【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
チャフロサイドを配合した水性組成物として特許文献1には、組成物100g中に0.05gの割合でチャフロサイドを配合した組成物、特許文献2には、組成物100g中0.01gの割合でチャフロサイドを配合した組成物が開示されている。
一方で本発明者らが確認したところ、チャフロサイドの水に対する溶解度は極めて低く、チャフロサイドAの場合には、可溶化剤である炭酸ナトリウムを用いて溶解させた場合であっても、0.002質量%程度であった。すなわち、特許文献1及び2に記載の組成物では、チャフロサイドは配合されているものの可溶化されていない状態であり、チャフロサイド含有組成物として安定であるとは言い難いものであった。
本発明では、このように水溶液に対する溶解度が極めて低いチャフロサイドを高濃度で含有する組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、チャフロサイドを高濃度で含有する新たな組成物を提供すべく、研究を進めた結果、チャフロサイドの前駆体であれば水溶液に対し高い溶解度を示すという知見
を得、高濃度のチャフロサイド前駆体を含む水溶液を調製した後に、チャフロサイド前駆体をチャフロサイドに変換させることで、可溶化剤を用いることなく、チャフロサイドが高濃度で含まれる新たな組成物を提供できることを見出した。
【0010】
本発明の第一の実施態様は、下記一般式(1)又は(2)で表されるチャフロサイドを、組成物中に0.01質量%以上50質量%以下含有する、組成物である。
【0011】
【化1】
【化2】
(上記一般式(1)及び(2)中、R
1、R
2、及びR
3は独立して水素原子又は水酸基を表す。)
【0012】
本実施態様では、組成物中に実質的に可溶化剤を含まないことが好ましい。
また前記組成物は、化粧料組成物であること、食品組成物であること、医薬組成物であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の第二の実施態様は、チャフロサイドを高濃度で含有する組成物の製造方法である。
一般式(1)又は(2)で表されるチャフロサイドの前駆体を、水性溶媒中に0.02質量%以上70質量%以下含有する前駆体含有水溶液を調製するステップ、及び
前記調製された前駆体水溶液を80℃以上200℃以下で加熱する加熱ステップ、を含む、チャフロサイド含有組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、組成物中にチャフロサイドを高濃度で含有させることができるため、チャフロサイドの有効成分としての効果を高めることが可能となる。また、好ましい態様では、チャフロサイドを高濃度で含有し、かつ安定した組成物を得ることが可能となる。
そのため、本発明に係る組成物は、化粧料組成物、食品組成物、医薬組成物に好適に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の組成物について説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の具体的な実施形態にのみ限定されるものではない。
【0016】
本発明の第一の実施態様に係る組成物はチャフロサイドを高濃度で含有するものである。
チャフロサイドは、水などの水性溶媒に対し溶解性が低く、チャフロサイドを単離してから溶解させても、高濃度の組成物は得られなかった。本発明の第一の実施態様では、従来達成できなかった、チャフロサイドを高濃度で含有する組成物に関するものである。
【0017】
<チャフロサイド>
本発明の実施態様において、チャフロサイドとは下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の総称である。
【0019】
上記一般式(1)及び(2)中、R
1、R
2、及びR
3は独立して水素原子又は水酸基
を表す。上記一般式(1)に含まれる化合物として代表的なものは、以下の式(1A)に示すチャフロサイドAがあり、上記一般式(2)に含まれる化合物として代表的なものは、以下の式(2A)に示すチャフロサイドBがある。
【0021】
上記一般式(1)及び(2)で表されるチャフロサイドは、水性溶媒に対する溶解度が著しく低い。チャフロサイドの水に対する溶解度は極めて低く、25℃1atmの水に対し、可溶化剤である炭酸ナトリウムを用いた場合であっても、0.001質量%程度とされている。なお、後述する試験例において本発明者らが溶解度を確認したところでは、チャフロサイドAが20mg/L(0.002質量%)、チャフロサイドBが10mg/L(0.001質量%)であった。
【0022】
第一の実施態様に係る組成物では、従来達成できなかった、チャフロサイドを高濃度で含有する組成物を提供できる。そのため、有効成分の溶解に用いる可溶化剤を実質的に含まないことが好ましい態様である。
可溶化剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のアルカリ性成分が挙げられる。
また、可溶化剤を実質的に含まないとは、可溶化効果が出る程度に可溶化剤を組成物中に含まないことを意味し、通常、組成物中に可溶化剤が3質量%以下であり、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましくは可溶化剤を含まな
い態様である。
【0023】
第一の実施態様に係る組成物は、以下の方法により製造することができる。以下に示す組成物の製造方法は、本発明の第二の実施態様である。
本発明の第二の実施態様は、一般式(1)又は(2)で表されるチャフロサイドの前駆体を水性溶媒に0.02質量%以上70質量%以下含有する前駆体含有水溶液を調製するステップ、及び前記調製されたチャフロサイド前駆体含有水溶液を80℃〜200℃で加熱する加熱ステップ、を含む。
【0024】
<調製ステップ>
調製ステップは、上記チャフロサイドの前駆体を水性溶媒に高い濃度で溶解させ、前駆体含有水溶液を調製するステップである。チャフロサイドの前駆体としては、例えば特許文献2(国際公開2010/076879パンフレット)に開示されている硫酸化C−配糖体などがあげられる。硫酸化C−配糖体は、特許文献2にその製造方法が開示されており、これらに沿って製造できる。チャフロサイドの前駆体は、イソビテキシン−2硫酸化体、及びビテキシン−2硫酸化体であることが好ましい。
【0025】
水性溶媒は、例えば水、アルコール、水・アルコール混合物、などが挙げられる。これらの水性溶媒にチャフロサイドの前駆体を所定量含有させることで、チャフロサイド前駆体含有水溶液を調製してもよい。また別の方法としては、水性溶媒の代わりに植物水性エキスを用い、該エキスにチャフロサイドの前駆体を所定量含有させることで、チャフロサイド前駆体含有水溶液を調製してもよい。
【0026】
植物水性エキスは、植物を水、熱水、又はこれらにアルコールを加えたものなどで抽出したエキスであり、植物水性エキスにチャフロサイドの前駆体を加えることで、植物エキスが本来有する効能に加え、チャフロサイドが有する効能を併せ持つ組成物を調製できる。
加えて、植物水性エキスを用いてチャフロサイド前駆体含有水溶液を調製し、加熱することで、チャフロサイド前駆体をチャフロサイドに変換すると、チャフロサイド高濃度含有組成物が安定となる。植物水性エキスにチャフロサイドの前駆体を加える方法で前駆体含有水溶液を調製することで、調製後のチャフロサイド高濃度含有組成物が安定となる理由は定かではないが、植物水性エキス内に存在する化合物、例えばチャフロサイドと物理化学的な性質や挙動が類似した化合物との間で何らかの相互作用が働いているのではないかと、本発明者らは推定する。
植物水性エキスとしては、生茶葉、緑茶用茶葉、焙じ茶用茶葉、紅茶用茶葉、ウーロン茶葉などの茶葉から抽出したエキスであることが好ましい。
【0027】
チャフロサイドは水性溶媒に対し溶解度が極めて低いが、チャフロサイドの前駆体は水性溶媒に対して溶解度が高い。そのため本実施態様の調製ステップでは、チャフロサイドの前駆体をリッチに含有させることが可能であり、水性溶媒に0.02質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上含有させ、一方上限は限定されないが、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有させる。
チャフロサイドの前駆体は、加熱ステップによりチャフロサイドへ変換する変換率が概して50%〜85%程度であるため、所望のチャフロサイド組成物濃度から逆算して、チャフロサイドの前駆体の含有量を調整できる。
【0028】
上記濃度でチャフロサイドの前駆体が含有された溶液は、好ましくはpH3〜8、より好ましくはpH5〜7に調整することが好ましい。該pHの範囲に調整することでチャフロサイドを高い収率で効率的に得ることができる。pHを調整する方法は既知の方法を適
宜採用することができ、クエン酸、リン酸などのpH調整剤を添加すればよい。
【0029】
<加熱ステップ>
加熱ステップは、上記ステップで調製した溶液を加熱するステップである。加熱条件は、そのチャフロサイド前駆体の種類により適宜設定すればよく、前駆体がイソビテキシン硫酸化体、またはビテキシン硫酸化体である場合、通常80℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは110℃以上150℃以下で加熱すればよい。加熱時間は通常1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上であり、通常1時間以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下である。上記範囲とすることで、短時間で処理が可能となり、加えて副生成物の生成を防ぐことができるため、目的の組成物を効率的に得られる。
【0030】
本実施態様により、チャフロサイド前駆体を水性溶媒に高濃度で溶解させ、好ましくはpH3〜8、より好ましくはpH5〜7の条件下で熱処理を行い、チャフロサイド前駆体をチャフロサイドに変換することで、0.01質量%以上のチャフロサイドを含有する、チャフロサイド高濃度含有組成物を達成できる。
本実施態様の組成物は、このようにチャフロサイドを高濃度、具体的には0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、最も好ましくは1質量%以上含有するため、チャフロサイドの有効成分としての効果を高めることが可能となる。そのため、化粧料組成物、食品組成物、医薬組成物へと、好適に適用が可能である。
一方チャフロサイド含有量の上限の限定はないが、現実的には50質量%以下であり、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0031】
本発明の実施態様に係る組成物が化粧料に適用される場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤形や用途についても、何ら限定されない。以下、化粧料に適用される場合、化粧料中に含有させることができる成分について説明する。
【0032】
有効成分としては、美白成分、抗炎症成分、植物エキス等が挙げられる。なお、上記説明した紫外線ダメージ抑制剤、近赤外線ダメージ抑制剤と重複してもよい。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。これらの美白成分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジンはWO2010/074052号パンフレットに、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸はWO2010/058730号パンフレットに、その合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0033】
植物抽出エキスとしては、一般的に医薬品、化粧料等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガド
エキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
化粧料中における植物抽出エキスの含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0034】
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0035】
油性成分としては、極性油、揮発性炭化水素油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリ
ン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
【0036】
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチル メトキシシンナメート等も挙げられる。
【0037】
また、天然油として、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0038】
揮発性炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
【0039】
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、
ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
【0040】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
【0041】
増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガ
ム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
【0042】
粉体類としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、が挙げられる。
【0043】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、等が挙げられる。
【0044】
また、化粧料として適用される場合の剤型は、通常知られているローション剤形、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。
【0045】
医薬としては、本実施態様に係る組成物を公知の医薬用担体と共に製剤化することにより調製される。例えば、経口液状製剤として、またはエキス、粉末などに加工して、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤,散剤などの経口固形製剤として投与できる。薬学的に許容できる担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、賦形剤、懸濁化剤、結合剤などとして配合される。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色料、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
【0046】
食品としては、本実施態様に係る組成物を、一般に用いられている飲食物素材及び飲食物製造上に許容される担体と配合し、飲料、菓子類、パン、麺類、大豆加工品、乳製品、卵加工品、練り製品、油脂又は調味料などとして提供することができる。
【0047】
本発明において飲料とは、ウーロン茶ドリンク、他の茶ドリンクと混合した茶ドリンク、炭酸飲料、果実飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、豆乳およびワイン、焼酎、ウィスキー、清酒などの酒類などをいう。
本発明において菓子類とは、ビスケット類、チョコレート類、キャンデー類、チューインガム類、スナック菓子類、油菓類、洋生菓子顆、和菓子類、アイスクリーム類、ゼリー菓子などをいう。
大豆加工品には豆腐などが含まれ、乳製品にはヨーグルト、バターなどが含まれる。卵加工品には卵焼、茶碗蒸しなどが含まれ、練り製品にはかまぼこなどが含まれる。調味料
にはソース、ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけなどが含まれる。これらは常法により製造することができる。
【0048】
飲食物製造上許容できる担体としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、フラクトオリゴ糖、アスパルテーム、ソルビトール、ステビアなどの甘味料;赤キャベツ色素、ぶどう果皮色素、エルダベリー色素、カラメル、クチナシ色素、コーン色素、サフラン色素、カロチンなどの着色料;ペクチン分解物、安息香酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル類、ソルビン酸カリウムなどの保存料;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、繊維素グリコール酸カルシウム、繊維素グリコール酸ナトリウムなどの糊料;L−アスコルビン酸、トコフェロール、エリソルビン酸、ルチンなどの酸化防止剤;硫酸第一鉄、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの発色剤;亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムなどの漂白剤;プロピレングリコールなどの品質保持剤;L−システイン塩酸塩、ステアリル乳酸カルシウムなどの品質改良剤;塩化アンモニウム、d−酒石酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ミョウバンなどの膨張剤;レシチン、スフィンゴ脂質、植物性ステロール、大豆サポニン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルカゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの乳化剤、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどの乳化安定剤;レモン油、ユーカリ油、はっか油、バニラ抽出物、オレンジ油、ガーリック油、アセト酢酸エチル、アニスアルデヒド、エチルバニリン、ケイ皮酸、酢酸シトロネリル、シトラール、バニリン、酪酸ブチル、エステル類などの着香料;L−アスコルビン酸、L−アスパラギン、L−アラニン、イノシトール、L−グルタミン、カロチン、トコフェロール、ビタミンA、葉酸、クエン酸鉄、ヘム鉄、未焼成カルシウムなどの強化剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、二酸化塩素などの小麦粉改良剤;サラシ粉、過酸化水素、次亜塩素酸などの殺菌料;アセチルリシノール酸メチル、エステルガム、酢酸ビニル樹脂、ポリイソブチレン、ポリブテンなどのチューインガム基礎剤、D−マンニットなどの粘着防止剤;酸性ピロリン酸ナトリム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウムなどの結着剤;アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、d−酒石酸、乳酸、dl−リンゴ酸などの酸味料;魚介エキス、酵母エキス、コンブエキス、しょうゆ、トマトピューレ、肉エキス、みりん、果実ピューレ、かつおぶし、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−アルギニン、L−グルタミン酸塩、5’−イノシン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、コハク酸、L−酒石酸、乳酸ナトリウムなどの調味料などがある。
【実施例】
【0049】
(標準化合物の調製)
チャフロサイドA及びチャフロサイドB、並びに同じフラボンC配糖体である、イソビテキシン及びビテキシンを定量するため、以下の方法にて、当該4化合物を得た。
やぶきた茶の茶葉に50%メタノール水溶液を加え、80℃で1時間処理した抽出物をダイヤイオンHP−20(三菱化学製)に供し、得られた分画SephadexLH-20カラム(ファルマシア社製)にて精製し、チャフロサイドA、チャフロサイドB、イソビテキシン及びビテキシンを得た。
【0050】
<試験例>
LC-MS/MS(API3000 system、 Applied Biosystems製)を用いて、上記調製した標準化合物を用いた検量線により、以下の溶液の溶解度を求めた。水及び炭酸ナトリウム4mM水溶液にチャフロサイドA、チャフロサイドB、イソビテキシン及びビテキシンをそれぞれ溶解し、1L当たりに溶解可能な量を測定した。
【0051】
【表1】
【0052】
表1の結果から、フラボンC配糖体の水への溶解度は総じて低く、その中でもチャフロサイドA、チャフロサイドBの水への溶解度は、同じフラボンC配糖体であるイソビテキシン及びビテキシンの溶解度と比較して、著しく低いことが理解される。
【0053】
<実施例>
(やぶきた茶抽出液の調製)
焙じ茶用茶葉であるやぶきた茶の茶葉50gに対して50%メタノール水溶液を1L加え、80℃で1時間処理することで、やぶきた茶の熱水抽出液を得た。
【0054】
(チャフロサイド高濃度含有組成物の調製)
上記調製したやぶきた茶抽出液1Lに、イソビテキシン硫酸体、及びビテキシン硫酸化体それぞれ1g添加し、pH6.2とした後、125℃で20分間加熱することで、チャフロサイド高濃度含有組成物を得た。試験例と同様にして、組成物中のチャフロサイドA、チャフロサイドBの溶解度を測定し、結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
本実施例の結果より、チャフロサイドA及びBを合計で1質量%以上含有する、チャフロサイド高濃度含有組成物が調製できることが理解できる。チャフロサイド高濃度含有組成物の調製において、チャフロサイド前駆体であるイソビテキシン硫酸体、及びビテキシン硫酸化体の添加量を増大することで、更なるチャフロサイド高濃度含有組成物が調製できる。
また、上記実施例で調製したチャフロサイド高濃度含有組成物を、調製後10日後に確認したところ、溶解したチャフロサイドが析出することなく、経時的に安定な組成物であった。