特開2016-87865(P2016-87865A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016087865-磁石付キャップ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-87865(P2016-87865A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】磁石付キャップ
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/08 20060101AFI20160418BHJP
   B43K 29/00 20060101ALI20160418BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20160418BHJP
【FI】
   B43K9/00 Z
   B43K29/00 G
   B43K8/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-222509(P2014-222509)
(22)【出願日】2014年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】星野 貴宣
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
2C350KF05
2C350NA23
2C350NC10
(57)【要約】
【課題】組み立て易く且つ磁石が外れ難い構造の磁石付キャップ1を得る。
【解決手段】キャップ本体1の前方に消去部材3を嵌着させる嵌着凹部21を設け、キャップ本体2の側方に磁石4を収容させる収容凹部22を形成し、嵌着凹部21と収容凹部22とを仕切る隔壁23の両側部にスリット24を設けることで当該隔壁23に可撓性を付与し、キャップ本体2の収容凹部22に磁石4を収容させ、嵌着凹部22に消去部材3を嵌着することで、消去部材3により押圧された隔壁23と収容凹部22の内面22aとで磁石4を狭着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体の前方に消去部材を、側方に磁石を、後方にペン先を挿着させる挿着口を有した磁石付キャップであって、前記キャップ本体の前方に前記消去部材を嵌着させる嵌着凹部を設け、前記キャップ本体の側方に前記磁石を収容させる収容凹部を形成し、前記嵌着凹部と前記収容凹部とを仕切る隔壁の両側部にスリットを設けることで当該隔壁に可撓性を付与し、前記キャップ本体の収容凹部に前記磁石を収容させ、前記嵌着凹部に消去部材を嵌着することで、前記消去部材により押圧された前記隔壁と前記収容凹部の内面とで前記磁石を狭着することを特徴とした磁石付キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石付キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にホワイトボードと言われる白板用のマーカーでは、ペン先を保護するキャップ本体に、白板に付着したインキを消去するための消去部材と、鉄板で形成された白板に吸着させるための磁石を備えたものがあり、そのような構造の白板用マーカーは利便性が高いことから市場での需要も高い。
【0003】
磁石をキャップ本体に装着する場合には、例えば特許文献1に示すように、キャップ本体の外面にホルダー部を形成し、そのホルダー部に、接着や圧入あるいはインサート成形や2色成形などの手段で磁石を固定する方法があるが、デザインや設計の自由度が高いことから一般的には前述の接着や圧入による固定方法が採用されている。
しかしながら接着による固定方法では、組立時における作業性が悪く、また経時的に接着力が低下して磁石が脱落してしまう虞があった。また、圧入により磁石をキャップ本体に固定する方法では、組立時においてキャップ本体に形成した圧入部と磁石との寸法関係がきつくて磁石をキャップに圧入し辛かったり、あるいは逆に寸法関係に遊びがあり過ぎて使用中に磁石が脱落してしまう虞があり、それを防ぐために寸法精度を高くした場合にはコストアップを招いてしまった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−207511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、組み立て易く且つ磁石が外れ難い構造の磁石付キャップを得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
「キャップ本体の前方に消去部材を、側方に磁石を、後方にペン先を挿着させる挿着口を有した磁石付キャップであって、前記キャップ本体の前方に前記消去部材を嵌着させる嵌着凹部を設け、前記キャップ本体の側方に前記磁石を収容させる収容凹部を形成し、前記嵌着凹部と前記収容凹部とを仕切る隔壁の両側部にスリットを設けることで当該隔壁に可撓性を付与し、前記キャップ本体の収容凹部に前記磁石を収容させ、前記嵌着凹部に消去部材を嵌着することで、前記消去部材により押圧された前記隔壁と前記収容凹部の内面とで前記磁石を狭着することを特徴とした磁石付キャップ。」である。
【0007】
本発明の磁石は、フェライト磁石、アルニコ磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等、既知の磁石を用いることができ、キャップ本体に設けた隔壁と収容凹部とで磁石を挟持させることから、弾性を有したボンド磁石(ゴム磁石)より焼結磁石のように硬質なものを用いた方が挟持力が得られるため好ましい。尚、磁石の磁力は、キャップやキャップを装着したマーカー等の筆記具の重さに応じて、鉄板で形成された白板等に筆記具を磁力で吸着させることができるものを適宜選択すればよい。
本発明の消去部材は、スポンジ等で形成した心材の表面に不織布等のシートを配設したものや、スポンジ等で形成した心材の表面に基材へ対して繊維束を植毛した立毛布帛を配設したもの、あるいは単体のスポンジ等、既知の消去部材を用いることができ、特に限定されるものではないが、心材となるスポンジ等の弾性体は、キャップ本体の隔壁を収容凹部側に押圧して磁石を挟持できる弾発力を有したものを用いることが肝要である。
【0008】
消去部材を嵌着させる嵌着凹部と磁石を収容させる収容凹部とを仕切る隔壁は、その両側部に軸心に沿った長手方向のスリットを形成し、嵌着凹部に弾性を有する消去部材を嵌着させた際に、消去部材の弾性力で隔壁を磁石を収容させた収容凹部側に撓ませ、変形した隔壁の一部または全部と収容凹部の一部または全部とで磁石を挟持させるものであり、両側部にスリットを設けることで隔壁に可撓性が付与される形態であればよく、その形態は特に限定されるものではない。
【0009】
例えば隔壁を、両側部にスリットを形成すると共に一端を自由端とした舌片状とすることで、嵌着凹部に嵌着させた消去部材の弾発力で前記舌片状の隔壁を収容凹部側に撓ませ、隔壁と、前記収容凹部における前記隔壁と対向する面に形成した係止壁の内面との間で、磁石の表面と裏面とを狭着するようにしてもよい。あるいは隔壁を、両側部にスリットを形成すると共に該隔壁の中央部に前記嵌着凹部側に膨出する弧状とすることで、嵌着凹部に嵌着させた消去部材の弾発力で前記弧状の隔壁を収容凹部側に撓ませ、隔壁と、前記収容凹部における前記隔壁と対向する面に形成した係止壁の内面との間で、磁石の表面と裏面とを狭着するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の磁石付キャップは、消去部材で隔壁を押圧して磁石をキャップ本体に狭着させる構成としたことから、簡単な構造で組み立て易く且つ磁石がキャップ本体から脱落し難いものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例の磁石付キャップの斜視図である。
図2図1の磁石付キャップの縦断面図である。
図3図1のキャップ本体を前方から見た図である。
図4】本実施例のキャップ本体の一部断面斜視図である。
図5図1の磁石付キャップの組立時の一工程を示す図である。
図6図5の次工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明における磁石付キャップについて説明を行う。尚、説明を分かり易くするために、キャップ本体におけるペン先を挿着させる挿着口がある側を後方と表現し、その反対側を前方と表現する。
【0013】
以下、図1から図6を用いて本実施例の磁石付キャップについて説明を行う。図1に示すように本実施例の磁石付キャップ1は、キャップ本体2の前方に消去部材3を、側方に磁石4を装着し、後方に筆記体のペン先(図示せず)を挿着させる挿着口20を形成してある。
【0014】
キャップ本体2は、前方に前記消去部材3を嵌着させる嵌着凹部21を形成してあり、側方に前記磁石4を収容する収容凹部22を形成してある。嵌着凹部21と収容凹部22とを仕切る隔壁23の両側部には、軸心に沿った方向のスリット24を形成してあり、隔壁23を、キャップ本体2の内部に形成した内キャップ2aと連接する連接部2bを基点に可撓できる舌片状に形成してある。また、隔壁23の自由端における前記収容凹部22側には、傾斜面25aと垂直面25bとを有する爪部25を形成してある。
収容凹部22における前記隔壁23と対向する面には、磁石4に接する係止壁22aを形成してあり、図2に示すように、隔壁23と係止壁22aの内面とで磁石4を狭着し、爪部25の垂直面25bにて抜止状態とすることができる。
【0015】
次に、図5および図6を用いて、本実施例の磁石付キャップの組み立てに関する説明を行う。
図5に示す通り、キャップ本体4の収容凹部22の前方には開口22bを形成してあり、前記磁石4を収容凹部22へ収容できるようにしてある。
尚、本実施例の磁石4は、フェライト磁石を直方体形状に形成したものであり、その外形寸法は、キャップ本体2の収容凹部22の内面寸法より若干小さく形成してある。
したがって、磁石4を開口22bより挿通させ、爪部25に摺接することで隔壁23を嵌着凹部21側に撓ませながら、収容凹部22へ容易に収容させることができた。
【0016】
また図6に示す通り、キャップ本体4の嵌着凹部21の前方には開口21aを形成してあり、前記消去部材3を嵌着凹部21へ嵌着できるようにしてある。
尚、本実施例の消去部材3は、スポンジの表面に基材へ対して繊維束を植毛した立毛布帛を配設して直方体形状に形成したものであり、その外形寸法は、キャップ本体2の嵌着凹部2bの内面寸法より若干大きく形成してある。
したがって、消去部材3を開口21aより挿通させ、隔壁23を収容凹部22側に撓ませがら嵌着凹部21へ嵌着させることができた。
【0017】
前述の手順で組み立てを行ったものが、図1図2に示した磁石付キャップ1であり、消去部材3により隔壁23が収容凹部22側へ撓んだ状態で維持されており、磁石4の表面4aと裏面4bとが隔壁23と係止壁22aの内面とで狭着され、隔壁23の爪部25にて磁石4の脱落が防止されている。また消去部材3の構成の中に弾性材であるスポンジを含めたことから、嵌着凹部21と消去部材3との寸法精度を高く設定することなく、嵌着させることが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の磁石付キャップは、白板用のマーカー以外にも、キャップに消去部材を設ける筆記具であれば採用が可能である。例えば熱変色性インキを用いる熱変色性筆記具では、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦部材を消去部材として本発明の磁石付キャップを構成することにより、鉄製のデスクやキャビネット等の側面に、筆記具を吸着させておくことが可能なものとなる。
【符号の説明】
【0019】
1…磁石付キャップ、
2…キャップ本体、2a…内キャップ、2b…連接部、
20…挿着口、
21…嵌着凹部、21a…開口、
22…収容凹部、22a…係止壁、22b…開口、
23…隔壁、
24…スリット、
25…爪部、25a…傾斜面、25b…垂直面、
3…消去部材、
4…磁石、4a…表面、4b…裏面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6