【課題】作業者が容易に効率よく扱うことができる肥料散布装置の電動作動部の操作部を提供することであり、トラクタの仕様が変更された場合でも容易に対応が可能である肥料散布装置の電動作動部を提供する
【解決手段】肥料散布装置2に設けられアンテナで受信した電波の指令信号に応じて散布量調整部22の作動を制御する制御部と、指令信号の電波を送信する送信部を備えたリモコン装置31とを有する無線通信制御装置であって、複数の操作モードが設けられていて、リモコン装置31側の操作によって操作モードの選択が可能であり、電源スイッチをオフにした後再びオンにすると、直前の電源スイッチをオフにしたときの操作モードとなる制御となっている散布装置の無線通信制御装置による。
走行機体であるトラクタの後部に装着され、肥料等の散布物を貯留するホッパと、前記散布物を散布する散布部と、前記ホッパと散布部の間に設けられホッパからの散布物の流下量を調整する散布量調整部を備えた肥料散布装置において、
該肥料散布装置に設けられアンテナで受信した電波の指令信号に応じて前記散布量調整部の作動を制御する制御部と、前記指令信号の電波を送信する送信部を備えたリモコン装置とを有する無線通信制御装置であって、
該無線通信制御装置は、前記肥料散布装置の散布量調整部を作動させる複数の操作モードが設けられていて、該操作モードはリモコン装置側の操作によって操作モードの選択が可能であり、電源スイッチをオフにした後再び電源スイッチのみをオンにすると、直前の電源スイッチをオフにしたときの操作モードとなる制御となっているとともに、
前記散布量調整部の流下量を設定する流下量設定スイッチと、設定された流下量で散布物を流下または流下停止させる流下部開閉スイッチと、散布量調整部の流下量を記憶する記憶部を備え、電源スイッチをオフにした後、再度電源スイッチをオンにしたときに直前の電源スイッチをオフにしたときの散布量調整部の流下量のデータを前記記憶部から呼び出し、前記散布量調整部の作動を制御する制御部に前記データを含む指令信号の電波を送信できる状態とする制御部を備えることを特徴とした肥料散布装置の無線通信制御装置。
前記リモコン装置は、操作メッセージ等を表示可能な表示部を備え、散布作業時は散布量調整部の流下量設定値と散布物の流下または流下停止の状態を表示部に表示可能であることを特徴とした請求項1記載の肥料散布装置の無線通信制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の一形態を、
図1乃至
図9に基づいて説明する。
図1は、本発明の肥料散布装置2をトラクタ1へ装着した状態を説明する側面図である。肥料散布装置2は、上方中央部に被散布物を貯留するホッパ20を備え、ホッパ20の底部開口から落下させた被散布物をその下方部に位置させた散布部21により飛散散布させる。ホッパ20底部開口と散布部21との間には散布量調整部22が設けられ、散布部21に落下する被散布物の落下量を調節する構造となっている。これらはトラクタ1に装着するための装着部を前方部に設けたフレーム23により保持されていて、ホッパ20は左右側方に設けたホッパ固定ハンドル200によって取付けられ、ホッパ固定ハンドル200を外すとホッパ20のみ取り外しできる。装着部は、トラクタ1の後部に設けられた装着用三点リンクに装着するため、トラクタロワリンクと連結する下方部左右に水平方向に突設するロワリンクピンと中央部上方に設けたトラクタトップリンクと連結するための左右水平方向のトップリンク孔を備えている。
【0012】
散布量調整部22は電動で作動するように設けられていて、トラクタ1に乗車した作業者が操作するリモコン装置31により操作できる。リモコン装置31は、散布量調整部22に設けた制御部30との無線による相互通信によって制御される無線通信制御装置3によってコントロールされ操作される。散布量調整部22はリモコン装置31から送信された指令信号を受信して所定のホッパ20の底部開口量を調整して肥料の落下量を調整する。
【0013】
図2乃至
図4は、肥料散布装置2の散布量調整部22の作動説明図である。
図2は、ホッパ底板220の落下口が、これに当接して面方向に摺動回動自在に設けたシャッタ板221によって閉じられている状態を示したものである。
図3は、シャッタ板221を回動させシャッタ板221に設けた開口孔とホッパ底板220の落下口とを一部重合させ開口(斜線部)させた状態を示したものである。
図4は、シャッタ板221をさらに回動してホッパ底板220の落下口を全開(斜線部)にした状態を示したものである。
【0014】
ホッパ20は、下方が窄まった漏斗形状をなし、その上面は開口している。ホッパ20内には、被散布物としての肥料等が貯留される。ホッパ20の底部には、散布量調整部22のホッパ底板220とシャッタ板221が設けられ、この前方側のホッパ20側部にシャッタ板221を作動させる電動作動部22aが設けられ、シャッタ板221と電動作動部22aは連結ロッド223によって連結されていて、電動作動部22aが連結ロッド223を押し引きさせシャッタ板221を回動させる。
【0015】
散布量調整部22のホッパ底部は、複数の肥料落下口を設けたホッパ底板220と、ホッパ底板220下方面に当接するとともにホッパ20中心部を中心として水平周方向に摺動回動するシャッタ板221が設けられている。シャッタ板221は摺動回動することでホッパ底板220の肥料落下口と重合して開口度合いを変化させ被散布物の落下量を調整する開口調整孔を有し、前記電動作動部22aによってシャッタ板221が回動される。
【0016】
電動作動部22aは、電動モータ224と電動モータ224によって回動される回動アーム222と回動アーム222の回動量を電気的に検知するポテンショメータ225と電動モータ224の回転を制御する制御部30を備えている。回動アーム222はポテンショメータ225回動軸と同軸に設けた回動軸を中心に回動する。回動の一端側に前記連結ロッド223が連結され、他端には電動モータ224の出力軸に固着されたピニオンギヤに噛合するギヤ部が設けられている。制御部30によって電動モータ224が回転されると、電動モータ224の出力軸のピニオンギヤと噛合する回動アーム222が回動して、連結ロッド223によって連結されたシャッタ板221が回動する。ポテンショメータ225は回動アーム222の回動角情報を逐次制御部に伝達可能に配線されている。制御部30はトラクタ1に乗車した作業者が操作するリモコン装置31からの指令電波を受信するとともにポテンショメータ225の回転角情報を取り入れ電動モータ224を回転制御する。電動作動部22aには、トラクタ1のバッテリ10からハーネス11によって配線されて電力が供給される。
図2乃至
図4に示す散布量調整部22は説明のための図であり、実際のホッパ底板220は、ホッパ20底面部に落下口を上下方に向けて水平状に設けられていて、電動作動部22aは
図2乃至
図4に示す面を側面に向けた状態に取付けられている。
【0017】
散布部21は、肥料散布装置2の下方に位置して前方に突出させた入力軸(図示せず)にトラクタ1からユニバーサルジョイント(図示せず)で動力が入力され駆動される。本例の肥料散布装置2の散布部21は、ホッパ20から流下された肥料等の散布物を水平方向に往復揺動する後方に向けた散布筒210の回動端部から放出して拡散散布させる。この他の散布部の方式としては、水平回転する円盤状の散布板に散布物を流下させ遠心力によって拡散散布するものや、進行方向と直交する方向に長いホッパ底部に多数設けた開口孔から散布物を流下させて散布させるものがあるが、このような開口孔の開口量を調整して散布量の調整を行う方式の肥料散布機には本発明が適用できる。
【0018】
次に、リモコン装置31で散布量調整部22の作動を操作する場合の操作方法に基いて本例の無線通信制御装置の内容を説明する。
図5と
図6はリモコン装置31の操作盤を示したもので、
図6の操作盤は
図5の操作盤の下方に設けた目隠しシート32を取り除いた状態を示したものである。
図5の操作盤は、散布量調整部22の操作を最もシンプルに流下量の調整のみ操作できる状態にしたものである。下方のシャッタ切換スイッチ319は、散布部が二つ設けられている場合に対応するための切換スイッチである。
図6の操作盤の状態では、各種の操作モードによる操作によって、散布量調整部22を多様に操作及び制御ができる。
【0019】
リモコン装置31は、複数の操作モードを選択して実行できるように設けられていて、本例の場合は、散布量調整部22のシャッタ板221の開度量のみ設定できる基本操作モードと、トラクタの走行車速、肥料の物性、単位面積当たりの散布量、散布幅の散布条件の何れか又は複数又は全部を変更設定すると、散布量調整部22のシャッタ板221の開度量が演算され実行される車速優先モードと、速度条件を除く散布条件を設定すると装着されたトラクタからの速度情報信号等を取り入れて自動的にトラクタの走行速度に合わせて散布量調整部22のシャッタ板221の開度量が逐次変更される車速連動モードが設けられている。車速連動モードは、さらにトラクタメーカごとに異なる信号に対応できるように3種類が設けられている。各モードの切替は、操作盤の電源スイッチ310と各モードごとに設定された他のスイッチを同時に押すと切替が行われる。切替後は、電源スイッチ310を入れ直しても切替後のモードが立ち上がり実行される。
【0020】
図5の操作盤の状態で操作する基本操作モードの場合の制御を
図7のフロー図に基いて説明する。操作盤の電源スイッチ310と肥料の流下部であるシャッタ板221を開閉する流下部開閉スイッチ313の「出」と「止」スイッチを同時に押す(S1)と基本操作モードに切り替えが行われる(S2)。そして、肥料散布装置2に設けた散布量調整部22の制御部30に基本操作モードへの切替指令信号が送信され(S3)制御部30が基本操作モード操作指示待機状態に設定される。
【0021】
次に、散布量調整部22のポテンショメータ225の信号からシャッタ板221の開閉状態を確認する(S4)。シャッタ板221が開いた状態の場合は、リモコン装置31の表示部311に流下部開閉スイッチ313である肥料散布スイッチ部の「止」スイッチを押してシャッタ板221を閉じる指示のメッセージを表示させる(S13)。「止」スイッチが押される(S14)と、シャッタ板221を閉じる指令信号が散布量調整部22へ送信され(S15)シャッタ板221が落下口を閉じる。
【0022】
シャッタ板221が落下口を閉じた状態となると、前回の開度設定値が呼び出されて表示部311に表示される(S15)。散布時のシャッタ板221の開度値を変更する場合(S6)は、流下量設定スイッチ312である散布量調整スイッチ部の「増」「減」スイッチを押して開度値を変更する(S16)。変更後、流下部開閉スイッチ313部の「出」スイッチを押すと(S7)、散布量調整部22の制御部30にシャッタ板221を開度設定値まで開く指令信号が発せられる(S8)。散布量調整部22がシャッタ板221を開き散布作業が行われる状態となる(S9)。流下部開閉スイッチ313部の「止」スイッチを押すと(S10)、シャッタ板221が落下口を閉じて散布が停止される(S11)とともに、変更された開度値が記憶部に記憶される(S12)。尚、シャッタ板221が開かれて散布作業中の状態でも開度設定値を変更できる。開度設定値は、単位面積当りの散布量と散布作業走行速度から計算して求めるが、一般的に予め計算されて設けた早見表等から開度値を求め設定する。
【0023】
リモコン装置31の操作盤は、
図5に示す基本操作モード操作状態から流下量設定スイッチ312部の下方部に貼り付けた目隠しシート32を取り除くと、
図6に示す操作盤の状態となり、車速優先モードと車速連動モードに切り替えて使用できる状態になる。
【0024】
図6と
図8に示すフロー図に基いて車速優先モードの場合を説明する。
図6に示す操作盤において、電源スイッチ310と肥料の流下量を調整する散布量調整スイッチ312の「増」と「減」スイッチを同時に押す(S20)と車速優先モードに切り替えが行われる(S21)。そして、肥料散布装置2に設けた散布量調整部22の制御部30に車速優先モードへの切替指令信号が送信され制御部30が車速優先モード操作指示待機状態に設定される。
【0025】
立ち上げられた表示部311には、肥料散布装置2の機種設定の表示がされる。機種設定は、流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチを押すと設定可能な機種が順次表示され、設定したい機種が表示された状態で右下の機種設定スイッチ318を押すと機種が設定される(S22)。次回からは、設定操作を行わなくても設定された機種の操作モードで立ち上がる。
【0026】
前記機種設定スイッチ318が押されると、散布量調整部22のポテンショメータ225の信号からシャッタ板221の開閉状態を確認する(S23)。シャッタ板221が開いた状態の場合は、リモコン装置31の表示部311に流下部開閉スイッチ313である肥料散布スイッチ部の「止」スイッチを押してシャッタ板221を閉じる指示のメッセージを表示部に表示させる(S46)。「止」スイッチが押される(S47)と、シャッタ板221を閉じる指令信号が散布量調整部22へ送信され(S48)シャッタ板221が落下口を閉じる。
【0027】
シャッタ板221が閉じられたことが確認されると、設定呼出スイッチ314が操作できる状態となる。設定呼出スイッチ314は、予め設定した散布条件を記憶部に記憶しておくとともに呼び出しができるように設けられている。本例においては、3種類の設定が記憶可能で横に3個のスイッチが設けられている。設定呼出スイッチ314は、各圃場ごとの設定値を記憶させておくと、圃場ごとに設定操作をせずに一瞬で設定値を呼び出しできて作業を効率よく行える。また、肥料等の物性ごとに、粉状、砂状、粒状のように分けて登録することも可能である。
【0028】
いずれかの設定呼出スイッチ314を押すと前回設定した散布条件が表示部に表示される(S24)。設定値の変更を行わないでよい場合は、流下部開閉スイッチ(肥料散布スイッチ)313の「出」を押すとシャッタ板221が開き散布作業が開始状態となる(S41)。散布条件は、車速、肥料の物性、単位面積当たりの散布量をそれぞれ変更できる。
【0029】
車速を変更する場合は、流下部開閉スイッチ313の「出」スイッチを押す(S26)と車速設定値を変更可能となり、流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチで変更する(S27)。変更が行われると、変更値に基いてシャッタ板221の開度が演算され変更される(S28)。流下部開閉スイッチ313の「止」スイッチを押す(S29)と設定値が記憶される(S30)。
【0030】
肥料の物性条件を変更する場合は、設定ボタンの肥料設定スイッチ315を押す(S31)と変更可能状態となり、流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチを押すと「粉」、「砂」、「粒」がそれぞれ順番に表示部に表示され(S32)、変更したい肥料物性の表示状態で肥料設定スイッチ315を押す(S33)と、変更された物性条件に応じてシャッタ板221の開度が演算され変更される(S34)。選定している設定呼出スイッチ314を押す(S35)と、変更された設定値が記憶部に記憶される(S30)。
【0031】
単位面積当たりの散布量を変更する場合は、設定ボタンの散布量設定スイッチ316を押す(S36)と変更可能状態となり、表示部に表示される散布量を流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチを押すと変更表示され、変更したい数値を表示した状態で散布量設定スイッチ316を押す(S38)と、変更された条件に応じてシャッタ板221の開度が演算され変更される(S39)。選定している設定呼出スイッチ314を押す(S40)と、変更された設定値が記憶部に記憶される(S30)。
【0032】
各散布条件が決定され散布作業を開始するには、走行を開始と同時に肥料散布スイッチである流下部開閉スイッチ313部の「出」スイッチを押す(S41)と、散布量調整部22の制御部30に指令信号が送信され(S42)、シャッタ板221が開かれて散布物の散布が開始される(S43)。そして、散布を終了するには、肥料散布スイッチである流下部開閉スイッチ313の「止」スイッチを押す(S44)と散布量調整部22のシャッタ板221は落下口を閉じて散布が停止される(S45)。電源スイッチ310をオフにしても変更された散布条件は記憶され、再び電源スイッチ310をオンするとオフ時の状態と同じ操作待ち状態で立ち上げられる。
【0033】
その他の散布条件として散布幅の変更も可能であるが、前記肥料の物性条件や散布量の変更と同じ操作となるため説明を省略する。
【0034】
操作盤下方部に設けた設定ボタンのモード切替スイッチ319は、シャッタ板221を回動させホッパ底板220の落下口を全開にして掃除やホッパ20内の残留する散布物を排出するためのもので、モード切替スイッチ319を押すと散布条件の設定値に関わらずシャッタ板221は落下口を全開状態とする。左右切替スイッチは、散布部が二つ設けられている機種の場合の調整のための切換スイッチで、左右それぞれ切換えてから前記の散布部が一つの場合の調整と同じような操作で設定を行う。
【0035】
図6と
図9に示すフロー図に基いて車速連動モードの場合を説明する。車速連動モードは、単位面積当たりの散布量を一定にするためにトラクタ1の変化する走行速度に合わせて散布量を逐次変化させて散布を行う。従って、散布速度以外の条件を設定すると、トラクタ1からの速度信号を基にシャッタ板221の開放度合いを逐次自動調整して散布作業が行われる。このため、トラクタ1が停止するとシャッタ板221が自動的に閉じられ、走行が開始されると自動的にシャッタ板221が走行速度に合わせて自動開閉する。
図6の操作盤において、電源スイッチ310と設定呼出スイッチ314の三カ所のスイッチのうち左右両側のスイッチを同時に押す(S60)と車速連動モードに切り替えが行われる(S61)。そして、肥料散布装置2に設けた散布量調整部22の制御部30に車速連動モードへの切替指令信号が送信され制御部30が車速連動モード操作指示待機状態に設定される。
【0036】
立ち上げられた表示部311には、肥料散布装置2の機種設定の表示がされる。機種設定は、流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチを押すと設定可能な機種が順次表示され、設定したい機種が表示された状態で右下の機種設定スイッチ318を押すと機種が設定される(S22)。次回からは、設定操作を行わなくても設定された機種の操作モードで立ち上がる。
【0037】
前記機種設定スイッチ318が押されると、散布量調整部22のポテンショメータ225の信号からシャッタ板221の開閉状態を確認する(S63)。シャッタ板221が開いた状態の場合は、リモコン装置31の表示部311に流下部開閉スイッチ313である肥料散布スイッチ部の「止」スイッチを押してシャッタ板221を閉じる指示のメッセージを表示部に表示させる(S87)。「止」スイッチが押される(S88)と、シャッタ板221を閉じる指令信号が散布量調整部22へ送信され(S89)シャッタ板221が落下口を閉じる。
【0038】
シャッタ板221が閉じられたことが確認されると、前記設定呼出スイッチ314が操作できる状態となる。任意の前回までの散布設定条件を呼び出し(S64)、変更が無い場合は車速連動での散布作業が開始できる状態となる。
【0039】
散布条件の変更を行う場合は、前記車速優先モードのときと同様に、変更したい条件の散布幅設定スイッチ317、散布量設定スイッチ316、肥料設定スイッチ315をそれぞれ押して(S66、S72、S77)設定情報値を表示部に表示させ流下量設定スイッチ312の「増」「減」スイッチでそれぞれ変更し(S67、S73、S78)、それぞれの選定した設定ボタンのスイッチを押し、設定呼出スイッチを押して条件を決定させる。すると設定値が記憶される(S71)。
【0040】
散布条件設定が終了すると、変更した散布条件で散布開始が可能となり、肥料散布スイッチである流下部開閉スイッチ313の「出」スイッチを押す(S82)と散布量調整部22の制御部30へ指令信号が送信されシャッタ板221が作動状態となる(S83)。車速連動モードの場合、走行車であるトラクタ1の走行速度によってシャッタ板221の開度が変化するため、走行を開始しないと散布が開始されない。走行が開始されると、単位面積当たりの散布量を一定にするためにトラクタ1からの車速信号を受信しながら(S90)速度に応じた開度が逐次演算され(S91)、散布量調整部22の制御(S92、S93)が走行が行われている間又は流下部開閉スイッチ313の「止」スイッチが押される(S85)まで行われる。
【0041】
車速連動モードは、トラクタメーカごとによって車速信号が異なる場合もあり、その場合はさらにモードを追加して対応を行うことができる。本例においては、
図6の操作盤において電源スイッチ310と肥料設定スイッチ315と散布幅設定スイッチ317の三カ所のスイッチを同時に押すと、他のメーカトラクタの車速連動モードに切り替えが行われる。さらに、電源スイッチ310と左右切替スイッチと機種設定スイッチ318を同時に押すと、さらに他のメーカトラクタの車速連動モードに切り替えが行われる。
【0042】
本発明の無線通信制御装置3を備えた肥料散布装置2で肥料散布作業を行うには、走行車であるトラクタ1後方の3点リンク機構に肥料散布装置2を装着し、トラクタ1のバッテリ10と散布量調整部22をハーネス11によって連結し、散布量調整部22の電動作動を可能とする。また、肥料散布装置2の散布部21を駆動するために、トラクタ1の図示していないPTO軸と入力軸をユニバーサルジョイントで連結すると肥料等の散布作業が可能状態となる。車速連動モードで作業する場合は、トラクタ1側からの車速信号を散布量調整部22が受け取るためのハーネスの配線を行う。
【0043】
リモコン装置31の操作によって、操作モードを選択し散布条件を設定し、トラクタ1を走行させるとともに、シャッタ板221の開閉を行う流下部開閉スイッチ313の「出」スイッチを押す操作によって肥料等の散布物の散布が行われる。散布を停止するには、流下部開閉スイッチ313の「止」スイッチを押す操作によってシャッタ板221が閉じられ散布が停止される。車速連動モードでの散布作業は、散布する単位面積当たりの散布量を入力するだけで、トラクタ1の走行速度に合わせて散布量を自動制御して均一に散布が行われる。