【解決手段】オーディオの音声信号A3を伝送する複数の音声通信プロトコルPvの各々に従って通信する機器間通信部51と、前記通信により受信した音声信号A3を再生する再生処理部52と、を備え、いずれかの前記音声通信プロトコルPvに従った通信を通じて、スマートフォン8から音声信号A3を受信するカーオーディオ装置6において、前記音声通信プロトコルPvの優先順位を予め記憶する優先順位記憶部62と、前記音声信号A3の送信のための音声通信要求を前記スマートフォン8から受けた場合に、要求されている通信の音声通信プロトコルPvの前記優先順位に応じて、前記音声通信要求を受け入れる音声信号入力制御部53と、を備える構成とした。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る車載オーディオシステム1の構成を示す図である。
車載オーディオシステム1は、スピーカ装置3が設置された車両2に設けられ、オーディオの音声再生信号A1をスピーカ装置3に出力して車室内でオーディオ音声を再生するシステムであり、
図1に示すように、カーオーディオ装置6と、スマートフォン8とを備えている。
【0016】
カーオーディオ装置6は、車両2に搭載される車載機の一形態である。このカーオーディオ装置6は、再生対象のオーディオの音声信号A3が外部機器から入力され、この音声信号A3を信号処理して上記音声再生信号A1を生成し、スピーカ装置3に出力してオーディオ音声を再生する。
スマートフォン8は、携帯電話機の一形態であり、携帯電話機を多機能化したものである。この車載オーディオシステム1では、スマートフォン8がカーオーディオ装置6に音声信号A3を入力する上記外部機器として用いられている。
【0017】
図2は、スマートフォン8の機能的構成を示すブロック図である。
スマートフォン8は、
図2に示すように、オーディオデータ蓄積部20と、オーディオデータ取得部22と、周辺機器接続部24と、アプリケーション実行部26と、音声信号送信制御部27と、操作部28とを備えている。操作部28は、ユーザの操作を受け付けるものであり、ハードキー、及びタッチパネルを備えて構成されている。
【0018】
オーディオデータ蓄積部20、及びオーディオデータ取得部22は、カーオーディオ装置6に入力するオーディオの音声信号A3の基となるオーディオデータD1の源(いわゆる、オーディオソース)になるものである。
オーディオデータ蓄積部20は、多数のオーディオデータD1を予め格納するものであり、オーディオデータD1を読み書き可能な記録媒体を備えている。この記録媒体としては、スマートフォン8に内蔵のHDDやSSD、半導体メモリ、或いは、スマートフォン8に装着自在な記録媒体が好適に用いられる。
オーディオデータ取得部22は、スマートフォン8の外に設けられたオーディオソースからオーディオデータD1を取得するものである。より具体的には、このスマートフォン8は、
図1に示すように、電気通信回線11に通信可能に接続された配信サーバ12をオーディオソースとし、この配信サーバ12からオーディオデータD1を取得する機能を備えている。
すなわち、オーディオデータ取得部22は、
図2に示すように、配信サーバ12と通信するサーバ通信部30を備え、配信サーバ12との通信を通じてオーディオデータD1を取得し、このオーディオデータD1に基づく音声信号A3がカーオーディオ装置6へ入力される。電気通信回線11は、携帯電話網、及びインターネットを含み、サーバ通信部30は、携帯電話網との間でデータを送受可能に通信接続する通信モジュールを備えている。
【0019】
周辺機器接続部24は、カーオーディオ装置6や、その他の周辺機器を無線通信、及び有線通信の両方を適宜に用いて通信接続する(すなわち、通信リンクを確立する)ものであり、無線通信部32と、有線通信部34とを備えている。
無線通信部32は、カーオーディオ装置6との間で所定の無線通信規格に準拠して通信するものであり、この無線通信に必要なアンテナ、及び各種の回路(例えば通信制御コントローラ、送信回路、及び受信回路)を備えている。
有線通信部34は、カーオーディオ装置6との間で所定の有線通信規格に準拠して通信するものであり、この有線通信に必要なコネクタ、及び各種の回路(例えば通信制御コントローラ、送信回路、及び受信回路)を備えている。
【0020】
アプリケーション実行部26は、このスマートフォン8にインストールされているアプリケーションプログラムを実行するものであり、メモリデバイスやMPUを備えている。このスマートフォン8にはアプリケーションプログラムとして、カーオーディオ装置6と連携し当該カーオーディオ装置6に音声を再生させる再生アプリ42がアプリ格納部43にインストールされている。アプリ格納部43は、例えばスマートフォン8に内蔵されたメモリデバイスである。
【0021】
再生アプリ42は、カーオーディオ装置6と連携し当該カーオーディオ装置6にオーディオソースに基づく音声を再生させるために必要な一般的な機能を備え、少なくともオーディオデータ読出機能44と、リモコン命令送受機能46と、を備えている。
オーディオデータ読出機能44は、オーディオソースからオーディオデータD1を読み出し、デコード処理などの所定の信号処理を施して音声信号A3を生成する機能である。
このスマートフォン8において、オーディオソースは、上記のとおり、スマートフォン8の本体に内蔵のオーディオデータ蓄積部20、及び、スマートフォン8の外部である配信サーバ12が用いられる。
【0022】
リモコン命令送受機能46は、スマートフォン8とカーオーディオ装置6との間で、音声の再生開始や終了といった再生動作をリモートコントロールするための信号(以下、「リモコン命令信号」と言う)Bを通信により送受する機能である。
ユーザがスマートフォン8の操作部28を操作して再生動作をリモートコントロールする場合には、スマートフォン8からリモコン命令信号Bがカーオーディオ装置6に送信される。また、これとは逆に、リモートコントロールがカーオーディオ装置6のユーザ操作によって行われる場合には、カーオーディオ装置6からスマートフォン8にリモコン命令信号Bが送信される。
【0023】
音声信号送信制御部27は、再生アプリ42の実行に伴う音声信号A3のカーオーディオ装置6への送信を制御するものであり、音声信号A3の送信に用いる通信の通信プロトコル(以下、「音声通信プロトコル」という)Pvを決定する音声通信プロトコル決定部47を備えている。
音声通信プロトコルPvは、無線通信部32、及び有線通信部34のそれぞれの通信規格において規定されている通信プロトコルのうち、音声信号の伝送に利用できるプロトコルである。
通信プロトコルは、通信に関する規約を定めたものであり、伝送媒体(伝送路)の物理条件や通信制御内容などが定められている。物理条件としては、有線通信の場合は、ケーブルとコネクタの形状と電気特性や光学波長、変調方式が規定され、無線通信の場合は、周波数帯や変調方式が規定される。
【0024】
音声通信プロトコル決定部47は、無線通信部32、及び有線通信部34で利用可能な音声通信プロトコルPvの中から一つを決定し、この音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3を送信するように周辺機器接続部24を制御する。また音声通信プロトコル決定部47は、決定した音声通信プロトコルPvを用いた通信がカーオーディオ装置6との間で不能である場合に、他の音声通信プロトコルPvに変更して通信を行う機能を備えている。
音声通信プロトコル決定部47のこのような機能は、一般的には、スマートフォン8に搭載されたOS(Operating System)に実装されており、この機能を用いて音声通信プロトコル決定部47が構成される。
【0025】
ここで、一般的に、スマートフォン8やタブレット端末等の携帯型情報端末では、無線通信の規格として、近距離の無線通信の一形態であるBluetooth(登録商標)規格が用いられている。
また、携帯型情報端末では、有線通信として、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)に準拠した通信、及びシリアルバス規格の1つであるUSB(UniverSal Serial Bus)規格に準拠した通信のいずれかが一般的に用いられている。
【0026】
図3は、この車載オーディオシステム1におけるスマートフォン8が用いる通信規格を示す図である。
HDMI接続スマートフォン8Aは、有線通信の通信規格にHDMIが用いられ、無線通信の通信規格にはBluetoothが用いられている。この有線通信、及び無線通信の通信規格の組み合わせは、OSにAndroid(登録商標)を搭載した携帯型情報端末に多く採用されている。
USB接続スマートフォン8Bは、有線通信の通信規格にUSBが用いられ、無線通信の通信規格にBluetoothが用いられている。この有線通信、及び無線通信の通信規格の組み合わせは、OSにiOS(登録商標)を搭載した携帯型情報端末(例えばiPhone(登録商標)、iPod(登録商標))に多く採用されている。
【0027】
なお、HDMI接続スマートフォン8Aにおいて、HDMIプロトコルに準拠したHDMI信号の伝送に、MicroUSBポートを経由して伝送する規格であるMHL(Mobile High-Definition Link)(登録商標)規格を用いることで、MicroUSBのコネクタをHDMIケーブルのコネクタと共用できる。
【0028】
図4は、音声信号の送信に利用できる音声通信プロトコルPvを通信規格ごとに示す図である。
同図に示すように、HDMI、USB、及びBluetoothでは、音声信号A3の送信に利用できる音声通信プロトコルPvとして、それぞれHDMIプロトコル、USBプロトコル、及びA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)プロファイルが規定されている。
【0029】
このスマートフォン8では、無線通信部32、及び有線通信部34が準拠する通信規格に応じて、これらHDMI、A2DP、及びUSBのいずれかの音声通信プロトコルPvが音声信号A3の送信に用いられる。
またスマートフォン8の再生アプリ42は、上述のとおり、リモコン命令送受機能46によりスマートフォン8とカーオーディオ装置6との間でリモコン命令信号Bを送受するが、この送受のための通信に用いる通信プロトコル(以下、「リモコン通信プロトコル」という)Pcが再生アプリ42ごとに予め定められている。
【0030】
図5は、再生アプリ42と、リモコン命令信号Bの送受に用いるリモコン通信プロトコルPcとの対応の一例を示す図である。
同図に示す再生アプリ42は、リモコン通信プロトコルPc、及びオーディオソースの組み合わせが異なるものである。
具体的には、再生アプリ42Aは、オーディオデータ蓄積部20(すなわち、スマートフォン8の本体)をオーディオソースとし、Bluetoothで規定されているAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)をリモコン通信プロトコルPcに用いる。
再生アプリ42Bは、配信サーバ12をオーディオソースとし、上記AVRCPをリモコン通信プロトコルPcに用いる。
再生アプリ42Cは、本体、及び配信サーバ12をオーディオソースとし、USBをリモコン通信プロトコルPcに用いる。
再生アプリ42Dは、本体、及び配信サーバ12をオーディオソースとし、iAP(iPod Accessory Protocol)をリモコン通信プロトコルPcに用いる。iAPは、OSにiOSを搭載した機器に、カーオーディオ装置6がBluetoothを用いて通信接続を可能とする通信プロトコルであり、このiAPでは、BluetoothのSPP(Serial Port Profile)が利用されている。
再生アプリ42Eは、本体、及び配信サーバ12をオーディオソースとし、上記SPPをリモコン通信プロトコルPcに用いる。
【0031】
スマートフォン8には、無線通信部32、及び有線通信部34が準拠する通信規格に対応した再生アプリ42が、これら再生アプリ42A〜42Eの中から適宜にインストールされる。
【0032】
また、これら再生アプリ42A〜42Eの幾つかは、音声信号A3の送信に用いる音声通信プロトコルPvが明示的に予め設定されている。例えば、再生アプリ42Cでは、音声通信プロトコルPvにUSBが指定され、再生アプリ42Dでは、音声通信プロトコルPvにBluetoothが指定され、再生アプリ42Eでは、音声通信プロトコルPvにHDMIが指定されている。
スマートフォン8にあっては、再生アプリ42に音声通信プロトコルPvが設定されている場合には、当該再生アプリ42の実行時には、この設定に基づく音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3を送信する。
【0033】
音声通信プロトコルPvが設定されていない再生アプリ42については、音声通信プロトコル決定部47によって、次のようにして音声通信プロトコルPvが決定される。
すなわち、音声通信プロトコル決定部47は、その再生アプリ42のリモコン通信プロトコルPcと同じ通信規格で規定されたプロトコルを音声通信プロトコルPvとして決定する。例えば、再生アプリ42A、42Bの実行時には、リモコン通信プロトコルPcにBluetoothのAVRCPが用いられていることから、当該Bluetoothで規定されているA2DPが音声通信プロトコルPvとして決定される。
【0034】
また、決定した音声通信プロトコルPvを用いた通信がカーオーディオ装置6との間で不能なときは、音声通信プロトコル決定部47は、カーオーディオ装置6との間で通信が確立済みの通信規格の音声通信プロトコルPvを用いた通信を順次に試み、通信可能な音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3を送信する。
例えば、スマートフォン8とカーオーディオ装置6との間で、HDMI、及びBluetoothの両方の通信が確立済みの場合において、BluetoothのA2DPを音声通信プロトコルPvに用いた通信が不能なときは、音声通信プロトコル決定部47は、HDMIを音声通信プロトコルPvでの通信を試みることになる。
なお、複数の音声通信プロトコルPvが試行対象である場合、これら音声通信プロトコルPvの試行順番はOS等によって適宜に決定される。
【0035】
図6は、カーオーディオ装置6の機能的構成を示すブロック図である。
カーオーディオ装置6は、機器間通信部51と、再生処理部52と、音声信号入力制御部53と、操作部54とを備えている。操作部54は、ユーザの操作を受け付けるものであり、ハードキー、及びタッチパネルを備えて構成されている。
【0036】
機器間通信部51は、スマートフォン8を無線通信、及び有線通信により通信接続し(すなわち、通信リンクを確立し)、音声信号A3の入力を受け、また、リモコン命令信号Bを送受するものであり、無線通信部55と、有線通信部56とを備えている。これら無線通信部55、及び有線通信部56は、この車載オーディオシステム1に用いられるスマートフォン8が使用可能な通信規格に対応して構成されている。
【0037】
具体的には、無線通信部55は、Bluetoothモジュール57を備え、スマートフォン8との間でBluetoothに準拠して通信する。また有線通信部56は、HDMIに準拠して通信するHDMIモジュール58と、USBに準拠して通信するUSBモジュール59とを備えている。これら無線通信部55、及び有線通信部56のそれぞれは、スマートフォン8が通信に使用するリモコン通信プロトコルPc、及び音声通信プロトコルPv(すなわち、少なくとも
図4、及び
図5に例示したリモコン通信プロトコルPc、及び音声通信プロトコルPv)を用いた通信が可能に成されている。
【0038】
再生処理部52は、スマートフォン8から入力された音声信号A3を信号処理して音声再生信号A1を生成し、スピーカ装置3に出力するものであり、音声信号A3を増幅し、また音声信号A3に対して各種の音響効果を付与するオーディオアンプ60を備えている。
【0039】
音声信号入力制御部53は、スマートフォン8との間で音声信号A3の入力に用いる音声通信プロトコルPvが、所定のプロトコルになるように制御するものである。
詳述すると、オーディオの音声信号A3の伝送においては、信号の伝送形態(伝送媒体や伝送帯域など)に起因して再生品質に違いが生じる。例えば有線ケーブルと無線電波といったように伝送媒体が異なる場合においては、再生品質に違いが生じる。また同じ有線ケーブルであっても、例えばHDMIケーブルとUSBケーブルといったように、使用される有線ケーブルを規格した通信プロトコルごとに再生品質が異なる。無線の場合も同様である。
【0040】
しかしながら、スマートフォン8が音声信号A3の送信に用いる音声通信プロトコルPvは、上述のとおり、スマートフォン8が決めており、必ずしも再生品質が最良の音声通信プロトコルPvが決定される訳ではない。さらに、スマートフォン8が音声通信プロトコルPvを決めているため、カーオーディオ装置6が音声通信プロトコルPvをスマートフォン8に明示的に指示することはできない。
【0041】
そこで、このカーオーディオ装置6では、スマートフォン8が使用可能な音声通信プロトコルPvのうち、再生音質が最も良くなるプロトコルで音声信号A3が送信されるようにスマートフォン8が決定する音声通信プロトコルPvが音声信号入力制御部53によって誘導される。
【0042】
詳述すると、この音声信号入力制御部53は、
図6に示すように、優先順位記憶部62と、通信可能プロトコル記憶部63とを備えている。
優先順位記憶部62は、優先順位データ64を記憶するものである。優先順位データ64は、このカーオーディオ装置6が音声信号A3の入力のための通信に利用可能な音声通信プロトコルPvを、再生品質の優劣に従って順位付けしたものである。
【0043】
図7は、優先順位データ64の一例を示す図である。
同図に示すように、このカーオーディオ装置6では、HDMIプロトコル>USBプロトコル>A2DPプロトコルの順で、音声通信プロトコルPvが優先されるように優先順位データ64が設定されている。
この優先順位データ64の優先順位は、ユーザが好みに応じて最良とする順番で適宜に順位付けを変更することもできる。
【0044】
通信可能プロトコル記憶部63は、機器間通信部51を介して通信接続(通信リンク)が確立しているスマートフォン8を対象に、このスマートフォン8が音声信号A3の送信に使用した音声通信プロトコルPvを逐次に記録するものである。具体的には、音声信号入力制御部53は、音声信号A3の送信のための通信の要求をスマートフォン8から受ける度に、要求された通信に用いられている音声通信プロトコルPvを通信可能プロトコル記憶部63に記録する。
【0045】
なお、有線通信の場合は、有線ケーブルが物理的(電気的)に接続(挿着)され物理リンクが確立した場合でも、相互間でデータを送受可能にする論理的な通信接続(例えばデータリンク)が確立していないときには、この有線ケーブルを用いた音声信号A3の送信の可否が不確かであるため、通信可能プロトコル記憶部63には記録されず、論理的な通信接続が確立したとき(すなわち、互いにデータを送受可能になったとき)に記録される。
【0046】
また、有線ケーブルが外され、或いは無線通信がオフになる等して、スマートフォン8と機器間通信部51との間の物理的な接続が絶たれて通信接続が切断された場合には、当該通信接続に用いられていた音声通信プロトコルPvによる通信が行われないようにするために、この音声通信プロトコルPvの記録が通信可能プロトコル記憶部63から消去される。
さらに、通信可能プロトコル記憶部63の記録は、スマートフォン8と機器間通信部51との間の全ての通信接続が切断された場合に初期化される。
【0047】
図8は、音声信号入力制御部53の入力制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す入力制御処理は、所定の音声通信プロトコルPvを用いた通信によってスマートフォン8が音声信号A3を送信するように誘導(すなわち、間接的にコントロール)するための処理である。この入力制御処理は、スマートフォン8における再生アプリ42の実行に伴い、音声信号A3を送信するための通信要求(以下、「音声通信要求」という)を当該スマートフォン8から受ける度に、音声信号入力制御部53によって実行される。
【0048】
具体的には、音声信号入力制御部53は、音声通信要求をスマートフォン8から受けた場合(ステップSa1)、要求された通信に用いられている音声通信プロトコルPvを通信可能プロトコル記憶部63に記録する(ステップSa2)。この記録により、スマートフォン8が音声通信に使用できる音声通信プロトコルPvをカーオーディオ装置6が把握できるようになる。
次いで、音声信号入力制御部53は、要求されている通信の音声通信プロトコルPvの優先順位を判断する(ステップSa3)。この優先順位の判断においては、要求されている通信の音声通信プロトコルPvを含め、通信可能プロトコル記憶部63に記録されている音声通信プロトコルPvの全ての音声通信プロトコルPvの中で、要求されている通信の音声通信プロトコルPvの優先順位が最も高いか否かが判断される。
【0049】
優先順位が最も高い場合(ステップSa3:Yes)、音声信号入力制御部53は、音声通信要求を受け入れる前に、スマートフォン8との間で、音声通信プロトコルPvを用いた通信の通信接続(通信リンク)が既に確立状態にあり音声信号A3を受信中か否かを判断する(ステップSa4)。
例えば、他の再生アプリ42がスマートフォン4で既に実行されており、或いはスマートフォン4とカーオーディオ装置6との間で音声信号A3の送受を伴う他のアプリケーションプログラムが実行されている等して、スマートフォン8からカーオーディオ装置6への音声信号A3の送信が継続して行われている場合、この音声通信の通信接続が既に確立した状態となり、音声信号A3が受信中になっている場合がある。
通信接続が確立状態にあり音声信号A3を受信中である場合(ステップSa4:Yes)、この通信接続による音声受信動作を維持するために、音声信号入力制御部53は、音声通信要求を拒否する(ステップSa5)。このように音声受信動作が維持されることにより、音声通信プロトコルPvの切替に伴い音声信号A3の受信が一時的に中断され、再生中に一時的に音切れが発生するといった事態を防止できる。
一方、音声通信プロトコルPvを用いた通信の通信接続が確立状態していない場合(ステップSa4:No)、ステップSa1で要求された通信に用いられている音声通信プロトコルPvでの通信接続を確立し(ステップSa6)、音声信号A3を受信する(ステップSa7)。
【0050】
また、ステップS1で要求された通信の音声通信プロトコルPvの優先順位が最も高くない場合には(ステップSa3:No)、音声信号入力制御部53は、音声通信要求を拒否し(ステップSa5)、スマートフォン8において音声通信要求に使う通信の音声通信プロトコルPvが変更されるようにする。この音声通信要求の拒否の具体的な態様としては、例えば要求に応答しない無応答や、拒否する旨を応答する拒否応答といった適宜の態様が用いられる。
【0051】
そして、スマートフォン8は、音声通信要求が拒否された場合、上述のように、音声信号送信制御部27によって、他の音声通信プロトコルPvに変えて音声通信要求が試みられる。この音声通信要求に対し、カーオーディオ装置6では、上記ステップSa1の処理が再度実行される。
このような一連の処理の結果、音声通信要求の拒否によって、スマートフォン8が使用する音声通信プロトコルPvの選択肢が、カーオーディオ装置6が通信要求を受け入れようとする音声通信プロトコルPvに制限される。そして、通信可能プロトコル記憶部63に記録されている音声通信プロトコルPvのうち、最も優先順位が高い音声通信プロトコルPv、或いは、既に通信接続が確立済みの音声通信プロトコルPvを用いてスマートフォン8が音声通信要求をしたときに、当該音声通信プロトコルPvを用いた通信がカーオーディオ装置6とスマートフォン8との間で確立し、この通信により音声信号A3が伝送されることとなる。
【0052】
なお、通信可能プロトコル記憶部63には、優先順位データ64に従って優先順位が高い音声通信プロトコルPvのみを残すように記録しても良い。
また、スマートフォン8を一意に識別する識別情報(例えばMACアドレス等)をカーオーディオ装置6が取得可能な場合、スマートフォン8との通信接続が切断された後も、このスマートフォン8の識別情報に、このスマートフォン8が音声信号A3の送信に用いた音声通信プロトコルPvを対応付けて保持し、再度、通信接続が確立したときに、それを参照して、ステップSa3の判断をするようにしても良い。
【0053】
図9は、車載オーディオシステム1の模式図である。この
図9では、スマートフォン8がHDMI接続スマートフォン8Aである場合が示されている。
HDMI接続スマートフォン8Aでは、無線通信であるBluetooth、及び有線通信であるHDMIの両方、又は、Bluetoothのみを用いてカーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aとの間で通信接続が確立される。
【0054】
例えば、再生アプリ42A(
図5)がHDMI接続スマートフォン8Aにインストールされ、当該再生アプリ42AがHDMI接続スマートフォン8Aで実行される場合、再生アプリ42Aは、リモコン通信プロトコルPcにAVRCPを用い、音声通信プロトコルPvが不定であるから、通常は、Bluetoothのみでカーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aとの間で通信接続が確立される。
また例えば、再生アプリ42E(
図5)がHDMI接続スマートフォン8AにHDMI接続インストールされ、当該再生アプリ42EがHDMI接続スマートフォン8Aで実行される場合、再生アプリ42Eは、リモコン通信プロトコルPcにAVRCPを用い、音声信号A3の音声通信プロトコルPvにHDMIを用いることから、Bluetooth、及びHDMIの両方でカーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aとの間で通信接続が確立される。
【0055】
図10は、車載オーディオシステム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
この
図10では、
図9に示すカーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの動作が示されている。また、この動作としては、HDMI接続スマートフォン8Aが再生アプリ42Eを実行し、その後、再生アプリ42Aを実行するときの動作が示されている。
【0056】
HDMI接続スマートフォン8Aが再生アプリ42Eを実行し、カーオーディオ装置6との連携により音声信号A3の再生が行われた場合、同図に示すように、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの間で、音声通信プロトコルPvにHDMIを用いた通信接続(通信リンク)が確立する(ステップSb1)。
その後、ユーザの操作によって(ステップSb2)、再生アプリ42Eを終了し当該再生アプリ42Eから再生アプリ42Aに実行対象のアプリケーションプログラムが切り替えられた場合(ステップSb3)、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの間では、リモコン命令信号Bの送受のためにリモコン通信プロトコルPcを用いた通信の通信接続を確立する処理が行われる。
具体的には、再生アプリ42Aは、リモコン通信プロトコルPcにAVRCPを用いることから、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの間では、AVRCP接続要求と、この接続要求に対するAVRCP接続応答(OK)との送受が行われ(ステップSb4)、先に確立しているHDMIを音声通信プロトコルPvに用いた通信接続に加えてAVRCPをリモコン通信プロトコルPcに用いた通信接続が確立する(ステップSb5)。
【0057】
この車載オーディオシステム1は、再生アプリ42の切替、及び音声再生操作(再生開始や停止等の操作)を、カーオーディオ装置6、及びスマートフォン8のどちらのユーザ操作でも受付け可能にする連携機能が備えられている。この連携機能は、スマートフォン8に連携用のアプリケーションプログラム(以下、連携アプリ)を実行させることで実現されている。
具体的には、連携アプリは、カーオーディオ装置6に所定の通信プロトコルを用いた通信で通信接続し、このスマートフォン8にインストールされている再生アプリ42に係る情報をカーオーディオ装置6に送信するようにスマートフォン8を機能させる。これによりカーオーディオ装置6には再生アプリ42に係る情報が予め記録され、ユーザがカーオーディオ装置6の操作部54を操作して、予め記録されている再生アプリ42の中から所望のもの指定して実行させたり切替えたりする操作が可能になっている。
スマートフォン8が送信する再生アプリ42の情報には、当該再生アプリ42とリモコン通信プロトコルPcと音声通信プロトコルPvとの対応関係(
図5)が含まれている。この情報に基づいて、カーオーディオ装置6は、スマートフォン4が使用する可能性のある音声通信プロトコルPv、及び各再生アプリ42のリモートコントロールに使用するリモコン通信プロトコルPcが判別可能になっている。
【0058】
そしてステップSb2において、ユーザがカーオーディオ装置6に対し再生アプリ42の切替操作を行った場合には、カーオーディオ装置6からスマートフォン8に対し、再生アプリ42の切り替えの要求が所定の通信プロトコルを用いた通信により送信される。この要求がスマートフォン8に受信され、スマートフォン8が再生アプリ42を切り替える。その後、カーオーディオ装置6は、切替先の再生アプリ42がリモートコントロールに使用するリモコン通信プロトコルPcを用いた通信の接続要求(ステップSb4ではAVRCP接続要求)をスマートフォン8に送信し、これに対してスマートフォン8が接続応答(OK)(ステップSb4では、AVRCP接続応答(OK))を送信することで、このリモコン通信プロトコルPcを用いた通信接続が確立することになる。
【0059】
また、ステップSb2において、ユーザがスマートフォン8に対し再生アプリ42の切替操作を行った場合には、当該操作に基づいて、スマートフォン8が再生アプリ42を切り替える。その後、スマートフォン8は、切替先の再生アプリ42がリモートコントロールに使用するリモコン通信プロトコルPcを用いた通信の接続要求(ステップSb4ではAVRCP接続要求)をカーオーディオ装置6に送信し、これに対してカーオーディオ装置6が接続応答(OK)(ステップSb4では、AVRCP接続応答(OK))を送信することで、このリモコン通信プロトコルPcを用いた通信接続が確立することになる。
【0060】
次いで、例えばユーザがカーオーディオ装置6、或いはスマートフォン8を操作して、音声再生開始を指示すると、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの間で、AVRCPをリモコン通信プロトコルPcに用いた通信によりリモコン命令信号B(図示例では再生開始要求、及び再生開始応答)が送受される(ステップSb6)。例えば、ユーザがカーオーディオ装置6を操作して音声開始を指示した場合、カーオーディオ装置6からHDMI接続スマートフォン8Aに再生開始要求が送信され、この要求の応答として、HDMI接続スマートフォン8Aから再生開始応答(OK)がカーオーディオ装置6に送信される。
【0061】
その後、HDMI接続スマートフォン8Aは、再生対象の音声信号A3をカーオーディオ装置6に送信する処理を実行する。
この処理において、再生アプリ42Aには音声通信プロトコルPvが指定されていないことから、HDMI接続スマートフォン8Aは、リモコン通信プロトコルPcで使用されているBluetoothのプロトコルであるA2DPを音声通信プロトコルPvに用いて音声通信要求をカーオーディオ装置6に送信する(ステップSb7)。
カーオーディオ装置6にあっては、音声通信要求を受けると、上述の入力制御処理(
図8)が行われる。同図に示す場合では、A2DPよりも優先順位が高いHDMIがカーオーディオ装置6の通信可能プロトコル記憶部63に記録されていることから、カーオーディオ装置6は、音声通信の通信接続を拒否する旨の応答(NG)をHDMI接続スマートフォン8Aに返信する(ステップSb8)。また、HDMIを音声通信プロトコルPvに用いた通信接続により、カーオーディオ装置6が音声信号A3を受信している場合にも、受信動作の中断を避けるため、カーオーディオ装置6は、音声通信の通信接続を拒否する旨の応答(NG)をHDMI接続スマートフォン8Aに返信することになる。
【0062】
HDMI接続スマートフォン8Aは、音声通信要求が拒否されたことから、他の音声通信プロトコルPvを用いた通信により、再度、音声通信要求をカーオーディオ装置6に送信する(ステップSb9)。同図に示す場合では、HDMI接続スマートフォン8Aが他に使用できる音声通信プロトコルPvはHDMIだけであるから、HDMIを音声通信プロトコルPvに用いた音声通信要求がカーオーディオ装置6に送信される。
【0063】
カーオーディオ装置6は、この音声通信要求を受けると、再度、上述の入力制御処理(
図8)が行われる。そして、最も優先順位が高いHDMIを音声通信プロトコルPvに用いた通信により音声通信要求が成されていることから、カーオーディオ装置6は、音声通信の通信接続を受け入れる旨の応答(OK)を返信する(ステップSb10)。
HDMI接続スマートフォン8Aは、この返信を受けることで、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aの間で、HDMIを音声通信プロトコルPvに用いた通信接続が確立し、HDMI接続スマートフォン8AがHDMIを音声通信プロトコルPvに用いた通信により音声信号A3をカーオーディオ装置6に送信する(ステップSb11)。
【0064】
これにより、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aとの間で利用可能な音声通信プロトコルPvのうち、最も優先順位が高い、すなわち再生音質が良好になる音声通信プロトコルPvを用いて、HDMI接続スマートフォン8Aからカーオーディオ装置6に音声信号A3が送信されることとなる。
【0065】
なお、
図10の動作において、再生アプリ42Eから再生アプリ42Aへの切替の際に(ステップSb3)、ユーザがカーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aを繋ぐHDMIケーブルを外した場合には、HDMI接続(物理リンク)が切断され、この切断に伴い、カーオーディオ装置6の通信可能プロトコル記憶部63からHDMIの記録が消去される。
したがって、この場合には、カーオーディオ装置6は、A2DPを音声通信プロトコルPvに用いた音声通信要求を受けたときには(ステップSb7)、音声通信の通信接続を受け入れる旨の応答(OK)を返信し、HDMI接続スマートフォン8Aとの間でA2DPを音声通信プロトコルPvに用いた通信の通信接続を確立し、この通信により音声信号A3を受信することになる。
【0066】
図11は、通信可能音声プロトコルと、音声通信要求プロトコルと、入力制御結果との対応を示す図である。
この図において、通信可能音声プロトコルは、カーオーディオ装置6の通信可能プロトコル記憶部63に記録されている音声通信プロトコルPv、すなわち、カーオーディオ装置6とHDMI接続スマートフォン8Aとの間で通信接続が確立されている通信において利用可能な音声通信プロトコルPvのうち、最も優先順位が高い通信プロトコルを示している。
音声通信要求プロトコルは、スマートフォン8が音声通信要求の通信に用いた音声通信プロトコルPvを示している。
入力制御結果は、通信可能音声プロトコルに示す音声通信プロトコルPvが通信可能プロトコル記憶部63に記録されている状態において、音声通信要求プロトコルに示す音声通信プロトコルPvを用いた通信の音声通信要求がカーオーディオ装置6に送信されたときに、当該カーオーディオ装置6が行う入力制御処理の結果を示している。
【0067】
同図に示すように、通信可能プロトコル記憶部63に記録されている音声通信プロトコルPvよりも優先順位が高い音声通信プロトコルPvを用いた通信の音声通信要求がカーオーディオ装置6に送信されたときには、当該カーオーディオ装置6は、この音声通信要求を受け入れて、通信接続を確立する。この通信接続の確立のときに、先に通信接続が確立している通信をカーオーディオ装置6が切断することで、優先順位が低い音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3を受信してしまうことを確実に防止することができる。
一方、優先順位が低い場合は、カーオーディオ装置6は、この音声通信要求を拒否し、これにより、スマートフォン8が使用する音声通信プロトコルPvの選択肢を限定し、カーオーディオ装置6及びスマートフォン8の間で使用できる音声通信プロトコルPvの中で最も優先順位が高い音声通信プロトコルPvが音声通信要求に使われるように、間接的にコントロールすることになる。
【0068】
ここで、この車載オーディオシステム1では、上記のように、カーオーディオ装置6からスマートフォン8の再生アプリ42を制御して音声を再生できる。そこで、この車載オーディオシステム1では、再生アプリ42の実行中にカーオーディオ装置6がシャットダウンしたときに、次回起動時に、カーオーディオ装置6が当該再生アプリ42の音声再生を続行する構成となっている。
具体的には、カーオーディオ装置6は、車両2のACC電源がオフされる等してシャットダウンするとき、そのときに実行中の再生アプリ42の情報(再生中のオーディオデータD1(又は音声信号A3)を特定する情報)と、音声信号A3の送信に用いられている音声通信プロトコルPvを内蔵の不揮発性メモリに記憶する。
そして、カーオーディオ装置6は、起動した時に、不揮発性メモリに再生アプリ42の情報が格納されている場合は、当該再生アプリ42による音声再生を続行可能にするために、リモコン通信プロトコルPcを用いた通信の通信接続を確立し、再生中であったオーディオデータD1(音声信号A3)の再生開始要求をスマートフォン8に送信する(
図10、ステップSb6)。また、シャットダウン前に用いられていた音声通信プロトコルPvで音声信号A3の受信が成されるようにするために、不揮発性メモリに記憶されていた音声通信プロトコルPvを通信可能プロトコル記憶部63に記憶する。
【0069】
スマートフォン8は、再生開始要求を受信すると、再生アプリ42に既定、或いは音声通信プロトコル決定部47(
図2)が決定した音声通信プロトコルPvを用いた音声通信要求をカーオーディオ装置6に送信する。(
図10、ステップSb7)。
そして、カーオーディオ装置6が上記入力制御処理を行うことで、シャットダウン前に用いられていた音声通信プロトコルPv、或いは、それよりも優先順位が高い音声通信プロトコルPvを用いた通信の音声通信要求がカーオーディオ装置6に受け入れられ、通信接続が確立され、当該音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3がスマートフォン8から送信されるようになる。
【0070】
以上説明した実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0071】
すなわち、本実施形態によれば、カーオーディオ装置6は、音声信号A3の送信のための通信要求をスマートフォン8から受けた場合、要求されている通信の音声通信プロトコルPvの優先順位に応じて、この通信要求の受け入れを決定する構成とした。
この構成により、優先順位に応じた音声通信プロトコルPvの通信の要求のみが受け入れられるので、優先順位の高い音声通信プロトコルPvを用いた通信で、音声信号A3を受信することができる。この音声信号A3が再生されることで、優先順位が高い良好な最良の音声再生が実現される。
【0072】
特に、オーディオの音声信号A3の再生品質、或いはユーザが最良とする順番で優先順位が付されることで、良好な再生品質を維持し、或いは、ユーザにとって良好な再生が実現される。
【0073】
また本実施形態によれば、カーオーディオ装置6は、スマートフォン8との間での通信に使用できる音声通信プロトコルPvの中で、音声通信要求されている通信の音声通信プロトコルPvの優先順位が最も高い場合に限り、この音声通信要求を受け入れる構成とした。
これにより、最良の再生品質、或いは、ユーザにとって最良な再生が常に実現される。
【0074】
また本実施形態によれば、カーオーディオ装置6は、スマートフォン8との間で確立状態にある通信の音声通信プロトコルPv、及び音声通信要求されている通信の音声通信プロトコルPvを、スマートフォン8との間で音声信号A3の伝送のための通信に使用できる音声通信プロトコルPvとして優先順位を判断する構成とした。
これにより、有線ケーブルが外されたり、無線通信がオフされる等して、既に通信接続が切断されてしまっている通信を除外し、確実に通信が可能な音声通信プロトコルPvの範囲で有線順位を判断することができる。
【0075】
また本実施形態によれば、カーオーディオ装置6は、通信要求を受け入れる場合、通信接続が確立状態の通信のうち、要求された通信の音声通信プロトコルPv(例えばHDMI)よりも優先順位が低い音声通信プロトコルPv(例えばA2DP)を用いた通信の接続を切断する構成とした。
これにより、優先順位が低い音声通信プロトコルPvを用いた通信により音声信号A3をカーオーディオ装置6が受信してしまうことを確実に防止することができる。
また、無駄な通信が切断されることで、消費電力が抑えられる。特に、有線通信よりも消費電力が大きな無線通信が全て切断される場合には、消費電力が大きく抑えられる。
【0076】
また本実施形態によれば、カーオーディオ装置6は、スマートフォン8から通信要求を受けた場合、当該スマートフォン8との間で、音声通信プロトコルPvに従った他の音声通信の通信接続が既に確立状態にあるときには、当該通信接続を維持するために、通信要求を受け入れずに拒否する構成とした。
このように既に確立している通信接続が維持されることで、音声通信プロトコルPvの切替に伴い通信接続が切断され、音声信号A3の送受信のための通信が一時的に中断されるといった事態が回避される。さらに、この通信の中断に伴う一時的な音切れの発生も防止できる。
【0077】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0078】
上述した実施形態において、カーオーディオ装置6は、音声信号A3の送信を要求する音声通信要求を受けるごとに、音声通信プロトコルPvの優先順位を判定する構成としたが、これに限らず、所定の音声信号A3については、優先順位の判定をせずに、音声通信要求を受け入れる構成としても良い。
【0079】
具体的には、このカーオーディオ装置6とスマートフォン8が連携し、Bluetoothで互いに通信してハンズフリー通話機能を実現している場合、通話の音声信号A3を送信するための音声通信要求に対しては、カーオーディオ装置6は、優先順位を判定することなく、音声通信要求を受け入れる構成にしても良い。
これにより、通話音声の再生出力が阻害されることなく、スムーズ、かつ速やかに行われるようになる。
【0080】
なお、カーオーディオ装置6とスマートフォン8がハンズフリー通話において使用する通信プロトコルは、オーディオの音声信号A3の伝送のためのプロトコルとは別に規定されている。したがって、カーオーディオ装置6は、音声通信要求されている通信の通信プロトコルがハンズフリー通話のものか否かを判断することで、その音声通信要求が通話の音声信号A3を送信するための音声通信要求か否かを判断できる。
【0081】
さらに、カーオーディオ装置6に複数台のスマートフォン8がBluetoothによって通信接続されている状態において、いずれか1台がハンズフリー通話を開始した場合、仮に最も優先順位が高い音声通信プロトコルPv(例えばHDMI)を用いた通信によりハンズフリー通話の音声信号A3がカーオーディオ装置6に送信されることがある。
この場合、カーオーディオ装置6は、それよりも優先順位が低い音声通信プロトコルPv(例えばA2DP)を用いた通信接続が他のスマートフォン8との間で確立状態であっても、このスマートフォン8からの音声信号A3を中断してしまうのを防止するために、この確立状態中の通信を切断しない。
【0082】
また上述した実施形態において、
図2に示したスマートフォン8、及び
図5に示したカーオーディオ装置6の構成は、それぞれ本願発明の理解を容易にするための機能構成を主な処理内容に応じて分類して示したものであり、スマートフォン8、及びカーオーディオ装置6の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。
また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0083】
また上述した実施形態において、
図8のフローチャートの処理単位、及び
図10のシーケンスの処理単位は、本願発明の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。すなわち、各処理単位は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0084】
また上述した実施形態において、スマートフォン8は、例えばラジオ電波やテレビ放送波をオーディオソースとして備えることもできる。またスマートフォン8は、配信サーバ12からオーディオデータD1を予めダウンロードして内蔵の記録媒体(例えばオーディオデータ蓄積部20)に保存し、このオーディオデータD1に基づいてカーオーディオ装置6が音声を再生しても良い。
また上述した実施形態において、カーオーディオ装置6には、複数台のスマートフォン8を同時に通信接続することもできる。さらに、カーオーディオ装置6は、これら複数台のスマートフォン8ごとに個別に入力制御処理(
図8)を実施し、それぞれのスマートフォン8ごとに最良の音声再生を維持するようにしても良い。
【0085】
また上述した実施形態では、オーディオの音声信号A3を再生するオーディオ再生装置としてカーオーディオ装置6を例示したが、これに限らない。すなわち、オーディオ再生装置は、オーディオの音声信号を伝送可能な複数の通信プロトコルのそれぞれ通信可能であり、これらの通信プロトコルのいずれかを用いた通信を通じて音声信号A3が外部機器から入力され、当該音声信号A3をオーディオ再生する装置であれば良い。
例えばオーディオ再生装置は、ナビゲーション装置などの他の車載機であっても良い。またオーディオ再生装置は、車載機に限らず、例えばポータブルオーディオプレイヤー等の携帯型の装置、或いはオーディオ再生機、テレビ装置、録画再生装置など据置型の装置であっても良い。
【0086】
また上述した実施形態では、音声信号A3をオーディオ再生装置に入力する外部機器として、スマートフォン8を例示したが、これに限らない。すなわち、外部機器は、音声信号を伝送可能な通信プロトコルを用いた通信を通じて、オーディオソースに基づく音声信号A3をオーディオ再生装置に入力する機器であれば良い。
例えば、外部機器は、携帯電話機やタブレット型PC、ノート型PC等の携帯型情報端末、或いは、据置型PC、テレビ装置、録画再生装置などの据置型の装置であっても良い。
【0087】
また上述した実施形態では、外部機器から音声信号A3をオーディオ再生装置に入力してオーディオ再生するオーディオ再生システムとして、車載オーディオシステム1を例示したが、これに限らない。すなわち、オーディオ再生システムは、上述したオーディオ再生装置、及び外部機器を備えたシステムであれば良い。
【0088】
また上述した実施形態では、車載オーディオシステム1は、オーディオ音声を再生する構成としたが、映像の再生も併せて行う、いわゆるオーディオビジュアル再生システムであっても良い。
また上述した実施形態において、「音声」を「映像」と読み替えて、次のような映像再生システムを構成しても良い。
すなわち、映像信号を伝送する複数の通信プロトコルの各々に従って通信する通信部と、前記通信により受信した映像信号を再生する映像再生部と、を備えた映像再生装置と、いずれかの前記通信プロトコルに従った通信を通じて映像信号を前記映像再生装置に送信する外部機器と、を備えた映像再生システムにおいて、前記映像再生装置は、前記通信プロトコルの優先順位を予め記憶する優先順位記憶部と、前記映像信号の送信のための通信要求を前記外部機器から受けた場合に、要求されている通信の通信プロトコルの前記優先順位に応じて、前記通信要求を受け入れる制御部と、を備え、前記外部機器は、前記通信要求が受け入れられなかった場合に、前記通信プロトコルを変えて前記通信要求を前記映像再生装置に送信することを特徴とする映像再生システムを構成しても良い。
【0089】
また上述した実施形態では、外部機器からオーディオ再生装置に音声信号A3を送信する通信に用いられる通信規格としてBluetooth、HDMI、及びUSBを例示したが、これに限らず、例えば無線LANの規格の一つであるWi−Fi(登録商標)といった、他の通信規格を用いても良い。
また、音声信号A3の送信に用いられる音声通信プロトコルPvは、外部機器、及びオーディオ再生装置の間の通信に用いられる通信規格によって規定されているものが適宜に用いられる。
【0090】
また上述した実施形態では、オーディオ再生装置と外部機器とが無線通信、及び有線通信の両方で通信接続される構成を例示したが、いずれか一方のみであっても良い。
すなわち、本発明は、無線通信、及び有線通信の区別にかかわらず、音声信号の送信に用いられる複数の通信プロトコルに準拠して通信するオーディオ再生装置、当該オーディオ再生及び外部機器を備えたオーディオ再生システムに本発明を適用できる。