【解決手段】フリーアクセスフロア1は、基礎床Bに対して間隔を空けて設置される床板10と、床板10を支持する床構造部材20とを備え、床構造部材20は、床板10の外周を支える枠部21と、基礎床Bに接して枠部21を支持する脚部29とを有すると共に、上方から基礎床Bに接近することができる貫通孔21hが枠部21の内側に形成されて構成され、床板10が枠部21に対して着脱可能に構成され、床板10が枠部21に装着されたときに貫通孔21hが塞がれるように構成されている。而して、フリーアクセスフロア1を基礎床Bに敷設した後に、床構造部材20を動かさずに簡便に床下に接近することができる。冷暖房システムは、フリーアクセスフロア1と、床板10と基礎床Bとの間の裏側空間に供給される空気の温度を調節する空気温度調節機とを備える。
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフリーアクセスフロアであって、前記床板が前記基礎床に対して間隔を空けるようにして複数が配列されたフリーアクセスフロアと;
前記床板と前記基礎床との間の裏側空間に供給される空気の温度を調節する空気温度調節機とを備える;
冷暖房システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、置敷タイプのフリーアクセスフロアを敷設した後に、電線等の床ころがし設備を床下に追加敷設する場合、床ころがし設備を敷設する位置に敷設済みのフリーアクセスフロアを持ち上げることとなり、相当の手間が必要となる。また、敷設済みのフリーアクセスフロアを持ち上げ、床ころがし設備を敷設してから元に戻すと、当該フリーアクセスフロアとこれに隣接するフリーアクセスフロアとの間に隙間が生じてしまう。隣り合うフリーアクセスフロア間に隙間があると、例えば地震が生じたときにフリーアクセスフロアが不規則な配列状態となるおそれがある。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、敷設後の床下への接近が簡便なフリーアクセスフロア及びこれを用いて冷暖房を行う冷暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るフリーアクセスフロアは、例えば
図1及び
図2に示すように、基礎床Bに対して間隔を空けて設置される床板10と;床板10を支持する床構造部材20とを備え;床構造部材20は、床板10の外周を支える枠部21と、基礎床Bに接して枠部21を支持する脚部29とを有すると共に、床構造部材20を基礎床Bに載置したときに、上方から基礎床Bに接近することができる貫通孔21hが枠部21の内側に形成されて構成され;床板10が枠部21に対して着脱可能に構成され;床板10が枠部21に装着されたときに貫通孔21hが塞がれるように構成されている。
【0007】
このように構成すると、床板が枠部に対して着脱可能に構成されているので、フリーアクセスフロアを基礎床に敷設した後に、床構造部材を動かさずに簡便に基礎床に接近することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係るフリーアクセスフロアは、例えば
図1及び
図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係るフリーアクセスフロアにおいて、床板10は、熱を放散する放熱板11を含んで構成され;放熱板11に接する採熱板30であって、床板10よりも脚部側29に突出して設けられた採熱板30をさらに備える。
【0009】
このように構成すると、基礎床と床板との間に熱媒体を流動させたときに、熱媒体が保有する熱を、採熱板を介して放熱板から放散させることができ、放散された熱で床板の上の空間の冷暖房を行うことができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係るフリーアクセスフロアは、例えば
図1及び
図2に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係るフリーアクセスフロアにおいて、床構造部材20を基礎床Bに載置したときに、枠部21と基礎床Bとの間に形成される空間Sを仕切る仕切部材40を備える。
【0011】
このように構成すると、基礎床と床板との間に熱媒体の流路を形成することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る冷暖房システムは、例えば
図3に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係るフリーアクセスフロア1と;床板10(例えば
図2参照)と基礎床B(例えば
図2参照)との間の裏側空間S(例えば
図2参照)に供給される空気Aの温度を調節する空気温度調節機91とを備える。
【0013】
このように構成すると、裏側空間を流れる空気の熱を、床板を介して床板の上の空間に輻射することができ、伝熱効率の高い冷暖房システムを簡便に構築することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、床板が枠部に対して着脱可能に構成されているので、フリーアクセスフロアを基礎床に敷設した後に、床構造部材を動かさずに簡便に基礎床に接近することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0017】
まず
図1及び
図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア1(以下「OAフロア1」という。)を説明する。
図1は、OAフロア1の分解斜視図である。
図2はOAフロア1の垂直断面図である。OAフロア1は、本実施の形態では、冷房又は暖房(以下「冷暖房」という。)が行われる対象である冷暖房室Rの冷暖房に寄与する構造となっている。OAフロア1は、床板10と、床構造部材20(以下「基部材20」という。)と、採熱板30と、仕切部材40とを備えている。
【0018】
床板10は、放熱板11と、天板12とを有している。放熱板11は、冷暖房室Rに向けて熱を輻射することができるように、冷暖房室R側のOAフロア1の表面を構成する部材である。冷暖房室Rに向けて輻射する熱は、冷房時は冷熱、暖房時は温熱となる。冷房時は、周囲よりも温度が低い放熱板11が、周囲から吸熱することで清涼感が得られるのであるが、便宜上、放熱板11が冷熱を輻射すると表現することとする。放熱板11は、薄板状の部材が適切な大きさに切断されて形成されており、本実施の形態では正方形に形成されている。放熱板11は、冷暖房室Rに輻射する熱量を大きくする観点から熱伝導率が高い材料で形成されていることが好ましい。放熱板11として、アルミニウム、鋼板、アルミニウム被覆樹脂板等を用いることができる。
【0019】
天板12は、放熱板11を支えると共に、採熱板30を支持する平板状の部材である。天板12は、放熱板11よりも一回り小さく形成されている。したがって、本実施の形態では、天板12が正方形に形成されている。ここで、天板12の1つの辺に平行で、天板12の表面に沿って延びる直線の一方の向きを、便宜上、基準方向Dと定めることとする。天板12は、冷暖房室Rからの荷重を受けることができる厚さに形成されており、典型的には放熱板11よりも厚く形成されている。天板12として、樹脂、構造用木集成材、鋼板等を用いることができる。天板12には、スリット状の差込孔12hが形成されている。差込孔12hは、採熱板30を差し込むことができる大きさに形成されている。差込孔12hは、本実施の形態では、以下に示す位置に、合計4つ形成されている。差込孔12hの位置を特定するのに先立ち、まず、基準方向Dに延びる天板12の一対の辺をそれぞれ2等分する点同士で結び、天板12を仮想的に2等分する。差込孔12hは、仮想的に2等分した各々の面に2つずつ、合計4つ形成されている。すべての差込孔12hは、基準方向Dに細長く形成されている。天板12を上述のように仮想的に2等分した一方に形成された2つの差込孔12hの距離GAと、他方に形成された2つの差込孔12hの距離GBとは、等しくなっている。しかしながら、天板12を上述のように仮想的に2等分した一方に形成された2つの差込孔12hは、他方に形成された2つの差込孔12hから基準方向Dに辿った仮想直線に対してずれて形成されている。
【0020】
基部材20は、床板10を支持する部材である。基部材20の説明の便宜上、基部材20を、枠部21と脚部29とに分けることとする。なお、枠部21と脚部29とは、本実施の形態では一体に形成されている。枠部21は、床板10を支える部分である。枠部21は、大まかに見て、正方形の外周に相当する外周枠23に対して、外周枠23の対向する辺の中点同士をつなぐブレース25を設けた構造となっている。本実施の形態では、外周枠23が、床板10の外周全体を支えるように構成されている。この構造により、枠部21には、外周枠23とブレース25との間に貫通孔21hが形成されることとなる。貫通孔21hは、2行2列で、合計4箇所形成されている。すべての貫通孔21hは、外周枠23(枠部21の外周)の内側に形成されている。枠部21の大きさは、冷暖房室Rの耐荷重等の、OAフロア1が敷設される状況に応じて適宜決定することができるが、本実施の形態では、1辺が290mmの正方形で、厚さが25mmに形成されている。
【0021】
外周枠23の外周は、1辺が290mmの正方形に形成されている。外周枠23には、頂面23tから放熱板11の厚さ分下がった放熱板用窪み23aが、頂面23tの内周全体にわたって形成されている。放熱板用窪み23aは、頂面23tに平行な平面に形成されている。放熱板用窪み23aの外周(頂面23tの内周)は、正方形に形成されており、その大きさは、放熱板11の外周と概ね同じになっている。ここで、大きさが概ね同じとは、放熱板11を、放熱板用窪み23aに対して着脱可能であって、極力遊びが小さい大きさである。
【0022】
放熱板用窪み23aの内側には、放熱板用窪み23aから天板12の厚さ分下がった天板用窪み23bが、放熱板用窪み23aの内周全体にわたって形成されている。天板用窪み23bは、放熱板用窪み23aに平行な平面に形成されている。天板用窪み23bの外周(放熱板用窪み23aの内周)は、正方形に形成されており、その大きさは、天板12の外周と概ね同じになっている。ここでの大きさが概ね同じとは、天板12を、天板用窪み23bに対して着脱可能であって、極力遊びが小さい大きさである。なお、ブレース25の上面25tは、天板用窪み23bの高さに揃っている。換言すれば、天板用窪み23bとブレース25の上面25tとは、同一平面上に形成されている。
【0023】
天板用窪み23bの内側には、仕切部材40を嵌合することができる仕切嵌合窪み23cが形成されている。仕切嵌合窪み23cは、ブレース25の部分には形成されていない。仕切嵌合窪み23cは、貫通孔21hに面している。枠部21に形成された4つの貫通孔21hは、それぞれ、正方形の隣り合う2つの辺が外周枠23に面しており、残りの隣り合う2つの辺がブレース25に面している。したがって、仕切嵌合窪み23cは、1つの貫通孔21hあたり2箇所形成されており、1つの外周枠23あたりでは8箇所形成されていることとなる。仕切嵌合窪み23cは、貫通孔21hの1辺の長さと同じ長さに形成されている。仕切嵌合窪み23cは、後述する仕切部材40の厚さ分、天板用窪み23bから下がっている。
【0024】
外周枠23の外側の面には、4つの面のそれぞれに、嵌合溝21gと嵌合突起21pとが、1つずつ形成されている。嵌合溝21g及び嵌合突起21pは、脚部29を下にした基部材20に正対したときに、各面について、左側に嵌合溝21gが形成され、右側に嵌合突起21pが形成されている。そして、脚部29を下にした基部材20に正対したときの、外周枠23の左端から嵌合溝21gまでの距離と、外周枠23の右端から嵌合突起21pまでの距離とが同じになるような位置に、嵌合溝21g及び嵌合突起21pが形成されている。嵌合溝21g及び嵌合突起21pは、仮に嵌合突起21pを外周枠23の外側の面に沿って切断して嵌合溝21gに嵌めたときに、嵌合突起21pを嵌めた面が外周枠23の外側の面と同一平面になるように形成されている。このように嵌合溝21g及び嵌合突起21pが形成されていることで、2つの基部材20を、外周枠23の外面同士が接するように配列したときに、一方の基部材20の嵌合溝21gと他方の基部材20の嵌合突起21pとが嵌合すると共に、一方の基部材20の嵌合突起21pと他方の基部材20の嵌合溝21gとが嵌合するように構成されている。
【0025】
脚部29は、枠部21の4つの角及び枠部21の各辺の中点並びに枠部21の平面視における重心部分のそれぞれから、枠部21の面に対して直角に延びるように形成されている。したがって、本実施の形態では、脚部29は、9本の脚を有している。脚部29を構成する各脚は、基礎床Bの面(以下「基礎床面Bf」という)への接地面からの大部分は、断面正方形の四角柱状に形成されている。各脚の断面正方形の大きさは、断面正方形の1辺が、ブレース25の幅と同じになっている。外周枠23の4つの角に接続している4本の脚は、四角柱状の4つの側面のうちの2つの側面が、外周枠23の外側の面と面一になっている。外周枠23の4つの辺の中点に接続している4本の脚は、四角柱状の4つの側面のうちの1つの側面が、外周枠23の外側の面と面一になっている。脚部29を構成する9本の脚は、外周枠23又はブレース25に対して、45度の角度で接続している。
【0026】
枠部21及び脚部29を有する基部材20は、本実施の形態では、製造の簡素化、及び運搬時の効率を考慮した軽量化の観点から、合成樹脂で形成されているが、構造用木集成材、鋼板等で形成されていてもよい。基部材20は、脚部29が基礎床面Bfに載置されることで、枠部21に載置された床板10が基礎床面Bfに対して間隔を空けて配置されるように構成されている。以下のOAフロア1に関する説明において、基礎床面Bfあるいは冷暖房室Rとの関係に言及しているときは、特に断らない限り、脚部29が基礎床面Bfに載置された状態の説明をしていることとする。OAフロア1が基礎床面Bfに設置されたとき、床板10と基礎床面Bfとの間には、裏側空間としての床下空間Sが形成されることとなる。
【0027】
採熱板30は、放熱板11に接触しつつ床下空間Sに突出するように床板10に取り付けられることで、床下空間Sを流れる温度が調節された空気(以下「温調空気A」という。)が保有する熱を採取して放熱板11に伝達する部材である。採熱板30は、典型的には矩形(長方形又は正方形)の薄板状の部材が、直角に折り曲げられて形成されている。このように直角に曲がった採熱板30は、一方の面が、天板12の差込孔12hに差し込まれている。これにより、採熱板30の一方の面が床下空間S突出し、他方の面が天板12の上に載置される。採熱板30が差込孔12hに差し込まれた天板12の上に放熱板11を載置することで、採熱板30と放熱板11とが接触することとなる。採熱板30の基準方向Dの長さである採熱板長さLは、所望の前縁効果を発揮することができる長さに形成されている。ここで、前縁効果は、採熱板30に沿って温調空気Aが流れる際に、伝熱面(採熱板30の面)上に、前縁で薄く下流に行くにつれて厚さが増す境界層が形成されるところ、熱伝達が良好な採熱板30の前縁部を用いることにより享受できる効果である。本実施の形態では、採熱板長さLが、天板12の1辺の長さの概ね1/3に形成されている。天板12は、所望の前縁効果を享受する観点から、採熱板長さLを基に、基準方向Dの差込孔12hの長さが決定されている。採熱板30の突出具合(床下空間Sにおける高さ)は、温調空気Aから採熱板30への熱伝達をできるだけ大きくする観点から、採熱板30の脇を温調空気Aが効率よく流れる範囲で、できるだけ突出量を大きくして採熱板30の表面積を大きくすることが好ましい。天板12上における採熱板30の基準方向Dに直交する方向の長さは、隣接する採熱板30と重なることを回避しつつ、放熱板11に必要な熱を伝達することができる長さに形成されている。採熱板30は、温調空気Aから採取する熱量を大きくする観点から熱伝導率が高い材料で形成されていることが好ましい。採熱板30として、アルミニウム、鋼板、アルミニウム被覆樹脂板等を用いることができる。また、採熱板30は、平板、パンチングメタル、フィン等の突起が形成された薄板状の部材を用いることができる。なお、パンチングメタルは、長孔、丸孔、角孔等の孔のいずれか1種又は2種以上が多数形成されたものを用いることができる。
【0028】
仕切部材40は、温調空気Aの流路の側壁を形成する部材である。仕切部材40は、基本構造が長方形の薄板状の部材が、直角に折り曲げられて形成されている。直角に曲がった仕切部材40は、一方の面が、基部材20の外周枠23の仕切嵌合窪み23cに嵌合する大きさに形成されている。仕切部材40の他方の面は、一方の面を仕切嵌合窪み23cに嵌合したときに、仕切部材40の下端が基礎床面Bfに概ね接する寸法に形成されている。仕切部材40は、一方の面が仕切嵌合窪み23cに取り付けられたときの他方の面の下部に、基礎床面Bfに敷設された電線等の床ころがし設備を貫通させることができる貫通許可部41が形成されている。貫通許可部41は、仕切部材40の他方の面の下辺に沿って縦方向の切り込みが入れられることでのれん状に形成されている。貫通許可部41は、仕切部材40が可撓性を有する合成樹脂で形成されている場合は、床ころがし設備に沿って変形し、仕切部材40が金属板等の塑性変形する材料で形成されている場合は、床ころがし設備に合わせて曲げられることとなる。貫通許可部41の高さは、基礎床面Bfに敷設される電線等の床ころがし設備に応じて決定すればよいが、仕切部材40の他方の面の高さの概ね1/4〜1/2、典型的には1/3に形成されているとよい。
【0029】
次に
図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る冷暖房システム100を説明する。
図3は、冷暖房システム100の概略構成を示す図である。冷暖房システム100は、これまでに説明したOAフロア1を複数と、空気の温度を調節して温調空気Aを生成する空気温度調節機としてのエアコン91とを備えている。以下の冷暖房システム100の説明において、OAフロア1の構成に言及しているときは、適宜
図1及び
図2を参照することとする。エアコン91は、本実施の形態では、汎用のルームエアコンが用いられ、冷暖房室Rの天井に設置されている。なお、
図3では、説明の便宜上、各OAフロア1の仕切部材40が設けられていない部分の境界を破線で表し、仕切部材40が設けられている部分の境界を実線で表している(ただし外周は除く)。なお、仕切部材40は、
図1及び
図2から分かるように、実際には、OAフロア1の外縁よりもやや内側に設けられているが、
図3においては、温調空気Aの流路の把握を容易にするために、仕切部材40が設けられている部分の境界を実線で示すこととしている。
【0030】
複数のOAフロア1は、基礎床面Bf(
図2参照)に載置され、碁盤の目のように配列されている。OAフロア1を配列する際は、隣接するOAフロア1の嵌合溝21gと嵌合突起21pとが嵌るように配列する。冷暖房室Rの外周の一部には、OAフロア1に代えて、温調空気Aを床下空間S(
図2参照)に導く供給ダクト92の接続口81hが形成されたダクト接続床81、あるいは床下空間Sの温調空気Aを冷暖房室R内に移動させる還流口83hが形成された還流口付床83が配置されている。
図3に示す例では、5000mm×4000mmの冷暖房室Rの床面Bf上に、20×16個から、ダクト接続床81及び還流口付床83の分だけ差し引いた数のOAフロア1が配列されている。ダクト接続床81は、1つの角と、この対角との、合計2箇所に設置されている。還流口付床83は、基礎床面Bfのそれぞれの長辺に沿って、適宜間隔を空けて複数が設置されている。
【0031】
最初に基礎床面Bfの上にOAフロア1を配設する際は、あらかじめ床板10及び仕切部材40を外しておいた基部材20を、碁盤の目のように配列するとよい。このようにすると、温調空気Aの流れ方向を気にせずに基部材20を配設することができると共に、基部材20を配設した後の、床下空間Sへの電線等の床ころがし設備の敷設が容易になる。なお、基部材20の上方から貫通孔21hに手を入れて基礎床面Bfに接触することができるので、床下空間Sへの床ころがし設備の敷設は、基部材20の貫通孔21hから手を入れて行うことができる。床ころがし設備を床下空間Sに敷設したら、基部材20に必要な仕切部材40を取り付けて、温調空気Aの流路を形成する。このとき、仕切部材40を設置する位置に床ころがし設備があっても、貫通許可部41が床ころがし設備を避けることができ、温調空気A流路を形成することができる。床下空間S内の温調空気Aの流路は、本実施の形態では、各ダクト接続床81の接続口81hから流入した温調空気Aが、基礎床面Bfの短辺に沿って流れ、短辺の中点で短辺に直角の方向(長辺に平行な方向)に向きを変え、基礎床面Bfの図心に向かって流れる際に、各OAフロア1の列ごとに基礎床面Bfの両長辺に向かって短辺に対して平行に流れるように設計されている。この設計に沿って温調空気Aを流すように、適切な位置の仕切嵌合窪み23cに仕切部材40を嵌合する。その後、床板10を、温調空気Aの流れ方向と基準方向Dとが一致する向きで、基部材20に取り付ける。これで、貫通孔21hが床板10に塞がれる。なお、床下空間S内の温調空気Aの流路において温調空気Aの流れ方向が変わる位置(流路の曲部に相当)に配置されるOAフロア1は、温調空気Aの流れ方向と床板10の基準方向Dとが一致しない場合もある。基礎床面Bf上に配列されたOAフロア1の表面には、典型的には、タイルカーペットやPタイル等の仕上材(不図示)が設けられる。
【0032】
引き続き
図1乃至
図3を参照して、OAフロア1及び冷暖房システム100の作用を説明する。なお、OAフロア1の作用は、冷暖房システム100の作用の一環として説明する。冷暖房システム100では、エアコン91で温度が調節された温調空気Aが生成され、温調空気Aは、供給ダクト92を介してダクト接続床81直下の床下空間Sに供給される。床下空間Sに流入した温調空気Aは、仕切部材40に仕切られて形成された流路を流れる。温調空気Aは、仕切部材40に仕切られた流路を流れる際、温調空気Aの流れ方向と基準方向Dとが一致するように床板10が基部材20に設置されているので、採熱板30に接触しながら採熱板30の面に沿って流れる。温調空気Aは、採熱板30の面に沿って流れる際、冷熱(冷房時)又は温熱(暖房時)を採熱板30に伝達する。温調空気Aは、1つの採熱板30の面に沿って流れたら、間隔を空けて次の採熱板30の面に沿って流れる。このように、採熱板長さLが、所望の前縁効果を享受できる所定の長さに形成されているので、採熱板30の面上に形成される境界層が厚くなりすぎる部分がなく、効率的に温調空気Aが保有する熱を採熱板30に伝達することができる。
【0033】
温調空気Aから熱を得た採熱板30は、放熱板11に熱を伝達する。これにより、放熱板11は、冷房時は冷やされ、暖房時は温められる。冷やされ又は温められた放熱板11からは、仕上材(不図示)を介して、冷暖房室Rに冷熱又は温熱が輻射され、冷暖房室Rの冷暖房が行われる。床下空間S内の仕切部材40に仕切られた流路を流れる温調空気Aは、流路末端の還流口付床83の直下に至るまで、次々に出会う採熱板30に熱を与える。これにより、各OAフロア1の放熱板11から冷暖房室Rに冷熱又は温熱が輻射され、冷暖房室R全体の冷暖房が行われる。還流口付床83の直下に到達した温調空気Aは、還流口83hを介して冷暖房室R内に流入する。冷暖房室Rに至った温調空気Aは、エアコン91に吸い込まれ、再び温度が調節されたうえで供給ダクト92を介してダクト接続床81の下の床下空間Sに供給され、以降、上述の作用を繰り返す。
【0034】
以上で説明したように、第1の実施の形態に係るOAフロア1、及びこのOAフロア1を備える第2の実施の形態に係る冷暖房システム1によれば、床板10が基部材20に対して着脱可能に構成されているので、基礎床面Bfに対して基部材20を敷き詰めた後に、貫通孔21hを介して床下空間Sに敷設する電線等の床ころがし設備に接近(アクセス)することができる。また、床板10の基準方向Dを意識せずに、基礎床面Bfに対して基部材20を敷き詰めることができるので、基部材20と床板10とが一体になったものに比べて、基部材20の敷設に要する時間を短縮することができる。また、基部材20に仕切嵌合窪み23cが形成されているので、基部材20を敷き詰めた後に温調空気Aの流路を形成することができ、施工の省力化を図ることができる。また、採熱板30が取り付けられた天板12に放熱板11を重ねて構成された床板10を、敷き詰められている基部材20に対して嵌合するときに、設計された温調空気Aの流れ方向に基準方向Dを合わせることで、温調空気Aの熱を採熱板30に伝達しやすくなる。これにより、床下空間Sを流れる温調空気Aの熱が採熱板30に伝わり、採熱板30の熱が放熱板11に伝達して放熱板11から冷暖房室Rに輻射され、冷暖房室Rを輻射冷暖房することができる。
【0035】
次に
図4を参照して、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るフリーアクセスフロア1A(以下「OAフロア1A」という。)を説明する。
図4は、OAフロア1Aの分解斜視図である。OAフロア1Aは、OAフロア1(
図1参照)と比較して、床板10Aが異なっている。床板10Aは、OAフロア1(
図1参照)における放熱板11(
図1参照)及び天板12(
図1参照)の機能を併せ持つように構成されている。つまり、床板10Aは、冷暖房室Rに向けて冷暖房用の冷熱又は温熱を輻射することができると共に、冷暖房室Rからの荷重を受けることができるように構成されている。床板10Aは、OAフロア1(
図1参照)における放熱板11(
図1参照)よりも厚く形成されている。床板10Aは、本変形例では正方形に形成されている。床板10Aとして、アルミニウム、鋼板、アルミニウム被覆樹脂板、アルミニウム被覆構造用木集成材等を用いることができる。
【0036】
床板10Aは、基部材20に嵌めたときに床下空間Sに対向する方の面に、採熱板30が取り付けられている。採熱板30は、OAフロア1(
図1参照)が備えていたものと同じである。床板10Aへの採熱板30の取り付け位置は、典型的にはOAフロア1(
図1参照)における床板10(
図1参照)への取り付け位置と同じである。したがって、採熱板30は、基準方向Dに沿って延びるように床板10Aに取り付けられている。なお、床板10Aへの採熱板30の取り付け位置は、採熱板30の向きが基準方向Dにそって延びるようになっていれば、適宜変更してもよい。採熱板30は、典型的には接着剤によって床板10Aに取り付けられる。このようにすると、採熱板30を床板10Aに強固に取り付けることができる。あるいは、採熱板30の床板10Aに接する部分にマグネット加工を施し、磁力によって採熱板30を床板10Aに取り付けることとしてもよい。採熱板30が取り付けられた床板10Aを、以下「採放熱床板13A」という場合がある。OAフロア1Aにおける基部材20及び仕切部材40の構成は、原則としてOAフロア1(
図1参照)における基部材20及び仕切部材40の構成と同じである。ただし、OAフロア1(
図1参照)における基部材20の放熱板用窪み23a及び天板用窪み23bは、採放熱床板13Aが嵌合するのに適するように変更するとよい。
【0037】
上述のように構成されたOAフロア1Aは、放熱板、天板、及び採熱板の機能を併せ持つ採放熱床板13Aが一体になっているので、敷き詰められた基部材20への採放熱床板13Aの設置が簡便になる。また、OAフロア1Aは、OAフロア1(
図1参照)と同様に、基準方向Dを意識せずに基礎床面Bfに対して基部材20を敷き詰めた後に、貫通孔21hを介して床下空間Sに敷設する電線等の床ころがし設備に接近することができる。また、基部材20を敷き詰めた後に温調空気Aの流路を形成することができ、施工の省力化を図ることができる。また、床下空間Sを流れる温調空気Aの熱が採熱板30に伝わり、採熱板30の熱が床板10Aに伝達して床板10Aから冷暖房室Rに輻射され、冷暖房室Rを輻射冷暖房することができる。
【0038】
以上の説明では、床板10、10Aや枠部21が正方形に形成されているとしたが、長方形であってもよく(正方形と長方形とを総称して矩形ということができる)、矩形以外の形状であってもよい。
【0039】
以上の説明では、OAフロア1の天板部12に差込孔12hが4つ形成されていることとしたが、採熱板30から放熱板11への熱伝達面積や構造の簡素化等を比較考量して、4つよりも増加させてもよく、逆に減少させてもよい。OAフロア1Aにおける採熱板30の数も、4つよりも増加させてもよく、逆に減少させてもよい。
【0040】
以上の説明では、OAフロア1、1Aが、採熱板30を備えることとしたが、床板10、10Aが採熱板と放熱板とを兼ねるように構成すると共に採熱板30のような突起が形成されていなくても温調空気Aの熱を冷暖房室Rに輻射できる場合は、採熱板30を設けなくてもよい。
【0041】
以上の説明では、仕切部材40が、基部材20の枠部21に形成された仕切嵌合窪み23cに嵌合されることとしたが、基部材20の外側面に取り付けられることとしてもよく、床板10、10Aに取り付けられることとしてもよい。また、OAフロア1、1Aが、仕切部材40を備えることとしたが、温調空気Aの流路との兼ね合いで仕切を形成する必要がない場合は、仕切部材40を備えなくてもよい。
【0042】
以上の説明では、空気温度調節機がエアコン91であるとしたが、ファンコイル等であってもよく、すなわち、空気の温度を調節することができるものであればよい。
【0043】
以上の説明では、OAフロア1、1Aが、温調空気Aの熱を冷暖房室Rに輻射するものであるとしたが、冷暖房室Rに輻射する機能を持たないものであってもよい。この場合、採熱板30及び仕切部材40を備えなくてよく、床板10が放熱板の機能を有しなくてよい。OAフロア1、1Aが冷暖房室Rに輻射する機能を持たないものであっても、OAフロア1、1Aを基礎床面Bfに敷設した後に、電線等の床ころがし設備の敷設を行いやすいという機能を発揮することができる。