特開2016-89937(P2016-89937A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016089937-自動車燃料タンク用ガスケット 図000003
  • 特開2016089937-自動車燃料タンク用ガスケット 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-89937(P2016-89937A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】自動車燃料タンク用ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20160418BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20160418BHJP
【FI】
   F16J15/10 G
   F16J15/10 C
   B60K15/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-224628(P2014-224628)
(22)【出願日】2014年11月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100142099
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 真一
(72)【発明者】
【氏名】寺西 穣
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 奨英
(72)【発明者】
【氏名】下川 晋治
【テーマコード(参考)】
3D038
3J040
【Fターム(参考)】
3D038CA15
3D038CA22
3D038CC13
3J040AA12
3J040BA01
3J040EA16
3J040EA25
3J040FA06
3J040FA07
3J040HA08
3J040HA30
(57)【要約】
【課題】自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けられて、燃料タンクからのガソリン漏れをより効果的に抑止することができる自動車燃料タンク用ガスケットを提供する。
【解決手段】NBRからなるOリング2の内周又は外周に沿って、PTFEからなる断面矩形状の環状部材3を密接して配置し、Oリング2の厚さを環状部材3の厚さよりも厚くして、環状部材3の厚み方向の上面及び下面に対してOリング2を厚み方向に突出させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けられて、当該接続部をシールする自動車燃料タンク用ガスケットであって、
NBRからなるOリングの内周又は外周に沿って、PTFEからなる断面矩形状の環状部材を密接して配置し、
前記Oリングの厚さが、前記環状部材の厚さよりも厚く、前記環状部材の厚み方向の上面及び下面に対して、前記Oリングが厚み方向に突出する
ことを特徴とする自動車燃料タンク用ガスケット。
【請求項2】
前記環状部材の前記Oリングと密接する面を前記Oリングの側面に沿って湾曲させた
請求項1に記載の自動車燃料タンク用ガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に抑止することができる自動車燃料タンク用ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃料消費量の低減に対する要求が益々厳しくなってきており、そのための種々の試みがなされている。
【0003】
ところで、自動車の燃料消費量を低減するには内燃機関の効率化による寄与も大きいが、燃料タンクからのガソリンの透過漏れも無視することができない。すなわち、自動車の燃料タンクには燃料供給のための配管が接続されており、燃料タンク内で気化したガソリンの一部が、この配管との接続部に取り付けられたガスケットそのものを透過して外部に漏れ出てしまうことが従前より問題視されている。
【0004】
このような燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に防ぐことができれば、自動車の燃料消費量の低減に大きく寄与できることが期待でき、例えば、特許文献1,2には、燃料タンク内で気化したガソリンの透過を抑止したガスケットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−280509号公報
【特許文献2】特開2003−201929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2で提案されたガスケットには、燃料タンク内で気化したガソリンの透過を抑止するには未だ改善の余地があり、燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に防ぐことができるガスケットが望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み提案されたものであり、自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けられて、燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に抑止することができる自動車燃料タンク用ガスケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動車燃料タンク用ガスケットは、自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けられて、当該接続部をシールする自動車燃料タンク用ガスケットであって、NBRからなるOリングの内周又は外周に沿って、PTFEからなる断面矩形状の環状部材を密接して配置し、前記Oリングの厚さが、前記環状部材の厚さよりも厚く、前記環状部材の厚み方向の上面及び下面に対して、前記Oリングが厚み方向に突出する構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動車燃料タンク用ガスケットは、自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けることにより、燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る自動車燃料タンク用ガスケットの概略を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面を示す端面図である。
図2】本発明の実施形態に係る自動車燃料タンク用ガスケットの使用状態を説明するための要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る自動車燃料タンク用ガスケットの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る自動車燃料タンク用ガスケットの概略を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面を示す端面図である。
【0012】
本実施形態において、ガスケット1は、NBR(ニトリルゴム)からなるOリング2と、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる断面矩形状の環状部材3とを備えている。そして、図1に示すように、環状部材3は、Oリング2の内周に密接して配置されている。
【0013】
また、図示する例において、環状部材3は、Oリング2と密接する面をOリング2の側面に沿って湾曲させている。このようにすることで、Oリング2と環状部材3との密着性を高めているが、このような環状部材3の断面形状も含めて断面矩形状というものとする。
【0014】
このようなガスケット1は、図示しない自動車の燃料タンクに接続された燃料供給のための配管との接続部に取り付けられて、当該接続部をシールする。このとき、ガスケット1は、図2に示すように、当該接続部に設けられた一対のフランジ4によって締め付けられる。
【0015】
燃料タンクからのガソリン漏れは、燃料タンク内で気化したガソリンが、ガスケット1とフランジ4との接面から漏れ出す接面漏れと、ガスケット1そのものを透過して漏れ出す透過漏れとがある。本実施形態では、ガソリンに対する非透過性に優れたPTFEを材料に用いて環状部材3を形成し、これをOリング2の内周に密接して配置することで、ガソリンの透過漏れを抑止している。
【0016】
さらに、本実施形態では、弾性体であるNBRを材料に用いてOリング2を形成し、Oリング2の厚さを環状部材3の厚さよりも厚くして、環状部材3の厚み方向の上面及び下面に対してOリング2を厚み方向に突出させている。
【0017】
このようにすることで、ガスケット1がフランジ4によって締め付けられたときに、Oリング2が圧縮されてフランジ4に密着し、これによって環状部材3だけでは防ぎきれないガソリンの接面漏れを抑止している。
【0018】
すなわち、ガスケット1がフランジ4によって締め付けられたときに、環状部材3の圧縮率が所定の値となるように設計することで、環状部材3の厚み方向の上面と下面がフランジに密着し、環状部材3によっても接面漏れを抑止することができるが、PTFEは温度が上昇するとクリープ現象が生じるという特性がある。このため、経時的な環境変化等によって、環状部材3だけではガソリンの接面漏れを防ぎきれなくなってしまうところ、Oリング2が所定の圧縮率でフランジ4に密着するようにすることで、環状部材3だけでは防ぎきれないガソリンの接面漏れをより効果的に抑止することができる。
【0019】
なお、Oリング2の厚さをd、環状部材3の厚さをtとすると、ガスケット1が一対のフランジ4によって締め付けられて、燃料タンクと配管との接続部をシールする際に、フランジ4どうしの距離がtであれば、Oリング2の圧縮率は、((d−t)/d)×100(%)であり、環状部材3の圧縮率は、((t−t)/t)×100(%)である。
【0020】
このように、本実施形態のガスケット1は、ガソリンの透過漏れの抑止を環状部材3に担わせ、環状部材3だけでは防ぎきれないガソリンの接面漏れをOリング2で抑止することで、自動車の燃料タンクからのガソリンの透過漏れをより効果的に抑止することができる。
【0021】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0022】
例えば、前述した実施形態では、平面固定のガスケットを例に挙げて説明したが、本発明のガスケットは、円筒面及びその他の種々のガスケットに適用できる。
また、前述した実施形態では、Oリングの内周に沿って環状部材を密接配置した例を挙げて説明したが、本発明のガスケットは、必要に応じて、Oリングの外周に沿って環状部材を密接配置した構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 ガスケット
2 Oリング
3 環状部材
図1
図2