【実施例】
【0030】
次に、本実施形態の実施例などについて、図面を参照して説明する。
【0031】
[実施例1]
実施例1のガスケット1は、
Oリング2の内径=145.8mm、太さ(直径d)=5.7mm、材質=NBRであり、また、
流体側環状部材3の内径=139.6mm、厚さt=4.1mm、幅w=約4.0mm、材質=PTFE
であった。
このガスケット1を、流体側環状部材3の圧縮率=0.3%、かつ、Oリング2の圧縮率=28%となるように、フランジ4にて締め付け、ガソリンに対する漏れ量(接面漏れと透過漏れによる合計の漏れ量)を測定した。
なお、フランジ4の接触面は、Rz3で仕上げ加工した。
【0032】
測定結果は、常温(約20℃)+96時間にて、0.02gの漏れ量であり、40℃+96時間にて、0.04gの漏れ量であった(
図3参照)。
なお、今回の測定においては、常温+96時間における漏れ量の基準(暫定)を比較例2の半分0.07g以下、及び、40℃+96時間における漏れ量の基準(暫定)を0.09g以下とした。
したがって、実施例1のガスケット1は、常温及び40℃において、良好な結果を得た。
【0033】
なお、上述したように、PTFEは、約40℃において、クリープ現象が発生し、流体側環状部材3のシール性が不安定となる(すなわち、接面漏れが増加する)が、このガスケット1は、適度に圧縮されたOリング2により、漏れ量を低減することができた。
また、上記の0.02gの漏れ量は、PTFE及びNBRを透過した透過漏れの量(0.02g)であると思われる。また、上記の0.04gの漏れ量の内訳は、PTFE及びNBRを透過した透過漏れの量(0.02g)と、シール性が不安定となった流体側環状部材3の接面漏れに対し、Oリング2がシールできずに漏らした量(0.02g)であると思われる。
【0034】
[比較例1]
比較例1のガスケットは、Oリングであり、内径=145.8mm、太さ(直径d)=5.7mm、材質=NBRであった。
このガスケットを、常温でのシール試験にて接面漏れがなくなった圧縮率(5.4%)で、フランジ4にて締め付け、ガソリンに対する漏れ量(接面漏れと透過漏れによる合計の漏れ量)を測定した。
【0035】
測定結果は、常温(約20℃)+96時間にて、0.31gの漏れ量であり、40℃+96時間にて、1.65gの漏れ量であった(
図3参照)。
したがって、比較例1のガスケットは、常温及び40℃において、基準(暫定)を満足できなかった。
【0036】
[比較例2]
比較例2のガスケットは、Oリングであり、内径=145.8mm、太さ(直径d)=5.7mm、材質=フッ素ゴムであった。
このガスケットを、常温でのシール試験にて接面漏れがなくなった圧縮率(6.5%)で、フランジ4にて締め付け、ガソリンに対する漏れ量(接面漏れと透過漏れによる合計の漏れ量)を測定した。
【0037】
測定結果は、常温(約20℃)+96時間にて、0.14gの漏れ量であり、40℃+96時間にて、0.18gの漏れ量であった(
図3参照)。
したがって、比較例2のガスケットは、常温及び40℃において、基準(暫定)を満足できなかった。
【0038】
[比較例3]
比較例3のガスケットは、断面形状が矩形状の円環状のガスケットであり、内径=139.6mm、厚さt=5.35mm、幅w=約4.0mm、材質=PTFEであった。
このガスケットを、常温でのシール試験にて接面漏れがなくなった圧縮率(3.0%)で、フランジ4にて締め付け、ガソリンに対する漏れ量(接面漏れと透過漏れによる合計の漏れ量)を測定した。
【0039】
測定結果は、常温(約20℃)+96時間にて、0.02gの漏れ量であり、40℃+96時間にて、0.14gの漏れ量であった(
図3参照)。
したがって、比較例3のガスケットは、常温において、基準(暫定)を満足できたものの、40℃において、基準(暫定)を満足できなかった。
なお、上記の0.14gの漏れ量は、上述したように、約40℃において、PTFEにクリープ現象が発生し、ガスケットのシール性が不安定となり、接面漏れによる漏れ量が増加したものと思われる。
【0040】
次に、実施例1のガスケット1、及び、比較例1のガスケットにおける、圧縮率と漏れ量の関係について、図面を参照して説明する。
図4に示すように、実施例1のガスケット1、及び、比較例1のガスケットに対して、圧縮率を変化させ、40℃+96時間にて、漏れ量を測定した。
比較例1のガスケットにおける測定結果は、圧縮率を上げると漏れ量が減少するものの、40℃における基準(暫定)を満足できなかった。
これに対し、実施例1のガスケット1における測定結果は、圧縮率を上げると漏れ量が減少し、Oリング2の圧縮率を約20%以上とすると、40℃における基準(暫定)を満足できた。すなわち、このガスケット1は、Oリング2が圧縮され、かつ、流体側環状部材3も圧縮されていることが好ましいが、Oリング2の圧縮率を約20%以上とすると、流体側環状部材3が接触していなくても、40℃における基準(暫定)を満足できた。
【0041】
次に、実施例1のガスケット1、及び、比較例1、2のガスケットにおける、気体状態のガソリンなどの燃料100、及び、液体状態のガソリンなどの燃料100に対する漏れ量などについて、図面を参照して説明する。
まず、この試験に用いる試験装置10は、
図5に示すように、容器本体11及び蓋板12などを有しており、容器本体11と蓋板12とは、ガスケット1によってシールされる。
この試験装置10は、気体状態の燃料100に対して、漏れ量を測定する場合、
図5(a)に示すように、容器本体11の上方に蓋板12が位置し、ガスケット1は、気化した燃料100と接触する。このときの漏れ量を、気体の漏れ量と呼称する(
図6参照)。
また、試験装置10は、液体状態の燃料100に対して、漏れ量を測定する場合、
図5(b)に示すように、蓋板12の上方に容器本体11が位置し、ガスケット1は、液体の燃料100と接触する。このときの漏れ量を、液体の漏れ量と呼称する(
図6参照)。
このときの容器本体11及び蓋板12の接触面(フランジ面)は、Rz3で仕上げ加工した。また、流体側環状部材3の圧縮率=0.3%、Oリング2の圧縮率=28%となるように、ガスケット1を締め付けた。
また、当該接触面を鏡面仕上げ(Rz0.4)とした以外は試験装置10と同一の条件で、
図5(b)の状態で測定した漏れ量を、透過漏れの実体量と呼称する(
図6参照)。
【0042】
図6に示すように、実施例1のガスケット1に対して、
図5(a)の状態でガソリンの漏れ量(気体の漏れ量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.02gの漏れ量であった。
また、
図5(b)の状態でガソリンの漏れ量(液体の漏れ量)を測定したところ、常温(約20℃)+96時間にて、0.15gの漏れ量であった。
さらに、接触面を鏡面仕上げ(Rz0.4)した試験装置において、
図5(a)の状態でガソリンの漏れ量(透過漏れの実体量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.01gであった。
ここで、透過漏れと接面漏れを区別でき、透過漏れによる漏れ量が0.01gであり、接面漏れによる漏れ量が0.14(0.15−0.01)gであった。
【0043】
比較例1のガスケットに対して、
図5(a)の状態でガソリンの漏れ量(気体の漏れ量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.28gの漏れ量であった。
また、
図5(b)の状態でガソリンの漏れ量(液体の漏れ量)を測定したところ、常温(約20℃)+96時間にて、0.69gの漏れ量であった。
さらに、接触面を鏡面仕上げ(Rz0.4)した試験装置において、
図5(b)の状態でガソリンの漏れ量(透過漏れの実体量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.17gの漏れ量であった。
なお、漏れ量0.69gの内訳は、透過漏れによる漏れ量が0.17gであり、接面漏れによる漏れ量が0.52(0.69−0.17)gであった。
【0044】
比較例2のガスケットに対して、
図5(a)の状態でガソリンの漏れ量(気体の漏れ量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.14gの漏れ量であった。
また、
図5(b)の状態でガソリンの漏れ量(液体の漏れ量)を測定したところ、常温(約20℃)+96時間にて、0.17gの漏れ量であった。
さらに、接触面を鏡面仕上げ(Rz0.4)した試験装置において、
図5(b)の状態でガソリンの漏れ量(透過漏れの実体量)を測定したところ、常温+96時間にて、0.10gの漏れ量であった。
なお、漏れ量0.17gの内訳は、透過漏れによる漏れ量が0.10gであり、接面漏れによる漏れ量が0.07(0.17−0.10)gであった。
【0045】
上述したように、実施例1のガスケット1は、各比較例のガスケットと比べると、ガソリンなどのゴムを透過する流体に対して、透過漏れ及び接面漏れを効果的に低減することができた。
【0046】
以上、本発明のガスケットについて、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係るガスケットは、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0047】
例えば、前述した実施形態では、流体側環状部材3がフッ素系樹脂からなる例を示したが、流体側環状部材3は、フッ素系樹脂に限らず、反流体側環状部材2よりも揮発油からの気化ガスに対する透過率が低い材料を用いて形成することができる。
【0048】
また、ガスケット1は、平面固定用のガスケットとしてあるが、本発明のガスケットは、図示してないが、円筒面用のガスケットに適用してもよい。なお、この円筒面用のガスケットにおいては、流体側環状部材は、外周面及び内周面を有するほぼ円筒形状である。