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特開2016-90138液化天然ガスの製造装置及び液化天然ガスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-90138(P2016-90138A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】液化天然ガスの製造装置及び液化天然ガスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20160418BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20160418BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20160418BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20160418BHJP
【FI】
   F25J3/02 B
   F25J3/06
   F25J3/08
   C10L3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-225132(P2014-225132)
(22)【出願日】2014年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和之
(72)【発明者】
【氏名】郷田 玲央奈
(72)【発明者】
【氏名】末長 純也
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB08
4D047BB03
4D047CA04
4D047CA09
4D047CA11
4D047DA01
4D047DA04
4D047DA14
4D047DA17
4D047EA00
(57)【要約】
【課題】コークス炉ガス(COG)から合成される合成天然ガス(SNG)を原料とする液化天然ガス(LNG)の製造において、高純度のLNGを得ることができる製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】コークス炉ガスから合成される合成天然ガス由来の原料ガスから液化天然ガスを製造するための装置であって、原料ガスの少なくとも一部が液化するまで原料ガスを冷却するための冷却手段と、冷却手段によって少なくとも一部が液化された原料ガスを精留するための精留塔と、精留塔の塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を前記精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーと、精留塔での精留中におけるコンデンサー内の冷媒の液面位置を制御するための制御手段とを含む製造装置、及びこれを用いた製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉ガスから合成される合成天然ガス由来の原料ガスから液化天然ガスを製造するための装置であって、
前記原料ガスの少なくとも一部が液化するまで前記原料ガスを冷却するための冷却手段と、
前記冷却手段によって少なくとも一部が液化された原料ガスを精留するための精留塔と、
前記精留塔の塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を前記精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーと、
前記精留塔での精留中における前記コンデンサー内の前記冷媒の液面位置を制御するための制御手段と、
を含む、製造装置。
【請求項2】
前記精留塔での精留の間、前記制御手段は、前記冷媒の液面位置が一定になるように前記コンデンサーに導入される前記冷媒の流量を制御する、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記冷却手段と前記精留塔との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを減圧するための減圧手段をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記冷却手段と前記精留塔との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを気体成分と液体成分とに分離するための気液分離器をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項5】
前記精留塔は、その塔中部に前記原料ガスの導入口を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項6】
前記合成天然ガスから二酸化炭素及び/又は水を除去するための前処理塔をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記液体窒素の気化により生じる窒素ガス及び前記残部のガスの少なくともいずれか一方と、前記原料ガスとの間での熱交換を行うための熱交換器を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項8】
前記冷媒である液体窒素を製造し、これを前記コンデンサーに供給するための液体窒素供給系をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項9】
前記液体窒素供給系は、
窒素ガスから液体窒素を製造するための液体窒素製造装置と、
前記液体窒素製造装置及び前記コンデンサーに接続され、製造された液体窒素を保持するためのタンクと、
前記タンクから前記コンデンサーに向けて送出される液体窒素の一部をガス化させるための蒸発器と、
前記蒸発器によるガス化によって生成する窒素ガスを前記液体窒素製造装置に戻すための流路と、
を含む、請求項8に記載の製造装置。
【請求項10】
コークス炉ガスから合成される合成天然ガス由来の原料ガスから液化天然ガスを製造するための方法であって、
前記原料ガスの少なくとも一部が液化するまで前記原料ガスを冷却する冷却工程と、
少なくとも一部が液化された原料ガスを精留塔に導入して、これを精留する精留工程と、
を備え、
前記精留塔には、その塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を前記精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーが付設されており、
前記精留工程は、前記コンデンサー内の前記冷媒の液面位置を制御する制御工程を含む、製造方法。
【請求項11】
前記制御工程は、前記冷媒の液面位置が一定になるように前記コンデンサーに導入される前記冷媒の流量を制御することを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記冷却工程と前記精留工程との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを減圧する減圧工程をさらに含む、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記冷却工程と前記精留工程との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを気体成分と液体成分とに分離する気液分離工程をさらに含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記原料ガスは、塔中部から前記精留塔に導入される、請求項10〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記合成天然ガスから二酸化炭素及び/又は水を除去する前処理工程をさらに備える、請求項10〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記冷却工程は、前記液体窒素の気化により生じる窒素ガス及び前記残部のガスの少なくともいずれか一方と、前記原料ガスとの間での熱交換を行う熱交換工程を含む、請求項10〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記制御工程は、前記冷媒である液体窒素を製造し、これを前記コンデンサーに供給するための液体窒素供給系から液体窒素を前記コンデンサーに供給する液体窒素供給工程を含む、請求項10〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記液体窒素供給工程は、前記液体窒素供給系で製造された液体窒素の一部を前記コンデンサーに供給するとともに、残部をガス化して液体窒素製造用の原料として再利用することを含む、請求項17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉ガスから合成される合成天然ガスを原料ガスとして用いた液化天然ガスの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下から天然産出される天然ガスは、メタンを主成分とする、炭素数が1〜6である炭化水素の混合ガスであり、一般にそのメタン濃度は約85〜95vol%である。
【0003】
合成天然ガス〔SNG;synthetic natural gas,代替天然ガス(substitute natural gas)とも呼ばれる。〕は、液化石油ガス、ナフサ、石炭、コークス炉ガス(COG;coke oven gas)等を原料として合成される、メタンを主成分とするガスであり、一般に水蒸気改質やメタン合成等の処理を経て合成される。COGとは、石炭の乾留時にコークス炉から排出されるガスをいう。
【0004】
COGにはメタン(約30〜33vol%)、水素(約50〜54vol%)、一酸化炭素(約6〜8vol%)、及び窒素等が含まれており、COGからSNGを合成する場合には、下記式:
CO + 3H2 → CH4 + H2
で表されるメタン合成反応を行う。これにより、COG中に含まれる一酸化炭素と水素がメタンと水に変換されるので、COGよりもメタン含有量が高められたSNGを得ることができる。SNGのメタン含有量は、COGのメタン含有量にもよるが、例えばおよそ40〜80vol%の範囲であり得、一般的にはおよそ60〜80vol%の範囲である。
【0005】
COGは、それが発生する工場内で燃料として利用されることも多いが、世界的にみれば、利用されずに大気中へ放散されていることも多く、その回収利用率は高いとはいえないのが現状である。放散されているCOGを回収利用することは、地球温暖化の抑制及び省資源化に極めて有効である。
【0006】
COGの回収利用方法の1つが、上述したSNGへの変換及びその利用である。しかしながら、COGから合成されるSNGは、天然ガスに比べて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水のような副成分が多く含まれているため、これをエネルギー源として利用するには、あるいは製品として市場流通させることを考えても、これらの副成分を除去してカロリーを高めることが望ましい。
【0007】
また、SNGを気体状態で取り扱うのではなく、これを液化して液化天然ガス(LNG;liquefied natural gas)として取り扱うことは、体積を約1/600に低減できることから、パイプラインの整備されていない地域への輸送や、海上輸送、大量貯蔵等の面で極めて有利である。
【0008】
本発明に関連する特許文献としては、次の特許文献1〜3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−036676号公報
【特許文献2】特開2009−052876号公報
【特許文献3】中国特許第102277215号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、天然産出される天然ガスを液化したLNGに関するものであり、LNGタンク内のLNGが一部蒸発して生じるボイルオフガス(BOG)中の窒素を精留によって除去する技術を開示する。しかしこの技術は、窒素ガスを分離除去して、気体状態の天然ガスを製品として取り出す方法に関するものであり、窒素除去されたLNGを製造するものではない。
【0011】
特許文献2もまた、天然産出される天然ガスを液化したLNGに関するものである。この文献には、LNG中の窒素を蒸留して窒素を除去し、精製されたLNGを取り出す技術が開示されている。しかしこの技術は、気体状態の原料ガスから窒素を除去する方法に関するものではない。
【0012】
特許文献3は、COGから合成されるSNGを原料ガスとし、これを精留することにより窒素及び水素を除去してLNGを製造する方法及び装置に関するものである。しかしながら、原料ガスであるSNGの流量や組成が変動した場合については何ら考慮されていない。このような考慮がなされないままでは、副成分の除去が不十分となり、製造されるLNGの純度に悪影響を与えるおそれがある。
【0013】
本発明は、以上に鑑みなされたものであり、その目的は、COGから合成されるSNGを原料とするLNGの製造において、高純度のLNGを得ることができる製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下に示す液化天然ガス(LNG)の製造装置及び液化天然ガスの製造方法を提供する。
【0015】
[1] コークス炉ガスから合成される合成天然ガス由来の原料ガスから液化天然ガスを製造するための装置であって、
前記原料ガスの少なくとも一部が液化するまで前記原料ガスを冷却するための冷却手段と、
前記冷却手段によって少なくとも一部が液化された原料ガスを精留するための精留塔と、
前記精留塔の塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を前記精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーと、
前記精留塔での精留中における前記コンデンサー内の前記冷媒の液面位置を制御するための制御手段と、
を含む、製造装置。
【0016】
[2] 前記精留塔での精留の間、前記制御手段は、前記冷媒の液面位置が一定になるように前記コンデンサーに導入される前記冷媒の流量を制御する、[1]に記載の製造装置。
【0017】
[3] 前記冷却手段と前記精留塔との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを減圧するための減圧手段をさらに含む、[1]又は[2]に記載の製造装置。
【0018】
[4] 前記冷却手段と前記精留塔との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを気体成分と液体成分とに分離するための気液分離器をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造装置。
【0019】
[5] 前記精留塔は、その塔中部に前記原料ガスの導入口を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造装置。
【0020】
[6] 前記合成天然ガスから二酸化炭素及び/又は水を除去するための前処理塔をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造装置。
【0021】
[7] 前記冷却手段は、前記液体窒素の気化により生じる窒素ガス及び前記残部のガスの少なくともいずれか一方と、前記原料ガスとの間での熱交換を行うための熱交換器を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造装置。
【0022】
[8] 前記冷媒である液体窒素を製造し、これを前記コンデンサーに供給するための液体窒素供給系をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造装置。
【0023】
[9] 前記液体窒素供給系は、
窒素ガスから液体窒素を製造するための液体窒素製造装置と、
前記液体窒素製造装置及び前記コンデンサーに接続され、製造された液体窒素を保持するためのタンクと、
前記タンクから前記コンデンサーに向けて送出される液体窒素の一部をガス化させるための蒸発器と、
前記蒸発器によるガス化によって生成する窒素ガスを前記液体窒素製造装置に戻すための流路と、
を含む、[8]に記載の製造装置。
【0024】
[10] コークス炉ガスから合成される合成天然ガス由来の原料ガスから液化天然ガスを製造するための方法であって、
前記原料ガスの少なくとも一部が液化するまで前記原料ガスを冷却する冷却工程と、
少なくとも一部が液化された原料ガスを精留塔に導入して、これを精留する精留工程と、
を備え、
前記精留塔には、その塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を前記精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーが付設されており、
前記精留工程は、前記コンデンサー内の前記冷媒の液面位置を制御する制御工程を含む、製造方法。
【0025】
[11] 前記制御工程は、前記冷媒の液面位置が一定になるように前記コンデンサーに導入される前記冷媒の流量を制御することを含む、[10]に記載の製造方法。
【0026】
[12] 前記冷却工程と前記精留工程との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを減圧する減圧工程をさらに含む、[10]又は[11]に記載の製造方法。
【0027】
[13] 前記冷却工程と前記精留工程との間に、前記少なくとも一部が液化された原料ガスを気体成分と液体成分とに分離する気液分離工程をさらに含む、[10]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
【0028】
[14] 前記原料ガスは、塔中部から前記精留塔に導入される、[10]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
【0029】
[15] 前記合成天然ガスから二酸化炭素及び/又は水を除去する前処理工程をさらに備える、[10]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。
【0030】
[16] 前記冷却工程は、前記液体窒素の気化により生じる窒素ガス及び前記残部のガスの少なくともいずれか一方と、前記原料ガスとの間での熱交換を行う熱交換工程を含む、[10]〜[15]のいずれかに記載の製造方法。
【0031】
[17] 前記制御工程は、前記冷媒である液体窒素を製造し、これを前記コンデンサーに供給するための液体窒素供給系から液体窒素を前記コンデンサーに供給する液体窒素供給工程を含む、[10]〜[16]のいずれかに記載の製造方法。
【0032】
[18] 前記液体窒素供給工程は、前記液体窒素供給系で製造された液体窒素の一部を前記コンデンサーに供給するとともに、残部をガス化して液体窒素製造用の原料として再利用することを含む、[17]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、COGから合成されるSNGを原料とするLNGの製造において、高純度のLNGを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係るLNGの製造装置の概略構成の一例を示すフロー図である。
図2】コンデンサー内の冷媒の液面位置を制御する方法及びそのための制御手段の例を示す図である。
図3】本発明に係るLNGの製造装置の概略構成の他の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施の形態を示して本発明に係るLNGの製造装置及び製造方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
本発明は、コークス炉ガス(COG)から合成される合成天然ガス(SNG)由来の原料ガスから液化天然ガス(LNG)を製造するための装置及び方法に関するものであり、該方法は、以下の工程:
原料ガスの少なくとも一部が液化するまで原料ガスを冷却する冷却工程、及び
少なくとも一部が液化された原料ガスを精留塔に導入して、これを精留する精留工程
を含む。
【0037】
精留塔には、その塔頂部から留出する留出ガスを冷却してその一部を液化させ、残部のガスを排出するとともに、生じた液化成分を精留塔に戻すための、液体窒素を冷媒とするコンデンサーが付設されている。そして、上記精留工程は、コンデンサー内の冷媒の液面位置を制御する制御工程を含むことを特徴とする。
【0038】
図1は、本発明に係るLNGの製造装置の概略構成の一例を示すフロー図であり、上記本発明に係る製造方法を実施するのに好適な製造装置の一例を示したものである。図中の矢印は、気体又は液体の流れを示している。図1に示される製造装置は、原料ガスを冷却するための冷却手段である主熱交換器1;塔底部にリボイラー2aを有する、原料ガスを精留するための精留塔2;精留塔2の塔頂部上に配置される、塔頂部から留出する留出ガスを還流させるためのコンデンサー3;主熱交換器1と精留塔2との間(すなわち、主熱交換器1の下流側かつ精留塔2の上流側)に配置される原料ガスを減圧するための減圧手段である第1減圧弁4;コンデンサー用冷媒である液体窒素をコンデンサー3内に直接導入するための流路(配管)40上に設けられる第2減圧弁5を含む。
【0039】
図1においては図示されていないが、コンデンサー3には、冷媒(液体窒素)のコンデンサー3内における液面位置を検出及び調整するための制御手段(液面位置制御部)が付設されている(図2参照)。図1に示される第2減圧弁5は、この液面位置制御部の構成要素の1つである。
【0040】
(1)冷却工程
まず、冷却工程に供される原料ガスについて説明すると、原料ガスは、上述のように、COGから合成されるSNG由来のガスである。上述のようにSNGはCOGのメタン合成反応によって得られる。SNGのガス組成は、COGのガス組成やメタン合成反応の条件に依存するが、例えば、メタン 約40〜約80vol%(例えば約60〜約80vol%)/水素 約15〜約55vol%(例えば約15〜約30vol%)/一酸化炭素 約50〜約200volppm/二酸化炭素 約10〜約100volppm/窒素 約5〜45vol%(例えば約5〜約15vol%)の範囲である。典型的な一例を挙げると、メタン 約73vol%/水素 約18vol%/一酸化炭素 約50volppm/二酸化炭素 約50volppm/窒素 約9vol%である。SNGは通常、上記に加えてさらに水を含む。水の含有量は通常、SNGの温度及び圧力における飽和水分濃度である。
【0041】
冷却工程に供される原料ガスは、SNGそのものであってもよいし、SNGに対して精製処理のような前処理を施したものであってもよい。SNGに含まれる二酸化炭素及び/又は水の量が比較的多い場合には、冷却工程による二酸化炭素及び/又は水の凝固によって配管が閉塞することを防止する観点から、二酸化炭素及び/又は水を除去する前処理工程を冷却工程の前に行うことが好ましい。前処理工程を行う場合には、冷却手段である主熱交換器1の前(上流側)に前処理塔を設ければよい。前処理塔は、例えば、ゼオライト等の吸着剤を充填した吸着塔であることができる。SNGに対してかかる吸着処理を施して得られる原料ガスの組成は、二酸化炭素及び/又は水の含有量が低減されていることは以外は通常、SNGと同じか、又はほぼ同じである。
【0042】
冷却工程に供される原料ガスの温度は特に制限されず、例えば0〜50℃程度(例えば雰囲気温度)であることができる。冷却工程中の原料ガスの圧力は、原料ガスの少なくとも一部が液化する程度の圧力であり、典型的な一例は、約1MPaGである。
【0043】
冷却工程後の原料ガスの温度(精留塔に導入される原料ガスの温度)は、原料ガスの少なくとも一部が液化する程度の温度である限り特に制限されず、典型的な一例は、例えば原料ガスの圧力が1MPaGである場合、約−137℃である。
【0044】
冷却工程においては、1回の冷却操作で所望の温度まで冷却してもよいし、複数回の冷却操作に分けて所望の温度まで冷却してもよい。図1に示される製造装置では、流路10を通して原料ガスをまず主熱交換器1に導入することによって1段目の冷却を行い、引き続き流路10を通して精留塔2の塔底部にあるリボイラー2aに導入することによって2段目の冷却を行い、次いで流路20を通して再度、主熱交換器1に導入することによって3段目の冷却を行う。所望の冷却温度に至っていない原料ガスをリボイラー2aに導入することにより、原料ガス自身を精留操作のための熱源として利用できるとともに、原料ガスをさらに冷却することができる。例えば原料ガスの圧力が約1MPaGである場合の典型的な一例を挙げれば、原料ガスは、主熱交換器1による1段目の冷却で−126℃まで冷却され、リボイラー2aでの2段目の冷却で−134℃まで冷却され、主熱交換器1による3段目の冷却で−137℃まで冷却される。これにより原料ガスは、一部が液化される。
【0045】
冷却工程後の一部が液化された原料ガスは、精留工程において精留塔2に導入されて精留されるのであるが、精留塔2に導入する手前で、精留時の圧力に調節することが好ましい。通常、精留時の圧力は冷却工程の圧力よりも小さいので、上記調節は通常、減圧操作である。減圧手段としては、図1に示されるような減圧弁(第1減圧弁4)を用いることができる。減圧手段は、主熱交換器1と精留塔2との間(すなわち、主熱交換器1の下流側かつ精留塔2の上流側)、より具体的には精留塔2の手前近傍に配置される。換言すれば、減圧手段を用いた、少なくとも一部が液化された原料ガスの減圧操作は、冷却工程と精留工程との間で実施される。
【0046】
また、主熱交換器1と精留塔2との間、より具体的には精留塔2の手前近傍に気液分離器(図示せず)を設置し、冷却工程後の少なくとも一部が液化された原料ガスを気体成分と液体成分とに分離してもよい。冷却工程と精留工程との間で原料ガスを気体成分と液体成分とに分離する気液分離工程を実施し、これらを別々に精留塔2に導入することにより、精留による精製分離効率を高めることができるとともに、精留によって塔底部から取り出される製品LNGの純度の安定性を高めることができる傾向にある。
【0047】
減圧工程と気液分離工程との順序に関していえば、減圧工程を実施した後に気液分離工程を実施することが好ましい。減圧工程前に気液分離工程を実施すると、分離された液体が減圧工程で一部ガス化し、この状態で精留塔2に導入されることとなるため、精製分離効率の向上効果が十分に得られない可能性がある。
【0048】
(2)精留工程
本工程は、少なくとも一部が液化された原料ガスを精留塔2に導入し、リボイラー2aによる加熱によって精留を実施する工程である。精留による精製分離効率を高める観点から、原料ガスの精留塔2への導入は、図1に示されるように、塔中部に原料ガスの導入口を設け、塔中部からなされることが好ましい。精留時における精留塔2内の圧力の典型的な一例は約0.45MPaGである。
【0049】
精留によって、副成分である水素(大気圧での沸点:−252.9℃)、一酸化炭素(大気圧での沸点:−191.3℃)及び窒素(大気圧での沸点:−195.8℃)が、沸点差によりメタン(大気圧での沸点:−161.5℃)から分離され、精留塔2の塔底部から高沸点成分であるメタンを主成分とするLNGが流路60を通して取り出される。本発明によれば、SNG、ひいては原料ガスの流量や組成が変動する場合であっても、精留による高い精製分離効率を一定に保つことができ、これにより、メタン純度の高いLNGを安定して製造することができる。本発明によれば、メタン純度が99.7vol%以上、さらには99.8vol%、なおさらには99.9vol%以上のLNGを製造することが可能である。また本発明によれば、下記式:
メタン回収率(vol%)=(製品LNG中のメタン体積/原料ガス中のメタン体積)×100
で定義されるメタン回収率を97vol%以上、さらには98vol%以上とすることもできる。
【0050】
塔底部から取り出されたLNGは通常、冷却されるとともに、精留塔2内の圧力よりも減圧されて製品LNGとされる。製品LNGの温度の典型的な一例は約−161℃である。製品LNGの圧力の典型的な一例は約0.3MPaGである。塔底部から取り出されたLNGの冷却は、図1に示されるように、流路60を通してLNGを主熱交換器1に導入することによって行ってもよい。
【0051】
一方、精留の間、精留塔2の塔頂部から流路30を通して留出する留出ガスは、副成分である水素、一酸化炭素及び窒素を多く含むとともに、僅かなメタンを含むガスである。メタンよりも低沸点である水素、一酸化炭素及び窒素を主成分とするこの留出ガスは、精留塔2に付設されるコンデンサー3にて、冷媒である液体窒素3aとの熱交換によって冷却され、その一部は液化する。この液化成分は、流路31を通して精留塔2の塔頂部に戻されて還流操作が行われる。留出ガスの残部である液化しないガス成分は、上記副成分の濃度が留出ガスよりも高い成分である。このガス成分は、流路32を通してコンデンサー3から排出され、送出される。
【0052】
流路32を通してコンデンサー3から排出されるこのガス成分は冷媒として用いることができるものであり、図1に示されるように、原料ガスを冷却するための、さらには塔底部から取り出されたLNGを冷却するための主熱交換器1用の冷媒として好適に用いることができる。このガス成分を、原料ガスを冷却するための主熱交換器1用の冷媒として利用する場合、上述の冷却工程は、このガス成分と原料ガスとの間での熱交換を行う熱交換工程を含む。冷媒として利用された後の当該ガス成分は、例えば常温まで加温された後、オフガスとして回収されるか、又は放出される。オフガス中のメタン濃度は、例えば3vol%程度である。
【0053】
精留の間、コンデンサー3内の冷媒である液体窒素3aは、留出ガスとの熱交換によって加温されるため、その一部が気化する。気化により生じた窒素ガスは、流路50を通してコンデンサー3から排出される。この窒素ガスもまた、冷媒として用いることができるものであり、図1に示されるように、原料ガスを冷却するための、さらには塔底部から取り出されたLNGを冷却するための主熱交換器1用の冷媒として好適に用いることができる。この窒素ガスを、原料ガスを冷却するための主熱交換器1用の冷媒として利用する場合、上述の冷却工程は、この窒素ガスと原料ガスとの間での熱交換を行う熱交換工程を含む。冷媒として利用された後の当該窒素ガスは、例えば常温まで加温された後、回収されるか、又は放出される。
【0054】
精留の間、冷媒としての液体窒素3aは、典型的には連続的に、流路40を通してコンデンサー3内に導入される。液体窒素3aの導入は、減圧手段である第2減圧弁5を介して行う。第2減圧弁5による圧力調整により、コンデンサー3内に導入される液体窒素3aの流量を制御することができる。
【0055】
本発明において精留工程は、コンデンサー3内の液体窒素3aの液面位置を制御する制御工程を含む。この制御工程は、コンデンサー3に当該液面位置を制御するための制御手段(制御部)を設けることによって実施することができる。
【0056】
図2を参照して、上記制御手段を用いた液面位置の制御方法について説明する。制御手段は、上述の減圧手段である第2減圧弁5と、第2減圧弁5及びコンデンサー3に接続される液面位置検出・調整計6とで構成することができる。液面位置検出・調整計6は、コンデンサー3内の液体窒素3aの液面位置を検出するとともに、その検出結果に基づいて第2減圧弁5の開度を調整する。
【0057】
精留の間、制御手段によって、コンデンサー3内の液体窒素3aの液面位置が一定又はおよそ一定になるように、コンデンサー3に導入される液体窒素3aの流量を制御することが好ましい。当該流量の制御は、液面位置検出・調整計6による検出結果に基づく第2減圧弁5の開度調整により行うことができる。
【0058】
図2を参照してより具体的に説明すると、液面位置検出・調整計6によって検出された液体窒素3aの液面位置PVが予め決定された設定液面位置SVよりも低い場合には、液面位置検出・調整計6は第2減圧弁5の開度を大きくし、これにより液体窒素3aの導入流量を増大させて液面位置PVを設定液面位置SVに一致させるか、又はほぼ一致させる〔図2(a)〕。一方、液面位置PVが設定液面位置SVよりも高い場合には、液面位置検出・調整計6は第2減圧弁5の開度を小さくし、これにより液体窒素3aの導入流量を減少させて液面位置PVを設定液面位置SVに一致させるか、又はほぼ一致させる〔図2(b)〕。液面位置PVが設定液面位置SVと一致しているか、又はほぼ一致している場合には、液面位置検出・調整計6は第2減圧弁5の開度を変化させない。
【0059】
特に、図1及び図2に示されるように、液体窒素3aを第2減圧弁5を介して直接コンデンサー3に導入する方法を採用することによって、以上のような液面位置の制御性を高めることができる。これに対して、特許文献3に記載の方法のように、循環の窒素ガスを冷媒として用いる場合には、液面位置の制御が容易でない。
【0060】
液面位置検出・調整計6による液面位置PVの検出及び第2減圧弁5の制御は、断続的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。また、液面位置PVが設定液面位置SVに完全に一致するように制御する必要は必ずしもなく、設定液面位置SVに対して、液面位置PVをある程度の範囲内におさめることをもって、液面位置PVが一定に維持されていると判定させることもできる。この場合、上記ある程度の範囲内は、設定液面位置SVにおけるコンデンサー3底面からの高さの±10%の範囲内であることができ、好ましくは±5%の範囲内である。
【0061】
設定液面位置SVは、コンデンサー3が有する熱交換器が十分に高い熱交換能力を発揮することができるような位置に予め設定される。設定液面位置SVは通常、上記熱交換器の上面よりも下に設定される。
【0062】
上記のような制御手段を用いることにより(制御工程を設けることにより)、SNG、ひいては原料ガスの流量や組成が変動する場合であっても、他に特別な操作を行うことなく、精留による高い精製分離効率を一定に保つことができ、これにより、メタン純度の高いLNGを安定して製造することができる。例えば、原料ガスの流量やメタン濃度が上昇した場合には、コンデンサー3に導入される留出ガスの流量も大きくなり、これに伴い、コンデンサー3内の液体窒素3aの消費量も増大するが、液体窒素3aの液面位置を一定にする制御により、コンデンサー3の冷却能力を一定に保つことができるので、精製分離効率を一定に維持することができる。なお、コンデンサー3に導入される留出ガスの流量が大きくなると、精留塔2の塔頂部に戻される液化成分量も多くなるので、精留塔2の塔底部から取り出されるLNG量も多くなる。
【0063】
液体窒素3aの液面位置を一定に保つことは、過剰量の液体窒素3aの使用を抑制することを可能にするため、精留に必要なエネルギーの削減においても有利である。また、上述のように、塔底部から取り出されたLNGを冷却するにあたって、主熱交換器1にて、液体窒素3aの気化により生じる窒素ガス及び/又はオフガスと熱交換させる構成とすれば、LNGよりも圧力の低いガスとの熱交換が可能となるため、主熱交換器1内で漏洩が生じた場合であっても、製品LNG側に不純物が混入することはなく、製品LNGの高品質を維持することができる。これに対して、特許文献3に記載の方法のように、LNGを高圧の窒素ガスと熱交換させる場合には、上記の混入が生じやすい。
【0064】
以上の説明から理解されるとおり、制御工程は、冷媒としての液体窒素3aを、典型的には連続的に、コンデンサー3に供給する液体窒素供給工程を含んでいる。液体窒素3aは、例えば、予め製造された液体窒素を貯蔵しており、かつ流路40に接続された液体窒素貯蔵タンクから供給することができる。あるいは、LNG製造装置の一部として液体窒素を製造し、これをコンデンサー3に供給するための液体窒素供給系(液体窒素供給設備)を設けておくことによって、液体窒素3aの製造供給を行いながらLNGを連続製造するようにしてもよい。後者の製造方法を実施できるLNG製造装置の好ましい一例を図3に示す。
【0065】
図3に示されるLNG製造装置は、液体窒素3aの製造供給を行いながらLNGを連続製造することができる装置であり、図1に示されるLNG製造装置に、液体窒素3aを製造し、これをコンデンサー3に供給するための液体窒素供給系100を付加したものである。液体窒素供給系100は、液体窒素を製造するための液体窒素製造装置110;液体窒素製造装置110及びコンデンサー3に接続され、製造された液体窒素を保持するためのタンク120;タンク120からコンデンサー3に向けて送出される液体窒素の一部をガス化させるための蒸発器130;蒸発器130によるガス化によって生成する窒素ガスを液体窒素製造装置110に戻すための流路(配管)80を含む。
【0066】
図3に示されるLNG製造装置は次の点で有利である。上述のとおり、コンデンサー3内に導入される液体窒素3aの流量の制御(液面位置を一定又はおよそ一定にするための制御)は、基本的には第2減圧弁5の開度調整によって行うことができるが、例えば原料ガスの流量やメタン濃度が上昇したときに、第2減圧弁5の開度を全開にしても、液体窒素の製造能力如何によってはコンデンサー3内の液体窒素3aの液面位置を一定又はおよそ一定にできる程度に十分な流量の液体窒素をコンデンサー3に供給できない可能性がある。また、例えば原料ガスの流量やメタン濃度が上昇したときには、それに応じて液体窒素製造装置の設定を調節し液体窒素製造量を増加させる必要があるところ、設定変更後、液体窒素製造量が所定量に到達するまでにはある程度の時間を要することから、所定量に到達するまでの間、コンデンサー3内の液体窒素3aの液面位置を一定又はおよそ一定にできる程度に十分な流量の液体窒素をコンデンサー3に供給できない可能性もある。
【0067】
図3に示されるLNG製造装置によれば、以上のような懸念を解消させることができる。すなわち、図3に示されるLNG製造装置において液体窒素製造装置110は、想定され得る原料ガスの流量や組成の変動から把握できる、液体窒素3aの液面位置を一定又はおよそ一定にするために必要な液体窒素供給流量の最大値よりも大きい流量で液体窒素を製造できるものとする。これにより、必要な液体窒素供給流量が最大値に達した場合であっても上記の懸念なく、遅滞なく必要量の液体窒素をコンデンサー3に供給することができる。
【0068】
一方、必要な液体窒素供給流量が最大値に達しない間は、液体窒素製造量が必要供給量に対して過剰になるが、図3に示されるLNG製造装置によれば、この過剰分はコンデンサー3に供給することなく蒸発器130によってガス化し、液体窒素製造用の原料として再利用することができる。具体的には、液体窒素供給系100は、液体窒素を保持するタンク120とコンデンサー3(より具体的には流路40)とを接続する流路70、及び流路70から枝分かれする流路80を有しており、流路80上に蒸発器130が設けられている。蒸発器130によるガス化によって生成する窒素ガスは、流路80によって液体窒素製造装置110の入口側(原料導入側)に戻され、液体窒素製造用の原料として再利用される。蒸発器130によってガス化される液体窒素の量を調整することにより、コンデンサー3に供給される液体窒素量を制御することもできる。
【0069】
液体窒素製造装置110は、窒素ガスから液体窒素を製造する装置であることができる。液体窒素製造装置110は、例えば次の装置(手段)を含んで構成される。
1)原料の窒素ガスを昇圧するための第1昇圧手段(循環窒素圧縮器等)。これにより原料の窒素ガスはまず、例えば約0.3MPaGから約0.5MPaG程度まで昇圧される。
2)上記1)で昇圧された窒素ガスを昇圧するための第2昇圧手段(循環窒素圧縮器等)。この昇圧手段により窒素ガスは、さらに約3MPaGまで昇圧される。
3)上記2)で昇圧された窒素ガスを常温程度まで冷却するための冷却手段(アフタークーラー)と、それに続く第3昇圧手段(タービンコンプレッサ等)。この昇圧手段により窒素ガスは、さらに約4.5MPaGまで昇圧される。
4)上記3)で昇圧された高圧窒素ガスを冷却するための冷却手段(アフタークーラー)と、それに続く、高圧窒素ガスをさらに冷却するための(好ましくはコールドボックス内に設置された)液化熱交換器。
5)液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの一部であって、液化熱交換器を通過した高圧窒素ガスを膨張させるための高温タービン。高温タービンに供給された高圧窒素ガスは、膨張により冷熱が生じており、液化熱交換器の冷媒として用いられる。
6)液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの他の一部であって、液化熱交換器を通過した高圧窒素ガス〔上記5)における高圧窒素ガスよりも液化熱交換器での熱交換時間が長く、従ってより低温である〕を膨張させるための低温タービン。低温タービンに供給された高圧窒素ガスは、約0.5MPaGまで膨張され、この際、冷熱が発生する。低温タービンに供給された後、この高圧窒素ガスは、上述のタンク120(液化フラッシュタンク)に供給される。液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの残部は、液化熱交換器において上記5)及び6)における高圧窒素ガスよりも長時間熱交換されることによって液化され、次いで約0.5MPaG程度まで減圧され、一部がガス化する。その後、気液混合状態で上述のタンク120に供給され、当該タンク内で気液分離される。当該タンク内の窒素ガスは、液化熱交換器の冷媒として使用できる。
【0070】
液体窒素製造装置110に供給される原料の窒素ガスは、上述のとおり、蒸発器130によるガス化によって生成する窒素ガスを含むことができる。その他、液化熱交換器の冷媒として用いた熱交換後の窒素ガス、コンデンサー3での熱交換による液体窒素3aの気化によって生じた窒素ガス(好ましくは主熱交換器1の冷媒として利用されたものであり、図3を参照して、流路51を通して液体窒素製造装置110に導入できる)及び再利用品ではない新窒素ガスの1種又は2種以上を含むことができる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0072】
<実施例1〜3>
表1に示される流量、圧力(冷却工程における圧力)及び組成を有するメタン、水素、一酸化炭素及び窒素からなる原料ガスから、図1及び図2に示される製造装置を用いて製品LNGを製造したときの当該製品LNGの流量、メタン純度及びメタン回収率をシミュレーションによって算出した。結果を表1に示す。シミュレーションは、各種LNG製造条件を次のとおりに設定して行った。実施例1〜3において、設定液面位置SVは同じ位置であり、また各実施例でのシミュレーションにおいて、液面位置PVは、精留の間、設定液面位置SVと常に同じ位置とした。
【0073】
・最初に主熱交換器1で冷却される際の原料ガスの冷却温度:−126℃
・リボイラーによる原料ガスの冷却温度:−134℃
・再度、主熱交換器1で冷却される際の原料ガスの冷却温度:−137℃
・精留塔に導入されるときの原料ガスの圧力:0.45MPaG
・精留時の精留塔内圧力:0.45MPaG
・コンデンサー3内の圧力:0.35MPaG
・オフガスのメタン濃度:3vol%
・主熱交換器1で冷却された後の製品LNGの温度:−161℃
・主熱交換器1で冷却された後の製品LNGの圧力:0.3MPaG
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1と実施例2とは、原料ガスの流量は同じであるが組成が異なっている。実施例3は、実施例1及び2に対して、原料ガスの流量が半分であり、かつ組成も異なる。しかしながら、実施例1〜3のいずれの条件においても、メタン純度は99.9vol%超で一定している。また、いずれの条件においても、メタン回収率が97vol%を超えることが確認できた。
【符号の説明】
【0076】
1 主熱交換器、2 精留塔、2a リボイラー、3 コンデンサー、3a 液体窒素、4 第1減圧弁、5 第2減圧弁、6 液面位置検出・調整計、10,20,30,40,50,51,60,70,80 流路(配管)、100 液体窒素供給系、110 液体窒素製造装置、120 タンク、130 蒸発器。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2015年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
冷却工程に供される原料ガスは、SNGそのものであってもよいし、SNGに対して精製処理のような前処理を施したものであってもよい。SNGに含まれる二酸化炭素及び/又は水の量が比較的多い場合には、冷却工程による二酸化炭素及び/又は水の凝固によって配管が閉塞することを防止する観点から、二酸化炭素及び/又は水を除去する前処理工程を冷却工程の前に行うことが好ましい。前処理工程を行う場合には、冷却手段である主熱交換器1の前(上流側)に前処理塔を設ければよい。前処理塔は、例えば、ゼオライト等の吸着剤を充填した吸着塔であることができる。SNGに対してかかる吸着処理を施して得られる原料ガスの組成は、二酸化炭素及び/又は水の含有量が低減されていること以外は通常、SNGと同じか、又はほぼ同じである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
液体窒素製造装置110は、窒素ガスから液体窒素を製造する装置であることができる。液体窒素製造装置110は、例えば次の装置(手段)を含んで構成される。
1)原料の窒素ガスを昇圧するための第1昇圧手段(循環窒素圧縮等)。これにより原料の窒素ガスはまず、例えば約0.3MPaGから約0.5MPaG程度まで昇圧される。
2)上記1)で昇圧された窒素ガスを昇圧するための第2昇圧手段(循環窒素圧縮等)。この昇圧手段により窒素ガスは、さらに約3MPaGまで昇圧される。
3)上記2)で昇圧された窒素ガスを常温程度まで冷却するための冷却手段(アフタークーラー)と、それに続く第3昇圧手段(タービンコンプレッサ等)。この昇圧手段により窒素ガスは、さらに約4.5MPaGまで昇圧される。
4)上記3)で昇圧された高圧窒素ガスを冷却するための冷却手段(アフタークーラー)と、それに続く、高圧窒素ガスをさらに冷却するための(好ましくはコールドボックス内に設置された)液化熱交換器。
5)液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの一部であって、液化熱交換器を通過した高圧窒素ガスを膨張させるための高温タービン。高温タービンに供給された高圧窒素ガスは、膨張により冷熱が生じており、液化熱交換器の冷媒として用いられる。
6)液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの他の一部であって、液化熱交換器を通過した高圧窒素ガス〔上記5)における高圧窒素ガスよりも液化熱交換器での熱交換時間が長く、従ってより低温である〕を膨張させるための低温タービン。低温タービンに供給された高圧窒素ガスは、約0.5MPaGまで膨張され、この際、冷熱が発生する。低温タービンに供給された後、この高圧窒素ガスは、上述のタンク120(液化フラッシュタンク)に供給される。液化熱交換器に供給された高圧窒素ガスの残部は、液化熱交換器において上記5)及び6)における高圧窒素ガスよりも長時間熱交換されることによって液化され、次いで約0.5MPaG程度まで減圧され、一部がガス化する。その後、気液混合状態で上述のタンク120に供給され、当該タンク内で気液分離される。当該タンク内の窒素ガスは、液化熱交換器の冷媒として使用できる。