【解決手段】識別情報が付与され、前記識別情報に関連付けて設定された送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、データの送信を行う通信装置であって、受信手段が受信したデータに付加された識別情報および前記送信順序に基づき、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前のデータ送信の順番である他の通信装置からデータを受信したとき、または、自装置のデータ送信の順番に対して所定数前のデータ送信の順番である他の通信装置からのデータを受信した後、他の通信装置からのデータを受信せずに所定時間経過したときに、自装置に付与された識別情報をデータに付加して送信する。
前記受信手段が受信したデータに付加された識別情報が、自装置に付与された識別情報と同一の識別情報であるときに、前記受信したデータに基づき、自装置を制御する制御手段を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
前記データ送信の順番が所定番目に設定されている通信装置の前記送信制御手段は、前記受信手段がデータ受信しない状況が第2の所定時間継続したときに、前記送信手段にデータを送信させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
自装置に付与された識別情報が所定の識別情報である通信装置の前記送信制御手段は、前記受信手段がデータ受信しない状況が第2の所定時間継続したときに、前記送信手段にデータを送信させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る通信装置の実施形態を、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で、通信を行う溶接システムを例として、図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、「装置」と表現する場合、溶接電源装置やワイヤ送給装置、また、遠隔操作装置を特に区別しないときに用いる。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る溶接システムAの全体構成を説明するための図である。溶接システムAは、
図1(a)に示すように、溶接電源装置A1、ワイヤ送給装置A2、溶接トーチ3、パワーケーブル41、42、電力伝送線51、52、52’、ガスボンベ6、および、ガス配管7を備えている。溶接システムAは、実際には、ワイヤ電極が巻回されたワイヤリールなどを備えているが、図への記載や説明を省略する。溶接システムAの溶接電源装置A1およびワイヤ送給装置A2はそれぞれ自装置に対する識別IDが予め付与されており、溶接システムA毎に固有の識別IDが付与されている。つまり、溶接システムAを構成する溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2とで同一の識別IDが付与されている。なお、この識別IDは、使用者が設定することで任意に変更可能である。
【0029】
溶接電源装置A1の溶接電力用の一方の出力端子aは、パワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置A2に接続されている。ワイヤ送給装置A2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出して、ワイヤ電極の先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41とワイヤ電極とは電気的に接続されている。溶接電源装置A1の溶接電力用の他方の出力端子bは、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置A1は溶接トーチ3の先端から突出するワイヤ電極の先端と、被加工物Wとの間にアークを発生させ、アークに電力を供給する。溶接システムAは、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
【0030】
溶接システムAは、溶接時にシールドガスを用いる。ガスボンベ6のシールドガスは、溶接電源装置A1およびワイヤ送給装置A2を通るように設けられているガス配管7によって、溶接トーチ3の先端に供給される。ガス配管7は、ガスボンベ6と溶接電源装置A1とを接続する配管、溶接電源装置A1の内部に配置されている配管、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2とを接続する配管、および、ワイヤ送給装置A2の内部に配置され溶接トーチ3の先端に接続する配管を備えている。
図1(b)は、ガス配管7のうち、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2とを接続する配管部分の断面図である。一端は、溶接電源装置A1の内部に配置されている配管と接続金具511により接続され、他端は、ワイヤ送給装置A1の内部に配置されている配管と接続金具512により接続されている。例えば、ゴム製のガス配管7は、接続金具511(512)に嵌め込むようにして、接続されている。なお、ガス配管7の素材は限定されず、各区間によって異なっていてもよいが、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2とを接続する部分は、ゴムなどの絶縁体としている。
【0031】
ワイヤ電極を送り出すための送給モータ24(後述)などを駆動するための電力は、電力伝送線51およびパワーケーブル41を介して、溶接電源装置A1からワイヤ送給装置A2に供給される。溶接電源装置A1が備える、ワイヤ送給装置A2の駆動電力用の電源(後述する送給装置用電源部12)の一方の出力端子は、電力伝送線51を介して、ワイヤ送給装置A2の電源(後述する電源部21)の一方の入力端子に接続されている。
【0032】
電力伝送線51は、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2との間では、ガス配管7の内側に配置されている。
図1(b)に示すように、溶接電源装置A1の内部で、電力伝送線51は導電性の接続金具511に接続しており、ワイヤ送給装置A2の内部で、電力伝送線51は導電性の接続金具512に接続している。そして、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51が、ガス配管7と接続金具511(512)との間に挟まれて固定され、接続金具511(512)と電気的に接続されている。つまり、接続金具511が、溶接電源装置A1の内部の電力伝送線51と、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51とを接続するコネクタとして機能し、接続金具512が、ワイヤ送給装置A2の内部の電力伝送線51と、ガス配管7の内側に配置された電力伝送線51とを接続するコネクタとして機能している。
【0033】
また、送給装置用電源部12の他方の出力端子とパワーケーブル41とが、溶接電源装置A1の内部で、電力伝送線52によって接続されており、電源部21の他方の入力端子とパワーケーブル41とが、ワイヤ送給装置A2の内部で、電力伝送線52’によって接続されている。これにより、送給装置用電源部12の他方の出力端子と電源部21の他方の入力端子とが、電気的に接続されている。送給装置用電源部12から出力される電力は、電力伝送線51およびパワーケーブル41によって、電源部21に供給される。
【0034】
溶接電源装置A1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置A1は、溶接用電源部11、送給装置用電源部12、制御部13、および、無線通信部14を備えている。
【0035】
溶接用電源部11は、電力系統から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。溶接用電源部11に入力される三相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、インバータ回路によって交流電力に変換される。そして、トランスによって降圧(または昇圧)されて、整流回路によって直流電力に変換されて出力される。なお、溶接用電源部11の構成は、上記したものに限定されない。
【0036】
送給装置用電源部12は、ワイヤ送給装置A2の送給モータ24などを駆動するための電力を出力するものである。送給装置用電源部12は、電力系統から入力される単相交流電力をワイヤ送給装置A2での使用に適した直流電力に変換して出力する。送給装置用電源部12は、いわゆるスイッチングレギュレータである。送給装置用電源部12に入力される交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、DC/DCコンバータ回路によって降圧(または昇圧)されて、出力される。送給装置用電源部12は、電圧が例えば48Vに制御された直流電力を、電力伝送線51およびパワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置A2に供給する。なお、送給装置用電源部12の構成は、上記したものに限定されない。例えば、溶接用電源部11と同様の構成であってもよいし、電力系統から入力される交流電力をトランスで降圧(または昇圧)してから、整流回路で直流電力に変換して出力するようにしてもよい。
【0037】
以下の説明においては、溶接用電源部11および送給装置用電源部12が、電力系統から入力される交流電力を、それぞれ直流電力に変換して出力する場合について説明するが、これに限られない。溶接用電源部11と送給装置用電源部12とで、構成の一部を共有するようにしてもよい。送給装置用電源部12に整流回路を設けずに、溶接用電源部11の整流回路の出力を送給装置用電源部12のDC/DCコンバータ回路に入力してもよい。また、溶接用電源部11のトランスの二次側に巻線を追加して電力を取り出し、整流して出力するようにしてもよい。さらに、送給装置用電源部12を設けずに、溶接用電源部11の出力の一部を、ワイヤ送給装置A2に送給するようにしてもよい。
【0038】
制御部13は、溶接電源装置A1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部13は、溶接電源装置A1から出力される溶接電圧および溶接電流が設定電圧および設定電流になるように、溶接用電源部11のインバータ回路を制御する。また、送給装置用電源部12から出力される電力が所定電力になるように、送給装置用電源部12のDC/DCコンバータ回路を制御する。制御部13は、図示しない設定ボタンの操作に応じて溶接条件の変更を行ったり、図示しない起動ボタンの操作に応じて溶接用電源部11を起動させたり、などの制御を行う。また、制御部13は、図示しないセンサによって検出された溶接電圧や溶接電流の検出値を図示しない表示部に表示させたり、異常が発生した場合に図示しない報知部に報知させたりする。
【0039】
また、制御部13は、無線通信部14から入力される制御データに基づいて、溶接条件の変更や溶接用電源部11の起動を行い、センサによって検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給装置A2に対するワイヤ送給指令やガス供給指令などのための制御データを無線通信部14に出力する。
【0040】
無線通信部14は、ワイヤ送給装置A2との間で、アンテナを介して無線通信を行うためのものである。無線通信部14は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、3G、赤外線通信などの通信方式により、通信信号を送受信する。無線通信部14は、ワイヤ送給装置A2や他の装置から受信した通信信号を復調して、復調した通信信号(制御データ)に付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じときに、制御データを制御部13に出力する受信制御を実行する。ワイヤ送給装置A2から受信する通信信号(制御データ)には、例えば、溶接条件を設定するための信号や溶接用電源部11の起動を指示する起動信号などがある。なお、ワイヤ送給装置A2から受信する通信信号(制御データ)は、上記したものに限定されない。
【0041】
また、無線通信部14は、所定の送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、制御部13から入力される制御データに自装置に付与された識別IDや自装置の装置種別情報を付加し、通信信号として変調して、アンテナを介して、ワイヤ送給装置A2に送信する送信制御を実行する。ワイヤ送給装置A2に送信する通信信号(制御データ)には、例えば、センサによって検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給指令やガス供給指令などのための信号などがある。なお、ワイヤ送給装置A2に送信する通信信号(制御データ)は、上記したものに限定されない。
【0042】
無線通信部14は、制御部13より入力される制御データに応じてキャリア信号をBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調し、変調信号にスペクトル拡散(例えば直接スペクトル拡散通信方式)を行い、アナログ信号に変換して送信する。なお、変調方法はBPSK変調に限られず、ASK変調やFSK変調を行うようにしてもよい。また、スペクトル拡散は直接スペクトル拡散通信方式に限られず、周波数ホッピング方式を用いてもよい。なお、以下の説明では、スペクトル拡散として、直接スペクトル拡散通信方式を用いる例を説明する。
【0043】
無線通信部14は、
図2に示すように、受信回路141、フィルタ回路142、アナログ/デジタル変換回路(以下、A/D変換回路)143、デジタル/アナログ変換回路(以下、D/A変換回路)144、フィルタ回路145、送信回路146、および、通信制御部147により構成される。
【0044】
受信回路141は、アンテナを介してワイヤ送給装置A2や他の装置から送信される通信信号を受信するためのものである。受信した通信信号は、受信信号として、フィルタ回路142に出力される。フィルタ回路142は、バンドパスフィルタを備えており、受信回路141より入力される受信信号から、所定の周波数帯域以外の信号を除去して、A/D変換回路143に出力する。A/D変換回路143は、フィルタ回路142より入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、拡散受信信号SRとして、通信制御部147に出力する。
【0045】
D/A変換回路144は、通信制御部147より入力されるデジタル信号である拡散送信信号SSをアナログ信号に変換して、フィルタ回路145に出力する。フィルタ回路145は、バンドパスフィルタを備えており、D/A変換回路144より入力されるアナログ信号から、所定の周波数帯域以外の信号を除去して、送信信号として、送信回路146に出力する。送信回路146は、フィルタ回路145より入力される送信信号を、通信信号としてアンテナを介して、ワイヤ送給装置A2や他の装置に送信するものである。
【0046】
通信制御部147は、送受信する通信信号を処理するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現される。通信制御部147は、A/D変換回路143より入力される拡散受信信号SRを所定の拡散符号にて逆拡散して、識別ID、装置種別情報、および、制御データに分解し、制御データに付加された識別IDに基づき、自装置に向けて送信された制御データを制御部13に出力する。また、通信制御部147は、制御部13から入力される制御データに識別IDおよび装置種別情報を付加し、所定の拡散符号にて拡散した拡散送信信号SSを、D/A変換回路144に出力する。通信制御部147は、
図2に示すように、拡散符号設定部147a、逆拡散処理部147b、復調処理部147c、変調処理部147d、拡散処理部147e、送信順序記憶部147f、および、データ処理部147gを備えている。
【0047】
拡散符号設定部147aは、後述する逆拡散処理部147bが行う逆拡散処理におけるスペクトル拡散の拡散符号および後述する拡散処理部147eが行う拡散処理におけるスペクトル拡散の拡散符号を設定するものである。拡散符号設定部147aに設定される拡散符号は、予め所定の拡散符号が設定されている。または、使用者の設定操作に基づき、任意の拡散符号に変更できるようにしてもよい。
【0048】
逆拡散処理部147bは、拡散符号設定部147aに設定されている拡散符号を用いて、広帯域に拡散された信号を狭帯域の信号に逆拡散するものである。逆拡散処理部147bは、A/D変換回路143より入力される拡散受信信号SRを逆拡散して、フィルタリングを行い、変調受信信号MRとして復調処理部147cに出力する。これにより、異なる拡散符号を用いて拡散された信号やノイズが除去される。
【0049】
復調処理部147cは、変調された信号を復調するものである。復調処理部147cは、逆拡散処理部147bより入力される変調受信信号MRを復調して、情報受信信号IRとしてデータ処理部147gに出力する。
【0050】
変調処理部147dは、入力される信号を変調するものである。変調処理部147dは、後述するデータ処理部147gより入力される情報送信信号ISに応じてキャリア信号をBPSK変調して、変調送信信号MSとして拡散処理部147eに出力する。なお、上述のように、変調方法はこれに限られず、ASK変調やFSK変調を行うようにしてもよい。
【0051】
拡散処理部147eは、拡散符号設定部147aに設定される拡散符号を用いて、スペクトル拡散を行い、狭帯域の信号を広帯域の信号に拡散するものである。拡散処理部147eは、変調処理部147dより入力される変調送信信号MSを拡散送信信号SSに拡散し、D/A変換回路144に出力する。
【0052】
なお、逆拡散処理部147bと復調処理部147c、および、変調処理部147dと拡散処理部147eを、それぞれ入れ替えてもよい。すなわち、受信側は、A/D変換回路143から出力される拡散受信信号SRを、まず復調を行ってから逆拡散するようにしてもよく、また、送信側は、送信側は、データ処理部147gから出力される情報送信信号ISを、まずスペクトル拡散してから変調を行うようにしてもよい。
【0053】
送信順序記憶部147fは、自装置がどのタイミングで通信信号を送信するかを示す送信順序を記憶する。この送信順序は、
図3に示すように、溶接システムA毎に同一の識別符号が付与された識別IDと溶接電源装置A1であるかワイヤ送給装置A2であるかを示す装置種別情報とを対応付けて、設定されている。
図3に示す送信順序では、識別IDが「01」であり、かつ、装置種別情報が「1(溶接電源装置)」である装置が、1番目に通信信号の送信を行い、続いて、識別IDが「01」であり、かつ、装置種別情報が「2(ワイヤ送給装置)」である装置が2番目に通信信号の送信を行う。以降、3番目、4番目、・・・と順次送信を行い、そして、最後のn番目の装置が通信信号の送信を行うと、再度1番目から送信を行う。
【0054】
なお、この送信順序は一例であり、使用者が自由に設定できるようにしてもよい。また、識別IDは、上述する数字「0〜9」もの以外、アルファベット「A〜Z、a〜z」やギリシャ文字「α〜ω」、かな「あ〜ん」など、識別可能なものであってもよい。なお、好ましい形態では、この識別IDを、UnicodeやJISコードなどの文字コードの順に設定しておく。また、装置種別情報として、「1」を溶接電源装置、「2」をワイヤ送給装置としたが、これに限られず、溶接電源装置とワイヤ送給装置との区別がつくものであれば、いかようにも変形可能である。さらに、この送信順序の記憶例は、この限りではない。
【0055】
データ処理部147gは、制御部13との間でデータを受け渡しする処理を行うものである。データ処理部147gは、復調処理部147cより入力される
図4に示すフレームフォーマットの情報受信信号IRを、識別IDと、装置種別情報と、制御データと、に分解し、識別IDに基づいて、受信制御を実行する。受信制御では、データ処理部147gは、入力された情報受信信号IRの識別IDが自装置に付与された識別IDと同じであるとき、混信していない(自装置に向けて送信された制御データである)と判断し、情報受信信号IRの制御データを制御部13に出力する。一方、入力された情報受信信号IRの識別IDが自装置に付与された識別IDと異なるとき、混信している(自装置に向けて送信された制御データでない)と判断し、情報受信信号IRの制御データを制御部13に出力しない。
【0056】
データ処理部147gは、制御データを制御部13に出力すると、この制御データに付加された識別IDおよび装置種別情報と、送信順序記憶部147fに記憶される送信順序と、を確認し、入力された情報受信信号IRの識別IDおよび装置種別情報が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前のデータ送信の順番に設定されている識別IDおよび装置種別情報である場合、自装置のデータ送信の順番であると判断して、送信制御を実行する。送信制御では、データ処理部147gは、制御部13より入力される制御データに、自装置に付与された識別IDおよび自装置の装置種別情報を付加して、情報送信信号ISとして変調処理部147dに出力する。なお、データ処理部147gは、送信制御において、もし送信する制御データがないときは、自装置に付与された識別IDおよび自装置の装置種別情報だけを送信する。また、制御データがない旨のデータ(ダミーデータ)に、識別IDおよび装置種別情報を付加して送信するようにしてもよい。
【0057】
また、データ処理部147gは、受信した情報受信信号IRの識別IDおよび装置種別情報が自装置のデータ送信の順番の所定数i(iは2以上の整数)前のデータ送信の順番に設定されている識別IDおよび装置種別情報である場合、内蔵されるクロック回路に基づき、所定のタイマーを起動させ、情報受信信号IRを受信してからの経過時間の計時を開始する。データ処理部147gは、経過時間の計時を開始してから所定時間T1経過するまでの間に、データ処理部147gに情報受信信号IRが入力されなかった場合、上述する送信制御を実行する。なお、上述する所定時間T1は、上述する所定数iが大きくなるに従い、長くなるように設定される。つまり、この所定時間T1は、所定数iを2としたときに比べ、所定数iを3としたときの方が、長くなるように設定される。
【0058】
図5は、データ処理部147gが行う受信制御および送信制御を説明するためのフローチャートである。
【0059】
まず、データ処理部147gは、復調処理部147cから情報受信信号IRが入力されたか否かを判別する(S1)。受信回路141が通信信号を受信すると、フィルタ回路142によるフィルタリング、A/D変換回路143によるアナログ/デジタル変換、逆拡散処理部147bによる逆拡散、および、復調処理部147cによる復調がなされて、情報受信信号IRがデータ処理部147gに入力される。データ処理部147gは、この情報受信信号IRが入力された場合(S1:YES)、入力された情報受信信号IRを、識別IDと、装置種別情報と、制御データと、に分解し、抽出する(S2)。一方、データ処理部147gに情報受信信号IRが入力されない場合(S1:NO)、後述するステップS10に移行する。
【0060】
データ処理部147gは、ステップS2で抽出した識別IDが、自装置に付与された識別IDである「IDm」と同じであるか否かを判別する(S3)。このとき、抽出した識別IDがIDmである場合(S3:YES)、入力された情報受信信号IRが、自装置に向けて送信された通信信号であると判断できるので、ステップS2で抽出した制御データを制御部13に出力する(S4)。そして、制御部13が、入力された制御データに基づいて自装置を制御する。一方、データ処理部147gは、抽出した識別IDがIDmでない場合(S3:NO)、入力された情報受信信号IRが、自装置に向けて送信された通信信号でないと判断できるので、ステップS2で抽出した制御データを制御部13に出力しない。なお、ステップS3において、抽出したIDがIDmである場合でも、ステップS2で抽出した装置種別情報が自装置の装置種別情報と同じ場合には、自装置が送信した通信信号であるため、この場合「NO」として、後述するステップS5の処理に移行する。
【0061】
次に、データ処理部147gは、ステップS2で抽出した識別IDおよび装置種別情報と、送信順序記憶部147fに記憶される送信順序に基づき、入力された情報受信信号IRに対応するデータ送信の順番「PN」を確認する(S5)。そして、データ処理部147gは、確認したデータ送信の順番「PN」が、自装置のデータ送信の順番「PNm」に対して所定数i(iは2以上の整数)前のデータ送信の順番「PNm−i」であるか否かを判別する(S6)。このとき、確認したデータ送信の順番「PN」が所定数i前のデータ送信の順番「PNm−i」でない場合(S6:NO)、続けて、確認したデータ送信の順番「PN」が、自装置のデータ送信の順番「PNm」に対して1つ前のデータ送信の順番「PNm−1」であるか否かを判別する(S7)。
【0062】
そして、確認したデータ送信の順番「PN」が、自装置のデータ送信の順番「PNm」に対して1つ前のデータ送信の順番「PNm−1」である場合(S7:YES)、データ処理部147gは、自装置のデータ送信の順番であると判断し、制御部13から入力される制御データに、自装置に付与された識別IDおよび自装置の装置種別情報(無線通信部14の場合は溶接電源装置「1」、後述する無線通信部23の場合はワイヤ送給装置「2」)を付加して、情報送信信号ISとして変調処理部147dに出力する(S8)。そして、変調処理部147dによる変調、拡散処理部147eによる拡散、D/A変換回路144によるデジタル/アナログ変換、フィルタ回路145によるフィルタリングがなされ、送信回路146が通信信号を、アンテナから送信する。
【0063】
一方、ステップS5で確認したデータ送信の順番「PN」が自装置のデータ送信の順番「PNm」に対して1つ前のデータ送信の順番「PNm−1」でなかった場合(S7:NO)、ステップS1に戻り、データ送信の順番が「PNm−1」の装置からの通信信号の受信を待つ。
【0064】
ステップS6において、ステップS5で確認したデータ送信の順番「PN」が所定数i前のデータ送信の順番「PNm−i」であった場合(S6:YES)、データ処理部147gに内蔵されるクロック回路に基づいて、所定のタイマーを初期値から起動させ(S9)、ステップS1に戻る。そして、データ処理部147gは、ステップS1で、情報受信信号IRが入力されない場合(S1:NO)、ステップS9で起動させたタイマーに基づき、所定時間T1経過したか否かを判別する(S10)。このとき、データ処理部147gは、所定時間T1が経過していなければ(S10:NO)、ステップS1に戻り、情報受信信号IRの入力を待つ。一方、データ処理部147gは、所定時間T1が経過した場合(S10:YES)、ステップ8に移行し、制御部13から入力される制御データに、自装置に付与された識別IDおよび自装置の装置種別情報を付加して、情報送信信号ISとして変調処理部147dに出力する。
【0065】
そして、データ処理部147gは、ステップS8で、情報受信信号ISを変調処理部147dに出力すると、起動中のタイマーを停止させる(S11)。これらの処理を、溶接システムAの電源がオフになるまで繰り返し実行し、送信順序記憶手段147fに記憶された送信順序に基づき、自装置のデータ送信の順番であるときに、通信信号(制御データ)の送受信が行われる。このように、データ処理部147gは、上記
図5のフローに従い、受信制御および送信制御を行う。
【0066】
なお、上記のように、データ処理部147gが行う受信制御および送信制御において、送信順序記憶部147fが、
図3に示す送信順序を記憶しておいた例を説明したが、
図3に示す送信順序の情報を全て記憶せず、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前および所定数i前の情報だけを記憶しておいてもよい。その場合、ステップS5〜S7の代わりに、ステップS2で抽出した識別IDおよび装置種別情報が「1つ前」か、「所定数i前」か、あるいは、「それ以外」か、を判別すればよい。具体的には、送信順序記憶部147fには、自装置のデータ送信の順番に対して所定数i前である識別IDと装置種別情報(つまり、タイマーを起動させるタイミングとなる識別IDと装置種別情報)、および、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前である識別IDと装置種別情報(つまり、自装置が通信信号を送信するタイミングとなる識別IDと装置種別情報)を、記憶しておく。そして、データ処理部147gが、ステップS2で抽出した識別IDと装置種別情報が、これらの識別IDおよび装置種別情報に合致する場合に、タイマーを起動させたり、情報送信信号ISを変調処理部147dに出力させたりする。もし、どちらの識別IDおよび情報種別情報にも合致しない場合、つまり、上記「それ以外」の場合には、次の情報受信信号IRの入力を待つ。
【0067】
図1に戻り、ワイヤ送給装置A2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。また、ワイヤ送給装置A2は、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給する。ワイヤ送給装置A2は、電源部21、制御部22、無線通信部23、送給モータ24、および、ガス電磁弁25を備えている。
【0068】
電源部21は、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25に電力を供給するものである。電源部21は、電力伝送線51、52’を介して溶接電源装置A1から電力が供給され、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25のそれぞれに適した電圧に変換し、出力する。電源部21は、溶接電源装置A1から供給される電力を蓄積するコンデンサ、コンデンサから電力伝送線51、52’に電流が逆流するのを防ぐためのダイオード、制御部22、送給モータ24およびガス電磁弁25に出力する電圧を調整するためのDC/DCコンバータを備えている。なお、電源部21の構成は、上記したものに限定されない。
【0069】
制御部22は、ワイヤ送給装置A2の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部22は、溶接トーチ3に設けられている図示しないトーチスイッチにより入力される起動のための操作信号に応じて、溶接電源装置A1の溶接用電源部11を起動するための起動信号を制御データとして無線通信部23に出力する。また、図示しない操作部より入力される溶接条件を変更するための操作信号に応じて、溶接条件を設定するための信号を制御データとして無線通信部23に出力する。また、制御部22は、無線通信部23より入力される溶接電圧または溶接電流の検出値を、図示しない表示部に出力して表示させたり、無線通信部23より入力される異常発生を示す信号に基づいて、図示しない報知部に異常の報知(例えば、スピーカによる警告音や振動による報知)をさせたりする。また、制御部22は、無線通信部23からワイヤ送給指令を入力されている間、送給モータ24にワイヤ電極の送給を行わせて、溶接トーチ3にワイヤ電極を送り出す。また、無線通信部23からガス供給指令を入力されている間、ガス電磁弁25を開放して、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端から放出させる。
【0070】
無線通信部23は、溶接電源装置A1との間で、アンテナを介して無線通信を行うためのものである。無線通信部23は、無線通信部14と同一の通信方式(無線LANやBluetoothなど)により通信信号を送受信する。溶接電源装置A1から受信した通信信号を復調して、受信した通信信号に付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じときに、復調した通信信号(制御データ)を制御部22に出力する受信制御を実行する。溶接電源装置A1から受信する通信信号には、例えば、溶接電源装置A1においてセンサで検出された溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号、ワイヤ送給指令やガス供給指令などのための信号がある。なお、溶接電源装置A1から受信する通信信号(制御データ)は、上記したものに限定されない。
【0071】
また、無線通信部23は、所定の送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、制御部22から入力される制御データに自装置に付与された識別IDや自装置の装置種別情報を付加し、通信信号として変調して、溶接電源装置A1に送信する送信制御を実行する。溶接電源装置A1に送信する通信信号(制御データ)には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、溶接用電源部11の起動を指示する起動信号などがある。なお、溶接電源装置A1に送信する通信信号(制御データ)は、上記したものに限定されない。
【0072】
無線通信部23は、溶接電源装置A1の無線通信部14と同様に、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。よって、無線通信部23は、溶接電源装置A1の無線通信部14との間で、共通の拡散符号を用いて拡散した信号の送受信を行う。また、無線通信部23も制御データに付加された識別IDに基づき、混信が発生していない(自装置に向けて送信された制御データである)と判断したときに、受信した制御データを制御部22に出力する。無線通信部23の内部構成は、
図2に示す無線通信部14の内部構成と共通するので、ブロック図および詳細な説明を省略する。
【0073】
送給モータ24は、溶接トーチ3にワイヤ電極の送給を行うものである。送給モータ24は、制御部22からのワイヤ送給指令に基づいて、送給ローラを回転させて、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出す。
【0074】
ガス電磁弁25は、ガスボンベ6と溶接トーチ3とを接続するガス配管7に設けられており、制御部22からのガス供給指令に基づいて開閉される。制御部22からガス供給指令が入力されている間、ガス電磁弁25は開放され、溶接トーチ3へシールドガスの供給が行われる。一方、制御部22からガス供給指示が入力されていないとき、ガス電磁弁25は閉鎖され、溶接トーチ3へのシールドガスの供給が停止される。
【0075】
次に、上記のように構成された溶接システムAを、同一拡散符号および同一周波数帯を用いて、複数台同時に使用するときの溶接システムAの送信制御について、説明する。
図6では、3つの溶接システムAを同時に使用する状況を示している。各溶接システムAを区別するため、3つの溶接システムAを溶接システムAa、Ab、Acとする。各溶接システムAa、Ab、Acにおける溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2を、区別するため、溶接電源装置A1a、A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2a、A2b、A2cとする。溶接システムAaを構成する溶接電源装置A1aとワイヤ送給装置A2aには同一の識別ID「01」が、溶接システムAbを構成する溶接電源装置A1bとワイヤ送給装置A2bには同一の識別ID「02」が、溶接システムAcを構成する溶接電源装置A1cとワイヤ送給装置A2cには同一の識別ID「03」が、予め付与されている。また、各溶接電源装置A1a、A1b、A1c、および、ワイヤ送給装置A2a、A2b、A2c(詳細には各装置の送信順序記憶部147f)には、それぞれ
図7に示す送信順序が記憶されているものとする。また、データ処理部147gがタイマーを起動させるトリガーとなる所定数iを「2」として説明する。つまり、データ送信の順番が2つ前の装置から送信された通信信号を受信したときに、タイマーを起動させる。なお、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2は、溶接電源装置A1からワイヤ送給装置A2や溶接トーチ3に電力を供給するためのパワーケーブル41やガス配管7(電力伝送線51)により、接続されているが、
図6では図示を省略する。
【0076】
溶接システムAa、Ab、Acの電源が起動されると、
図7に示す送信順序に基づき、データ送信の順番が1番目に設定される識別IDが「01」かつ装置種別情報が「1(溶接電源装置)」である溶接電源装置A1aから順に、通信信号の送信を開始する。
図6(a)は、データ送信の順番が1番目の溶接電源装置A1aが通信信号αを送信した状況を示す図である。まず、溶接電源装置A1aは、溶接電源装置A1aに付与された識別ID「01」および溶接電源装置A1aの装置種別情報「1(溶接電源装置)」を制御データに付加し、通信信号αとしてアンテナを介して無線送信する。そして、ワイヤ送給装置A2aが通信信号αを受信すると、ワイヤ送給装置A2aは、通信信号αに付加された識別ID「01」がワイヤ送給装置A2aに付与された識別ID「01」と同じであるため、この通信信号αの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0077】
溶接電源装置A1aから送信された通信信号αは、無線送信され、空間を伝搬するので、溶接電源装置A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cも、通信信号αを受信する。しかし、溶接電源装置A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cは、通信信号αに付加された識別ID「01」が自装置の識別ID「02」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号αの制御データに基づく制御は行わない。よって、誤った制御は行われない。
【0078】
次に、通信信号αを受信した溶接電源装置A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2a、A2b、A2cは、通信信号αに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、ワイヤ送給装置A2aは、受信した通信信号αの識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、制御データに自装置の識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」を付加して、通信信号βとして送信する。また、溶接電源装置A1bは、通信信号αに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」が溶接電源装置A1bのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0079】
続いて、
図6(b)は、ワイヤ送給装置A2aが通信信号αを受信して、通信信号βを送信した状況を示す図である。ワイヤ送給装置A2aが通信信号βを送信すると、その通信信号βが、アンテナを介して、無線送信される。そして、溶接電源装置A1aは、通信信号βに付加された識別ID「01」が溶接電源装置A1aに付与された識別ID「01」と同じであるため、この通信信号βの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0080】
ワイヤ送給装置A2aから送信された通信信号βは、無線送信され、空間を伝搬するので、溶接電源装置A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cも、通信信号βを受信する。しかし、溶接電源装置A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cは、通信信号βに付加された識別ID「01」が自装置の識別ID「02」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号βの制御データに基づく制御は行わない。よって、この場合も、誤った制御は行われない。
【0081】
次に、通信信号βを受信した溶接電源装置A1a、A1b、A1c、ワイヤ送給装置A2b、A2cは、通信信号βに付加された識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、溶接電源装置A1bは、受信した通信信号βの識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、制御データに自装置の識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」を付加して、通信信号γとして送信する。そして、溶接電源装置A1bは、通信信号γを送信すると、溶接電源装置A1aからの通信信号αの受信に伴い起動させたタイマーを停止させる。また、ワイヤ送給装置A2bは、通信信号βに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」がワイヤ送給装置A2bのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置A1a、A1c、ワイヤ送給装置A2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0082】
続いて、
図6(c)は、溶接電源装置A1bが通信信号βを受信し、そして、通信信号γを送信した状況を示す図である。溶接電源装置A1bが通信信号γを送信すると、その通信信号γが、アンテナから無線送信される。そして、ワイヤ送給装置A2bは、通信信号γに付加された識別ID「02」がワイヤ送給装置A2bに付与された識別ID「02」と同じであるため、この通信信号γの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0083】
溶接電源装置A1bから送信された通信信号γは、無線送信され、空間を伝搬するので、溶接電源装置A1a、A1c、ワイヤ送給装置A2a、A2cも、通信信号γを受信する。しかし、溶接電源装置A1a、A1c、ワイヤ送給装置A2a、A2cは、通信信号γに付加された識別ID「02」が自装置の識別ID「01」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号γの制御データに基づく制御は行わない。よって、この場合も、誤った制御は行われない。
【0084】
次に、通信信号γを受信した溶接電源装置A1a、A1c、ワイヤ送給装置A2a、A2b、A2cは、通信信号γに付加された識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、ワイヤ送給装置A2bは、受信した通信信号γの識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、制御データに自装置の識別ID「02」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」を付加して、通信信号δとして送信する。そして、ワイヤ送給装置A2bは、通信信号δを送信すると、ワイヤ送給装置A2aからの通信信号βの受信に伴い起動させたタイマーを停止させる。また、溶接電源装置A1cは、通信信号γに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」が溶接電源装置A1cのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置A1a、ワイヤ送給装置A2a、A2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0085】
以後、同様に、送信順序に従い、ワイヤ送給装置A2b、溶接電源装置A1c、ワイヤ送給装置A2cの順に通信信号の送信が行われる。そして、データ送信の順番が最後のワイヤ送給装置A2cが送信すると、データ送信の順番が最初の溶接電源装置A1aから再度通信信号の送信が実行される。
【0086】
続いて、
図6(b)において、ワイヤ送給装置A2aから送信された通信信号βを、何らかの影響により、溶接電源装置A1bが受信できなかった場合について説明する。この場合、溶接電源装置A1bは、通信信号βを受信できないため、自装置のデータ送信の順番であることを認識できない。よって、以降の通信信号の送信が行われなくなってしまう。しかし、
図6(a)において、溶接電源装置A1bは、溶接電源装置A1aから送信された通信信号αを受信したときにタイマーを起動しているため、そのタイマーに基づき所定時間T1が経過すると、
図6(c)に示すように、通信信号γの送信を開始する。これにより、ワイヤ送給装置A2bが通信信号γを受信するため、ワイヤ送給装置A2bが通信信号の送信を行うので、送信順序に従った通信信号の送信が継続される。
【0087】
このようにして、溶接電源装置A1およびワイヤ送給装置A2に付与された識別IDに関連付けて設定された送信順序に従い、順次、通信信号の送信を行い、また、受信した制御データに付加された識別IDが自装置に付与された識別IDである場合に、当該制御データに基づき自装置を制御するようにしたので、複数の溶接システムAを用いて通信信号の送受信を行うときに発生する混信を解消することができる。これにより、距離が近い状況で通信可能な溶接システムAの数を増やすことができ、作業効率が向上する。また、もし何からの影響により、いずれかの装置が通信信号を受信しなかったとしても、溶接電源装置A1およびワイヤ送給装置A2において起動させたタイマーに基づき所定時間T1が経過すると、通信信号の送信を行うようにしたので、いずれかの装置が、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前の装置からの通信信号を受信できなくても、送信順序に従い、通信信号の送信を継続することができる。
【0088】
さらに、好ましくは、データ送信の順番が1番目に設定されている装置(上記では溶接電源装置A1a)において、通信信号を全く受信しない期間が所定時間T2以上経過した場合、強制的に、通信信号の送信を開始するようにしておく。このようにしておくことで、何らかの影響により、いずれの装置も通信信号を受信しなくなった場合、または、いずれの装置からも通信信号の送信が行われなくなった場合にでも、再度送信順序に従い、データ送信の順番が1番目の装置から通信信号の送信を開始させることができる。具体的には、データ処理部147gは、情報受信信号IRが入力されると、タイマーを起動させ、経過時間の計時を開始する。そして、この経過時間が所定時間T2を超えると、送信制御を実行する。経過時間が所定時間T2を超える前に、次の情報受信信号IRが入力されると、経過時間を初期値から計時する。
【0089】
<第2実施形態>
上記第1実施形態においては、溶接電源装置A1とワイヤ送給装置A2との間の通信信号の送受信を、無線通信により行う例を説明したが、例えば、溶接電源装置A1からワイヤ送給装置A2に電力を供給するための電力伝送線51やパワーケーブル41に、通信信号を重畳させ、有線により通信信号の送受信を行う溶接システムにも適用可能である。この場合について、第2実施形態として、以下に説明する。
【0090】
図8は、第2実施形態に係る溶接システムBの全体構成を説明するための図である。なお、同図において、第1実施形態に係る溶接システムA(
図1参照)と同一または類似の要素は、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。溶接システムBは、
図8に示すように、溶接電源装置B1、ワイヤ送給装置B2、溶接トーチ3、パワーケーブル41、42、電力伝送線51、52、52’、ガスボンベ6、および、ガス配管7を備えている。溶接システムBは、実際には、ワイヤ電極が巻回されたワイヤリールなどを備えているが、図への記載や説明を省略する。また、溶接電源装置B1とワイヤ送給装置B2の間のガス配管7は、
図1(b)に示す構造と同じである。溶接システムBの溶接電源装置B1およびワイヤ送給装置B2はそれぞれ自装置に対する識別IDが予め付与されており、溶接システムB毎に固有の識別IDが付与されている。つまり、溶接システムBを構成する溶接電源装置B1とワイヤ送給装置B2とで同一の識別IDが付与されている。なお、この識別IDは、使用者が設定することで任意に変更可能である。
【0091】
溶接電源装置B1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置B1は、溶接用電源部11、送給装置用電源部12、制御部13、および、PLC(Power Line Communication)通信部15を備えており、上記第1実施形態の無線通信部14がPLC通信部15に置き換えられている。
【0092】
PLC通信部15は、ワイヤ送給装置B2との間で、電力伝送線51およびパワーケーブル41を介して、通信を行うためのものである。PLC通信部15は、結合回路を備えている。この結合回路は、PLC通信部15の入出力端に接続されたコイルと、電力伝送線51、52に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、PLC通信部15が出力する通信信号を電力伝送線51、52に重畳し、また、電力伝送線51、52に重畳された通信信号を検出する。電力伝送線52は、溶接電源装置B1の内部で、パワーケーブル41に接続しているので、通信信号は、電力伝送線51とパワーケーブル41との間に重畳される。
【0093】
PLC通信部15は、電力伝送線51、52に重畳された通信信号を検出し、検出した通信信号を復調して、通信信号に付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じときに、復調した通信信号(制御データ)を制御部13に出力する受信制御を実行する。また、PLC通信部15は、所定の送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、制御部13から入力される制御データに自装置に付与された識別IDや自装置の装置種別情報を付加し、通信信号として変調して、電力伝送線51、52に通信信号を重畳させる送信制御を実行する。溶接電源装置B1とワイヤ送給装置B2とで送受信する通信信号(制御データ)は、上記第1実施形態と同様である。PLC通信部15は、上記第1実施形態と同様に、BPSK変調や、直接スペクトル拡散通信を行う。
【0094】
PLC通信部15は、
図9に示すように、受信回路141’、フィルタ回路142、A/D変換回路143、D/A変換回路144、フィルタ回路145、送信回路146’、および、通信制御部147により構成される。上記第1実施形態の無線通信部14は無線により通信信号の送受信を行うのに対し、第2実施形態のPLC通信部15は有線により通信信号の送受信を行うので、上記第1実施形態の無線通信部14とは、受信回路141’および送信回路146’の構成が異なる。
【0095】
受信回路141’は、結合回路による磁気結合を利用して、電力伝送線51、52に重畳された通信信号を検出し、受信するものである。受信した通信信号は、受信信号として、フィルタ回路142に出力される。送信回路146’は、フィルタ回路145より入力される送信信号を、結合回路による磁気結合を利用して電力伝送線51、52に重畳させ、ワイヤ送給装置B2に送信する。
【0096】
図8に戻り、ワイヤ送給装置B2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。また、ワイヤ送給装置B2は、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給する。ワイヤ送給装置B2は、電源部21、制御部22、送給モータ24、ガス電磁弁25、および、PLC通信部26を備えており、上記第1実施形態の無線通信部23がPLC通信部26に置き換えられている。
【0097】
PLC通信部26は、溶接電源装置B1との間で、電力伝送線51およびパワーケーブル41を介して、通信を行うためのものである。PLC通信部26は、溶接電源装置B1のPLC通信部15と同様に、結合回路を備えている。この結合回路は、PLC通信部26の入出力端に接続されたコイルと、電力伝送線51、52’に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、PLC通信部26が出力する通信信号を電力伝送線51、52’に重畳し、また、電力伝送線51、52’に重畳された通信信号を検出する。電力伝送線52’は、ワイヤ送給装置B2の内部で、パワーケーブル41に接続しているので、通信信号は、電力伝送線51とパワーケーブル41との間に重畳される。
【0098】
PLC通信部26は、電力伝送線51、52’に重畳された通信信号を検出し、検出した通信信号を復調して、通信信号に付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じときに、復調した通信信号(制御データ)を制御部22に出力する受信制御を実行する。また、PLC通信部26は、所定の送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、制御部22から入力される制御データに自装置に付与された識別IDや自装置の装置種別情報を付加し、通信信号として変調して、電力伝送線51、52’に通信信号を重畳させる送信制御を実行する。PLC通信部26は、PLC通信部15と同様に、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行うので、溶接電源装置B1のPLC通信部15との間で、共通の拡散符号を用いて拡散した信号の送受信を行う。PLC通信部26の内部構成は、
図9に示すPLC通信部15の内部構成と共通するので、ブロック図および詳細な説明を省略する。
【0099】
次に、上記のように構成された溶接システムBを、同一拡散符号および同一周波数帯を用いて、複数台同時に使用するときの溶接システムBの送信制御について、説明する。
図10では、3つの溶接システムBを同時に使用する状況を示している。各溶接システムBを区別するため、3つの溶接システムBを溶接システムBa、Bb、Bcとする。各溶接システムBa、Bb、Bcにおける溶接電源装置B1とワイヤ送給装置B2を区別するため、溶接電源装置B1a、B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2a、B2b、B2cとする。また溶接電源装置B1とワイヤ送給装置B2は、パワーケーブル41および電力伝送線51により接続されており、これらもそれぞれ、パワーケーブル41a、41b、41c、電力伝送線51a、51b、51cとする。溶接システムBaを構成する溶接電源装置B1aとワイヤ送給装置B2aには同一の識別ID「01」が、溶接システムBbを構成する溶接電源装置B1bとワイヤ送給装置B2bには同一の識別ID「02」が、溶接システムBcを構成する溶接電源装置B1cとワイヤ送給装置B2cには同一の識別ID「03」が、予め付与されている。また、各溶接電源装置B1a、B1b、B1c、および、ワイヤ送給装置B2a、B2b、B2c(詳細には各装置の送信順序記憶部147f)には、それぞれ
図7に示す送信順序が記憶されているものとする。また、上記第1実施形態と同様に所定数iを「2」として説明する。
【0100】
溶接システムBa、Bb、Bcの電源が起動されると、
図7に示す送信順序に基づき、データ送信の順番が1番目に設定される識別IDが「01」かつ装置種別情報が「1(溶接電源装置)」である溶接電源装置A1から順に、通信信号の送信を開始する。
図10(a)は、データ送信の順番が1番目の溶接電源装置B1aが通信信号αを送信した状況を示す図である。まず、溶接電源装置B1aは、溶接電源装置B1aに付与される識別ID「01」および溶接電源装置B1aの装置種別情報「1(溶接電源装置)」を制御データに付加し、通信信号αとして、パワーケーブル41aおよび電力伝送線51aを介して送信する。そして、ワイヤ送給装置B2aが通信信号αを受信すると、ワイヤ送給装置B2aは、通信信号αに付加された識別ID「01」がワイヤ送給装置B2aに付与される識別ID「01」と同じであるため、この通信信号αの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0101】
溶接電源装置B1aから送信された通信信号αは、パワーケーブル41aおよび電力伝送線51aを伝送中に他のパワーケーブル41b、41c、および、他の電力伝送線51b、51cに混信してしまい、溶接電源装置B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2b、B2cも、通信信号αを受信してしまう。しかし、溶接電源装置B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2b、B2cは、通信信号αに付加された識別ID「01」が自装置の識別ID「02」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号αの制御データに基づく制御は行わない。よって、誤った制御は行われない。
【0102】
次に、通信信号αを受信した溶接電源装置B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2a、B2b、B2cは、通信信号αに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、ワイヤ送給装置B2aは、受信した通信信号αの識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、ワイヤ送給装置B2aは、制御データに自装置の識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」を付加して、通信信号βとして送信する。また、溶接電源装置B1bは、通信信号αに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」が溶接電源装置B1bのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置B1c、ワイヤ送給装置B2b、B2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0103】
続いて、
図10(b)は、ワイヤ送給装置B2aが通信信号αを受信し、そして、通信信号βを送信した状況を示す図である。ワイヤ送給装置B2aが通信信号βを送信すると、その通信信号βがパワーケーブル41aおよび電力伝送線51aを介して伝送される。そして、溶接電源装置B1aは、通信信号βに付加された識別ID「01」が溶接電源装置B1aに付与された識別ID「01」と同じであるため、この通信信号βの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0104】
ワイヤ送給装置B2aから送信された通信信号βは、パワーケーブル41aおよび電力伝送線51aを伝送中に他のパワーケーブル41b、41c、および、他の電力伝送線51b、51cに混信してしまい、溶接電源装置B1b、B2c、ワイヤ送給装置B2b、B2cも、通信信号αを受信してしまう。しかし、溶接電源装置B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2b、B2cは、通信信号βに付加された識別ID「01」が自装置の識別ID「02」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号βの制御データに基づく制御は行わない。よって、この場合も、誤った制御は行われない。
【0105】
次に、通信信号βを受信した溶接電源装置B1a、B1b、B1c、ワイヤ送給装置B2b、B2cは、通信信号βに付加された識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、溶接電源装置B1bは、受信した通信信号βの識別ID「01」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、溶接電源装置B1bは、制御データに自装置の識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」を付加して、通信信号γとして送信する。そして、溶接電源装置B1bは、通信信号γを送信すると、溶接電源装置B1aからの通信信号αの受信に伴い起動させたタイマーを停止させる。また、ワイヤ送給装置B2bは、通信信号βに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」がワイヤ送給装置B2bのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置B1a、B1c、ワイヤ送給装置B2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0106】
続いて、
図10(c)は、溶接電源装置B1bが通信信号βを受信し、そして、通信信号γを送信した状況を示す図である。溶接電源装置B1bが通信信号γを送信すると、その通信信号γがパワーケーブル41bおよび電力伝送線51bを介して伝送される。そして、ワイヤ送給装置B2bは、通信信号γに付加された識別ID「02」がワイヤ送給装置B2bに付与された識別ID「02」と同じであるため、この通信信号γの制御データに基づいて、自装置を制御する。
【0107】
溶接電源装置B1bから送信された通信信号γは、パワーケーブル41bおよび電力伝送線51bを伝送中に他のパワーケーブル41a、41c、および他の電力伝送線51a、51cに混信してしまい、溶接電源装置B1a、B1c、ワイヤ送給装置B2a、B2cも、通信信号γを受信してしまう。しかし、溶接電源装置B1a、B1c、ワイヤ送給装置B2a、B2cは、通信信号γに付加された識別ID「02」が自装置の識別ID「01」または「03」と異なるため、自装置に向けて送信された通信信号ではないと判断し、この通信信号γの制御データに基づく制御は行わない。よって、この場合も、誤った制御は行われない。
【0108】
次に、通信信号γを受信した溶接電源装置B1a、B1c、ワイヤ送給装置B2a、B2b、B2cは、通信信号γに付加された識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に基づいて、送信順序を確認する。このとき、ワイヤ送給装置B2bは、受信した通信信号γの識別ID「02」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」に対応するデータ送信の順番が自装置のデータ送信の順番に対して1つ前であるため、ワイヤ送給装置B2bは、制御データに自装置の識別ID「02」および装置種別情報「2(ワイヤ送給装置)」を付加して、通信信号δとして送信する。そして、ワイヤ送給装置B2bは、通信信号δを送信すると、ワイヤ送給装置B2aからの通信信号βの受信に伴い起動させたタイマーを停止させる。また、溶接電源装置B1cは、通信信号γに付加された識別ID「01」および装置種別情報「1(溶接電源装置)」が溶接電源装置B1cのデータ送信の順番に対して2つ前であるため、内蔵するタイマーを起動させる。それ以外の溶接電源装置B1a、ワイヤ送給装置B2a、B2cは、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前または2つ前のいずれでもないため、他の通信信号の受信を待つ。
【0109】
以後、同様に、送信順序に従い、ワイヤ送給装置B2b、溶接電源装置B1c、ワイヤ送給装置B2cの順に通信信号の送信が行われる。そして、データ送信の順番が最後のワイヤ送給装置B2cが送信すると、データ送信の順番が最初の溶接電源装置B1aから再度通信信号の送信が実行される。
【0110】
続いて、
図10(b)において、ワイヤ送給装置B2aから送信された通信信号βを、何らかの影響により、溶接電源装置B1bが受信できなかった場合について説明する。この場合、溶接電源装置B1bは、通信信号βを受信できないため、自装置のデータ送信の順番であることを認識できない。よって、以降の通信信号の送信が行われなくなってしまう。しかし、
図10(a)において、溶接電源装置B1bは、溶接電源装置B1aから送信された通信信号αを受信したときにタイマーを起動しているため、そのタイマーに基づき所定時間T1が経過すると、
図10(c)に示すように、通信信号γの送信を開始する。これにより、ワイヤ送給装置B2bが通信信号γを受信するため、ワイヤ送給装置B2bが通信信号の送信を行うので、送信順序に従った通信信号の送信が継続される。
【0111】
このようにして、溶接電源装置B1およびワイヤ送給装置B2に付与された識別IDに関連付けて設定された送信順序に従い、順次、通信信号の送信を行い、また、受信した制御データに付加された識別IDが自装置に付与された識別IDである場合に、当該制御データに基づき自装置を制御するようにしたので、複数の溶接システムBを用いて通信信号の送受信を行うときに発生する混信を解消することができる。これにより、距離が近い状況で通信可能な溶接システムBの数を増やすことができ、作業効率が向上する。また、もし何からの影響により、いずれかの装置が通信信号を受信しなかったとしても、溶接電源装置B1およびワイヤ送給装置B2において起動させたタイマーに基づき所定時間T1が経過すると、通信信号の送信を行うようにしたので、いずれかの装置が、自装置のデータ送信の順番に対して1つ前の装置からの通信信号を受信できなくても、送信順序に従い、通信信号の送信を継続することができる。
【0112】
さらに、好ましくは、データ送信の順番が1番目に設定されている装置(上記では溶接電源装置B1a)において、通信信号を全く受信しない期間が所定時間T2以上経過した場合、強制的に、通信信号の送信を開始するようにしておく。このようにしておくことで、何らかの影響により、いずれの装置も通信信号を受信しなくなった場合、または、いずれの装置からも通信信号の送信が行われなくなった場合にでも、再度送信順序に従い、データ送信の順番が1番目の装置から通信信号の送信を開始させることができる。具体的には、データ処理部147gは、情報受信信号IRが入力されると、タイマーを起動させ、経過時間の計時を開始する。そして、この経過時間が所定時間T2を超えると、送信制御を実行する。経過時間が所定時間T2を超える前に、次の情報受信信号IRが入力されると、経過時間を初期値から計時する。
【0113】
上記第2実施形態では、コイルによる磁気結合を利用して、PLC通信部15(26)が通信信号を電力伝送線51と52(52’)との間に重畳し、また、電力伝送線51と52(52’)との間に重畳された通信信号を検出する例について説明したが、これに限られない。例えば、コンデンサによる電界結合を利用するようにしてもよい。また、電力伝送線51、52(52’)に並列に通信信号を入力するのではなく、電力伝送線51または52(52’)に直列に通信信号を入力するようにしてもよい。
【0114】
上記第1実施形態および第2実施形態において、データ送信の順番が1番目に設定されている装置において、通信信号を全く受信しない期間が所定時間T2以上経過した場合に、強制的に、通信信号の送信を開始する例を説明したが、これに限られない。例えば、データ送信の順番が1番目ではなく、2番目でも3番目でもよく、自由に変形可能である。また、データ送信の順番ではなく、所定の識別IDおよび装置種別情報に基づき、設定することも可能である。
【0115】
また、上記第1実施形態および第2実施形態において、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間の通信について説明したが、これに限られない。本発明は、2装置間で通信信号を送受信する場合に適用することができる。
【0116】
<第3実施形態>
次に、溶接電源装置を離れた位置から操作するための遠隔操作装置を、溶接システムに設けた場合について説明する。作業者は、遠隔操作装置を操作することで、溶接用電源部11を起動したり、溶接用電源部11の設定電圧または設定電流を変更したりする。また、反対に、遠隔操作装置が、溶接電源装置で検出された溶接電圧または溶接電流の検出値を表示したり、溶接電源装置で発生した異常を報知したりする。遠隔操作装置から送信される操作指示(通信信号)が、無線通信によりワイヤ送給装置に送信され、そして、ワイヤ送給装置から有線通信により溶接電源装置に伝達される。また、溶接電源から出力される通信信号は、有線通信によりワイヤ送給装置に伝達され、そして、ワイヤ送給装置から無線通信により遠隔操作装置に送信される。この場合を第3実施形態として、以下に説明する。
【0117】
図11は、第3実施形態に係る溶接システムCの全体構成を説明するための図である。なお、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同一または類似の要素には、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。溶接システムCは、
図11に示すように、溶接電源装置C1、ワイヤ送給装置C2、溶接トーチ3、パワーケーブル41、42、電力伝送線51、52、52’、ガスボンベ6、ガス配管7、および、遠隔操作装置C9を備えている。溶接システムCは、実際には、ワイヤ電極が巻回されたワイヤリールなどを備えているが、図への記載や説明を省略する。また、また、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2の間のガス配管7は、
図1(b)に示す構造と同じである。溶接システムCの溶接電源装置C1および遠隔操作装置C9はそれぞれ自装置に対する識別IDが予め付与されており、溶接システムC毎に固有の識別IDが付与されている。つまり、溶接システムCを構成する溶接電源装置C1および遠隔操作装置C9で同一の識別IDが付与されている。
【0118】
溶接電源装置C1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置C1は、溶接用電源部11、送給装置用電源部12、制御部13、および、PLC通信部15を備えている。
【0119】
ワイヤ送給装置C2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。また、ワイヤ送給装置C2は、ガスボンベ6のシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給する。ワイヤ送給装置C2は、電源部21、制御部22、送給モータ24、ガス電磁弁25、および、中継部27を備えている。よって、第3実施形態に係るワイヤ送給装置C2は、中継部27を備えていることが、上記第1実施形態および第2実施形態と異なる。
【0120】
中継部27は、上記第2実施形態に係るPLC通信部26と同様に、有線通信により溶接電源装置C1と通信信号の送受信を行う機能に加えて、遠隔操作装置C9との間で、無線通信により通信信号の送受信を行う機能を備えている。そして、中継部27は、溶接電源装置C1と遠隔操作装置C9との通信を中継する機能を備えている。
【0121】
中継部27は、パワーケーブル41または電力伝送線51に重畳された通信信号を検出し、検出した通信信号を復調する。復調した信号がワイヤ送給指令などのための信号の場合、制御部22に出力する。一方、復調した信号が溶接電圧または溶接電流の検出値や、異常発生を示す信号などの場合、再度変調して、アンテナを介して、遠隔操作装置C9に送信する。中継部27は、所定の通信方式(例えば、無線LAN、Bluetoothなど)により、遠隔操作装置C9と通信信号を送受信する。また、中継部27は、遠隔操作装置C9から送信される通信信号を、アンテナを介して受信し、受信した信号を増幅して、溶接電源装置C1に送信する。なお、受信した信号を増幅することなく、そのまま送信するようにしてもよいし、受信した信号を一旦復調して、所定の処理を行ったうえで再度変調して送信するようにしてもよい。中継部27が遠隔操作装置C9から受信し、溶接電源装置C1に送信する通信信号には、例えば、設定電圧または設定電流の変更を指示する信号などがある。なお、中継部27と、溶接電源装置C1および遠隔操作装置C9との間で送受信される通信信号は、上述したものに限定されない。
【0122】
遠隔操作装置C9は、上記のように、離れた位置からワイヤ送給装置C2を介して、溶接電源装置C1を操作するためのものであり、制御部91および無線通信部92を含んで構成される。
【0123】
制御部91は、遠隔操作装置C9の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部91は図示しない設定スイッチの操作に応じて、溶接用電源部11の設定電圧または設定電流の変更を行うための信号を無線通信部92に出力する。また、制御部91は、無線通信部92より入力される溶接電圧または溶接電流の検出値を図示しない表示装置に表示させたり、無線通信部92より入力される異常発生を示す信号に基づいて、図示しない報知装置に表示させたりする。
【0124】
無線通信部92は、ワイヤ送給装置C2との間で、アンテナを介して無線通信を行うためのものである。無線通信部92は、ワイヤ送給装置C2の中継部27と同一の通信方式により、ワイヤ送給装置C2と通信信号を送受信する。無線通信部92は、ワイヤ送給装置C2や他の装置から受信した通信信号を復調して、受信した通信信号に付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じときに、復調した通信信号(制御データ)を制御部91に出力する受信制御を実行する。ワイヤ送給装置C2から受信する通信信号には、例えば、溶接電源装置C1においてセンサで検出された溶接電圧または溶接電流の検出信号や異常発生を示す信号などがある。また、無線通信部92は、所定の送信順序に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、制御部91から入力される制御データに自装置に付与された識別IDや自装置の装置種別情報を付加し、通信信号として変調して、ワイヤ送給装置C2に送信する送信制御を実行する。ワイヤ送給装置C2に送信する通信信号には、例えば、設定電圧または設定電流の変更を指示する信号などがある。なお、ワイヤ送給装置C2との間で送受信される信号は、上記したものに限定されない。無線通信部92の内部構成は、
図2に示す無線通信部14(23)と共通するので、ブロック図および詳細な説明を省略する。
【0125】
上記のように構成された溶接システムCを、同一拡散符号および同一周波数帯を用いて、複数台同時に使用するときの溶接システムCの送信制御では、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2との間の送信制御、および、ワイヤ送給装置C2と遠隔操作装置C9との間の送信制御の2つの送信制御が実行される。溶接電源装置C1およびワイヤ送給装置C2には、
図12(a)に示す第1送信順序が記憶されており、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2との間で、この第1送信順序に従い、上記第2実施形態と同様に、有線通信の場合の送信制御が実行される。一方、ワイヤ送給装置C2および遠隔操作装置C9には、
図12(b)に示す第2送信順序が記憶されており、ワイヤ送給装置C2と遠隔操作装置C9との間で、この第2送信順序に従い、上記第1実施形態と同様に、無線通信の場合の送信制御が実行される。なお、
図12(b)に示すように、遠隔操作装置C9に対する装置種別情報を「3」しておく。
【0126】
このように、溶接電源装置C1、ワイヤ送給装置C2、および、遠隔操作装置C9は、それぞれ自装置に記憶される送信順序(
図12(a)の第1送信順序や
図12(b)の第2送信順序)に従い、自装置のデータ送信の順番であるときに、順次、通信信号の送信を行い、また、制御データに付加された識別IDが自装置に付与された識別IDと同じ場合に、当該制御データに基づき、自装置を制御するようにしたので、ワイヤ送給装置C2と遠隔操作装置C9との間の無線通信において発生する混信を解消するとともに、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2との間の有線通信において発生する混信も解消することが可能である。
【0127】
上記第3実施形態において、遠隔操作装置C9の操作指示を、無線通信によりワイヤ送給装置C2に送信し、そして、ワイヤ送給装置C2が受信した操作指示を有線通信により溶接電源装置C1に送信する例を説明にしたが、遠隔操作装置C9が直接、溶接電源装置C1と無線通信を行うようにしてもよい。この場合、溶接電源装置C1のPLC通信部15を中継部(中継部27と同様の機能)に置き換え、ワイヤ送給装置C2の中継部27をPLC通信部(第2実施形態のPLC通信部26と同様の機能)に置き換えることで、同様の送信制御が可能である。
【0128】
<第4実施形態>
また、上記第3実施形態においては、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2との間の通信の送受信を、パワーケーブル41および電力伝送線51を介した有線通信により行う例を説明したが、例えば、溶接電源装置C1とワイヤ送給装置C2との通信信号の送受信を無線により行うことも考えられる。つまり、溶接電源装置C1、ワイヤ送給装置C2、遠隔操作装置C9の全てが無線通信により通信信号の送受信を行う溶接システムが考えられる。この場合を、第4実施形態として、以下に説明する。
【0129】
図13は、第4実施形態に係る溶接システムDの全体構成を説明するための図である。なお、同図において、第1実施形態ないし第3実施形態と同一または類似の要素は、同一の符号番号を付して、その説明を省略する。図示するように第3実施形態の溶接電源装置C1のPLC通信部15が無線通信部14’に、ワイヤ送給装置C2の中継部27が無線通信部23’に、遠隔操作装置C9の無線通信部92が無線通信部92’に置き換わっている。溶接システムDの溶接電源装置D1、ワイヤ送給装置D2、および、遠隔操作装置D9には、それぞれ自装置に対する識別IDが予め付与されており、溶接システムDごとに固有の識別IDが付与されている。つまり、溶接システムDを構成する溶接電源装置D1、ワイヤ送給装置D2、および、遠隔操作装置D9で、同一の識別IDが付与されている。
【0130】
無線通信部14’は、ワイヤ送給装置D2と第1の無線通信方式(例えば、無線LAN)により通信を行う。無線通信部23’は、溶接電源装置D1と上記第1の無線通信方式により通信を行うとともに、遠隔操作装置D9と第2の無線通信方式(例えば、Bluetooth)により通信を行う。なお、無線通信部23’は、上記第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで別々のアンテナにより無線通信を行ってもよく、図示するように、1つのアンテナにより2つの無線通信を行うようにしてもよい。無線通信部92’は、ワイヤ送給装置D2と上記第2の無線通信方式により通信を行う。これら無線通信部14’、無線通信部23’、および、無線通信部92’は、
図2に示す無線通信部14(23)の内部構成と共通するので、ブロック図および詳細な説明を省略する。
【0131】
上記のように構成された溶接システムDを複数台同時に使用したときの溶接システムDの送信制御では、上記第3実施形態の送信制御と同様に、
図12に示す2つの送信順序に基づき、送信制御を実行する。このようにすることで、溶接電源装置D1、ワイヤ送給装置D2、および、遠隔操作装置D9がそれぞれ無線通信により通信信号の送受信を行う場合においても、上記第3実施形態と同様に、溶接電源装置D1とワイヤ送給装置D2との間の通信信号の送受信において発生する混信、および、ワイヤ送給装置D2と遠隔操作装置D9との間の通信信号の送受信において発生する混信を解消することが可能となる。
【0132】
上記第1実施形態ないし第4実施形態において、1組の溶接システムを構成する溶接電源装置と、ワイヤ送給装置と、遠隔操作装置と、で、同一の識別IDが付与される例を説明したが、例えば、装置毎に、固有の識別IDを付与しておき、この識別IDと関連付けて送信順序を設定するようにしてもよい。この場合、各装置のデータ処理部147gには、どの識別IDが付与された制御データにより自装置を制御するかを示す情報である制御用識別IDを記憶させておく。そして、データ処理部147gは、受信した制御データに付与された識別IDが制御用識別IDである場合、この制御データを制御部13(制御部22、制御部91)に出力するようにする。
【0133】
上記第1実施形態ないし第4実施形態において、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信信号の送受信を行う例を説明したが、直接スペクトル拡散通信方式を行わない通信であってもよい。この場合、通信制御部147の拡散符号設定部147a、逆拡散処理部147b、拡散処理部147eを備えなくてもよいので、構成の簡略化が可能である。
【0134】
上記第1実施形態ないし第4実施形態において、電力伝送線51が、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で、ガス配管7の内部に配置されている構成について説明したが、これに限られない。例えば、溶接時にシールドガスを用いない場合などには、ガス配管7が設けられていないので、電力伝送線51がむき出しの構成であってもよい。この場合、ガス配管7によって保護されないので、電力伝送線51の被覆を厚くするなどして、断線しにくいように補強する必要がある。また、ガス配管7が設けられていても、電力伝送線51をガス配管7の内部に配置しないようにしてもよい。さらに、電力伝送線52、52’においても、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2の間で、パワーケーブル41に接続させる構成について説明したが、これに限られない。例えば、電力伝送線52、52’をパワーケーブル42に接続するようにしてもよいし、電力伝送線52、52’を直接接続し、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間でむき出しの構成であってもよい。また、電力伝送線51をパワーケーブル41またはパワーケーブル42の一方に接続し、電力伝送線52(52’)を他方に接続するような構成であってもよい。すなわち、溶接電源装置1から溶接トーチ3やワイヤ送給装置2に電力が供給される構成であれば、電力伝送線およびパワーケーブルの配置は特に限定されない。
【0135】
本発明に係る通信装置および通信システムは、上述した実施形態(例えば、溶接システム)に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。