チタン、スズ、亜鉛、これらの合金等を主成分した良導体が使用されている。第1下地層GL1の主成分と第2下地層GL2の主成分と導体層CLの主成分は異なっていても良いし、同じであっても良い。因みに、第2外部電極13の作製方法については後に詳述する。
【0024】
ここで、
図5及び
図6を引用して、第1外部電極12と第2外部電極13の作製方法について説明する。
【0025】
作製に際しては、先に述べたコンデンサ本体11を用意すると共に、金属粉末と溶剤とバインダを少なくとも含む金属ペーストを用意する。そして、
図5に示したように、ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布装置と乾燥装置を用いて、コンデンサ本体11の長さ方向両端部に金属ペーストを塗布して乾燥し、続けて、スクリーン印刷機やグラビア印刷機等の印刷装置と乾燥装置を用いて、コンデンサ本体11の高さ方向両面に前記金属ペーストを主金属部12a及び13aに対応する形状で印刷して乾燥し、この後、金属粉末に対応した雰囲気下で塗布物を焼き付けて第1下地層GL1と第2下地層GL2とが連続した層を形成する。第1下地層GL1と第2下地層GL2の厚さは、好ましくは0.1〜10μmの範囲内で同等の値になるように設定されている。
【0026】
そして、
図6に示したように、電解メッキ装置やスパッタ装置や真空蒸着装置等の薄膜形成装置を用いて、第1下地層GL1と第2下地層GL2との連続層の表面に該表面を覆う導体膜CLを形成する。導体膜CLの厚さは、好ましくは0.1〜5μmの範囲内で設定されている。このような作製方法を採用すれば、第1下地層GL1と第2下地層GL2との境界に顕著な段差や起伏は現れないし、導体膜CLの主金属部12a及び13aに対応する領域は略平坦になる。
【0027】
次に、前述の第1外部電極12と第2外部電極13の位置関係と、該第1外部電極12と第2外部電極13を採用した積層コンデンサによって得られる効果について、
図4を用いて詳述する。
図4は、
図1(A)と同様に積層コンデンサをコンデンサ本体の高さ方向一面から見た図であるが、コンデンサ本体11の輪郭を仮想線で描き、且つ、内部電極層11aの記載を省略してある。
【0028】
(1)
図4から分かるように、第1外部電極12の一方の主電極部12aはコンデンサ本体11の高さ方向一面の第1の角C1に近い位置に存在し、他方の主電極部12aは該第1の角C1と高さ方向一面において幅方向で隣接する第2の角C2の裏側に位置する高さ方向他面の第3の角C3に近い位置に存在しており、2つの主電極部12aは第1回り込み部12bと第2回り込み部12cと端面部12dによって導通している。
【0029】
また、
図4から分かるように、第2外部電極13の一方の主電極部13aは前記第1の角C1とコンデンサ本体11の高さ方向一面において向き合う第4の角C4に近い位置に存在し、他方の主電極部13aは前記第4の角C4と高さ方向一面において幅方向で隣接する第5の角C5の裏側に位置する高さ方向他面の第6の角C6に近い位置に存在しており、2つの主電極部13aは第1回り込み部13bと第2回り込み部13cと端面部13dによって導通している。
【0030】
依って、
図4に示した積層コンデンサを長さ方向中央を通る線を中心として180度回転させても(
図1(B)を参照)、第1外部電極12と第2外部電極13の区別を問わなければ、計4つの主電極部12a及び13aの位置関係は変わらない。また、
図4に示した積層コンデンサを幅方向中央を通る線を中心として180度回転させた場合には、計4つの主電極部12a及び13aの位置関係は
図4と同じになる。つまり、積層コンデンサの第1外部電極12と第2外部電極13の極性は使用時において定まるものであるから、部品本体11の高さ方向両面の向きに拘わらず、高さ方向一面又は高さ方向他面の主電極部12a及び13aに対する導体パッドや導体ビアの接続を同じように行える。
【0031】
要するに、積層コンデンサを部品実装基板や部品内蔵基板等に用いるときに高さ方向向きを制御する必要がないため、該向き制御を必要とする場合の工数を排除してコスト削減に貢献することができる。
【0032】
(2)第1外部電極12の2つの主電極部12aの最大長さと第1回り込み部12bの長さ(端面部12dの厚さを含む)の和と、第2外部電極13の2つの主電極部13aの最大長さと第1回り込み部13bの長さ(端面部13dの厚さを含む)の和は、何れも積層コンデンサの長さLの1/2よりも大きい。そのため、コンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第1外部電極12の一方の主電極部12aと、該コンデンサ本体11の高さ方向他面に存する第2外部電極13の他方の主電極部13aは部分的に対向し(
図4の左側に示した対向領域ORを参照)、コンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第2外部電極13の一方の主電極部13aと、該コンデンサ本体11の高さ方向他面に存する第1外部電極12の他方の主電極部12aは部分的に対向している(
図4の右側に示した対向領域ORを参照)。
【0033】
また、コンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第1外部電極12の一方の主電極部12aの対向領域ORと、高さ方向一面の第1の角C1と第5の角C5を結ぶ端縁との間には略帯状の第1の余白領域MR1が存在し、且つ、コンデンサ本体11の高さ方向他面に存する第2外部電極13の他方の主電極部13aの対向領域ORと、高さ方向他面の第6の角C6と第7の角C7を結ぶ端縁との間には略帯状の第2の余白領域MR2が存在している。同様に、コンデンサ本体11の高さ方向一面に存する第2外部電極13の一方の主電極部13aの対向領域ORと、高さ方向一面の第2の角C2と第4の角C4を結ぶ端縁との間には略帯状の第3の余白領域MR3が存在し、且つ、コンデンサ本体11の高さ方向他面に存する第1外部電極12の他方の主電極部12aの対向領域ORと、高さ方向他面の第3の角C3と第8の角C8を結ぶ端縁との間には略帯状の第4の余白領域MR4が存在している。
【0034】
つまり、第1外部電極12の一方の主電極部12aの対向領域ORと第2外部電極13の他方の主電極部13aの対向領域ORとの最短距離は、コンデンサ本体11の高さと第1の余白領域MR1の離隔寸法Dmrと第2の余白領域MR2の離隔寸法Dmrとの和となる。同様に、第2外部電極13の一方の主電極部13aの対向領域ORと第1外部電極12の他方の主電極部12aの対向領域ORとの最短距離は、コンデンサ本体11の高さと第3の余白領域MR3の離隔寸法Dmrと第4の余白領域MR4の離隔寸法Dmrとの和となる。換言すれば、両最短距離は、コンデンサ本体11の高さに沿う線分の長さのみで構成される訳ではなく、コンデンサ本体11の高さに沿う線分の長さとコンデンサ本体11の幅に沿う2つの線分の長さの和として構成される。
【0035】
依って、小型化及び薄型化に伴って積層コンデンサのコンデンサ本体11の高さを低くし、該コンデンサ本体11の高さ方向一面又は高さ方向他面の主電極部12a及び主電極部13aを部品実装基板や部品内蔵基板等の導体パッドにハンダを用いて実装する場合でも、実装時のハンダの飛散や濡れ上がり等に起因して主電極部12aの対向領域ORと主電極部13aの対向領域ORとが導通するようなブリッジは生成され難く、結果として第1外部電極12と第2外部電極13との短絡を防止することができる。また、前記の小型化及び薄型化に伴って積層コンデンサのコンデンサ本体11の高さを低くし、該コンデンサ本体11の高さ方向一面又は高さ方向他面の主電極部12a及び主電極部13aに導体ビアを接続して積層コンデンサを部品内蔵基板に内蔵する場合でも、内蔵後に、部品封止樹脂に含まれる水分に起因するマイグレーションの生成物によって主電極部12aの対向領域ORと主電極部13aの対向領域ORとが導通され難く、結果として第1外部電極12と第2外部電極13との短絡を防止することができる。
【0036】
(3)先に述べたように、第1の余白領域MR1の離隔寸法Dmrと第2の余白領域MR2の離隔寸法Dmrと第3の余白領域MR3の離隔寸法Dmrと第4の余白領域MR4の離隔寸法Dmrは何れも同等である。依って、積層コンデンサを部品実装基板や部品内蔵基板等に用いるときに高さ方向向きが異なった場合でも、前記(2)欄の後半で述べた効果を確実に得ることができる。
【0037】
(4)先に述べたように、積層コンデンサのコンデンサ本体11は幅>長さ>高さの条件を満足しており、該コンデンサ本体11の長さ方向一端部を覆うように第1外部電極12の一方の主電極部12aと他方の主電極部12aとを導通させるための部位(第1回り込み部12bと第2回り込み部12cと端面部12dとの連続物)が形成され、また、該コンデンサ本体11の長さ方向他端部を覆うように第2外部電極13の一方の主電極部13aと他方の主電極部13aとを導通させるための部位(第1回り込み部13bと第2回り込み部13cと端面部13dとの連続物)が形成されている。依って、コンデンサ本体11が幅>長さ>高さの条件を満足する場合であっても、前記各部位によってコンデンサ本体11の長さ方向一端部と長さ方向他端部の強度向上を確実に行えると共に、低ESL化等の特性向上に貢献することができる。
【0038】
尚、前述の実施形態では、2つの主電極部12aが略矩形状である第1外部電極12と、2つの主電極部13aが略矩形状である第2外部電極13を示したが、各主電極部12aと各主電極部13aの形状には特段の制限はない。以下に、各主電極部12aと各主電極部13aの形状を変えた第1外部電極12と第2外部電極13の変形例について幾つか紹介する。
【0039】
〈第1変形例〉
図7に示した第1外部電極12-1と第2外部電極13-1は、各々の2つの主電極部12aと2つの主電極部13aの形状を略5角形状としたものである。この場合の対向領域ORは何れも略5角形状となるが、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
〈第2変形例〉
図8に示した第1外部電極12-2と第2外部電極13-2は、各々の2つの主電極部12aと2つの主電極部13aの形状を略台形状としたものである。この場合の対向領域ORは何れも略5角形状となるが、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
〈第3変形例〉
図9に示した第1外部電極12-3と第2外部電極13-3は、各々の2つの主電極部12aと2つの主電極部13aの形状を略U字状としたものである。この場合の対向領域ORは何れも略円形状となるが、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
〈第4変形例〉
図10に示した第1外部電極12-4と第2外部電極13-4は、各々の2つの主電極部12aと2つの主電極部13aの形状を略三角形状としたものである。この場合の対向領域ORは略三角形状となるが、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、前述の実施形態と各変形例では、2層構造の第1外部電極12と第2外部電極13を示したが、導体層SL1の表面に別の導体層を1層形成して3層構造としても良いし、導体層SL1の表面に別の導体層を2層形成して4層構造としても良い。
【0044】
さらに、前述の実施形態と各変形例では、本発明を積層コンデンサに適用したものを示したものを、積層インダクタや積層バリスタ等の他の積層型電子部品に本発明を適用しても、前記同様の効果を得ることができる。