【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたものであり、二つ以上のデータ書き込み装置を用いてデータを書き込みつつ、データ保存媒体の交換作業を可能とするのである。
第一の発明としてデジタルデータ記録装置、第二の発明としてデジタルデータ記録方法、第三の発明としてデジタルデータ記録装置を制御するためのコンピュータプログラム、第四の発明として前記コンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【0012】
(第一の発明)
第一の発明は、 時間的に連続するデジタルデータを入力するデータ入力手段と、 そのデータ入力手段から入力されたデジタルデータを保存するデータ保存手段と、 そのデータ保存手段への保存動作を制御する保存制御手段と、を備えるデジタルデータ記録装置に係る。
前記のデータ保存手段は、前記のデジタルデータ記録装置と物理的または論理的に着脱可能であり、且つ物理的に二つ以上の存在であるデータ保存媒体と、 そのデータ保存媒体へ保存すべきデジタルデータを送信するために前記のデータ保存媒体と接続される三つ以上のデータ書き込み装置と、を備える。
前記の保存制御手段は、前記の複数のデータ保存媒体それぞれに対してデータ保存領域を設定する保存領域設定手段と、
その保存領域設定手段が設定したデータ保存領域のうち一つ以上のデータ保存媒体に係る二つ以上のデータ保存領域へ前記のデータ書き込み装置を介してデータ保存動作を並列的に実行させる保存実行手段と、
その保存実行手段がデータ保存動作を実行中において前記のデータ保存媒体におけるデータ保存動作が実行されないデータ保存領域であるデータ未保存領域を確保する未保存領域確保手段と、
前記の保存実行手段がデータ保存動作を実行中に前記のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量を検出するデータ保存可能容量検出手段と、
前記のデータ未保存領域に対して新たなデータ保存領域を設定する次期保存領域設定手段と、
前記のデータ保存可能容量検出手段によって検出されるデータ保存可能容量が所定容量に達したデータ保存領域を検出した場合に、前記の次期保存領域設定手段が設定した新たなデータ保存領域へ前記の保存実行手段によるデータ保存動作を切り替えさせる保存領域切り替え手段と、
を備える。
【0013】
(用語説明)
「時間的に連続するデジタルデータ」とは、動画データ、音声データ、または動画および音声の複合データなどである。「デジタルデータ」には、時間的の連続するアナログ信号から変換されたデジタルデータをも含む。
【0014】
「データ保存媒体」、「データ書き込み装置」、「データ保存領域」、「データ未保存領域」の関係について補足する。
データ保存動作は、二つ以上のデータ書き込み装置を用いて、データ保存媒体(における二以上のデータ保存領域)へなされる。データ保存動作を速めるためである。
データ保存動作中であっても、データ保存媒体の着脱が可能であるためには、データ保存動作中のデータ保存媒体に係るデータ書き込み装置とは別に、データ書き込み装置が必要となる。したがって、データ書き込み装置は三つ以上が必要となる。しかし、一のデータ保存媒体へ複数のデータ保存領域が存在していれば、データ保存動作が始まったばかりならば、データ未保存領域が複数存在させることができる。よって、データ保存媒体は最低限で二つ以上、となる。
【0015】
(作用)
本発明に係るデジタルデータ記録装置へデータを保存する場合について説明する。
保存すべきデジタルデータは、データ入力手段によって入力される。
入力されたデジタルデータは、保存制御手段が保存に関する制御したデータ保存媒体へデータ書き込み装置を介して保存される。
【0016】
その保存制御手段は、以下のような作用を奏する。
まず、保存領域設定手段が、データ保存媒体に対して複数のデータ保存領域を設定する。この設定は、データ保存媒体がデータ書き込み装置へ接続された直後に実行する場合のほか、データの保存動作の直前に実行する場合も含む。
【0017】
次に、その保存領域設定手段が設定した少なくとも二つ以上のデータ保存領域に対して、保存実行手段が並列的にデータ保存動作を実行させる。データ保存動作が実行されるデータ保存領域はデータ保存媒体に存在するので、二つ以上のデータ書き込み装置が動作することによってデータ保存動作が実行されることとなる。
二以上のデータ書き込み装置が動作することによって二以上のデータ保存領域へ並列的にデータ保存動作を実行するので、保存速度を速めることができる。換言すれば、保存動作を速めることができるように、データ保存動作を二つ以上のデータ書き込み装置によって実行させることとしている。したがって、保存すべきデジタルデータにおける単位時間あたりの容量が大きくても、その容量に見合った数のデータ書き込み装置を設定することで、連続的な保存動作の速度を低下させないようにすることができる。
【0018】
一方、保存実行手段がデータ保存動作を実行中には、未保存領域確保手段がデータ保存媒体におけるデータ保存動作が実行されないデータ保存領域であるデータ未保存領域を確保する。そして、データ保存動作を実行中のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量を、データ保存可能容量検出手段が検出する。
続いて、データ未保存領域に対し、次期保存領域設定手段が新たなデータ保存領域を設定する。
データ保存可能容量検出手段によって検出されるデータ保存可能容量が所定容量に達したデータ保存領域を検出した場合には、次期保存領域設定手段が設定した新たなデータ保存領域に対し、保存領域切り替え手段が保存実行手段によるデータ保存動作を切り替える。
【0019】
保存すべきデジタルデータが連続的にデータ入力手段から入力されてきても、新たなデータ保存領域へ保存動作を切り替えることができるので、データ保存が円滑に実行できる。
第一の発明では、データ保存媒体を三つ以上備える(データ書き込み装置へデータ保存媒体を三つ以上接続する)ことができる。そして、デジタルデータの保存中には、二つ以上の記録媒体へのデータ保存が実行されているが、データ保存が実行されていないデータ書き込み装置が必ず一つ以上存在する。したがって、データ保存が実行されていないデータ書き込み装置に対して、新たなデータ保存媒体を接続することができる。
【0020】
(第二の発明)
第二の発明は、 時間的に連続するデジタルデータを入力するデータ入力手段と、 そのデータ入力手段から入力されたデジタルデータを保存するデータ保存媒体からなるデータ保存手段への保存動作を制御する保存制御手段と、 前記のデータ保存手段へ保存すべきデジタルデータを前記のデータ保存媒体へ送信するために当該データ保存媒体と接続される三つ以上のデータ書き込み装置と、を備えるデジタルデータ記録装置に係る。
すなわち、第一の発明に係るデジタルデータ記録装置から、データ保存媒体を除いたデジタルデータ記録装置に係る。
前記のデータ保存媒体は、前記のデジタルデータ記録装置と物理的または論理的に着脱可能であり、且つ物理的に二つ以上の存在であり、
前記の保存制御手段は、前記の複数のデータ保存媒体それぞれに対してデータ保存領域を設定する保存領域設定手段と、
その保存領域設定手段が設定したデータ保存領域のうち一つ以上のデータ保存媒体に係る二つ以上のデータ保存領域へ前記のデータ書き込み装置を介して並列的にデータ保存動作を実行させる保存実行手段と、
その保存実行手段がデータ保存動作を実行中において前記のデータ保存媒体におけるデータ保存動作が実行されないデータ保存領域であるデータ未保存領域を確保する未保存領域確保手段と、
前記の保存実行手段がデータ保存動作を実行中に前記のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量を検出するデータ保存可能容量検出手段と、
前記のデータ未保存領域に対して新たなデータ保存領域を設定する次期保存領域設定手段と、
前記のデータ保存可能容量検出手段によって検出されるデータ保存可能容量が所定容量に達したデータ保存領域を検出した場合に、前記の次期保存領域設定手段が設定した新たなデータ保存領域へ前記の保存実行手段によるデータ保存動作を切り替えさせる保存領域切り替え手段と、
を備えたデジタルデータ記録装置である。
【0021】
(作用)
第二の発明の作用につき、第一の発明との相違点を説明する。
デジタルデータを保存するには、まず、二つ以上のデータ保存媒体を、データ書き込み装置へ接続する。 第二の発明に係るデータ記録装置は、第一の発明に係るデータ記録装置が必須構成要件としていたデータ保存媒体を必須構成要件としていないからである。
この点が、第二の発明の作用と、第一の発明の作用との相違点である。
その後、そのデータ保存媒体に対しては、保存領域設定手段がデータ保存領域を設定する。以下は、第一の発明の作用と同じであるので、省略する。
【0022】
(第一および第二の発明のバリエーション1)
第一および第二の発明は、前記の保存実行手段がデータ保存動作を実行中のデータ保存領域に係るデータ記録媒体に対しては、前記のデータ書き込み装置からの離脱を不能であるように形成してもよい。
「離脱を不能」とする手段としては、物理的にロックする手段のほか、離脱しないように本発明に係るデジタルデータ記録装置のユーザへ警告を促す発光、発音などでもよい。
【0023】
(作用)
データ保存動作を実行中の保存領域に係る記録媒体は、デジタルデータ記録装置から離脱することがない。そのため、データ保存動作の実行中による記録媒体の離脱を原因として、データ保存動作が中断されることを防げる。
【0024】
(第一および第二の発明のバリエーション2)
第一および第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の保存実行手段がデータ保存動作を実行中のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量が所定容量に達した場合には、前記の次期保存領域設定手段が設定した新たなデータ保存領域に係るデータ記録媒体に対しては、前記のデータ書き込み装置からの離脱を不能とするように形成してもよい。
【0025】
(作用)
データ保存動作が継続されている場合において、実行中のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量に余裕がなくなってきたことを検知したら、次のデータ保存領域が設定される。その設定されたデータ保存領域に係る記録媒体は、デジタルデータ記録装置から離脱することがない。そのため、データ保存動作が円滑に継続できる。
【0026】
(第一および第二の発明のバリエーション3)
第一および第二の発明における前述のバリエーション2においては、前記の保存領域設定手段について、一つのデータ保存媒体に対して複数のデータ保存領域を設定することとしてもよい。
【0027】
データ保存動作は、複数のデータ書き込み装置を同時に作動させることで実行される。したがって、保存領域設定手段が一つのデータ保存媒体に対して複数のデータ保存領域を設定することは、合理的である。
【0028】
(第一および第二の発明のバリエーション4)
第一および第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記のデータ保存媒体の着脱操作者に対する出力手段を備え、
その出力手段は、前記の保存実行手段がデータ保存動作を実行中であるデータ保存媒体がいずれであるかを報知することとしてもよい。
「出力手段」とは、本発明に係るデジタルデータ記録装置のユーザに対する報知を実行するための手段であり、たとえば、ユーザの視覚に訴える装置(液晶、照明など)、ユーザの聴覚に訴える装置(スピーカなど)、それらの組み合わせである。
【0029】
(作用)
保存実行手段は、データ保存動作を実行中である場合には、その実行中であるデータ保存媒体がいずれであるかを報知する。それによって、データ保存動作を実行中であるデータ保存媒体と実行されていないデータ保存媒体とを区別できる。
【0030】
(第三の発明)
第三の発明は、デジタルデータを記録するデジタルデータ記録装置に対して着脱自在なデータ保存媒体に係る。
前記のデジタルデータ記録装置は、前記のデータ保存媒体へ保存すべきデジタルデータを送信するために前記のデータ保存媒体と接続される二つ以上のデータ書き込み装置を備えており、
前記のデータ保存媒体は、前記のデータ書き込み装置から送信されるデジタルデータを受信するデータ受信ドライブを二つ以上備えるとともに、
その二つ以上のデータ受信ドライブに対応した物理的に二つ以上のデータ保存領域を備える。
【0031】
「二つ以上のデータ書き込み装置」とは、接続口として目に見える状態として二つ以上を意味するものではない。たとえば、一見すると一つの接続口であっても、二つ以上のデータ書き込み装置として機能するのであれば、「二つ以上のデータ書き込み装置」に該当する。
【0032】
(作用)
二つ以上のデータ書き込み装置を備えたデジタルデータ記録装置に対して、第三の発明に係るデータ保存媒体を用いれば、デジタルデータ記録装置におけるデジタルデータの保存動作に際して、二つ以上のデータ受信ドライブにてデータを受信して保存することができる。そのため、ハードウェアの基本性能に依存することなしに、データ保存速度を向上させることができる。
【0033】
なお、前記の各データ保存領域に対して、論理的に複数のデータ保存領域を備えることとしてよい。
各データ保存領域は、大きな容量となることが多いので、論理的にセパレートしておくことは、データの書き込みや読み出しの際のエラー軽減に寄与するからである。
【0034】
(第四の発明)
第四の発明は、 時間的に連続するデジタルデータを入力するデータ入力手段と、 そのデータ入力手段から入力されたデジタルデータを保存するデータ保存手段と、を備え、 前記のデータ保存手段は、前記のデジタルデータ記録装置と物理的または論理的に着脱可能であり、且つ物理的に複数の存在であるデータ保存媒体と、 そのデータ保存媒体へ保存すべきデジタルデータを送信するために前記のデータ保存媒体と接続される三つ以上のデータ書き込み装置と、を備えたデジタルデータ記録装置を制御するためのデジタルデータ記録方法に係る。
すなわち、 前記の複数のデータ保存媒体それぞれに対してデータ保存領域を設定する保存領域設定手順と、
その保存領域設定手順にて設定したデータ保存領域のうち一つ以上のデータ保存媒体に係る二つ以上のデータ保存領域へ前記のデータ書き込み装置を介して並列的にデータ保存動作を実行させる保存実行手順と、
その保存実行手順にてデータ保存動作を実行中において前記のデータ保存媒体におけるデータ保存動作が実行されないデータ保存領域であるデータ未保存領域を確保する未保存領域確保手順と、
前記の保存実行手順によるデータ保存動作を実行中に前記のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量を検出するデータ保存可能容量検出手順と、
前記のデータ未保存領域に対して新たなデータ保存領域を設定する次期保存領域設定手順と、
前記のデータ保存可能容量検出手順にて検出されるデータ保存可能容量が所定容量に達したデータ保存領域を検出した場合に、前記の次期保存領域設定手順にて設定した新たなデータ保存領域へ前記の保存実行手順によるデータ保存動作を切り替えさせる保存領域切り替え手順と、
を前記のデータ保存手段に対して実行させることとしたデジタルデータ記録方法である。
【0035】
(第五の発明)
第五の発明は、時間的に連続するデジタルデータを入力するデータ入力手段と、 そのデータ入力手段から入力されたデジタルデータを保存するデータ保存手段と、を備え、 前記のデータ保存手段は、前記のデジタルデータ記録装置と物理的または論理的に着脱可能であり、且つ物理的に複数の存在であるデータ保存媒体と、 そのデータ保存媒体へ保存すべきデジタルデータを送信するために前記のデータ保存媒体と接続される三つ以上のデータ書き込み装置と、を備えたデジタルデータ記録装置を制御するためのコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、
前記の複数のデータ保存媒体それぞれに対してデータ保存領域を設定する保存領域設定手順と、
その保存領域設定手順にて設定したデータ保存領域のうち一つ以上のデータ保存媒体に係る二つ以上のデータ保存領域へ前記のデータ書き込み装置を介して並列的にデータ保存動作を実行させる保存実行手順と、
その保存実行手順にてデータ保存動作を実行中において前記のデータ保存媒体におけるデータ保存動作が実行されないデータ保存領域であるデータ未保存領域を確保する未保存領域確保手順と、
前記の保存実行手順によるデータ保存動作を実行中に前記のデータ保存領域におけるデータ保存可能容量を検出するデータ保存可能容量検出手順と、
前記のデータ未保存領域に対して新たなデータ保存領域を設定する次期保存領域設定手順と、
前記のデータ保存可能容量検出手順にて検出されるデータ保存可能容量が所定容量に達したデータ保存領域を検出した場合に、前記の次期保存領域設定手順にて設定した新たなデータ保存領域へ前記の保存実行手順によるデータ保存動作を切り替えさせる保存領域切り替え手順と、
を前記のデータ保存手段に対して実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0036】
(第六の発明)
第六の発明は、第四の発明に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体に係る。
記録媒体としては、たとえば、ハードディスク、CD−R、DVD−R、ブルーレイディスク、などである。