特開2016-89327(P2016-89327A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016089327-サイクリングジャケット 図000003
  • 特開2016089327-サイクリングジャケット 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-89327(P2016-89327A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】サイクリングジャケット
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/04 20060101AFI20160418BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20160418BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20160418BHJP
   A41D 31/00 20060101ALI20160418BHJP
【FI】
   A41D1/04 D
   A41D1/04 G
   A41D13/002
   A41D13/05 125
   A41D31/00 501A
   A41D31/00 502A
   A41D31/00 503F
   A41D31/00 503G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-212010(P2015-212010)
(22)【出願日】2015年10月28日
(31)【優先権主張番号】14191043.0
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514142120
【氏名又は名称】アソス オブ スウィツァーランド エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー マイアー
【テーマコード(参考)】
3B011
3B031
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB16
3B011AC13
3B011AC21
3B031AA01
3B031AB01
3B031AB12
3B031AB13
3B031AB15
3B031AC02
3B031AC14
3B031AD02
3B031AE01
(57)【要約】
【課題】必要な場合のみ使用され得る組み込まれた風防防護システムを有するサイクリングベストを提供する。
【解決手段】内部に固定された組み込まれた風防パネル(5)を含むサイクリングジャケット又はベスト(1)であって、当該パネルは収容ポケット(4)の内側に折り畳み可能であり、使用のための位置において、使用者の胴部を防護するために、実質的にジャケット又はベストの前部の内部裏地として配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクリングベスト(1)であって、前記サイクリングベストの内側に固定され、かつ前記サイクリングベストの内部収容ポケット(4)の内側に折り畳み可能な風防パネル(5)を備え、前記風防パネル(5)は、前記内部収容ポケットから取り出されて広げられた使用のための位置にある場合、前記サイクリングベストの前部の内部裏地として配置され、使用者の胴部を覆うためのサイズを有する、サイクリングベスト。
【請求項2】
前記風防パネル(5)の端部分(6)のみが、前記サイクリングベストの内側に固定される、請求項1に記載のサイクリングベスト。
【請求項3】
前記サイクリングベストの内側に固定された前記端部分(6)は、前記風防パネルの角部分である、請求項2に記載のサイクリングベスト。
【請求項4】
前記風防パネル(5)は、前記内部収容ポケット(4)の領域内でのみ前記サイクリングベストの内側に固定される、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のサイクリングベスト。
【請求項5】
前記風防パネル(5)は、風防材料の薄いシートの形態である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のサイクリングベスト。
【請求項6】
前記風防パネルの材料は、100g/m以下の重量を有する、請求項4に記載のサイクリングベスト。
【請求項7】
前記風防パネルの材料は、約50g/mに等しい重量を有する、請求項6に記載のサイクリングベスト。
【請求項8】
前記風防パネルは、ポリアミド、ポリエステル、又はこれらの混合物で作られた、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載のサイクリングベスト。
【請求項9】
ジッパーで形成された前閉鎖部分(3)を有する、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のサイクリングベスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイクリング衣料の分野に関し、特に、サイクリングジャケット又はベストに関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリングのために使用される衣料の分野において、広範な気候条件を対象とした衣料が存在する。しかし、一定の気候条件を仮定した場合でさえ、走行する道路の性質(例えば上り坂又は下り坂)、速度、及び風への露出に応じて、熱的なストレスは実質的に異なり得る。
【0003】
代表的な例は、上り坂及び下り坂の区間を含む混合した道路条件にある。上り坂をサイクリングする場合、サイクリストは努力の結果として熱くなる傾向があり、速度が低下し、大量に汗をかくが、下り坂を走行する場合、代わりにサイクリストは外気による突然の強い冷却にさらされる。この冷却効果は、高速の下り坂のため、更にいっそう感じられる。最も多くさらされる身体の部分は胴部であり、これは空気に直接さらされる表面積が広いため、及び寒さに対する感受性が手足より強いためである。
【0004】
通常の穏やかな日中の、例えば上り坂のサイクリングには、好ましくは半袖のベストを含む軽衣料が必要とされ、下り坂を走行する場合は、少なくとも胴部について、より大きな防護が必要である。
【0005】
従来技術によっては、この問題に対する実際的な解決法は提供されていない。
【0006】
ベストの内側に全面的に裏地を付けた内部風防膜を備えるサイクリングベスト(「膜ベスト(membrane vests)」として知られる)が知られている。しかしそれらは低温のみに適しており、それ以外の場合、それらは熱すぎ、サイクリストが上り坂で強度の努力を行っている場合は不快になる。
【0007】
上り坂及び下り坂の区間を有する混合した道路条件に対処するためにサイクリストによって一般に使用される解決法は、軽量のベストを着用し、必要に応じて使用するための風防ジャケットを携行するというものである。従って例えば、坂の頂上に到達したら、サイクリストは、下り坂区間に向かう前に風防ジャケットを着用する。しかしこの解決法はあまり実際的ではない。風防ジャケットを着用することは時間を要し、サイクリストの注意をそらし、更に風防ジャケットは、使用されていない場合は嵩張る。
【0008】
これらの問題は、アマチュアのサイクリストに影響を及ぼし、競技サイクリングを実践するサイクリストには更に一層影響を及ぼす。競技レースの間、坂の頂上に到達した後にジャケットを着用することは時間のロスをもたらす可能性がある。なぜならサイクリストは、他のサイクリストによって距離をあけられないように、下り坂区間への取り組みに直ちに集中しなければならないからである。
【0009】
サイクリストの中には、現在でも、胸を風から防護するためにベストの下に新聞紙を入れるという、間に合わせの方策を使用する人たちがいる。これは、サイクリング用のスポーツ衣料によって達成された高度化のレベルを考慮すると更に一層驚くべきであり、本発明の基礎を形成する問題がいかにまだ解決されていないかを際立たせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、この問題の解決法を提供することである。本発明の基礎を形成する概念は、特にサイクリストの胴部のための、必要な場合のみ使用され得る組み込まれた風防防護システムを有するサイクリングベストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、当該ベストの内側に固定された、かつ収容ポケットの内側に折り畳み可能な風防パネルを含むサイクリングジャケット又はベストによって達成され、ここで当該パネルは、当該収容ポケットから取り出されて広げられた場合、実質的にジャケット又はベストの前部の内部裏地として配置され、使用者の胴部を覆うためのサイズを有する。
【0012】
本発明はベスト又はジャケットに言及するものと理解されるべきであるが、以下、簡単にするために、用語「ベスト」が使用される。
【0013】
好ましくは、当該風防パネルはその上部のみにおいて、より好ましくは収容ポケットの領域内でベストに固定される。例えばパネルは、何らかの他のそれ自体が知られている技法を使用してベストの内側上に縫い付けられ又は固定された端部分を含む。パネルの下端及び側端は、有利には自由な状態である。当該パネルは、取り出されて広げられた場合、パネル上で閉じられたベスト自体によって、及びサイクリストの胴部によって、所定の位置に保持される。
【0014】
有利には、風防パネルは使用者の胴部、すなわち身体の前部のみを覆う。背中のための風防防護は、実際には必要とされない。
【0015】
使用の態様について次に説明する。より多くの努力を払っていて通気がより少ない状況にあるサイクリスト(代表的には上り坂をサイクリングする場合)は、防護パネルを専用ポケットの内側に畳み込まれたままにしてもよく、空気及び冷却により多くさらされることが予期される場合(代表的には下り坂をサイクリングする場合)、サイクリストはベストを開いて防護パネルを引き出し、胴部の前を腹の領域まで覆うように広げて配置し、ベストを再び閉じる。
【0016】
好ましくは、ベストを開き、パネルを取り出し、パネル上でベストを閉じる操作を容易にするジッパーをベストは備える。従って当該操作は、サイクリストがペダリング動作から注意をそらされることなしに、かつ大きな時間のロスなしに数秒で可能である。本発明の別の利点は、風防パネルが、使用されていない場合すなわち収容ポケットの内側に畳み込まれている場合、実際的に目立たず、かつ使用者を煩わせない容積を有するということである。
【0017】
パネルは好ましくは ウィンドバリアとして働く材料、例えば好適な布で作られる。より好適には、当該材料は低い通気性を有する。好ましい材料の例は、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PE)、及びこれらの混合物である。好ましい材料は、ポリアミド、又はポリアミドを大きなパーセンテージの量だけ、すなわち50%より多く含む材料である。パネルの材料は軽量であることが有利であり、例えば好ましい実施形態では100g/m以下の重量を有し、より好ましくは50g/m、又は約50g/mの重量を有する。材料は伸縮性を有してもよく、又は伸縮性を有さなくてもよい。
【0018】
より好ましくは、ベスト又はジャケットは軽布で作られる。これは特に有利である。なぜなら比較的高い温度条件においてはまさに、上り坂及び下り坂をサイクリングする場合の、熱的なストレスにおける大きな差が顕著だからである。実際、上り坂をサイクリングする場合、サイクリストは熱に苦しめられやすいため軽衣料を好み、一方、下り坂をサイクリングする場合は、穏やかな温度条件においてさえ、高速がいかなる場合も身体の大幅な冷却をもたらし、ベスト内に組み込まれた追加の防護パネルが特に有用であることが明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のサイクリングベストを示す図である。
図2】ポケットから取り出された、使用中の位置にあるパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の好ましい実施形態示す図1及び図2を参照して、本発明について説明する。
【0021】
図1は、半袖2を有し、前ジッパー3を有するサイクリングベスト1を示す。ベスト1は、追加の防護パネル5を含むポケット4を内部に備え、防護パネル5は通常はポケット4の内側に畳み込まれる。当該パネル5は、例えば、低い通気性を有する風防繊維材料の薄いシートである。
【0022】
パネル5は、ベスト1の内側に、好ましくはポケット4の近くに、又はポケット4自体の内側に固定された上端部分を有する。
【0023】
図2は、ポケット4から取り出された、使用中の位置にあるパネル5を示す。図示されているように、当該パネル5は、ベスト1の内側に縫い付けられた端部分6、例えば上端の一部、又は上端とそれに隣接する側端との間の角部分を有する。残りの側端(図2では点線で示す)及び下端7は自由な状態である。
【0024】
パネル5は、広げられた場合、実質的にベスト1の前部と同じ表面積を有し、使用者の胴部を覆う。ベスト1がジッパー3を使用して再び閉じられた場合、パネル5は、ベスト自体によって使用者の身体に対して保持されて所定の位置に留まり、内部風防裏地として働く。しかし当該裏地は、必要な場合のみ、例えば下り坂区間に沿って使用される。もはや必要とされない場合、パネル5は再び畳み込まれて、ポケット4の内側に戻されてもよい。
【0025】
従って本発明は、上述の目的を達成し、混合した性質の道路、すなわち上り坂と下り坂の区間を交互に有する道路に沿ったサイクリングに特に好適な汎用性のある衣料を提供する。
図1
図2