(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-88596(P2016-88596A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/40 20060101AFI20160418BHJP
【FI】
B65D5/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-227121(P2014-227121)
(22)【出願日】2014年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100152249
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 晃一
(72)【発明者】
【氏名】浦野 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 正康
(72)【発明者】
【氏名】石井 斉
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA05
3E060AB04
3E060BC01
3E060CF02
3E060DA18
3E060EA03
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】 トップシールの完全性を図り漏れのおそれを無くした、一対の妻壁形成パネルを非対称とした切妻屋根形頂部を有する紙容器を得る。
【解決手段】 切妻屋根型の紙容器であって、切妻屋根形成パネル8,9の稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、切妻屋根形成パネル8,9間に折り込まれる一対の妻壁形成パネル12,13は非対称となっており、外側シールパネル6,7の対向面同士のシールは、折り込まれた左右の内側シールパネル10,11を突き合わせたとき左右の内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿ってシールしている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、
前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールされていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、
前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールが施されていることを特徴とする紙容器。
【請求項3】
両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、
前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールが施されており、更に、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールされていることを特徴とする紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する切妻屋根型頂部を有する紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳カートンに代表される飲料用の紙容器として、
図5の展開図に示すような、両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネル1,2,3,4を備え、縦方向シールパネル5によって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、胴部パネル1,2,3,4の上端に、上部に帯状の外側シールパネル6,7を有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネル8,9と、外側シールパネル6,7よりも低い高さの帯状の内側シールパネル10,11を有し互いに対向する一対の妻壁形成パネル12,13が連設され、切妻屋根形成パネル8,9間に妻壁形成パネル12,13が折り込まれて、対向する外側シールパネル6,7の対向面同士が加熱・加圧シールされるとともに、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士もまた加熱・加圧シールされることによって切妻屋根型頂部14が形成され、開封時、妻壁形成パネル12を引き出して注出口とする紙容器が広く使用されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
外側シールパネル6,7の対向面同士の加熱・加圧シールと、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士の加熱・加圧シール(以下、トップシールともいう。)にあっては、充填機に備えられたトップシール装置に備えられた加熱装置で加熱された後に対向するトップシールジョーで両側から挟み込み加圧してシールしている。
【0004】
このような切妻屋根型頂部14を有する紙容器にあって、意匠的見地から、
図6に示すような、切妻屋根形成パネル8,9の稜線L1,L2が、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、切妻屋根形成パネル8,9間に折り込まれる一対の妻壁形成パネル12,13は非対称となっている紙容器が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−320712号公報
【特許文献2】特開2000−128159号公報
【特許文献3】意匠登録第1351401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載の紙容器では、トップシールは、外側シールパネル6,7の対向面同士と、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士を、充填機に備えられたトップシール装置に備えられた加熱装置で加熱された後に、対向するトップシールジョーで両側から挟み込み加圧してシールするが、対向する外側シールパネル6,7の対向面同士の加熱・加圧シールのための挟持枚数は2枚であり、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士の加熱・加圧シールのための挟持枚数は4枚であるため、その枚数に応じて、トップシールジョーの押圧面は、一方のトップシールジョーの押圧面に段差が形成され、他方のトップシールジョーの押圧面はフラット面となっている。そして、一方のトップシールジョーの押圧面に段差により形成された凸面と凹面の境界線は、対向する外側シールパネル6,7の間に折り込まれた左右の内側シールパネル10,11を突き合わせたときに上辺同士15,16が直線状になる形状(
図7参照。)にあわせて直線状となっている。
【0007】
特許文献3に記載の紙容器におけるトップシールにあって、特許文献1,2に記載の紙容器と同様に、外側シールパネル6,7の対向面同士と、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士を、対向するトップシールジョーで両側から挟み込み加圧してシールするに際し、切妻屋根形成パネル8,9間に一対の妻壁形成パネル12,13を折り込んだとき、切妻屋根形成パネル8,9の左右に位置する妻壁形成パネル12,13は非対称となっているため、左右の妻壁形成パネル12,13の反発力が異なり、対向する外側シールパネル6,7の間に折り込まれた左右の内側シールパネル10,11を突き合わせたときに上辺同士15,16が直線状にならず、左右の内側シールパネル10,11の上辺15,16間に段差が生じてしまう。このような状態から、トップシールジョーで加圧してシールを行うと、トップシールジョーの押圧面に形成された凸面と凹面の境界線は直線状となっているため、トップシールジョーの押圧面に形成された凸面によるシール部aが、内側シールパネル10,11を突き合わせたときに上辺15,16間の段差を生じさせる低い方の内側シールパネル11の上辺15迄及ばず、段差の部分の外側シールパネル6,7の対向面同士の加圧が弱くなり、ここが弱シール状トンネルbとなって液漏れが発生するおそれがあるといった問題がある(
図8参照。)。
更に、左右の内側シールパネル10,11を突き合わせたときに突き合わせ辺29,30が完全には正対せず、突き合わせ辺29,30間が縦トンネルdとなって液漏れの発生を助長するおそれがあるといった問題がある(
図8参照。)。
【0008】
本発明の目的は、トップシールの完全性を図り漏れのおそれを無くした、一対の妻壁形成パネルを非対称とした切妻屋根形頂部を有する紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールしていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、両面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて横断面が方形の筒状体に形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に帯状の外側シールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、前記外側シールパネルよりも低い高さの帯状の内側シールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、前記切妻屋根形成パネル間に前記妻壁形成パネルが折り込まれて、対向する前記外側シールパネルの対向面同士が加熱シールされるとともに、前記外側シールパネルと前記内側シールパネルとの対向面同士および前記内側シールパネルの対向面同士もまた加熱シールされることによって切妻屋根形頂部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする紙容器であって、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールし、更に、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の紙容器によれば、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールしているので、段差の部分の前記外側シールパネルの対向面同士も確実にシールされることになり、トップシール部からの液漏れの発生を防止することができる。
また、このようなシールは、従来の切妻屋根形頂部を有する紙容器のトップシールで使用されているトップシールジョーの押圧面に形成された凸面と凹面の境界線を左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に合わせるだけで対応でき、従来の充填機に備えられたトップシール装置をそのまま使用することができる。
【0013】
請求項2に記載の紙容器によれば、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施しているので、左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺の間が確実にシールされることになり、トップシール部からの液漏れの発生を防止することができる。
また、このようなシールは、従来の切妻屋根形頂部を有する紙容器のトップシールで使用されているトップシールジョーの押圧面に、前記左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺に前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施す凸状部を設けるだけで対応でき、従来の充填機に備えられたトップシール装置をそのまま使用することができる。
【0014】
請求項3に記載の紙容器によれば、前記切妻屋根形成パネルの稜線は、一端から他端側へ向かって下方に傾斜し、前記切妻屋根形成パネル間に折り込まれる一対の前記妻壁形成パネルは非対称となっており、前記外側シールパネルの対向面同士のシールは、折り込まれた左右の前記内側シールパネルを突き合わせたとき左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に沿ってシールしているので、段差の部分の前記外側シールパネルの対向面同士も確実にシールされることになり、更に、前記折り込まれた左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺には、前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施しているので、左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺の間が確実にシールされることとなり、トップシール部からの液漏れの発生を効果的に防止することができる。
また、このようなシールは、従来の切妻屋根形頂部を有する紙容器のトップシールで使用されているトップシールジョーの押圧面に形成された凸面と凹面の境界線を左右の前記内側シールパネルの上辺間に生じる段差に合わせるとともに、前記左右の前記内側シールパネルの突き合わせ辺に前記突き合わせ辺の一部を跨ぐように強圧シールを施す凸状部を設けるだけで対応でき、従来の充填機に備えられたトップシール装置をそのまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る紙容器の実施の形態の一例を示す一部省略斜視図である。
【
図2】
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す一部省略展開図である。
【
図3】対向する外側シールパネルの間に左右の内側シールパネルを折り込み突き合わせトップシールした状態を示す説明図である。
【
図4】本発明に係る紙容器のトップシールに使用される一対のトップシールジョーのうちの一方のトップシールジョーを示す押圧面側の正面図である。
【
図5】従来の紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す一部省略展開図である。
【
図6】左右の妻壁形成パネルが非対称となっている紙容器の一例を示す一部省略斜視図である。
【
図7】
図1のカートンブランクスで組み立てられる紙容器の、対向する外側シールパネルの間に左右の内側シールパネルを折り込み突き合わせた状態を示す説明図である。
【
図8】
図6に示す紙容器の、対向する外側シールパネルの間に左右の内側シールパネルを折り込み突き合わせ、従来のトップシール装置に備えられた対向するトップシールジョーでトップシールした状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る紙容器の実施の形態の一例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至
図3は本発明に係る紙容器の実施の形態の一例を示すものであり、
図1は本実施例の紙容器を示す一部省略斜視図、
図2は
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す一部省略展開図、
図3は対向する外側シールパネルの間に左右の内側シールパネルを折り込み突き合わせトップシールした状態を示す説明図である。
【0017】
本実施例の紙容器は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、胴部縦折線17,18,19,20を介して4つの胴部パネル1,2,3,4を備え、胴部パネル1に縦折線20を介して連接された縦方向シールパネル5によって胴部パネル1の縦縁が胴部パネル4の縦縁に接合されて横断面が方形の筒状体に形成されている。
【0018】
筒状体の対向する胴部パネル1,3の上端には、頂部横折線21,22を介して、上部に帯状の外側シールパネル6,7を有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネル8,9が連接されている。外側シールパネル6,7と切妻屋根形成パネル8,9との間には折線23,24が設けられている。
また、他の対向する胴部パネル2,4の上端には、頂部横折線25,26を介して、上部に外側シールパネル6,7よりも低い高さの帯状の内側シールパネル10,11を有し互いに対向する一対の妻壁形成パネル12,13が連設されている。内側シールパネル10,11と妻壁形成パネル12,13との間には折線27,28が設けられている。
【0019】
そして、一対の切妻屋根形成パネル8,9の間に一対の妻壁形成パネル12,13を折り込み、この折り込み動作に伴って内側シールパネル10,11も外側シールパネル6,7の間に折り込んで、対向する外側シールパネル6,7の対向面同士を加熱・加圧シールするとともに、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士を加熱・加圧シールして切妻屋根形頂部14を形成している。
【0020】
本実施例は、切妻屋根形成パネル8,9の上下に現れる稜線L1,L2となる頂部横折線25,26と折線23,24は、一端側にある一方の妻壁形成パネル12から他端側にある他方の妻壁形成パネル13へ向かって下方に傾斜しており、切妻屋根形成パネル8,9の左右に位置し、切妻屋根形成パネル8,9の間に折り込まれる一対の妻壁形成パネル12,13は非対称となっている。
このため、折り込まれた妻壁形成パネル12,13の反発力が異なり、外側シールパネル6,7の間に折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたときに上辺同士15,16が直線状にならず、左右の内側シールパネル10,11の上辺15,16間に段差が生じ、更に、左右の内側シールパネル10,11を突き合わせたときに突き合わせ辺29,30が完全には正対せず、突き合わせ辺29,30間が縦トンネルdとなって液漏れの発生を助長するおそれがある。
本実施例では、外側シールパネル6,7の対向面同士のシールは、折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたとき内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿ってシールし、更に、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施している(
図3参照。)。
【0021】
外側シールパネル6,7の対向面同士の加熱シールと、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士の加熱シールは、従来と同様に、充填機に備えられたトップシール装置に備えられた加熱装置で加熱された後に、対向する一対のトップシールジョーで両側から挟み込み加圧してシールしている。本発明に使用されるトップシールジョーは、
図4に示すように、一方のトップシールジョー31の押圧面に、外側シールパネル6,7の対向面同士を加圧する凸部32と、外側シールパネル6,7と内側シールパネル10,11との対向面同士および内側シールパネル10,11の対向面同士を加圧する凹部33が形成され、凸面32と凹面33の境界線34を内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差ラインに合わせた形状としている。さらに、凹面33には、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施す凸状部35が設けられている。他方のトップシールジョー(図示せず。)は、押圧面はフラット面となっている。
【0022】
このように構成した本発明に係る紙容器によれば、切妻屋根形成パネル8,9の左右に位置する妻壁形成パネル12,13は非対称となっているため、折り込まれた妻壁形成パネル12,13の反発力が異なり、外側シールパネル6,7の間に折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたときに上辺同士15,16が直線状にならず、左右の内側シールパネル10,11の上辺15,16間に段差が生じるが、外側シールパネル6,7の対向面同士のシールは、折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたとき内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿って十分な長さをもってシールしているので、段差の部分の外側シールパネル6,7の対向面同士も確実にシールされることになり、トップシール部からの液漏れの発生を防止することができる。
更に、切妻屋根形成パネル8,9の左右に位置する妻壁形成パネル12,13は非対称となっているため、折り込まれた妻壁形成パネル12,13の反発力が異なり、外側シールパネル6,7の間に折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたときに突き合わせ辺29,30が完全には正対せず、突き合わせ辺29,30間が縦トンネルdができるが、本実施例では、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施しているので、縦トンネルdが強圧シールcによって断絶され、内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の間が確実にシールされることになり、トップシール部からの液漏れの発生を防止することができる。
本実施例では、折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたとき内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿ってシールし、更に、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施しているので、より確実にシールすることができることとなり、トップシール部からの液漏れの発生を効果的に防止することができる。
【0023】
また、このようなシールは、従来の切妻屋根形頂部を有する紙容器のトップシールで使用されているトップシールジョーの押圧面に形成された凸面と凹面の境界線を前記左右の内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に合わせ、また、凹面には、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施す凸状部35を設けるだけで対応でき、従来の充填機に備えられたトップシール装置をそのまま使用することができる。
【0024】
なお、本発明に係る紙容器にあっては、本実施例では、折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたとき内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿ってシールし、更に、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように強圧シールcを施した構成となっているが、折り込まれた内側シールパネル10,11を突き合わせたとき内側シールパネル10,11の上辺15,16間に生じる段差に沿ったシールと、折り込まれた内側シールパネル10,11の突き合わせ辺29,30の一部を跨ぐように施した強圧シールcのいずれか一方のシールだけの構成であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
1,2,3,4 胴部パネル
5 縦方向シールパネル
6,7 外側シールパネル
8,9 切妻屋根形成パネル
10,11 内側シールパネル
12,13 妻壁形成パネル
14 切妻屋根型頂部
15,16 上辺
17,18,19,20 胴部縦折線
21,22 頂部横折線
23,24 折線
25,26 頂部横折線
27,28 折線
29,30 突き合わせ辺
31 トップシールジョー
32 凸面
33 凹面
34 境界線
35 凸状部
L1,L2 稜線
a シール部
b 弱シール状トンネル
c 強圧シール
d 縦トンネル