【解決手段】容器本体11と、容器本体11内を圧縮空間S1と加圧空間S2とに区画するピストン12と、圧縮空間S1内に収容され、蛇腹状の胴部13aを備えた第1収納容器13と、圧縮空間S1内に収容され、蛇腹状の胴部14aを備えた第2収納容器14と、第1収納容器13および第2収納容器14の外周に張り巡らされたフィルム15と、加圧空間S2に収容される加圧剤Pと、容器本体11の開口部を閉じ、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14と外部とを連通する通路を開閉するバルブアッセンブリ16とを有する吐出容器10。第1収納容器13および第2収納容器14は、胴部13aおよび胴部14aの一部が互いに重ねられた並列重ね状態で上下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の吐出容器は、原液収納部を独立して収縮するため、原液収納部の収縮はその流路抵抗(原液収納部と外部とを連通する通路の抵抗)に大きく影響される。例えば、2つの内容物に粘度差がある場合、粘度の低い内容物の流路抵抗が小さく、粘度の高い内容物に比べて吐出量が多くなり、粘度の低い内容物を収容した収納部が優先的に収縮することがある。特許文献2、3は、連結された2つのピストンを使用者が操作するものである。特許文献2の場合、一体化したピストンで押圧するため、ピストンの作動量を同じにして内容物を均等に吐出しやすい。しかし、2つの内容物を収納する収納部分の体積と同じ体積のピストンあるいはプランジャが外部に突出しているため、装置全体が嵩張り、使い勝手が悪い。また、加圧剤の圧力を利用していないため、内容物がクリームやゲルなどの粘性物であるときは特に押圧しにくい。特許文献3の場合、室(シリンダ)が上下に縮むため特許文献2のように嵩張らないが、使用者の操作によっては、ピストンが傾いたりすることがある。さらに、収容する成分の粘度が異なる場合(その流路抵抗が異なる場合)、使用者の操作が難しくなる。また、特許文献3は2つの室の間に前延長部を備えており、2つの室(シリンダ)同士が重なることを防止するものである。
本発明は、それぞれの流路抵抗に影響されず、複数の内容物を一定の吐出比率で吐出させる吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吐出容器は、容器本体と、その容器本体内に収容され、上下方向に伸縮する第1蛇腹部を備えた第1収納容器と、その容器本体内に収容され、上下方向に伸縮する第2
蛇腹部を備えた第2収納容器と、前記第1収納容器および第2収納容器を加圧する加圧手段と、容器本体の開口部を閉じ、第1収納容器と外部とを連通する第1通路と第2収納容器と外部とを連通する第2通路とを備えたバルブ機構とを有し、前記第1収納容器と第2収納容器は、前記第1蛇腹部の谷部に前記第2蛇腹部の山部が挿入され、前記第2蛇腹部の谷部に前記第1蛇腹部の山部が挿入された並列重ね状態で上下に伸縮することを特徴としている。
【0006】
本発明の吐出容器であって、前記並列重ね状態を保持するように第1収納容器および第2収納容器の外周を支持する筒体を備えたものが好ましい。例えば、前記筒体として、並列重ね状態の第1収納容器および第2収納容器の外周に張り巡らされたフィルムや、並列重ね状態の第1収納容器および第2収納容器の外接形状を備えた容器本体の内面が挙げられる。
【0007】
本発明の吐出容器であって、容器本体内を圧縮空間と加圧空間とに区画するピストンを有し、前記加圧手段が加圧空間内に収容される加圧剤または弾性部材であり、前記圧縮空間内に第1収納容器および第2収納容器が収容され、前記第1収納容器の第1底部および第2収納容器の第2底部がピストンに押圧されて、前記第1収納容器および第2収納容器は並列重ね状態で上下に伸縮するものが好ましい。
本発明の吐出容器の加圧手段としては、前記容器本体内に充填された加圧剤が好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吐出容器は、容器本体と、その容器本体内に収容され、上下方向に伸縮する第1蛇腹部を備えた第1収納容器と、その容器本体内に収容され、上下方向に伸縮する第2蛇腹部を備えた第2収納容器と、前記第1収納容器および第2収納容器を加圧する加圧手段と、容器本体の開口部を閉じ、第1収納容器と外部とを連通する第1通路と第2収納容器と外部とを連通する第2通路とを備えたバルブ機構とを有し、前記第1収納容器と第2収納容器は、前記第1蛇腹部の谷部に前記第2蛇腹部の山部が挿入され、前記第2蛇腹部の谷部に前記第1蛇腹部の山部が挿入された並列重ね状態で上下に伸縮するため、外部と連通する通路を片側のみ開放しても容器本体内に収容された収納容器が一つだけ傾いたり、一つだけ収縮度が異なったりすることがない。そのため、収納容器に充填される内容物を一定の吐出比率で最後まで吐出することができる。
【0009】
本発明の吐出容器であって、前記並列重ね状態を保持するように第1収納容器および第2収納容器の外周を支持する筒体を備えた場合、一層安定して複数の内容物の吐出比率を一定に吐出させることができる。前記筒体として、並列重ね状態の第1収納容器および第2収納容器の外周に張り巡らされたフィルムを採用する場合、簡単に組み立てることができる。前記筒体として、並列重ね状態の第1収納容器および第2収納容器の外接形状を備えた容器本体の内面とする場合、容器本体内を小さくすることができ、容器本体内の空間を有効に利用することができる。
【0010】
本発明の吐出容器であって、容器本体内を圧縮空間と加圧空間とに区画するピストンを有し、前記加圧手段が加圧空間内に収容される加圧剤または弾性部材であり、前記圧縮空間内に第1収納容器および第2収納容器が収容され、前記第1収納容器の第1底部および第2収納容器の第2底部がピストンに押圧されて、前記第1収納容器および第2収納容器は並列重ね状態で上下に伸縮する場合、第1収納容器の底部および第2収納容器の底部を同時に安定して押圧することができるため、一層信頼性の高い吐出容器となる。
本発明の吐出容器の加圧手段が前記容器本体内に充填された加圧剤である場合、均等に第1収納容器の底部および第2収納容器の底部を押圧することができる。特に、ピストンを設けた吐出容器の場合、同じ力で同時に両底部を押圧できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1の2液用の吐出容器10は、容器本体11と、容器本体11内を圧縮空間S1と加圧空間S2とに区画するピストン12と、圧縮空間S1内に収容され、上下方向に伸縮する蛇腹状の胴部(第1蛇腹部)13aを備えた第1収納容器13と、圧縮空間S1内に収容され、上下方向に伸縮する蛇腹状の胴部(第2蛇腹部)14aを備えた第2収納容器14と、第1収納容器13および第2収納容器14の外周に張り巡らされたフィルム15と、加圧空間S2に収容され、第1収納容器13の底部13bおよび第2収納容器14の底部14bをピストン12を介して加圧する加圧剤Pと、容器本体11の開口部を閉じ、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14と外部とを連通する通路を開閉するバルブアッセンブリ16とを有している。
第1収納容器13と第2収納容器14は、第1蛇腹部(第1収納容器の胴部13a)の谷部13a2に第2蛇腹部(第2収納容器の胴部14a)の山部14a1が挿入され、第2蛇腹部の谷部14a2に第1蛇腹部の山部13a1が挿入された並列重ね状態で上下に伸縮する。
吐出容器10の第1収納容器13および第2収納容器14に、それぞれ第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填することにより、吐出製品となる。
【0013】
容器本体11は、底部11aを備えた硬質の円筒体であり、上端に半径方向外側に突出するフランジ部11bが形成されている。内径が一様となっている。しかし、ピストン12が摺動する範囲において内径が一様であれば、その形状は特に限定されるものではない。
容器本体11は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成樹脂から成形される。例えば、合成樹脂材料を押出成型にてプリフォームとし、さらにそのプリフォームを二軸延伸ブロー成型にて成形することができる。しかし、アルミニウム等の金属から成形してもよい。
【0014】
ピストン12は、上底12aを備えた硬質の筒状体であり、その上端に半径方向外側に突出した環状の羽根12bが形成されている。羽根12bは、下向きに延びた可撓性を有する部位である。ピストン12は、容器本体11の内面とシールを保ちながら摺動し、容器本体11内を圧縮空間S1と加圧空間S2に区画する。また羽根12bを備えているため、下方向への流体の流れを許し、上方向への流体の流れを阻止する逆止弁を構成する。上底12aは、第1収納部13の底部13bと第2収納部14の底部14bを同時に押圧できれば、その形状は特に限定されるものではない。同時に押圧できるように構成することにより、第1収納容器13および第2収納容器14の収縮度を一層正確に同じにすることができる。
ピストン12としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等の合成樹脂または、天然ゴム、合成ゴムなどのゴムから射出成型等で成形されるものが用いられる。
【0015】
第1収納容器13は、蛇腹状の胴部13aと、胴部13aの下端を閉じる底部13bと、胴部13aの上端に設けられた筒状のバルブ連結部13cとを備えている。第2収納容器14も、実質的に第1収納容器13と同じ構成を有し、胴部14a、底部14bおよびバルブ連結部14cを備えている。
第1収納容器13および第2収納容器14は、第1収納容器13の胴部13aの蛇腹の山部13a1が第2収納容器14の胴部14aの蛇腹の谷部14a2に挿入され、第2収納容器14の胴部14aの蛇腹の山部14a1が第1収納容器13の胴部13aの谷部13a2に挿入されている。つまり、
図1bに示すように、第1収納容器13および第2収納容器14は、胴部13aおよび胴部14aの一部が互いに重ねられた状態で並列に配置されている(並列重ね状態)。
【0016】
このように第1収納容器13および第2収納容器14は配置されているため、互いに拘束し合いながら伸縮する。つまり、2つの内容物A、Bを吐出し、第1収納容器13および第2収納容器14を収縮させるとき、一方または両方の収納容器が傾いたり、一方だけが収縮したりすることを防止する。そのため、第1収納容器13の底部13aおよび第2収納容器14の底部14aを同時にかつ同距離を移動させることができ、2つの内容物A、Bを常に一定の吐出量比率で吐出することができる。この実施形態では、第1収納容器13および第2収納容器14は、同じ内径を有しているため、2つの内容物A、Bの吐出量は同じとなる。
第1収納容器13および第2収納容器14は、ポリエチレン等のポリオレフィン、ナイロン等の軟質合成樹脂、天然ゴムや合成ゴムなどのゴムから成形される。例えば、合成樹脂材料を押出成型にて中空のホース上状に加工し、その後すぐにブロー成形にかけ蛇腹部を成形することができる。しかし、内容物を保管でき、上下方向に伸縮できる程度に可撓性を有するものであれば、特に限定されない。
【0017】
フィルム15は、並列重ね状態の第1収納容器13および第2収納容器14の外周に張り巡らされている。
このようにフィルム15を設けることにより、第1収納容器13または第2収納容器14の一方のみが傾くことを防止できる。詳しくは、一方の山部が他方の山部を乗り越えることがなく、2つの収納容器を並列重ね状態で保持できる。そのため、第1収納容器13および第2収納容器14を確実に並列重ね状態で伸縮させることができる。
フィルム15としては、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(フロロカーボン)等の熱収縮性を有する合成樹脂フィルムが用いられる。しかし、第1収納容器13および第2収納容器14を並列重ね状態で伸縮させることができれば、特に限定されない。
【0018】
バルブアッセンブリ16は、容器本体11の開口部を閉じるバルブホルダー21と、そのバルブホルダー21に保持されるエアゾールバルブ22と、エアゾールバルブ22をバルブホルダー21に固定し、かつ、バルブホルダー21を容器本体11に固定するカバーキャップ23とからなる。しかし、バルブアッセンブリ16は、容器本体11を閉じ、2つの内容物を通す通路を連通/遮断できるバルブ機構を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、このバルブアッセンブリ16は、2つのステムを備えているが、中心孔と同軸に設けられた筒状孔とからなる2液吐出用のステムを用いてもよい。また、2つの独立した通路を開閉するものでもよく、2つの内容物を合流させ、共通通路を開閉するものでもよい。
【0019】
バルブホルダー21は、筒状の栓部26と、その上端から外方に突出して設けられ、容器本体11の開口部を閉じる蓋部27とからなる。
栓部26は、容器本体11の開口部に沿った円筒体であり、その外周面にOリング25
を保持する環状凹部26aが形成されている。Oリング25は、容器本体11の開口部内面と環状凹部26aとの間で半径方向に圧縮され、容器本体11と栓部26との間をシールする。なお、バルブホルダー21と容器本体11のシール構造は、容器本体11の上端と蓋部27の外周端27aの間にシール材を設けることによって形成してもよい。またバルブホルダー21と容器本体11との間のシール構造を設けなくてもよい。その場合、圧縮空間S1が圧縮されることにより、圧縮空間S1から外部に排気され、ピストン12の動きがスムースになる。一方、この実施形態のようにバルブホルダー21と容器本体11との間をシールする場合、圧縮空間S1内を窒素等の不活性ガス等で充填させることができ、第1収納容器13および第2収納容器14内の内容物を安定に保管することができる。例えば、2液反応性の内容物、特に2液反応型の染毛剤を収容するときに好ましい。なお、バルブホルダー21と容器本体11との間をシールする場合、ピストン12が上方に移動することにより、圧縮空間S1内の圧力が多少上がるが、加圧空間S2内の圧力を調整することにより、内容物を最後まで吐出させることができる。
蓋部27は、上下に貫通するように形成され、エアゾールバルブ22を受け入れる2つの筒状のホルダー部28が形成されている。蓋部27の外周端27aは、容器本体11の開口部上端に配置される。2つのホルダー部28は、蓋部27の中心を軸に相対するように形成されている。
ホルダー部28は、外筒部28aと、内筒部28bと、それらの下端を連結する環状段部28cとからなり、環状段部28cの中心孔は内筒部28bより小径となっている。このホルダー部28内に、エアゾールバルブ22を挿入する。このホルダー部28の構造は、特に限定されるものではなく、エアゾールバルブ22に応じて設計される。
【0020】
エアゾールバルブ22は、第1収納部13または第2収納部14から送り出される内容物の流れを外部操作で制御するものである。その構造は特に限定されるものではない。このエアゾールバルブ22は、下部に第1収納容器13または第2収納容器14が連結される筒状のハウジング31と、そのハウジング31内に上下動自在に挿入されるステム32と、そのステムのステム孔32aを閉じるステムラバー33と、ステム32を常時上方に付勢するバネ34と、ステム32およびステムラバー33をハウジング31に固定するカバー35とからなる。カバー35の下端は、下方に真っ直ぐ延びており、ホルダー部28の外筒部28aと内筒部28bの間に挿入される。これにより、エアゾールバルブ22は、ホルダー部28内にしっかり係止される。
【0021】
カバーキャップ23は、バルブホルダー21およびエアゾールバルブ22を覆うカバー部36と、バルブホルダー21と容器本体11とを固定する円筒状の固定部37とからなる。
【0022】
この吐出容器10への加圧剤および内容物A、Bの充填方法は、容器本体11内にピストン12を収容し、加圧剤Pをピストン12の上方から充填する。このときピストン12の羽根部12bは下方への流体の流れを許す逆止弁の効果を奏するため、加圧剤Pをピストン12の下方の加圧空間S2に充填することができる。加圧剤Pの充填と同時に、第1収納容器13および第2収納容器14を連結させたバルブアッセンブリ16で容器本体11の開口部を閉じる。ついで、エアゾールバルブ22のステム32を開き、第1収納容器13および第2収納容器14内を排気する。最後に、それぞれのステム32から加圧剤の圧力に抗しながら第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填する。
【0023】
この吐出容器10に内容物A、Bを充填した吐出製品の2つのステム32を同時に押す押ボタン30(
図1の想像線)を用いて、2つのステム32を押し下げ、両エアゾールバルブ22を開放することにより、加圧剤Pによって加圧されて両内容物A、Bを同時に吐出する。つまり、両エアゾールバルブ22が開放されることにより、加圧空間S2内の加圧剤Pがピストン12を上方に押圧し、そのピストン12の上底12aと当接している第
1収納容器13の底部13bおよび第2収納容器14の底部14bが上方に移動する。それにより、第1収納容器13の胴部(第1蛇腹部)13aおよび第2収納容器14の胴部(第2蛇腹部)14aが並列重ね状態で収縮する。それと共に両内容物A、Bがエアゾールバルブ22のステム32から押ボタン30を経由して外部に吐出される(
図2参照)。
このとき、第1収納容器13と第2収納容器14とが並列重ね状態で同一長さ収縮するため、それぞれの容器の吐出通路の抵抗が異なっていても、2つの内容物A、Bを常に一定の吐出量比率とすることができる。例えば、2つの内容物の粘度が異なる場合でも一定の吐出量比率とすることができる。また、押ボタン30等が傾いたりして第1収納部13または第2収納部14と連結したバルブの一方のみが開放される場合、開放されなかったバルブに連結された他方の収納容器が一方の収納容器の収縮を拘束し、一方の内容物のみが吐出されることがない。
なお、第1収納容器13と第2収納容器14の蛇腹部の山部と谷部を接着や溶着することで、より並列重ね状態が維持されるため一定の吐出量比率で吐出することができる。
【0024】
図3の吐出容器10aは、第1収納容器13の胴部13aと第2収納容器14の胴部14aの断面積(容積)が異なったものである。また、容器本体11とバルブホルダー21との間にシール構造を設けていないものである。そのため、ピストン12の上下動が
図1の吐出容器10よりスムースになる。また、収納容器には下から上へ向かう方向、つまり、蛇腹が上下に潰れる方向にのみ力がかかるため均等に吐出しやすい。この容器本体11は、底部11aに加圧剤充填用のガス弁11cが設けられている。ピストン12の側面には、羽根12bの代わりにOリング12cが設けられている。そのため、吐出容器10aを組み立てた後、ガス弁11cより加圧剤Pを充填し、エアゾールバルブ22のステム32よりそれぞれ内容物A、Bを充填できる。
この吐出容器10aは、第1内容物A、Bをそれぞれの収納容器の胴部の断面積の比率に応じて吐出する。2液の混合比率が異なる2液混合型の内容物を用いるときに好ましい。このように2つの収納容器の蛇腹部の断面積を変えることにより、吐出量比率は調整できる。なお、吐出量に応じてエアゾールバルブ22の通路の断面積(例えば、ステム32の孔径等)も調整する。他の構成は、
図1の吐出容器10と同じである。
【0025】
図4aの吐出容器40は、収納容器の並列重ね状態を保持するフィルムの代わりに、容器本体41を楕円形状としたものである(
図4b参照)。詳しくは、容器本体41と、容器本体41内を圧縮空間S1と加圧空間S2とに区画するピストン42と、圧縮空間S1内に収容される第1収納容器13と、圧縮空間S1内に収容される第2収納容器14と、加圧空間S2に収容され、第1収納容器13の底部13bおよび第2収納容器14の底部14bをピストン42を介して加圧する加圧剤Pと、容器本体41の開口部を閉じ、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14と外部とを連通する通路を開閉するバルブアッセンブリ43とを有している。第1収納容器13および第2収納容器14は、
図1の吐出容器と実質的に同じものであり並列重ね状態で収容されている。
吐出容器40の第1収納容器13および第2収納容器14に、それぞれ第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填することにより、吐出製品となる。
【0026】
容器本体41は、底部41aを備えた硬質の楕円筒体である(
図4b参照)。上端内面にバルブアッセンブリ43を受け入れる段部41bが形成されている。そして、底部41aの中央に加圧剤を充填するための加圧剤充填用のガス弁41cが設けられている。容器本体41も内面形状は、並列重ね状態の第1収納容器13および第2収納容器14の外接楕円の外面形状より若干大きい形状となっている。この内面形状で、第1収納容器13および第2収納容器14の並列重ね状態を保持する。このような容器本体41は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成樹脂から成形される。
【0027】
ピストン42は、楕円形の上底42aを備えた硬質の楕円筒体である。ピストン42の
側面には、羽根の代わりにOリング42cが設けられている。Oリング42cは、容器本体41の内面とシールを保ちながら摺動し、容器本体41内を圧縮空間S1と加圧空間S2に区画する。上底42aで第1収納容器13の底部13bおよび第2収納容器14の底部14bを押圧するものである。
【0028】
バルブアッセンブリ43は、容器本体41の開口部を閉じるバルブホルダー46と、そのバルブホルダー21に保持されるバルブ機構47と、バルブ機構47をバルブホルダー46に固定し、かつ、バルブホルダー46を容器本体41に固定する蓋部材48とからなる。
【0029】
バルブホルダー46は、楕円柱状であり、容器本体41の開口部に挿入される。バルブホルダー46の外縁46cが容器本体41の段部41bと係合する。そして、バルブホルダー46には、上下に貫通するように形成されバルブ機構47を受け入れる筒状のホルダー部46aが2つ形成されている。2つのホルダー部46aは、バルブホルダー46の短軸を中心に相対するように形成されている。ホルダー部46aには、バルブ機構47を支持する環状段部46bが形成されている。
バルブ機構47は、そのホルダー部46a内に上下動自在に挿入されるステム32と、そのステムのステム孔を閉じるステムラバー33と、ステム32を常時上方に付勢するバネ34とからなる。ステム32、ステムラバー33、バネ34は、
図1の吐出容器10のエアゾールバルブ22と実質的に同じものである。
蓋部材48は、楕円形状の平板であり、バルブホルダー46を覆うように容器本体41の開口部に挿入され、容器本体41の開口部と接着あるいは溶着されるものである。蓋部材48の短軸を中心に相対するようにステム連通孔48aが2つ形成されている。この蓋部材48の下面がバルブ機構47を支持する。
【0030】
この吐出容器40への加圧剤および内容物A、Bの充填方法は、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14に内容物A、Bを充填した状態でバルブアッセンブリ46に連結する。次いで、容器本体11内に、ピストン42を収容し、収納容器を連結させたバルブアッセンブリ46で容器本体11の開口部を閉じる。最後に、加圧剤充填用のガス弁41cから加圧剤を充填する。また、吐出容器40を組み立ててから、それぞれのステム32から内容物A、Bを充填し、加圧剤をガス弁41cから充填してもよい。
【0031】
この吐出容器40に内容物A、Bを充填した吐出製品も、2つのステム32を同時に押す押ボタン30(想像線)等を用いて、2つのステム32を押し下げ、両バルブ機構47を開放し、両内容物A、Bを同時に吐出する。そして、
図1の吐出容器10と同様に、第1収納容器13および第2収納容器14は並列重ね状態で収縮するため、2つの内容物A、Bを常に一定の吐出量比率とすることができる。
【0032】
図5の吐出容器50は、ピストンを用いないものである。詳しくは、容器本体11と、容器本体11内に収容される第1収納容器13と、容器本体11内に収容される第2収納容器14と、第1収納容器13および第2収納容器14の外周に張り巡らされたフィルム15と、容器本体内に収容される加圧剤Pと、容器本体11の開口部を閉じ、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14と外部とを連通する通路を開閉するバルブアッセンブリ16とを有している。容器本体11、第1収納容器13、第2収納容器14、フィルム15、バルブアッセンブリ16は、いずれも
図1の吐出容器10と同じものである。そして、第1収納容器13と第2収納容器14は、並列重ね状態で上下に伸縮する。この吐出容器50は、容器本体11内に加圧剤Pが収容されているため、容器本体11とバルブホルダー21との間のシール構造(Oリング25)が必須となる。
このようにピストン12を用いなくても第1収納容器13および第2収納容器14は、蛇腹状の胴部13a、14aを備えているため、容器本体11内に収容された加圧剤によ
って、半径方向の収縮より上下方向の収縮が優先的に行われる。そのため、収納容器の半径方向の収縮が行われないように、収納容器を適度の硬度を有する材料で成形するのが好ましい。
【0033】
この吐出容器50への加圧剤および内容物A、Bの充填方法は、それぞれ第1収納容器13および第2収納容器14に内容物A、Bを充填した状態でバルブアッセンブリ16に連結する。次いで、収納容器を連結させたバルブアッセンブリ46で、容器本体11の開口部を閉じる直前に、加圧剤を充填する。最後に、バルブアッセンブリ16のカバーキャップをカシめる。なお、内容物を充填していない収納容器を連結させたバルブアッセンブリ46で、容器本体11の開口部を閉じる直前に加圧剤を充填し、カバーキャップをカシめた後、ステム32から内容物を充填してもよい。
【0034】
この吐出容器50も、吐出容器10と同様に、第1収納容器13および第2収納容器14を並列重ね状態で収縮させるため、2つの内容物の吐出量を一定にできる。しかし、ピストンを備えていないため、
図1の吐出容器10より若干精度が低くなる。さらに、第1収納容器13および第2収納容器14の断面積の和は、ピストン12の面積より小さいため、圧縮させる力が弱くなる。
【0035】
図1〜
図5の吐出容器は、全て2液を同時に吐出するものであるが、本発明は2液吐出用の吐出容器に限定されるものではない。容器本体内に3つ以上の収納容器を収容し、バルブアッセンブリのエアゾールバルブあるいはバルブ機構を3つ以上設けることにより、3液以上の内容物を吐出できる吐出容器とすることができる。
図1〜5の吐出容器の収納容器は、全て円筒状であるが、多角形であってもよい。特に、
図6aに示すように第1収納容器13および第2収納容器14を四角形とする場合、2つの収納容器の蛇腹部の係合面積を大きくすることができ、好ましい。その場合、
図6bに示すように、容器本体11の形状を並列重なり状態の2つの収納容器の外接形状に合わせることにより、効率よく内容物を収容することができる。また、2つの収納容器を異なる形状(例えば、四角と三角など)としてもよい。これらは、収納容器の外接形状と容器本体の内面との間で、適宜選択することができる。
図1〜4のピストンを備えた吐出容器の加圧空間内に加圧剤の代わりにバネ等の弾性体を用いてもよい。加圧空間S2内に加圧剤を用いるとき、加圧空間内にピストンの押圧力を一定とするレギュレータ機構を設けてもよい。